春の只中の早朝、淡い日の光が朝靄に煙る清々しいひと時。
そこに突き刺さるように響き渡るのは、威勢の良い少女の掛け声と叩き込まれる打撃音の連続だ。
「フンッ! フンッ! フンッ!」
発生源はとある武家屋敷然とした佇まいを持つ邸宅の広い庭。鹿威しに錦鯉の遊ぶ池という日本庭園に、しかし鉄アレイやバーベルなどのトレーニング器具が視覚の不協和音を生み出している。
少女……響がグローブを嵌めた拳で殴りつけているのも、庭木の一本に吊り下げられたサンドバッグだ。暗い色調のスウェットを上下に纏った姿は、どこか往年のボクサー映画を彷彿とさせる。
「そうじゃない!」
と、そこへ横から激しい激が入れるのは、屋敷の主でもある弦十郎だ。彼は鍛え抜いた体をジャージの上下で包み、肩にタオルをかけながら腕を組んで巌のように佇んで、響を見守っていた。
「雷を喰らい、稲妻を握り潰すように打つべし!!」
「言ってること全然わかりません!!」
手を休め、振り返った響の口から出たのはそんな即答だ。これについては彼女のみならず、あるボクサー映画のファン以外のほとんどの人間は理解不能だろう。
だが彼女は、再び構えながら改めてサンドバッグにに向き直る。
「でも、やってみます!!」
目標を見据えながら集中し、身の力と意思を諸共に溜めていく。そして胸の内の鼓動がドクンと一際高鳴るのを感じて、
「―――フンッッ!!!」
引き絞った弓を放すかのごとく、力を開放して拳をぶちかました。
果たして炸裂した一撃は、サンドバッグを括りつけていた枝をへし折り、池に叩き込んで錦鯉を跳び上がらせた。
紡いだ結果に響は一時ぼうっとするが、すぐさまその成果に喜色満面の笑みを浮かべる。そしてそれは彼女だけではない。
「こちらもスイッチを入れるとするか」
両手にパンチングミットを装着した弦十郎は、不敵な笑みを浮かべながらやる気を総身に漲らせる。そんな己の師に響は感謝とやる気を込め、勢いよく頭を下げた。
「はい!! お願いします!!」
立花 響。
彼女の修行はこれからが本番だ!!!
***
「………あっちは大分張り切ってるな」
屋敷の台所で、しみじみとそう呟いたのは赤いエプロンを付けた士郎だ。コンロの前に立つ彼は、味噌を溶かした鍋をかき混ぜている。
その場には、炊事場に相応しい食欲を誘う芳しい香気に満ちていた。
と、その場に居合わせるもう一人が彼へと声を投げる。
「でも、あんなやり方でいいんですか?」
そう尋ねるのは、薄紫のエプロンを装着した未来だ。セミロングの髪が今は後ろに纏められ、ポニーテールのような形になっているのは見慣れていない士郎の眼には新鮮に映る。
それはさておき。
未来が言う『あんなやり方』とは、今もなお元気よく声を響かせている響の訓練についてだ。
弦十郎の監督のもと行われているそれは、今やっているところだけを切り抜いてみて見ればまともに見えなくもない。だがその由来となっているモノを考えると、彼女としては思わず頭痛を覚えそうな気になってくるのだ。
「アクション映画が参考資料って、正直けっこー不安なんですけど」
「あー……」
掌の上でサイコロ状にした豆腐を鍋に投入しながら、士郎は思わず微妙な声を上げる。
実際、多分に弦十郎の趣味が盛り込まれた特訓内容であることは確かである以上、未来の懸念はもっともであるとしか言えない。
さて、そもそもどうしてこういうことになっているのか。
それは話を士郎と響の激突よりしばらく、二課の食堂でのなし崩しの大宴会の直後にまで遡らなければならない。
これからも戦うことを決意した響であったが、実際問題として戦闘能力には不安しかないのが現実だ。
そこで彼女は強くなるために本格的に特訓をすることを決意したのだが、問題はその教えを乞う相手であった。
まず最初に彼女が頼んだのは同じガングニールの装者である奏だ。奏自身はこれを快諾しようとしたのだが、残念ながら慎次からのインターセプトが入って断られてしまう。
というのも、彼女は国民的どころか今や世界にも羽ばたかんとするアイドルだ。まして現在は翼が倒れてしまったことでその負担を一身に背負っている状態である。
更には二課での仕事もある以上、一度や二度の訓練ならばともかく定期的な訓練に付き合って、更なる負担を課すわけにはいかない。……それを聞けば、ツヴァイウィングの大ファンである響としても納得せざるを得なかった。
また、同じ理由で復帰後の翼も候補から外れることとなる。
ならばと次に頼んだのが士郎であるのだが、なぜか士郎は即座にこれを拒否。
代わりにと紹介し、共に頼み込んだのが弦十郎というわけである。
「そもそも、なんで衛宮先生じゃだめだったんです?」
見つめてくる未来の眼差しはジトっとした半眼だ。
ちなみに、未来がなぜ士郎を『先生』と呼んでいるのかと言えば、彼に料理を師事し始めたからだ。
これもまた、少しでも響の支えになりたいという彼女なりの決意の表れでもある。
そんないじらしいともいえる未来の疑問に対し、士郎は苦笑を交えつつ解答を始めた。
「理由ならば色々とあるが……一番デカいのは相性の問題だな」
「相性、ですか?」
何を指しての事か解らない未来が首を傾げる。士郎は弱火だったコンロの火を完全に消してから答えた。
「戦闘の在り方、ていうべきかな。俺は自分の経験やその時の状況、相手やその他いろんな情報から頭の中で戦い方を組み立てたりするが、立花は自身の感性でその辺り突っ走るタイプだからな」
「……それって、暗に響の頭悪いから教えられないって言ってます?」
「いいや、頭の良い悪いじゃないよ。敢えて言うなら俺は理論派で立花は感覚派ってだけだ。
だから、同じようなタイプの弦十郎の方が師事するにはちょうどいいんだよ」
「そういうもの、ですか……」
頷きはするものの、納得はできていないのかあからさまに納得できていないといった様子だ。
士郎は小皿に取った味噌汁を煽るように味を見てから、一つ頷いて言葉を続ける。
「それに、弦十郎のやり方もあながち悪いモンじゃない。そりゃあ、カンフーモドキやら派手なアクションの物真似やらに終始するようなら論外だったろうが……ああして、基礎的な訓練も積んでるしな。
そも最低限以上の身体能力はギアを纏った時点で備わってるからな。それを生かすためのイメージを作るためなら、手っ取り早い教材と言えなくもない」
「イメージ、ですか」
「具体的なイメージっていうのは大事だ。到達点、完成形、為すべき結果……そういうものは輪郭が明確なほど道筋っていうのは見えやすいものだよ」
同時に、目指すものが曖昧であるほど道に迷いやすくもある……という言葉は流石に心中にとどめていた。朝餉の前にして自嘲を含んだ言葉は無粋である。
それはさておき、士郎の言葉でようやく得心がいったのか、「なるほど」と唸る未来。かつては陸上部で短距離走に力を入れていたためか、そういう論には自身でも覚えがあるのかもしれない。
そんな彼女へ、士郎は改めて取った味噌汁の小皿を未来へと差し出した。
「これも一つの具体的なイメージってやつだ」
未来は小皿を受け取り、小さな唇に乗せて傾けると口中でそれを味わい、コクリと喉を動かした。小皿から離れた口元が、綻んでいく。
「―――美味しい」
「といっても、味噌汁は割と千差万別だからな。機会があれば、自分の家の味がどんなか改めて確かめるのも悪くないだろう」
「はい。それじゃ今度のお休みにでも母に訊いてみます」
互いに笑顔でそんなやり取りをしていると、士郎はふと胸に滲むような懐かしさを覚える。今の未来と重なるのは、かつての後輩の姿だ。
(桜……)
いつからか、度々台所を預けるようにまでなった最初の弟子ともいえる存在。たまさか浮かべた面影に、懐古と慚愧が胸を打つ。
そこで浮かべた笑みの質が変わったことに気付いたか、未来が首を傾げた。
「先生?」
「……あぁ、悪い。なんでもないよ」
誤魔化すように首を横に振れば、玄関がガラガラと開かれる音と共に欠食児童共の威勢のいい声が轟いてくる。
「ただいまぁー! あー、おなかすいたー!!」
「もどったぞー! 士郎、メシはできてるかー!?」
台所からでもはっきりと聞こえてきたそれに、士郎と未来は顔を見合わせて揃って吹き出す。
さて、待たせるのも厄介だ。残りの支度もさっさと済ませてしまおうか。
***
本日の朝食。
白米、豆腐と大根の味噌汁、ほうれん草とシラスの和え物、刻みネギ入りの卵焼き。そして主菜に小ぶりなアジの開き。
およそ日本人が思い浮かべる、和の朝食の完成系の一つがそこにあった。
「いただきまーす!! あぐ、むぐ、もぐ……おいふぃー!!!」
「こら響ったら。口にご飯入れたまま喋らないの」
呆れたように窘めながら、未来もまたアジの開きをほじるように小骨を箸ではずしていく。
家主の弦十郎はというと、団欒というべきやり取りに豪快な笑みを見せていた。
「ハッハッハッ、こういう賑やかな朝食っていうのも久しぶりだな!!
