ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第九十七話 ココアが開く試食会は不人気

あれからお泊まり会は終わり、ラビットハウスで午後からココアがパンの試食会を開く。

 

 

「じゃーん!新しい菓子パンできたよー!」

 

 

悠は「おー!」と歓声をあげるが、チノとリゼは何やら深刻な顔。

 

 

「今日はちょっと」

 

「私もパスです」

 

「えー!?なんでー!?いつもは試食してくれたのに……」

 

 

ココアがそういうと、チノもリゼも今日は食べたい気分じゃないと拒否する。

 

 

「私のパンにはもう飽きたのね!」

 

 

ココアがそう落ち込むが、悠は慌てて「待て待て!」と慰める。

 

 

「俺が試食してやる……!」

 

「ありがとー!さすがはベーカリー保登姉弟だね〜……」

 

 

ダイニングで2人寂しく新作を試食することに。

 

 

「2人とも、どうしちゃったんだろう……?」

 

「んー、なんでだろうな。今回もなかなか美味しいのに」

 

「きっと他のパンに浮気してるんだよ……」

 

「マンネリ化した彼女か!」

 

 

ココアの発言に思わず悠がツッコミを入れる。

 

 

「もしかしてダイエットしてるんじゃ」

 

 

ココアがそう言い出すと、悠が驚く。

 

 

「チノは太るの気にしてなさそうだけどな——リゼか!?」

 

「チノちゃんは——もしかして虫歯かな?」

 

「あり得るな、甘いものは歯に染みるし、歯医者が怖くて我慢してるんじゃ——」

 

 

悠がそう言うと、ココアが納得する。

 

 

「そうだよね……チノちゃん、我慢する子だもんね」

 

 

そしてココアは椅子から立ち上がり、厨房へ向かう。

 

しばらくしてココアがホールに出てきた。

 

 

「今度は甘くなくて低カロリーなパンだよ!美味しそうでしょ〜!」

 

 

そう言ってココアはみんなにパンを配る。悠以外は誰も口にしない。

 

 

「ほらほら、出来立てのパンだよ〜お腹空くでしょ?」

 

「さっきのよりは甘くないけど、これも美味しいな〜」

 

 

ココアと悠がそう煽ると、2人は険しい顔つきになって震え出す。

 

 

「2人とも正直になってよ!その顔やめてよー!!」

 

 

ココアが険しい顔してまで我慢するチノとリゼに叫ぶ。

 

 

「チノちゃん!口開けて!」

 

「な、なんですかいきなり——」

 

 

ついに強行手段に出たココアにチノが困惑する。

 

 

「虫歯検査だよ〜」

 

「み、見てもわかりませんよ……?」

 

 

少しビビるチノだが、そう言って口を大きく開ける。ココアがそれを覗き込んでから言った。

 

 

「チノちゃんの歯、ちょこんとしてて可愛い!」

 

「虫歯は!?」

 

 

的外れなココアの感想にチノがつっこむ。

 

そしてココアはケーキをチノに渡して、持ったまま口を開けてという。

 

チノは不思議そうな顔をするが、ココアの指示通りに動く。

 

 

「こうですか?」

 

「うん、そのままそのまま〜!」

 

「————」

 

 

しばらくするとチノのお腹が鳴る。

 

 

「こうすると虫歯がケーキの方に移るって聞いたよー!」

 

「ココアは迷信を簡単に信じるのか」

 

「いっそココアさんに移したいです」

 

 

悠とチノから冷たい声がココアに向けられる。その光景を横目でチラチラとリゼが見てきた。

 

 

「リゼ、ケーキ食べたくなってきたか?」

 

 

悠がそう聞くと、リゼはプイッと視線を逸らして「別に——」とごまかす。

 

そしてココアはチノに注意する。

 

 

「チノちゃん!歯医者にはちゃんと行かなきゃダメだよ!ティッピーみたいに歯がなくなっちゃうよ!」

 

 

——確かにティッピーはチノの祖父だが、歯はあるだろう。と思ったが、チノが

 

 

「ティッピーはお年寄りですが歯はまだあります」

 

 

と代わりにツッコミを入れる。

 

 

「リゼもだぞ、自分が十分痩せてることに気がつけよ」

 

 

悠がそういうと、リゼはきょとんとした顔をする。そしてまたココアが言う。

 

 

「ティッピーを見すぎて自分も太ってるって勘違いしちゃったの!?」

 

「——ティッピーは太ってません。毛がもふもふしてるだけです」

 

 

またチノがツッコミを入れる。このままでは埒が明かないと思い、シャロに電話すると、しばらくしてシャロがやってきた。

 

 

「先輩!これ、バイト中に作った低カロリーお菓子です!無茶なダイエットはやめてちゃんと食べてください!」

 

 

シャロがそう言ってお菓子の入った袋をリゼに渡すが、リゼがまた険しい顔になる。

 

 

「貧乳ぽっちゃりは帰りますー!!!」

 

 

シャロは恐怖のあまり泣きだして走り去ろうとするが、チノがそれを止める。

 

 

「待ってください!シャロさんは太ってないです!——私の方が……」

 

 

リゼも慌てて「わかったから!」と説得する。

 

 

「食べる!食べるぞ!だから泣くな!」

 

「リゼちゃん、男前〜!」

 

 

ココアがそう言ってケーキを差し出すと、リゼはそれを食べる。

 

 

——そして頰を抑えて地面に崩れ落ちた。

どの組み合わせがお好きですか?

  • ココア × 悠
  • チノ × 悠
  • リゼ × 悠
  • 振り回され隊 × 悠
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