冒険英雄譚“ヒロイック・テイル”   作:犬2

2 / 10
二話目投降。

今回の依頼のあらましと、遺失遺跡というモノに関して。

店主さんは、珍しいジークの普通の友人です。
ほかは最悪殺し合いになる戦友達。


第一章「始めての冒険」 二話目

 遺失遺跡。それは大昔、この大陸を何度か蹂躙した大災害や大戦争により

遺失した技術が眠る遺跡である。

住居等は含まれず、技術研究所や、工場等をそう呼ぶ。

 

 過去に作られた現在では再現出来ない魔道具(アーティファクト)は冒険者の分かりやすい一攫千金の対象だ。

だが、大昔の廃墟である。大抵は既に暴かれており中に重要なモノ等残ってはいない。

だが、魔道具の優れた武器を好む冒険者は多い。ジークも幾つか魔道具を所有している。

現在は一つだけだが・・・

 

 遺失遺跡等あるなら、それで張り出せば良かろう。腕利きが大勢集まるぞ。

そう口を開こうとして・・・・・・口を閉じる。

そんなモノ、唯の冒険者の己より目の前の店主の方が分かりきっている。

 

 遺失遺跡を紹介し、冒険者の要らない魔道具を買取、高値で売買すれば膨大な利益になる。

魔道具とはそれだけ重要なモノだ。情報を国に売る。でも金になるだろう。

だが、遺失遺跡に行くというのに依頼は【ゴブリン退治に行く初心者冒険者の護衛】つまり・・・

 

「ジーク。なぁ、ジーク」

 

店主の目を見つめて話していたジークに対し、店主は見つめ返す。

 

「僕は、君の友人だと思ってる。そして、君の冒険のファンだ」

「だからこそ・・・君はもっと大きな事が出来ると思うし、して欲しいと思う」

 

 チラりと、視線を下げて・・・ジークの右手を見る。

食事中、一度も使っていなかった手を・・・包帯で古傷を隠し、壊れてしまった腕を見つめた。

ジークが、嘗ての冒険で傷つき、握力を失った嘗ての利き手であった。

 

 そして・・・遺失遺跡には、時折凄まじい効果を発揮する回復薬がある。

それこそ、無くした腕が生えてくる程のモノがだ。

あるか無いかは分からない・・・が、貴重な品であり市場に出回る事は絶対に無い。

国が買い取るからだ。

 

ならば傷ついたジークの手を治すには・・・

自力で遺跡に潜り、自分の力で遺失された薬を手に入れるしか無かった。

 

「・・・」

 

 ジークはそんな店主を見。目を閉じる。

店主の冒険者好きは相当なモノだ。だが、確かにジークは店主との間に奇妙な絆を感じていた。

戦友という絆しか知らないジークにとって異質の何かを。

 

今回の依頼は、店主から、友人であるジークへの贈り物であった。

遺失遺跡が見つかったから、早めに行っておいで、と言われなかったのは理由があるのだろう。

 

 この時店主は言わず、ジークは知らなかったが。依頼先の場所に遺失遺跡があるのではないか?

そんな噂が国の冒険者ギルドの組合で囁かれており、実際に調査隊を作る為に現地への立入禁止の動きがあった。

そこへ捩じ込むには「依頼があるから、その依頼だけは達成させて欲しい」という建前が必要だ

 

 何はともあれ、ジークは目を開け店主へ強く頷いた。

ジークにとって、店主の心遣いは嬉しいモノであった。

友人が、自分の快復を祈り、手を打ってくれた事が・・・だ。

 

ジークに友人は少ない。冒険の状況によっては殺し合いになる事も多い。

マトモな友人は、店主位だろう。だからこそ・・・ジークは不器用なりに応えた

 

「・・・詳細を教えろ。」

 

パぁぁっっとその言葉に笑顔で頷く店主。

その笑顔に、無愛想な顔で頷くジーク。

 

「3時間後に、護衛相手の子供達が来る。その前に軽く今回の依頼のあらましを説明するよ」

 

嬉しそうにニコニコしている店主に対して、チッと舌打ちした。

護衛相手が子供である点である。最近子供の冒険者が増えてきている事は知っていた。

そういう子供達は、冒険者というモノを勘違いして大抵死ぬか再起不能になる。

 

店主の心遣いは子供達へのモノもあるのだろう・・・

それは良いが、だからといって、子供に媚へつらうのはする気は無かった。

 

ジークにとって、子供とは弱き者であり、壊れやすい者であり、理解出来ない者である。

成金趣味の阿呆相手の様に煩いからと脳天を打ち抜くつもりも利き腕をぶち壊すつもりも無いが

子供から好かれる性分では無く、煩わしいのも苦手だと、自分の中では思っていた。

 

