戦姫絶唱シンフォギア赫鋼―アカガネ―   作:樹影

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10:芽吹き、しかして狂乱/剣と剣

 

 

 時を、士郎がヘリから身を投じるよりも少し巻き戻す。

 

「―――Balwisyall Nescell gungnir tron」

 

 天井になった床を蹴破り、了子とデュランダルと共に脱出した響。彼女たちはノイズによって爆散したクーペからの黒煙に、ほんの少しだけ燻されながらも危なげなく降り立った。

 と、煙を吸い込んだのか、右に抱えた了子が盛大に咳き込んでいるのに気付く。

 

「だ、大丈夫ですか?」

「ケホッ、ゲホッ……ダメね。どうしようもないわ」

 

 告げられた言葉に、血の気が引く。すわ致命的な何かが起きてしまったのかと思ったその時、

 

「―――、私の愛車が!!」

「あぁっ! ゴ、ゴメンなさいぃ!!」

 

 今しがた涅槃の向こう側へとフルスロットルをぶちかましてしまったピンクの車に、了子は離別の涙を流していた。

 響はそんな彼女にあわあわと狼狽えながら謝罪する。状況故に仕方がなく、ダメ押しとばかりに完膚なきまでに破壊したのはノイズであるとはいえ、実質的なトドメは自分が差してしまったのだ。罪悪感も一入である。

 了子は鼻をスンと啜りながら、燃え盛る残骸に半眼を向けた。

 

「もういいわ。ま、この作戦の時点で半分以上こうなる覚悟はしていたもの。……新車は損害補償で経費から出させてやる」

「あ、あはは……」

 

 這うような低い怨嗟に、良いのかなと思いつつ、それも労災というものなのかと響は内心で首を傾げる。正直、学生である響にはよく解からない。

 と、視界の端で蠢くものに気付いた。ノイズの群れだ。

 

「了子さん、下がってください!」

「……わかったわ。響ちゃん、貴女のやりたいことを、やりたいようにやりなさい!」

 

 言いつつ、重たげにデュランダルのパレットを受け取った了子はその場から下がっていく。それを背に、響は強い眼差しで前を見据え、宣言した。

 

「はい! ―――私、歌います!!」

 

 ―――そうして。

 決意を言の葉に乗せ、少女は胸の歌と共に己の意志で戦場へと足を踏み入れた。

 

 

 

 まず、初手を取ったのはノイズの方だ。無数に犇めく異形の中から、ナマコ型のそれらが一度に何匹も吶喊してくる。

 フォニックゲインによる干渉のためか、体色をくすんだ赤色へと変じさせたそれらは、一体一体が大破したクーペと変わらない程度の大きさを持っていた。それらの動きは見た目に反して非常に俊敏で、一斉に突進してくる様は暴走車の群れが真っ向からやってくるのに等しい。

 だが、響はそれに臆しない。

 彼女は歌いながら、拳を構え、踏み出した右の震脚でコンクリートを砕きながら、

 

「―――っ!!!」

 

 正面から衝突しに来た一体へ、突き出した拳をブチ当てた。

 一瞬、膨らむようにたわんだノイズの体。それが次の瞬間、突き抜けた衝撃の程を表すかのように後部から弾け飛ぶ。その様は、一瞬にして空気を許容以上に吹き込まれ、盛大に爆ぜた風船を彷彿とさせた。

 

 それを皮切りに周囲を取り囲むノイズを相手取り、響が繰り広げた光景はまさに無双というべきものだ。

 続けざまに飛び掛かるナマコ型ノイズの突撃を、時に躱しながらすれ違いざまに、時に真っ向から受け止め、それら全てを撃ち砕く。

 その隙間を縫う形で襲い掛かる赤い人型ノイズ。最初の一体は即座に蹴り砕き、次の一体は振り下ろしてきたカギヅメの刃を文字通りに髪一重で躱し、そのまま懐に飛び込んでは背に乗せるような形で押し出して、高く吹き飛ばした。

 そうして次々に襲い来る無数のノイズを、響は打ち、蹴り、弾き、投げ、時には見様見真似の鉄山靠で以って複数体を一掃する。

 

 当然ながら、彼女の格闘技術は付け焼刃にすぎない。それらの動きは薦められるがままに観たカンフー映画の模倣であり、見真似稽古というのも憚られる拙いものだ。

 だが、響がそれを以ってこうして戦えているのには理由がある。

 映画も歌も大別すれば芸事であり、その根底にあるのは定められたテーマの表現だ。そして響の観たカンフー映画のテーマとは『勧善懲悪』……弱きを助け、強きを挫き、悪しきを倒す……そんな、遥か昔から存在する物語の王道の一つである。

 そしてその善性は、戦うためのスタンスとして響にはとても馴染みやすいものであった。

 とはいえ、そういったものを響は理屈として理解しているわけではない。だが、だからこそそれは彼女の中へすんなりと受け入れられていった。それはまさに、カンフー映画の伝説の名言に倣うところの『Don't Think. Feel(考えるな、感じろ)』。

 つまるところ、響にとってはカンフー映画というエッセンスは非常に相性が良かったということだ。

 

 それは、逃げ回ってばかりだった一か月とは違う。

 それは、衝動のままに暴虐を尽くしたあの夜とも違う。

 ここに、『立花 響』という少女の戦場での在り様が芽吹き始めていた。

 

 その様を。

 工場のタンクに立つクリスは、瞠目を以って見つめていた。

 

「コイツ……戦えるようになってるのか」

 

 磔になりながらべそをかいていたあの時と比べ、劇的とも言える違い。そこにクリスは、思わず戦慄を抱いてしまう。

 

「チィッ!!」

 

 そんな事実にこそ、彼女は屈辱と怒りに舌打ちして鞭刃を持つ手を振り上げた。

 放たれた一撃をすんでのところで跳躍して躱す響。そこへクリスは、追撃としての跳び蹴りを見舞いながら躍りかかる。

 

「今日こそはモノにしてやる!」

「グゥッ!?」

 

 突き刺さるような蹴撃を、辛うじて防御する響。そのまま弾き飛ばされた彼女は、半ば叩きつけられるように着地する。

 

「っ、つぅ~っっ!!」

「ハッ! 前よりかはマシみたいじゃねぇか……ひよっこガングニール!!」

 

 不格好ながらも己の攻撃を防いで見せた響に、クリスは口角を獰猛な形に釣り上げる。対し、響はそんな彼女をキッ、と睨み返した。

 すわ反撃かと余裕を滲ませつつも身構えるクリスに、しかし響はまず強い口調で口を開く。

 

「―――ひよっこでもガングニールでもない!! 私の名前は『立花 響』!!」

「………………は?」

「誕生日は九月の十三日で血液型はO型! 身長はこの間の測定で157cm! 体重は……もうちょっと仲良くなったら教えてあげる!

 趣味は人助けで、好きなものはごはん&ごはん!

 ―――あと、彼氏いない歴は年齢と同じっっ!!」

 

 唐突な名乗りに、肩透かしというよりも混乱に近い形でクリスは呆けた。そこへ更に畳みかけるように怒涛に続けた響に、だんだんと頬がひきつってくるのを自覚する。

 

「な、なにをトチ狂ってやがるんだ……お前」

 

 困惑を露にする銀色の少女に、響は両腕を大きく広げてみせた。あたかも、戦いたくはないとアピールするかのように。

 

「話し合おうよ! ノイズとちがって言葉が通じるんだから、ちゃんと話し合いたいんだ!!」

「………………。ああ、そうか」

 

 それを聞き、クリスはようやく腑に落ちた。とどのつまり、こいつは。

 

「『話せば解かり合える』って、そう言いたいのかよ」

「そうだよ!! だって言葉が通じれば人間は―――っ!!」

 

 解かり合える。戦わないでいい。……そんな言葉を砕くかのように、赤い刃の連なりが響へと叩きつけられる。

 辛うじてそれを躱した響は、その一撃以上にそれを放った少女自身の姿に声を遮られた。

 

「気に入らねぇ」

 

 声に込められているのは憤怒。眼差しからにじみ出ているのは憎悪。

 纏う白銀を侵してしまいそうなそれは、まるで地獄の底で赫奕と滾る漆黒の炎のよう。

 

「気に入らねぇ、気に入らねぇ……気に入らねぇ気に入らねぇ気に入らねぇ気に入らねぇ気に入らねぇッッッ!!」

 

 話し合えば。言葉が通じるなら。同じ人間なら。

 解かり合える?

