冒険英雄譚“ヒロイック・テイル”   作:犬2

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冒険に出る前の準備編・・・その前編です。
次話で冒険に出る為の道具を揃え、最後の一人と出会い

八話目から冒険が始まります。


第一章「始めての冒険」 六話目

最後の一人・・・茶髪の少年であった。

 

 肌は僅かに焦げ、クリクリした目には希望を溢れんばかりに湛えていた。

綺麗に整えられた髪は短い。動きやすい麻色の狩人服が良くにあっていた。

 

 革鎧に肩に鉄甲が施され背中には弓を。後ろ腰にはえびら(矢を入れる筒)を据えている。

床に置かれたボロボロの袋にはナイフやロープが入っているのだろう・・・僅かに膨らんでいた。

前者二人の様な育ちの良さや学は感じられないが一番冒険者らしい格好だと言えた。

 

 だが一番目を引くのは、頭に着いた猫耳である・・・獣人(ライカンスロープ)だ。

獣人は人より高い生命力と筋力と素早さを持つ。反面非本能的な行為に集中力に欠けるが・・・

優秀な冒険者になりやすい種族である。

 

 人に比べ数は少ないが100人集まれば一人は獣人である。程度には数は居る。

神話の扱いでは、人間の次に作られた別種族であるが・・・一定の地域を除き迫害等はない。

 

 人間からして余りの脆弱さに神々がお嘆きになり獣人を作った・・・と言われているからだ。

その獣人も本能的な行為には逆らえないので神々の失敗作扱いを受けている。

失敗作同士肩身を寄せ合い生きている悲しい種族。それが我らである。

 

「オレは、アッシュニャ!・・・・・・にゃあぁ」

 

 アッシュと名乗った獣人は元気よく挨拶をしようとし崩れ落ちた。

獣人の発声器官は獣に近い為気を抜くと獣の鳴き声の様になる。呻き声さえ猫の鳴き声になる程だ

店主は可愛い、と頷いている。生まれついた体の事なんだから流せ。とジークは小突いた。

 

「弓が得意で、一応お隣の王国のエルフ流派を納めてる。」

「でも、狩人知識ってのは持ってニャい。けどそういうの教えてくれるって聞いてきたんだ!」

「獣人だからそういうのも出来るって店主さん言ってたニャ?」

 

 猫の発生を抑えようとするも途中で諦め自然体で話している。

実際・・・・・・スカウトとしての適正は獣人はかなり高い。

身軽で器用。となると人間、土人(ドワーフ)竜人(ドラゴニカ)では難しいのだ。

 

 アッシュと名乗った子供は皆をキョロキョロしながら落ち着きなくしているが・・・

 

「・・・ジークさんの事は知ってるにゃ。変な事しニャいから怒らニャいで欲しい。」

ジークの目だけはビクッとして見ようとしない。過去の因果である。

 

「大丈夫大丈夫。ジークは気難しい所はあるけど良い漢だ。僕が保証するよ」

 

 店主がまぁまぁと言いながらアッシュの背中を摩る。

にゃぁにゃぁ言いながら店主の方へ体を寄せジークから離れるアッシュ。

その行動にジークには予想が着いた。

 

 獣人には危険察知本能が高い個体が多い・・・つまりお互いの実力差が良く分かっているのだ。

ジークなら此処に居る店主と子供3人等、素手でも5秒で殺せる。

機嫌を損なえたら謝罪する前に殺される事を把握しているから怯えているのだろう。

 

「・・・気に食わない事をしなければんな事はせん」

 

 本当?とアッシュがチラりと頷いたのを見、コクンと頷いた。

僅かに体勢を戻したアッシュは全員に頷いた。

 

「ゴブリンニャら故郷の村で戦った事もあるから、頑張るニャ!」

 

 はてさて・・・そうして三人の自己紹介が終わり、ジークの番が来た

ジークは、正直んな事しなくても良いだろ。と思ったが店主は違う意見の様だ。

目で早く。と言われ口を開く。

 

「ジーク、姓は無い。上位冒険者の一人だ。」

「道中、お前達に技術を教える、だが甘くはせん。」

「技術の全て等時間が足りなすぎる。だから己が教えるのは技術の元になる事だ」

 

