河原の囲碁   作:西風 そら

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~前年の6月~ SAI

SAI―1

 

 棋院には、プロを目指す子供達の為の専門の研修機関がある。

 院生と呼ばれる彼らは、成績順で1組と2組に分かれ、師範の指導を受けながら日々棋力を磨いている。

 

 この日の対局表を見た進藤ヒカルが、席を確認して不満の声を上げた。

「俺、1組なのに、何で今日の席、2組の、しかも一番ドンケツの場所なんだよ」

 

――ヒカル、落ち着いて――

 

 佐為(さい)が横からたしなめる。

 でも、そう、悪い予感が的中してしまったみたいだ。

 

「申し訳ないね、進藤君、福井君」

 院生師範の篠田が、席表を確かめながらやって来た。

 

「画家さんの指定でね。ほら、今日から、研修風景のスケッチに画家さんが来るって言ってあっただろう? メインで描く子供を数人決めて、その子の席は固定してくれって頼まれたんだ」

 

「うわあ、僕、モデルになるの?」

 福井が頓狂な声を上げた。

 

「いや、福井君には気の毒だけれど、指定されたのは進藤君。今日から四・五日そのはじっこの席になるけれど、手合いには影響しないだろう?」

 

「うん、それなら仕方がないや。いいよ!」

 ヒカルは、従来のポジティブさで、軽く切り替える。

「他には誰が指定されたの?」

 

 篠田が教えてくれたのは、年齢性別バラバラの、外見にも一貫性の無い面々だった。

「むぅ、カッコイイから選ばれたって訳でもないみたいだな」

 

――そう、多分、これは、こじつけ……――

 

(ちぇっ、佐為はまたそうやってネガティブになるぅ)

 

 先程からヒカルと話しているのは、藤原佐為(ふじわらのさい)。

 平安時代に生きた棋士。

 ヒカルにしか見えない聞こえない、ヒカルの側から離れられない。

 いわゆる、ヒカルに憑依している幽霊だ。

 と言っても悪さをする意思も能力も無く、本人至って呑気で迎楊(おうよう)。

 目下のポジションは、ヒカルの囲碁の先生。

 

――あの女性……――

 

 佐為は、道場の反対側、皆から距離を置いた隅っこの板の間にイーゼルを立てる色の白い女性を、チラと見た。

 

――先程、エレベーターの出口ですれ違った時、ぜったい目が会いました――

 

(気のせいだよ、佐為)

 佐為と出会って一年半になるけれど、彼に気付く人間には遭遇した事がない。

 

――その後こんな、自分から一番遠い席を指定するなんて。意識的に遠ざけているとしか思えません――

(何で意識的に遠ざけるんだよ?)

 

――そりゃ、怖いんでしょう。普通の女性は怖がりますよ。幽霊ですよ、私、ユーレイ! この前チラッとテレビで見た『映っちまったシリ―ズ』など、全身総毛立つ恐ろしさだったではありませんか――

 

(あんなの作り物に決まってるだろ。モノホンはお前だけで十分だっつーの)

 

 時間が来て福井が向かいに座ったので、ヒカルは対局に集中する。

(分かったよ、佐為。昼の打ち掛けの時に確かめてやるよ)

 

 囲碁というのは、真面目に打つと一局にけっこう時間がかかる。

 対戦の途中でも、篠田師範の合図で、皆一斉に昼食休憩に入る。

 

 『邪魔をしないように』とのお達しはあったが、そこは子供の好奇心。

 画家女史の周囲に、小さい子が群がった。

 

「これなあに?」

「パステルよ」

「これなあに?」

「練りゴム~」

 

「何で院生なんか描いているの?」

「さあ、なんでだと思う?」

「しょーぞーけんが安いからだ――」

「あはは」

 

 それなりに子供の相手もしてくれているなと、篠田は安心して自分の待機室に向かった。

 

 ―――― パキッ ――――

 

