ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第八十八話 ホームシックなココア(後編)

ラビットハウスへの帰り道。悠が「ココア」と呼ぶとココアはこちらを向く。

 

 

「どうしたの?まだお姉ちゃんと遊びたいのかな?」

 

「いや、俺は大丈夫だが、ティッピーがもう瀕死だ」

 

「勘弁しておくれ……」

 

 

思わずティッピーがココアを目の前に喋ると、ココアは

 

 

「悠くんも腹話術が使えるの!?」

 

 

と変なところに驚く。いい加減中身がチノの祖父だということに気がつけよ。

 

 

「それよりココア——その、あんまり気を落とすなよ」

 

「——いきなりどうしたの?」

 

「たまには実家にいる時みたいに過ごしたらどうだ?」

 

「————?」

 

 

ココアが不思議そうな顔でこちらを見てくるが、ラビットハウスの外回りを掃除していたリゼもココアに言う。

 

 

「ココア——気遣ってやれなくてすまない。たまには実家にいる気持ちで——私を姉と思っていいんだぞ」

 

「2人とも今日はどうしたの!?」

 

 

なぜかココアを心配するリゼと悠に困惑の声を上げる。

 

 

ラビットハウスに帰ると、チノがテーブルにスコーンを置いていた。

 

添えられていた手紙には「実家のより美味しくないと思いますが」とチマメ隊からのメッセージが書かれいた。

 

どうやら、実家の味を再現してココア慰めようとしたらしい。しかしココアはいつもの調子で

 

 

「お姉ちゃんのよりはるかに美味しいに決まってるよ!」

 

 

と叫ぶ。

 

 

「モカさんの作るスコーンはそんなにまずいのか?」

 

「そうなの……パンは上手なのにスコーンの味がひどくて。いつもジャムで味をごまかしてたんだ〜」

 

「トラウマが蘇って落ち込んでたのか!?」

 

 

悠がそう言うと、ココアはカレンダーを取り出して

 

 

「今日を『妹がお姉ちゃんのために』記念日にしよう!」

 

 

と宣言すると、チノが「やめてください」と部屋に突入してくる。

 

 

そしてココアはチノが作ったスコーンを食べながら昔話を始める。

 

 

「前に一回、この街に来たことあるんだよ。小さい頃だったからよく覚えてないんだけど、すごい楽しかったの」

 

「前に一回来てたのか——」

 

「それで、ここの高校にしよう!って思って受験したんだよ〜」

 

 

ココアがそう言うが、チノと悠の視線はスコーンに釘付けだった。

 

なぜなら——

 

 

「ところでココアさん、ジャムかけすぎじゃないですか?」

 

「ま、まずくないよ!?」

 

 

ココアが慌ててそう言うと、チノは

 

 

「マヤさんのを先に食べたんですね」

 

 

と言う。——マヤ、いったい何を作り出したんだ。

 

 

 

 

 

と、結局ココアがホームシックになっていたわけではなく、安心する一同だった。

 

 

「モカさん、スコーン作りが苦手だったんですか——それでジャムを」

 

 

悠から話を聞いたチノは納得する。

 

 

「それと——どうしてティッピーがデコレーションされてるんですか!?」

 

 

チノがティッピーを指差して悠に聞く。ティッピーには大量のリボンがつけられており、心なしか毛並みも少し悪くなっているような気がする。

 

 

「あ、ああ……ココアとついはしゃいじゃって——連れ回してしまった」

 

「おじいちゃん——」

 

「やれやれ、2人には参ったのう」

 

 

チノが心配そうに見つめてくると、ティッピーが苦笑いする。

 

 

「もう——本当にしょうがないお2人です」

 

 

チノが呆れた様子でそう言った。

どの組み合わせがお好きですか?

  • ココア × 悠
  • チノ × 悠
  • リゼ × 悠
  • 振り回され隊 × 悠
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