ジークは一人一人の瞳を見ながら言う。

実際スカウト技術等毎日のように罠や鍵は更新され続ける以上

必要なのは、冒険の中でスカウト技術を自らで鍛える。その土台である

 

「罠の解除の仕方等、この世の中に居る罠職人全員の手口が分からなければ教えきれん」

「危険を察知する第六感等冒険の中で鍛え続けるしか無い」

「己がお前達に教えるのは、どういった態度で冒険に挑むか。どう技術を磨けば良いかだ」

 

そこまで言うと、ジークは店主に依頼の説明を求めた。

店主は一つ頷き話し始める。とは言ってもジークが既に聞いた内容と同じだ。

 

「という訳で、ジーク。いつ出発する?今日の夕方にはもう一人の教官役も来るだろうし・・・」

「今日は解散して明日出発で良いかい?」

 

 ジークは暫し考え・・・子供たちを見渡し首を横に振った。

 

「今日の内に冒険の準備をする。前金を寄越せ」

 

 ジークのその姿に店主は満足げに頷く。ッチっとジークは舌打ちした。

ジークが真面目に教官役をするか試した店主に対し、クソ野郎がと喉から僅かに漏れた。

チャリチャリと茶色い巾着が3つ机の上に置かれる・・・中には銀貨と銅貨が入っているのだろう。

 

「行くぞ、ノエル。クリス。アッシュ」

 

 子供達は、動こうとするも、動きが遅い。ジークはチラりと机の上を見た

・・・子供達の前にはまだ食事があるのを見。静かに上を向き

 

「食べたらな」

 

その言葉と共に一斉に子供達は一斉にかっこみ始めたのを大人二人は頬杖を付いて見つめていた。

 

 

 

 

          ※     ※     ※

 

 

 

食事を終えた子供達に対し、ジークが最初に言ったのは

冒険に出る為の道具を持って来い。という事であった。

それに対し子供達はこう言った

 

「今全部持ってきてる」と

 

ジークは眉を顰めた。

皺が寄りすぎて怒ってる様に見えたアッシュは飛び上がる様に驚くも

頭をポンと押さえつけられて椅子に戻された。

 

「行くぞ」

 

ジークは、手短にそう言うと。店主に頷き立ち上がった。

机の上にジャランジャランと適当に銀貨を放り、スタスタと歩き出す。

財布を出そうとする子供達を手で制すと、早く来いと扉を顎で指した。

 

食事代は・・・と困惑する子供達は、机の上に放られた銀貨の枚数を見て納得する。

奢ってくれるらしい。

実際には銀貨の枚数は全員の食事代の倍だったが・・・ジークは何ら気にしては居ない。

 

「美味かった。また来る。」

 

店から出る際に不思議と透き通る様に響く声でジークは厨房にお礼を言うと

客席から厨房が見えるタイプである厨房の中に居た3人が反応した。

中年の男性と、太り気味の女性・・・夫婦でコックをしている二人はニコニコと手を振ってくる。

その娘の、赤髪の少女・・・コック夫婦の娘もペコリとお辞儀した。

 

夫婦の作る食事を愛するジークにとって、倍の値段の銀貨こそが適正価格だったからだ。

 

 

       ※    ※    ※

 

 

 ジークは、子供たちを引き連れ冒険者ギルドを出・・・暫く歩き古い道具屋へと入っていった。

入口はボロボロで、軒先に吊るされたロープとランタンの看板で辛うじて道具屋分かる程古い。

 

 長屋二つ程の大きさで小さくは無いが、ジーク程の冒険者が使う道具屋とは思えない。

もっと大きくて奉公人が忙しく歩き回る様な、有名で綺麗な店を使っていると思っていたからだ。

 

 店の中は薄暗く、外からではほとんど中が伺い知れない。

だが不思議と埃が積もった特有の煙たさは感じられなかった。

代わりに油特有の野暮な匂いとインクの据えた匂い、そして薬草の苦味の様な匂いが鼻を揺する

 

「いつまでそこに立っている。入るぞ」

 

 困惑した顔をしていた子供達に、店内に入って行くジークはそう言う。

慌てて中に入った子供達は・・・

 

「わぁっ!?」

 

 っと思わず呟いてしまう。店内には見た事無い物、見覚えのある物で溢れていたからだ!

