再度、この地で   作:四角いねこ

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割と難産でしたが割と山を越えた気でいます。あと、お気に入り50件ありがとうございます!俄然やる気が出ました!これからもよろしくお願いします





二つの疼き

「ただいま」

 

答えは出なかった。別に有咲のことが嫌いというわけではない。ただ、ただ友達としての好きを歩んできた。俺は有咲との関係を壊したくない。だから壊さないためにそれを受け入れる。それじゃあ受け身でしかない。そんな自問自答を繰り返していた

 

「おかえり、ナオト。Reis とSchnitzel あっためるわね」

パトリシアがエプロンを付けてKitchen に立っている。それだけで本当に絵になる。多分写真集とか出したらすごいことになりそうだなぁ。

 

「それで、なんだか浮かない顔してるけど何かあった?」

女の勘というやつだろうか。ここら辺は本当に強いのがパトリシアである。勘ぐられたくない問題だから。特に何も、軍曹のおもちゃのこと考えてた。と素っ気なく返した

 

「ふーん、それでそれはアリサのこと?」

 

絶対に体には出さなかったが体の中が硬直したのがわかった。でも声色で完全な当てずっぽうで今の発言をしたんだ。パトリシアはどうして的確にアリサをだしたんだ?

 

「ふふっ、どうやら当たったみたいね。適当に言ってみたんだけれど。それでどうしたの?」

これが幼なじみ。嫌という程実感させられる

 

「ちょっと有咲との間でいざこざがあっただけだ。そのうち直る」

 

「そうなのね。わかったわ。それじゃあ食べましょうか」

その後はテレビを付けてところどころ笑いながらご飯を食べた。あぁ、ずっとこうならいいのに……

 

 

 

『もしもし、アリサ?ごめんなさい。こんな遅くに電話してしまって』

 

『…っあ、いや、別に大丈夫だぞ。それで何の用だ?』

 

『それじゃあ単刀直入に聞くわね。今日ナオトと何があったの?いや、何をしたの?』

 

『い、いや別に特に大事でもないぞ。気にすることじゃ…』

 

『わたしをなめないでちょうだい。その程度の嘘見抜けないと思って?はっきり言ってもらえれば直人との関係をさらによくできるわよ?』

 

『なあ、1つ質問してもいいか』

 

『ええ、なにかしら』

 

『お前は直人のなんなんだ。どうしてそこまで直人に執着する』

 

『……今は答えられないわ。いつかわかる日が来るわ。わたし…いえ皆が直人のことをどうして大事にする理由がね……さて、質問には答えたわ。本題に戻りましょう』

 

『ほんとに言わなきゃダメか?これ。すっごい恥ずかしいんだけど…周りに誰もいないよな?』

 

『ええ、わたしの部屋だもの。そこは保証するわ。外にも誰もいないみたい。確認したわ』

 

『じ、じゃあ言うぞ。わ、笑うなよ?』

 

『…すぅー…』

 

『な、直人と…き、キスした…』

 

『え……ガタッ』

思わず手から携帯を落としてしまった。そりゃそんなこと言われたらどうしようもないでしょう?

 

『ごめんなさい、落としてしまって。それでその後は?』

 

『あくまで冷静なんだなお前……私が逃げちまってその後は何も…』

 

『あらあら、アリサも直人もチキンなのね。それで、あなたはどうしたいの?そのキスを取り消したいの?』

 

『そんなことはない!あれは私の嘘偽りのない気持ちだ!』

 

『うーん、これはどう足掻いても最終的に直人が決める問題ね。すまないけれどわたしも確約は出来ないわ。だけどある程度誘導まではできるわ』

 

『……いや、それはいらない』

 

『あら?どういう風の吹き回しかしら?』

 

『元々、お前がいなけりゃ私がやらなきゃならねーことだったんだ。だからいらないって言ったんだ』

 

『うふふ、そう来なくっちゃね。わかったわ。あとはアリサに任せるわ。ナオトのことよろしくね』

 

『なぁ、あともう1つ質問いいか?』

 

『ええ、もちろんよ』

 

『お前、なんで私に直人のこと任せてんだ?』

 

『うーん……女の勘?』

 

『なんだそれ』

 

『人間の行動なんてそんなものでしょ。決して論理的とは言えない行動をしたアリサならわかるでしょう?』

 

 

 

 

 

朝起きる。隣には丸くなった軍曹がいる。時は晩秋。冬の訪れがひしひしと感じられる朝だ。布団に入ったまま撫でてやる。腕にしがみついた。やだ最高。もうこのまま一緒に休んでたいわ……

 

 

