デート・ア・ライブ 未来からの来訪者   作:問題児愛

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オリ設定やら色々詰め込みすぎたから文字数が大変なことになりましたとさ_(┐「ε:)_

でも、戦闘描写は考えるのは楽しいです(・ω・三・ω・)フンフン


紗和フレンド IV

なんで!?

このタイミングで!?

澪真さんが!?

ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!?

何の前触れもなく現れた澪真に戦慄する四人。

ちなみに内心で悲鳴を上げてるのは、言うまでもないかもしれないが響である。

狂三、山打紗和(未来の狂三)、紗和、響の顔を見回して澪真が小首を傾げた。

 

「⋯⋯?みんな顔色悪いけどどうしたの?」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯いえ、なんでもありませんわ」

 

山打紗和(未来の狂三)がそう返すと、

 

「――別にレマの計画バラされたからって、君達を口封じ目的で殺しに来たわけじゃあないんだけどね」

 

『――ッ!!?』

 

澪真の言葉に驚愕し、思わず身構えた。

さっきの会話を彼女に聞かれていた?

違う、聞かれていたわけではない。

恐らく()()()()()からだ。

全知の天使――〈囁告篇帙(ラジエル)〉の能力をもってすれば識ることなど容易いのだから。

では何故彼女が現れたのか。

その疑問を紗和が問うた。

 

「⋯⋯じゃあ澪真さんは何しに此処へ来たのかな?」

 

「んー、そうだね。⋯⋯⋯⋯⋯⋯何でだっけ?」

 

「まさかの目的忘れるパターンですか!?それとも澪真さんってば天然さんだったりします!?」

 

叫ぶ響。

だが澪真の天然(?)ぶりのお陰か張り詰めていた空気が和らぐ。

狂三も安堵し――澪真が手を叩いた。

 

「あ、思い出したんだよ」

 

「目的がですか?」

 

響がそう言うと澪真は首肯し、狂三と紗和を見回した後言った。

 

「クルミとサワにチャンスをあげるんだよ。レマに傷を負わせることが出来たら、今回は見逃してあげるね」

 

「「⋯⋯⋯⋯⋯⋯え?」」

 

「⋯⋯⋯⋯はい?」

 

澪真の発言に固まる三人。

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 

山打紗和(未来の狂三)だけは、無言で澪真を見つめ返す。

口封じ目的で殺しに来たわけではないと言っておきながら、あんなことを言ってきたのだ。

あれでは〝傷を負わせねば殺す〟と言ってるようなものである。

我に返った響が堪らず叫ぶ。

 

「ちょっと澪真さん!?殺しに来たわけじゃないって言ってませんでした!?」

 

「うん、言ったね」

 

「なら――」

 

「言ったけど、気が変わったんだよ。それに君達がタッグを組んだらどの程度なのかも知っておきたいからね」

 

「⋯⋯!」

 

そう言った澪真が不意に山打紗和(未来の狂三)に向けてウインクする。

その行為に山打紗和(未来の狂三)が彼女の意図を理解した。

殺すつもりはないが、二人の実力を見せろということを。

それならばわたくしは静観を務めますわ。

一方、狂三は歩兵銃を澪真に向けて不敵に笑った。

 

「ええ、ええ、いいですわよ。あなたには全戦全敗なわたくしですけれど、最後くらいは華々しく勝利をもぎ取って差し上げましょう!」

 

「そうですね。私も狂三さんを死なせるつもりはないし死ぬつもりもない。だから――最初から全力で行かせてもらうよ!」

 

紗和はそう言って初っ端から魔王の力を使うことにした。

 

「〈神威霊装・虚三番(ラシャー・ピガル)〉!」

 

先程まで狂三と同じ霊装(ドレス)を纏っていた紗和が、真っ白い軍服のような姿に変わった。

左眼の金色も、薄青の時計盤に変化していた。

そして――

 

「〈狂々帝(ルキフグス)〉――!」

 

紗和の背後に巨大な天文時計。

右手に軍刀(サーベル)、左手に短銃が収まる。

狂三がキョトンと紗和を見つめて、

 

「そのお力は『わたくし』の反転体⋯⋯魔王を紗和さんは使えますの?」

 

「うん。正確には澪真さんからの借り物だけど」

 

「とはいえ魔王が使えるのであれば心強いですわ。〈ルシファー〉⋯⋯いえ、崇宮澪真には強力なものが――〈永劫瘴獄(ベリアル)〉というものがあります。わたくしの〈刻々帝(ザフキエル)〉では太刀打ち出来ませんでしたが紗和さんの魔王〈狂々帝(ルキフグス)〉ならばあるいは」

 

「うーん。自信無いけど頑張ってみます」

 

紗和は苦笑で返した。

何せ相手は始原の精霊崇宮澪の娘・崇宮澪真だ。

正直――魔王〈狂々帝(ルキフグス)〉でも勝てる気がしない。

だがそれでも、私の狂三さんは守ってみせる!

