「ひぇええええっ!?」
トンチキな絶叫と共に逃げるのはガングニールの装甲を纏った響だ。彼女が駆けたすぐ後には鳥型ノイズが投げ槍のように突撃してくる。
轟音を響かせる着弾はアスファルトを砕き、それが連続する様はまるで耕作しているかのようだ。
響は「ひぃ、ひぃ」と喘ぎながら、己が身を耕されてはたまらないと更に逃げ足を速めていった。と、その耳に鋭く通信が届く。
『立花。逃げるのは構わないが、次の行動に移りにくい回避方法は極力避けろ』
「そ、そんなこと言ってもぉーっ!!」
半泣きで返しつつもその足は止まらない。ノイズの炭化能力を無効化でき、物理的な防護も乗用車を吹き飛ばすような攻撃に軽く耐えられるほどとはいえ、進んで痛い目に合いたいとは思うはずもない。
すると、通信機越しに軽い吐息が聞こえ、学園で聞く時とは比べ物にならないくらい怜悧な口調で囁かれる。
『―――機は作る。それで体勢を整えろ』
「ふぇ? ……ひゃぁっ!!?」
疑問の声を漏らすもその直後にノイズとはまた別の爆音がすぐ後ろで轟く。走っているところに跳び上がりそうなほどに驚いたため、思わず前のめりにバランスを崩してしまう。
ゴロゴロと転がって、最後に強く打った尻を擦りながら起き上がれば、自身とノイズとの間に深々と突き刺さった矢が叢のように群れを成していた。その向こう側には形状変化をしていないノイズたちの身を揺らす姿が見える。
「っ!」
響は足に力を入れ、ノイズ目掛けて吶喊する。突き刺さっていた矢の群れは彼女が足を踏み入れる前に粒子と消え、その粒子を散らしていくかのように少女の身が駆け抜けていく。
瞬く間に潰れた饅頭のようなノイズへと肉薄すると、鋼を纏った拳を振りかざし、まっすぐ突き出した。
「せやあっ!!」
本人なりに気勢を乗せた一撃は狙い過たず目標へと叩きこまれ、真っ黒な灰へと散らしせしめた。響はその成果に手応えともいえるものを感じ、声に出さず「よし!」と喝采をあげる。
その次の瞬間、
『気を抜くな』
なおも冷淡な言葉が聞こえたかと思うと、間近の左右から轟音がほぼ同時に響いた。耳よりも体全体を浅く叩く衝撃は授業で使われた大型の太鼓を間近で叩かれた時を彷彿とさせ、反射的に身を竦ませる。
「わひゃっ!? ……え? ふぇ?」
反射的に首を左右に巡らせると、深々と突き立った矢とさらさらと崩れて散っていく黒い灰が目に映る。どうやら攻撃を仕掛けたこちらへと左右から襲い掛かっていたらしい。
戸惑う響に、更に苦言がもたらされる。
『攻撃を当てて、敵を倒した……それだけで気を緩めるな。安堵はその戦闘が終了してからにしろ』
「は、はい!」
返事と共に再び身構える響。しかしすでに周りにはノイズの姿は見えず、灰が舞うばかりだ。
「あ、あれ?」
『どうやらこれで片付いたらしい。――お疲れ様』
「……はぁー」
最後の一言に常の柔らかさが戻ったことを感じて、今度こそ深々と息を吐きつつへたり込む。と、こちらへ近づいてくる足音が聞こえてくる。
視線を上げると、ようやく見慣れてきた二つの顔がやってきていた。
「おう、こっちも終わったみたいだな」
「はひぃ~」
「……だとしてもだらしがない。もう少しシャキッとしろ」
労わるような奏と厳しい言葉を投げかける翼。そんな二人に響は腰を落としたまま困ったように笑う。
「あはは……すいません」
「おいおい、翼。そう言うなよ」
苦笑を浮かべる奏に、翼はしかし不満げな顔を崩さない。
「そうは言っても奏、もう一月も経つのだからいつまでもこんな体たらく晒していていいものではないでしょう?」
「それはまあ、そうかもしれないけどさ」
その物言いに奏が困ったように眉尻を下げる。
翼のセリフの通り、響が二課に所属してから早一か月が過ぎようとしていた。
それだけの間、響は立て続けに起こるノイズ発生への出動とそれに備えての訓練を積み重ねてきていたが、その成果はと言うと先の戦闘の様子を見る限りはお察しというところだ。
翼はそんな響を先輩として叱咤し、奏はその間に入って翼を宥める……そんな構図が、段々とお約束になりつつあった。
子供の教育で意見が分かれた夫婦のような会話に、通信越しにどこか笑みを含んだ声が割り込んでくる。
『もう一月か、まだ一月か、か。―――ま、たしかに腰が抜けるのはそろそろ卒業してもいいかもな』
「あぅ……」
響の顔を赤らめさせたその言葉の持ち主は、しかしその場に現れる気配はない。その理由は単純明快、合流するには遠すぎるのだ。
ヨタヨタと立ち上がりながら響は彼方を見るように遠くへと視線を投げかける。その見つめる遥か先、響の目に辛うじて人型だとわかる程度の赤い影が、ひと際高いビルの貯水タンクの上にあった。
「……衛宮さん、そこから私たち見えるんですか?」
問われた先、彼女たちには判別できぬ苦笑を浮かべる士郎は、見上げる少女たちの顔を鮮明に睥睨しながら鷹揚に頷いた。
『ああ。ここからならそうだな……そこから更に向こう側にある廃校になったミッション系の校舎があるだろう? そこに茂ってる蔦の葉っぱくらいなら数えられるぞ』
「若大将、それってここから真反対に同じくらいの距離離れてないっけ?」
つまり彼の言を信じるなら自分たちのいる場所より倍の距離を網羅できるということだ。途方もないと言って良い事実に響が溜息をつく。
「すごいなぁ……それも魔術ってやつですか」
思わず愚痴るような言い草で、響はおもむろに自分の両手へと視線を落とす。軽く握ったり開いたりしてみせるがそれを見る目は気落ちしたものだ。
というのも、彼女は未だに自身の武装……アームドギアを作り出せないでいた。
アームドギアとはシンフォギア装者が形成する固有の武装である。奏の場合は槍、翼の場合は刀と、元となった聖遺物に由来するものが形成されるものと考えられている。
奏と同じガングニールを使う響も、彼女と同じように槍を形成するものだと目されていた。しかし実際はそんな気配は微塵もないまま今日に至る。
奏たちからすれば訓練次第で感覚として把握できるものらしいのだが、当の響は今に至るまでそれを感じ取ることができていない。それがまた単純な未熟さ以上に彼女の自信を削ぎ、不甲斐なさに消沈する一因となっていた。
しかし、そんな響の反応は士郎にとっては皮肉もいいところだったらしい。
『―――立花。称賛は嬉しいが実際の所、魔術師としての俺は三流もいいところだ』
「え?」
『そもそも才がない。……俺は魔術師の生まれじゃないからな』
唐突な出自の暴露に、響は戸惑いながら首を傾げる。言葉の前後の繋がりを把握しきれない。
響がそれを問いかけようとしたとき、それを察したのか士郎が言葉を続ける。
『詳しいことは聞いても意味がないし、楽しいものでもないからざっくり説明するが、魔術の素質や才能は血筋と直結する部分が多くてな。
そういう意味じゃ、ぽっと出の俺は魔術を使える下地がギリギリあっただけマシだったかもな』
士郎の言葉は説明でありながらどこか質問を許さない、ともすれば突き放すようなものだった。それこそ、その裏側にあるものを決してこちらに見せようとしないように。