っと、士郎、早速だがおかわりだ。大盛りで頼むぞ」
「あ、衛宮さん! 私もお願いします!!」
「はいはい」
早くも器の飯を空にした丼の弦十郎とやや大きめの茶碗の響に、士郎は返事もそこそこに飯を盛っていく。
反応から察するに、今日の出来もなかなかに好評だ。と、早くも茶碗の中身を半分に減らしつつある響が未来へと顔を向ける。
「んぐ、ところで未来が作ったのってあるの?」
「んっ……残念でした。今日は材料をちょっと切っただけで、あとは見学よ。
やっぱり手際とか全然違うから、下手しなくても足を引っ張っちゃいそうだもの」
卵焼きを飲み込んだ未来がわざとらしく唇を尖らせて拗ねてみせた。
と、そんなやり取りを微笑ましく眺めていた士郎が、あることを思いつく。
「それなら、今度なにか一品作ってもらおうか」
「えぇ!?」
「おー! いいじゃん未来、楽しみにしてるよ!」
「ちょ……もう、気楽に言って」
士郎からの不意の提案に、思わず戸惑いを可愛らしい声と上げてしまう未来。一方で乗り気であるのは響の方だ。
そんな親友の反応に思わずため息を漏らすが、断る気はないようで何を作ろうかと思案を始めていた。
「まあ、どういうのを作りたいとかでも決まったら気軽に相談してくれ。いくらでも知恵は貸すさ」
「はい。頼りにさせてもらいますね、衛宮先生」
「頑張ってね、未来」
「はいはい」
適当にあしらいつつも、期待と応援は素直にうれしいのか未来の口の端は小さく持ち上がっていた。
そんな和やかで賑やかな食卓に目を細めていた弦十郎が、思い出したかのように問いかける。
「そういえば三人とも……というか響くんと未来くんは今日の放課後辺り、なにか予定は入っているかね?」
「え? えっと、私の方はなんもありませんけど。未来は?」
「私もないよ……なにか、あったんですか?」
尋ね返すと、弦十郎は顎や頬に飯粒を引っ付けながらニッカリと笑ってこう答えた。
「数日前に翼の意識が回復したことは言っただろう? 実は昨夜に入った連絡で面会の許可も降りたんだ。
だから未来くんのことを紹介がてら、見舞いへ行ってみたらどうだ?」
これに対し、響は間を置かず元気よく賛同の意を示して、元気があり余り過ぎて未来に後ろ頭を軽くはたかれる羽目になったのだった。
***
とある森の中。
鬱蒼と茂る木々の群れの中に、その洋館はあった。
巨大な湖畔と切り立った断崖の狭間で左右に広がる形で双方を浸食するそれは、人目を憚るようにひっそりと、そのくせ豪奢に築かれていた。
貴族趣味ともいえる外観は、もはや城と言っても差し支えがないだろうほどである。だが、特異というべき事に断崖側の方は鋭角的な装甲で覆われた要塞然としたものだ。それはまるで得体のしれない金属に蝕まれているかのように。
果たしてその内部……中枢たる大広間はというと、一言で表すならば混沌というべき様相を晒していた。それも、酸鼻に極まる方向へと舵を向けて。
天井から釣り下がるシャンデリアの数々は明かりを落とし、窓からの採光をもってしても広間を薄暗いものに保っている。
中央に並ぶのは燭台を要所に並べた長テーブルだ。調度品としての格は見るからに高く、洋館としての外観に見合ったものが揃っている。
ここまではまだいい。
長テーブルのさらに奥、広間の三割ほどを侵食するのは幾つものモニターと多様な機材の群体だ。雑多なようにも整然とされているようにも見えるそこは、壇上に備え付けられていることもあってまるで玉座のようにも見える。
更にはぐるりと囲むように壁沿いに置かれているのは幾つもの檻と鎖の付いた首輪で、中には血に塗れてピクリとも動かない犬が横たわっているものまであった。
それだけでなく、棘の敷き詰められた拘束椅子など、多数の拷問器具の類も鎮座していた。総じてその無造作っぷりは一見すると子供がおもちゃを遊びっぱなしで放置したのと同じような印象を受ける。無論、転がっているものは悪趣味という言葉では済みそうにないが。
と、その中でも特に目を引くのが一人の少女を拘束する巨大な機械だ。
恐らくは十代の半ばを過ぎたあたりだろう。後ろで束ねた長い銀髪が真っ先に目を引き、さらに幼さの残る顔立ちの割に豊満に育った胸の膨らみが凶悪なまでに自己主張をしていた。
そんな青さを残しつつも目を惹く肢体を包むのは、黒い革で出来たボンデージのような装束だ。
それだけならば倒錯した妖艶さで片付くかもしれないが、機械に拘束され、更には汗などの大量の体液を滴らせて水溜まりを作り上げてしまうほどの消耗を曝け出す惨状は、真っ当な感性ならば正視に耐えられるものではない。
と、その少女が疎らな意識で瞼をヒクつかせながら開いていく。
「う、ぅ……あ」
呻き声は、しわがれたように喉から絞り出されたものだ。
少女の霞む視界の中でひときわ輝いて映る者がいる。この館の主でもある、金色の美女だ。
「……――、ね」
名を呟こうとしたのか。起き抜けで、消耗の取れない状態では声はおろか五感もまともに働かない。
耳朶には女がなにがしか話している声がぼやけて聞こえた。どうやらどこぞと電話をしているらしい。
会話の内容はうまく働かない耳と頭では判然としないが、どうやら英語で会話しているようだ。
と、少女の意識を一気に覚ます現象が起きた。
ノイズの出現だ。
「っっ」
一瞬、身を強張らせるが心配は無用だった。薄緑色の光と共に現れたそれは、同じ色の光と共に消え去ったからだ。
そのどちらも女の持つ【ソロモンの杖】が為したもので、どうやら電話の最中に手慰みとして行ったらしい。言ってしまえば話し中に受話器のコードを指でいじったり、手の中でペンを回したりするのと同じものであろうが、それにしたって常識外れであろう。
と、会話を終えたらしくチン、と鈴の音めいた音色を奏でて受話器が本体に収まる。長テーブルに鎮座するその電話も、古めかしいアンティーク調の代物だ。
女はそれを―――正確にはそれを通して通話先の相手を見るように不快気に口元を歪めて鼻を鳴らす。先ほどまでは不遜ながらも笑みを含んだ声音であったが、それはすべて演技であったらしい。
「野卑で下劣……生まれた国の品格そのもので辟易する」
愚痴るように椅子から立ち上がったその姿は、眩しい裸身。
真っ先に目に入る輝く黄金は腰すらも越すほどの長髪だ。体の要所ばかりをまるで御簾のように隠すそれは、根元から毛先に至るまで些かの痛みも陰りもみられない。
その奥にある肉体はまさに妖艶。磔にされている少女以上のプロポーションは、少女にはない艶熟さで見る者を惑わしてしまいそうだ。
女は薄手の黒い長手袋と同色のストッキングだけの姿で、履いたハイヒールを打ち鳴らしながら少女へと歩み寄っていく。
やがて少女の前に立つと、女は少女の方をじっくりと撫であげる。それは慈しむというよりも、愛撫を彷彿とさせるものだ。