 戦わないで済む?

 そんなわけがあるものか。

 そんな風にできているものか。

 人間はそんなご立派なものではないと、それこそ身に刻まれて知っている。

 

 だから。

 この期に及んでそんな悠長なことを口走るこの少女が。

 解かっちゃいないことをベラベラと知った風に嘯くこのバカが。

 何よりも誰よりも赦せないから。

 

「デュランダルとテメェを引きずってこいって言われたが……もう関係あるか!! その甘っちょろい戯言もろとも、テメェの全部を叩き潰して踏みにじってやるッッ!!!」

 

 今までになく鋭く迅く、二条の鞭刃が襲い掛かってくる。

 すでにその言葉そのものでこちらを潰さんとするかのような激情に、響はようやく己が逆鱗に触れたことを察した。

 だが、その上で彼女は恐れを飲み込む。

 

「私だって、やられるわけには……いかないっ!!」

 

 大蛇というより荒波か暴風がそのまま形になったかの如く、コンクリートを砕きながらのたうち迫ってくる二筋の赤。

 響はその片方を躱し、もう片方を腕の装甲を使って逸らすように受け流す。

 

「ッラァッッ!!!」

「わ!?」

 

 時間差で襲い来る、クリス自身の蹴り。地を這うような姿勢から繰り出された回し蹴りが、響の足を見事に払って背に地を付けさせた。

 クリスはその回転の勢いのまま脚を大きく振り上げ、そのまま鉄槌じみた踵落としへと繋げていく。

 

「砕け散れ!!」

「っ!?」

 

 言葉通り、こちらを粉砕せんとするそれを横に転がって躱す。代わりに踵を受け止めたコンクリートの地面が、爆撃もかくやと言わんばかりに盛大に砕けて爆ぜた。

 

「うぅっ!」

 

 細かな破片に打たれながら、響は歯を食いしばって立ち上がる。

 ちらり、と握った拳に目を向けた。

 

 やはり、戦うのは怖い。

 痛いのは嫌だし、それを相手に与えるのもイヤだ。

 それでも、今は拳を振るわなければいけないというのなら。

 

「っっっ、はぁあああっ!!」

「オォアアアアアアアッ!!」

 

 懊悩を食いしばった奥歯で噛み殺し、響は己を砲弾と疾駆する。クリスもまた、それを真っ向から迎え撃った。

 直後、ぶつかり合った双方の拳が、その余波だけで近くにいたノイズを散らしていく。

 

 その時だった。

 戦いを離れたところから見届けていた了子の腕の中で、デュランダルを納めていたパレットがランプを赤く明滅させながらアラームに似た電子音を鳴らし始める。

 え? と戸惑う間もなくパレットのロックが解除され、圧縮空気が気圧差で白く染まりながら勢いよく噴出する。

 

「きゃぁ!? 何、この反応? ……まさか!?」

 

 突然のことに思わずパレットを滑り落としてしまう了子。一瞬怪訝な表情を浮かべるも、その理由に思い至るや驚愕に目を見開いた。

 パレットのロック解除……当然ながら、二課の本部や上空の弦十郎からからそんな操作が発せられるはずはない。ならば理由は別にあるということになる。

 ―――例えば、パレット内部が異常な反応を感知したため、などだ。

 

 直後、さらなる異変が巻き起こる。

 了子の眼前で、パレットが内側から爆ぜたのだ。

 

「きゃぁあっっ!?」

 

 再びの突発的な変事に、たまらず悲鳴と共に竦み身構える了子。至近からの衝撃に、髪留めと眼鏡が弾き飛ばされ、長い髪がおろされて素顔が露わになってしまう。

 一方で、強固な作りであったはずのパレット破って出てきたナニカは、ギュルギュルと回転しながら上昇し、中空でカシャンと古びた鈴のような音を鳴らして静止する。

 それは、紛れもなく『デュランダル』であり―――休眠状態だったはずのそれは、淡い光を放ち始めていた。

 あたかも、稜線から顔を出さんとする日の出のように……或いは、目覚めに瞼を薄く開きつつある瞳のように。

 

「覚醒? ……起動!?」

 

 そう戦慄する了子が見つめる先、宙に浮かぶデュランダルは更に輝きを増していく。

 その存在に、響とクリスが気づいたのはほぼ同時。―――しかし、行動としてはクリスの方が一歩先を行っていた。

 

「ちょせぇっ!!」

「あぐっ!?」

 

 僅かに速く、意識を相手へと戻したクリスは、ガラ空きになった響の腹へと蹴りを叩き込み、その身を吹き飛ばした。響が背に土を付けるのも見届けず、忌々し気に鼻を鳴らして身を翻す。

 

「テメェはまた今度だ。元の目的、果たさせてもらうぜ」

 

 先ほどの激昂とは一転、冷徹な判断を見せるクリス。どうやら突如として出現したデュランダルの存在に、頭が一気に冷えたのか。

 或いは、この冷徹な判断力こそが彼女の才覚を端的に表しているのかもしれない。

 一方で、蹴り飛ばされた響は腹を抑えながらも立ち上がった。

 

「ま―――」

 

 だが制止の言葉すらも遮られて、眼前に緑光が乱舞する。かくして現れたのは、先ほどまで以上にひしめくノイズの群れだ。

 最後方には、クマムシのような姿をした大型ノイズすらも控えていた。

 ソロモンの杖を翳していたクリスは、異形の波にのまれていく響へと嘲りを短く残す。

 

「ハ、代わりにそいつらと遊んでな。―――で、と。コイツがデュランダルかよ」

 

 見上げる先に浮かぶ、淡く光を湛えた切っ先のない両刃剣。耳鳴りのように薄く響く高音は、まるで福音の鐘の音のようだ。

 クリスは目前の成果へとステップを踏むかのような軽やかさで地を蹴り、超人の跳躍でその柄を掴まんと手を伸ばした。

 次の瞬間にはそれは彼女のものとなり、持ち去られる……その事実を以って特異災害対策機動二課の完全敗北が決した―――はずだった。

 

 

 

「はぁああああああああああっっ!!!!」

 

 

 

 だが、その結末は覆る。

 遮る異形の悉くを撃ち砕き、瞬く間にクリスの背後にまで迫った太陽の如き光拳によって。

 

 

 

***

 

 

 

(雷を喰らい……)

 

 自分を飲み込もうと迫るノイズの津波を前に、響は自身でも驚くほど落ち着いて身を低く構えていた。

 その掌中には、小さな光球が煌きを産声と上げている。

 

(稲妻を握り潰すように……!!)