 乾いた板が割れるような高音。

 昼食に手を掛けようとしていた篠田は、慌てて部屋を飛び出た。

 先程イーゼルの周囲に居た子供が、廊下を駆けて来る。

 

「篠田せんせぇ、カミナリ落ちた! カミナリ!」

「?? カミナリ??」

 

 子供に引っ張られた先のロビーの自販機の前で、進藤ヒカルが尻モチをついている。

 その奥、少し離れた壁際に、カヤコが、うずくまって倒れていた。

 

「カヤコさん!」

 

「先生!」

 

 駆け寄ろうとした篠田に、年長の院生が大声で止めた。

 彼は両手を広げて、子供達をも制止している。

「漏電かもしれません。火花を見たんです」

 

「えっ、漏電?!」

 篠田は蒼白になって、自らも子供達を反対側へ押しやった。

「進藤君、大丈夫か、進藤君!」

 

 尻モチを着いていたヒカルが振り返る。

「俺は大丈夫、でもあの女の人が」

「動けるなら立ってこちらへ来なさい。 カヤコさん!」

 

 壁際の女性もピクンと動いて身を起こした。

 篠田は心臓をバクバクさせながらも、胸を撫で下ろした。

 

 

SAI―2

 

「自販機って漏電するの? アースとか付いているんじゃなかったっけ?」

 三角コーンとロープの張られた自販機横を、院生達が窮屈そうに通り過ぎた。

 

「でも見た奴の話じゃ、天井の蛍光灯も眩しい位に光ったんだって。電気系統の何か異常だったんだろうな」

「一階までジュース買いに行くの、メンドクサーイ」

「怪我人が出なかったから良かったよね。明後日の月曜には業者が来るってさ」

 

 彼らから少し離れて、ヒカルがうつ向き加減に帰途に着く。

 

――ぜったい私のせいですね……――

 

「ちげーよ! 漏電だよ漏電。偶然だって言っただろ。

今までこんな事、一度も無かったんだから」

 ヒカルの言葉は無理矢理自分にも言い聞かせているみたいだった。

 

 あの後、営繕の人間が来て、ゴム長ゴム手袋のものものしい装備で、自販機の電源を切ってコンセントを抜いた。あと念の為、周辺に立ち入り禁止のロープを張った。

 

 倒れていたカヤコに怪我はなかった。

 「ビリッときて驚いた」、とだけ言って午後も普通にスケッチ作業を続け、ヒカルが福井ともう一局打っている間に、さっさと片付けて帰って行った。

 

「俺はただ、後ろから声を掛けただけなんだ」

 

 子供達に囲まれていたカヤコは、ヒカルが立ってこちらへ来るのを見て、「お茶買って来る」と、逃れるようにカンバスを離れた。

 その様子にムッとして、ヒカルは、販売機の前で背を向けているカヤコに、足音を忍ばせて近寄ったのだ。

 

「ねえ」

 

「ひっ」

 

 振り向いた女性の怯えた顔。

 

 それを見て、佐為が思わず、

――私は怖い者ではありません!―― と叫び、 

 

 次の瞬間、その場がカッと光ったのだ。

 

「カヤコさんの電話番号?」

「うん、えーと、今日の事心配で、大丈夫かなーって」

 佐為があまりに気にするので、篠田先生に電話番号を聞いて、誤解を解く事にした。

 でもぜったい佐為の取り越し苦労なんだから。

 

「うん、ごめんね、女性の電話番号だし、教えるのはちょっと。君が心配していたって、ちゃんと伝えておくから」

 

 篠田にしたら、桑原本因坊宅の電話番号を安易に教える訳には行かないのと、カヤコが桑原の身内というのもあまり広めるべきではないとの思いがあった。

 

 

 進展しないまま帰宅するヒカル。

 佐為はずーんと沈んでいる。

 

 彼が憂鬱だと、ホンの少しだがヒカルにも影響するのだ。

 胃がムカムカして吐き気がする。

 でも今そんな事を言うとますます彼がヘコむのが分かっているので、ガマンしてその日は早く休んだ。

 

