三期みたいな五河ディザスター一話で無理矢理終わらせるようなやり方はしないでよー(:3_ヽ)_コテッ!
こちらは隣界編終了です
澪真はようやく諦めた蓮に、もう一度右手を差し出す。
「じゃあ、行こ?レン義姉様」
「………………は?」
蓮は、澪真の行動を不可解に思い顔を顰める。
そりゃそうだ、蓮は準精霊を沢山殺し。
澪真の友達である響と、澪真本人を一度殺した。
だというのに、澪真はそんな悪逆な精霊に向かって懲りずに手を差し出してきたのだ。
「……本当に貴女は、理解できない
「そんなことはないんだよ。貴女は母様の憎悪と嘆きから生まれた精霊。悪いことをしちゃうのは仕方のないことだからね。だけど貴女は絶対悪ではない。レマ達の身を案じてくれてるのが、何よりの証拠なんだよ」
「はは、面白いことを言うね澪真。そう、自分は憎悪より生まれし悪意の権化。人を傷付けずにはいられない、生まれながらの
「そうだね。別に嘘でも構わないんだよ」
「は?」
「貴女が悪逆な行為をするのなら、レマが止める。母様への復讐なんてさせないし、貴女の言うあの人――父様を殺させたりなんかしないんだよ。だからといってレマは貴女のことを殺したりなんかしないし、否定もしない。だって本当の貴女は――悪い精霊なんかじゃないから」
「………………」
澪真の言葉に蓮は不可解そうに眉を顰める。
本当の自分が、悪い精霊なんかじゃない?
何を馬鹿なことを言っているんだい、この
我が母の憎悪そのものである自分は、悪意の塊のはずだ。
だというのに、何故貴女はそんなことを言うのかね?
分からない、ああ、貴女のことが本当に――
澪真は両腕を広げて言う。
「貴女の顔が全て仮面でも、貴女の言葉が全て嘘でも、貴女の存在が悪だろうと構わない。それでもレマは貴女の全てを肯定し、貴女の全てを――
「……!?」
「母様へ復讐するのなら、父様を殺すのなら――それはレマだけにして。レマのことなら、幾らでも殺していいから。だからお願い!レマから母様と、父様を奪わないで!」
澪真の心の底からの想いを、願いを蓮にぶつける。
それに蓮は黙り込む。
そして蓮は気づいた。
この
自身よりも、他人の身を案じる。
自身はどうなってもいい、
……自分の全てを愛します、か。
やめてくれ、悪役の自分に向ける言葉じゃあないだろう?
悪性精霊である自分を、愛さないでおくれよ。
望まれて生まれてきた
誰かに愛される資格などありはしないのだから。
だが澪真は殺しても殺せない精霊。
いや、毒の天使〈
困ったことに、蓮が自身の願いで〈
では澪真の願いを三つ叶えて殺すというのは?
いいや、だめだ。
彼女の願いは唯一、母親の幸せだけである。
それに〈
願いを無効にされるか、最悪〈
打つ手無し、これはもう開き直って澪真の言う通りにするしか――いや、ある。
澪真は言ったのだ、父様を殺さないでと。
蓮の殺したいあの人が、澪真の父親ということになる。
ああ、そうか。
わざわざ澪真を殺すまでもないじゃあないか。
あの人を殺せば、澪真が未来で産まれることはない。
はは。
あはははははははははは!
