その日の朝はまぁそれなりに気持ちいいと思ったけれど、思いのほかだるかった。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁそういえば水曜からテストだっけ」
とんでもスケジュールとかやめてください
「お前、何呻きながら登校してんだ?」
「あ、有咲だ。『おはよう!』」
いつも香澄がしてることをやってやった
「何してんだお前!重すぎるんだよ!」
「全く殴ることにしか力を発揮出来ないのかよ…」
渋々離れてやった
「にしてもお前、それ使えばとんでもない詐欺師になれるんじゃね」
「たしかにそれあるな。じゃあ有咲を見つけ次第香澄の声出して体当たりしてあげるね」
「それはマジでやめろ。私が死ぬ」
「それはもっと力をつけなきゃ。でさ有咲。聞きたいことがあるんだけど」
「ん?なんだ?」
「あの頃はさ、毎日こうやって一緒に登校してたよな。別の学校なのにさ。それにギリギリのところまで。どうしてだ?」
「え!?いやそれは…それはだな!お前が1人で登校してるのが気の毒だなと思っただけだ!」
「それ、有咲にそっくりそのまま返そうか?」
「めんどくせぇなお前。別にどうだっていいだろ?」
「うーん、俺的には良くないかな?」
そういって有咲の体を持ち上げてお姫様抱っこなるものをやってみた
「おいおいおいおい!登校中に何してんだバカ!」
「教えてくれないと降ろさないぞ?」
若干脅迫じみた口調で言ってやった
「絶対教えねぇ!早く降ろせ!」
「教えてくれないと降ろせないなぁ」
そういって足の下にある手をだんだんと上に動かしてやった
「お前、堂々とセクハラやってんぞ」
「それな」
結局すぐに降ろした。有咲はほんとに面白い。だって持ち上げたらすぐに顔真っ赤になったんだから
「(全く…もし私が、好きだって言ってらどうなるんだろう。あいつのことだからどうせそこまで気にしないだろうけどな。)」
「なんか言ったか?有咲」
「いや、なにも」
「そっか、何やかんや茶番やってたせいで遅れそうだから急ぐぞ」
「全く、誰のせいだと思ってんだよ…」
そうやってあいつは走り出した。そして私は聞こえない声で
「好きだよ、直人」
教室に入ると待ってましたと言わんばかりに人が集まってきた。もちろん昨日の話だ
「なんだなんだ、いきなり」
周りには人が大量。ついでに大量の質問。これ聖徳太子でも分からないんじゃないか?
とりあえず席に座って、香澄に話しかける
「なぁ、香澄。これはどういう状況?」
「どういうって、皆直人君についてもっと知りたいんだよ。だって昨日いきなり出てくるし、それで歌も上手いし、ギターも完璧だし!誰でも知りたくなるよ!」
「そういうもんかねぇ」
結局HRが始まるまでずっと質問攻めにあった
昼休み、まだ聞き足りないのかまだ寄ってくる人がいる。主に駿輝1人。正直めんどくさい
逃げるように校内を歩いていると
「あら、小原さん」
「こんにちは、白鷺先輩」
「なにかから逃げているようだけれど?」
「自分のクラスのやつが追ってくるんですよ。昨日のことについて聞きたいって。別に聞かれる分にはいいんですけど如何せんしつこくて」
「なら、こっちにくる?多分私といれば寄ってくることはないはずよ」
「ほんとですか。ですけど迷惑をかけるわけには」
「私も聞きたいことがあるし、何よりもっと聞きたい子もいるし」
「あぁ、大体察しがつきました。わかりました。よろしくお願いします」
「じゃあこっちに付いてきて」
付いていくと分かっていたけど丸山先輩と、イヴと松原先輩がいた
「ナオトさん!」
当然のように抱きついてきた。しかし知らなかったけどイヴはモデルをやっているそうでスタイルもやっぱりいいということでヤメロォ!(建前)ナイスゥ!(本音)
「直人くん、こんにちは」
「はい、昨日はお疲れ様です」
「そちらこそ。昨日はすごかったよ」
「その中で私たちが気になったことがあったのだけど、これから質問してもいいかしら?」
結局こっちでも質問されるのは知っていたがしつこくない分、周りが女子な分楽だった
「そろそろ時間ね、小原さん、今日は放課後は暇かしら?」
「はい、暇ですが」
