あの逆さまに生えてきたきのこ……でもなく。
逆さまに生えてきたゆかりんの日……だったけ?
もういいや。
私とメリーの仲を裂こうする悪しきゆかりんの日にしておこう。
事はいきなり空間が裂けたことから始まった。……のかもしれないし、そこから人?が逆さまに生えてきた事から始まったのかもしれない。ただ言えることはわけが分からないということ。
「め、めめめめめめりー? な、なんか生えてきたんだけど!?」
「落ち着いて蓮子。あれはただのゆかりんよ」
「は? ゆかりん? いったい何を言ってーー」
「はぁーい! ゆかりんよ!」
目の前。いきなり空間が裂けたかと思ったら、メリーに似た人? が逆さまに出てきた。しかも上半身だけ。というのが数秒前の出来事で……。
「あ、ゆかりん。お久しぶり~」
メリーとゆかりん? さんは仲良く手を振っている。どうみてもマブダチ的なアレだけど、いやいやちょっと待って、私何も知らないんだけど?
「今日はどうしたの~?」
「えっとね、何となく顔でも見ようと思っただけ~」
「あ、そうなんだ~。いつもは人目につかない、それも私一人の時にしか出てこないのに、珍しい~」
……そうなの? 私そんなの知らなかったんだけど。
知らないのはショックだったけど、出来ればそのまま知らないままでいたかった。
「いや違うのよ。それが、何となく思いつきで来たせいで、よく確認せずにきちゃったのよ」
「あちゃ~」
きちゃったのよ、でもなく、あちゃ~。でもない! なんか凄い頭良さそうな感じなのに。ていうかこの人メリーにめちゃくちゃ似てない!? ……悪い人ってわけじゃないのかも。っていやいや、ダメダメ。ちゃんと確かめなきゃ。
「あ、せっかくだから、蓮子にも紹介するね」
そりゃこのままだと、私だけ置いてけぼりだし。このゆかりんなる者がメリーの何なのかは知らないけど、ちゃんと見極めないと。いや、何を見極めるのかって話でもあるんだけど、いやそんなのはどうでもよくて……。
「私はやくも……いや、ゆかりんよ。怪しいものじゃないわ。よろしくね」
何で言い直した!?
ていうか怪しいものでしかないじゃない!
どうやってこれとよろしくしろっての!?
「……えっと、ゆかりんさん?」
「いやね、ゆかりんでいいわよ。まさかゆかりんが本名だと思ったわけじゃないでしょ?」
まあね!!!
「……じゃあ、ゆかりん」
「何かしら?」
「あなたはメリーとはどういった関係で?」
「あぁ、それは……」
「あ、だめ!」
「がぼっ」
メリーがゆかりんさんの口を急いで塞いだ。
「……え?」
さすがに怪しい。
「いや、何でもないのよ! 気にしないで! 気にしないでったら気にしないで!!」
いや気にしないわけないでしょ。というか人ってここまで怪しくなれるものなの?
ていうか何でメリー、頬が赤いの。
「だから、その……、違うの、ゆかりんとは何でもないの! 信じて蓮子!」
いや、あんたの反応で急転直下で信じることが難しくなってるんだけど。
「あら、いいじゃない。言ってやりなさいよ。何も恥かしいこと必要なんてないわメリー」
なんか安っぽいドラマに出てきそうな三下の悪役みたいなこと言ってる。
「で、でも……」
「じゃあ私から言ってあげるわ」
なんかゆかりんさんは勝ち誇った顔で、こっちを見てーー。
「ぷ○きゅあのコスプレ仲間なのよ! たまたま撮影会で会って親交を深めつつある仲よ!」
あ! 恥ずかしい! 確かにそれは友達には言えない!
「あ、写真見る? 見るでしょ? ほら、遠慮することはないわ、ほらほら!」
なんかこの人ぐいぐい来る!
ていうかどんだけ自信あるの?
いや確かに別の次元から出てきたレベルで綺麗だけど!?
「ほら、これ! これ、いいでしょ!?」
あ、ほんとだ。すごいい。
でもメリーしか写ってない。
「ほら、これも。これもこれも」
うんうん、いい。すごいいい。
でもメリーしか。
「……あの、あなた、……えっとゆかりんさんの写真はないんですか?」
「え? 私?」
ゆかりんさんはすごい照れた顔で。
「その、ほら、私は、いいのよ。……恥ずかしいじゃない」
なにこの人。わざとか。嫌味なのか。
いったい何を恥ずかしがるというのか。世界レベルのモデルとか言われてもまったく疑わないくらいなのに。
「こんな、キャピキャピとした格好……」
あ、そうだった。確かにそれはそうだった。