 

 脳裏に強く意識するのは、特訓での弦十郎の言葉。まさしくそれを為すかのように、彼女は光球を握り潰しながら強く拳を固める。

 

 立花 響はアームドギアを形成できない。

 自身の在り様……目指す形ゆえに、剣も槍も手にすることはない。

 だがそれは、本来そうなるはずだったエネルギーそのものが喪失しているという意味ではない。

 故に、彼女の至った答えはひどくシンプルだ。

 ―――そう、武器として具現化できないのならば、固めた拳に込めて直接叩きつければいいのだと。

 

「―――っ!」

 

 直後、蒸気を吹き出しながら右腕の装甲が前後に分割した。

 振りかぶる動きと共に後部部分がスライドする様子は、オートマチック式の拳銃のスライド機構にも見えるが、どちらかといえば杭を打ち出す直前のパイルバンカーを彷彿とさせる。

 そしていよいよノイズたちが眼前を覆いつくしたとき、響はその瞳をカッと見開いた。

 

「最速で―――」

 

 光ごと握った拳を尚も引き絞るように構えれば、その動きに合わせるように腕の装甲もガシャンと音を立てて更に後部へスライドする。もはや拳そのものを輝かせる様は、爆ぜる寸前の爆弾のような威圧を醸し出していた。

 

「最短で―――」

 

 異形の体に日の光が遮られ、陰っていく中で響の腰裏に光が灯る。腰部から突き出た装甲……否、スラスターに火が点いた証拠だ。

 

「まっすぐに、一直線に―――!」

 

 胸の響きを。

 この想いを、伝えるために。

 

 立花 響は、拙い心技体の全てを爆発させて、己自身を砲弾と発射した。

 固められた拳は人型のノイズを三体一度に貫き、そこから更に群れそのものを押し出していく。先ほどノイズを津波と例えたが、ならばこれは波そのものを無理矢理に跳ね返す暴風の塊か。

 そして逆巻く異形の津波が大型ノイズにまで届き、打ち付けたその瞬間。

 

「おぉおおおおおおおおおおおおおお――――っっっ!!!」

 

 展開されていた装甲が逆回しのように射出され、元の形へと合致する。蓄積されたエネルギーはその衝突を以って一気に解放され、拳を出口として放出された。

 結果。

 ドッッッパァアアンッッッ!!! と、響を覆っていた暗雲の如き無数のノイズが一瞬にして散り払われる。

 

「ッッッ!!?!!!?」

 

 デュランダルを求め、宙を舞うその途中でクリスはそれに気づいた。思わず声すら忘れて振り向く。

 その目に映ったのは、振り切ったはずの少女が燦然とした輝きを伴って拳を突き出し、こちらへと一直線に迫る姿であった、

 

「はぁああああああああああっっ!!!!」

 

 刹那とかからずデュランダルの柄が触れる位置。文字通り眼前にまで確定していた勝利を覆す逆転の一手。

 それが今、クリスの体を大きく撥ね飛ばした。

 

「ガァアアアアアアアアアアアッ!!?」

 

 それでも、それが直撃に至らなかったのはクリスが咄嗟に身を捩ったからか、それともノイズを蹴散らしたときに軌道がずれたためか。或いは、やはり響の中に躊躇いが強く残っていたからだろうか。

 光の拳は直撃には至らず、白い装甲を僅かに砕くにとどまった。

 だが。

 

「デュランダル……」

 

 クリスを弾き出したことで、ちょうどその位置に響が来ることになった。つまり、デュランダルの眼前。

 響は一瞬、自分が押し退けた少女のことを考えたが、すぐ無理矢理に意識を改めた。

 そう、今は。

 

「渡しちゃだめだ……!」

 

 そのために、たくさんの人が頑張って、体を張って、ここまで来た。

 だから自分も、それに応えなければいけない。

 そう強く決意して、響はすぐそこにある柄へと手を伸ばした。

 両手で掴んでも、なお余るそれを握りしめ―――

 

 

 

「――――――、ァ」

 

 

 

 ―――ドクン、と。

 立花 響の心は、刹那の内に漆黒へと塗りつぶされた。

 

 

 

***

 

 

 

 その瞬間、クリスは自身の五感が感じ取る世界の全てが反転したかのような錯覚を得た。

 

「な……ぁ……!!?」

 

 口からこぼれるのは、呻きのような困惑。

 その視線の先で、地に降り立った響が剣を正眼に構えるように浅く背を丸めている。

 

「グ……ゥ、ァア………」

 

 低い、獣のような唸り声……それが響の口から漏れ出した直後、剣の輝きは天を衝く光の柱となって屹立した。

 

「あ、ああ……」

「は……」

「グゥウウウ―――」

 

 クリスも了子も、埒外の展開に唖然と眺めることしかできない。一方で、響は唸りを強めていきながら徐にデュランダルを天へ翳すように持ち上げる。そして―――

 

 

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!」

 

 

 

 ―――狂乱と称すべき咆哮を上げ、デュランダルを真の姿へと昇華させた。

 ジグソーパズルのピースのように欠けていた切っ先は鋭く顕現し、ただでさえ長大であった刃は規格外の巨大さへと変貌を遂げた。

 また、長い年月を経た大理石じみた色彩は、光の只中でなお目映い黄金へと染まっていく。そこへ走る碧のラインは、人ならざるモノの血管のようだ。

 そしてなによりも大きな変化は鍔から刃元に至る装飾。ともすればタービンのようにも見えたそれは、今は刀身の根元を二又に割きながら瞳と十字架を彷彿とさせる形状へとなっている。

 

 最早、疑いの余地はどこにもない。

 完全聖遺物【デュランダル】………それが永き時を経て、ここに覚醒へと至ったのだ。

 

「まさか……さっきの一撃が?」

 

 疑問が隠す余裕もなくクリスの口からこぼれていく。実際のところ、その真偽がどうなのかはわからない。

 確かなのは、目の前にあるそれが己にとってどこまでも危険であるということだけだ。

 

「っ……」

 

 ふと、クリスが振り返る。そこに立っているのは、長い髪を放り出した了子だ。

 光の柱が生む力場は空気をかき乱し、嵐然とした暴風を生み出していた。だが、その中でも了子はその場から微動だにすることなく、瞬きすら惜しいとまでに響とデュランダルを凝視している。

 その顔には、法悦とも取れる歪な微笑みが浮かんでいた。

 

「づっ―――そんな、力を」

 

 クリスは忌々し気に奥歯を噛み鳴らし、眼前の光へと向き直って睨みつける。

 彼女は理解していた。―――アレは自分が何よりも憎むモノの具現化だと。

 打撃斬撃銃撃爆撃……有形無形を問わず向けた相手を破壊しつくし、蹂躙しつくし、剥奪しつくす暴力の結晶体。

 そこに、かつて己を取り巻く大切な全てが奪われた日のことを想起し、彼女は憎悪と恐怖に眦を釣り上げる。

 

「見せびらかすなぁああああああああああああああっっ!!!」

 

 引き抜き構えたソロモンの杖から、鮮やかな緑色の閃光が迸り、ノイズが召喚される。

 しかし。

 

「―――■■■■■■■」

 

 剣を掲げたまま、振り返る。

 その為の、ただの足運びの一歩だけでノイズの悉くが散っていった。

 それは睨みつけただけでノイズが自死を選んだと、そう言われても納得してしまいそうな光景だった。

 事実、狂乱の深紅に染まった響の両眼を目の当たりにしたクリスの心は、憎悪を完全に塗りつぶすほど、強い恐怖に体を縛られてしまっている。

 

「ひ……ぁ………」

 

 喉が干上がり、横隔膜が麻痺して呼吸を忘れる。

 見開かれた両眼が捉えるのは、こちらへと振り下ろされんとする光の刃だ。圧倒的な暴力の奔流は、直撃すれば己を粉々に砕き散らすだろう。それこそ、先ほどのノイズのように。

 ネフシュタンの鎧ならば、粉々になっても再生できるかもしれない。だが、それを纏っているだけの自分は砕かれればそれで終わりだ。

 

 このままでは、死ぬ。

 なのに、体は動いてくれない。

 

(いや、だ……アタシは……)

 

 死にたくない。終わりたくない。

 自分はこんな暴力を否定して、それを潰して、何かを踏みにじる理不尽を根絶やしにしようとしたのに。

 また、自分はコレに屈服して……今度は自分自身を壊されてしまうのか。

 

(パパ……ママ……)

 

 かつて理不尽に奪われた大切な家族。

 その存在を、走馬灯のように思い出し―――

 

 

 

「――――――投影、開始(トレース・オン)!!」

 

 

 

 ―――そうして。

 クリスは、新たな光を目の当たりにした。

 

 

 

***

 

 

 

 士郎がその場に辿り着いたのは、響が体ごと振り向いた瞬間だった。

 轟々と屹立する光の柱は、まるで逆巻く瀑布のよう。それを生み出す黄金の剣は、見知ったはずの少女の手によって高く振り上げられている。

 

(っ、デュランダル……!)

