デート・ア・ライブ 未来からの来訪者   作:問題児愛

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このSSに登場する真っ白い少女は○○○ではありません( ˘ω˘ ) スヤァ…


第一〇領域 前編

彼方の世界(現実)から隣界へ入った澪真は、固まった。

それはあまりにも凄惨な光景だった。

地面には刃物で斬り刻まれたかのような裂傷が無数にあり。

建物と思しきそれらは無惨にも破壊されて瓦礫と化している。

荒れに荒れ果てた大地。

簡潔に言うと――何もかもが破壊されていた世界だった。

 

「……誰も、いないのかな?」

 

澪真は誰かいないのか探し始める。

これだけ広大な土地に人っ子一人もいないのは些か不気味である。

しばらく第一街人探しをして歩いていると、地面に倒れ伏した何者かを見つける。

 

「あ、い……た?」

 

その誰かに近寄った澪真は、再び固まる。

その誰か、地面に倒れ伏した真っ白い少女。

その彼女の背中に刃物で斬り刻まれたような裂傷があり、そこから夥しい量の血が溢れて流れ出していた。

見るからに重傷で、今にも死んでしまうのではないかという程の瀕死の白い少女。

澪真の決断は早かった。

 

「〈刻々帝(ザフキエル)〉――【四の弾(ダレット)】」

 

白い少女に触れて影と時間を操る天使〈刻々帝(ザフキエル)〉の力を使う。

対象の時間を巻き戻す能力。

それの能力を持って瀕死の白い少女は、時間の逆再生を思わせるような感じで溢れ出した血は体の中に戻り、背中に刻まれた裂傷も消えて、損傷した服も元通りになった。

 

「……!」

 

白い少女は驚き、勢い良く立ち上がる。

意識も朦朧としていたはず、全身が痛すぎて生きているのすら辛いくらいだったのに。

それが嘘のように綺麗サッパリ無くなっていたのだ。

一体全体何がどうなって、と周囲を見回し――濃い銀髪の少女が視界に収まる。

愛らしい容姿で、その微笑みは見る者をみな笑顔にする、例えるならばそう。

 

「……天使?」

 

「え?」

 

白い少女はそんな言葉を口にしていた。

澪真は、キョトンと彼女を見返す。

すぐに小首を横に振って応えた。

 

「レマは精霊だよ。貴女の名前は?」

 

「せ、精霊ですか!?あ、私は響っていいます!苗字は……何でしたっけ?」

 

「レマに聞かれても知らないんだよ」

 

「デスヨネー」

 

白い少女改めて響は項垂れる。

澪真が苦笑していると、遥か上空から何者かの声が掛かった。

 

「――貴様か?その女を助けたのは」

 

「……ッ!!?」

 

少女の声に逸早く反応したのは響だった。

それもそのはず、ついさっきまで自分を殺そうとして来た者の声だったからだ。

一瞬にして恐怖に震え上がる響。

そんな彼女を庇うように澪真が立ち、上空を見上げる。

ついこの前聞いた事のあるような声がして、期待していた。

だが、澪真の視界に映ったのは――上空に佇む黒い少女。

見覚えのある容姿ではあれど、その禍々しさは知らない。

困惑していると、黒い少女は痺れを切らした様に溜め息を吐き言った。

 

「返答はなし、か。ならば貴様らを屠れば済む話だ」

 

「へ?」

 

物騒な発言をする黒い少女に、澪真は再びキョトンとする。

その一瞬の隙に、黒い少女は光色の両刃剣〈鏖殺公(サンダルフォン)〉――ではなく闇色の片刃剣を振り下ろした。

 

「――〈暴虐公(ナヘマー)〉」

 

聞き覚えの無い天使(?)の名前。

空間が軋み上げ、闇色の斬撃が飛んで来て。

澪真に直撃して、その小さな体は容易く後方へと吹き飛ばされた。

 

「な、澪真さん!?」

 

悲鳴を上げる響。

あの一撃を防御もせずにまともに食らったのだ、無事で済むわけがない。

私は掠っただけで背中がパックリ割れて死にかけたのだから。

そしてその要因たる黒い少女が、響に視線を向け〈暴虐公(ナヘマー)〉を振り上げていた。

 

