他二つも、今後説明しますが、創成魔法はファンタジーに良くある
ふんわりしたモノではありません。完全な学問です。
又、文明が何度か吹っ飛んだせいで、詠唱はほとんど遺失しています。
詠唱を間違えるととんでもない事が起きる事も多い為
自爆覚悟で新しい詠唱を試す研究者も居ません。
この世界にある魔法体系とは、大別すれば2種類。種類ごとに言えば3種類に分かれる。
沢山の流派がある為、そこまで入れると膨大な数になるが・・・
大別すれば【神代魔法】【契約魔法】の2つとなる。
だが、わかりやすく説明する場合良く用いられるのは種類別である。
すなわち【創成魔法】【神聖魔法】【契約魔法】の3種である。
その中でもメジャーな魔法である【創成魔法】とは、神々が世界を生み出した際の奇跡の模倣である。
神話として語り継がれるに、この世界のすべての存在は膨大に居る神々が作り上げたのだと言う。
火の神がこの世に[火]という概念を作った用に。
命の神がこの世に[生命体]という概念を作った用に。
水の神がこの世に[水]という概念を作った用に。
この世に、己の望むモノを生み出す極小の創造行為。
それが【創成魔法】の正体である。
又、そこには「世界のモノを操作する」事も含まれており
熟練した創成魔法使いは、限定的だが仮初の生を持つ者を生み出したり
五体無事な死者を蘇らせる事も可能としている為、疎んじられたり重宝されたりする事が多い。
そんな創成魔法を行使するに当たり必要なモノは【創成言語】【設定】【生命力】の3つである。
【創成言語】とは、神々の言語であり自身が発生させたい現象を言葉にする行為だ。
「世界在れ」と言う事で世界の全てを作り出した神々とは違い
現世の存在の知覚力が低すぎる為、詳細な言葉が必要になるのがたまに傷である。
例えばだが相手に火をぶつけたくても[火]だけでは、自分が燃えるだけで終わる。
「[攻撃]をしたい。[火]よ[爆裂]し[殺害せよ]」 という言葉が必要になる。
だが、イントネーションや発音の僅かな差で発動しない事等良くある事であり
魔法使い達は必要な単語を抜き出し自分が望む結果を出せるギリギリの単語で発動するのが普通だ。
先程の例で言えば[“我、攻撃する”“火”“爆裂”“炎弾”]となる。
だが、此処で問題なのは。何処に飛んでいくか。という事である
[形状は弾丸状に飛んでいくのか。それとも狙った空間に発生するのか]
[弾丸だとして、何m程飛ぶ弾丸なのか。何発作るのか]
[術者から何度の方角に放たれるのか]等等、極めて膨大な情報が必要となる。
これらの情報を世界に伝える為に虚空に魔力で魔法陣を描く。これが【設定】である。
言葉にすれば簡単そうに聞こえるが・・・【設定】を一から一瞬で作る何て無理だ。
創成言語は極めて膨大な数に及ぶ為、どの言語の組み合わせが効率的か
自分が望む結果を出すにはどうするか。等一瞬では出来ない。
例えばだが魚を呼び出す魔法を発動したとして・・・
数え方や立方体に影響を及ぼすのか
大抵の場合は流派毎に「この魔法の創成言語はこう。魔法陣はこう。」
「設定をする際は、魔法陣をこう書きなさい。違う表記だと発動しなかったりします」
という事を教える。その為、一朝一夕では魔法は覚えられない。
熟練になれば[創成言語]は弄れなくても、設定をいじる事なら出来る。
とは言っても、[何発撃つか][何m飛ぶか]程度の、設定を1つか2ついじる程度である。
そして最後に・・・【生命力】。この世界に済む者達は神々が作りし創造物であり
神々が[世界在れ]と言う事で世界を生み出した事で、神々の持つ力の一端を誰もが所有している。
それがいわゆる【生命力】である。これらは個人差が有るモノである。
優れた個体程高い【生命力】を持つ。というよりはこの世に生を受けた時点で
何処まで高い【生命力】を持つのか、決まってるというのが学者達の通説である。
又、学者達は魔法を放つ為に必要な力なので【魔力】とも呼ぶ事がある。
そんな【生命力】を消費する事で、神々に比べカス以下の創成魔法が使える訳であるが・・・
その現象を起こす為に必須な生命力が必要とされ、消費される。
その為、創成魔法の詠唱と魔法陣を完璧に行ったとしても未熟な魔法使いでは
死者の復活等の大魔法を使う事は出来ない。魔法が発動する前に、気絶するか死ぬのがオチである。
余談であるが【生命力】を回復する為には、他の生き物の肉を喰らう事で回復する。
とは言っても、回復しやすい食物、回復しづらい食物は有り・・・
人間の肉の回復量ははほぼ0である。最悪自分を食べるという行為は何の意味も持たないのだ。
逆に回復しやすい食物と言うと現在発見されている中では
一定の植物が最も人間の魔力を回復させやすいと言われており