狂三と紗和は頷き合い、それぞれ両手に天使〈刻々帝(ザフキエル)〉を/魔王〈狂々帝(ルキフグス)〉を携えて澪真を見る。

澪真は満足そうに頷いて、

 

「準備は万端みたいだね、クルミにサワ」

 

「ええ」

 

「うん」

 

「ならレマもとっておきの魔王で相手をしてあげるんだよ」

 

何?と狂三と紗和は眉を顰める。

とっておきということは澪真の切り札かもしれない。

警戒する二人に、澪真はその名を呼んだ。

 

「おいで――〈永劫祭壇(ルシファー)〉」

 

「「⋯⋯!?」」

 

驚く狂三と紗和。

何故ならその名は、澪真が自ら名乗っていたものだったからだ。

まさか彼女の魔王の名だったとは思いもしなかっただろう。

この魔王〈永劫祭壇(ルシファー)〉こそ、天使〈輪廻聖堂(ルシフェル)〉と対をなす()の魔王。

生み出すことに特化した魔王ならば、あの『翼』は戦闘には使えないはずだ。

そして今の澪真の姿は――紗和のあの時に現れた〈ルシファー〉そのものだった。

『闇』そのものと思えるような漆黒の黒髪と深淵(アビス)が覗く漆黒の双眸。

『闇』そのものを纏ったかのような漆黒のドレス。

『闇』そのものを背に生やしたかのような漆黒の六対十二枚の『翼』。

魔王〈永劫祭壇(ルシファー)〉を背に生やした澪真が微笑む。

 

「いつもは魔王〈永劫瘴獄(ベリアル)〉を使ってたけれど、今回は出血大サービスで――〈永劫祭壇(ルシファー)〉で生み出した(創った)魔王で相手をするとしよう」

 

「「「――⋯⋯は?」」」

 

素っ頓狂な声を洩らす狂三、紗和、響。

今なんと言った?

魔王〈永劫祭壇(ルシファー)〉で生み出した(創った)魔王!?

識っている山打紗和(未来の狂三)だけは、表情を強ばせた。

まさか、()()魔王を使うつもりじゃあありませんわよね!?

彼女の嫌な予感は的中してしまった。

澪真はその名を呼んだ。

 

「征こうか――〈虚無地獄(デミウルゴス)〉」

 

途端、何も無い空間から澪真を守るように禍々しい漆黒の『枝』と『根』が生えた。

それを見た山打紗和(未来の狂三)が戦慄する。

不味いですわ、あの魔王は⋯⋯!

これでは『わたくし』どころか紗和さんでも無理ですわ⋯⋯!

だってあの魔王は――

しかし無情にも澪真が笑って、

 

「じゃあ、開戦といくんだよ」

 

 

 

 

 

最初に動いたのは狂三だった。

澪真と幾度と無く殺し合いをしてきた彼女にとっては、宿敵と呼ぶに相応しい存在である。

魔王〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の権能は不明だが、魔王〈永劫瘴獄(ベリアル)〉とは異なる権能なのは明白。

ならば――先手必勝。

屋上を駆ける狂三は、紗和から少し離れた場所で止まる。

どんな強大な魔王だろうと、

 

()()()()()()()関係ありませんわ!」

 

狂三はそう言って背後の巨大な時計の文字盤の『Ⅶ』に歩兵銃の銃口を向けてそこから染み出した影を吸い取る。

そうして歩兵銃の銃口を澪真に向けて撃った。

 

「〈刻々帝(ザフキエル)〉――【七の弾(ザイン)】」

 

当たったものの時間を停止させる能力。

その影の弾丸は澪真に向かって飛んで行くが、〈虚無地獄(デミウルゴス)〉が彼女を守らんと遮ってくる。

七の弾(ザイン)】が〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の『根』に触れて――()()()()()()()()()()

 

「な⋯⋯!?」

 

驚愕する狂三。

七の弾(ザイン)】は確かに〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の『根』に当たった。

そう当たったのだ。

なのに、〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の『根』の時間は停止することなく、影の弾丸は霧散した。

意味が⋯⋯分かりませんわ。

どういうことか思考を巡らせようとするが、そんな猶予を澪真は与えない。

 

「貫け――〈虚無地獄(デミウルゴス)〉」

 

「⋯⋯っ!」

 

容赦無く狂三の胸を貫こうとする〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の『根』の切っ先。

今から時間の加速を可能にする影の弾丸――【一の弾(アレフ)】を撃ったところで回避には間に合わない!

せめて急所から逸らせるために身体を少し横にズラすのが精一杯だろう。

だがそんな窮地を紗和は、

 

「〈狂々帝(ルキフグス)〉――【天秤の弾(モズニーム)】」

 

狂三と位置を逆転させることで救った。

 

「⋯⋯!これは!?」

 

驚いた狂三は、さっきまで自分がいた方に目を向ける。

そこには、〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の『根』を軍刀(サーベル)で受け止めた紗和の姿があった。

 

「――ッ、重!」

 

虚無地獄(デミウルゴス)〉の『根』の重い一撃に顔を顰める紗和。

何とか弾き返すことに成功した紗和は、澪真の下に戻っていく〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の『根』を睨みつける。

⋯⋯〈刻々帝(ザフキエル)〉の能力が通用しない上に影の弾丸が霧散した。

けれど〈狂々帝(ルキフグス)〉の軍刀(サーベル)は何ともない。

⋯⋯⋯天使や魔王の能力を()()()()()()()だったりするのかな?

