朝6時ごろ、街中を歩いていた。途中やまぶきベーカリーの前を通ると、まだ開店自体はしていないものの建物の中から何かが動く音と、人の気配を感じることができた。おそらく山吹さんも手伝っているのだろう。それに比べて自分は…いや、やめておこう。俺はこの生活が好きだから、他人と比べる気もない。
少し歩くと目的の場所に着いた。
「流星堂」
質屋であるが故、珍しいものもたくさん置いてあってあの頃の自分からしてみれば宝探しに近いものがあった。まだ空いてる時間では無いはずなのだが中から物音がしてくる。なので扉に手をかけてみる。ノブを回そうとすると、抵抗なく回転した。恐る恐る中に入っていくと見知った人に出会った。
「…こんにちは…」
「ん?誰だい?」
驚いたようにこちらを振り向いた。
「ん?ん~誰だったかしら」
「小原 直人と言います。3.4年前ぐらいにこの店に通っていたと記憶しています。」
「あぁ!直人君ね。あの頃は有咲がお世話になったわね。」
有咲 それが彼女の名前だった。名字を付けた本名は市ヶ谷 有咲。花園たえと並びあの2年間の間で特に仲の良かった子だ。
「行ってきたら?有咲の部屋に」
「?部屋ってどこにあるんですか?」
有咲と遊んだりはしたが部屋には行ったことがない。
「蔵の地下にあるのよ」
知らなかった。
「覚えてるかな俺のこと」
「どうだろうね」
蔵の地下に進むと物音がする部屋があった。
(覚えてるのかな…)
あの時は、どんな所なんだろうと思っていた。あの日は珍しく昼間に散歩していた。そんな中で一際目を引いたこの流星堂で彼女に出会った。
開店はしていたので堂々と入った。すると
「いらっしゃいませ…」
ずいぶんか細い声だった。
「ど、どうも」
可愛らしいとは思ったが、目的はこの山だ。こんなガラクタのような宝のような商品の数々、少し乱暴だと思ったが奥へ奥へと、調べていった。そんな時
「そんなにガサガサやって何が楽しいの?」
「知らないものを探すことかな」
「ふーん」
「君はなにか楽しくないみたいだけど」
「そんなことは…」
気がついた時には彼女の手を取って外に出ていた。今思えば自分らしからぬ行動だった。
「お、おい!どこに連れていくんだ!誘拐だぞ!」
「いいから着いてこい」
向かった先は…街だ。特定の場所じゃない。小学生ながらショッピングモールとか、ゲームセンターとかいろいろ回った。俺はこの子に外の世界の楽しさを知ってもらいたかった。相手のことなんて考えずにやっていた。
怒られたり、殴られたりしなかったのは彼女なりに楽しかったからだろう。
「なぁ」
「ん?」
「名前、教えてくれるか?」
ぽかんとしていたせいか、少し声を大きくしてまた言ってきた。
「いや、聞こえてるから大丈夫」
「だったら答えろよ!」
少しだけ彼女の顔は赤みがかっていた。
「分かったから、そう怒鳴るな」
「誰がそうさせたと思ってんだ。」
「まぁまぁ落ち着いてっと…」
一度咳払いしてから。
「俺は、小原 直人」
「私は、市ヶ谷 有咲」
そこから有咲と、仲良くなっていった。
夏休みの後でも、途中まで通学路が一緒だったのもある。いや、後々調べてみたがわざわざ有咲が道を変えていたようだった。その時は涙ぐんでしまった。彼女、市ヶ谷 有咲と一緒だった日々は、花園 たえ と並ぶ思い出を持っている。
今更思い出したが、有咲の部屋に入ったことがあった。その時は有咲が中学の受験勉強の時だった。
その時はただ俺に対して愚痴ばかり吐いていたが、久しぶりに話せただけで楽しかった。
扉の前でいつまでもとどまっていたって仕方がない。意を決して扉をノックする。
「ばぁちゃんか?入っていいよ」
少し裏切るような感じがしたが、入っていいらしい。扉を開けて中へ入っていった。
2000字を超えるものを書けなくて困っちゃう
後、新しいイベント欲しくない?