「明日の日曜も、あの人居るんだよなあ・・」

 

 

 日曜朝の手合い場。

 時間ギリギリに行くと、色の白い女性はもうカンバスに向かって手を走らせている。

 反対側の入り口から目をそらしながら端っこの定位置に向かう。

 

「えっ?」

 座布団の前、碁盤との間に隠すように、小さな紙袋が置かれていた。

 女子がよく使う、何の役に立つんだよってくらい限りなく小さい手提げ袋だ。

 バレンタインにあかりにこんなの貰った覚えがある。

 

 顔を上げて、遠くの板の間を見た。

 カンバスの影から、女性がこちらを見ている。

 

 手提げ袋のあった位置を指差し、次にその指を女性に向けた。

 女性は会釈するようにうなずいた。

 

 

SAI―3

 

 佐為は、ヒカルの対局中はぜったいに口出しをしない。

 扇を口許に当てて、黙って静かに見据えているだけ。

 

 自分はヒカルの影で、この子の囲碁人生をただ見守るだけの者だと得心している。

 

 どうしようもないのだ。

 どうやら自分は強すぎる。

 

 まだ出会って間もない頃、ヒカルは囲碁に興味が無かったので、何も考えずに自分の望みに応じてくれた。

 街の囲碁道場に赴き、その辺の適当な者と、自分の指示通りに何局か打ってくれたのだ。

 その数回の内に、たまたま鬼のように執念深い者に当たって、今それで結構苦労している。

 

 ヒカルが気を使って、ネットカフェでインターネット囲碁をやらせてくれた時も、気が付いたら世界中で大騒ぎになっていた。

 傍(はた)から見たらマウスを持っているのはヒカルなのだから、万が一見付かったら、世界中のあんな怖い執念深い者にヒカルが追い回される羽目になる。

 

 とにかく、ヒカルが己の力で平穏に囲碁の道を進んで行けるよう、自分は控えなければならないのだ。

 

――本当は、とっても打ちたいんですけれどね……――

 

 という訳で、囲碁以外のシーンで佐為のストレスは暴走する。

 

――何でしょう、何でしょう。ヒカル、早く開けてみましょうよっ――

 

 昼休みの棋院裏庭。

 朝に貰った紙袋が気になって気になって、昼休みの号令と同時に、佐為はヒカルをせっ付いた。

 

「まあ待てよ、しかし女子ってのは、何でこんな小さい袋をいちいちシールで止めるんだろうな。

……よし、開いた」

 

 こんな可愛い袋、奈瀬あたりに見られたら、何を言われるか分からないと、うるさい佐為を引き連れてここまで走って来たのだ。

 

「手紙……それと、何か、四角い包み?」

 

 手紙は、白い和紙の素っ気ない便箋に、<昨日はびっくりしましたね>との一行。

 

「これだけ?」

――そちらの包みは?――

 

「クッキ―とかじゃねえの? あっそうか」

――ヒカル?――

 

「きっと、篠田先生、俺が心配してたって伝えてくれたんだよ。それのお礼じゃないかな。大勢の中で渡せないから、そっと置いてってくれたんだよ」

――はあ、それは律儀な――

 

「何にしても、物をくれるってのは、嫌われていない証拠だよ。やっぱお前の取り越し苦労だ。良かったな、佐為」

 

 その日の午後は女性と目を合わせる事は無かったけれど、佐為は、もう彼女の事を気にするのはやめようと思った。

 千年もの時を過ごしても、自分の存在を分かってくれる者には、たったの二人にしか出逢えなかったのだ。

 その一人の大切なヒカルに、これ以上負担をかけてはいけない。

 

 自宅に戻り、食事を済ませて部屋に上がる。

 

「あっ、これ、生物(なまもの)じゃないだろうな」

 ヒカルは思い出して、バッグパックから紙袋を引っ張り出した。

 ガサガサと包みを開く。

「??」

 

