チノと電話した後、朝食を食べながらモカがふと言った。
「ねえ、ココアが一番最初になりたいものって知ってる?」
「え?なにそれ!きになる!」
モカの発言に悠が食いつくと、ココアは覚えていないという様子で「んー?」という。
モカは「魔法使い!」と答える。
「お姉ちゃん!うさぎさんになーれ!」
ココアがそういうと、モカは自分の立っていた場所に「モカ」と書かれた看板を持たせたうさぎのぬいぐるみを置き、物陰に隠れる。
するとココアは焦って「お姉ちゃん!?」と問いかけるが、返事はない。
そして泣きながら「戻って!戻ってー!」と魔法をかける様子を見て、モカは
「サプラーイズ!」
と物陰でつぶやいた。
モカと悠は面白おかしい話に目に涙を浮かべながらクスクスと笑いを抑える。
「あの時のココアを思い出すだけで——」
「想像したら笑いが止まらなく——」
そうモカと悠が言うと、ココアは頰を膨らませて
「2人とも、嫌い!」
と言った。
それから、店に戻った後もココアの機嫌は直らず。
「そう気を落とすなよ、ただの照れ隠しだろ」
そう言うが、悠の脳裏にはチノに「大嫌いです!」と言われたあの日の出来事が蘇る。
「——いや、その気持ちわかるぞモカさん!」
「あの目は本気だった——」
モカがそう言うと、ココアの母親は「そうかしら?」とココアの方を見る。
ココアの母親はいつもココアやモカがやっている「お姉ちゃんに任せなさい!」とポーズをとると、
「お母さんに任せなさい!——元気の出るご飯を作る?お風呂沸かしておく?それとも——」
とここまでは「いいお母さんだ——」と思える発言だが、この後とんでもないことをドヤ顔で言い出す。
「私が代わりに妹になる?」
「ちょっとそれは無理があるよ!」
モカがツッコミを入れる。
——とその時、店を大きな揺れが襲う。
「なんだ?地震か!?」
「始まる——!
「——は?」
悠が困惑した様子でいると、ココアの母親が「お客さんの足音よ」と補足してくれる。
「ココア、手紙にも書いたでしょう?ココアがいない間、ちょっとお客さんが増えたの」
「ちょっと増えたどころじゃないよね!?」
ココアがツッコミを入れる。——激しく同意だ。
「それでは——開店前にお母さんから一言!」
モカがそう言うと、母親はしばらく間を置いてから自分の手首を触る。
「さっき、手首を捻っちゃったの——病院行ってくるわ」
それだけ言って店を後にした。
「「「えーっ!!?」」」
店に虚しく残された3人は顔を青ざめる。
「こうなったら、私たち3人で乗り切るしかないね!」
モカがそう言うと、ココアは「うん!」と返事をする。もはや喧嘩している場合ではない。
「ラビットハウスで身につけた接客術を披露するチャンスだよ!ね、悠くん!」
「ああ、そうだな!」
「期待してるよ!!」
とは言ったものの、正直ココアと悠では全くさばき切れないほど店は混雑する。
ココアと悠はものすごいスピードで手を動かしながら悲鳴をあげる。
「あれ!?私の接客術はー!?」
「順番待ちのお客までいるぞ!」
モカが巧みにお客をさばいていく。店内にも店外にも列ができている。
モカはココアと悠の袋を取り上げると、
「もっと早く!袋詰めは3秒を目標に!」
「「フォローまで完璧!!」」
思わずココアと悠がハモる。
「ありがとうございましたー!」
モカがそう言うと、最後の客は店の扉を閉める。
「ふぅ……ようやくひと段落したね!」
「つ、疲れた……」
「ラビットハウス1ヶ月分くらい働いた気がする〜……」
悠とココアはそう言って倒れこむ。
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ココア × 悠
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チノ × 悠
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リゼ × 悠
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振り回され隊 × 悠