響はそれを察し、その隠れた部分に対してなぜか寒気のようなものをたまさか感じてしまう。と、士郎は話題を切り替えるように、しかし話を本題へと戻す。
『そんな俺が立花から見て超人の様に映るなら、それはお前よりも長く鍛錬を積んで、多くの場数を踏んだからだ』
***
通信機越しに、響が息を飲む様子が伝わってきた。士郎は構わず人の好い講師がする授業のように柔らかい声音で告げていく。
「立花、お前にとってこの一月が長かったか短かったかわからない。今の自分が不甲斐なく感じるのも事実だろう」
自分の得た力に不備を感じ、それに焦れるのは自然の事だろう。しかし、事実として忘れてはならないのは響はずぶの素人から走り出したばかりであるということだ。
シンフォギアの力で単純な膂力だけならば字面そのままな超人であるが、その中身はまだまだひよっ子と言うにも足りていない。
「焦るな。逸るな。まずは頭にかぶっている卵の殻を捨てられるところから目指していけ」
『は、はい……』
「と、いうかだ」
その時、士郎の表情が唐突に苦虫とサンマのワタを煮詰めて凝縮したものを噛みしめたような苦みの強く混じった笑みへと変わる。それは響たちに届く声へ、それとわかるように低く変容していく。
「身近に俺よりも滅茶苦茶な奴がいるんだから、落ち込むんならそちらと比べてからにしろ」
その言葉を受け、響のみならず奏と翼からも相槌とも取れない呻き声のようなものがかすかに紡がれる。士郎が言及した相手を、思い浮かべての率直な反応だ。
恐らく彼女たちの脳裏には先日行われた模擬戦での惨状が浮かび上がっていることだろう。
『……衛宮さん、私は生身ででっかい剣を拳一つで弾き飛ばしたり、竜巻みたいな攻撃を両腕をグルンと回して相殺したりとかできるようになれる気がしません』
『若大将、跳び箱で躓いているヤツ相手にエベレスト指さすのはどうかと思う』
「……スマン。言っておいてなんだがそれは無理だな」
『聞こえてるんだがな』
と、別の声が割って入ってきた。それは件の人物である、弦十郎のものだ。声の調子から憮然とした表情でも浮かべているのかもしれないが、士郎たちからすれば当然の反応でしかない。
なにせこの男、模擬戦でシンフォギアを纏った奏と翼に対し生身一つで挑んだ挙句、終始圧倒し続けていたのだ。先の響のセリフもその時の弦十郎の行動そのままで、しかもまだ可愛い部類に入るものだ。
震脚一つで大地を割り岩盤を浮かび上がらせ、降り注ぐ槍や剣の雨を拳の連打ですべて叩き落し、渾身の力を込めた二人の必殺技の同時攻撃を文字通りに一蹴していた様は見学していた響をしてまさしく悪夢のような光景であったという。
『人間て生身でビルより高く跳んだり、素手でクレーター作れるようになれるんですね……』
「俺が知る限り、人間やめなきゃできないはずなんだがな」
『その人間をやめているのが血の繋がった親族なんですが』
『お前らさっきから失礼すぎないか?』
それはさておき、とごく自然に弦十郎の抗議を流しながら士郎は若干声音を軽くする。
「まあ、いろいろ言ったが立花はよくやってるよ。俺が初めて戦った頃なんて、腹の中身をぶちまけてたからな」
するとその言葉に、少女たちの低く呻く声が聞こえる。
『え、衛宮さん……それは……』
『士郎さん、さすがに汚いです』
と、響のみならず翼にまで眉を顰められてしまった。どうやらシモの関係だと思われたらしい。
これについては士郎も特に訂正せず「すまん、無神経だったな」と一言謝って済ませた。実際はもっと血生臭い意味合いなのだが、聞いて気分のいい話ではないのは同じなので敢えて言い直す必要はないだろう。
「それじゃあ、今日はこれまでだな。すぐに慎次が迎えを回すから待っていてくれ」
『はーい』
『お疲れ、若大将』
『お疲れさまでした』
それぞれからの労いを受け取って、通信が途切れる。と、すぐに再び繋がった。何事かと思うと、聞こえてきたのは涼やかな青年の声だ。
運転中なのだろう、微かにエンジン音が混ざっている。
『お疲れ、士郎』
「慎次か」
なんの用かと思っていると、この二年での知己となった友人はどこか硬い声を囁いてくる。
『意外だね』
「なんだ、俺がそこまで上品な人間だと思ってたのか?」
『……響さんに、ずいぶんと親身にアドバイスしてるからさ』
冗談めかした言葉を流されてそう言われ、僅かに押し黙る。ふと見下ろせば、談笑を続ける三人の少女に変わった様子は見られない。どうやらこの会話は彼女たちには届いていないらしい。
ややあって、士郎は細く長く息を吐く。
『彼女が戦いに出ること、実は一番反対してるだろ?』
「当然のことだよ」
『どっちの意味で?』
「両方だ。彼女のような人間が戦場に出ることを是とすることはできない。だがそれとこれとはまた別だ。
現場に出るというなら、そのために必要な技術や知識を謀るのは彼女のみならず翼や奏も危険に晒すことになる」
故に、生き抜くための知識や力を伝えることを惜しむことはないと彼は告げる。その声に淀みはなく、しかし苦さはぬぐえない。
と、通信の向こうで慎次が小さく笑うのが解った。何事かと思うと、彼は声に苦笑を混ぜてきた。
『そこに自分が勘定に入っていないっていうのが君の悪いところだと思うよ』
「む」
『それはさておき、実際の所は君から見て響さんはどうなんだい?』
「……概ねはさっき言ったとおりだ。荒事と無縁だった人間が一月で拳を振るえるっていうなら上々だろう。ただ―――」
そこで言葉を区切り、僅かに沈思する。今日までの彼女の戦い、訓練、そして垣間見えた生活を鑑みて、一つの結論を下す。
「―――軸がぶれている、と言うべきか。まだ、自身の中心に据えるべきものが定まっていないように感じるな」
『誰かのために、ってだけじゃ弱いかい?』
「それはただの原動力だ。俺が言っているのはそのスジをどう通すかだ」
例えば『将来は人を助ける仕事をやりたい』という子供がいたとしよう。ならばその子が目指すものはなにか。
悪人を捕まえるなら警察官。
火事や災害から人を助けるなら消防官やレスキュー隊。
怪我や病を治し癒すなら医者や看護師。
弁護士や検察官なども当てはまるし、解釈を広げれば数えきれないくらいの職業がその対象となる。
それらからその子が悔いなくなにかを選択するのなら、そこにははっきりとした方向性が必要となる。
つまりは。
「彼女に必要なのは目的ではなく、それを叶えるための道筋。―――己を貫くための信念だ」
或いは、それが定まらぬからこその不安があるのかもしれない。士郎は響の不調の一端をそこに垣間見て、溜息をつく。
軸が定まらぬが故に不安を抱き、精彩を欠き、不安を増し、さらに揺れる。……なるほど、見事なまでの悪循環だ。
『もしかして、アームドギアを生み出せないのもそのせいかな?』
「………さて、どうだろうな」
慎次の疑問に、しかし士郎は頷くことが憚られた。たしかに彼女が力を得られない理由としては妥当と言える、しかしそうだと判ずるにはどこか違和感がぬぐえなかったのだ。
(なんだろうなコレは。―――なにか見落としているのか?)