 

 網膜を焼きつかせるような輝き、その向こうから飛び込んでくる【解析】の結果が、予想通りに想定外を突きつけてくる。

 変貌し、長大さを増した刃を掲げる響の瞳は爛々と赤く輝き、その喉からは今まで聞いたことないような獣じみた哭き声を迸らせ―――士郎はそこに、かつて対した狂乱の大英雄の姿を重ねて視た。

 起動したデュランダルに、シンフォギアが共鳴して暴走したのか。もしくは、単純にデュランダルの放出する力に響自身が当てられてしまったのか。

 いずれにしろ、今の彼女には一分の理性もなく、ただ力を振り回すだけの存在へとなり果ててしまっている。

 そしてその掲げられた力は無比にして無類、そして無双と呼ぶべき威を発揮する前から曝け出していた。天をどこまでも貫く絢爛たる怒涛は、そのまま振り下ろしたときの破壊力は宝具にして対軍を越え、対城の域にまで届くだろう。

 

 そんな響の前には、白い装甲を纏った少女と、長い髪を放り出した了子が佇んでいる。二人の距離は離れているが、振り下ろされんとする力の前には誤差にもならない。

 いや、そもそもアレがまともに解き放たれれば、二人はおろかこの薬品工場そのものが蹂躙され、破壊されつくすだろう。

 そう、彼女が守ると決めたモノも、己の想いを届かせたいと願った相手も、自身の意思にそぐわぬままに。

 

 それを察した士郎は、誰へとでもなく憤怒に奥歯を噛み鳴らす。

 

 

 ―――許せるものか。

 ―――赦せるものか。

 ―――そんなこと、断じて認めてたまるものかよ………!!

 

 

 

「――――――投影、開始(トレース・オン)!!」

 

 脳裏に馴染み、染みついているずらりと並んだ撃鉄の群れ……それが火花を散らして一斉に叩き落される。

 赫怒の熱を総身に込め。

 衛宮 士郎は詠唱(いのり)と共にその身の魔術回路を一息に臨界まで押し上げた。

 直後、体中の神経がスパークしているような錯覚を受け、魔力を集中させる掌はメルトダウンしているかのように熱い。

 だがそんなものは問題ではなく、一顧だにする価値もない。

 

 今、必要なものはイメージだ。

 立花 響が振り下ろす暴虐を受け止め、阻止する手段。―――それを為す、自分自身。

 その為には何を創り、何をすべきか?

 彼女が持つデュランダルの投影?

 ―――否、それは不可能だ。衛宮 士郎ではアレは再現できない。

 

 士郎はそれが剣であるならば、神造兵装の再現にすら手を届かせることが可能だ。……無論、そこには自身に還る被害を度外視した上でという注釈が不可欠だが。

 だが、それでも例外はある。

 例えば、黄金の英雄王が持つ乖離剣。天と地の理を内包した、世界そのものを切った器物。言ってしまえば世界法則そのものを内包したアレは、再現どころか解析そのものすら通用しなかった。

 翻って、デュランダルはどうか。

 確かに、威力はすさまじい。だが、それとこれの話は違う。武具としての威力にも差は大きくあるが、基準をそれと別にして、そも存在の格そのものが隔絶している。

 それならば、なぜ投影することができないか。……それは、士郎の魔術とデュランダルを構築する法則が根本的に違うからだ。

 

 士郎の使う『魔術』。

 この世界の『先史文明技術』。

 まったく違う可能性におけるそれぞれの技術体系、根幹から異なる神秘……つまりは、世界法則そのものの差異だ。

 先の例から引用するならば、今の士郎はこの世界独自の神秘を理解し、それに順応することができていない。それ故に、デュランダルを投影することはおろかその内実を解析することさえもできない。

 上澄みのような概念を観測し、自身の裡に登録されているモノとの共通項をピックアップすることで多少なり概要を把握することはできるが、その深奥に踏み込むことは不可能である。

 

 とどのつまり。

 今の衛宮 士郎では、この世界の理を扱うことはできないということだ。

 

 なら、どうするか。

 その答えはシンプルだ。

 

(目の前のアレと同格・同質の剣で以って迎え撃つ……!!)

 

 その為の剣はすでに決まっている。

 騎士王の剣。

 岩に刺さった選定の刃。

 かの王にとって……そして衛宮士郎にとっても始まりと呼べる一振り。

 

「っ、づ」

 

 骨の髄から爛れそうなほどの熱は正に溶けた鉄の如く。

 魔術回路もろとも神経を引き裂いて奔るような雷撃は、相槌に散る火花か。

 これまでの人生で既に慣れとおした感覚(くつう)を噛み殺し、己自身を鍜治場と化して錬鉄の八節を通す。

 

 創造理念、鑑定。

 基本骨子、想定。

 構成材質、複製。

 制作技術、模倣。

 成長経験、共感。

 蓄積年月、再現。

 ―――全工程、凌駕。

 

「――――ォ」

 

 幻想、結実。

 衛宮 士郎の全魔術回路がその唯一の機能を発揮し、全霊を以ってここに黄金の聖剣は再臨する―――!!

 

「ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ―――――ッッッ!!!」

 

 そうして。

 次の一歩で踏みしめたコンクリートを卵の殻のようにひび割れさせて。

 彼は残りの数メートルをそれだけで一気にゼロにした。

 

 

 

***

 

 

 

「、あ」

 

 顕現の瞬間、クリスはそれを間近で目の当たりにした。

 

 青を基調とし、淵を黄金で彩られた装飾は絢爛にして優美。されどそこに財としての汚らわしさはなく、荘厳な佇まいは貴き権威の象徴であることを雄弁に表していた。

 だが、それ以上に目を引かれるのはその刃。装飾とは裏腹にどこまでもまっさらなそれに、ほんのわずかな曇りもない。生中な鏡よりも鮮明に己を映す様は、まるで朝靄に覗く凪いだ湖面のようだ。

 そんな白い刀身が纏うのは、うっすらとした黄金の輝き。

 淡く、しかしこの閃光の濁流の中で尚も塗りつぶされない確かな煌き。

 それがまるで、真っ暗な夜空を見上げて真っ先に目に入った一番星のように目映かったから。

 

「―――――――――綺麗」

 

 彼女は思わず、そんな言葉を無意識に漏らしてしまったのだ。

 

 

 

***

 

 

 

 そして。

 二つの刃、異なる可能性の生んだ極限の光。

 ありえざる、二振りの聖剣同士の激突が実現する。

 果たしてその結果は、

 

「っづ、ぅ……!」

 

 士郎の側の、一方的な敗北だ。

 手に持つ剣には刃毀れの一つも生じていない。だが彼の体は至る所が裂け、血が飛沫いた。

 対し、響は健在。我を失った状態のまま、傷一つはおろか、ささやかな痛痒さえ感じた様子はない。

 それどころか士郎を文字通りに押し切らんと、デュランダルの刃を彼の側へと傾けようとしていた。

 近づく刃に対し、しかし彼はギチギチといつ砕けてもおかしくないほどに奥歯を噛みしめ、足裏をザリ、と鳴らしながら踏み止まる。

 

