iS インフィニット・ストラトス -Ain Soph Aur- 作:いだかん
内定を下さい(´・ω・`)~
ネタと文体が欲しいよ(=ただの勉強不足)~
──水面を揺らす波紋の音。『俺』を揺らしたのは、焦燥? 久しく感知することの無かった外界の刺激により、ようやく起こる感覚。
次いで感じたのは違和感。そして不快感。身体を蝕むのは、出鱈目に、しかし隙無く打ち込まれた『憎悪』。
身動ぎ──常ならば、あらゆる束縛・障害を、真綿でも引きちぎるみたいに振り払う筈であった。しかし今は、その兆候どころか、身動ぎはおろか身震いさえ許されない。
これは、何だ? ──不快感は苛立ちに転じ、その感情を増幅、緋の激情を発散しようとして──更なる違和感=激痛と認識出来るそれが、全身を蝕んだ。
【──侵蝕汚染係数異常値──/汚染──
Alert.Alert.Alert.Alert.Alert... =断片的警告文の羅列──
落滴=表面に著しいひび割れを走らせる卵そのもの。それがひとりでに身震いし、殻を振りほどくように現れたのは、鋭利な破片で形作られたような、白亜の人形。優美なドレスの意匠を描いていた容姿は、いたるところを黒く痛めつけ、痛々しく変貌していた。左腕に至っては、黄金の燐光を輝かせ、肩口から先が無くなっている。
弱々しく浮揚──全身から鈍色の液状金属を垂れ流す、散々に打ちのめされた風情。しかし白亜は物言わぬ『彼』に迫った。
『彼』を拘束する、蕾のような全天型制御装置を片手一本で引き剥がす。内部を満たす、楕円形の黒い
右腕
白亜の右手が『彼』の胸元の虚空で彷徨い、しかし阻まれている──物理的・そして空間障壁によって拡大された距離。『少女』の選択=右腕第二間接部の結合を強制解除/ありったけの思念を込められた白の燐光がいっそう激しい瞬きを放った瞬間、『射出』──果たして放たれた右手/『彼』の胸に突き刺さる『それ』を掴んだ。
右手の後退/引き抜かれたのは、巨大な杭そのもののコントロール・ロッド──『彼』の全身に隙無く埋められた機能制限・凍結措置の集大成。胸部に位置する『中核』に直接打ち込む事で、壊す事も、朽ちる事も出来無い『化け物』を、永遠に目覚める事の無い悪夢の淵に追いやる。おぞましいまでの憎悪が産んだ
背後で黄金を翻しながら、ゆっくりと降下してくる異形──左右それぞれで斜め後ろへ張り出す、硬質の翼状突起×4枚/鋭角的な
背後+肩部で陽炎のように蠢く
/先端に黄色の球体を備えた4本の
右手に握られる衝角みたいな得物=刀身表面、黄金の燐光が放電現象のように迸り、大気そのものを蒸発させるかのように周囲を焦がす──杖という形状さえ変質させられた、アラスカ条約違犯兵装である対iS用特殊兵装、雷公鞭。
立つという概念に反する、
明代の神怪小説に登場する人物の名を冠しながら、その面影の一切が存在しない姿──強奪後、申公豹は『主任』の大幅改修によって仕様変更、著しい性能向上を実現。別物と呼ぶべきスペック、外見へと変貌していた。最早、その名残はコア・ネットワークから隔離され、孤絶されたiSコアにしか見当たらない。
竜頭骸骨の頭部、その下にある口許の装甲がスライド=同時に
少女=増幅・伝播された殺意にびくりと身震い・恐怖に戦慄く身体を御そうと、機械的な理性をもって遮る──
口許の微笑を装甲で覆い/単眼に宿す獰猛な光/出し抜けにひょいと振るわれる雷公鞭──閃光=ただそれだけで、触手から殻へと変貌した強固な表皮を吹き飛ばし/辛うじて弾かれた雷撃の余波が、雷の刃となって室内を蹂躙した。