「次は貴様だ。先はトドメを刺し損ねたが、今度は外さん」

 

「ひっ!?」

 

裏返る声。

怯み動けない体。

この一撃で今度こそ殺られる。

響は死を覚悟してギュッと目を閉じる。

しかしそれを許容しない一撃が、〈暴虐公(ナヘマー)〉の一撃を受け止めた。

 

「〈輪廻楽園(アイン・ソフ)〉――【枝剣(アナフ)】」

 

響を守るように現れた、剣のように研ぎ澄まされた〈輪廻楽園(アイン・ソフ)〉の『枝』によるものだ。

それから瓦礫の中から澪真が飛び出して、響の隣に一瞬で移動する。

 

「わひゃぁぁぁぁぁ!いきなり現れないでくださいよ!ていうかなんで無事なんですか無傷なんですか生きてるんですか!?」

 

「それはレマが母様の娘だからね」

 

「いやなんですかそれ!全く意味がわかりません!」

 

叫ぶ響。

一方、澪真が生きていた事に眉を顰めていた黒い少女は、彼女の台詞『母様の娘』という言葉に、更なる疑惑が深まる。

その母様というのは――

 

「おい貴様」

 

「なに?」

 

「貴様のいう『母様』とやらは……我らが母の事か?」

 

「そうなんだよ。――()()()()()()()()()()()

 

「何?」

 

正確には違う?どういう意味だ?

あの女から感じられる力は、我らが母に酷似している。

私のような一部の力ではなく、全てを内包しているようなそんな存在。

恐らく真正面からぶつかっても勝ち目は無いかもしれない。

闇雲に我が〈暴虐公(ナヘマー)〉を振るっても意味はないだろう。

あの女をどう屠ろうか考えていると、黒い少女をジーッと見つめていた澪真がポンと手を打ち、

 

「黒いお姉さん、その天使?……真似させてもらうんだよ」

 

「ぬ?」

 

「【模倣(ヒクウィ)】――〈暴虐公(ナヘマー)〉」

 

「「……ッ!?」」

 

黒い少女と響が驚愕する。

そうなるのは無理もない。

澪真の右手に闇色の片刃剣が、黒い少女の持つ〈暴虐公(ナヘマー)〉がその手にあったのだから。

そして、澪真に変化が起こる。

令音とお揃いだった髪型は解れて、長い髪が舞う。

その長い髪は瞬く間に闇色に染まっていった。

澪真は己が姿を見て、理解する。

 

「ああ、そうなんだね。黒いお姉さんの力は――絶望(そっち)なんだね」

 

「……貴様のそれは、なんだ?」

 

黒い少女の問いに、澪真が申し訳なさそうに答えた。

 

「今のレマはね、()()()()()()なんだよ。母様と、父様の、ね」

 

「何?」

 

「だからね、お願いなんだよ。レマが暴走する前に、レマを止めて欲しいの」

 

「私が貴様を助けろと?」

 

「大丈夫なんだよ。黒いお姉さんの力は、レマの中には無いからね。レマが模倣し手にした貴女の力は、所詮偽物で、本物には届かない贋作。レマの中に無い貴女の力ならばきっと通用するんだよ」

 

 

 

だからね、お願いなんだよ。

 

 

レマが絶望に染まりきる前に。

 

 

どうかレマを、止めて。

 

 

 

響がアワアワと見守る中、第一〇領域(マルクト)での戦いが始まろうとしていた。

魔王(ナヘマー)を模倣し絶望そのものに堕ちる澪真と。

第一〇領域(マルクト)に住まう精霊、名も無き黒い少女の戦いが。




次回 第一〇領域 後編

目にも留まらぬ速さで斬り結ぶ澪真と黒い少女。

「〈暴虐公〉――【終焉の剣】」

「【模倣】――【終焉の剣】」

「黒いお姉さんに、レマからお願いがあるんだよ」

「やあ。貴女かな?自分の封印が解けた切っ掛けを生み出した精霊というのは」
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