なんだ、簡単なことじゃあないか。
だが、焦ってはだめだ。
我が母は欺けても、
ならば今はその時ではない。
仮面を着け、嘘をつき、
そして
そうと決まれば、行動開始だ。
蓮は溜め息を吐くと、両手を上げて言う。
「やれやれ、参ったね。本当に貴女は理解不能な
「……それってつまり、澪真に付いてきてくれるってことでいいのかな?」
「そうだとも。このまま殺し合っても、自分に勝ち目はなさそうだからね。〈
「そうだね。もしこの場で〈
「は?」
「レン義姉様。隠してたけど、レマも使えるんだよ。貴女の毒の天使〈
「……ッ!?」
澪真の狂いに狂った愛情を向けられて、蓮はゾッとした。
彼女が〈
だが、天使の使い方がおぞましすぎた。
対象の存在の改変。
自身の望み通りに相手を捻じ曲げるなど。
とてもではないが、澪真の願いとは思えないものだったから。
蓮のような悪逆な精霊が願うならまだしも。
が、途端に澪真が愛らしく舌をペロッと出して言った。
「なんていうのは冗談なんだよ。ビックリしたかな?」
「え?あ、ああ」
「むー、もうちょっとリアクションとって欲しかったなー。まあ、いいか!じゃ、行こ?レン義姉様!」
「ちょ、急に腕を引っ張らないでくれるかな!?」
「あはは、レン義姉様が怒った!逃げろー!」
「この……!」
逃げる澪真を追いながら、蓮は彼女の先程の願いについて考える。
自分の存在の改竄、か。
澪真は冗談と濁したが、自分にはとてもじゃないが冗談とは思えない。
あの目は、本気に違いないのだから。
一方で、追いかけてくる蓮から逃げながら、澪真は誰にも聞こえない小さな声で呟いていた。
「――本当はそういうことしたくないけど、そうも言ってられないんだよ。貴女には何度も騙されてやられてるんだからね。そう、
「――というわけで、レン義姉様もレマに付いてきてくれることになったんだよ。サワ、ヒビキ、仲良くしてね」
「蓮だ。色々あったけれど、これからよろしく頼むよ」
蓮に拳骨されて痛む頭をさすりながら澪真が紗和と響にそう言い、その蓮が握手を求めるが。
「殺されかけたのに仲良く出来ると思ってるのかな?悪いけど、澪真さんのお願いでもそれは聞けない」
「私なんて一回殺されてますからね!蓮さんは怖いので近寄り難いです!なので無理です!ごめんなさい澪真さん!」
というように、紗和と響は拒否した。
蓮は残念そうに首を振った。
「やれやれ、嫌われてしまったようだね。だがまあ、これが普通の反応だ。変わり者な貴女くらいさ、一回殺されても自分と一緒に居ようとする
「そっか。まあしょうがないよね、あんなことがあったんだから。今は無理でも、いつかはサワとヒビキとも仲良くなれるといいねレン義姉様」
「そのいつかが訪れるといいね。そんな日は永遠に来ないと思うけど」
「私が蓮さんと仲良くしてるところを想像するだけでゾッとしかしませんけどね!」
突き放すように紗和と響が言うと、澪真が悲しそうな表情をした。
そんな澪真の頭に手を置く蓮。
「自分のことで悲しむ必要はないよ。貴女だけでも受け入れてくれたのだから、今はそれで十分さ」
まあ――嘘だがね。
「ホント!?そう言ってくれてレマは嬉しいんだよ」
そう言って澪真が蓮に抱きつく。
そんな澪真に蓮は驚くも、やれやれといった調子で彼女の頭を優しく撫でた。
澪真は嬉しそうに目を細める。
蓮のその優しさがたとえ――嘘だとしても。
そんな二人を眺めていた紗和が、話を切り出す。
「澪真さん、隣界にはまだ用はあるのかな?」
「ううん。必要なピースは揃ったから大丈夫なんだよ」
「ピース?」
「な、なんでもないんだよ!それじゃあ、戻ろうか
「あ、誤魔化した」
半眼を作り澪真を見る紗和。
澪真はアワアワしながら霊装と生の天使〈
澪真の装いを不思議そうに見つめた響が挙手して言う。
「澪真さん、その格好はなんですか?まるで学校の先生みたいな感じがしますけど、まさか子供なのに教師しちゃってたりします!?」
「うん。正確にはレマは母様の助手なんだよ」