朝は憂鬱だ。といっても俺は普段からそんな感じではない。朝は好きな方だ。だが今は別だ。これから会うかもしれないとなると少し気が沈んでしまう。別に嫌いという訳では無い。言ってしまえば好きな方で周りから見れば勝ち組といったところだろう。しかしなにかがそれを止めていて何故か付き合おうとする気が起きない。それについて隠しながらパトリシアに聞こうと思ったんだが今日は早く出るという。なにか日直でもあるのだろうか。よくわからない。思い悩みながら歩いているとふとした匂いに釣られるもので、いつの間にかやまぶきベーカリーにたどり着いた

 

 

「あ、お、おはよう。直人」

 

「おはよう沙綾。少し慌ててるみたいだけど今買っても大丈夫かな」

 

「う、うん。あ、でも少し早い方が嬉しいかな。私も学校行かなきゃだし」

 

「おう、じゃあこれで」

メロンパンをさっと1つ選んで持っていった

 

 

「待たせてごめんね。それじゃあ行こっか」

購入した際、沙綾がすぐに出るから一緒に行こうと言ったので待っていた

 

「なんか浮かない顔してるけど何かあった?」

 

「なんか…ね。詳しくは言えないけどあったよ。そのせいでこのザマさ」

 

「根掘り葉掘り聞かないけど心配させないでよ?」

 

「まぁいつかは治るさ。気長に待ってくれや」

 

「その時はうちのパンたくさん買ってよね」

 

「おいおい、プレゼントじゃないのかよ。ケチだなー」

 

「うちだって商売だからねー。そこら辺は譲れないよ」

 

「知ってるよ。在庫なくしてやんよ」

 

「あはは、なにその口調。似合ってないよ」

 

「めんどくさそうな口調が1番あってるか?」

 

「そうかもね。やっぱりどこかめんどくさそーにしてる直人が1番あってるよ」

 

「どうも。沙綾もパン屋似合ってるよ」

 

「それ褒め言葉?」

さぁ?どうだろうか。でも今はパン屋じゃない沙綾とか想像出来ないな

 

 

 

 

 

 

今日は正直誰にも会いたくはなかった。買ってあったメロンパンを持ってあの昼寝とゆり先輩に出会ったあのスペースに向かった。体育座りをしながら袋を開けて俯いて小さくメロンパンを食べた。いや、決して陽キャとも言わないが別にド陰キャってわけじゃない。ただそういう気分なだけだ

 

かなり長い時間をかけてたった一つのメロンパンを食べていた

 

「モキュモキュモキュモキュ」

 

『なにしけた顔してるんじゃ』

誰もいないと思っていたのに…驚いて顔を上げると悪魔のような姿をしたぬいぐるみが揺れていた

 

「デベコ、触ってもいいぞ!」

なるほどこいつはデベコというらしい

デベコとやらを受け取った。なるほど触り心地はかなりいい。まぁ軍曹には及ばないがな。それでも軍曹にはない柔らかさがある。あぁいいなこれ。

 

「それで、君は何に悩んでるの?あ、ごめんね。私の名前は鵜沢リィ。君は?」

 

「小原 直人です。最近転入したばかりです」

 

「あー!あのリレーのアンカー!いやぁあれはすごかったよ」

 

「楽しんでもらえたなら嬉しいです。それで何か用ですか?」

 

「そうそう、なにかに悩んでるの?『相談に乗るぞ』」

デベコを顔の前に持っていき、声を変えて話してきた

 

「悩み…ですか。悩みといえば悩みでしょうね。聞いていただけますか?」

 

『もちろん。ほれ、言ってみるんじゃ』

 

「実は今、告白みたいなのを受けたんです。プライバシー的なもので名前までは言えませんけど」

 

「あれ、結構深刻な問題だね」

 

「はい、深刻な問題です。それで……」

 

キーンコーンカーンコーン

 

「あ、もう時間ですか。すみません、最後まで言えなくて」

 

「それじゃあまた明日の昼休み、ここでね『絶対に来るんじゃ』」

 

「まじですか…」

 

「先輩に時間とってもらってるんだから当たり前だよね?」

 

「お、おっしゃる通りでございます」

 

「よろしい。それじゃまた明日ね」

 

 

 

 

 

5、6時間目今日は木曜日。クラスメイトから地獄と呼ばれる時間。めっちゃ眠くなる古典と現代社会。しかも古典の先生がすごいゆっくり話すから余計眠くなる。いつの間にか教室の八割は無事死亡。俺は最近悩みが重なって夜しか寝られないからおっけいです

 

 

 

今日はバイトがあるというのに日直。しかも余計な仕事を担任に増やされました。絶許。割とイライラしながら仕事をしていると教室のドアから誰か覗いている気がした

 

「そこにいないで入ったらどうですか?今は誰もいませんよ」

少し外の影が反応した。その後ドアのへこみに手をかけてガラガラとあける音がしたので顔を上げると……

 

「よ、よう」

 

「……有咲」

なんでだろう。うまく言葉が出せない。心臓が痛い。顔を向けられない…この感情はなに?