「■■■■、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!」

 

 それに苛立つような咆哮と共に、響の刃が尚もその輝きと圧を増した。それに最前線で晒される士郎の体からは、新たな傷と共に血霞が煙るように噴出する。

 あまりにも極端で、圧倒的なまでに瞭然すぎる優劣。

 

 剣の格で言うならばほぼ同格。覚醒した完全聖遺物とはいえ、士郎の方も贋作とはいえ聖剣としてのカテゴリーとしては最高峰の一つだ。

 身体能力で言うなら、こちらもさほど水を空けられているわけではない。魔術によって強化された肉体は、シンフォギアに十分追従することが可能だ。

 ならばどこに差が出たのか。

 それは互いの出力の差……それも剣のではなく、それを扱う使い手の方だ。

 

 衛宮 士郎は決して魔術を扱うものとして優れているわけではない。小源(オド)から生ずる魔力量も凡百から逸脱するものではなく、師と仰いだ少女と比すれば雲泥の差だ。

 今の彼はその魔力の全てを振り絞ることでデュランダルと対峙している。

 ここに来る経緯に小規模ながらの戦闘はあったが、聖剣の投影による消耗が彼自身の想定よりも遥かに少なかったこともあり、注ぎこまれる力は十二分であると言っていい。

 だがそれでも、立花 響には届かない。

 魔力とフォニックゲインという違いはあれど、彼の全霊は今の彼女には遠く及ばないものでしかなかった。

 かつて話題に出た折、デュランダルを起動させるには翼と奏が二人掛かりでどうにかという目算が立てられていた。つまり、それだけ必要とするフォニックゲインの数値は大きかったということだ。

 しかし、現実として響はこうしてデュランダルを起動させ、それどころか完全なる覚醒まで果たしてその力を放とうとしている。そこにクリスとの戦闘の影響があったことは否めないが、それでもその力は彼女のほぼ単独だ。

 そうして溢れ出し、士郎が受け止めているその力は、翼が且つて我が身を顧みず使った絶唱と同等……あるいはそれ以上だ。

 アスファルトを走る乗用車のエンジンと、大海原を割いて進む軍艦の動力機関。

 身も蓋もなく例えてしまうなら、それほどの差が二人にはあった。

 

 故に、真正面からぶつかれば衛宮 士郎は確実に競り負ける。

 ―――そんなこと、刃を重ねる前から分かりきっていた。

 

「ぐ、がぁっ!!」

 

 呻き、藻掻きながら重ねた刃に力を籠め、互いの切っ先の向きを少しずつ変えていく。

 そう、士郎は最初から単純な力のぶつけ合いで相殺しようなどとは考えていなかった。そも、本当にそんなことをしようものなら、彼と響の二人諸共に周囲の一体全てが消し飛んでしまう。

 ならばどうするか。簡単な話だ。

 ―――放出される全てのエネルギーを、なにもない方向へと出し切るよう促せばいい。

 

「■■■■■■■■■■■■■■■!!」

「づ、ぉおおおおおおああああああ!!」

 

 咆哮と共に、圧と光を増していくデュランダル。しかしそれこそ思惑通りと士郎は無理矢理に絡めた刃を押し戻し、切っ先を更にずらしていく。

 なにもない方向、どんなに強い力を放っても被害を出さない場所……即ち、直上の空へと。

 かの聖剣を投影したのも、そのためだ。

 正面からぶつかり合っても折れずに堪え切れる耐久力。そして魔力とフォニックゲインの違えはあれど『籠めた力を熱量へと変換し、破壊力を持った光として解き放つ』という非常に酷似した性質。

 これらを以ってデュランダルと同調、その力の流れを誘導するとともに―――その真価を以って双方の力を全て発散させる。

 それこそが、衛宮 士郎の狙いである。

 この作戦に問題があるとすれば、

 

「■■■■■■■■!! ■■■■■■■■■■■■■■■■!!!」

「ギ、がぁあああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 あまりにも凄まじい力の奔流に、至近距離で晒され続ける士郎の体が耐えきれるかどうかということだ。

 

 刀身を介したデュランダルへの干渉は順調だ。だがそのため、士郎は出力を増し続けるデュランダルの影響をほぼゼロ距離から浴び続けていた。

 それは不可視の刃となって士郎の体を更に刻んでいく。舞う血飛沫の量が増え、豪風に弾かれてキラキラと光を返しながら散っていく。

 

「づぅ―――」

 

 思わず漏れ出る呻き。

 だが、士郎は俯きかけた顔を跳ね上げると、殊更に体力と気力と魔力を振り絞り、根を生やすように踏ん張り続ける足に力を込めた。

 

「――――ぅおおおおおおおおおおおおあああああああああああああああああっっっ!!!!!」

 

 まさに裂帛というべき雄叫びを上げ。

 士郎の刃はついにデュランダルのそれを押しのけ、互いの切っ先を上へと仰がせた。

 

 ―――そして。

 今だ、と思考を挟むよりも先に、体と意思が全てを完遂させんと動いた。

 

 

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!」

「――――――勝利すべき黄金の剣(カリバーン)ッッッッッ!!!!!」

 

 

 

 咆哮と重なり、紡がれたのは聖剣の真名。

 これこそ【勝利すべき黄金の剣(カリバーン)】―――王を選ぶための剣、その似姿。

 それが真の力を解き放つと同時、デュランダルもまた同じように全ての力を開放した。

 収束された星の光は、導くように暴虐の光威を天へと還していく。

 それは塩基配列さながらの二重螺旋を描き、周辺はおろか市内のどこに居ても目の当たりにできてしまうほどの威容を以って立ち昇り続けていた。

 

 ―――それは見ようによっては。

 それは二匹の竜が絡み合いながら昇っていき、遥か天高くで互いの双翼を大きく広げたかのようにも目に映ったという。

 

 

 

***

 

 

 

「な……あ……!?」

 

 ようやくノイズを一掃した奏は、轟々と天翔する光の奔流に呆然と立ち尽くしていた。

 最初の光も度肝を抜かれる思いだったが、今度のはそれに輪をかけて凄まじい。

 だが同時に、彼女は胸の奥に疼きのようなものを感じていた。……いや、正確には己の裡にある『鞘』にか。

 

「……若大将」

 

 彼女は呟きながら、知らず自身の胸元をギュッと強く握りしめていた。

 

 

 

***

 

「ぬぅっ!?」

 

 ヘリを揺らすほどの衝撃に、弦十郎は思わず唸る。

 開け放たれた出入り口から半ば身を乗り出す形で事態を見守っていたのだが、それで振り落とされるようなヘマはしなかった。もっとも、仮に振り落とされたところで傷一つなく着地することは可能なのだが。

 そんな超人である彼だが、だからこそ目の前の事態に忸怩たる想いで歯噛みするしかない。

 

「皆……無事でいてくれ!」

 

 己の手の届かぬ不甲斐なさを飲み込むのは、いつまでたっても慣れそうにはなかった。

 

 

***

 

 

 

「あ―――」

 

 翼がそれを見たのは、病室からだ。

 

 彼女にも、作戦の概要は伝えられていた。参加することのできない歯がゆさを感じ、だからといって何ができるでもない。

 そんな彼女は暢気に眠る気も起きず、ベッドの上で作戦の成功と皆の安否を祈っていた。

 そこへ唐突に光が差し込んできた時、彼女はほとんど反射的に身を起こしていた。そしてそれがさらに強く輝きを増したとき、彼女はふらつく足取りで窓辺へと歩み寄って、徐に窓を開いた。

 

 顔を叩き、髪を流す強風の不意打ちに顔をしかめながらも、その視線と意識はすぐに彼方の光へと釘付けになる。

 よく見れば、二条のそれがもつれあうような形。それがどうして発生しているのか、今の彼女には知る術はない。

 だが、直感的に彼女はそれに自身の想い人が関わっているだろうことを半ば確信していた。

 