冒険道具、剣、短剣がところ狭しと並べられ

床に置かれた箱にある地図は、古びた物から新しい物まで百や二百で効かない程多い。

 

 ツルハシやら、ランタンやら・・・中古の様なモノから真新しいモノまで。

子供達3人には見た事の無いモノまで大量に溢れていた。

そしてジークは店舗の奥に顔を出すと大声で、奥にいるだろう人に話しかけている。

 

 どうやら、道具の調整等をする部屋を貸せ、と言っている様だ。

奥から老婆の「あいよ”ォお」というダミ声が聞こえると

ジークは子供達を先導し、一つの部屋に入る。

 

「適当に腰掛けろ。武器や道具を置け。己が一つ一つ見ていく。」

 

 中には鋸、ペンチ、砥石、糸織機、革鞣し道具等が大きさを変え各10個以上置かれ

どの道具も全て、良く手入れされているのが見て取れる

そんな室内である。まだ子供である3人の瞳には、まるで隠れ基地の様な素敵な場所に映った。

 

荷物を置いて行く子供達同様にジークもマントを置き・・・背中越しに子供達に一言呟いた。

 

「但し・・・店の道具を弄ればその手首を落とす」

 

 思わず、子供3人はビクゥ!!!!と跳ね飛んだ。明らかに本気だと分かる声音であり

僅かに後ろへ向けられた、自分達を見る目が余りにも冷たい色を浮かべていたからだ。

アッシュは、子供心をくすぐられる室内に喜び、鋸に触れようとしてたのだから、半泣きである。

 

 コクンコクンコクンと素直に何度も頷く子供達を見つめ

溜息を吐き、悪かった悪かったと、ジークは謝る。

大人気なかった、素直にそう思ったからであり・・・その目には、もう冷たさは浮かんでは居なかった。

 

「見せろ」

 

 荷物を置いたジークは、椅子に腰掛けそう言った。

素直にいそいそと子供達は道具をジークに渡し、ジークはソレを順繰りに見た。

 

 アッシュが持っていたのは、火打石と木端、古びたロープ、厚さも何も無い小さなナイフ。

そこに・・・松明と水袋・背負い袋・腰袋が追加で入っていた。

 

 装備品としては、鉄で補強された革鎧、ボロボロの革靴。えびら、中型の弓。矢は12本。

矢尻・箆(矢の棒部分)・矢羽・・・矢は嵩張る。だからバラバラにしただろうモノが12本程。

矢尻と矢羽はそれぞれ小袋に入れられ、箆は細い紐でグルグル巻きにされていた。

 

「どうですか・・・にゃ?」

 ジークがそれらを丁寧に確認していると・・・アッシュは呟いた

 

すると、ジークは、無言でアッシュの頭を乱暴にグリグリと撫でた。

目を白黒させたアッシュだが、僅かに喜色を帯びた瞬間にパチンッ!とデコピンされてまた驚く。

 

「最後に教えてやる。」

 

つまり、何か不味い所があったのだろう。

アッシュは首を捻るも思い当たらなかった。

 

ジークは、残る二人にも道具を見せる様に言った。

 

クリスは、アッシュと似たような小袋・水袋・背負い袋を見せた。

薬草採取や害獣退治等の依頼の納品物を入れる袋等だ。

その他に持っていた小道具は、羊皮紙が10枚程と使い古した羽ペンとインク。

 

装備品は、頑丈な布で出来たローブと、厚手のマント。

細い棒の様な杖・・・実際は【生命力】を杖に通しやすくする植物が使われている。

 

そして、数枚の薬草と、薬師道具類であった。

ジークはそれらを一つ一つ確認し・・・最後にとある一つに注目した。

筆記用具類だ。ジークはチラりとクリスを見た。クリスは慌ててこう言った

 

「あ、薬草とか、知らない魔物とか動物見た時にスケッチするのがっ、えっと・・・」

「ボ、ボクの趣味です・・・」

 

ゴニョゴニョと下を見たクリスをノエルはあっちゃぁと言う様な顔で見る。

趣味の道具なんて持ってきちゃ不味いだろう。そんな事を思ったのだろう。

それに対し・・・ジークは無言でアッシュにした様にグリグリと頭を乱暴に撫で回した。

 