「そんな男に、ソロモンの杖がすでに起動していることを教える道理はないわよね―――クリス」
クリス―――それが磔にされている少女の名である。そして過日においてネフシュタンの鎧を纏って翼を圧倒し、響を連れ去らんとしたのも彼女だ。
頬に触れる柔らかい感触に、クリスが呻きを上げる。
「ぅ、うぁ……はぁ、はぁ……」
「苦しい? かわいそうなクリス……貴女がグズグズ戸惑うからよ」
そこで、猫を撫でるような声音が一気に凍り付いたようなものへと変貌した。女はクリスの顎に指を添え、胡乱な視線をこちらにこちらへ向けさせるように持ち上げる。
前髪を張りつかせたクリスに、果たして女の表情がどれだけ見えているのか。
だが、女はそんなことなど構いはしなかった。女からすれば、先のクリスが起こした戦闘の結果はそれほどまでに不本意なものであったからだ。
彼女がクリスに命じたのは融合症例……聖遺物をその身に取り込み、その力を発揮している響の身柄の確保であった。
本人の戦闘力はお世辞にも高いとはいえず、更にはネフシュタンの鎧にソロモンの杖まで持ち出した上でことに及んだのだ。
だが、蓋を開けてみればこの結果。
別の装者の妨害があったとはいえ、目的である融合症例の確保には失敗。しかも自身とネフシュタンの鎧、更にはソロモンの杖の存在も露見したうえ、這う這うの体で帰ってくる始末。
妨害した装者には痛手を負わせることができたようだが、女からすればそんなものは些かほどの戦果ですらない。むしろこの体たらくには失望を禁じ得なかった。
「ぅ、ああ……」
「なにかしら?」
言い訳でも囀るか、それとも責任転嫁でも吠え出すか。どちらだろうかと先を促してみれば、クリスが喘ぐように絞り出したのはそのどちらでもなった。
「これで、良いんだよな? ……アタシの望みをかなえるには、お前に従っていればいいんだよな?」
請うような信頼。まるで雨に濡れそぼった子犬がすり寄るかのような眼差しに、女は小さく含み笑って、踵を返す。
「えぇ、そうよ。私の全てを受け入れるなら貴女の願いはかなうわ。でないと……」
すぐに立ち止まった彼女の手は、あるレバーを手にかけた。そこで女は更に邪悪に笑みを深くして、
「キライになっちゃうわよ?」
軽い手つきで、レバーを下へとスライドさせた。
途端、クリスの体に迸るのは青白い稲光。彼女を拘束する大仰な機械が放つ高圧電流がクリスの小さな体躯を駆け巡り蹂躙しているのだ。
「うがぁあああああああああああ!! あ゛あ゛あああああああああああああっっ!!!」
液状の刃が神経という神経に入り込み、ザクザクと内側から自分を切り刻んでくる……そんな苦痛の嵐に、クリスは両眼を見開いて絶叫を迸らせる。
もはや拷問というよりは処刑といった方がいい有様であるが、この行為そのものは無意味なものではない。
先の闘いにおいて、クリスはネフシュタンの鎧を損壊させ、その再生に自身の体も些細ではあるが巻き込まれていた。その後、鎧は引き剥がされたのだが、彼女の体には再生時に侵食された鎧の組織が体に残っている。
その組織は鎧から切り離されてもなお機能しているため、それを停止させて摘出するための処置こそがこの荒行である。
もっとも、
「可愛いわよ、クリス。―――私だけが貴女を愛してあげられる」
蕩けるように艶めいた喜悦を浮かべながら、クリスの苦悶を眺める女。そこに前述の理屈以外の理由があり、そしてそちらこそがより比重の大きなものになっているだろうことは想像するに難くはない。
やがて、レバーが上へと戻される。電流が止まり、クリスは息も絶え絶えにぐったりと脱力した。身を縛る拘束が、今は彼女を支える命綱だ。
鼻につく匂いは電気分解でイオン化した空気か、それともクリスの体自体が焦げているのか。
「覚えておいてね、クリス」
すると、女は再びクリスの頬に手を当て、そのまま身を寄せていく。互いの豊かな膨らみが間に挟まれ、柔らかくも蠱惑的に形を変えていた。
「痛みだけが、人の心を繋いで絆と結ぶ―――世界の真実ということを」
その声音には、相も変わらず隠しようのない嗤いが含まれていた。だが同時に、これ以上ないほどに真摯な響きが込められてもいた。
まさにそれこそ、彼女が何よりも信じ奉じる祈りであると言わんばかりに。
「さぁ、一緒に食事をしましょうね?」
一転して優し気に誘う女に、クリスは力なくも花咲くような笑顔を浮かべる。
だが果たして、直後に女の笑顔が嘲弄の色に染まって歪んだのに彼女が気づけたのか。
直後、不意打ちと言わんばかり再び電流が流され、クリスの絶叫がリピートされる。
少女にとっての本当の救いは、未だ遠い。
***
「――――――そうですか。私が眠っている間にそんなことが」
「ああ。なんだかんだで結局は、っていうと立花に失礼かな」
「それよか、未来って子の方があたしはビックリだったけどな。大人しそうに見えて、ありゃ根性あるぜ」
病院内の廊下を、三人の男女が連れ立つ形でゆっくりと歩いていた。翼に士郎、それに奏だ。
翼は点滴を受けながら、松葉杖を支えに確かめる様な歩調で進んでいる。他の二人は、それを見守りながら彼女に合わせている形だ。
士郎の手にはリンゴの入った小さな籠が、奏の手には小さな花束が握られていた。
「なるほど、だからですか」
「む?」
「士郎さんの表情、なにやらスッキリしたような感じでしたから」
「ハハ、言われてんな若大将」
奏に言われたことと同じようなことを翼にも告げられ、士郎は思わず唸ってしまう。『自分はそんなにわかりやすいのだろうか?』と内心で考えると、眉根が意識せず難しく寄せてしまった。
そんな士郎に思わず奏が可笑しげに笑うが、一方で翼はなぜだか唇を尖らせ気味だ。
というのも、彼女が密かに懸念していた事柄に、自分が関与していないところで解決とは言えないまでもその切っ掛けになりえそうな出来事が起きてしまったのだ。
それはそれで喜ぶべきことでもあるのだが、同時にどうしようもなく複雑な気持ちも抱いてしまっている。
とどのつまりは、可愛らしい嫉妬である。
が、元来生真面目な気質の持ち主である翼としては、そんな自分に多少なりとも自己嫌悪を抱いてしまってもいた。
(………私も、存外に狭量だな)
そう考えると、思わずため息が漏れてしまう。
そんなプチ百面相を無言で展開している翼に、士郎としては戸惑うしかなかった。一方で奏はそんな翼の心境をだいたい察し、ニヤニヤと微笑ましく眺めている。
だが、さすがに病み上がりの三歩手前くらいの相棒に心労を抱かせるのも酷だろうと彼女は声をかけた。
「まあ、これからその未来を連れて挨拶に来るっていうし、改めて頑張らないとな」
そう言われ、ハッとするように気を取り直した翼が勇ましさを込めた笑みを浮かべる。負傷の影は、すでに晴れつつあるようだ。
「そうね、奏。―――先を行く者として、恥ずかしくない先輩風を吹かさねばな」
