今回は馬車で行くか徒歩で行くか決める回ですね。
ジークはレイフォーの冒険譚等を酒場で聞いて少し意識してます。
ジーク達が冒険者ギルドに着き、最後の一人が着くまで飯でも食うか・・・としていると
遅れていた冒険者・・・レイフォーが漸くやってきた。
「遅れてすまない。自分がレイフォー・・・。見ての通りの中級冒険者だ」
子供達がわいわいと挨拶している中、レイフォーの姿をジークは観察していた。
全身金属鎧と帷子。冒険者にしては重装備だ。長旅や身軽な事が売りの冒険者が・・・である
やはり
それに避ける隙間も無い程の制圧力を持つ敵も居る。ソロ冒険者に金属鎧は悪い判断ではない。
見れば腰には、自分よりは下で子供達のよりは上等な薬草の束。
ダガーが2本後ろ腰に添えられ、布と紐で拳程の石を飛ばす
背中のブロードソードは片手用だ。もう片手に何かを持つのかもしれない。
中級冒険者と自称する様に、装備は一揃い持っており、各所に工夫が施されている。
ジーク自身、噂に聞くレイフォーの堅実な活躍は嫌いではなかった。
同じソロだ。意識してる部分もる・・・そこまで考えると、レイフォーがジークへ目線を向けた
「よろしく頼む、ジークさん。・・・まさか貴方とともに冒険する事になるとはな」
面倒事を抱え込む事が多い以上、顔を隠す奴は一定数居る。ジークも気にせず頷いた。
「己とレイフォーで教導役になる訳だが・・・其方は何か考えている事はあるか?」
「此方は、練習用の箱と鍵を用意した。」
先程老婆の道具屋で買ったピッキングツールと、練習用の罠の事である。
「後は、森で
それを聞き、レイフォーは強く頷いた。
彼もまた、三日程度の時間で様々な技術を教え切れる筈が無いと思っていたからだ。
「あぁ、分かってる。自分も教えられる事があれば教えるが、惑わせては行けない」
「必要な時に、ミスや考え違いを訂正する程度に止めておく。それで良いか?」
自分はジークの下に付き補佐を行う。言外の言葉にジークはレイフォーの評価を1段階上げた。
ソロ冒険者とは自分のやり方がある物だ。他者とは違うやり方に誇りと自信がある物だ。
ソロ冒険者の優位点で有り欠点であるソレをレイフォーは柔軟に受け止めていた。
そうしてレイフォーとジークは、打ち合わせを始めた。
通る道のルートの確認、襲撃される可能性のある場所の予測。
途中で一度街に寄り、森の手前で野宿する際の位置確認等・・・。
それらが一段落終わった後も話し込む。
地図を広げ、金貨や銀貨を駒に見立て大人たちが頭を悩ませているのに子供達は気づいた
「ジークさん、レイフォーさん。何で悩んでるんですか?」
ノエルが首を傾げそう聞いた。旅のルートはどうやら決まり
注意する場所も決まった。なのに何を悩んでいるのか知りたかったのだ。
ジークはチラりとレイフォーへ視線をやる。レイフォーは無言で頷いた。了承である。
「・・・己らだけで話していても無駄か。」
「今話しているのは、旅の足についてだ。金があるなら乗合馬車で行ける。無いなら徒歩だ」
子供達にジークはそう言うと、ノエルは 少しでも教えて貰える時間が増えるんだし徒歩が良い。そう思っていた。
そんなノエルの脳裏を知ってか知らずか、ジークは続ける。
「徒歩で行くか馬車で行くかの差だが、徒歩なら森まで三日。その後調査を開始する形になる。」
「利点は金が掛からない事、徒歩の行軍の教導に制約が出ない事だ」
「馬車で行けば、森まで二日・・・その分森をじっくり探索出来るし森の歩き方も教えてやれる」
「利点は森の中で色々教えてやれる事。そして、護衛依頼の動き方等を教えてやれる事だ」
馬車で行くなら自分達の好き勝手な行動等出来ん。ジークとレイフォーの意見は一致していた。
そして一人銀貨3枚掛かる。それも不利益な点だった。
「金なら持ってるニャ!」「ボクも、そこまで沢山じゃないけど、馬車位なら」
ノエルもクリスもアッシュも、乗合馬車に乗れる位の金はある。出すつもりもあるが・・・話はそういう事ではない様だ。
「金の問題じゃない。何を教えるかについてだ」
馬車で行くなら、護衛依頼での動き方、森での動き方も余裕を持って教えられる
徒歩で行くなら、金銭は掛からず徒歩での旅の動き方を教えられる。
その代わり森の中で教える時間は減る。
「何より護衛依頼は難所だ。素人は居ない方がマシ・・・となれば今教えるべきかもしれん」
「あー・・・ジークさん。どっちかが外れという訳でもないんだ。好きに選ばせるのはどうだ?」
レイフォーのその言葉に特にジークは一度考え、頷いた。
「徒歩での遠征の仕方を教わるのと、馬車で行き護衛依頼を教わる事。どちらが良い?」
レイフォーとジークは子供達を見る。
子供達はお互いにチラりと顔を見合わせ相談を開始した。
「徒歩の冒険の方が良いんじゃない?馬車で行けない場所もあるんだし」
「ボクは徒歩の冒険も大事だけど森の中で探索する方法教わるのも大事だと思うんだ」
「ん~にゃァ・・・護衛依頼は難しいって話だけど美味しい依頼なのかどうなのか聞きたいニャ」
アッシュはそう言うと、ジークとレイフォーに聞いた。
レイフォーは暫く考え口を開く。
堅実な冒険家であるレイフォーの意見をジークも聞きたかった。
「護衛対象という不確定要素が着く以上、普通の依頼より不安定な代物ではある。」
「依頼人と共に行く冒険は総じて面倒だが・・・」
「だが、徒歩では遠すぎる場所の冒険に行く際、共に受ければ小遣い稼ぎになる」
「何より危険な区域に行く馬車の値段は総じて高い。下手したら報酬の半分が無くなる程に」
なら、護衛側に回る方が良い。かと言ってやり方が分からない素人護衛等邪魔なだけだ。
そう言ったレイフォーの言葉にジークも頷いた。
実際、戦闘中前に出過ぎたり、逆に前に出る際に護衛対象を気にして前に出ない奴は居る。
そうなると穴が空く。空いた穴から次々に戦線が崩壊していく。
「んーニャぁ・・・・・・」
子供達は改めて相談を開始した。
話が決まったのは、ノエルの一言だった。
「この街から離れない様にしてお金を稼ぐのはどうかな?」
「ずっとこの街で活動するって事かい?ノエル」「ソレは嫌だニャぁ」
ノエルは苦笑いしながら首を横に振った。
「違う違う、ジークさんが言ってたじゃないか。教えてもらえば良いんだよ」
「近場の依頼をこなしてお金を貯めて、ギルドに依頼して私達も護衛依頼に連れてって貰うんだ」
その一言で、今回の旅の足は決まる事になった。
次回、冒険の始まりと、一日目の昼に起きる事件。その解決まで。
次回は少し長くなると思います。
一日目旅路:九話目
二日目旅路+野営:十話目
三日目森林に到着+???:十一話目
四日目森林探索~:十二話目
が今のところの予定です。十五話+αで第一章完結予定