「——暇ですね」
「ああ。この店本当に大丈夫なのか?」
チノと悠が誰もいない店内でボソッと呟く。
リゼは在庫の確認に、ココアは厨房でパンを焼いている。里恵は相変わらず家の掃除や洗濯を担当している。
チノと悠は、ラビットハウスのホールで待機。
「本当にやることないな〜……ティッピー、本当に経営大丈夫なのか?」
「お前もっと頑張って繁盛させい!」
悠が諦め半分でティッピーにそう聞くと、ティッピーはそう怒鳴る。
「はぁ……昨日は青山さんの言葉気にしすぎてよく眠れませんでした」
「あの人に何か吹き込まれたのか?」
「な、なんでもありません!」
チノが慌ててそう答える。もちろん、悠は昨日の一件を知らない。
青山ブルーマウンテンの言葉を悠に伝えることができない。
「あ、そうだ、棚の上にあるカップとお皿を点検しなくては」
チノが思い出したというようにそう呟く。
棚に手を伸ばすが、届かない。ジャンプしながら取ろうとするが——届かない。
「あと少し身長があれば届くんです!」
「少しどころか全然足りてないぞ。無理するな。どれだ?取ってやるよ」
「むぅ……あの左にあるものです!」
その時、チノがバランスを崩して棚にぶつかると、置いてあるものが一気に倒れる。
「チノ!危ない!」
悠がチノを抱きかかえて避けるが、割れ物の破片が刺さる。
チノが「はっ」と目を開けると、悠が上にかぶさって身代わりになっていた。
「お、おいチノ、大丈夫か?」
「は、はい、大丈夫です——ごめんなさい、私の不注意のせいで」
「気にするな。チノが怪我しなくてよかった」
「いえ、手の甲を切ってしまいました」
「いや怪我してるんかーい!!——ドラマなんかだと『あなたのおかげで怪我しませんでした』って惚れるところだろ!」
「ほ、惚れてません!早くどいてください!恥ずかしいです!」
割れ物が割れる鋭い音と、悠の叫び声でココアとリゼが駆けつける。
「チノちゃん!?悠くん!?どうしたの!!」
「なんだ、襲撃か!」
「いえ、棚の物が落ちてきただけです——ですが、私のせいで悠さんが……」
「大丈夫だ、気にするな。どっちかって言うとチノの綺麗な肌に傷がつくほうが心にくるぞ」
その後、リゼに担がれて部屋に移動させられた。
「まさか、お前におんぶしてもらう日が来るとは」
「ああ、私も驚きだ」
「男を軽々おんぶできるとか——お前結構たくましいな」
「訓練してるからな!負傷兵の運搬と応急手当は基本的なことだぞ」
「これが女子高生のセリフとは思えないな……」
部屋に運ばれた後、リゼは店の方に戻っていった。ココアと後片付けをしてくれるそうだ。
チノと2人きりになった。
「あの、1人でお洋服脱げますか」
チノが顔を覗き込んでくる。近い、近すぎる。
「俺は赤ちゃんじゃないからな!——でもちょっと腕を動かすと痛いな」
「し、仕方ありませんね……」
チノが少し恥ずかしそうにそう言うと、上着とワイシャツを脱がす。
「結構血が出てますね——ごめんなさい」
「だから気にするなって。血が出てるのは、古傷が開いたからだ!」
「ですが……。あの、お詫びになんでもしますから」
「え——?」
なんでも?なんでもってつまり「なんでも」ということか?
「な、なんですか——私にできることならします!」
「そ、それは色々期待しちゃうな——。あ、また俺と一緒に寝てくれよ」
「なっ……そ、それはお断りします!」
チノが思わず悠に包帯を投げつけた。
どの組み合わせがお好きですか?
-
ココア × 悠
-
チノ × 悠
-
リゼ × 悠
-
振り回され隊 × 悠