ガンヴォルト 憑依もの   作:SUMI

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どうも、お久しぶりです。

アキュラメインの新作発表に作者のモチベが回復したので投稿です。
一弾PVからいろいろと並行世界線なのでは? ワクワクしています
すいません、長い間放置としてしまって。

今回はタイトルの通りです。正直前の話からどうにも話の収拾の付け方が上手くできなくて別のルートに変えました。9話からの続きとなります。作者の力量不足で申し訳ありません。


改定10

レールガンの弾頭として飛んだフェイザントを見届け、安堵と共に近くの屋上へと降り立つ。

 

「くっ、流石に無理をしたか……」

 

けれど流石に短時間での過剰な能力行使によってかなり疲労したのかふらついて膝を着いてしまう。流石にトンクラスの物をあれだけの速度で射出することは負荷が大きかったのだ。

 

「シャオ、飛天の軌道は?」

 

『大丈夫だよ、先ほど皇神のビルの横を通過した。この軌道なら何もぶつからずに海へと着水するコースだ』

 

その報告に安堵するように体から力が抜けていく。いくらGVと言えども無関係な人を虐殺する所業は好むものではない。

 

『GV……たった今いい情報と悪い情報が入った。と言ってもGVがどっちを先に聞きたいかは分かっているから報告するね』

 

よほど切羽詰まったのかもしくは自分がどっちを先に聞くかなんてシャオには分かり切ったの事なのかどうかなんてその事実を聞いた瞬間にそんなことはどうでもいいことだった

 

『"電子の謡精(サイバーディーヴァ)"が、モルフォがエデンの手に堕ちた。一手遅かったんだ』

 

「モルフォが……!?」

 

その報告に自身の中に怒りが、やすやすと奪われてしまったことに対する自分自身への怒りが沸き起こる。その怒りに蒼き雷霆(アームド・ブルー)が応え、無意識に体から雷撃が溢れそうになるほどの怒り。

 

『いい情報の方はシアンって娘は無事だって、フェザーの通信傍受して確認取れた』

 

エデンにどういう思惑はあるのか。もしくはモルフォを抜き取った後のシアンには用はないのかは分からない。だけど、シアンにとっては関係ない。あの娘にとって半身の様な存在だ。それが奪われることがどれだけの悲しいことなのかは推し量れるものではないがすぐに解る事だ。なればこそ自然と僕の身体は動こうとしていた。

 

「今すぐ追いかけないと、モルフォを取り返えす!」

 

『GV……無理だよ。既にパンテーラ達は撤退しかけているんだ! 今追いかけても追いつけないかもしれないんだよ!』

 

「シャオ……それでも僕は往くよ。無理だと分かっても、それでも僕は往く」

 

モルフォたちが泣き顔が思い浮かんでしまう。だからこそ今しかないのだ。二度と後悔しないためにも。例え、それが自分の我儘だとしても。

 

『はあ…………何を言ってもGVは行くんだろう?』

 

「ああ、ごめん。これだけは譲れないんだ」

 

ほんの僅かな沈黙の後に、全くあきれたようなでもちょっとだけ嬉しいような返答だった。

 

『全く、いつも無茶ばかりなんだから……まあ、それがGVらしいと言えるんだけどね。近くに電動二輪車があるからそれを足に使って、パンテーラの反応は捉えてあるからナビゲートするよ。もたもたしていると離脱されるから急いで』

 

「……ありがとう、シャオ」

 

 

 

 

*

 

 

 

 

蒼き雷霆(アームド・ブルー)によって限界ギリギリまで稼働された二輪車はGVによって本来は走破出来ない道なき道を走る。

 

時はハイウェイからビルの屋上に渡り、飛び越えることが出来ない谷間も雷撃麟による電磁浮遊によって無理矢理飛び越える荒々しい運転。

 

その途中で各所に配置されるエデンの侵攻の為に配置された機械兵器が妨害する。だがそれすらもGVは強引に突破していく。

 

『GV! 後もうちょっとだ! 急いで!』

 

だが代償に余りにも限界を超えた稼働に二輪車の各所から火花と煙が吹き始め、もはや一度止まれば二度と走り出すことないほどに酷使されていた。

 

「見えた!」

 