むん、と胸を張る翼。こころなしか、杖突き歩く足取りが強くなってきている気がする。
張り切る翼に、士郎と奏が顔を見合わせてクスリと微笑ましげに笑いあう。どうやらいい感じに励みになったようだ。
「まずは体をちゃんと治すことが優先……と、噂をすれば」
士郎の視線の先、ちょうど翼の病室の前で響と未来の二人の姿が見えた。しかし、その様子はどこか妙だ。
「………なんで入り口で固まってるんだ?」
士郎が口にした疑問の通り、二人はなぜだか病室の前で中に入るでもなく足を止めていた。よく見れば、その表情には戦慄めいたものが浮かんでいる。
その知名度ゆえに不要な騒動を避けるため翼の病室は個室になっていた。そのため、同室の病人の容態が急変したなどという修羅場とは無縁のはずであるのだが。
はて、なにがあったのかと首を傾げながら三人は響たちのもとへと向かっていく。
「なにをしているの?」
「つ、翼さん! 大丈夫ですか!? 本当に無事なんですか!?」
「……入院患者に無事を訊くってどういうこと?」
思わず怪訝な顔になる翼だが、対する響の表情は必死なものだ。隣の未来も、同じようなもので二人は揃って翼の安堵の表情を浮かべる。
それに対し、三人としてはますます困惑するしかない。が、しかしその答えは次の瞬間に判明することになる。
「だって……これは……!?」
言葉に戦慄を乗せて、響が震える指で病室内を指し示す。その先に広がる光景に、
「あっ」
「「……………、あー」」
主である翼は顔を赤らめながらビクリと身を震わせて硬直し、そんな翼と少なくとも響たちよりかは付き合いの長い士郎と奏は、納得と諦観の入り混じった微妙な呻きを漏らした。
そんな彼らの前に広がる病室内の情景は、控えめに言っても惨状と評するにはばかるところが全くない有様だった。
床と言わずベッドと言わず備え付けのソファーと言わず、所狭しとぶちまけたかのような服、毛布、化粧品に本、雑誌、新聞、更には瓶やらカップやら錠剤やら。
中には零れた飲み物が近くにあった本を侵食していたりもしている。端的に言ってしまえばまさしく『汚部屋』だ。
「私、翼さんが誘拐されちゃったんじゃないかと思って、二課のみんながどこかの国が陰謀を巡らせているかもしれないって言ってたし……」
つまり、響も未来も翼が良からぬことに巻き込まれているのではないかと、そう考えて戦慄していたということらしい。
成程、確かに空き巣の類が家探しして荒らした後と言われたほうがまだしも納得できる。むしろ意識を回復したばかりのトップアイドルが大人しく入院している病室と見える者の方が少ないだろう。
と、そこで響がようやく翼の様子がおかしいことに気付く。
「って、翼さん? え? あれ?」
戸惑う響の前で、翼はいつの間にか顔を真っ赤に染めながら涙目でプルプルと震え始めていた。響の後ろではすでに何かを察していた未来がバツの悪そうな顔で視線を逸らし始めている。
一方で翼の後ろに立っている士郎と奏はというと、揃って悟りを開いた僧のような無表情となって、彼方へと視線を投げていた。
それらを見て、ようやくどういうことかを把握した響は、
「………あー……えー、と……」
なんと言えばいいのかわからず、言葉を尻すぼみに失っていった。
決意を新たにしたところで、いきなり盛大にスッ転んで大事故を起こした翼。
彼女の先輩風の行方はどっちだ。
***
兎にも角にもしばらくして。
世紀末もかくやと言わんばかりの荒野の態を晒していた翼の病室は、見舞いにやってきた響たちの手によって文明人らしい装いへと回帰し始めていた。
まさに劇的なビフォーとアフター。診察にくる医者や看護師も内心で胸を撫で下ろすに違いない。
「―――もう、そんなのいいから……」
「いえ、気にしないで下さい」
「そうですよ。ここに来る前、緒川さんからも翼さんの事よろしくって言われましたし」
「………というか、なんもしなかったら座る場所もなかったからな」
散らばっていた服を畳む未来と響に、ベッドに腰掛ける翼は恥ずかし気に身を竦ませている。そんな彼女に突き刺さるのは散乱していた雑誌や新聞をビニール紐で縛って纏めている士郎の平坦な言葉だ。
鋭すぎる一言に、「う゛っ」と喉が詰まったかのように身を震わせる翼。
そんな彼女に、敢えて響がにこやかに話を振る。
「そ、それにしても、意外です。翼さんって、何でも完璧にこなすイメージがありましたから……」
と、翼の表情が陰る。それは多分に自嘲を含むものだ。
「真実は逆ね。―――私は戦うことしか知らないのよ」
「翼。訳アリで思わせぶりなセリフ呟くのもいいし、実際ある程度はアタシもそれ知ってて本人の許しなく喋るつもりは毛頭ない。
―――けどそれで流すにはこれはちょっと無理があるからな、このゴミの山」
そこへピッチャー返しのように放たれたのは散らばっていた諸々のゴミをゴミ袋に纏めて放り込んでいた奏だ。こちらの声音も士郎と同じく業務用の巨大な氷塊のように冷たく硬い。
言葉で痛恨の一撃を返された翼は再び「うぅっ!?」と唸り、やがてベッドの上で膝を抱え始めた。
「………………………………………………………………………………………二人とも、今日は少し手厳しい」
「「反省しろツってんだよ」」
いつになく塩に過ぎる対応の二人に、却って響と未来の方が苦笑いを浮かべるばかりだ。だがそれも、この部屋に来た時の状態を思えばむべなるかな。
意識を取り戻して面会許可が下りるまで何日も経っていないだろうというのに、よくもまあ腐海もかくやと言わんばかりの惨状を作り上げたものだ。
そも部屋の主である翼が手伝っていないのも、彼女が入院患者であるというのを考慮したうえでもお察しである。下手をすれば病室が美大の卒業制作よろしくな前衛芸術の制作現場となり果てかねない。
と、そんな後輩二人の様子に気付いた翼が、ハッとなって弁明を始める。
「ふ、二人とも! えっと、言っておくけど、私も全くできないわけじゃないからな?」
「は、はあ」
「そ、そうですよね」
躊躇いがちな二人の返事に、翼は一つ頷いてから自信ありげに(相棒に比べれば割とうっすぅーい)胸を張った。
それこそ、ドン!! と。
そんな大文字を背負っているかのように稀代の歌姫の片割れは言い放つ。
「―――下着はちゃんと自分で畳んでしまえる!」
直後、どうしようもない間が瞬きのような空白として存在した。
「―――、いや、あの、それは女子としての最低ラインというか……」
「はい、えっと、その……むしろそれより若干下というか……」
思わず視線を逸らし、冷や汗を額に浮かべながら言葉を選ぶ後輩二人。
それはまるで憧れのアイドルの見てはいけない一面を目の当たりにしてしまったようだというか、そのものだ。
そんな二人の様子に、翼は絶句しながら「なん……だと……!?」と言わんばかりに驚愕しながら硬直していた。
