時計の短い針が上を向く時間になってきた。
「ねぇ、甘兎庵でお昼食べようよ」
「ああ、そうだな——。千夜とお前を会わせるのは少し嫌だけど」
「おやおや?お姉ちゃんにヤキモチ!?」
「そういう意味じゃない。お前ら2人を会わせるとろくなことにならないって意味だ」
とは言ったものの、結局甘兎庵に行くことに。
「ココアちゃんに悠くん、いらっしゃい!」
千夜が出迎えてくれた。相変わらずの和服姿——ではない。
「あれ?千夜ちゃん!その制服いいね!」
「そう?ありがとう。実は今日からレトロモダン月間なの」
「そうなんだ〜!ラビットハウスも期間限定で制服変えたいね!悠くん」
「なんで俺に振るんだよ——帰ったらチノに言っておくか」
千夜に席に案内された。が——。
「あれ!?チノちゃん!?なんでここに?」
「い、いえ、千夜さんが制服を変えたっていうので——気になってしまって」
チノと遭遇してしまった。シャロの一言が脳裏に浮かぶ。
「そっか。ねぇ、ラビットハウスも期間限定で何かやってみない?」
「そうですね……」
——「チノに助けてもらおう。ココアとのデート(強制)に疲れてしまった。チノに便乗して帰ろう」
そう思っていたが、チノの一言でデート続行が確定した。
「ところで、お2人は何をしていたんです?」
「悠くんとデートしてたの!」
「デート……ですか。すいません、お邪魔してしまいました。私はこれで帰りますね」
「違うぞチノ、ココアの冗談だ」
慌ててチノを引き止めるが、チノは
「いえ、気にしないでください。ちょうど食べ終わったところですから。——2人で楽しく過ごしてくださいね」
「チノちゃんは自ら手を引くタイプね——はい、ちょうどいただきます。ありがとうございました〜!」
千夜がそう言ってチノから代金を受け取る。チノが店から出て行ってしまった。
「待ってくれ!チノー!!」
悠がそう叫ぶが、返事はない。
「おもてなしのアイスカプチーノです。最近暑いでしょ?試しに作ってみたの」
「はは、今のあいつにそっくりだ——」
この光景、何処かで見たことあるような……と思いつつ口に入れる。
「千夜ちゃん!これとっても美味しいよ!」
「そう?ありがとう!本格的に商品化しちゃう?」
千夜はそう言うと、こちらに注文を尋ねてから店の奥へ向かった。
「はぁ……」
「そんなに落ち込まないで」
ココアが励ますが、そもそもの原因はココアだ。
「元はと言えばお前が——いや、もう手遅れだな」
「チノちゃん、急に暗い顔してどうしたんだろうね」
「お前も千夜に負けないくらい鬼畜なやつだな——」
悠は呆れた様子でそう吐き捨てた。
「ごちそうさまでしたー!」
「ごちそうさまでした。やっぱり美味しいな」
「そうだね!」
「はぁ——どれだけ美味しくても食べ物で傷口は塞がらないぜ」
「まだ気にしてる!?」
不意に涙が出てくる。ココアはすぐにティッシュを取り出して
「泣かないで!お姉ちゃんがよしよししてあげるよ」
「原因のやつに慰めてもらうとは——皮肉なもんだな」
ココアが無自覚でやっているのがさらに怖い。
そう思った悠だった。
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ココア × 悠
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チノ × 悠
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振り回され隊 × 悠