ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第五十五話 甘兎庵で遭遇!

時計の短い針が上を向く時間になってきた。

 

 

「ねぇ、甘兎庵でお昼食べようよ」

 

「ああ、そうだな——。千夜とお前を会わせるのは少し嫌だけど」

 

「おやおや?お姉ちゃんにヤキモチ!?」

 

「そういう意味じゃない。お前ら2人を会わせるとろくなことにならないって意味だ」

 

 

とは言ったものの、結局甘兎庵に行くことに。

 

 

「ココアちゃんに悠くん、いらっしゃい!」

 

 

千夜が出迎えてくれた。相変わらずの和服姿——ではない。

 

 

「あれ?千夜ちゃん!その制服いいね!」

 

「そう?ありがとう。実は今日からレトロモダン月間なの」

 

「そうなんだ〜!ラビットハウスも期間限定で制服変えたいね!悠くん」

 

「なんで俺に振るんだよ——帰ったらチノに言っておくか」

 

 

千夜に席に案内された。が——。

 

 

「あれ!?チノちゃん!?なんでここに?」

 

「い、いえ、千夜さんが制服を変えたっていうので——気になってしまって」

 

 

チノと遭遇してしまった。シャロの一言が脳裏に浮かぶ。

 

 

「そっか。ねぇ、ラビットハウスも期間限定で何かやってみない?」

 

「そうですね……」

 

 

——「チノに助けてもらおう。ココアとのデート(強制)に疲れてしまった。チノに便乗して帰ろう」

 

そう思っていたが、チノの一言でデート続行が確定した。

 

 

「ところで、お2人は何をしていたんです?」

 

「悠くんとデートしてたの!」

 

「デート……ですか。すいません、お邪魔してしまいました。私はこれで帰りますね」

 

「違うぞチノ、ココアの冗談だ」

 

 

慌ててチノを引き止めるが、チノは

 

 

「いえ、気にしないでください。ちょうど食べ終わったところですから。——2人で楽しく過ごしてくださいね」

 

「チノちゃんは自ら手を引くタイプね——はい、ちょうどいただきます。ありがとうございました〜!」

 

 

千夜がそう言ってチノから代金を受け取る。チノが店から出て行ってしまった。

 

 

「待ってくれ!チノー!!」

 

 

悠がそう叫ぶが、返事はない。

 

 

「おもてなしのアイスカプチーノです。最近暑いでしょ?試しに作ってみたの」

 

「はは、今のあいつにそっくりだ——」

 

 

この光景、何処かで見たことあるような……と思いつつ口に入れる。

 

 

「千夜ちゃん!これとっても美味しいよ!」

 

「そう?ありがとう!本格的に商品化しちゃう?」

 

 

千夜はそう言うと、こちらに注文を尋ねてから店の奥へ向かった。

 

 

「はぁ……」

 

「そんなに落ち込まないで」

 

 

ココアが励ますが、そもそもの原因はココアだ。

 

 

「元はと言えばお前が——いや、もう手遅れだな」

 

「チノちゃん、急に暗い顔してどうしたんだろうね」

 

「お前も千夜に負けないくらい鬼畜なやつだな——」

 

 

悠は呆れた様子でそう吐き捨てた。

 

 

 

「ごちそうさまでしたー!」

 

「ごちそうさまでした。やっぱり美味しいな」

 

「そうだね!」

 

「はぁ——どれだけ美味しくても食べ物で傷口は塞がらないぜ」

 

「まだ気にしてる!?」

 

 

不意に涙が出てくる。ココアはすぐにティッシュを取り出して

 

 

「泣かないで!お姉ちゃんがよしよししてあげるよ」

 

「原因のやつに慰めてもらうとは——皮肉なもんだな」

 

 

ココアが無自覚でやっているのがさらに怖い。

 

そう思った悠だった。

どの組み合わせがお好きですか?

  • ココア × 悠
  • チノ × 悠
  • リゼ × 悠
  • 振り回され隊 × 悠
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