『士郎?』
「いやなんでもない。………話を変えるぞ」
急に押し黙った士郎に怪訝な声を出す慎次に、そう答えつつ頭を切り替える。それはここ一か月の状況そのものだ。
「俺はここ二年間の事しか知らないが、ノイズの出現というのは一時期にこう特定の場所に頻発するということが稀にあるものなのか?」
『少なくとも僕が知っている中では初めてのことだね』
だろうな、と言外に納得しつつ、この異常事態を改めて認識する。
人がノイズと遭遇する確率は東京都民がその生涯に通り魔と遭遇するよりも低いとされている。それがどのような計算で計上されたのかは知れないが、要はそれほどまでに低い確率であるということだ。
にもかかわらず、ここ一月のノイズの発生による出動回数はすでに両手の指に余るほど。二日続けてというのも珍しくはない。
おかげで響の場数は増やせているが、それがなんの救いにもなっていないことは言うまでもない。
また、不可解なのは発生の頻度だけではなく、それがリディアンを中心としたその周辺に集中しているということだ。より正確に言えばリディアンの地下にある二課本部の、であるが。
『明日のブリーフィングでも取り上げる予定だけれど………ここまでくると、ほぼ間違いなく人為的な要素によるものだろうね』
「そうだな」
頷く士郎の瞳が殊更に鋭くなる。
どうやってそれを引き起こしているかは不明で、議論をすることに現状意味はない。おそらくは先史文明の異端技術由来……それこそ聖遺物によるものであるだろうが、それ以上の推測は不可能だからだ。
故に、士郎の思考は暗躍しているだろう何某かの目的へと巡らされていく。そうして真っ先に思い浮かぶものが一つあった。
「狙いは恐らく―――」
***
「『デュランダル』、ですか?」
「本部よりもさらに地下、最深部で保管・研究されているほぼ完全状態の聖遺物さ」
翌日のブリーフィングにて。
話題として出てきたそれに響がパチクリと目を瞬かせながら問い返す。それに答えるのはオペレーター席から体ごと振り返った朔也だ。
同じ聖遺物でもシンフォギアはあくまでも欠片でしかなく、装者が都度起動させなければ力を発揮できない。
それに対し、完全な聖遺物は一度起動させてしまえば十割の力を常に発揮させ続けることが可能で、しかもその状態なら装者でなくとも誰であろうが使用することが可能であるという。
その分析結果を出した研究者である了子は、しかしこれ見よがしに肩を竦めてみせる。
「といっても、デュランダルは休眠状態で覚醒にまで持っていくには相応のフォニックゲイン値が必要になるんだけどね」
フォニックゲインとはざっくばらんに言えば歌によって発生するエネルギーで、シンフォギアもこれで以って起動している。だが、デュランダルを目覚めさせるにはそれとは比べ物にならないレベルのエネルギーが必要になるということだ。
しかし説明を受けた響は難しい顔で首を傾げて唸っていた。と、奏たちの対面で腕を組んで瞑目していた士郎が片目だけ開いて響に助け舟を出す。
「―――わかりやすく言うと、ここの地下には一度動かせれば子供から老人まで誰でも使えるスゴイ武器が眠っているということだ」
「なるほど!!」
ポンと手を打って納得した響。その様子に弦十郎は微笑まし気に頬を緩めるものの、すぐに引き締めた。
「恐らく、起動させる事は翼と奏の二人なら可能だろう。だが、政府から許可が下りるかは微妙なところだな」
「正直、起動実験どころか下手すりゃ国際問題ですからね。なにせ米国が安保を盾にしてしつこく引き渡し要求をしてる真っ最中ですし」
「もしかして、一連の騒動って米国政府が裏で糸を?」
あおいの言葉に、響は思わず息を飲んだ。誰かがノイズを操っているかもしれないとは先ほど聞いたが、自分が知っている国というものが関わっているかもしれないと言われ、途端にそこに生々しい恐ろしさを感じてしまったのだ。
一方で翼は眉をひそめながら紙コップのコーヒーを煽り、奏はアイドルが浮かべるにはあまりにも荒んだ表情で空になった紙コップの端を噛んでプラプラと揺らしている。
「調査部からの報告によれば、ここ数か月に本部への数万回に渡るハッキングの痕跡が認められているらしい」
「……下手人は?」
「現在調査中。現状では米国政府の仕業と断定するわけにはいかない。……まあ、元々この手の仕事が俺たちの本領さ。任せておけ」
殊更に力強く弦十郎が断言したその時、慎次がおもむろに腕時計を確認する。と、彼は眼鏡を掛けながら立ち上がった。
眼鏡を着用しているときの彼は二課のエージェントではなく、ツヴァイウィングの敏腕マネージャーだ。先ほどまで隣に座っていた友人のその出で立ちを士郎は見上げる。
「む、もうそんな時間か」
「まあね。奏さん、翼さん、今晩はこれからアルバムの打合せが入ってます」
「解りました」
「あー、そういやそうだったなー」
翼はスクっと真っ直ぐに、奏は解すように背を反って伸ばしながらそれぞれ立ち上がる。慎次を伴って重厚な扉の向こうへと去っていく二人の背に、響と士郎が同時に声をかける。
「が、がんばってください!」
「無理すんなよ」
「おう!」
「いってきます」
それぞれの激励に、奏は笑って拳を掲げ、翼は小さく笑って会釈し、そうして今度こそ扉の向こうへ消えていく。
再び扉が閉じると同時に、それまで立っていた響が「ぷはぁ~」と空気と力を同時に抜くような息とともにソファに身を預ける。士郎はそれを自身の膝に頬杖を突く形で眺めている。
「どうした、疲れたか?」
「疲れたっていうか……私たちを取り巻く脅威がノイズだけじゃないんだなって考えたら、なんか頭の中がグルグルしちゃって……」
「そうか……そうだな。俺もその辺りはどうも経験がないから、気持ちはなんとなくわかるよ」
「ふぇ? そうなんですか?」
意外だったのか、訊き返すと士郎は頬杖で傾いだ視線のまま薄く笑みを乗せる。
「ここに来るまではフリーランスというか、アウトローみたいなモンだったからな。組織やら国家やらのナンタラなんて言うのには縁がなくってな」
実際、かつての世界では魔術や神秘の秘匿といった観点からそういったものと関わることはほぼあり得ない。敢えて言うなら時計塔やその内部の派閥、聖堂教会との摩擦などはそれに近かったであろうが、それこそ一介の魔術使いである士郎など巨大な歯車に巻き込まれる小さな砂粒ほどの影響力すらない。
紛争への介入も、結局のところはごくごく局地的なものでしかなかった。士郎がどんな力を持っていても、所詮は一個人の匹夫の勇の域を出ることはなかったのだ。
もっとも、それでもその意地を張り続けた結果が今の状況であるのだが。
と、そんなことなど知る由もない響は腕を組んで唸ると、
「どうしてノイズだけじゃなくて人間同士でも争っちゃうんだろ……どうして世界から争いが無くならないんでしょうね……」
そんな、幼い子供じみた、しかし切実な疑問を口から零していた。
