最終回直後に書いた
『こんな最終回が見たかった!』
です(笑)
キャラの[声][仕草]
モビルスーツの[姿][動き]
を想像しながら読んでいただけると助かります。
キャラやモビルスーツを文字で表現するよりも、読んで頂いている方の思いで再現(再生)していただいた方が、より活き活きすると思います。
私の表現力が、本編に全く及ばない作品ですが、よろしければ。
バエルとキマリスヴィダールの戦いを表現するに相応しいのは…
『熾烈(しれつ)』
なのか?
『苛烈(かれつ)』
なのか?
それは、二人にとってどうでもよいことだった…
ぶつかり合うのは、二機のモビルスーツではなく…
マクギリスとガエリオの二人の感情!
マクギリスの『欲望』が勝つのか?
はたまた…、
ガエリオの『復讐』が勝つのか?
一振りされる度に、思い知る二人…
それは剣の重み、思いの重み…
互角と見えていた戦い。
しかし、ほんの僅か…
例えるなら…
百年寝かせた最高級のワインを
『今日飲むか?』
『明日飲むか?』
ほどの違い。
だが、積み重なると小さな綻(ほころ)びとなる。
キマリスヴィダールがバエルを押し始める。
少しずつ、ほんの少しずつ…
だが、確実に!
「マクギリス! 貴様だけは!」
「ガエリオ。まだ、私は倒されるわけにはいかないのだ。理想を現実化するまでは。」
「まだ、そんな夢を見ているのか! 貴様の理想は、もはや潰(つい)えている。」
「ほう。ならばガエリオ、その手で幕引きをしてくれるのか?」
「この手は、私だけのものではない! アイン…そしてカルタの手だ!」
キマリスヴィダールの繰り出すランスが、バエルを捉(とら)える。
その一撃を、バエルは剣で受けた。
瞬間、砕けるバエルの剣。
マクギリスは、白い場所にいた。
思い出す、ガエリオと命のやり取りをしていた事を…
「ここは? 私は死んだのか?」
「『力を望む者』よ。」
声が響く。
「誰だ?」
「私は『バエル』。」
「『バエル』だと?」
「そうだ。私はバエルだ。ここは、バエルの中。阿頼耶識システムにより、お前は私の中へ来た。」
「なるほど。モビルスーツからデータを取り込むことができるなら、逆もしかりということか。」
「そうだ。」
「そんな夢物語を誰が信じるというのだ。」
「現にお前は、ここにいるではないか?」
「これが、私の夢でないと言い切れるのか?」
「ならば、私がお前に『力』を与えよう。」
「何? 力だと。バエルは力の象徴ではあったが、力では無かったぞ。」
「そうだ。『力を望む者』よ。お前は、『力』を手にしたのではない。『力』を手にする『鍵』を手にしたのだ。」
「『鍵』だと。バエルは鍵だというのか?」
「そうだ。鍵だ。望め…『力』を望め。さすれば鍵は扉を開く。」
「良かろう。開かれる扉の先に、私の望む『力』があると言うのなら!」
ガエリオは確信していた、この一撃はバエルを捉えたと!
しかし、そこにバエルは居なかった。
「何が起きた!?」
ガエリオが見たのは、少し離れた場所に両腕をだらりと下げ、うつ向いき力無く浮かんでいるバエル。
「よくかわした。だが、次は外さん!」
操縦桿を握る手に力が入る。
瞬間キマリスヴィダールのブースターが光の帯を放ち加速する。
うつ向いていた頭(こうべ)をゆっくりと上げるバエル。
見えたのは、炎の様に燃える赤い目。
恐怖が甦る。
あの時モビルアーマーと戦った、あのモビルスーツの目を!
「目が赤くなったからといって、なんだと言うんだ!」
光の帯を放つキマリスヴィダールは、バエルへと迫る!
繰り出したランスは、虚しく空を突く…
(避けられた?)
実際は、バエルは身を微かに捩(よじ)っただけだった。
そうして交錯した刹那に、キマリスヴィダールを斬り付けた。
何度も。
深刻なダメージを告げるアラートが、コックピット中に響く。
「ほう。まだ、動けるの?」
それは、昔から知っているからこそ感じる。
「お前は、誰だ!」
バエルに向かい言い放つガエリオ。
「私は、バエル。初代パイロットの『アグニカ・カイエル』の意思を宿すものだ。」
「アグニカ・カイエルだと? マクギリスはどうしたぁ!」
強い口調になっていた。
「『力を望む者』の事か? 彼なら私と一体となった。」
「何だと!?」
「バエルを起動させると言うことは、こういう事だ。」
「そんな…。」
マクギリス…否、アグニカ・カイエルは目を瞑り、何かを思い出しているように見える。
「この男の記憶だと…。あれから三百年。人類は今だ争っているのか。やはり…。」
「私は、マクギリスに用がある。貴様は引っ込んでいろ!」
「私とその名の者はひとつとなり『力』となった。」
「貴様ぁぁぁぁぁ!」
ガエリオの怒りがキマリスヴィダールに乗り移ったかの如くバエルへ襲いかかる!
「愚かな。」
ガエリオの怒り!