 白い箱から出て来たのは、白い陶磁器の湯呑みだった。

 口がラッパ型に開いた上品な奴だ。

 

「何でこんなの。俺、中学生男子だぜ」

――桜の花びらの『透かし』が入っていますね――

 

「ん? ああ、ホントだ」

――光に透かしてご覧なさい――

 

 言われて蛍光灯にかざすと、花びらが白く浮かび上がった。

 

「へえ、キレイだな」

――透かし彫りって技法ですよ。 上品なプレゼントですね――

 

「食い物の方が良かったけどな……ととっ、まだ何か入ってた」

 箱の隅にあった、小さなジフロックの袋。

 中には、直径七ミリ程のエンジ色の玉が十個程。

 

「んんん? 食い物か?」

――袋に何か書いてあります――

 

 < 玉1つ・熱湯80cc >

 

「ホンット、素っ気ないな!」

――ヒカル、早く早く――

 

 ヒカルが一階から持って来たポットで、玉を入れた湯呑みに湯を注ぐ。

 

――おお!――

 

 エンジ色の玉がほぐれて、淡いピンクの桜の花が開いた。

「手品みたい、これ、桜茶って奴?」

 ヒカルが持ち上げると、外側からピンクの色が透かされて、それも美しい。

 

「ううっ?」

 一口含んだヒカルが、湯呑みを下に置いた。

「香りは凄く良いけど、めっちゃしょっぱくて、塩の味しかしない」

 

――そうなのですか? こんなに綺麗なのに――

 と、薄ピンクに染まった湯の中にたゆたう桜花を見つめて、佐為は、はたと気付いた。

 

 これは、目で愉しむお茶なのだ。

 持つ事も味わう事も許されない……

 見る事しか出来ない……

 自分の為のお茶なのだ。

 

 あの女性は、自分へ、これを、贈ってくれたのだ。

 

 

SAI―4

 

 次に院生研修に行くまでの一週間が、佐為には待ち遠しかった。

 

 早くお礼を伝えたかった。

 しかし、自販機の前の事件を忘れてはいけない。

 どうすれば良いのだろう。

 

 土曜・・少し早い時間に、いつもの指定席にヒカルと共に座る。

 女性はもうカンバスの前に座っているが、こちらを見て小さく会釈した。

 

 そこで佐為は、右手を挙げて指を一本立ててみた。

 女性はちょっと考えてから、パステルを左手に持ち変えて、右手の指を一本立てた。

 

 はやる心を抑えて佐為は、次は指を三本にした。

 女性は三本指を立てた。

 

――見えている!――

 

(マジかよ、うわぁ)

 佐為に言われて半信半疑だったヒカルも、素直に驚いている。

 

――ヒカルっ、次の作戦ですっ――

(う、うん)

 

 佐為が今度は、右手で石を持つ形を作った。

 女性が真似する前に、ヒカルが黒石を一つ持って、空中で静止している佐為の指の間にピタリと合わせる。

 そうして二人同時に女性を見て、ニッコリうなずいた。

 

 ここで女性は、今までにない驚愕の表情をした。

 

――やっぱり・・――

 

 彼女は、佐為がヒカルに憑いているのは見えていても、『ヒカルに佐為が見えているかどうか』は分からなかったのだ。

 

――だってヒカル、もしも私に出会っていなくて、誰かに『貴方の後ろに居る人が怖いから私に近付かないで』って言われたら、どう思います?――

 

「こいつ頭おかしいのか? って思うな」

――そうでしょう?――

 

 だからどっち付かずの手紙を送り、『たしかめる』ような贈り物を寄越したのだ。

 ヒカルが幽霊に憑かれている自覚がなければ、『なんかハズした贈り物』で済ませられる。

 

 佐為は、再びカンバスの影に隠れてしまった女性の方を見て、目を臥せてささやいた。

 

――今までに、沢山の失敗を重ねて来てしまったのでしょうね……――

 

 

 

