その晩、ココアの提案でババ抜きをやることになった。
「負けた人は罰ゲームで早口言葉言ってもらうよ!」
「こういうのって、だいたいいい出した方が負けるよな」
悠がそうフラグを立てると、ココアが「ふふーん」と続ける。
「私の技術をなめてもらっては困るよ!ババ抜きには自信があるんだ!——お姉ちゃんには勝てなかったけど」
「モカさん相変わらず弱点がないな……」
現時点でジョーカーは悠のところにあった。
が、すぐにチノに持って行かれた。
「なっ!」
チノがわかりやすい反応をする。これは——勝てる!
結局残ったのは悠とチノ。
「なんで俺なんだよ!くそ、勝てると思ってたのに」
「私も危なかったな〜もう少しで悠くんに負けるところだったよ」
「むぅ……私絶対に負けません!」
「チノもなかなか負けず嫌いだな……」
「チノちゃん頑張って!」
一番最初に上がったのはリゼだった。次に里恵、最後にココア。
あと少しというところでココアに先を越されてしまった。
手札は、こちらが1枚、チノが2枚。つまり、ジョーカーはチノが持っている。
だが、チノには負ける気がしない。なぜなら——。
悠が、トランプを引こうと左のカードに手を差し伸べた。
——チノがピクッと反応する。
今度は右のカードに手を差し伸べると、チノはホッとした顔をする。
——左のカードか。これを引けば勝てる。
だが、なんだかズルをしているような気分だ。ここは教えてあげるべきか。
「な、なあチノ……お前が持ってるジョーカーってこちらから見て右のカードだよな?」
「な!——なんで……」
チノがびっくりした様子でそういう。
「顔に出すぎだ。明らかに左のカードを取ろうとすると動揺するし、さすがにわかるぞ」
「そんな……」
チノががっくりと落ち込む。
「でも、どうして教えてくれたんですか、これをとれば勝てるのに——」
「まあそうだけど、それで勝っても嬉しくねぇよ」
「——悠さんはお人好しですね」
チノが少しだけニッコリと笑った。
悠は、「だからこうしよう」とチノにカードを床に伏せてシャッフルするように伝える。
「これでどっちがジョーカーか、俺にもチノにもわからない」
「なるほど——」
「おぉ!悠、お前がフェアな戦いを申し出るとは」
リゼが驚きの声を上げる。
「超失礼なやつだな、まあリゼが相手だったら問題無用で当たりを引いてるぜ」
「チノちゃんの評価を狙いにいったね、お兄ちゃん」
悠の言葉に、里恵が苦笑いする。
結局悠が引いたのは当たりのカード。つまり、チノが負けた。
「むぅ——なんだかとても悔しいです」
「よし!早口言葉はチノで決定だな。何を言ってもらおうか」
リゼがそういうと、ココアが「隣の客はよく柿食う客だ」と定番の早口言葉を指定する。
「い、いきます——隣の客はよく客食う客だ……あれ?——隣の柿はよく客食う柿だ……なんででしょう、言えません」
「あれ、もしかしてチノってサイコパス?」
「客食う柿って——」
チノの早口言葉に思わず悠とリゼがツッコミを入れてしまう。
「もう一度言います!——隣の客はときかききゅうきゃくきゃ」
「もはや何を言ってるのかわからん」
悠が冷静なツッコミを入れる隣で、ココアが目をキラキラさせていう。
「かっ……かわいい!チノちゃんかわいい!」
「早口言葉の感想としてはどうなんだ」
チノに抱きつくココアに、リゼがそうつっこむ。
「あの、言えてませんでしたか?」
「ああ——結構ホラーな感じになってたぞ。——でもまあ、ココアの言う通り言えてなくてかわいいとは思ったが」
「は、恥ずかしいこと言わないでください!ほら、もう寝ますよ!」
チノがそう言って部屋の電気を消した。
ストックを放出したと言いつつ、ここ数日暇で書きまくっていたのでまたストックが溜まってしまいました。
どの組み合わせがお好きですか?
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ココア × 悠
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チノ × 悠
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リゼ × 悠
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振り回され隊 × 悠