それに対し、士郎は思わず押し黙ってしまう。人種、思想、経済、格差、領土、価値観……彼と我が相争う理由など挙げ連ねていけばキリがない。
しかもそれは一つだけでなく幾つもの要素が判別不明なほどに入り混じっていることすら珍しくもない。例えそれで巻き込まれるのが、そんなことなど知ったことではないごく普通の人々ばかりであってもだ。
それを彼女よりも身に染みて理解してしまっている士郎は、だからこそそれに答えることができなかった。
と、その時だ。
「―――それはきっと、人類が呪われているからじゃないかしら?」
響の耳元に唇を寄せ、まるで始祖を堕落させた蛇の如くそんな言葉を囁いてくる者がいた。その響きは妖艶な色を含み、そのくせどこか確信めいたものを感じさせるものだ。
それはそのまま、響の耳に細く嬲るような息をやわやわと吹きかける。
「ひぃひゃぁっ!?」
思わず、顔を真っ赤にして立ち上がる。耳を押さえながら見下ろせば、いつの間にかソファの背後から這い寄ってきていた犯人が流し目に瞼を細めている。
「あら、おぼこくてかわいい反応」
「な、なにするんですか了子さん!?」
頬を膨らませる響と、そんな彼女の反応にクスクスと獲物を嬲るような嗜虐的ともとれる笑みを浮かべる了子。そんな眼前のやり取りに、士郎は呆れを溜息に乗せて吐き出す。
ほんの少し和らいだ緊張感。しかし同時に、士郎は魚の骨のように引っ掛かるものがあった。
(―――呪い、か)
了子がどういう意図で以ってその言葉を口にしたのかはわからない。
しかしなぜだか、その言葉が士郎の脳裏に色濃く刻まれてしまっていた。
***
一か月前のあの日以来、響の様子がおかしいと未来は感じていた。
時は昼休み、所は中庭、降り注ぐ日の光は初夏もやや遠いために程よく温かい。そんな心地よい日差しの下で少女たちは昼食のひと時を弁当を抱えながら麗らかに満喫していた。
………約一名を除いて。
「人類は呪われている! ―――むしろ、私が呪われている!!」
響はそんな危ない宗教染みた発言でわが身の境遇を嘆いている。そんな彼女が書きなぐっているのは、今日の放課後締め切りのレポートだ。
涙目でガリガリとシャーペンを走らせる響を、創世たちは呆れ半分の眼差しで見守っている。
「ビッキーが微妙に不幸なのは確かだけど、それについては割と自業自得だよね」
言いつつ、創世は箸でつまんだウィンナーを響の口へと差し出す。彼女はそれを一口で納めた直後、今度は逆側から弓美が差し出してきた具入りの卵焼きへと食いつく。
傍から見てると雛鳥の餌付けのようであり、当の本人は口福にたまさか喜びを表している。もっとも、手は相変わらず動き続けているが。
「わかってるよぅ。だからこうして限界に挑んでるんだ……!!」
と、くるりと目つきを鋭くしてレポート紙に向かう響を見つめながら、未来はここ最近の彼女を思い起こす。
寝坊や遅刻も多く、授業中も気もそぞろで担任からの認識は完全に問題児扱いになってしまっているだろう。
放課後は寮に帰ってくるのが遅かったり夜遅くに出かけたりする事がしょっちゅうある。門限などに関しては自分も協力したが、それがこうも頻繁に続くとなるとそれも苦しくなってくる。
目の前で悪戦苦闘しているレポートに関しても、前々から自分が手伝ったりもしていたのだが、居眠りやらどこぞからの急な呼び出しなどやらで遅々として進まずにこの有様だ。
その原因はわからない。響は喋りたがらずにはぐらかそうとするばかりだ。
けれど、未来には心当たりがあった。
(衛宮さん……)
赤い装束を纏っていた年上の知人。
あの夜、彼が妙な格好の響と共にあり得ない跳躍力で夜闇の向こうに消えていった時のことを、彼女は鮮明に覚えてしまっている。
夢や見間違いと思い込むことすらできないほどに。
(あの人と、なにをやっているんだろう)
彼女の今の状態に彼が関わっているのは間違いない。けれど、彼女はそのことを聞きだせずにいた。
そもそもそれを見ていたこと自体、響に言い出せずにいる。
手っ取り早く事情を聴くにはそこを指摘する方が確実なのかもしれない。だが、彼女はそれをすることができなかった。
響がここまで必死に自分に隠し事をしようとするのも、多分これが初めてだった。それを思うと、敢えて問いただすのも憚られた。―――それもある。
だが、それ以上に未来は自分の胸を苛む感情があることに気付いていた。
(………私、衛宮さんに嫉妬してるんだ)
自分よりも優先している誰かがいる―――そう思うと、未来は自分の中で醜いナニカが静かに煮えたぎっている様な錯覚を覚えてしまう。
無論、響と士郎がそんな関係ではないことくらい察している。
響の方に浮ついたような感じはなく、色恋の悩みというにはふとした時に浮かべる表情は暗く重いものであるからだ。
それでも、自分が触れることのできない問題に関わっているという事実にこそ、彼女の心はかき乱された。
(イヤな子だな、私……)
と、そんな風に沈んでいた未来を引き戻すかのように唐突な疾風がその場を席巻する。
「きゃっ」
髪を乱すその旋風に思わず呻く。他の皆もスカートの裾や髪を抑えたり、掌で弁当を覆ったりしていた。
すごしやすい日和であったと思っていたのだが、どうやら気まぐれが起きてしまったらしい。
「―――って、うあぁーっ!?」
その時、響が悲鳴を上げる。思わず弾かれるように振り向けば、響が手を伸ばす方向にひらひらと白い紙が舞っていた。
どうやら今の突風でレポート紙がめくれて剥がれてしまったようだ。それはそのまま彼方へと飛び去って行こうとしている。
「ま、待って!! 私の汗と涙と努力の結晶!!」
「響!?」
「ちょ、ちょっとこんなアニメみたいなベタなこと……」
言うなり、響は立ち上がって駆け出した。それに未来や弓美たちも続いていく。
必死になって追う響をあざ笑うかのように、レポート紙は校舎と中央棟とを繋ぐ廊下の窓へと吸い込まれていき、
「ん? ………なんだこりゃ?」
聞こえてきた声に、未来は思わず足を止めた。
レポート紙を掲げながら窓から顔を出したのは、コックコート姿の士郎だ。そこへ響が踵でブレーキを掛けながら息を切らせて駆け寄り、続いて追いかけてきた創世たち、最後に未来がようやく合流する。
「もしかして、これって立花のか?」
「は、はい……ハァ、ありがと、ござい……ます、フゥ」
「おう、わかったから落ち着け」
言いながら、息も絶え絶えな響にレポート紙を返す士郎。よく見れば、彼は空の金属製カートを押して運んでいる最中だった。
「衛宮さんは、どうしてここに?」
「ああ、職員室に弁当の仕出しをした帰りだよ」
どうやら、教師陣への弁当の作製もここの食堂でやっていたようだ。まあ、教師からすれば生徒でごった返している食堂で一緒に食事するのも憚られると考える者も珍しくないのかもしれない。
と、士郎は「しかし」と小さく笑う。