一方、奏は再び遠い眼差しを虚空に向け始める。見つめる先は脳裏に蘇る過去の光景だ。
(つぅーか、それも緒川さん任せにしてたのを、ブチ切れた若大将が正座説教しながら叩き込んだんだよなぁ……)
巌の如く険しい表情で上下の下着の畳み方の手本を見せる士郎と、半ベソかきながら実地で覚えていく翼。正座で向かい合うそんな二人の光景は、奏の脳裏とスマホのメモリーの中に鮮明に刻まれていた。ついでに了子とあおいの方にも。
また、士郎も彼女と同じように在りし日を思い返す。
(そういえば俺が慎次と仲良くなれたきっかけって、これで下着は自分で何とかできるようになったのを喜んだアイツが満面の笑みで酒を奢ってくれてからだったな……)
人と人との縁には、意外な歴史があったりするものである。これもまた合縁奇縁と呼ぶべきか。
それはさておき。
(とりあえず、翼が退院したら暇を見て本格的に掃除のいろはを叩き込むべきかな)
ひっそりと、士郎はそんな思案を頭の中で練り始めていた。翼の試練の時は近いのかもしれない。
何はともあれ。
自堕落を極めた一人暮らしの大学生の部屋の如き混沌じみた病室を、元の白亜のそれに戻した一同は、改めて互いに向き合った。
「というわけで、翼さん。この子が私の一番の親友の未来です!!」
「改めまして、小日向 未来です。響ともどもこれからよろしくお願いします」
「ええ、こちらこそ」
言い合いながら会釈を躱す未来と翼。元々は未来もツヴァイウィングのファンであるという話であったが、際立って緊張しているようには見えない。
まあ、否応なしに慣れてしまったということなのか。或いは緊張するのも馬鹿らしくなってしまったということなのかもしれなかった。
「とりあえず小日向の立場は外部の協力員……立ち位置としては、俺の部下ってことになるな。一応は」
「って、そうなんですか?」
補足するように告げられた士郎の言葉に、むしろ未来本人が目を丸くする。それに対し彼は頷いてみせた。
「俺も厳密な立場で言えば二課の正規職員じゃなくて嘱託……要は外部からの雇われだからな」
改めて明かした事実に、未来のみならず響も『へぇ~』と声を揃えて感嘆を漏らす。
ちなみに、士郎が二課に組み込まれた当初は、この世界にやってきたばかりというのもあり互いへの信頼が薄いため、組織に迎え入れることが憚られたからだ。
それがなぜ、今現在においても続いているのかというと、正式な立場に固めてしまうよりもこちらの方がある程度は士郎本人の裁量で動きやすく、フットワークが軽くなるという判断からだ。
この辺りの同じことでも前後の意味合いが大きく異なっているのは、奇しくも士郎の投影した宝具の二課での扱いにも似ている。
閑話休題。
翼は未来から響へと視線を映し、彼女をジッと見やる。その眼差しは真摯なものだ。
「彼女が協力するに至った経緯は大体聞いた。―――覚悟は決まったようだな、立花」
「えっと、覚悟って言われるとちょっと困っちゃいますけど……とりあえず、悩みすぎて止まるくらいならまずは真正面からぶつかっていこうと思います!」
なるほど、響らしい。―――そう、彼女らしさがすっかり戻っている。
そのことに、久方ぶりに彼女に会う翼は安堵したかのように小さく笑みを漏らす。が、そこで響が困ったような苦笑を浮かべた。
「……でも、なんでかやっぱりアームドギアが出てこないんですよね」
そう、響のその申告の通り、彼女は未だにアームドギアを手にすることができなかった。
もっとも翼が倒れてからこちら、ノイズの出現は報告されていないために今のところは模擬戦ばかりなのだが。とはいえ、目に見える成果がないのはやはり堪えるものがあるようだ。
「なんかこう、こんなふうに『試練を乗り越えた!』ってなったら、パワーアップとかするのが定番だと思うんですけども……」
「まあ、言いたいことはわかる」
肩を落としながらそんな風に吐き出す響に、何故だか奏が同調したかのようにうんうんと頷いている。一方で、未来が若干呆れ気味に溜息をもらしていた。
「響ったら。弓美のセリフじゃないけど、アニメじゃないんだから」
「そのことなんだが」
と、そこで横合いから声が上げたのは士郎だ。未来のみならず、皆の視線が集中したのを受けて士郎は一度頷いてから改めて口を開く。
「その辺り、俺なりに心当たりがある」
「本当ですか、衛宮さん!」
それに真っ先に食いついてきたのはやはり響だ。彼女は目をキラキラと輝かせながら彼を見上げている。
一方でそれを受け止めている士郎本人は、なぜだかやや表情が苦かった。
「まあ、俺はシンフォギアはおろかその元となった聖遺物にもそれを造ったっていう先史文明とやらにもあんまり碌に知らないが……『自身の心象を具現化する』ってことに関しては一家言があるからな」
「なら若大将、原因ってのはなんだ?」
率先して奏が尋ねたのは、同じガングニールの使い手だからか。その問いに、士郎は一拍を置いて答える。
「全員、立花の歌の内容は憶えているだろう?」
「えぇ、まぁ……」
言われて、各々がそれを思い浮かべる。曲調としては激しくも明るさを感じるもので、らしいといえばらしいものだった。
「内容をざっくばらんに抜き出せば『誰かと繋いだ手を絶対に離さない』、『難しい理屈を抜きに、進むことで答えを見つける』……他にもいろいろあるが、今の問題と直接関係あるのはこの辺りだな」
「えっと……」
言われてしかし、響はそれがどう答えになるのかがよく解からなかった。と、そこで何か思いついたように「あ!」と声を上げたのは、なんと未来だった。
この辺りは幼馴染の面目躍如といったところか。
「なにか解かったの、未来!?」
「ちょ、ちょっと落ち着いて響」
驚きながら、同時にすがるように詰め寄ると、未来は思わず面を喰らって身を引かせながら宥めるように彼女の両肩を押し留める。
それを響も悪いと思ったのか、浮きかけた腰を落ち着けなおして未来を見つめる。
未来も『待て』を言われた座敷犬のように大人しくなった親友を見つめ返しながら、改めて口を開いた。
「あのね、響……響の歌で、誰かと手を繋いでるでしょ?」
「えっと、うん。なんかそんな風に歌ってる」
返事が曖昧になっているのは、歌そのものが心象から湧き出たほぼ無意識の産物であるからか。そんな響に、未来はコテンと首を傾げて、
「その繋いでる手を絶対に離さないっていうなら、武器なんて持てないんじゃないかな?」
ズバッと、それこそ一太刀で両断したかのような切れ味で核心を突いていた。
「「「―――――――――、あ」」」
その指摘に、響本人のみならず翼と奏も声を揃えて得心に声を漏らす。まさしく目から鱗と言わんばかりの反応に、士郎が頷きながら付け加える。
「更に言うなら、立花は戦いそのものを根っこの部分で嫌っているからな。それを考えると、その象徴ともいえる武器に対しても忌避を抱いていてもおかしくない」