「私がよく行ってる喫茶店があるのだけど、そこで続きを聞いてもいいかしら?」
「はい、構いませんよ」
「ありがとう、じゃあ皆で校門にいるか、いなかったら待っててくれるかしら?」
「わかりました。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
実際断って休もうと思ったけど縁は沢山持ってた方がいいよね。パイプライン大事よ
放課後、先輩についていくと駅前の喫茶店に入った
「ここよ」
『心屋』
「(あれ?これ俺も前通ったことあるような…だったら三紀がいるのかな)」
続いて入っていくと落ち着いた声がした
「いらっしゃいませ。千聖さん」
「ええ、昨日ぶりね」
「丸山さん、若宮さん、松原さんと…直人?」
「お!正解!覚えててくれたのか〜三紀〜」
「そりゃ平日の帰りにランドセル背負ったまま来たら誰でも覚えるよ。久しぶりだね直人」
「あら?2人とも知り合いなの?」
「うん!久しぶりだよ。たしかに千聖さんがいない時にしか直人は来てなかったです」
「当たり前だろ、毎日学校帰りに寄ってたんだから」
「そうそう、あの頃は直人ブラック飲んでたから少し羨ましかったなぁ」
「いまは、そこまで飲んでないけどな」
「そっか、まぁここにいてもなんだから好きなところ座って。花奈さん、この後少しキッチンお願いできる?ありがとうございます。あと、皆はコーヒーと紅茶どっち?」
伝えると奥の方の席に座りまた話し始めた。基本的には向こうでの生活についてだ。飲み物を運んできた三紀もそのまま話に参加した
そんな時、店のドアが開けられる
「おーい、三紀くん。いるかい?」
「あ、小原さん。お久しぶりです」
じいさんが入ってきたのだ
「じいさん」
「おお、直人もいたのか、すまないがコーヒーを頼めるかね」
「はい、少々お待ちください」
じいさんはこちらにやってきて
「席をご一緒してもいいかな?」
先輩たちにそう聞いていた、話に参加する気なのかよ
また話し始めるとじいさんも興味があるらしくちょくちょく聞いてくることもあった。やはり孫のことは気になるのか
一通り話終わったあと、じいさんが
「そういえば、昨日の見せてもらったぞ」
「あれ?来てたの?」
「いや、撮ってもらったんだ。こっちの皆も見せてもらったよ。それでだ、ここから本題なんだが…直人、お前にはバイトをしてもらいた…いやしてもらう」
「なんで本人の了承を取らずに入れてるんですかね」
「まぁいいじゃないか、それで場所なんだが…」
「CiRCLEでしょ?大体察しはつく」
「なら、話は早い。ほれ、今から行くぞ」
「だから突発的すぎるんだよ…」
「お代は俺が払うから、じゃあ皆ありがとう」
「あの!私たちもついて行っても良いですか!」
「君は…若宮くんだね、いいのかい?」
「はい!」
「よし、なら車に乗りな」
結局三紀を含めた全員が付いてくることになった
「お、来たきた。待ってたよ直人くん」
「まぁ話は聞いてます」
「ならOK、基本的な業務はスタジオの清掃、機器の整備、受付かな。シフトは…どうしよっか」
「どうしましょう」
「まぁ元々私1人でもやれてたから休みたい時は言ってくれたら休ませるよ」
「そうですか」
「じゃあこっちが決めたシフトでも大丈夫?」
「はい、大丈夫かと」
「じゃあ、とりあえずこの先一ヶ月分のシフトね、全部夕方から夜だから、ご飯は持ってこなくていいと思うよ」
「はい、ありがとうございます」
「ねぇじいさん」
「なんだ」
「ただ自分の支持基盤多くしたいだけじゃないの?」
「さて、どうだかな。だがいい縁は持ってなんぼだ」
「だからって孫を使うかよ」
やや不満もあるが新しいこともやってみなければという気持ちでいた
三条 三紀(みのり)
心屋の次期オーナー。元々は祖父がやって三紀は手伝いだったが入院中のため学校終わりからずっと働いている。港高校の1年
千聖はここの常連、直人も毎日来ていたが基本昼間だったため千聖とは会わなかった。父親、母親はベンチャー企業の社長と専務。料理の腕はここら辺ではダントツでお菓子も作れる
はいまたオリキャラ出しました。実はいまこっちの三紀の方のストーリーを書こうとも思ってます