それらを煮詰め飲みやすくし体内に溶け込み安くした薬品を【ポーション】と人は呼んだ。
纏めれば、創成魔法を使うには
【遺失した神代の時代の言語を学び完璧な発音が可能で】
【術者から何mまでどういう形で発動するかを虚空に魔法陣として記述し】
【自らの命を削り現象を発現する】という工程が必要となる魔法である。
※ ※ ※
魔法とは極めて複雑な工程であり、普通なら5年で見習い卒業。
戦場等で使うなら10年の修行が必要だが・・・目の前の少年。クリスは、それを使えるという。
ジークは店主をチラりと見ると、頷かれた。
成程、先程のノエルという貴種の血を引く者が冒険者等してるか分からんが・・・
栄養のある物をたらふく食べ豊かな肉体を持ち、知識人として一番大切な【学習の重要性】を理解している。
更に礼儀正しいから成長後も山賊崩れになる事はないだろう。
そして目の前の赤髪の少年は・・・純粋な天賦の才を持つ。
創成魔法を知らぬ者は、不思議な力で魔法を使っている・・・等と勘違いしているが実際は違う。
特に実践で使うとなれば、それは両手それぞれで別の絵を書きながら口頭で早口言葉を言い続ける様なモノだ。
だがそんな使いづらい魔法であろうと、冒険者にとって魔法使いは無くてはならない存在である。
魔法で無ければ殺せぬ存在が居る。神代に作られし遺跡の碑文を読む為の言語能力が必要となる。
様々な要因が有り、魔法使いは冒険者に優遇されている。
「・・・・・・」
ジークはクリスを見る。頭の先から服の特徴などを・・・
僅かに猫背気味になっているのは勉学に励んだ証拠であり・・・
背中には虚空に魔法陣を描く為に使う、散歩杖モドキを持っていた。
成程、多少旅を豊かにする程度の魔法を使うモノかと思ったが・・・本業が創成魔法使いとなれば
価値が1つか2つ上がる。店主が死なせ無い様に己に技術を教えろと言う訳だ。
虚空に描く線幅は均等である事が望ましい為、魔法使いは自身の指や手等で描く事を好まない。
杖等を媒介に描くのが普通だ。
「あの・・・ボクの顔に何か?」
ジっと見つめていた為キョドるクリスに無表情でジークは答える。
「何でもない。何年程魔法を学んだのか気になっただけだ」
普通なら10年。だが12、13程度の小僧が2才から魔法を学んでいたとは思えない。
「あの・・・あんまり信じてもらえない話なんですけど・・・」
俯き気味に言う。才ある者なら5年程で実戦で魔法を使える様になるモノだが・・・
「3年前に・・・教わりました」
ほぅ・・・っとジークは小さく息を吐いた。
俯いているクリスは、ボソボソと言う
「でも。お父さんが考古学者で・・・子供時から創成言語は学んでたので、はい・・・」
「魔法を使う為の訓練に3年って形で、す」
3年。3年か・・・。内心でジークは驚いていた。がそれだけだ。
「様子を見るに、相当他の者に貶されたか」「はい」
「嘘つきと言われたか」「はい・・・」
どんどん声が小さくなるクリスを見。頭をガシっと掴むとジークは顔を無理に上げさせた。
「案ずるな、己は否定せん」
ジークは、クリスの目を見てそう言う・・・突然頭を掴まれクリスが動転しているのが見て取れた。
「己は、お前の人生も生き様も努力も知らん」
「お前の実力も、未来も今からする事も分からん」
「だから、俺が見るのは 今 お前が 何ができるか だけだ。」
ジークは、才ある者が好きだ。努力する者が好きだ。
自分と同じ様に冒険に出かける者が好きだ。
才ある者が、その才によって常識を疑われるのに我慢ならなかった。
自らの才を誇っても良いのだ。胸を張れ。そんな気持ちが溢れ出した。
小さな少年の目を見。その心を、言葉に込めて。そう言った。
頭を掴んでいた手を離すと、背中をバン!と張る。ビクン!と姿勢を正すクリス。
ジークは、顎で続きを促した。
「・・・ボクは冒険とか、見た事ないものが見たくて。冒険者をしています」
「だから・・・もっと、もっと強くなりたくて依頼を受けました」
「よろしくお願いします」
僅かに気弱そうな弛んだ顔が引き締り。テーブルに居る者達にクリスは頭を下げた。
全員が、それを静かに頷いた。クリスのその言葉を否定する者は居なかった。
頭をあげたクリスはジークを横目に見ながらボソボソとありがとうございます。と言って
また背中を張り倒されていた。
ちなみに創成魔法も神聖魔法も神様の行う行為の模倣です。
前者は才能を用いて行い
後者は、神に気に入られる or神に利益ある者に与えられる加護です。
魔法と言えるのは前者で
後者の神聖魔法は普通の小説では【スキル】とかって呼ばれる代物だと思います。
契約魔法は、名前の通り。人外と契約する魔法です。
契約魔法は次の章まで出てこない予定です。