少女=衝撃にもんどりながらも、胴体は腹部の装甲表面からささくれ立つように迫り出した片鱗の幾つかを掴む。片鱗がにわかに硬質/表面に燐光=白い光を放つ太い針と化したそれらを中空へ放るや否や、弾かれたように申公豹へ──その姿が幻のように消滅。
申公豹=背後より伸びた|アンカークロー×3が、秒と立たずに目前・首元・胸部コアユニットへと迫った針に食らいつく/その
沈黙──仕掛ける気配/逃げる前兆=一切無し。不気味な静穏──『ハイパーセンサーの沈黙』=高精度に設定された高分解析領域/優れた指向性探査機としても機能するテンタクラー・ロッドと
スコール=理解──狩り場に誘い込まれたのは、どうやらこちらであったらしい──テンタクラー・ロッドの全てがうねりを上げるのと、いつの間にか空間へ固着された針が、全方向から殺到したのは、ほとんど同時だった。
鉤爪乱舞/
背後の壁に『着地』──テンタクラー・ロッドに変化=縦から真っ二つに断ち割れ/その間に黄金の被膜を展開──天女の羽衣みたいに翻るや、全身を包み隠す/四方八方から容赦無く突き刺さる針。
警告=波動防壁に敵性波動エネルギー侵入/防壁整波率の急速低下/テンタクラー・ロッドの制御回路にエラー──黄金を蝕む白の燐光。
真後ろに吹っ飛ばされ、床を転げ回る事になったのは幸運だった。中空にて姿勢維持をしようものなら、今度は良い的として、一切の減退も無いままの雷撃を撃ち込まれていただろう──グラビティ・カタパルトの中核、重力推進式時空間ポテンシャル連結機関、複雑な円環を展開するリングの一つへと強かに叩きつけられた少女が顔を上げた先、申公豹の威容が悠然と迫っていた。
宙を舞う白の燐光/白亜の破片──すかさず起き上がろうと上体を起こして、胴体を貫く鈍い衝撃=アンカー・クロー。立て続けの刺突──腹を内部から掻き乱し/両肩を抉り/両腿を砕き/胸部コアユニット付近を侵徹し、少女を床へと縫い付けた。
込み上げてきた熱が
「残念だけれど、貴女じゃ私に敵わないわ」──少女の頭部装甲を恭しく、丁寧に引き剥がし/その素顔を露にさせる。
アップにされた
スコール=とめどない白に汚れた口許を拭う/乱れた長髪を丁寧に整えてやる──礼節を重んじた行為も、人形みたいに肢体を奪う残酷な諸行の前では、何ら尊さを覚えるものでは無い。
「
少女=答えず/屹然と見据えて──それが最後の手だと言わんばかりに。
「そう」残念だけれど、もう時間も残されていないしね──名残惜しそうに雷公鞭の鋭端を胸部コアユニットに向けたが、そこでふと顔を上げた──脳裏に届く圧縮信号=『
それは
強烈な
黒鉄の
その中心に納まるは、織斑千冬。
スコール──ゆっくりと少女を降ろしてやる/アンカー・クローを装甲・生体再生に合わせて丁寧に引き抜く──翻る黄金の被膜/刀身表面に眩いばかりの放電を放つ雷公鞭。
「あらあら、闘争から逃れ、落ちぶれた
「何、そこの『妹分』と……『ついで』を迎えに来ただけさ」
千冬──ちらと手負いの少女+装置上部を見る/少女へ圧縮言語通信【行けるか?】
【大丈夫です。貴女は?】少女の即応──既に全身の貫通痕は塞がり/両腕も再生している。
【コイツを引き受けよう。外の奴はしばらく黙っているだろうが、そのうち跳ね起きるだろうさ。早く行け】──強敵との一戦を終えたとは思えぬ口振り。
左腰に備えられた2本の内、一振りの長刀を抜刀──刃渡り3メートルの本差したる長刀。その表層、光学ナノマシン被膜によって整波誘導された波動防壁が、桜花の輝きで刀身を満たす/構えは正眼。スコールのハイパーセンサーが、こちらへと指向される殺意の波動を拾い上げ、全身を震わせた。