 カヤコが昼休憩を済ませてカンバスに戻ると、イーゼルの台座に白い封筒が置いてあった。

 

 遠くであの二人がこちらを向いているので、小さく会釈する。

 二人は顔を見合わせて、嬉しそうに笑い合っている。

 

(仲が良いんだな…)

 

 あの子供の事はよく分からないけれど、隣に居る人は、そこそこ格の高い人だ。

 トモダチ程ではないけれど。

 

 

 

<こんにちは

この間は、後ろから脅かしちゃってごめんなさい。

それから、イカした湯呑み、ありがとう。 

佐為も喜んでます。

進藤ヒカル

 

初に文を差し上げます。

藤原佐為と申します。

過日は大変失礼致しました。

あと、素晴らしい贈り物をありがとうございます。

たいそう嬉しゅうございました。

つきましては、あなた様と言葉を交わせればと思いまして、

連絡方法等をご提示頂ければありがたく存じます>

 

「佐為、お前の文章、堅ってぇよな。 見てよ、俺の字とのこのアンバランス感」

――ヒカルも、大人の女性相手にくだけすぎですよ――

 

 そんな事を言い合いながら書いた手紙を、昼休みに画家女史のイ―ゼルに置いた。

 そのついでに、描きかけの絵をしげしげ眺めた。

 絵はまだ下描きで、茶とグレ―の線しかないけれど、柔らかい感じだな、と思った。

 

「この奥に居るの、俺かな?」

 ―こっちは和谷でしょうか、よく特徴を捉えていますね―

「出来上がるのが楽しみだな」

 

 帰宅すると、佐為の前に湯呑みを置いて、茶を入れた。

 佐為は嬉しそうに目を細めていた。

 

 

 翌朝、座布団の前に目立たぬように手紙が挟まれていた。

 

 白い和紙に、今度は何行も、女性らしい細い文字で、

 

<自分は霊障体質で、強い霊に近寄ると、相手の良い悪いに関係なく、体調に異変をきたしてしまう事。理屈は分からないけれど、先日の自販機前の事件は、自分が原因である事。

今ぐらいの距離を保っていれば大事無いので、申し訳ないけれど協力をして欲しい事>

 が、説明口調で箇条書きされていた。 そして、

 

<こんなだからお互い関わらない方がいいと思う。

でもどうしても必要になった時だけ連絡して下さい>

 と、12桁の携帯番号と、桑原カヤコという名が記されていた。

 

「ホント、素っ気ないよなあ。けど、電話番号教えてくれるって、佐為の事を大事に思ってくれている証拠だよ、なっ」

 

 沈んでしまった佐為に、ヒカルが一生懸命元気付けようと話し掛ける。

 

――・・私・・幽霊なんですね、今更だけれど・・・・――

 

「そうだよ、幽霊だよ。でも幽霊になって千年も生きたからこそ、俺に逢えたし、あのカヤコさんにも逢えたんじゃん。俺、佐為に出逢えてよかったもん」

 

――・・ヒカル・・――

 

「それに、俺以外にも佐為が見える人間がいるって分かったじゃん。これから俺が死ぬまでに、もっと大勢、霊障を起こさない奴にも会えるかも。そしたら佐為を囲んで、賑やかにわいわい、今よりもっと、色んな事が出来るぜ」

 

――ヒカルったら・・――

 

「寂しがってる暇なんかないぜ」

 

――ええ、ええ、そうですよね、ヒカル・・――

 

 

 その時は、本当にそう思って、二人で過ごす未来を心に描いていた。

 

 カヤコとは、彼女の下描きの仕事が終わって、棋院に来なくなってから、会わなくなった。

 

 数週間後に、棋院ロビ―に篠田大絶賛の絵が掛けられた後、絵の恩師に同道して海外留学に行ったと、囲碁サロン常連の北上という男性から聞いた。

 

 だから、ヒカルが彼女を本当に必要とした時には、連絡が取れなかった……

 

 

 

 


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