紗和はそう考察する。

だが情報が少なすぎて断定は出来ない。

ならば、と紗和は狂三に向けて言った。

 

「すみません狂三さん。ちょっと〈刻々帝(ザフキエル)〉の能力を使用しないで澪真さんを攻撃してもらえませんか?」

 

「⋯⋯?それはどういう意味ですの紗和さん?」

 

「いや、ちょっとね。〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の権能が何なのかを暴けないか試してみたいことがあるんです。協力してくれませんか?」

 

「あら、あら。何か策がおありのようですわね紗和さん。きひひ、いいでしょう。崇宮澪真に無謀に挑んでは埒が明きませんものね。乗って差し上げますわ」

 

元々無策で勝てるような相手ではないことは狂三が一番知っている。

少しでも可能性があるのならば、それに賭けるだけですわ!

そうと決まれば行動あるのみ!

狂三は短銃の銃口をこめかみに押し当て、

 

「〈刻々帝(ザフキエル)〉――【一の弾(アレフ)】」

 

時間を加速させる影の弾丸を撃った。

一方、紗和は軍刀(サーベル)で刺突の構えを取り、

 

「〈狂々帝(ルキフグス)〉――【牡牛の剣(ショール)】」

 

超加速による刺突攻撃を繰り出した。

狂三は突貫しながら影の弾丸を澪真目掛けて撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ!

全ての影の弾丸は澪真の身体に叩き込まれたが――一発も傷を付けることがなく終わる。

虚無地獄(デミウルゴス)〉で防ごうともしないのは、狂三の霊力では〈永劫祭壇(ルシファー)〉の霊装を傷付けることさえ出来ないと分かっていたからだろう。

だが――紗和の【牡牛の剣(ショール)】の一撃は、〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の『枝』が受け止めた。

 

「⋯⋯!!」

 

虚無地獄(デミウルゴス)〉の『枝』に【牡牛の剣(ショール)】を受け止められて、違和感に気が付く紗和。

その違和感とは――【牡牛の剣(ショール)】の能力が()()()()()()()()()()()()()()ことだ。

⋯⋯!やっぱり、天使だけでなく魔王の能力も無力化してる⋯⋯!

あとは、どうして狂三さんの影の弾丸は防がないのに、私の刺突は魔王で防いだのか。

実弾はそもそも通らないだろうから、影の弾丸は天使の能力で作られた弾丸だから澪真さんには通用しなかったのかな?

紗和は〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の『枝』と切り結びながら考える。

私の刺突を魔王で防いだのは、魔王の武器による攻撃は通るから?

それとも――()()霊力だから⋯⋯?

いや、違う、この力は私の霊力じゃなくて⋯⋯!?

そこで紗和は重大なことに気が付いて、狂三を見た。

虚無地獄(デミウルゴス)〉の『根』が、背を向けた紗和に襲いかかり、

 

「〈狂々帝(ルキフグス)〉――【巨蟹の剣(サルタン)】」

 

紗和は無造作に空間に軍刀(サーベル)を奔らせた。

すると紗和と狂三の間の空間を切断し、紗和が一歩前に踏み出すと――狂三の眼前に跳んだ。

 

「へ?」

 

間の抜けた声を洩らす狂三。

離れていた相手がいきなり眼前に現れたらそりゃそうなる。

悲鳴を上げないだけ響とは大違いだ。

それはさておき、紗和が狂三に言う。

 

「だいたい〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の権能が分かりましたよ狂三さん」

 

「え?それは本当ですの!?」

 

「うん。あと澪真さんに傷を負わせる方法も」

 

「な⋯⋯!?」

 

唖然とする狂三。

あれだけでもう〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の権能を突き止めましたの!?

それに崇宮澪真に傷を負わせる方法もですって!?

澪真も興味深そうに笑う。

 

「面白いこと言うねサワ。なら答え合わせといこうじゃあないか。レマの魔王〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の権能はなんだい?」

 

「うん。まず、澪真さんの魔王〈虚無地獄(デミウルゴス)〉は――天使と魔王の能力を無力化していました。狂三さんの〈刻々帝(ザフキエル)〉の能力も、私の〈狂々帝(ルキフグス)〉の能力も、〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の『枝』や『根』に触れた瞬間に力を失ったからね」

 

「⋯⋯!言われてみればそうですわね。わたくしの【七の弾(ザイン)】が〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の『根』に触れた時、時間の停止は起こらずに消え失せましたわ」

 

「そう。私の【牡牛の剣(ショール)】も〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の『枝』に受け止められた時に消え失せました。だから澪真さんの魔王〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の権能は〝無力化〟ではないでしょうか?」

 

紗和の回答に、澪真は「おお!」と驚き、

 

「正解だよサワ。母様の〈輪廻楽園(アイン・ソフ)〉の権能は、あらゆる条理を捻じ曲げる法の天使。〈永劫瘴獄(ベリアル)〉の権能は、あらゆる条理を書き換える法の魔王。どちらも自分の思い通りに法則(ルール)を改竄出来るチート権能でね」

 

「チート権能ですわね」

「チート権能ですね」

 

「だからそれらに匹敵する、レマだけの魔王を生み出した(創った)のさ。それが魔王〈虚無地獄(デミウルゴス)〉。その権能は――あらゆる条理を()()()()虚無の魔王だよ」

 

「「⋯⋯⋯⋯⋯⋯ッ!!?」」

 