「大丈夫さ、ジーク!あの子達は僕が気に入った子達だからね。君も気に入るさ」

 

お前が気に入ったから、俺が気に入るとは限らんだろう。と無愛想に言いながらジークは

店主の言葉に耳を傾ける。

 

どうせ、暇だったのだ。暇潰し程度になれば良い。

腕が治ればもっと良い。もっと難しい冒険に出かけられるのだ。

 

そう思っていた。

 

 

 

 

事のあらましはこうだ。

冒険者ギルドには、国からの定期的な僻地への巡回依頼が来る。

これは、一定の街を練り歩き、その街の冒険者ギルドに道中の様子を説明する事だ。

 

オーソドックスな依頼であり、年に数回ある。

巡回する場所は冒険者の自由であり、危険な場所を見て回ればその分報酬も高くなる。

新人達はこの依頼を受け、街と街を繋ぐ旅路を歩き、旅の基礎を実際に学びながら金銭を得る。

 

数チームの証言を聞いて、最終的な判断は下され

有力だと判断されたチームには追加報酬が付く。

 

今回、遺跡のある森へ毎回巡回しにいく冒険者から報告があった。

数名の野営跡。汚らしい布やら血の探検等が落ちていた事から文明人には思えない。

野党か妖魔・・・・・・魔力持つ魔物の中でも下級の異形の存在だろうとの報告であった。

 

その冒険者の名前をジークは知っていた。

会話した事は無い。だが、堅実な仕事をし、何時もソロで動いている事が有名であった。

派手さは無いが、信用ある冒険者からの報告を受けて調査隊を・・・と話になった所で

 

森林近くの村から、ジーク達が今居る街に報告があった「ゴブリンがその森の中で発見された」と。

街の移行は、その報告で決定された。

 

「ってのが、今回国から冒険者ギルドに回された依頼だね。」

 

 地図を広げられ店主自らジークに話をしている。

大抵の冒険者はギルドの受付嬢から話を聴いたりするが、ジークは腕利きであり

この冒険者ギルドを超えて様々な場所で活躍し、自費で秘境を踏破した実績もある冒険者である。

周りに居る冒険者達も、当然。という顔をしており特別扱いには感じては居ない。

 

何より、店主は今日は半日仕事の様で、今は非番らしい。

 

「ゴブリンの調査、及び殲滅程度なら。新人で十分・・・だけど。今回の子達さ、結構な有望株なんだよ」

「将来は君程ではなくても一流の冒険者になれるって僕は思ってるんだ」

 

ほぉ・・・っと、ジークは唸った。この店主飄々としており優男然としているが人の見る目は良い。

店主に見込まれた冒険者の大抵は大成している。

ヒョロヒョロした外見の店主が冒険者という荒くれ者から舐められない理由の一つである。

 

「だけど・・・まぁ・・・最近の冒険者らしくてね」

 

言葉を濁す店主にジークは心当たりがあった。

最近では私服然とした服で冒険に出かけ、風邪を引いて動けなくなる・・・なんて笑い話にもならない

夢しか見ていない阿呆共が多いのだ。

 

野営準備も何も無しに、どう大自然を克服するつもりなのか分からないが・・・

人は浪曼の前では目を曇らせるのだろうと、ジークは心の中で思っていた。

 

「そんな中で、野営跡を見つけたっていう例の彼から話があってね。ロハで良いから同行するか?ってさ」

 

器が大きい物だ。ジークは素直に感心した。

だが、冒険者ギルドとしては、きちんと正規に依頼料を彼に支払うつもりの様だ。

報酬が無いという事は責務が無いという事だ。そこはしっかりすべきである。

 

「だけど彼も、そこまで【技術】は高くなくてね。」

「ソロだけど、狩人知識で誤魔化してやってるみたいでさ」

「だから、ジーク。今回君に頼みたいのは、将来ある子供達に技術を教えて欲しいって事だ。」

「種程度で良いんだ。芽吹かせるのは彼らが自分でやるべきだから」

 

この場合言われている【技術】とは密偵(スカウト)としての技術だろう。

罠の探索に解除、隠密行動、先陣を常に切り、危険を調べる重要な技術であり冒険には欠かせない。

 

同時に、その技術を学ぶ事は極めて難しい。当たり前だ。誰が「自分はスパイの技術がある」というのだ。

自分の持つ宝物を盗まれた時に真っ先に疑われるのだから当然である。

大抵は吹聴せず、冒険の中で先陣を切る事で無言の内にパーティに技術の有無を教えるモノだ。

 

そんなスカウト技術だが・・・出会ったパーティのスカウトから習うのは現実的ではない。

自分の手口を教えてしまえば自分の仕掛ける罠の性質もバレてしまうからだ。

だから大抵、引退した冒険者を知り合いから紹介して貰って、教えを乞うのが普通だが・・・・・・

密偵技術がある冒険者なんて1/5位しか満たないだろう。それくらい貴重な技術である。

 

