デート・ア・ライブ 未来からの来訪者   作:問題児愛

17 / 37
3000文字超えてしまった_(┐「ε:)_


十五話

結論から言おう。

鬼ごっこは、琴里が令真を捕まえられずに終わった。

まあ、相手は子供といえど精霊。

人間の琴里に勝ち目などあるはずがなかったのだ。

グッタリした様子で琴里が令音の近くの椅子に座り直す。

完全にお疲れの様子な琴里に、士道は苦笑いする。

一方、令真は琴里(姉様)との鬼ごっこを堪能出来てご満悦の様子だった。

それから令音の膝上にお座りして大人しくしていた。

いや、ちょっと待て。

 

「なんで澪真は令音さんの膝上に座ってんだ?」

 

「母様の膝はレマの特等席だからね。たとえ父様でも譲れないんだよ」

 

「いや奪うつもりはないけどさ……椅子が一つ少なかったのはつまりそういう事なんだな?」

 

「……ああ。席を用意しても結果は同じだっただろうからね。敢えてレマの分は用意しなかったんだよ」

 

「そ、そっか」

 

本当に自由だなこの子は。

士道は苦笑しながら、琴里と令音+令真の間にあった席に座る。

それから隣の琴里を見る。

令真の言う通りだと、琴里の毒舌は本心ではないという事になる。

黒いリボンの時も白いリボンの時と同じ気持ちという事なのか。

士道がそんな事を考えていると、徐に令真が立ち上がってグッタリしている琴里に歩み寄ってきた。

 

「姉様」

 

「……何よ?」

 

「レマの手を握って欲しいんだよ」

 

「……?よく分からないけれど、はい。これでいいかしら?」

 

琴里は令真に言われるがままに、彼女の手を取り握る。

令真は微笑み、手を握り返して呟いた。

 

「〈刻々帝(ザフキエル)〉――【四の弾(ダレット)】」

 

瞬間、琴里の疲れが嘘のように消え失せた。

琴里は驚いて勢いよく立ち上がって令真を見る。

 

「澪真?貴女一体私に何をしたの……?さっきまでの疲れが無くなったみたいなのだけれど」

 

「それはね、時間を操る天使〈刻々帝(ザフキエル)〉の力を使って、姉様がレマと鬼ごっこする前の状態に時を巻き戻したんだよ」

 

「「は?」」

 

兄妹揃って素っ頓狂な声を漏らす。

時間を操る天使?

時を巻き戻した?

なんてデタラメな力なのか。

いやそれよりも重要なのはそこじゃない。

士道は堪らず令真に訊ねた。

 

「なあ澪真。これまでに色々な力を使ってる所を見たんだが……何種類あるんだ?」

 

「父様は知りたいの?」

 

「お、おう」

 

「それは私も気になるわね。この前の精霊と違って、その天使?を幾つも使ってるのだもの。是非とも知っておきたいわ」

 

「姉様も知りたいんだね?」

 

「ええ」

 

士道と琴里が令真を興味津々に見つめる。

令真は、コホンと咳払い一つで答えた。

 

「レマの使える天使は十二種類。()()が十二種類で、全部で二十四種類なんだよ」

 

「に、にじゅう」

 

「よん!?」

 

顎が外れる程驚く兄妹。

二十四種類とかどんだけあるんだ。

それに天使の他にも魔王と呼ばれる力も存在するらしい。

魔王って、勇者が倒すアレとは別物だろうか?

そんな事を考える兄妹に、令真は表情を曇らせながら言った。

 

「だけどね、父様、姉様。魔王の力を同時に幾つも使っちゃうと制御を誤って力が暴走しちゃうの。だから母様には魔王の力はなるべく使っては駄目って言われてるんだ」

 

「魔王の力ってそんなヤバイやつなのか!?」

 

「天使も十分ヤバイと思うのだけれど……制御を誤って暴走されるのは困るわね。魔王(そっち)の力は使わないで頂戴」

 

「はーい、姉様」

 

「ふふ、いい子ね」

 

琴里が優しく令真の頭を撫でる。

令真は嬉しそうに目を細める。

こういう所はとてもいい子なのに、たまにああいう事を言う所は頂けない。

このままくすぐりの刑(お仕置)してやろうかとも思ったが、令真の力の秘密を知れたのだから収穫はあったしやめにしましょう。

一方、令音は令真も見つめながら考え事をしていた。

 

「(……レマのあの表情。それに暴走、か。十年後に私とシン、澪真以外が存在しない理由……まさか、レマの暴走だったりするのか?)」

 