狂三と紗和は絶句する。

あらゆる条理を無に帰す虚無の魔王。

それはつまり、

狂三の天使〈刻々帝(ザフキエル)〉の時間の概念を捻じ曲げる権能も。

紗和の魔王〈狂々帝(ルキフグス)〉の空間の概念を捻じ曲げる権能も。

その一切合切を無に帰すのであれば、勝ち目などないではないか。

狂三は冷や汗を流しながら言う。

 

「あらゆる条理を無に帰す虚無の魔王、ですって?わたくしの〈刻々帝(ザフキエル)〉も紗和さんの〈狂々帝(ルキフグス)〉も通用しないそんな権能を持つ魔王を相手にどう対処すればいいんですの⋯⋯?」

 

「大丈夫ですよ狂三さん。魔王〈虚無地獄(デミウルゴス)〉は確かに脅威です。けれどその魔王にも一つだけ、無に帰すことが出来ない力があります」

 

「一つだけ?⋯⋯!まさか、紗和さん。つまり――()()()()()()ですの?」

 

「うん。そういうことですよ、狂三さん。そしてこれが、澪真さん()()通用する力でもあります。そうですよね?」

 

紗和が澪真に向けてそう言うと、澪真の顔から余裕が消える。

それは肯定と受け取っていいだろう。

しかし約一名、理解出来ない者がいた。

それは――

 

「あのぅ、紗和さんに狂三さん?私なんのことかさっぱりなんですけど説明してもらってもいいですか?」

 

「え?これだけ情報が揃っているのに分かりませんの?響さんってお馬鹿さんですの?」

 

「お馬鹿ですみませんね!?」

 

「あーうん。響さん、天使の力で調べようと思えば調べられるのにそれをしないからお馬鹿なのは覆しようのない事実だね」

 

「物凄く酷い言われよう!?って、〈囁告篇帙(ラジエル)〉で調べられるんですか!?それならそうと早く言ってくださいよー!」

 

「⋯⋯天使〈囁告篇帙(ラジエル)〉ってなんですの?調べられるとは一体」

 

どういうことですの?とは続かなかった。

響が右手を前に出して、その名を呼んだからだ。

 

「――〈囁告篇帙(ラジエル)〉!」

 

響の右手に一冊の本が、〈囁告篇帙(ラジエル)〉が顕現する。

この本こそ、全知の権能を持つ天使。

響は「おお!」と驚きの声を上げた。

 

「なるほどなるほど!魔王〈虚無地獄(デミウルゴス)〉は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。また、澪真さんの霊力は、澪真さんに通用する――だそうです!」

 

そう、これこそが崇宮澪真と魔王〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の攻略法。

目には目を歯には歯を。

澪真の霊力には澪真の霊力をぶつければいい。

狂三はギョッと目を剥いて思わず叫ぶ。

 

「え?その情報が、その〈囁告篇帙(ラジエル)〉という天使の本に載ってますの!?」

 

「はい!載ってますよ!」

 

「本当ですの!?」

 

「本当ですよ!」

 

笑顔で返す響に愕然とする狂三。

まさかそんな便利な天使が存在するとは思いもしなかった。

だが法則(ルール)を改竄出来るチート権能すら持つ始原の精霊崇宮澪ならば、それくらい出来て当然なのかもしれない。

ならば、〈囁告篇帙(ラジエル)〉の全知の権能をもってすれば、あの女の殺し方も載っているのではありませんこと!?

と、そこで狂三は、そんな必要はないことに気が付く。

わたくしの目の前にはあの女の娘が、崇宮澪真がいますわ。

でしたら、彼女の霊力を()()()()ことが出来るのであれば――三〇年前に遡って崇宮澪の殺害をすることも可能ということになりますわね。

崇宮澪真が崇宮澪の娘ならば――崇宮澪の霊力を有しているのは確実なのですから。

きひ、きひひひひひひ。

ええ、ええ、きっとそうに違いありませんわ!

ああ、もうすぐですわ。

もうすぐでわたくしの悲願が叶いますわ。

わたくしの悲願が――崇宮澪を殺して、()()()()()()()()()にすることが。

狂三はふと澪真と目が合う。

その澪真は怒りの表情を顕にしながら言った。

 

()()()()()()()()()()()()。トキサキクルミ、君にはレマの母様に復讐する権利はある。それは君に許された特権だからね。けれど――母様が幸せになる権利すら奪うというのなら、レマが絶対に、絶対にやらせない。君のやろうとしていることは母様がやっていることと何一つ変わらない。母様の愛しい人を取り戻す行為も、君の全てを『なかったこと』にする行為も、どちらも手段を選ばず自分勝手で我儘な悲願だよ」

 

「⋯⋯ッ!言ってくれますわね!それならばそんな母親を幸せにする為ならば手段を選ばないあなただって同じですわよ」

 

「うん。否定はしないよ」

 

「でしたらわたくし達は互いに相容れぬ悲願を持った者同士、殺し合い、奪い合う道しかありませんわね」

 

そう言って〈刻々帝(ザフキエル)〉を構える狂三。

だが澪真は小首を横に振って否定した。

 

「レマはクルミを殺さないよ。そもそもレマにはそんな権利はないし母様にもそんな権利はない」

 

「は?」

 