「えっと……その……つまり?」
ギギギ、と首回りが錆びた金属になってしまったかのような動きで士郎を見上げながら、響が答えを求める。その表情には、すでに答えを察しつつもできれば否定してほしいといった儚すぎる期待が見え隠れしている。
対して、士郎は先の未来と同じくらいバッサリと言葉で斬り捨てることにした。
「立花が立花らしくある以上、槍はおろか解りやすい武器としてのアームドギアはまず出てこないだろうな」
瞬間、愕然とした表情を浮かべた響は、声すら失って仰け反りながら頭を抱えた。ピシャーン! という稲妻のエフェクトを背負ってショックを受けたように硬直するその姿は、ギリシャ辺りで彫刻の題材にでも使われていそうである。
まあ、無理もないだろう。なにせ懊悩やら衝突やら親友との確執やらを乗り越え、『本当の闘いはこれからだ!』というところであったのに『(お前が使える武器)ないです』と言われれば、それこそ出鼻を挫かれるというレベルではない。
ロケットスタート直後に足を払われ、顔面から突っ込んでそのまま地面を滑ったようなものである。控えめに言っても大惨事だ。
傍から見ればいっそコミカルな有様の響だが、本人的には決して笑い事ではないだろう。未来も翼も奏も、そろってなんとも言えない表情で書ける言葉を探している中、真っ先にフォローに入ったのも士郎だった。
「まあ、そう悲観するなよ。立花」
「うぅ、衛宮さん……でも」
涙目で振り返る響へ、士郎は力の抜けた苦笑を浮かべる。お前の嘆きは無用の心配だと、そう告げるかのように。
「立花、お前は確かに武器を出せないかもしれない。戦いなんてこれからもずっと嫌いなままだろう。―――だが、それでいい」
なぜなら。
「お前は、その上で『誰かのため』に戦うことができる人間だ」
そう、それこそが『立花 響らしさ』というやつなのだろう。
誰よりも誰かが傷つくのが嫌いだから、戦いを嫌っている。
誰よりも誰かが悲しむのが嫌いだから、戦うことができる。
真反対のようで、しかしそれらはどちらも根本は同じだ。
その指摘を受けて、しかし響が浮かべる表情は明るいものではない。それは自嘲するかのような力ない笑みだった。
「……なんか、矛盾しちゃってますね」
「難しい
即座に、そう返した。するとキョトンと見上げてくる響に、士郎は歯を見せる笑みを浮かべて見せる。
確かに、響の在り様には矛盾があるのかもしれない。―――だが、それがどうした。
肝心なのは、そんなことなどではない。
「矛盾も懊悩も抱えて、知ったことかとまっすぐ進め。
お前が求めるものはきっとその先にある」
「衛宮さん……」
「行き先が正しいなら、道を作って背を押してやる。間違ってるなら、無理矢理にでも引き戻してやる。
俺だけじゃなく、ここにいる奴だけじゃなく、二課の全員でな」
「―――、はい!」
士郎の言葉に、響は改めて病室にいる全員を見渡した。翼も、奏も、未来も、士郎の言葉を肯定するように自分へと力強い笑みを向けている。
それらを受けて、彼女は不安の全てが嵐の翌日の空のように晴れていくのを感じ、瞳に強い光を湛えて、頷いた。
士郎はそれに「良い返事だ」と漏らし、最後に問いを投げかける。
「それじゃ立花。―――お前はこれから何をどうしたい?」
「これから、ですか?」
オウム返しをすれば、士郎は頷いて返した。
「覚悟は決めた。ならその覚悟で何を為すかってことだ。
―――翼と戦ったっていう、ネフシュタンを纏った少女の事も含めてな」
と、ここで翼本人よりも奏の方こそ眦を鋭く持ち上げる。やはり片翼を傷つけられたことに対し、噴飯やるかたなしといった所か。
それを察知して、響は改めて戸惑いながらも、ややあって静かに息を吸い、深く吐いてまた静かに吸った。
そして、口を開く。
「ノイズに襲われている人がいるなら、一秒でも早く救い出したいです。
―――最速で、最短で、真っ直ぐに、一直線に駆け付けたい!」
立花 響の願いであり、拳を握る理由がここに言葉として形になっていく。
自分と自分の力を取り巻く世界には、国やらなにやら様々な思惑が纏わりつくように絡んできているが、そんなことはよく解からない。
ただ、ノイズが出てくれば人が死ぬ。誰かが傷つく。
それだけは決して許せないから、自分は戦うと決めた。
―――そう、ただ『助けたいから戦う』。
どんな事情が己の周りに取り巻くとしても、結局のところは彼女の理由はただそれだけだ。
「そしてもし、相手がノイズではなく誰かなら……」
そこで言葉を区切る。その脳裏に甦るのは、あの月夜の惨劇だ。
身動き取れなくなった己の眼前で、翼を嬲りながら嗤う白い装甲の少女。
響には、彼女のことが何一つわからない。
何故、あんなことをしたのか。
何故、自分を狙ったのか。
そもそもいったい何者であるのか。
本当に、心から分からないことだらけだ。
だから―――
ちらりと見れば、奏の眼差しはいつのまにかそのまま響を射抜いていた。その瞳の奥に、煮えたぎるような赫怒を確かに感じて思わず心臓がドキリと跳ね上がる。
だが、響はそれに臆さなかった。瞳も言葉も心根も、どこまでもまっすぐに言葉の続きを紡ぎ出す。
「………どうしても戦わなくちゃいけないのかっていう胸の疑問を―――私の想いを、届けたいと考えています」
そうだ。解らないなら、まずはその疑問を相手にぶつけよう。
答えてくれるかわからないし、応えてくれないような気もするけれど、まずは踏み出さなければ始まらない。
だから自分は、倒すためではなく解かるために……理解して、そして理解してもらうために戦うのだと、ここに憚ることなく宣言した。
響はそう言い切って、その場には沈黙が暫く。
そこから口火を切ったのは、病室の主だ。
「……貴女の決意、よく解かったわ」
「翼さん」
見れば翼は小さく、しかし力強く笑いながら響に頷いた。
「実際、彼女には問いたださねばならないことが幾つもある。
ならばその先手をあなたが務めなさい」
「―――、はい!」
一方で、そんな相棒と後輩の眩しいやり取りを憮然とした表情で見届けた奏は、これ見よがしに大きな溜息を吐いた。
そしてしょうがないとばかりに後ろ頭をガシガシと掻きながら、
「……ったく、当の翼がそう言うんじゃ、アタシがどうこう言うわけにはいかないじゃんか」
「奏さん」
「ただし!」
そこで奏は響の言葉を遮るようにびしりと人差し指を立て、眼差しを鋭く、しかし激情を消して改めて彼女を見つめる。
「お前のやることの結果がどうあれ、アイツには落とし前はつけさせてもらうからな」
「……はい」
それには、響も頷かざるを得なかった。
どんな理由があったにせよ、あの少女が翼を傷つけたのは確かなのだ。その罪を罰する資格を奏は確かに持っていた。
そうして僅かに消沈する響に、奏はそこでようやく表情を和らげる。