いつも香澄が座っている席に着く

 

「…ごめん、直人。昨日は。いきなり…その…やっちまって。自分勝手でお前の気持ちも考えないで、ほんとごめん…」

 

「な、なんで有咲が謝ってるの?べ、別に有咲は自分の…したいことをしただけだしさ…それに答えてない俺の方が、悪いよ」

 

「直人は悪くないよ。絶対に。私がお前に徹底してないだけだったから」

 

「て、徹底?な、なにそれ…」

 

「後でちゃんと言うからまってな。…すぅ…」

有咲は自分の胸を押さえてなにか落ち着こうとした

 

 

 

 

 

 

「小原 直人。私、市ヶ谷 有咲は直人のことがずっとずっと好きでした!!あの小学生の時からずっと!だから私と…付き合ってください!!」

 

 

 

有咲が耳を真っ赤にさせて手を差し出しながらお辞儀をしている。

 

正直今すぐその手を取りたい。だけどどうして?…どんどん胸が苦しくなるの?息が苦しくなるの?口が渇く。どうしようもなくて泣いてしまった

 

「な、直人…?どうして泣いてるんだ…?ごめん!やっぱり私が」

 

「そんなわけない!有咲は絶対悪くない!その気持ちは本当に嬉しいよ…だけど…わからない。なんて言えばいいかわからないくらいわからないんだとにかく…………だからさ有咲、こんな不甲斐ない男じゃなくてさ……「ふざけんな!」」

いつの間にか有咲に手を伸ばされ胸ぐらを掴まれた

 

「なんでお前の勝手な都合で変えなきゃいけないんだよ!いいか!それではいわかりました。なんて言うわけないだろ!私がそんな気持ちでいると思ったら大間違いだぞ!!私にはお前しかいないんだよ!そのくらい学年2位ならわかれよ!わからないならまたわからせてやる!!」

今度は正面から勢いよくキスされた。こんなことされて冷静で居られると思うか?心臓なんて有咲に聞こえそうなくらい強く脈打っていた

 

「…ぷはぁ…はぁ…はぁ…」

もう有咲は正気なんてないみたいだ。目は虚ろになっている。

 

やばい、気持ち的にもそうなんだがバイトの時間がやばい。有咲には本当に申し訳ないのだが

 

「あ、有咲。さすがにもうすぐ下校時刻だから。俺は担任に渡してくるからじゃあね。それに今日はバイトあるから一緒に帰れないんだ。……ほんとごめん…それじゃ…」

あぁ…なんと情けないことか……告白を受けたのに何も答えずに帰るとか…あーあ、明日からどうすればいいんだろ…

 

 

 

「な、直人…」

 

行ってしまった…私も早く帰らないと怒られる。

 

「はぁ…」

自然とため息がこぼれる。あれってフラれたのかな…私、どうすればいいんだろ。今は何も考えたくない。体に力が入らねぇ……

 

 

 

 

 

 

「………」

これじゃぁじいさんに怒られちまうなぁ…男らしくない!なんて言われて多分有咲の所に行ってこい!って言われるだろうなぁ…

 

「小原さん?すみません、小原さん?」

 

「あ、ああ紗夜先輩。なんでしょうか」

 

「なんでしょうかではないでしょう。Roseliaはこの時間に予約してあるんですが」

 

「すみません…こちらが鍵ですね」

 

「紗夜〜そこまで強く言わなくてもいいでしょ〜?はい、クッキーね。今日はチョコクッキーだよ☆」

 

「あ、ありがとうございます。あ、そういえばすみません直接言ってなかったんですけどあの時のすごく美味しかったです!」

 

「ありがとう!よろこんでくれて嬉しいよ」

 

「?今井さん?」

 

「はいはい紗夜には関係ないから安心して。それで何か気が入ってないみたいだけど…」

 

「……それは答えられません」

 

「まぁ無理には聞かないから大丈夫大丈夫。紗夜が心配しちゃうからなんとかしてよ?」

 

「べ別に私は小原さんとの練習に影響が出ないようにと」

 

「なーに紗夜〜今の話なに〜」

 

「はっ!いえ今井さんには関係ありません。ほら行きますよ」

 

「ええ気になるから話してよ〜じゃあよろしくね〜☆直人〜」

 

 

 

 

 

その後、Roseliaは時間を終え、帰って行った。バイトも終え、エプロンを片付けていると何か嫌な雰囲気が漂ってきた




皆!荒野のコトブキ飛行隊見ような!最高だぜ!
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