「……士郎さん……奏……みんな……」

 

 押し殺すように名が呼ばれる。呟く彼女の手の中で、窓枠が苛立たし気にキシリと小さく軋む音を立てた。

 

 

 

***

 

 

 

「デュランダル、及びアンノウンの高エネルギー反応、継続中!! しかし、緩やかにではありますが収束していっている模様です」

「響ちゃんや衛宮さんとの通信、未だ繋がりません!! 二人の安否、いまだ不明!!」

「ノイズの反応は消失、増援なし。しかしネフシュタンの反応も検知できません」

 

 特異災害対策機動部二課、その本部発令所。

 現場に出ている者たちを支えていたオペレーターたちが、自身の収集した情報を声高に報告し合っている。

 メインスクリーンに映し出されているのは、定点観測カメラから写し出される巨大な光柱だ。

 現実味を大きく欠いた光景に、しかしこの場の全員がそれに流されず己の職務を果たしている。

 そんな日陰の鉄火場で、一人事態を見守っていた少女がいた。

 

「響……衛宮先生……」

 

 小日向 未来だ。

 彼女は外部協力者として、特別にここに席を用意されていた。無論、手伝えることなどないので傍観者に徹することしかできなかったが、それだけで申し訳なくもありがたい話である。

 そんな彼女は、ここにいるオペレーターたちともども誰よりも事態の推移を俯瞰から知ることができた立場だった。

 故に、デュランダルを手にした響が暴走し始めたことも、それを止めるために士郎が飛び込んでいったことも把握していた。

 だが圧倒的な力の放出によるものか、二人からの直接の通信は途切れて今はこうして外様から情報を入手するしかない。

 

 周囲が慌ただしく動く只中で、未来はそっと両の指を絡ませ、口元で組むと静かに目を伏せた。

 

「お願い、無事でいて……」

 

 その切なる祈りをよそに、スクリーンには未だ強烈な光が煌々と発せられていた。

 

 

 

***

 

 

 

「―――、チッ」

 

 吹き上がる光を見上げながら、忌々し気に舌打ちをするクリス。彼女の身は、すでに薬品工場の敷地より外にあった。

 二つの剣が激突したのとほぼ同時に我を取り戻した彼女は、その隙に離脱を果たしたのだ。……正確には、暗にそう指示されたというべきか。

 

「…………クソッ」

 

 吐き捨てる様な悪態と共に、彼女は踵を返す。

 その表情に、すでに恐れは消えている。あるのは怒りと嫌悪……その矛先は、彼女自身。

 ―――そう、今の自分が決して赦してはいけないモノに見蕩れ、あまつさえ救われてしまったことへの、どうしようもない自家中毒である。

 

「クソッ!!」

 

 八つ当たりに横へと振るった拳が、手近な壁を砕いて穿つ。無論、それで気が晴れるわけもなく、タールのようにへばりつく嫌悪感に奥歯を鳴らす。

 しばらくは拳を叩きつけたまま肩を震わせていたが、やがてその場を後にすべく歩き出した。その足取りは、踏み出す一歩目からすでに重い。

 ふと見てみれば、光を背にしたことで生まれた己の影が、進む道に長く伸びていた。それは輝きの強さに比例してどこまでも濃く、黒く、昏い。

 クリスはそれを踏みしめながら進む自分が、まるで得体のしれない底なし沼へと自分から沈んでいくかのように感じていた。

 

 

 

 そうしてクリスが去ってしばらく。

 もつれあうような光の柱が、残滓を霞のように残して消えていき、それすらも瞬く間に散り失せる。

 雲の一つすら残っていない蒼穹は、上映を終えた銀幕のようにまっさらな単色をどこまでも曝していた。

 

 

 

***

 

 

 

 ―――気付けば、どこまでも真っ暗な闇の中だった。

 

 自分の手足すら見えないどころか、体そのものが無くなっているのかもしれない。そのくらいそこはあやふやで、手応えどころか立っているのかいないのかすらわからなかった。

 そんなものだから、なにを思う気持ちすらも薄らいで、私の意識というやつは寝ぼけているかのように揺蕩っていた。

 そこへ、ふと唐突に目に飛び込んできたものがあって、それでようやく視界というものを思い出す。

 それは、光だった。

 あまりにも目映く、けれどなぜか安らぐ煌き。

 キラキラとしたそれに、思い出したのは小さなころに見た星空だ。

 脈絡もなく起きてしまった真夜中、ただ夜の闇というだけで泣き出してしまいそうに怖かった頃。

 見上げた窓から覗いた幾つもの瞬きは、私をそんな気持ちから救ってくれた。

 

 ―――ああ。目の前のそれが、かつて寝入るまで見つめ続けた輝きに似て、けれどそれよりも近くにあるように思えたから。

 だから。

 私はそっと、その光へと手を伸ばして―――

 

 ………

 ………………

 ………………………

 ………………………………

 ………………………………………

 ………………………………………………

 

 

 

***

 

 

 

 ガラン、ガラン、と。

 二つの鋼が折り重なって転がり奏でるそんな喧しさに、立花 響の意識は浮上した。

 

「ん、……」

 

 音が聞こえたのは、己の右側。そちらへと寝ぼけ眼に似た胡乱気な眼差しを向けて見れば、そこには二振りの剣が刀身の腹で交差する形で横臥していた。

 片や、どこか見覚えのある目に突き刺さりそうなほどの黄金が眩しい長大すぎる剣。それを敷く形のもう一振りは丸で見覚えのない、しかし蒼と金の装飾が美しい柔らかな黄金の輝きを湛えた剣。

 さて、これらはなんだったか。……そんな疑問が形になるよりも前に、上に重なっていた方の剣が光の粒子となってその輪郭を崩し、散っていく。

 

「あ―――」

 

 と思うも僅か、それは光は風に攫われる砂絵の如く散っていき、僅かな名残もなく消え失せる。後に残ったのは、凶悪なまでの黄金の大剣だ。

 それをただぼうっと眺めているのは、起き抜けに見た光景に現実味を感じられなかったためか。

 だがそれも、次の瞬間には冷や水を浴びせられるかのようなものになる。

 

「………起きたか、立花」

 

 そんな声が、すぐ横で聞こえた。ともすれば、息遣いが首筋に擽ったくもある。

 

「ふぇ?」

 

 視線を逆隣へと移す。すると真っ白な髪が視界を埋め尽くした。

 はて? と首を傾げかけたところで、自分から何かがズレ落ちる感覚を得てしまう。

 

「わわ、っと………あれ?」

 

 咄嗟にそれを抱きかかえるように支えたところで、初めて自分に何かが―――否、誰かがもたれ掛かっていたことに気付く。

 

「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………えーと?」

 

 たっぷりと、それこそ盛りすぎなほどの間を置いて、立花 響の脳内で自問と自答が繰り広げられた。

 

 

 

 問:現在の状態を説明せよ。

 答:互いの首筋に顔を埋めるような形で、衛宮 士郎の体を背に手を回す形で抱きしめている。

 

 

 

「――――――、ふぁぁああっっっ!!? え、えみやしゃん!? な、なにがどうして!!!?」

 

 自覚すると同時、燃え上がるというよりかは熱暴走で破裂しそうな勢いで顔を赤くする響。

 というのも彼女、そもそもが色気よりも食い気を地でいく性質であり、小中時代には未来のガードもあって色恋には縁がなかった。

 更に言えば、ライブでの事件後は周囲からの迫害もあり、未来以外の交友関係はほぼ皆無。そして地元を離れて進学したリディアン音楽院は女子校である。

 父も消息を絶っている現状、近しい男性はそれこそ二課関係に限定されるのだが、それも常識的な範疇である。例外は師である弦十郎であるが、それこそ師弟というフィルターもあり、また弦十郎にしたって組手以上に過度の接触はない。