「まあ、どういう風に落とし前を付けるかは、お前さんの結果次第だけどな」
つまり、響がその本懐を遂げられれば奏もそこまでの無体を求めはしないということだ。
無論、無罪放免というわけにはいかないだろうが、その時の彼女次第では情状酌量は十分にあるだろう。
「奏さん!」
込められた意味を察して、響が感極まったかのように笑顔を浮かべる。そうして見つめてくる彼女に、照れくささを感じたのか奏は「ふん」と顔を逸らす。
その頬は、うっすらと朱に染まっているように見える。そんな奏の反応こそを、翼と士郎は微笑ましく眺めていた。
一方で、未来はそんな響の隣で小さく溜息を洩らした。
「―――つまり、また危ない目に合いに行くのね。響は」
「未来……」
振り返れば、未来は呆れ半分な半眼を向けている。だが、その裏には不安と心配が確かに存在していた。
そんな親友に対し、響は後ろめたさから言葉を失って消沈しかける。だが一方の未来はおもむろに小さな笑みを浮かべた。
「響、『無茶しないで』なんて言わないよ。というか言っても絶対無茶するし」
「そ、そんなこと、ない……よ?」
反論しようとするも、尻切れ蜻蛉に言葉が途切れていく。最後に至っては思わず目線まで逸らせてしまう辺り、自覚もあれば嘘も付けないようだ。
「言われてるな、立花」
「若大将、ブーメラン突き刺さってるぜ?」
「奏、そのブーメラン貫通して貴女にも刺さってるから」
「翼さん、話聞く限りそのブーメラン一緒に刺さっちゃってますよね?」
苦笑からのカウンターを連鎖していく親友の同僚たちに、未来は思わずジト目を向けざるを得なかった。なんかもう揃って視線を逸らすことしかできなくなった三人に、未来は改めて溜息をついてしまう。
こんな人たちばかりなのだろうかと思ってしまうが、こんな人たちばかりだからこそ響もまたそこへ集ったのかもしれない。
やれやれと思いつつも、しかしどこかで安堵する自分を自覚しながら、未来は改めて響へ向き直る。
「ただ、これだけは約束してほしいの」
「約束?」
訊き返され、うん、と一つ頷く。そして微笑みながら、こう告げた。
「……何があっても、絶対に自分の足で帰ってきて『ただいま』って言って」
その眼差しに込められた真摯な願いを受け取って、響は力強く頷いた。
「―――、うん。約束する」
「ん。なら、良し」
すると未来は立ち上がり、前へ出ると今度は士郎たちを改めて見据える。そうして一拍の時を置いて、深々と頭を下げた。
「奏さん、翼さん、衛宮先生。響を……私の大切な親友を、よろしくお願いします」
真正面から、その切なる願いを受け取った三人はその表情を強く引き締めた。
そして笑みと共に頷いて見せて、
「っ、と」
士郎の懐から、電子音が鳴り響く。端末の呼び出し音だ。
本来病院ならばそういった類の電源は切っておくべきなのだろうが、彼らの場合は危急の事態に備えなければならないため、代表として彼の端末だけはそのままにしてあった。
「弦十郎か。なにかあった……なに?」
俄かに眉根を険しく寄せる士郎に、他の面々に小さな不安が宿り始める。僅かに漏れ聞こえる弦十郎の声がどこか切羽詰まっている様な響きを持っているのもそれを助長していた。
ややあって、通信を切った士郎は鋭い眼差しで振り返る。
「奏、立花、本部に戻るぞ」
「おう!」
「は、はい! あの、ノイズが出たんですか?」
響の問いかけに、士郎は首を横に振る。どうやら今すぐ出撃しなければいけないような事態ではないようだが、にも拘らず張り詰めたような士郎の雰囲気に、却って胸騒ぎは増すばかりだ。
理由をここで話さないのは、未来や未だ療養中の翼がいるからか……或いは、話す場所を選ばなければいけないということなのか。
電子音と共に扉が操作され、開いたところで士郎は最後に翼へと顔を向ける。奏と響は、すでに彼の両脇に立っていた。
「それじゃ翼、ゆっくりという気分にはなれないかもしれないが、養生してくれ」
「……はい。三人もお気をつけて」
「おう」
「失礼します、翼さん」
そして。
バシュン、と空気が抜ける音と共に扉が閉じ、同時に三人の姿が病室から消える。残された二人のうち、部屋の主の方が深く息を吐いた。
「……歯がゆいものね。変事に黙って待つことしかできないというのは」
それに対し、未来はいっそわざとらしいほど唇を尖らせてみせる。
「いいじゃないですか。私なんてこれからずっとソレですよ?」
その言い草に呆気に取られ、思わず彼女と視線を突き合わせてしまう翼。
そのまま見つめ合うこと暫く、
「「――――――プッ」」
なぜだかどちらからともなく小さく吹き出してしまった。
羽を休めるしかない者と見送ることしかできない者。
今日のところは仲良く心配を募らせるしかなさそうだ。
***
「あの、なにがあったんですか?」
病院を後にした三人は、士郎の運転する車で二課の本部へと向かっていた。ハンドルを握る士郎の背へ、響が不安げな声をかける。
彼女の隣では奏が表情を険しくしていたが、ミラー越しにちらりと向けられた士郎の眼差しはそれ以上に鋭い。彼は運転に神経を傾けつつも口だけで彼女の疑問に答える。
「……ついさっき、防衛大臣が暗殺されたらしい」
「え? ……えぇ!? それって大変なことじゃ……」
驚きながらも響はそこである疑問を抱く。確かにそれは一大事ともいえるが、それでなぜ自分たちが本部に足早に戻る事態に繋がるのだろうかと。
無論、暗殺事件そのものを軽んじているわけではないが、この事態との関連が日の浅い響にはわかりかねていた。
一方で、先達である奏は危機感に正しい認識を乗せていた。
「なあ、防衛大臣って確か二課のケツ持ちだったよな?」
そう、防衛大臣である広木は二課における最大の支援者であり、それは単純な資金提供などに留まらない。
場合によっては反対意見を出すことで率先して抑止力として立ち塞がり、それによって他の者の介入を防ぐ防波堤としての役目も担ってくれていたのだ。
いわば特異災害対策機動二課という組織そのものを支えてくれた、文字通りの陰の立役者である。
それが何者かに暗殺されたと言うならば、二課の今後の活動にどのような影響が出てくるか予想だに出来ない。
だが、しかし。
それさえも、士郎の表情が険しくし、そして未来や病床の翼に秘する形で場を離れた理由とはまた違っていた。
士郎は、顎が錆びついたかのように言い辛そうに重々しく口を開き、それを詳らかにする。
「―――その防衛大臣に今日、櫻井が会いに行く予定だった。そして櫻井とは、連絡が取れていないらしい」
「なぁっ!?」
「っ、それって……!?」
途端、後部座席に戦慄と驚愕が奔る。ここにきて齎されたその事実に、否応なしに不吉な焦燥が胸の内を掻き毟られるような感覚を覚える。
二人の絶句を背越しに空気で感じ取りながら、士郎は可能な範囲で車を急がせていた。
(無事でいろよ……櫻井……!)