「レマが目指す楽園(エデン)は、敵が存在しない誰もが幸福になれる理想郷(ユートピア)。いや、少し違うかな。()()()()()敵として――〝世界の敵〟として君臨する。この世の全ての『悪』であり、『闇』であり、『絶望』であり、世界の全てを支配する地獄郷(ディストピア)を目論む邪神にして偽りの神(ヤルダバオト)さ」

 

「な、」

 

言葉を失う狂三。

澪真の〝世界の敵〟になる覚悟は、母親の為だけではなかったということを知って。

狂三が、紗和が、響が、その他大勢が幸せになるのならば、この少女は敵になると。

と、澪真が手を叩いて、

 

「あ、そうか。レマは敵だからクルミを殺さなきゃだね」

 

「⋯⋯ッ!?」

 

ハッと我に返る狂三の眼前には、既に〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の『根』の切っ先があった。

しまった、殺られる!

狂三は死を覚悟し、

 

「させないって言ったよね?澪真さん!」

 

紗和の〈狂々帝(ルキフグス)〉が、軍刀(サーベル)が〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の『根』を弾き飛ばす。

二度も、狂三は窮地を紗和に救われた。

狂三は紗和を一度殺した憎い相手のはずなのに。

なのに、

 

「大丈夫狂三さん?」

 

そう言って紗和は狂三の身を案じてくれる。

狂三は頷いて、紗和に背を預ける。

前と後ろには〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の『枝』と『根』が待ち構えて二人を取り囲んでいた。

澪真は不意に右手を掲げて、今一度魔王の名を呼んだ。

 

「さあ、全力で屠ろうか――〈虚無地獄(デミウルゴス)〉」

 

刹那、世界が啼いた。

そして天から禍々しい漆黒の大樹が生えてきて、地上へと伸びていく。

それはまるで――〝邪悪の樹(クリフォト)〟を思わせる光景だった。

天からは〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の『根』が生え、地上へと『枝』を伸ばしている。

これは狂三と紗和を絶望させるのに余りある効果を齎した。

今まで静観していた山打紗和(未来の狂三)も、澪真が本気で現在(いま)の狂三と紗和を殺しに来てるのが痛い程伝わって来た。

ああ、また――()()()()()()()おつもりですのね。

ああなってしまってはもう結末は変わらない。

崇宮澪真の魔王〈虚無地獄(デミウルゴス)〉に為す術なく狂三と紗和は殺される運命しか残ってないのだから。

せめてこの結末を見届けよう、と山打紗和(未来の狂三)は思った。

 

 

 

 

 

虚無地獄(デミウルゴス)〉の完全な顕現を目の当たりにした狂三と紗和は、呆然とそれを見上げていた。

あんなものを相手にして、果たして勝ち目があるのだろうかと。

澪真の霊力を借りてる紗和は兎も角、狂三の霊力では最早戦いすら成立しやしない。

どうしたものかと紗和は悩み――ふと、狂三の唇に目がいった。

⋯⋯死ぬ前に一度だけ、狂三さんの唇を奪いたかったなあ。

この状況で胸中といえど出てくる言葉ではない。

我ながら何を巫山戯たことを思ってるんだか。

狂三さんとキスしたところで、何かが変わるわけでは――!?

そこで紗和はある可能性に辿り着く。

それは狂三とキスすることで――狂三に紗和の力を()()出来るのではないかという可能性に。

だが成功する確証はない、ないけれどそれでも試してみるほかない⋯⋯!

そうと決まればと、紗和は動いた。

 

「狂三さん!」

 

「なんですの紗和さん?」

 

「私と――キス、してくれませんか?」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯は?」

 

狂三の思考が一瞬停止する。

⋯⋯今、紗和さんは何と仰いまして⋯⋯?

聞き間違いでなければ紗和さんがわたくしと――わたくしとキスしようと言っておりませんでしたかしら!?

思わず口調がおかしくなるほど取り乱す狂三。

 

「さ、さささ紗和さん!?この状況で何を巫山戯たことを仰っておりますの!?」

 

「巫山戯てませんよ。私は真剣です」

 

「は、はあ!?何を言って」

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!澪真さんに追い詰められてつ、遂に紗和さんが本性を剥き出しに!?これはもうくるさわ爆誕確定演出ですか!?ありがとうございますありがとうございますありがとうございます!!この世界に生み出されて、この瞬間に立ち会えたことに、全てに感謝をッ!!!私なんかに気を使う必要はありませんので新世界の扉を開いt」

 

パァン!と顔を真っ赤にした狂三が〈刻々帝(ザフキエル)〉で響を撃った。

正確には、頬を掠めた程度のものだが。

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯私今、撃たれました?」

 

「ええ、撃ちましたわ」

 

「はい、見事に撃たれました!?」

 

危うくチビりかける響。

澪真の〈虚無地獄(デミウルゴス)〉よりも、怒らせた狂三の方が怖いと思う響であった。

まあアレは放っておいて、と狂三は心を落ち着かせるように咳払いする。

 

「⋯⋯巫山戯ては、ないんですのよね?」

 

「うん。狂三さんのファーストキスを奪いたい気持ちもありますが」

 

「ふえ!?」

 

「え?」

 

「⋯⋯こ、こほん!なんでもありませんわ!」

 

「⋯⋯???」

 

誤魔化す狂三と、それを不思議そうに思う紗和。

さっき狂三さんの可愛らしい声が聞こえたような気がしたが、気のせいだろうか?