「わっ、ちょ・・・あ、あの!?」

 

クリスは驚き目を白黒とさせ、ボサボサになった髪にも気にせずジークを見た。

怒られ、捨ててこいとでも言われると思ったからだ。

ジークは、クリスの驚きの声に静かにこう返した。

 

「己もそうだ。見た事無い魔物を見た際はスケッチし、後で図鑑や賢者に問いかける」

「魔物で言えば、体色の色、大きさ。足跡・・・それらが似たような魔物は多い」

「知らない魔物の致命的な能力に対応できる様に・・・その癖は大事にしろ。」

 

ジークは懐からボロボロの本を取り出すと子供達に見せた。

そこに書かれていたのは・・・ジークが冒険の最中に出会っただろう魔物や

子供達が見た事無い存在、御伽噺や噂にしか聞いた事の無い化物が描かれていた。

 

最後のページ付近に書かれている物の中には10m程の大きさの6本足の亀等もいる。

 

勿論魔物以外にも色々描かれていた。不思議な風景、摩訶不思議な魔法の様な存在。

危険な魔道具・・・天気の変化の前兆などだ。

それらをペラペラとゆっくり捲っていき、最後のページまで行くとジークは言った。

 

「紙は嵩張らないが、濡れると使い物にならん。乾かしてもくっついて無駄になる。」

「冒険途中は羊皮紙にしろ、帰ってから紙に書き直せ。良いな?」

 

コクンコクンとクリスは頷くが・・・最後にアッシュと同じ様にクリスにもデコピンをした。

痛がるクリスに対しジークは、最後に感想を言うと言って、最後にノエルの道具を見た。

 

ノエルは、おずおずと大剣を差し出した。

ジークは、大剣をまず確認し、鞘から引き抜くとチンチン!と軽く叩く。

柄を握ったり、鍔の銀細工を軽く触れたり、刃を指先でなぞったりしている。

 

「これは何処で?」

 

ジークが静かに問いかけるのを聞きノエルは自慢げだった。

分かる人には分かるのだ。素晴らしい名剣なのだろう。何せ貴族の家に飾られていた程の剣だ。

 

「自分の家にあったモノです。今でも愛用してますし、手入れは欠かしてません」

 

ノエルの持つ大剣は柄は美しい蔓の彫刻が描かれ

鍔は純銀で作られ、それが夕日に当たった際には黄金に輝くのだ。

まるで芸術品の様な美しさであり、この剣に劣らぬ剣士であろうと何度も誓って居た。

 

ジークは、無言で剣を返すと。他には?とノエルに聞いた。

ノエルは、唯「これだけです」そう言った。

 

さて、これで全員を見たのだ。ジークが一人一人の装備の評価をするのだろうと

自分の剣の評価はどうなのだろうかと、ノエルはドキドキした心境でジークを見た。

するとジークは、ノエルに手を伸ばした。頭でも前の二人みたいに撫でられるのかと思ったが・・・

 

       ゴ  ツ  ン  ッ  !  !

 

グラッ!と、脳天に火が叩き込まれた様な熱さをノエルは感じた!!!!

え、え・・・?と驚き、ジークの顔を見るノエル。ジークの顔に浮かんでいたのは・・・呆れでしか無かった。

 

「儀礼用の剣で何と戦うつもりだ貴様」

 

 

ノエルは目の前が真っ白になった。

 




人間と獣人について、神話上の極めて簡略された様子

人間を作り、そのスペックを確認する神様達困惑
  ↓
神々「こんな脆弱な種族が地上で生きられるのか・・・エロくて悪知恵働く以外長所ないぞ」
  ↓身体能力を上げた獣人を作る
神々「人間が獣を使役すれば良いだけの存在だわコレ・・・」
  ↓獣人作りを辞める。
神々「他の事しよう・・・その内何か補填してあげよう」
  ↓数万年後、そこには立派に繁栄した人間と獣人の姿が!!!!
神々「以外と人間と獣人いけるわ・・まぁ、加護でも英雄達に授ければ良いか」

大体こんな感じです。
ちなみに神々の最高傑作達はドラゴンやら、バンパイアやら天使やら。
人間側の最高クラスの英雄達でさえ勝てるか怪しい存在です。
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