「己はロハでやるつもりなんぞ無いぞ」

 

友人の作ってくれたチャンスは嬉しいが、自分の技術を安売りするつもりは無い。

分かってる。と店主は笑い値段を提示した。

ジークからすれば、駄賃でしか無いが、並程度の冒険者の依頼に比べ、桁が1つか2つ多い。

しかも、冒険とは言ってもゴブリン退治である。美味しすぎる・・・こんなモノをギルドが認める筈が無い。

 

「・・・はぁ・・・・・・」

 

目の前の、店主のポケットマネーだろう。

友人からの心遣いの上に、金まで出させる・・・・・・そんな事を粋と言える程金に困っては居ない。

 

「店sy「ジーク。言ったろ?僕は君のファンなんだ」・・・・・・」

 

ジークが、言い終わる前に店主が言葉を挟んだ。

店主は、続けて言う

 

「これは、君という一流の冒険者に、子供のお守りをさせるなんていう迷惑料と」

「君の腕を振るわせる。っていう技術料だ。むしろ君を雇うなら安い位だよ」

 

確かに安い。ジークはもう一桁あっても引くて数多の冒険者である。

辺境に赴き、魔物を仕留め剥製を作る為に死体を求められたり

危険な魔物の生態調査や秘境の状況調査等も良く指名され依頼される立場に居る。

 

そう言われ・・・・・・ジークは強い光を瞳に宿す。

ノリ気では無いが、そうまで言われ気遣われ。なおやる気を出さぬヘソ曲がりではなかった。

 

「己なりのやり方で教えるぞ」

「構わないよ。君に逆らえない様に。君に依頼の合否を決めてもらう」

「最悪ソイツらが冒険者をやめるかもしれん」

「構わないとも、君なら上手く出来ると信じている」

 

言葉に、即答で店主は返す。

ジークは、考え抜いた上で、疑問を口にした。本当に良いのだな?と

それに対する答えが、出たのだ。迷う必要は無い

 

「・・・・・・時間は少ないな。途中で街に1度より、森に入り野営するとして・・・三日か」

「技術は、出来る限り教えるが・・・それより意識開拓だ。スカウトの重要性を教え込む」

ジークは、何度も助けられた己のスカウトの技術を思いだし呟いた。

 

「任せたよ。ジーク」

店主は、間抜け面でそう微笑みを浮かべるばかりであった。

 

「・・・け持って来い」

 その顔を見つめ、ジークは呟く。ん?と聞き返す店主に対してジークはもう一度呟いた

 

「この店で一番高い酒を持って来い。ツマミもだ」

 友に貰う予定の金だが、友と酒を飲む為に使っては行けない。等という法律は無い。

そう言外に意味を込め、呟いた。気遣いは断れなくても自分なりの友好を示したかった。

 

「・・・」

 きょとんとした顔の店主は、数瞬後、ぱぁぁぁっと今日一番の顔で笑った。

 

「勿論さ!!!でも酔わないでよね、依頼の説明があるんだからさ」

 

そう言ってウェイトレスに注文をし始める店主を見ながら、ジークはため息混じりに呟いた

 

「酔って冒険を逃す男に見えるか?」

 

ケラケラ笑う店主と無愛想な冒険者のジーク。

凹凸コンビではあるが、不思議な事に彼らはいつもこうであった。

二人は、依頼の1時間前まで、酒盛りをし、残る1時間で酔いを冷ました。

酒の酒気を、尋常で無い速度で抜く事に、二人共慣れていたからである。

 

 




後書き

後で世界観の時代や歴史に関しても出したいと思いますが

この世界では何度か文明が吹っ飛ぶ程の大災害や大戦争が発生しております。

神代の大戦争:神々の戦いにより、最初期の文明が吹き飛ぶ

魔法文明時代の大災害:魔法(後で出てきますがあります)の研究の失敗により
大陸全てに悪影響が及び、バイオハザード状態。
病原菌に、新種の魔物に。酷い所によっては放射能汚染ならぬ魔法汚染で
マトモな人間は住めなくなっております。

魔工機文明時代の戦争:魔法を科学的に制御しようという試みが試された時代。
とは言っても、車やら何やらという複雑なモノは無い感じ。
クーラー代わりの魔道具やら、軽い電化製品。
武器で言えば地雷や火縄銃程度のモノは出来た。
だが、大陸を割る大戦争が勃発、最終的に決戦兵器である爆弾をお互いに投下。
勝者無き戦争に残った、荒廃した大地と荒事、面倒事。
そして、失われた技術による、文明の後退であった。←今ココ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。