紗和は気を取り直して咳払いした。

 

「狂三さんとキスをすることで、私の霊力を譲渡することが可能なのかなと思って」

 

「紗和さんの霊力を⋯⋯それってつまり、わたくしが澪真さんの霊力を得られるかもしれない⋯⋯ということですの?」

 

「うん」

 

「それがどうしてわたくしとキスになるんですの!?」

 

「いや⋯⋯なんとなく、口と口からじゃないと駄目な気がするんですよね」

 

「な、なんとなくですの!?そ、それならキスである必要は――きゃ!」

 

狂三が最後まで言うよりも先に、紗和が狂三を押し倒して覆いかぶさった。

それから悲しそうな顔で紗和はこう言うのだ。

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯私とはキス、してくれないんですか?」

 

「――――――ッ!!?」

 

何とも反則技を繰り出す紗和である。

そんな顔されては、嫌とは言えませんわよ。

しばしの沈黙の後、狂三は観念したように口を開いた。

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯分かりましたわ。崇宮澪真に勝つには、手段を選んでる暇はありませんものね」

 

「⋯⋯!狂三さん!ありがとう⋯⋯!大好きです!」

 

「⋯⋯っ!わ、わたくしも⋯⋯大好きですわ。⋯⋯紗和さん」

 

互いに気持ちを伝え合った紗和と狂三はキスをした。

そして――

 

「⋯⋯!?」

 

狂三の中に、膨大な霊力が流れ込んでる感覚がした。

とても優しく、温かい紗和の想いが――愛情が。

それからすぐに、紗和の身体に異変が起きた。

 

「⋯⋯え?」

 

狂三とのキスを無事終えて起き上がろうとした紗和の身体は、力が入らない。

更に意識がまばらになり――狂三の胸に倒れ込んで意識が途切れた。

 

「さ、紗和さん!?」

 

狂三は慌てて上体を起こし、紗和の容態を確認する。

 

「え?」

 

狂三は思わず目を丸くした。

何故なら、紗和が顕現していた〈狂々帝(ルキフグス)〉と、霊装が消えていたからだ。

狂三の腕の中で眠っている紗和の姿は――あの時の制服を着ているものに変わっていた。

狂三は紗和をお姫様抱っこすると、こちらを色めき立つ目で見つめては黄色い奇声を上げる響――ではなくその隣にいる山打紗和(未来の狂三)に託した。

 

「紗和さんのこと、お願いしますわ『わたくし』」

 

「ええ、承りましたわ『わたくし』。それで『わたくし』はこれからいかがしまして?」

 

「勿論――崇宮澪真を倒しに行きますわ。止めませんわよね?『わたくし』」

 

「止めませんわ、『わたくし』。それに今の『わたくし』は――自信に満ち溢れておりますもの。ならばわたくしの役目は黙って見送るだけですわ」

 

「流石は『わたくし』ですわね。ええ、ええ、自信しかありませんもの、今のわたくしは。だって――()()()()()()()、そんな気がしますわ」

 

そう言って狂三は、始原の精霊崇宮澪の娘・崇宮澪真の下へ征く。

その背を見送った山打紗和(未来の狂三)は、一人呟いていた。

 

「⋯⋯初めて起こった事象、ですわね。この世界は今までとはまるで違う結末が起きそうな予感がしますわ。そうは思いませんかしら――‪■■さん?」

 

『⋯⋯そうだな。もしこの世界の結末が変わるのなら――()もようやくあの子に恩返しが出来る』

 

山打紗和(未来の狂三)とは別の、■■と呼ばれた男の声が返した。

そんな彼の言葉に頷いた山打紗和(未来の狂三)が言う。

 

「ええ、そうですわね。あの子とわたくし達のやり直しはそれはもう、気が遠くなる程の時間を過ごして来ましたもの。いい加減、報われる世界に巡り会えてもいいじゃあありませんの」

 

『⋯⋯ああ。今度こそ、俺はあいつを――澪真を救ってみせる。()()()俺を救ってくれたように、今度は俺が⋯⋯!』

 

「あら、あら、まあ、まあ。‪■■さんったら、いくら澪さん大好きだからといってその娘さんにまで手を出してはいけませんわよ?」

 

『いや流石に澪真には手は出さねえよ!?ったく、変なこと言うなよ。んなこと間違えても澪には吹き込むなよ?じゃねえと俺が死ぬ!殺される!』

 

叫ぶ‪■■。

それを楽しげに笑う山打紗和(未来の狂三)

と、急に騒がしくなり始めた。

 

『む?今狂三の声がした気がしたぞ!‪■■!居ないと思ったら彼方の世界(あっち)に行ってるのか!なら私と変わってくれ!』

 

『と、■■!?ちょ、押すなって!』

 

『私と変わって■■。彼女のことだから一人抜け駆けして()と出会ってる可能性が高い』

 

『いや今そんな状況じゃねえよ!?』

 

『むん。主様が近くに居るのなら■■と変わるのじゃ■■』

 

『だから違うと言って――』

 