 とどのつまり、立花 響はその思春期以降で同年代以上の男性と触れ合う機会がほとんどなく、実のところ男性に対する免疫は意外と低かったりするのだ。

 無論、普通に話す分には一切の気負いなくむしろ積極的に話しかけることもできるのだが、流石にこういう状態に陥ると些か以上に刺激が強すぎたようである。

 

 あわあわと静かに狼狽する響であったが、当の士郎はというとそれを気にする余裕もない。

 

「悪い、な……全力を、振り絞った、せいか……指一本、動かせそうに、ない」

 

 途切れ途切れに紡がれる言葉に力はなく、それこそ消耗が伺えた。その声を聴いて、響は顔の赤さはそのままに多少の落ち着きは取り戻せたようだ。

 

「気になる、なら……その辺りにでも、放ってくれて、いい」

「い、いえ! だいじょうぶでしゅ!!」

 

 言いつつ、彼女はほぼ反射的に背に回した手の力を少し強める。腕に返る感触は硬く、引き締まったものだ。

 これほどまでに近くにまで触れた異性として脳裏で比較されるのは父と師だが、前者はお世辞にも鍛えられているとは言い難い。後者はというと、こちらは屈強ではあるものの士郎の体とはまたタイプが違う。

 弦十郎が巨大な鉱石から削り出したような巌のそれなら、士郎はまさに鍛えた鋼で形作ったかのようだった。刀剣が人の形をすればこうなるのだろうかと、そんな風に思ってしまうくらいに。

 と、支える手に妙な感触を覚える。

 

「え?」

 

 ぬるりと粘つく、生暖かい手触り。なにかと士郎の肩越しに視線を伸ばしてみれば、掌は赤く染まっていた。

 それを見た瞬間、茹っていた思考が一気に冷やされ、血の気が引いていく。

 息を飲み、よくよく見てみれば士郎の体は至る所が裂け、血を滲み流していた。

 

「え、衛宮さん!」

「ん? ……ああ、すまん。服とか、汚しちまうな」

「そんなのどうでもいいです!! これって……」

 

 そこまで言って、ようやく彼女は周囲の光景に気付く。

 コンクリートの地面は砕け、自分たちがいる場所を中心に爆心地のように大きなクレーターを形成していた。

 周囲の工場施設はあちこちが損壊し、少なくとも見える範囲では無傷の建物はどこにもない。

 張り巡らされていたパイプのいくつかが裂け、割れた窓や砕けた壁の向こうから細く煙を上げている所もあった。

 酷く、惨憺たる情景であると言わざるを得ない。

 

 どうして、という疑問が口から出る前に、響の頭をフラッシュバックのような記憶の再生が揺さぶる。

 手に取ったデュランダル。

 黄金に染まる刀身。

 それを振り下ろそうとする自分。

 それを止めようとした士郎。

 もう一振りの黄金。

 ぶつかり合う刃と刃………。

 

 ひどく断片的で、おぼろげなイメージ。だが、それはこの惨状を生み出した原因を、彼女に知らしめるには十分すぎるものだった。

 

「―――、みんな、私のせいで」

 

 誰かを助けたい―――そう言った。

 胸の疑問と想いを届けたい―――そう思っていた。

 だけど、その結果がコレなのか。

 訳の分からないままに暴走して、挙句の果てに周りや誰かを傷つけた。

 結局自分はそんな情けない成果しか出せないのか。

 

 俯き、押し黙る響。

 そんな彼女に、士郎はゆっくりと言葉を紡いでいく。

 

「……立花、お前のせいじゃない、気にするな……と、言っても無駄だろうな。

 ―――だから、事実だけ言わせてもらう」

 

 ギュウッ、と手が握りしめられたのを背に感じる。それに関わず、彼は続ける。

 

「デュランダルを覚醒させたのは、間違いなくお前だ。どうしてそうなったのかは、わからないが……それは確かなことだ」

「はい……」

「そしてデュランダルを手にしたお前が暴走したのも、この惨状をお前が生み出したのも、紛れもない事実だ」

「っ、……はい」

 

 声が、震えている。士郎は動じない。

 

「……なら、そのデュランダルはどこにある?」

「え?」

「そこに、あるだろう」

 

 響の首が動く。顔が向けられた先は、横たわるデュランダルだ。

 それを見つめる響へと、さらに言葉を贈る。

 

「それは、お前が護りきったものだ」

「あ……」

 

 そう、これほどまでにすさまじい力を発揮したデュランダル。

 それはノイズに害されることも、あの少女に奪われることもなく此処にある。

 今回の作戦はすべてその為のもの。

 その為に、誰も彼もが体を張り、死線を潜り抜けたのだ。

 だから。

 

「―――よくやった、立花」

「っ、はい」

 

 衒いなくかけられた称賛に、響は喉を震わせた。

 正面から互いの身を預け合いながら、士郎は小さく笑い、響は僅かに鼻を啜った。

 そして。

 

 

 

「………………あ~ら、私ってばお邪魔虫かしらねぇ~?」

 

 

 

 横合いから、チェシャ猫じみた笑みを張りつかせた了子がしゃがみ込んでまじまじとこちらを覗き込んでいた。

 

「わひゃぁんっっっ!!?!!!?」

「ぬがっ!?」

 

 不意打ちにもあまりある出来事に、響は赤面をぶり返して思わず抱えていたものを横へと放ってしまう。

 放られた側は呻き声と共に、ズッシャァアアアアアッ!! と地をわずかに滑ってからデュランダルの隣にそのまま市場の冷凍マグロよろしく並ぶことになった。

 

「た、立花……放ってもいいとは、言ったが……せめて、もう少し……手心というものを……」

「あぁっ、ご、ごめんなさいぃ~!!」

「あらあら、大丈夫?」

 

 放られて寝そべった状態のまま見上げる士郎と、そんな彼に涙目で慌てて謝罪する響。そしてそんなやや混沌とした状況を涼しい顔で眺めている了子(かくしんはん)

 士郎は顔をしかめながらも、視線を了子の方へと合わせる。

 

「……そちらも、無事だったようだな」

「まあね。……ネフシュタンの子も逃げてったみたいだし、とりあえずはひと段落かしら」

「ひと段落、ですか」

 

 そういうには周りの状況はひどいものではあるが、士郎も了子も敢えてそこには触れない。

 了子は予備のものらしい髪留めを取り出し、存外に長い髪を纏めていく。

 

「このあと来る事後処理の班と入れ替わりで、私たちは二課へと帰還。それで今日のお仕事は終了よ」

「え? デュランダルは?」

「デュランダルもよ。……まさか覚醒するとは思わなかったからね。このまま記憶の遺跡に運ぶわけにはいかないし、細かい調査とかもやり直さないとだから、それができる本部にそのままとんぼ返りよ」

 

 感嘆に髪を纏め終え、スペアらしい眼鏡を取り出して掛ける。そうしてから、彼女は響へと笑いかけた。

 それは常と変わらない、軽い調子の表情だ。

 

「お疲れさま、響ちゃん。よく頑張ったわね」

「了子さん……ありがとうございます」

 

 肩の荷がほぼ下りたためか、安堵に力の抜けた笑みを浮かべる響。

 一方で、士郎は横倒しの視界で二人を眺めながら、僅かに目を細めていた。

 

(……結局のところ、確信には程遠いか)

 

 それは防衛大臣暗殺の日以来、了子に抱き続けている疑惑に対してのものだ。

 

 あの日。

 了子が大臣から受け取ったというケースを抱えて現れたあの時。

 士郎はそのケースから、かつて嗅ぎなれたある匂いを感じ取っていた。

 ―――血、そして硝煙。

 それは本当に僅かなもので、ともすれば気付かなかったとしてもおかしくなかった程度だ。

 だがだからこそ、そこに隠蔽の気配を感じずにはいられない。

 