なんと甘美な響きだろうか──口許の微笑が更に歪み/待ちわびた瞬間が、ようやっと、しかも向こうから訪れてくれた奇跡に感謝した。
背後の『目標』を逃がしてはならないが、そんな無粋は目前の
雷刃一閃──同時に長刀より振り抜かれた桜花の斬撃波と衝突/ほとんど減退なく斬撃波を貫通した矢先、二の太刀による切り返しが雷撃の先端を捉え/その進行を左右へ逸らした。
尋常ならざる切り返し=iSによる燕返し──斬撃波として放出した波動防壁の再整波展開速度/光速で迫る
左右へ別れた雷撃に変化──急激な軌道湾曲=暮桜の背後に回り込むように光速の曲線を描く/
暮桜──アンロック・アーマーを後方展開=雷撃を凌ぐ/右手の長刀、左手は逆手で脇差しを抜き放ち、殺到するアンカー・クローの鋭端を弾く・いなす・接合部たる触手を切断──圧倒的な手数を誇る
【早く行け】イメージ・コール=立ち往生する少女へ。両者が展開するEAF力場の干渉+拮抗/刃と鉤爪/波動と雷撃/桜花と黄金による人外の応酬に介入出来る訳も無く──
行ったか──『妹分』を探査機能越しから見届けてやる甲斐性も、その為に演算容量を割り裂いてやれる
互いに弾かれたように距離を離す──秒と経たず、両者共に装備/装甲を消耗し、既に戦闘『がてら』にそれらを再生出来るほどの損傷では無くなっていた。
暮桜──アンロック・アーマー=全基喪失/左肩部・左腰部装甲=食い破られたように欠損/フェイス・バイザー=破損により
申公豹──テンタクラー・ロッド=6基喪失/両肩部・両膝部ニークラッシャー=鋭利な切断面を露に欠損/半壊した竜頭骸骨状のハイパーセンサー──破損して尚、黄色く発光する単眼/変わらず、破滅的な一撃をもたらす雷撃を刀身に纏う雷公鞭 。
距離にして15.56メートル。iS戦闘において、至近距離と呼ぶべき彼我の間合い。暮桜による神速の踏み込みと、雷公鞭が放つ光速の雷撃。いずれも一瞬に満たぬ時間で死神の鎌となって相手に届き/その命を刈り取る事になるだろう。
満身創痍。しかし、両者の気焔はますます苛烈さを増す──波動素子によって増幅・伝播された互いの思惟・EAF力場変動率を、胸部コアユニットが読み取り・演算。拡張された数十倍以上に引き延ばされた体感覚の中、予測算出された無数の
長刀そのものも雷火によって消滅する中、返す手として繰り出された左手=桜花の波動防壁に輝く手刀が、テンタクラー・ロッドが脇腹に食らいつくのもものともせず、鈍い白銀色の
【ふふ……命の賭け方、見誤ったみたいね】──スコール=圧縮言語。すかさず蹴り飛ばされ/床一面に朱とピンクをぶち撒けながら/開け放たれた口許の装甲より鮮血を吐瀉。
千冬=脇腹に突き刺さったアンカー・クローを放り捨てる/口から水のように鮮血を吐き出す/血走った目で口許を拭う。【……やってくれたな『アバスレ』】
「とりあえず、さよならとだけは言っておくわ……千冬先輩」
瞬間、全ての音がぴたりと止み、室内が深淵のような暗闇に覆われた──変動重力源の音無き咆哮。胸部コアユニットが、インナー保護を最優先=EAFによって空間構造法則を改竄/球状の領域を構築──中腹付近で灯った、ブラックホールと形容すべき黒が、キリマンジャロの雄大な威容の全てを飲み込んだ。
いきなりラスボス格(じみた)お二人の登場。スコールさんの機体ネタが分かった方、是非ともお友達になりましょう。
波動素子とは、iSの謎エネルギーが変異したものなのですが、サイ◯フレームよろしくインナー(パイロット)によって色が異なります。暮桜なんて名前の機体に乗りながら、桜なんて可れ……要素が無かったので、こんなところで補完してみました。