アクセルを底まで踏みしめてしまいたい衝動を必死で抑えながら、士郎は奥歯を噛みしめて行く道を鋭く見据えている。
***
そして。
「たぁいへん長らくお待たせしました~!」
諸々の心配など露知らずといった様子で、あまりにもあっけらかんと了子は本部の指令室に姿を現した。
まるで泊りがけの旅行帰りのような様子の帰還に対し、その場に詰め掛けていた面々が一斉に彼女へと振り返る。
それこそ、視線の集中砲火を受けた了子がたじろいでしまうほどに。
「了子君!!」
「了子さん!」
「無事だったか、櫻井!」
「心配したんだぜ、了子さん!」
「な、なによぉ、そんなに寂しくさせちゃった?」
安堵と驚愕を織り交ぜた皆の反応に、当の了子の方は訳が分からないといった様子で首を傾げている。
戸惑う彼女へその答えを告げるのは弦十郎だ。
「広木防衛大臣が……殺害された」
「えぇっ、本当!?」
声と表情に驚愕を乗せ、駆け寄る了子。そのまま彼女は士郎の前を通り過ぎる形で弦十郎のもとへと駆け寄り―――
(………、っ?)
ふと、士郎の視線が了子の手元へと移る。その手に握られているのは、一抱えもあるバッグ型の白いケースだ。
すると向けられた視線に気づいたのか、了子が彼へと振り返る。
「どしたの、衛宮くん」
「いや……それが大臣から受け取ったものか?」
「ええ―――図らずも、形見になってしまったけどね」
言いながら、了子はすぐ傍のソファーにケースを置き、バチンと存外に大きな音を立ててロックを解除する。そうして取り出されたのはケースと比して二十分の一ほどの大きさがあるかないかといった程度の大きさの容器だ。
緑色の本体を覆う透明なカバーからは、中に二枚の小さなメモリーチップが納められているのが伺えた。
「政府から受領した機密指令……この任務遂行こそ、広木防衛大臣への弔いだわ」
取り出したそれを掲げて見せれば、その場にいた皆の表情が引き締まる。図らずも命を賭して受け継いだ使命、未だ見ぬその中身のその重さと責任に誰もが固い唾を飲まずにはいられなかった。
と、そんな中で安堵と共に息を吐いたのは響だ。
「でもよかったですよ。了子さん、連絡全然繋がらないから」
その指摘に、了子がハタと気づいて端末を取り出してはカチカチと操作する。が、彼女の手にあるそれは何の反応も返さず無機質な沈黙を貫くのみだ。
それをまじまじと眺めてしばらく、
「………壊れてるみたいね~」
「そりゃないよ、了子さん……」
「あははは、ごめんなさいね~」
思わず苦笑いと共に肩を竦める奏と、バツが悪そうに笑う了子。そんな二人のやり取りで、ようやく場の空気が弛緩していく。
脱力と安堵で皆の表情が緩み、笑みが戻っていく。
そんな中で、ただ一人。
士郎だけが、誰にも気取られないように了子を見据えていた。
戦いの最中の如く、刃とも、鷹のそれとも見紛う鋭さをその眼差しに宿しながら。
◎更新までの出来事
・XDUでグリッドマンコラボイベが始まって終わった。
↳今までになく一つのガチャを回した結果、フルパワーグリッドな響がLV54でグリッドナイトな翼がLV56に。
・艦これのイベが始まって終わった
↳報酬艦以外では朝雲と時津風、それにIOWAをゲット。サラトガは粘りまくったけど出てきませんでした(涙)
・YouTubeでシンフォギアアニメ本編期間限定公開開始。
↳すでにAXZ編突入済
……大変長らくお待たせしてすいませんでした。
テンションやらモチベやらが低くなったのはいつもの事なのですが(オヒ)、それに加えて入れるはずのエピソードを削ったり話の流れを若干修正したりでここまで遅れてしまいました。
それはさておき、内容振り返り。
・響、OTONAへ弟子入り&未来、士郎へ弟子入り
未来との台所のシーンは頭の中で衛宮家での朝の風景に流れるBGMが頭の中でリフレインしてました。
そういえば昔よく見かけた展開では、士郎に教わろうとするとき『自分は一点に特化した才はないから~』とかで断るというのがありましたが、ここでの場合は響がずぶの素人である以上、それが理由で断るのは不自然だと思ったので、ここでは単純な相性としての向き不向きを理由にしました。
実際、士郎は原作でも割と理に因った戦いをしてると思います。
そして響は基本的に道理を蹴っ飛ばす戦いですし(笑)
・謎の美女(ドS)&クリス
……ところであの御馳走は誰が作ったんでしょうかね?
ケータリングとかお持ち帰り?(笑)
・翼へのお見舞い
お見舞いイベントフライング。
なお、無印編では原作のエピソードのタイムスケジュールが一部前後したり入れ替わってたりしますので、ご了承ください。
ちなみに当初は翼の汚部屋の辺りは奏は病院なので声を殺して笑いを堪え、耐え切れずに士郎をバンバン叩くという展開も考えていたんですが……
(改めて原作の該当シーンを確認)
……うん、笑いとばすにはちょっとひどすぎるかなって……(目逸らし)
・響のアームドギア考察&覚悟表明
この辺りは書き終わってから少し性急かなとも思ったんですが、話の流れ的にも書いてしまいました。
アームドギアの問題については、士郎も心象を外界に出力する能力の持ち主なのでその辺り割と聡いんじゃないかなと。
ちなみに、ぶっちゃけちゃうとここら辺で未来が士郎に魔術を教えてほしいと頼む場面を書く予定でした。
割と前々から予定していたのですが、冷静に考えてみて『知ってから数日くらいでシンフォギアとの違いを察して弟子入り志願するっていうのはおかしいっていうか無理なくね?』というセルフツッコミが入ったので、結局ボツになりました。
でも、いつか書きたいと思ってます。
・暗殺事件&了子合流
士郎の視線の理由などは次回にて。
……忘れないようにしないと(ェー)
……というわけで、今回は初めての戦闘皆無回。
いかがでしたでしょうか。
なんか今までになく筆が乗らず……って、なんか毎回言ってる気がする(汗)
これが負のスパイラルなのか……
それはさておき、次回はいよいよあの剣が登場します。
お楽しみに!!
……エクスカリバーではないよ?(爆)
それではこの辺で。
そろそろ暑さも本番に入ってくるでしょうが、皆さま細かな水分補給など忘れぬようお気を付けくださいませ。