 今回の作戦で、それに対しての答えとはいかずともとっかかりを得ることはできないかと思ってはいたが……結果としては芳しくない。

 たしかに下水道を使っての襲撃はこちらの思惑の裏を突くものであったが、それがこちらの情報を知った上でのものであるかというと、断言できるものではない。

 終わってしまえば、相手が独自に思いついた判断だと言われてもおかしくはない程度の策であるからだ。

 

 疑惑は晴れない。

 未だ灰色のまま。

 だが、ここにきてなお何一つ確定できないという状況そのものがより怪しく感じてしまうのは、果たして邪推でしかないのだろうか。

 

(信じたくは、あるんだけどな……)

 

 了子もまた、この世界に来てからの付き合いだ。ほかの二課の面々ともども、幾つもの苦楽を共にした間柄で、そんな仲間を疑わざるを得ない状況は酷くつらい。

 ………だが同時に、かつての世界から続く彼の経験と現実の状況が、感情を排して可能性を突き上げてくる。

 

(杞憂であってくれ……)

 

 そう願いながらも、彼女らのやり取りを眺める意識は冷徹に状況を見定めようとしていた。

 と、了子はなにか気付いたようにこちらへと目を向け、その視線を据わらせていく。

 一瞬、力の入らない体を強張らせた士郎へ、了子は僅かに身を退かせながらぽつりと言い放つ。

 

「衛宮くん―――その角度からだと私や響ちゃんのパンツ、覗けてない?」

「え、衛宮さん!!?」

「事実無根だバカ野郎………!!」

 

 とりあえず。

 疑惑の真実はさておいて。

 謂れなき風評被害に抗うため、士郎は力の入らぬ体に鞭を打った。

 

 

 

 






 というわけで、何とか早めに出せました!
 ……言ったとおり、エクスカリバーは出してないだろう?ンン?(阿呆)

 それはさておき内容解説。

〇響VSノイズ&クリス
 クリスとの戦闘に関しては、原作第六話の部分も敢えて描いています。
 これは後の展開の関係もあってのことです。
 あと、了子があの力を使っていないのはわざとです。
 流石にアレを使っているのが士郎などにバレた場合、非常にマズいことになると判断したためです。
 また、暗に響の成長をわかりやすくするためのものでもあったり。

〇デュランダル覚醒&響暴走
 響、思いっきりバーサーカーに。
 でも実際問題、シンフォギア勢ってサーヴァント化したらみんなバーサーカー適正共通して持ってるよね。

〇デュランダルVSカリバーン
 連載前から書きたかったところの一つ。
 ぶっちゃけ武器としての格は(少なくともこの状況では)同等という感じで設定していますので、ご了承ください。
 その上で負けてるのは使い手側の問題という。

 解かりにくいかったかもしれないのでここでも解説すると、士郎の狙いは剣を通してデュランダルに干渉……簡易的なアクセスをすることで、無秩序に暴れようとしている力を一方向に全ブッパさせるって言うものです。……これで干渉できるの?っていう疑問については……うん、まあ、フィーリングでお願いします。(滝汗)

 ちなみに、デュランダルというかシンフォギア世界の聖遺物及びアームドギアの投影に関してはこんな感じ。
 PCのソフトで例えると、OSが対応していないというよりもプログラムの起動に必要なソフトが入っていないという感じ。
 序章で奏と翼のシンフォギアが何なのか分かったのは、フォルダを開いてファイル名を閲覧したようなものと思っていただければ。(なのでマリアのアガートラームはそれさえもできないかと思われます)
 実際に投影しようとした場合は、認識にエラーが出てくるので不可能という感じですね。できるとしたらそれこそ張りぼてにしかなりません。
 なので現状、士郎が聖遺物やアームドギアを投影して使うことは不可能であると思ってください。……何らかの形でこのシンフォギア世界の術理論などをインストールできれば話は別でしょうが。

〇戦闘終了後
 実際問題、響って多分男性のへの免疫はあんまりないと思われ。
 普通に接する分には問題ないけど、男女的な接触となると一気にしおらしくなったりするイメージが。……まあ、未来さんガードが堅いんですが(笑)

 了子への疑惑の根拠はこんな感じ。
 ……引っ張った割には大したことなくてスマン。
 でも、原作であんな風に接触状態で銃口押し付けられてたり、近場でバンバン撃たれたり、血の拭き残しがあったりすると多少なり匂いは残ってそう。


 ……と、こんな感じで。
 次回はキリがいいところで区切って短めにするつもりですが……自分的にちょっと書きづらいかもしれない場面なので……年内に更新できたらいいなって感じで(滝汗)
 ま、気長に待っていただけたら幸いです。

 と、そういえば前回書き忘れましたが、今月からFGOデビュー果たしました。
 なんか今まで使えなかったのに、いきなり自分のスマホで動かせるようになったのでびっくり。
 現在オルレアンで、ちょびっとずつ進めています。
 で、今の自分のカルデアはこんな感じ↓

【セイバー】
・イアソン、ジル、フェルグス
【アーチャー】
・俵藤太、小ギル、ロビン、パリス
【ランサー】
・茨木童子(水着)、哪吒、クーフーリン(プロト)、レオニダス
【ライダー】
・アレキサンダー、ゲオルギウス、バーソロミュー
【キャスター】
・ナーサリーライム、アヴィケブロン、キャスニキ、メフィストフェレス、陳宮、シェイクスピア、アンデルセン、アマデウス
【アサシン】
・静謐、小太郎、サンソン、シャルロット、マタハリ、小次郎
【バーサーカー】
・ダレイオス、呂布、サロメ、エイリーク、アステリオス、スパルタクス
【シールダー】
・マシュ

 ……ぶっちゃけどれから育成すべきかよく解からないので、気に入ってるのからレベル上げてたり。
 皆さんからアドバイスを戴けたらありがたいです。
 ……ちなみに、オルレアンの特異点ではシャルロット・コルデーさんがパーティーに出ずっぱりだったりします。史実考えるとある意味ヒドイ。
 あと、ナーサリーライムは本のままだとかわいそうなので再臨しました。(笑)

 と、今回はこんな感じで。
 それでは、また。



【追伸】

 前回、ちらっと言ったので風鳴のジジイこと風鳴 訃堂についての私見。
 
 翼が人を護り、八紘さんが世界を舞台に政治の世界で日本を護るという形で防人を示しているのに対し、この人の防人の在り方は日本という島国そのものを護ることに執着しているのだなと感じました。
 言っちゃえば、国土という『器』が大事で、その中身である人々は二の次という。
 ……ただ、あまりにも目的に近視眼すぎて本末転倒になってる感がすごい。

・AXZ末、自衛隊を動かして繭状態の響へ攻撃。
→響の覚醒を促す結果になり、衛星がぶっ壊されて反応兵器投入のきっかけを作る形に(なお、本人は自覚ないのかキレてる)
・落ち延びるノーブルレッドを確保し、翼に楔を打つためにライブ襲撃。
→十万人の無関係の人間死亡。
・神の力を手に入れるために、二課を機能不全にさせてシェムハの腕輪や未来を確保。
→シェムハ覚醒を思いっきり助長。
・ノーブルレッド斬り捨て
→シェムハを制御する術を失う原因に。
・シェムハ制御のために神獣鏡のファウストローブを用意
→キャロルによる未来奪還の策を妨害することになったうえ、最終決戦で、思いっきりシンフォギアへのカウンターに。
・八紘殺害
→外交において思いっきり優秀な人材を喪う。

 ……うん、裏目に出まくってて老害通り越して完全に国賊じゃねェーか。
 御先祖が見たら助走つけて殴りつけるレベルじゃなかろうか。
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