「最近の……というか、ここの学校は結構難しい授業やってるんだな。それ、何語のレポートなんだ?」
誓って言うが、士郎のこの言葉に悪気は一切ない。
だがその瞬間、響がビシリと固まった。周りの皆も総じて表情を引きつらせている。
何事かと士郎が戸惑いを得ながら思うと、若干俯いた響がお通夜のような空気を纏ってポツリと、
「……………日本語です」
「え?」
「………どーせ私の字はキタナイですよー………」
呟くなり、見る見るうちに肩を落としていく。それこそ瞬く間にブラックホールでも生むんじゃないかって闇を纏い始めている。
常の快活さからのあまりの豹変ぶりというかその落差に、士郎も「お、おぉ……」と思わず呻いてしまう。
「いや、その、スマン」
「いいんです……私の字なんてエジプトの壁画とかにでも書かれてた方がお似合いなんですよー」
唇を尖らせる響。しかし背後で「あー」という感嘆ともとれる念の込められた声が上がっていた。
「ゴメン、ビッキー、ぶっちゃけそれ笑う前に納得しちゃった」
「うん、そんなことないよとか嘘でも言ってあげるべきなんだろうけど、正直そういうにはちょっときつい」
「えーと、立花さんの字は勢いがあって力強いのが取り柄ですから」
「それって形整えてなくって常に書き殴ってることだよね」
「みんなヒドいよ……ていうか、何気に未来が一番ヒドい!?」
口々に概ね擁護不可という意味合いを告げられて、却って元気よく憤慨する響。ケンカというよりはじゃれ合いの態を見せる少女たちの光景に士郎は眩しいように目を細める。
「しかし、昼休みにも勉強とか、意外と真面目なんだな」
「意外とってなんですか」
響にジロリと睨まれ、バツが悪そうにたじろぐ。だがその後ろで弓美がやれやれといった様子で肩を竦めて見せた。
「いやいや、逆ですよ。この子、今日締め切りのレポート全然できてないからギリギリのカッツカツなんですよ」
「ちょ、ちょっとぉ!?」
唐突な暴露に響が慌てるが、士郎としては納得と共に苦い笑みを浮かべてしまう。なにせ彼女の学業に負担を強いている原因は自分たちにあるからだ。
それを思って罪悪感が胸に鋭く突き刺さるのを自覚する。
もっとも、それが無かったら素の学力は高いのかというとまた微妙なところであり、個性的に過ぎる字に関しては全くの無関係であるのだが。
ともあれ後ろ暗い思いに駆られた士郎は、ふとある提案をする。
「良かったらだが、こっちの都合がつくときに英語くらいは見てやろうか?」
「って、良いんですか!?」
「ああ。前例がないわけじゃないからな」
パァッ、とわかりやすく表情を明るくする年下の秘密の同僚に、士郎は僅かに歯を見せる笑みで肯定して見せた。
ちなみに彼の言う前例とは翼と奏のことであったりする。
実は二人にはロンドンを中心として海外への本格的な進出の話が来ているのだ。二課での活動もあるために現在は難しい部分もあるが、将来的には段階を経てそちらでの活動を増やしていく計画を立て始めている。
無論、そこには彼女らのマネージャーである慎次が大張り切りで精力的に動いていることは言うまでもない。
その関係で、放課後の食堂などで士郎が簡単な英語の講義を行ってもいたのだ。
閑話休題。
士郎の提案に瞳を輝かせる響の後ろで、創世が「ん?」という感じで首を傾げる。
「でもなんで英語?」
「あ、ああ。衛宮さん、ここに来るまでいろんな国に行ってたらしいから」
その疑問に捕捉する形で、硬直から解けた未来が答える。その表情には若干硬いものがあるが、周りの皆がそれに気づいている様子はない。
と、その言葉に補足するように士郎が続く。
「それもあるが、どちらかというと姉貴分の影響のが強いかな」
「姉貴分?」
「ああ。昔世話になってた……いや、世話してた? まあ、とにかくそんな人がいてな。その人が高校で英語の教師してたから、いわゆる授業英語みたいなのも教えられると思うぞ」
それに対し少女たちが「へぇー」と納得とも相槌ともいえない声を上げていると、ふと響が気になって問いかける。
「その姉貴分って、どういう人だったんですか?」
それは他意のない純粋な興味だった。だからというわけではないが、返ってきた答えは非常に単純明快すぎる一言。
「虎」
―――訂正、一語だった。
「「「「「………は?」」」」」
あまりにも簡潔に過ぎる返しに、響のみならず他の面々も揃って呆気に取られた表情になってしまう。士郎はその反応を見て今更に自身の返しが端的に過ぎたことに気付いた。
実際のところは知る者の誰もが納得する返答であったのだが、知らぬ者からすれば意味不明にもほどがある。
「あー、すまん。つい反射的にぽろっと言っちまった」
「反射的にって……」
「それで出てくる言葉が『虎』って、いったいどういう人なんだろう……?」
どういう人と言われても。
あれはそういうナマモノなのだとしか言いようがない気もする―――士郎は辛うじてその言葉を形にはしないでおいた。
なにやら懐かしすぎる虎の咆哮が聞こえてくるような錯覚さえ覚えつつ、意識を現実へと向けなおす。
「それはさておき、その気があるんだったら事前に言っておいてくれれば用意はしておくよ」
「あ、ハイ! ありがとうございます!! ……そうだ、未来も一緒に受けない?」
「え?」
親友の誘いに、思わず心臓の鼓動がドクンと一際強く高鳴る。そしてその親友は、そんな未来に目敏く気が付いたのか、首を傾げる。
わずかな違和感を察知出来たあたり、それだけでも生半な付き合いではない事が伺いしれる。
しかし未来は即座に表情を改めると、首をふるふると横に振る。
「私はとりあえず遠慮しておく。英語は今のところ問題ないし。……というか、響は道連れが欲しいだけでしょ」
「ソ、ソンナコトナイヨー」
冷や汗を流しつつ上擦った声で視線を斜めに逸らす響に、しょうがないものを見るように未来も苦笑を浮かべる。
そんな二人のやり取りに軽く笑いが起きたところで、弓美がポンと手を叩く。
「さて、響に救いの手が英語限定で差し伸べられたことだし……私たちは屋上でバドミントンでもしようか」
「あ、いいですね」
「えぇ!? 手伝ってくれないの!?」
「いや、手伝うもなにも私たちがやれることないしね」
「むしろ、お邪魔してしまいそうですし」
友人たちの突然の戦線離脱宣言に思わず愕然とするが、返ってきたのはにべもない正論だ。と、創世がおもむろに未来へを振り返る。
「ヒナはどうする?」
「……私は響に付き合うよ。約束したしね」
「わーん、ありがとう未来ー!!」
間を置かずそう答えた未来に、響が感極まったように大げさに抱き着いた。彼女の頭をよしよしと撫でる未来の姿は友というより姉や母のそれに近く見える。
それを微笑ましげに見届けて、士郎は改めてカートに手を掛ける。
「それじゃ、俺はそろそろ戻るよ。立花、頑張れよ」
「あ、衛宮さんもお仕事がんばってください!」
「おう」
「ンじゃ、アタシたちも行こうか」
「そだね。じゃ、二人ともまたあとでね」