ブツン。

隣界(むこう)との連絡が途絶えた。

なんというか、隣界(むこう)の方はいつも通り賑やかであった。

ふう、と息を吐く山打紗和(未来の狂三)は、〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の中心に移動した二つの影を眺めながら呟く。

 

「さあ、さあ、どんな結末に至るか――見届けさせてもらいますわよ『わたくし』と澪真さん」

 

 

 

 

 

虚無地獄(デミウルゴス)〉は狂三を歓迎するかのように中へと招き入れ、彼女が中へ入ると同時に澪真の世界への入口は――閉じた。

これで中には誰も入って来れないし、この中を見る権利を持つ者以外は見ることさえ不可能となった。

見る権利を持つものは――紗和と響、山打紗和(未来の狂三)の三人だけである。

 

「お待たせしましたわ、崇宮澪真」

 

「サワとのお楽しみは終わったようだね、クルミ」

 

「⋯⋯ッ!!?」

 

「まあ、今の君からは凄まじい力を感じるから油断ならない相手と思っているよ。それに君はどうやら――〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の世界にいても平気みたいだしね」

 

そう言って澪真が両手を広げる。

すると〈虚無地獄(デミウルゴス)〉が蠢動して、『枝』と『根』を幾本も彼女を守るように展開していく。

一方、狂三は深呼吸をした後、新たに使用可能となった霊装(ドレス)を纏うことにした。

 

「――〈混沌霊装・三番(エロヒム・ピガル)〉」

 

「なに?」

 

澪真にとっても予想外の霊装(ドレス)の名を聞いて眉を顰める。

それは天使と魔王の同時顕現を可能にするものにしか纏うことが許されない混沌霊装(カオス・ドレス)のはずだ。

神威霊装・三番(エロヒム)〉と〈神威霊装・虚三番(ラシャー・ピガル)〉を同時に纏わせることで生まれた霊装(ドレス)――〈混沌霊装・三番(エロヒム・ピガル)〉。

それを狂三が纏ったのだ。

そして狂三の姿が変わる。

髪と服が白と黒の混ざった見た目となり、頭には白黒のカチューシャにドレスと軍服が入混ざった奇抜な霊装(ドレス)となった。

狂三の纏ったものは紛うことなき、完璧な混沌霊装(カオス・ドレス)だった。

さらには彼女の右眼は金色の時計盤が、左眼は薄青の時計盤が刻まれている。

ならば次は――

 

「参りますわよ!〈刻々帝(ザフキエル)〉!――〈狂々帝(ルキフグス)〉!」

 

狂三は天使と魔王の名を呼んだ。

すると彼女の右斜め後ろに巨大な時計の文字盤が現れ、右斜め前に短銃と歩兵銃が宙に浮いた状態で顕現する。

左斜め後ろに巨大な天文時計が現れ、左斜め前に軍刀(サーベル)と短銃が宙に浮いた状態で顕現する。

今や狂三が有する権能は――〝時間〟と〝空間〟の両方を捻じ曲げることが可能だ。

加えて〈輪廻楽園(アイン・ソフ)〉の第三領域(ビナー)だけでなく、〈永劫瘴獄(ベリアル)〉の第虚三領域(シェリダー)の二つを有する混沌領域(カオス・アーマー)を纏っている。

如何に澪真の有する第虚一一領域(■■■)が強力な霊装(ドレス)であっても、今の狂三の攻撃に耐えられる気がしない。

ならばこちらも天使〈輪廻聖堂(ルシフェル)〉を顕現させて第一一領域(ダアト)も有する混沌領域(カオス・アーマー)を纏うべきか。

否――トキサキクルミが覚醒したのならば、レマは⋯⋯()()()は君を歓迎しようじゃあないか。

澪真は笑みを浮かべて言った。

 

「ふふ。ああ、見事だトキサキクルミ。今の君ならば、わたしを殺すことも可能だろう」

 

「⋯⋯!!」

 

「ゆえに、わたしも全力で応えるとしよう」

 

「⋯⋯え?」

 

狂三が声を洩らす。

澪真は右手を前へ出してその名を呼んだ。

 

「――〈万象祭壇(アイン・ソフ・コーシェク)〉」

 

ぞわりと狂三の全身に悪寒が奔った。

澪真の遥か頭上に、禍々しい漆黒の巨大な球体が顕現する。

それから球体の表面が波打ち、その形を徐々に変貌させていく。

まるで蕾が開花するように展開する。

そして、その中心から狂三に向かって無数の『闇の粒』が降り注いだ。

これに狂三は、左側に浮いていた軍刀(サーベル)を手に取り、自分の頭上の空間に向かって振り抜いた。

 

「〈狂々帝(ルキフグス)〉――【山羊の剣(グティ)】」

 

「⋯⋯!」

 

澪真はその能力を知っている。

空間を斬り裂くことで入口を作る能力、それ即ち――空間歪曲(ワープ)を発生させる能力だ。

そして任意の位置に出口を発生させ、そこへ瞬間移動を可能とするものだ。

簡単に言うと、〈封解主(ミカエル)〉の【(ラータイブ)】で空間に孔を開けて移動する手段と変わらない。

だが〈狂々帝(ルキフグス)〉の能力に、斬り裂いた空間を閉じる方法は無いため、入口と出口はそのまま残ってしまうので、作りすぎてしまうとどの入口がどこの出口と繋がっているのか分からなくなる可能性があるため無闇に使用することは出来ないのが難点か。