けれど追いつけた。強化された視界の中、見えたのは先ほどの宝剣で戦ったG7と同じ偽装宝剣による強化された能力者、首魁でもあるパンテーラの義理の兄である氷を操る能力、テンジアン。そして、もう一人は止めることができなかったパンテーラ。

 

テンジアンが持つ九つに別たれた鏡の欠片を、無残にもパンテーラの鏡に閉じ込められ道具のように分割されたモルフォの姿を見た時に思考すら通り越して体は動いていた。

 

勢いはそのままに二輪車を回転するように、ドリフトするように傾ける。だがそれは止まるための動作ではない。

手にハンドルを持ったまま足を付け、勢いは殺さずに一回転しながら……

 

「おおおおおおお!!」

 

もはや砲弾と言ってもおかしくない質量と速さを保持した二輪車をパンテーラたちへと投げつける。その威力はただの人間が触れるだけでミンチになるほど。

 

「っ!!?? パンテーラ!!」

 

だが相手も簡単には倒せる相手ではない。すぐにテンジアンが最愛の妹を庇う様に手に持った氷の剣で一閃する。たったそれだけで二輪車を容易く両断し、爆発を残して破壊された。

 

「モルフォを……」

 

だが、GVはそんなことは分かり切っていたのだ。GVも二輪車を投げつけた勢いを殺さずに爆風が頬を焼かれてることも構わずに真っ直ぐに、ただただ愚直に突き進む。

 

「離せぇぇぇぇ!!!!」

 

雷撃を纏った渾身の拳をテンジアンへと叩きつけた。

 

 

 

*

 

 

 

 

そこは鳥籠。鏡片の一つにモルフォの意識はそこに囚われていた。

 

『出して、ここから出してよぉ……』

 

GVがフェイザントを射出する直前、シアンたちは彼らによってなす術なく襲われた。全員テンジアンの能力『絶対冷凍(オールフリーズ)』による拘束で呆気ないほどに無力化されてたのだ。

 

そうなると動けるのはモルフォだけしかいない。そうなればモルフォがどう動くなんて分かり切ったことだろう。それこそがパンテーラ達の狙いだったのだ。

 

どういう術なのかは分からないがシアンに宿っていたはずのモルフォが鏡に分離されてしまった。

 

『嫌だよ……私を一人にしないで……』

 

脱出しようとするが抵抗虚しく、モルフォを囚えた鏡はテンジアンによって九分割にされ。少しの力と共にその一つに分かたれたモルフォに強大なパンテーラ達に抗うことは不可能だった。

 

『助けて……GV……』

 

少女の精神はもはや限界だった。大切な人すら失い、果てにはもう一人の自分とも言える半身すらも切り離されたその絶望と苦痛は計り知れないだろう。

 

既に抵抗する気力なんてもう残っていなかった。まだ皇神のコアとして囚われた時はまだシアンと言う半身がいたから耐えられた。でも今はそれすらもいない事がモルフォの心を蝕んでいる。

 

だが、絶望が彼女の心を蝕む直前、闇を晴らす希望が現れる。

 

「おおおおおおおおおおお!!」j

 

その声を彼女が聴いた。もう二度と聞けないはずの、もう一度聞きたかったあの人の声。私たちにとっての天使さまの声を。

 

まるで初めてあの人と出会えたようなあの時へと戻ったような、暗闇の絶望を引き裂いたあの閃光が瞬いた。

 

「モルフォを、離せぇぇぇぇ!!!!」

 

咄嗟にテンジアンが構えた剣はまるでなかったかのように粉砕しながら顔面へと突き刺さり、彼方へと殴り飛ばす。もう一人の能力者もこの事には流石に予想外だったのか驚愕で動けずにいる。

 

そんなことは目の前に立った人でどうでも良い。ただ、自身が宿った鏡片を持った人物しか見えていない。

 

『………………あ、ああ』

 

殴り飛ばした人の姿を見た時、例え顔を隠すバイザーをしていてもすぐに彼だと分かった。これが夢なのか思ってしまうほどに焦がれていた人の姿。

 

『……G……V……なの?』

 

その姿はいつもとは違って、濃紺のプロテクトアーマーを纏った姿はまさにヒーロー。その身から発せられ雷撃の波動は頼もしい。

 

「ごめん。今まで戻ってこれなくて」

 