響の快活な激励に右拳を軽く上げて答えた士郎は、今度こそその場を後にする。続いて創世たちも去っていき、残った響と未来は元の芝生に戻って腰を下ろした。
「むむむ……」と唸り声を上げながら再び奮闘を始めた響だが、未来は小さく笑って囁く。
「ホント、頑張ってね。―――流れ星、一緒に見るんでしょ」
「うん!! 約束したもんね!!」
響は子供のような喜色満面の笑顔で頷き、レポートに挑む意気込みを三割ほど増した様子で向かっていく。それを静かに眺める未来の心情は、いささかながら安らいだものになっていく。
そう、約束。
実は今夜、流星群が見れるとの予報があり、予てから共にそれを眺めようと約束を交わしていた。響がレポートに必死になっているのも、それが理由の大半となっている。
本日は御覧の通りの快晴で、夜半の降水確率もゼロだという。これが外れなければ絶好の天体観測日和だろう。
未来はとりあえず、それまではこれを追及することはやめておこうと決めていた。それが自分に秘してまで何かに身を投じている親友への最低限の労いだ。
だから。
(流れ星を見た、その後に―――)
尋ねようと、そう決めた。
別段、それで絶対に教えてもらおうとは思っていない。むしろ、それでも言えないというのならそれで構わないと思った。
その上で、自分はこう言ってやるのだ。
―――一体何を隠していて、何をしていたとしても……自分は響の親友なんだ、と。
結果として教えてもらおうがもらえまいが、どちらでも構わない。どちらだろうと、彼女を支えようとそう決めた。
だから。
(だから、私も頑張ろう)
小日向 未来は、言葉に出さず誓いのようにそれを胸に刻んだ。
―――果たして、放課後。
立花 響は知恵を絞ったことと担任教諭に絞られたことで文字通りの搾りカスのように憔悴しながらも、見事レポートをやり遂げた。
それに付き合った未来とともども喝采を上げ、それが職員室のすぐ傍であったことから扉越しの叱咤を受けつつ、しかし互いに喜びを分かち合った。
これで約束を遂げられる。
これで決意を告げられる。
そんな二人の期待と誓いは―――
『―――ゴメン、未来。今晩の流れ星、一緒に見られないかも……』
―――果たすことができなかった。
***
「うぁああああああああっ!!」
溢れ出る憤りをそのまま形にしたかのような雄叫びと共に、強く握った拳を目の前のノイズに叩きつける。手足の生えた饅頭のようなノイズが、殴られた箇所を中心に拉げながら炭化していき、弾むのもそこそこに崩れ去った。
場所は地下鉄の駅構内。すでに人々の避難が完了し、響以外は不愉快な異形たちしかいない。
今回のノイズの発生はこれまでになく広い地域に渡っており、その数もそれに応ずるように多かった。
翼と奏がそれぞれすぐに出れない場所にいたこともあり、とりあえずすぐさま出動できる士郎と響が別れて事に当たることになった。
割り当てとしては射程の大きい士郎が外の広い範囲を、そして響は他よりも大きな反応があるも士郎の矢が届かない地下へと急行した。
『響くん、奏や翼もすぐに合流する。無茶はするなよ』
「わかってます……私は私にできることをやるだけです!」
弦十郎からの通信に返す声は、やはり苛立ちでささくれ立っている。響は歌を紡ぎながら、目の前の理不尽をすり潰すかのように拳を振るう。
駅の構内という戦場として狭い場所は、手足の長さ分の攻撃範囲しかない響にとっては都合が良いものだった。ノイズへ肉薄するのも、攻撃を当てるのも開けた場所と比べればひどく容易い。
そうして突き進んだ先、改札を飛び越えたところにいたのは、数多のノイズを侍らせるように立つ見たこともない異様な形のノイズだ。
背にはに腫脹や浮腫のような大きな球体上の器官がみっしりと大量に浮き上がり、紫色の体色と長く緩いYの字型の触覚もあって一目で葡萄を連想させる。
そのひと際コミカルともいえる風体に思わず目を丸くする響であったが、対峙もそこそこにまずは周囲のノイズたちが襲い掛かってきた。
「っ、このっ!」
すぐさま構えを取り直し、迎撃を始める。すでに慣れてきたのか、その動きには危うさは無くなりつつある。
しかし葡萄型のノイズは球体状器官を切り離すと、彼女へ向けて次々と放出していった。
「えっ?」
出来が悪く、失敗した曲芸のような光景に目を丸くする響。だがそれは彼女の前で一度だけ鈍く弾むと、唐突に爆発した。
「わぁっ!?」
思わず怯み、竦んで目を閉じる。すぐさま体制を整えるべく目を開くが、すでに球体は彼女を包囲するかのようにいくつも転がっていた。
「―――っ!?」
喉が干上がるのを感じるのも刹那、次の瞬間にはその全てが破裂し、自身を巻き込む形で周囲を破壊しつくしていく。
いかに地下鉄の駅が頑健に造られているとはいえ、内部での連鎖的な爆発に耐えうるようにできているはずはなかった。壁と言わず天井と言わず、砕かれ崩れた瓦礫が瞬く間に少女の体へ降り積もっていく。
巻きあがった粉塵が収まるころには、文字通りの瓦礫の山が響の体を完全に覆い隠していた。そこへノイズがじりじりとにじり寄っていく。
理由は単純、今もこの山の中で生きている彼女の命を刈り取るためだ。
「………た……」
と、全身を固いコンクリートと鉄筋に包まれ、ジャリジャリと灰燼を噛みしめながら響が何事かを口にする。
呻き声ともとれるそれは、しかし違うものだ。
「…た……かった……」
それは喉が震え、か細くなっていながらも二種類の強い感情が籠められていた。
憤怒と悲嘆―――目の前の理不尽に対し、それらが薪となって胸の内である炎を滾らせていく。
「………見たかった……!」
より力強く呟いた直後、積み上げられた建材の残骸を内側から弾け飛ばず。
粉塵を纏い、棚引かせ、瞬時に全て振り払ってノイズへと吶喊した響の顔には、赫怒の表情が浮かんでいる。
「―――流れ星、見たかった!!」
拳は、それを真正面から受けたノイズの体を豆腐を突き崩すかのように貫いた。
それが崩れ散るよりも先に、身を翻して真後ろのノイズを殴り飛ばし、返す刀でその隣を蹴り飛ばす。
「未来と一緒に、流れ星を見たかった!!」
次々に倒されていく仲間に危険を感じる機能でもあったのか、その場に残る全てのノイズが一斉に響に向かって襲い掛かっていく。しかし、それも次の瞬間にはまとめて吹き飛び、軒並み灰となって消滅していく。
瓦礫のものともノイズのものとも判別のつかない灰燼が漂う中、荒い息で俯いていた響がその身を起こしながら、腹の底から湧き上がる憤りのままに哮り立つ。
「ゥウァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア―――――――ッ!!!」
そんな少女の咆哮に背を叩かれながら、葡萄型のノイズは階下へと駆け下りていく。響に向かって放出した球体もその本体から湧き出るように再び精製され、ホームに辿り着くころにはすでに元の姿を取り戻していた。
