「た、ただいま——」
「あ、悠さん。ココアさん。おかえりなさい……」
チノはそれだけ言うと、さっさと部屋に戻ってしまった。
「や、やっぱり怒ってる——?」
「わからん。とりあえず本を献上するぞ」
ココアと悠は顔を見合わせ、チノの部屋に向かった。
「チノちゃんに重大発表があります!」
「じゅ、重大発表ってまさか——」
『実は!私たち今日から——』
チノの脳内で自動で再生されるココアの音声。
チノはそんなはずないと信じて部屋のドアを開ける。
「な、なんでしょう……」
恐る恐る尋ねると、ココアが「じゃーん!」と本を見せる。
「これって!」
「ああ、チノが好きな本だって聞いて、探してきたんだ」
「それで帰りが遅かったんですか?ありがとうございます……」
チノは嬉しさと安堵で思わず俯く。
「探すの大変だったよー。でも結局入口の目の前にあって」
ココアが笑いながら言うと、チノはクスッと笑って
「灯台下暗し、ですね」
と言ったが、ココアはさらに笑う。
「チノちゃん、悠くんと同じこと言ってるよ!」
「えっ——」
「思いっきりセリフ被ってるぞ……」
今度は恥ずかしさのあまり俯いた。
「あの、ところで、何か進展はあったんですか?」
「なんの?」
「で、ですからその……悠さんと」
「進展?——本を見つけたこと!かな?」
ココアがそう答えると、チノはホッとした様子で「そうですか」と答えた。
「——なんで私はこんなに気にしてるんでしょうか……」
「え?何か言った?」
「何も言ってません!」
「あら、チノちゃん。いらっしゃい」
「千夜さん……」
翌日、チノは甘兎庵を訪れた。千夜のレトロモダン月間目当てではない。
「はい、どうぞ」
千夜がお茶を差し出すと、チノはあんこを抱きかかえたまま顔を上げる。
「ありがとうございます。すみません、お仕事中に」
「ううん、あんこに会うついででもチノちゃんが私に相談してくれて嬉しいわ」
「千夜さん——」
「それで、悠くんがどうしたの?」
千夜が首を傾げてそう聞くと、チノは
「最近、ココアさんやリゼさんとよく遊んでて」
「シャロちゃんに教えたらなんて言うかしら」——と千夜は思う。
「それに、モヤモヤするんです」
「嫉妬してるのね」
「嫉妬?誰にですか?」
自覚がないのか——と千夜は思う。
「悠さんは女の人なら誰でもいいんです」
「誤解を招く発言だわ」
珍しく千夜がツッコミを入れる。
「リゼさんは、悠さんに友達関係のことを相談していますし、ココアさんも昨日1日中遊んでて——楽しそうでした」
千夜がチノの肩に手を置いてこう言う。
「チノちゃん、寂しいならいっそのことうちの子になっちゃいましょ?」
「余計ややこしいことに——」
「あの——」
隣の客——青山ブルーマウンテンが声を上げる。
「青山さん!」
「モヤモヤしてしまう気持ち、わかります——。とても大切な人たちに囲まれているのですね」
「私は、どうしたらいいのかわからないんです——。こんな気持ち初めてで」
「初めて、ですか——。だったら、いいことなのかもしれません」
青山ブルーマウンテンの言葉に、チノが「いいこと?」と聞き返す。
「きっと、心が教えてくれているのだと思います。あなたは、あなたが思っている以上にその人のことが好きなんだって——」
そうチノに告げると、青山ブルーマウンテンは「すみません、差し出ましいことを——」と続けて、店を後にした。
どの組み合わせがお好きですか?
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ココア × 悠
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チノ × 悠
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リゼ × 悠
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振り回され隊 × 悠