「本当にいいのか?」
「悠くんいつも朝からバイトしてるでしょ?今日ぐらいはゆっくりしてきて!」
平日は午前中から午後にかけてずっとラビットハウスでバイトしているので、正直このココアの気遣いはうれしいのだが――。
「まあ、どうせお客さんも来てくれませんので」
「この店本当に大丈夫なのかよ」
チノも完全に諦めているようで、あっさりココアの案に賛成。
「でも今日はリゼもいないんだろ?」
「リゼちゃんの代わりは里恵ちゃんにやってもらうよ~」
リゼも今日は休みのようだ。
「すまん!部活の助っ人がキャンセルされて、今日は出られそう――ってあれ?」
と、結局全員揃ってしまったのだが、
「たまには二人で遊んできたら?」
「ココア……まさか私たちがいない間何をする気だ!」
「わ、私なにかされるんでしょうか……」
「何もしないよ!」
そして、今に至る。
「なんか、ハブられた気分だ」
「確かに」
店の外に追い出されたリゼと悠は、適当に街を散策する。
「考えてみれば、こうして悠と二人で出かけるのは初めてかも」
「ああ、そうだな」
今までココアと買い出しを忘れて遊んだり、チノと街の案内がてら文房具屋なんかで買い物したことはあったが、こうしてリゼと二人で出かけるというのは初めてだ。
「ん?あんなところに道なんてあったっけ」
ラビットハウスからかなり離れた場所まで来た。
当然、悠は初めての場所。リゼもあまり来たことがないのか、道があやふやになっていた。
「リゼってこの街出身、だよな」
「ああ、そうだけど、こんな道初めて通るかも」
人気がなく、家だけが並んでいる。
空には太陽に雲がかぶり、薄暗くなってきている。
「なんか、不気味だな。戻ろうぜ」
「なんかこういうところ、わくわくするな!」
「いい年して探検ごっこかよ……」
リゼは完全に探検モードだ。
こうなると止めるのはかなり難しい。
しばらく進んでいくと、家はまばらになり、道も荒くなってきた。
「おっ、あんなところに建物があるぞ!」
「かなり古いな」
古びた洋館が建っていた。――これは間違いなく「出る」
「行ってみるか」
心なしかいつもよりリゼが生き生きとしているような気がする。
そして、ポケットから二つ拳銃を取り出すと、片方を渡してきた。
「撃つときは、脇を締めて両手で狙えよ」
「なんで拳銃なんか持ち歩いてるんだよ!?」
古い洋館よりもリゼが物騒なものを持っていることの方が怖い。
洋館の中はほこりっぽいがかなり広く、家具も置いてある。
だが、ドアの鍵も開いていて、門には表札もない。
空き家なのは間違いないようだ。
ところどころ天井が崩れていたり、ドアが壊れていたり、ホラー要素は抜群だ。
リゼは若干ビビりながらも満喫している様子だった。
「かなり広い建物だな。夜になったら出そうだな」
「そ、そうだな……」
夕方になってきて、徐々に部屋が暗くなっていく。
リゼもさっきのような威勢はなくなっていた。
「なんだよ、ビビってんのか?」
「け、決してビビってなんかないぞ!大丈夫だ」
「そうか?じゃあ俺はあっちを探索してくるから、リゼは向こうの部屋を見てきてくれよ」
「えっ……頼むから一人にしないでくれえ!」
普段とは違ったリゼの一面がなかなか面白く、それからも何度かからかいながら洋館の中を探検していた。
気がつけば、とっくに日は沈み、携帯の明かりと銃についていたフラッシュライトを頼りにして歩いていると、そろそろリゼが限界を感じたのか、
「か、帰ろう!な?」
とかなり震えた声で提案してきた。
「ああ……」
リゼの携帯を覗くと、もう夜の七時になっていた。早く帰らないと晩ご飯に間に合わない。
「っていうか、壁紙結構かわいいのにしてるじゃん」
「見るなあああ!」
洋館は地下もあり、なかなか探検しがいがあった。
――もちろん、宝物なんかは置いてなかったが。
こうして、リゼと悠の探検ごっこは終了する……。
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ココア × 悠
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チノ × 悠
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リゼ × 悠
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振り回され隊 × 悠