デート・ア・ライブ 未来からの来訪者   作:問題児愛

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本当に話が進まない_(┐「ε:)_


十四話

その後、士道は念の為、訓練の内容を令音に聞いたところ、琴里から女性遍歴(ゼロ)をバラされていたことを知る。

それでは精霊を口説く際に困るとの事。

まあ、経験無いものにそれをしろとは無理な話である。

そんな話をしながら廊下を歩いていると、

 

「おにーちゃぁぁぁぁぁん!」

 

聞き覚えのある声と共に猛スピードで小さい影が士道の腹に突撃してきた。

 

「はがぁ……っ!」

 

「あははは、はがーだって!市長さんだー!あはははは!」

 

「こ、琴里……っ!?お前なんだって高校に……」

 

その正体は士道の妹である琴里だった。

令真も琴里に気付いて元気よく手を振る。

 

「あ、姉様!姉様も父様に会いに来てたの?」

 

「おー、レマも来てたのかー!そうだぞ!」

 

わしゃわしゃと令真の頭を撫で回す琴里。

嬉しそうに目を細める令真。

傍から見れば仲のいい姉妹のようだ。

そんな光景を士道が微笑ましげに眺めていると、

 

「と、とととと、トウサマ!?」

 

「………あ?」

 

悲鳴のような声を上げる女性に目を向けて、士道は固まった。

視線の先に顔を真っ赤にした女性―――タマちゃん教諭こと岡峰珠恵教諭が顔を真っ赤にしてアワアワする姿を見て。

珠恵先生は士道と令音、それから令真の顔を見比べて何かに気付いたように高速でブツブツと言い始めた。

 

「確かによく見るとこの子は村雨先生を幼くしたかのような顔をしていますね……髪の色は五河君よりは薄くて村雨先生よりも濃いようなそうまるで中間色………装いと髪型は村雨先生そっくりですし何よりも―――三人仲良く手を繋いでるのがもう親子としか言い表せないですよね!?そういうことなんですよね!?」

 

「せ、先生!?あ、いや!これはその、誤解でして!」

 

「誤解も何もありませんっ!まさか村雨先生と既に出来ていてお子さんまでいるなんて先生知りませんでしたっ!大人しそうに見えて五河君って実はプレイボーイな方だったんですね!?ですが教師と生徒が禁断の関係を結ぶのは良くないと思いますっ!ええ全くその通りっ!」

 

「だー!だから違うんですってば!澪真が俺の事を父様と呼ぶのは似ているからであって、決してそういう関係では無いんですっ!れ、令音さんからも言ってやってくださいよ!」

 

「………ん、そうだね。レマが私を母様と、シンを父様と呼ぶのは似ているからだよ。そうだよね、レマ?」

 

「ううん、父様と母様はレマの父様と母様なんだよ」

 

「ちょ、令音さん!?なんで澪真に振るんですか!あと澪真!お前は話を余計ややこしくするんじゃねぇぇぇぇぇ!」

 

叫ぶ士道。

本当に澪真はもう喋らないでくれ!どんどん誤解が加速しちまうからよ!

だがしかし時既に遅し。

珠恵先生は全身をプルプル震わせたと思ったら、顔を熟れたトマトのように真っ赤にさせて絶叫した。

 

「五河君の……五河君の……不潔ぅぅぅぅぅ!」

 

そして物凄い速度で走り去っていった、泣きながら。

周りにいた生徒や先生達にも恐らく聞こえてしまったことであろう。

終わった…士道の平穏な高校生活は、音を立てて崩れ去っていく気がした。

士道は顔を手で覆った。

そんな士道を令音が一瞥したのち、琴里に視線を向けて言う。

 

「………早かったね、琴里」

 

「ちょ、令音さん!?なんですかそのスルー力は!?」

 

「うん、途中で〈フラクシナス〉に拾ってもらったからねー」

 

「ってお前もかよ琴里!?」

 

二人して俺の心配してくれないのか!?と心の中で叫ぶ士道。

すると令真が士道の制服の裾をクイッと引っ張って言う。

 

「大丈夫なんだよ。レマがみんなに父様と母様を紹介すれば隠し事する必要はなくなるからね」

 

「なにも大丈夫じゃねえよそれ!むしろ俺の人生が終わるわっ!」

 

「………?」

 

「なんで?みたいに小首傾げんな!頼むからこれ以上話を拗らせないでくれ!」

 