その【山羊の剣(グティ)】の出口は――澪真の頭上。

 

「⋯⋯〈虚無地獄(デミウルゴス)〉」

 

澪真は頭上に〈虚無地獄(デミウルゴス)〉の『根』を動かして、自分自身に降り注ぐ〈万象祭壇(アイン・ソフ・コーシェク)〉の無数の『闇の粒』を虚無の魔王の権能を使って無に帰すことで凌いだ。

別に当たっても死ぬことはないが、痛いのはもう懲り懲りらしい。

ふう、と息を吐いた澪真が言った。

 

「さて、わたしと君との最後の殺し合いといこうじゃあないか。かかってきたまえ、わたしの愛しい義姉(ねえ)様」

 

「あなたの義姉(あね)とか死んでもごめんこうむりたいですわ!」

 

そう言いながら突貫する狂三。

かくして、始原の精霊崇宮澪の娘・崇宮澪真と時崎狂三の最後の殺し合いが始まった。




はい、終わりませんでした!
紗和フレンド Ⅴで終了に変更します(*・ω・)*_ _)ペコリ

オリジナル設定の説明

〈神威霊装・虚三番〉、読み方はラシャー・ピガル。
前作の〈ファントムの娘〉(更新はしないので完全非公開)を見てくださっていた方々なら馴染みがあるかもしれませんが、元ネタはルキフグスの魔神名です。
対応の領域は魔王〈永劫瘴獄(ベリアル)〉が創る隣界の第虚三領域(シェリダー)。

魔王〈永劫祭壇〉、読み方はルシファー。
権能は、天使〈輪廻聖堂(ルシフェル)〉と同じ生み出すことに特化した魔王です。
新たに魔王を生み出すことが可能で、今回登場した、あるいは再登場した魔王を生み出したのも〈永劫祭壇(ルシファー)〉の権能によるものです。
霊装の名は共に不明
対応の領域は魔王〈永劫瘴獄(ベリアル)〉が創る隣界の第虚一一領域だが闇のダアトもダアトらしいので■■■にしときました。
天使〈輪廻聖堂(ルシフェル)〉の対応の領域は天使〈輪廻楽園(アイン・ソフ)〉が創る隣界の第一一領域(ダアト)。

魔王〈虚無地獄〉、読み方はデミウルゴス。
魔王〈永劫祭壇(ルシファー)〉の権能で生み出した魔王の一つ。
権能は、あらゆる条理を無に帰す虚無の魔王。
霊力を持たないものはそもそも近くにいるだけで虚無(エンプティ)にされるほど強力。
同格の天使か魔王、格上の天使か魔王、澪と澪真の霊力以外を一切合切無に帰すため、使い勝手の悪い魔王でもある。
バッドエンドのように澪や澪真が自らの死を望めば、〈虚無地獄(デミウルゴス)〉で自害することも可能。
ちなみに霊装を纏わないと澪真は死にます身体は人間なので以降無限ループ。

魔王〈万象祭壇〉、読み方はアイン・ソフ・コーシェク。
魔王〈永劫祭壇(ルシファー)〉の権能で生み出した魔王の一つ。
権能は天使〈万象聖堂(アイン・ソフ・オウル)〉や魔王〈極死祭壇(アティエル)〉と基本的には変わらない万物を殺める魔王だが、一つだけ別の権能が備わっている。
それはまだ秘密です。
ヒントは、ウェスト何某さんが喜びそうな権能。
この魔王も、同格の天使と魔王、格上の天使と魔王、澪と澪真の霊力以外を一切合切殺めるため、〈虚無地獄(デミウルゴス)〉と同様使い勝手の悪い魔王である。
ちなみに霊装を纏わないと澪真も死にます身体は人間なので以降無限ループ。
〈万象祭壇(アイン・ソフ・コーシェク)〉の元ネタは、無限光の対をなす無限闇です。

魔王〈■ ■〉、読み方はカオス。
魔王〈永劫祭壇(ルシファー)〉の権能で生み出した魔王の一つ。
権能はまだ秘密ですが、澪真達のやり直しに必須の混沌の魔王。
同格の天使と魔王は一体ずつしか存在せず、この魔王を生み出した魔王〈永劫祭壇(ルシファー)〉さえ格下らしい。

〈混沌霊装・三番〉、読み方はエロヒム・ピガル。
〈神威霊装・三番(エロヒム)〉と〈神威霊装・虚三番(ラシャー・ピガル)〉を同時に纏わせることで生まれた混沌霊装(カオス・ドレス)。
第三領域(ビナー)と第虚三領域(シェリダー)を有する混沌領域(カオス・アーマー)なため容易に破れない。
ちなみに混沌霊装(カオス・ドレス)と混沌領域(カオス・アーマー)を有するには澪真の霊力は必須です。
澪の霊力ですら顕現不可能なのは、混沌=半精霊(精霊と人間の混血)だからだとかなんとか。

未登場の能力

【山羊の剣】、読み方はグティです。
デアバ2巻にそれっぽい能力があったのでそれに追加した感じです。
斬り裂いた空間に入口が出来、任意の位置に出口を生み出せる能力。いわゆる空間歪曲(ワープ)。
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