「ほう?我が母は
「まあ、母様が教師をしてるのは父様を見守るためなんだけどね」
「ああ、なるほど。やはりあの人の傍には我が母がいるようだね」
「え?」
「……ああ、いや。なんでもない」
蓮が誤魔化すが、紗和と響は気づいた。
やはり彼女は、澪真の父親を殺す気満々だと。
澪真も気づいているが、分からないフリをして小首を傾げる。
蓮はコホンと咳払いして、澪真に問う。
「それで、隣界から
「それはね、とっても簡単なことなんだよ」
「ふむ?それは一体何かね?」
などと蓮は聞いているが、彼女を含め紗和と響もその方法に心当たりしかなかった。
ああ、あの天使をこれから使うんだなと。
澪真は笑顔で一言。
「レマ達は既に
視界暗転。
そしてすぐに夕焼け空が澪真達四人を出迎えた。
場所は来禅高校の屋上。
澪真が隣界の入口を創った場所である。
「「「………………」」」
紗和と響、そして蓮はいい加減に驚くことをやめた。
法の天使〈
ちなみにただ帰還しただけではない。
戻る日時さえ〈
澪真が
そして
あれから九日経っていることになる。
九日後に帰還したということは。
九日間も士道や琴里、令音達と会っていないことになる。
きっと澪真のことを心配しているだろう。
一方、紗和は再び
早く狂三に会いたいのだろう。
響は、ここが
本当は彼女もここの元住人だというのに。
蓮は、三十年ぶりの
ここは彼女の戦いの舞台なのだ。
あの人を殺し、澪真が産まれる未来を閉ざし、母親へ復讐を成す場所。
それぞれの想いを胸にする少女達を、夕陽が照らして歓迎していた。
澪真は、さてと軽く伸びをした後に三人に言った。
「それじゃあこれから二人組を二つ作って行動するんだよ」
「は?」
「レマとレン義姉様でまず一組。サワとヒビキでもう一組。異論はあるかな?」
「澪真さんと別行動になってしまうのは非常に残念ですが、蓮さんを監視しないといけないんですよね?」
「それもあるけど、ヒビキにはサワとクルミを支えてほしいんだよ。貴女はレマの分身だからね、万が一サワとクルミに危険が及んでも、ヒビキがいれば安全なんだよ」
「え?私は別に響さんいらないけど」
「酷い!?そんな邪険にしなくてもいいじゃないですか紗和さん!?」
叫ぶ響と、不満そうな紗和。
狂三との再会を邪魔されたくないからなのだろうか。
澪真はピッと人差し指を立てて言った。
「レマの分身だから超便利なんだよ」
「へえ?たとえば何?」
「全知の天使〈
「……!」
「封印の天使〈
「うん、採用。よろしくね、響さん」
「私のこと便利道具か何かだと思ってません!?」
叫ぶ響。
だがこれで
紗和様のお役に……あれ?
紗和様の……?
響はふと、自身とは異なるの魂の想いが混ざったことを感じ取った。
……さっきのは一体?
響は知らないが、彼女の胸の中にある
他にも、蓮に殺された数十人の少女達の魂も。
一方、蓮はやはり澪真が自身の監視をするのかと溜め息を吐いていた。
自由に動けなければ、澪真が傍にいてはあの人を殺すのは難儀なことだろう。
しょうがない、隙が出来るまで耐えるとしよう。
澪真は、紗和と響を見回し言った。
「じゃあレマ達は行くね。ヒビキ、サワとクルミをよろしくなんだよ」
「は、はい!おまかせください澪真さん!」
「サワも、クルミと仲直り出来ることを祈ってるんだよ」
「うん、ありがとう。またね、澪真さん」
手を振り澪真は蓮を連れて校舎へと入っていく。
紗和と響は二人の背を見送る。
それから紗和が響を見て言う。
「それじゃあこれからよろしくね、響さん」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」
響は元気よく返事をした。
次回 紗和フレンド Ⅰ
「えっと……〈
「あら、あら……珍妙なお客様がいらしましたわね、『わたくし』?」
「え?……紗和、さん……?」
「狂三さん、あの日に私に起きたこと、知るつもりなんだね?」
「いいよ、狂三さんが望むなら。――【