額に手を置く士道。

令真は不思議そうに小首を傾げるだけ。

これ以上何を言っても無駄を悟った士道は、諦めたように溜め息を吐いた。

そんな士道を、脳天気そうな笑顔で見ながら言う。

 

「そんなことよりほら、おにーちゃん。早く行こ?」

 

「そんなことよりで片付けんじゃねえよ!俺は致命傷を負ったんだからな!心に!……はぁ、分かったよ」

 

確かにここで話すよりも目的の場所で一息吐いた方がいい。

一息吐ける場所かは分からないが、周りの目が無い方がいいに決まってる。

それから暫くして、目的の場所に到着した。

物理準備室の前で琴里は言う。

 

「さ。入ろー、入ろー♪」

 

「ハイ・ホー、みたいに言うんじゃねえよ」

 

琴里に促されて士道はドアを開けて、すぐに眉根を寄せて目を擦る。

 

「……ちょっと」

 

「……何かね?」

 

「父様?」

 

「なんですか、この部屋」

 

士道の反応に、令音と令真が同時に小首を傾げる。

見事なシンクロに何か言いそうになったが堪える。

士道は物理準備室とは思えない光景に目を瞬かせた。

幾つものコンピュータにディスプレイ、その他見たこともない様々な機械で埋め尽くされているのを見て。

 

「……部屋の備品さ?」

 

「いやなんで疑問形なんですか!ていうかそれ以前に、ここ物理準備室でしょう?元いた先生はどうしたんですか!」

 

ナチュラルボーン石ころぼうしこと長曽我部正市の事を思い出して問う士道。

それに令音は顎に手をやり、小さく頷く。

 

「……ああ、彼か。うむ」

 

そのまま、数秒が過ぎた。

 

「……まあそこで立っていても仕方ない。入りたまえ」

 

「うむ、の次は!?」

 

またしても見せ付けるスルー力。

もういいです、俺が悪かった!そう士道は内心で呟いた。

令音は先に部屋に入ると、部屋の最奥に置かれていた椅子に腰掛けた。

次いで、士道の脇から琴里が部屋に入っていく。

そして、白いリボンを解き黒いリボンで結び直す。

 

「―――ふぅ」

 

今朝と同じような雰囲気になる琴里。

令音の近くの椅子にどかっと座り込む。

チュッパチャプスを口に入れると、入り口に立ち尽くしていた士道に、見下すような視線を向けてきた。

 

「いつまで突っ立ってるのよ、士道。もしかしてカカシ希望?やめときなさい。あなたの間抜け面じゃあ、カラスも追い払えないと思うわよ。ああ、でもあまりの気持ち悪さに人間は寄って来ないかもしれないわね」

 

「…………」

 

一瞬のうちに女王様に変貌した妹を見て、士道は額に手を置いた。

すると令真がうんうんと頷いて、

 

「誰も寄ってこないなら独り占め出来るね、よかったね姉様!」

 

「へ!?」

 

「でも残念だったね。それでもレマと母様は父様に寄り添うから、姉様の独り占めって事にはならないんだよ」

 

「ちょ、なんでそうなるのよ!?それじゃあまるで私が士道の事好きみたいじゃない!」

 

「その通りなんだよ。レマの中にある全知の天使〈囁告篇帙(ラジエル)〉の力を使えば、姉様の隠してる気持ちも丸裸に出来るからね。嘘吐いても無駄なんだよ」

 

「な、何そのチート天使!?そんなのズルよ!卑怯じゃない!隠してる気持ちが丸裸にされるとかそんなの―――ハッ!?」

 

慌てて口を塞いで士道を見る琴里。

士道が間の抜けた表情で琴里を見つめていた。

物凄く見られてて、琴里の顔が完熟トマトのように真っ赤に染め上げられた。

そんな琴里を見つめて令真は言った。

 

「でもね、姉様。強い子でいることに毒舌は関係無いと思うんだよ」

 

「―――ッ!!澪ぇぇぇ真ぁぁぁぁぁ!」

 

「きゃー、姉様が怒ったー!逃げろー!」

 

「待ちなさい澪真!絶ぇぇぇ対にぃぃぃ!お仕置してやるんだからぁぁぁぁぁ!」

 

逃げる令真とそれを追う琴里。

物理準備室はしばらく鬼ごっこ会場となるのだった。

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