ホームを駆け抜けていくノイズを追い、階段を一側で飛び降りた響は着地と同時に手近な壁へ八つ当たりに拳を見舞うと小さなクレーターのような穴が出来てしまった。
「アンタたちが」
壁の惨状なぞ目もくれず、響は激情に眼差しを尖らせる。不思議なことに、その瞳には赤い輝きが宿りつつあった。
「誰かの約束を侵し」
自身を追ってきた響に対し、ノイズが再び背の球体を放出する。弾みながら転がってきたそれらは、しかし今度は爆発せずに別々のノイズへと変貌していく。
どうやら爆弾だけではなく、兵隊としてノイズを量産する能力も有しているらしい。
しかし、彼女にとってはそんなことはどうでもよかった。
「嘘のない言葉を……争いのない世界を……何でもない日常を……!」
先ほどとは打って変わってゆらりとした動きでそれらと対峙する響。
その胸には、言いようのない様々な感情が荒れ狂っていた。
憤怒、悲嘆、憎悪、嫌悪、哀切……それらはなにも、自身に降りかかった不幸からだけのものではない。確かに発端はそれであるが、そこから連鎖するように想像してしまったのだ。
―――これらは、これまでも誰かにこんな思いをさせてきた。
―――これらは、これからも誰かにこんな思いをさせてくる。
―――そして、その上で誰かの命を奪い、日常を壊して、人生を滅茶苦茶にしていく。
自身のみならず須らくにそんな理不尽を押し付けるノイズという存在に対し、響は紅蓮と例えるにはあまりにも黒々とした業火が身の内で燃え盛っているのを感じ取っていた。
と、行く手を遮るノイズたちが、一気に飛びかかってくる。
だがそれは、彼女の中の炎に油を投じるのと変わらない行いだ。
「剥奪すると、言うのなら――――!!」
次の瞬間。
この場で巻き起こったのは戦闘というにはあまりにも凄惨に過ぎる暴虐の巷だ。
「ガァアアアアアアアアアアアアアアア――――ッ!!」
最初に飛びかかってきたノイズを腕の一振りで両断し、続いて蹴りで人型ノイズの一体を引き裂く。
丸い体のノイズに掴みかかるとそのまま粘土を裂くように真っ二つにし、次の一体は押し倒して角状の触覚を掴むとそのまま毟るように力任せに引き千切る。
拳で串刺しにしたノイズをそのままに、別の個体の角を掴むと力任せに床にたたきつけ、頭部に当たる部分を踏みつけ踵でゴリゴリと踏み潰す。それを為す顔には、喜悦を感じているかのように口の端を持ち上げ、牙を見せつける表情が浮かんでいた。
常の彼女を知る者ならば、これを見て同一の人物であるかどうかすら疑うだろう。
荒々しいなどという次元ではない。それは人としての武ではなく、獣性と呼ぶにふさわしい暴力に因る蹂躙だ。
―――この時、響の中に渦巻いていたのは全ての感情が混ざり合い、混色となり果てたそれらが一つの方向性を以って作り上げたある衝動だった。
それはマグマのように熱く、氷河のように冷たく、嵐のように荒々しいもの。
初めてシンフォギアを纏った時にも感じられたものが、この時確かな形を以て響の中で顕現していた。
人はそれをこう呼ぶだろう―――『破壊衝動』と。
と、瞳を暴と赤く煌かせていた響が顔を上げれば、葡萄型ノイズが放ったと思われる大量の球体が今までにない勢いで弾みながらこちらに転がってくるところだった。
瞬間、それらは先ほどと同じように爆発した。だが、精製したばかりだろうか先ほどと比べれば威力は低く、容易に防ぎきることができた。
そしてその衝撃で響の中で暴れ回っていた感情のうねりが解け、濃霧が一気に晴れるかのように意識が鮮明に戻っていく。
「……ぁ?」
思わず、自身の掌を見る。先ほどまで己が巻き起こしていた暴力の嵐に、彼女自身が当惑していた。
が、湧き上がりかけた疑問も僅かな虚脱感もそこそこに、彼女は顔を上げてすぐさま駆け出していく。
「ま、待ちなさい!!」
叫ぶその先にいる葡萄型のノイズは、ホームに飛び降りると背に残っていた全ての球体を頭上へと射出した。洗練されたホームに比べれば武骨で薄汚れた線路の天井が、真下からの爆撃によって砕かれ、大穴を穿たれていく。
「ぁ、くぅっ!?」
この日、すでに何度目かの粉塵の洗礼に呻いていると、球体を失って身軽になったノイズが自身の空けた穴を先ほどまでとは比べ物にならない素早さで跳び上がっていく。
響は、ただ悔し気にその後ろ姿を見送る羽目になってしまった。
「くぅっ……あ?」
と、響はあるものに気付く。大穴から覗く星空、そこを斜めに通り過ぎる一筋の光。
「流れ、星……?」
真っ先に連想したのは、友と見ることを約束したもの。
だが違う。蒼い輝きを纏い、凛とした刃の歌を響かせるそれは―――
「――――――翼さん?」
***
―――蒼ノ一閃
翼は高空を滑るかのように滑空しながら、自身のアームドギアである刀を変化させた巨大な刃で以って青い斬撃を放つ。
高密度に凝縮されたエネルギーによって形成された斬撃は、眼下を疾走する紫色のノイズを両断し、見事に滅却せしめた。
余剰エネルギーで生じた爆発に照らされながら、翼は両足のウィングブレードを展開、スラスターとして火を吹いてホバリングを行い、ゆっくりと森林公園の芝生へ降り立つ。
その背に、視線を感じる。振り向けば、そこには橙と白を基調とした装甲を纏った後輩が佇んでいた。
その表情は、酷く暗い。
「………立花 響」
ふと、名を呼ぶ。そうしてびくりと肩を震わせ、身を竦ませる様は母親に怒られる幼子を連想させる。
その姿に僅かな微笑ましさを感じたが、翼はそれを一切表に出さず冷たく声を上げる。
「奏は貴女に強い負い目を感じている。だから、あまり強いことを言えないだろう」
その言葉に、響は何かを言おうとして、しかし何も言えずに口を噤む。
一方の翼は、肩を並べるもう一人の存在を思い浮かべる。
考えてみれば、士郎との関わりも響と同じところからだ。付き合いの長さこそ違えど、妙な共通点に何故だか感慨深いものを感じてしまう。
その彼も、彼女に対しては何かを考えているのかもしれない。だが、だからこそ彼女は彼女の考えで言葉を投げていく。
「だからこそ、敢えて私が言わせてもらう。―――貴女は、日常に還りなさい」
「っ!?」
響が息を飲むのが解った。だが、翼はそれに頓着するつもりはない。
そう言い放ったのは、彼女が足手まといであるからというわけではない。
もっと別の所にある理由からだ。
先ほどまでの彼女の戦闘の様子は自分にも伝わっていた。音声のみであったが、喉から迸った叫びからその想いは痛いほど感じ取ることができた。
自身が感じた理不尽、それを誰かに強いるだろう存在への憤怒……その発露を、未熟とは感じても無様とは思わない。なぜなら、それを誰彼に味わわせることがないように戦うことこそが自身の使命であるからだ。
だがそれは、目の前にいる彼女には本来縁遠いはずのものだ。
ありふれた日常こそ彼女が謳歌すべきものであり、それを蔑ろにさせる羽目になったのは紛れもなく自分たちの不徳。