だが、キマリスヴィダールのランスは、バエルには届く事はなかった。
バエルの剣がキマリスヴィダールの胸に深く刺さり、切っ先は背中へと抜けていた。
「マ、マクギリス…。お前…。」
ガエリオの言葉は最後までは聞き取れなかった。
「やはり、あの計画を実行せねばならぬか。」
バエルが剣を頭上に掲げ叫ぶ。
「私はアグニカ・カイエルの意思を宿すもの。全てのギャラルホルンは、我の意思に従え!」
エイハブ・ウェーブの影響下でノイズ混じりの言葉。
しかし、はっきりと聞き取れた。
その言葉に動揺し、混乱するギャラルホルン。
「エリオン公。」
艦橋も混乱していた。
「狼狽えるな! あれはアグニカ・カイエルの名を語る逆賊に過ぎぬ!」
右腕を振り征するラスタル・エリオン。
「討て! 奴を討て!」
その場にいた全てのギャラルホルンが、バエルへと襲いかかる。
「このアグニカ・カイエル…。否、ギャラルホルンに歯向かうか、ギャラルホルンよ。」
圧倒的な物量を圧倒する『力』。
バエルの目に止まったのは…。
「ダインスレイブ。こんなものがまだ使われていたのか…。」
破壊したモビルスーツから奪い構える。
「使う者は、使われる事を知るがよい。」
放たれた一撃は、ラスタル・エリオンを艦橋ごと撃ち抜く。
それを合図にしたように、沈黙するギャラルホルン。
「後は、あの星か。」
包囲された鉄華団と、包囲したギャラルホルン。
二つは、ぶつかり争う。
そこに、宇宙(そら)より降臨する白き翼のモビルスーツ。その名は、バエル。
「ギャラルホルンよ、我に従え。」
「何を言う、マクギリス! 貴様に従えとは!」
「もう一度言う。ギャラルホルンよ、我に従え。」
「貴様ぁぁぁぁぁ!」
飛び出すイオクの機体。
「愚かな。」
打ち下ろされる一撃に沈黙するイオク。
バエルは向きを変える。
そこにいたのはバルバトス。
「君達は鉄華団だな。この男の仲間…。」
「何?」
手を止めたミカヅキ。
「君達こそ、私の計画に必要であり相応しい。」
「何言ってんだ? こいつは?」
鉄華団も混乱する。
「この男の記憶にあった。鉄華団…。阿頼耶識の子供達よ。」
「あんた、チョコの人じゃないよね。」
「この男はマクギリスと呼ばれていたが、今はもう居ない。」
「何しようって言うの?」
「このアグニカ・カイエルの理想の世界を築くのだ。」
「そのアグニ…、何とかさんの理想って何?」
「人々か争う事のない世界。それを実現する。」
「へー。そんな事できるんだ。」
「できる。私と君達なら。」
「買い被り過ぎじゃない?」
「買い被ってなどいない。君達にその力がある。」
「力って何?」
「よかろう。教えよう。君達が使っている阿頼耶識。それはモビルスーツとパイロットを繋ぐシステムだと思っているのだろう。」
「だが、それは本来の目的から産まれた副産物なのだ。」
「阿頼耶識の本来の目的。それは外部からの人間のコントロール。阿頼耶識による人類の管理。」
「それこそが争いのない世界を創るのだ。」
「故に、阿頼耶識を使う君達こそ私と共に世界を創るに相応しい。」
「よく解んないけど…。それって、何か違うよね。俺達が辿り着く場所と。」「それに…。」
「それに、何かね。」
「バルバトスが、あんたは敵だって。」
「敵か…ならば、どうするかね?」
「って言っても、できる事ってこれだけなんだけどね…。」
バルバトスが手にしたソードメイスを構える。
「では、お相手いたそう。」
バエルは、正眼に剣を構える。
構えた二機のモビルスーツは、天使と悪魔の姿…。
共通しているのは、燃える赤い目。
「行くよ。」
バルバトスがソードメイスを振り上げ、バエルへと踏み込む。
「来たまえ。」
バエルもバルバトスへと踏み込む!
剣の打ち合いは、人の目には止まらない速さ。
その中でバエルの剣は確実にバルバトスにダメージを与えていた。
「バルバトス。全部渡す。だから奴に勝て。」
バルバトスの燃える赤い目は、全身を駆け巡る。
装甲の隙間から漏れる目と同じ赤い炎。
「その力で、バエルと同じステージに立つか!」
お互いに残されたのは最後の一撃。
「このバエルをここまで追い込むとは…。誉めよう等と上からは言えぬな。」
「互いに、次が最後!」
ミカヅキが見ていたのは…。
家族…。そう、鉄華団という家族…。
「終わったら、水やりしないとな…。」
同時に、操縦桿に力を込める。
最後の一撃は互いの胴を貫き、赤い目が消えた。
「アグニカ・カイエルを止めてくれたか…。また、世話になったな。」
「チョコの人?」
「ああ。私で無いものに、理想を叶えられては敵わんからな。」
「別にいいよ。バルバトスの敵を倒しただけだから…。」
「そうか、ではまたチョコでお礼をしよう…。」
「じゃあ、みんなの分も良いかな?」
「食べきれない程用意させよう。」
「…。水やらなきゃ…。」
モビルスーツが完全に動きを止めるのと同時に…
パイロットも…。