澪真は()とシンの未来の娘であり、()の力を使えるどころか、魔王さえ使える。

それならば、力の制御を誤って暴走させてしまえば世界を滅ぼす事など容易い事だろう。

だとすれば、澪真がこの時間軸に来た()()()()()は別にあるはずだ。

 

「(……レマ。君は一体この時間軸に来て、何を成すつもりなんだ?)」

 

令音は、澪真と二人きりになった時にその事について問い質すことを決めた。

それから、話を戻して士道の訓練が始まった。

女性への対応に慣れてもらうと言って、琴里が唐突に士道の頭を押し、令音の胸に押し付けたり。

この程度で取り乱す士道に呆れる琴里。

不意ではなくゆっくり近付いて来る令音に変な期待をする士道だったが、机の上のモニタに電源を入れただけだった。

画面に可愛らしくデザインされた〈ラタトスク〉の文字。

ポップな曲と共に、カラフルな髪の美少女達が順番に画面に表示され、タイトルと思しき『恋してマイ・リトル・シドー』のロゴが躍る。

 

「こ、これは……」

 

「……うむ。恋愛シミュレーションゲームというやつだ」

 

「ギャルゲーかよッ!」

 

士道は悲鳴じみた叫びを上げた。

 

「やだ、何を想像してたの?流石妄想力だけは一級品ね気持ち悪い」

 

「……っ、やっ、そ、それは……」

 

「父様、ぎゃるげーって何?」

 

「はっ!?」

 

令真の言葉を聞いて、士道は口を手で覆う。

精霊といえども、令真は子供だ。

ギャルゲーなるものを知るにはまだまだ先だ。

令音も念を押すように言った。

 

「……ギャルゲーについては、レマはまだ知るべきではないね。間違えても全知の天使なるもの〈囁告篇帙(ラジエル)〉でも調べてはいけないよ」

 

「はーい、母様」

 

それを聞いてホッと士道は安堵する。

令音さん、ナイス!と親指を立てる。

ん、と短く返す令音。

隣の琴里が溜め息を吐いていたが。

士道は画面を見ながら問う。

 

「本当にこんなもんで訓練になるのか?」

 

「……まあ、そう言わないでくれ。これはあくまで訓練の第一段階さ。それに市販品ではなく、〈ラタトスク〉総監修によるものだ。現実に起こりうるシチュエーションをリアルに再現してある。心構えくらいにはなるはずだ。ちなみに15禁」

 

「ああ……18禁(エロゲ)ではないんですね」

 

何とはなしに士道が言うと、琴里が憐憫にも近い眼差しを作った。

 

「やだ最低」

 

ついでに令音がポリポリと頭を搔く。

 

「……シン、君は十六だろう?18禁のゲームが出来るはずないじゃないか」

 

「いやお前らさっきと言ってること微妙に矛盾してね!?」

 

「父様、えろげって何?」

 

「はっ!?」

 

令真の言葉を聞いて、士道は口を手で覆う。

さっきと全く同じ展開。

それに再び令音が令真に言う。

 

「……エロゲもまだ、レマに早いから知る必要はないよ。それにこれからシンは15禁をプレイするからレマには悪いが」

 

「うん、レマは退室した方がいいよね。レマはまだ九歳だから六年早いし」

 

「澪真って九歳だったのか!?」

 

「そうだよ、父様。あと一年足らずでレマは産まれるんだ!」

 

「あら、じゃあすぐに貴女に逢えるのね。楽しみだわ」

 

「……そう、だね」

 

途端、令真の表情が曇る。

士道と琴里は、その表情を見て眉を顰める。

どうしてそんな表情をするのか、意味が分からないという風に。

令音だけは、令真のその表情を見て理解する。

そう遠くない未来に、()琴里(親友)を手にかけるのだと。

令真はすぐに笑顔で言った。

 

「大丈夫なんだよ。レマが絶対に――()()()()()()()()()からね」

 

「……!」

 

令真の笑顔とは裏腹に、決意の籠った声音に令音は気付いた。

彼女の真の目的を。

彼女がどうしてこの時間軸に来たのかを。

令真の言葉の意味を理解出来ない士道と琴里は小首を傾げているが。

令真は元気に手を振りながら三人に言う。

 

「それじゃあレマは行くね!またねー、父様、母様、姉様!」

 

「お、おう。またな、澪真」

 

「またね、澪真」

 

「……ああ、またねレマ」

 

士道、琴里、令音に見送られて令真は物理準備室を後にした。




次回

澪真、隣界へ行く!

その目的とは?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。