故に、今こそ言う。結果としてそれが彼女との間に溝を生む結果となったとしても構わない。
寧ろここで突き放し、無理矢理にでもあるべき場所へと戻すことこそが先輩として本当にやるべきなのではないだろうか……彼女はそう考え、即座に行動に移した。
「これからも戦士として戦っていくなら、こういうことはいくらでも起きる。それを周りにいる皆や大切な人たちに隠しながら抱えていくつらさは十分に味わったでしょう?」
「それは……」
「私はいい。奏も、士郎さんも、そうあることがすでに自然になっている」
ふと、手にした巨大な刀に目をやる。
己が手に入れた力。
己が研鑽を重ね続けている刃。
この身は当の昔に、これを振るうことこそ己の在り様だと受け入れている。
けれど。
「けれど、貴女は違う。―――貴女の力は、貴女が望んだものではない」
むしろ、それは否応なしに押し付けてしまったもの。
二年前のあの日、自分たちがしっかりしていれば、そんなものを身に宿してしまうことなどなかったはずなのだ。
だから―――その力を、畏れて、否定して、逃げ出したとしても……それは至極当然のことなのではないだろうか。
「だから、貴女は貴女のいた場所へ……」
「だけど!!」
と、翼の言葉を遮って響が声を張る。その顔は今にも泣き出してしまいそうに歪んでいた。
「だけど、私にも、私だって、守りたいものがあるんです!! だから、だから……!」
息も荒く、喉の震えが声に伝わっている。そこからは言葉にならないのか、そして翼もまた言葉に悩んでいるのか、互いの間には重い沈黙が降りてしまう。
それはどのくらいの間であったろうか。結局、それをどちらから破ろうとしたのかはわからない。
―――その前に、それを為した者が別にいたからだ。
「『だから』? ―――ンじゃどーすんだよ?」
聞き覚えのない声は、あからさまな嘲弄に満ちていた。
「「っ!?」」
声が聞こえてきた方へ、二人が同時に顔を向ける。すると公園の森の奥から現れた何者かが、雲の切れ間から注ぎこんできた月明りに照らされこちらへと歩を進めている姿が露わになるところであった。
まず目につくのは首回りで鋭い山のように主張し、両肩から垂れ下がる赤い鎖のようなもの。よく見れば鋭い刃を数珠繋ぎにしているらしいそれは、その先端を足元にまで届かせている。
その身を包むのは白銀の装束で、胸の豊かな膨らみの下部を扇情的に露出しながらも重ねられた装甲は目に見えて強固だ。
顔立ちは濃い色のバイザーを持つヘッドギアによって隠されていたが、唯一覗く形の良い口元は先ほどの言葉の響きよろしく嘲笑に歪んでいる。
長い銀髪と刃の鎖を揺らしながら現れたその姿……否、纏われている白銀の鎧に、翼は目を大きく見開いた。
「ネフシュタンの、鎧………!?」
それはかつて、自分と奏が目覚めさせ、数多の人命と共に失ってしまったはずのもの。
今、翼の目の前でかつての罪と無力の象徴が堕落を促す蛇のように鎌首をもたげていた。
何とか年内に更新できましたーーー!!(彼方からダッシュ)
そしてクリスマスとか完全ブッチしてごめんなさい!!(ダッシュの勢いのままスライディング土下座)
なんか今までになく文章が書けなくて自分でもびっくり。
こいつぁヤベェと思いました。
クリスマスネタも十月くらいから考えて書き始めてたんですが、「これ盛り上がり無さすぎてあんまりおもしろくねぇな」ってことでセルフ没に。
ぶっちゃけの先の展開とかはいろいろ思い浮かぶんですけどね~。
それを出力するのがうまくいかない……第二期とか三期とかのネタも思い浮かんでるんですけど、そこまでたどりつくまでが遠いってのもあるんでしょうね……多分、作品エタっちゃう人の何割かはこういう理由なんじゃないでしょうか。
それはさておき、今回の内容。
〇ひよっ子ビッキー奮闘記&士郎と慎次の内緒トーク
他の面々がそれぞれの地点で戦い、士郎が俯瞰的な位置でそれを援護するっていうのは結構バランスがいいんじゃないかって思います。
そしてツヴァイウィングの会話がホントに子供挟んで会話する夫婦っぽい……というか、これだと士郎の立ち位置がまんま舅とか姑っていう(笑)
そしてアームドギアに関する話。
士郎はなんか掴みかけてるけど確証には程遠いって感じですかね。
ちなみに『足りないのは信念』云々の話については、昭和の特撮とかで悪役が言ってた『我々の目的は世界征服だ』的なことに対して自分が思ってたことがちょっと混じってたり。
『世界征服』ってあくまでも行動であって重要なのは何のためにそれをするのかっていう。
〇グリーフィング
ここでの了子さんのセクハラが原作よりソフトなのは、士郎の眼があったからです。
というか原作のあれやると士郎がツッコミ入れないはずがないし、それやっちゃうと前のと合わせて単純な了子サゲ描写になってしまうかなって考えたのもあったり。
〇未来さん、悶々とする
最初の未来さんのモノローグはやけに筆が進みました。なぜだろう(震え声)
ちなみに翼がこじらせてないのでロンドン行きの話は(主に慎次が)前向きに進んでたりします。
もっとも、ノイズとかまだまだ出るので本格的な活動開始は原作とそう変わらないんじゃないかと思われます。翼は学生ですしね。
〇ビッキー、プチ暴走。
ここら辺の描写表現も結構悩みました。
短いけどバイオレンスに大活躍してるんで、その辺りを深めに描いてみたんですが……あんまり語彙とか表現が出て切れくれなかったんだよなぁ(汗)
あと、一部のビッキーのセリフが聞き取りづらかったのもちょっと大変でした。
〇天から舞い降りた翼さん、諭す
この辺りの会話が今回で一番原作から乖離してるところ。
といっても、ここまでの道筋考えればこういうことは言うだろうな、って程度ではありますが。
ちなみに奏はどうしているかというと、それは多分次回で。
そして一年の最後に登場、悪クリスちゃん!
つっても、士郎と色々絡んでいくのはまだまだ先なのですが。
その分、絡み始めたらいろいろイベも多い……かも?
というわけで、今回はこの辺で。
次回はもうちょっと早めに出したいですね……ここら辺の話を乗り越えたら、前半の山場に突入しますし。
なにはともあれ。
二〇一八年は大変お世話になりました。
皆様方の熱い応援・感想は本当にこころの励みとなっております。
新時代となる二〇一九年もよろしくお願いします。
それでは皆様、良い年末年始を!!
【追伸】XDU『アルケミックオーダー』ネタバレ感想
……このアダム、劇場版じゃなくて秘密道具で出てきた『きれいなジャイ●ン』だ!?
本編がなりふり構わず勝ちに行ったのに対し、こちらは勝ち方に拘ったってことでしょうかね?
いや、AXZはまだ4話くらいしか見てないんですが。
あと、このイベの響・切歌・調の立ち絵のギアって、五期のヤツでしょうかね?
なんかイグナイト無くなっちゃって変わったとか言ってますし。