殴る飛ばした際に散らばった鏡片の一つをGVが手にしていた。それも私の意識が封じ込められているたった一つを。

 

その彼が生きていてくれたこと、来てくれたことにもう言葉に出来ないくらいに嬉しくて、声が出ないほどに涙が止まらない。

 

「もう大丈夫。あいつらに君を好き勝手にさせない」

 

何一つ変わっていない、皇神から助けに来た時と同じ、頼もしい姿だった。そう、二人の能力者を相手にしようとも一歩も引くこともなく立ちはだかる。

 

「パンテーラ、追いついたぞ。モルフォを返してもらうぞ!」

 

 

 

 

 

 

だが、それまでの積み重ねが、GVに圧倒的な不利を押し付けている。

 

「ぐっ…………まだだ!! まだ戦えるぞ!」

 

GVの身体は限界が近づいていた。もう最初のように攻勢に転ずることは出来ないほどに。

 

「まさか模造宝剣と言えども大幅に強化されたG7の大半とパンテーラを相手にここまでとは……真に一騎当千と評する他ないな」

 

攻めきれないうちにテンジアンも復帰されてしまった。あの拳は少し間の気絶と負傷だけで偽装は言えど宝剣を破壊するまでに至らなかったのだ。

 

例えGVならば模造宝剣で強化されたテンジアンと同じく正規の宝剣によってパンテーラの二人を相手にも対抗できただろう。

 

GVが万全ならば対抗できただろう。幾度もない連戦だろうと戦え抜いただろう。だがかつての皇神の戦いは地形の関係上一対一だったからこそ連戦できたのだ。

 

度重なる無理が、消耗が、負傷が積み重なりすぎた故に電力源、EPエネルギーも体力も底を付きかけていた。

 

もうGVは十全に雷撃麟を扱うことすらできない。非常用電源のテールプラグもダートリーダーへの供給で手一杯。出来る限り消耗を避け、EPエネルギーをカゲロウへと回すがもはやジリ貧であり、追い詰められるのも時間の問題だった。

 

髪の三つ編みすらも解け、立つだけも精一杯の強がりでそれでもなお抵抗する姿にパンテーラはむしろ称賛するほどだ。

 

「よもやここまで抵抗されるとは流石はガンヴォルト……いや、違う。愛らしい謡精を護るその姿、まさに愛! 我らの邪魔をされるのは業腹ではあるが、その愛を貫く姿は素晴らしい!! 尊敬すら覚えるほどだ!!」

 

たった一人、最上位の能力者であることを加味してもたったの一人にここまで手古摺らせることにイラつきを通り過ぎて感嘆するほどに足掻きに足掻いたのだ。

 

汗と血と埃に塗れ無様と言うほどに足掻く姿、例え限界だろうと強がって毅然と立つ姿。その姿に在りし日の義兄の姿を見たのかもしれない。まだ、弱く貧しい時に他の義兄弟と餓えていた時、必死に義兄弟の食料を集めようとする兄の姿を。本当は自身も腹を空かせているはずなのにそれを表に出さずにいた姿を。

 

「少年よ、気が変わった。我らと共に来ないか? その力があれば楽園は直ぐにでも出来るだろう! 無論、電子の謡精(サイバーディーヴァ)の宿主の少女も迎え入れようではないか!」

 

だからこそ多少の損害があれど、GVを引き入れたくなったのだ。

 

「はあ、全く君は幾ら天空海闊(てんくうかいかつ)と言えども……だが、我らのように宝剣による強化もなしに関わらずにそのセブンスの高まり。味方になるならこれほど頼もしいものはないだろう」

 

だがGVの返答は静かに銃を、ダートリーダーを二人に向ける。その行動が答えを如実に表していた。

 

「断る! お前のやることは偽物だ! そんな紛い物の人柱にモルフォをさせるつもりはない!」

 

GVは知っている。それが楽園ではない血と屍と争いに塗れたただの地獄でしかないことを。そのためにモルフォを犠牲にしなければならないのなら、エデンに入ると言う選択肢は永劫に存在しない。

 

その梃でも動かない返答にパンテーラは味方に引き入れることは不可能だと悟る。少しばかり残念だが自身が把握できる中でも最大級の脅威に分類されるGVを見逃す選択肢はない。

 

「そうか……………ならば仕方あるまい。引導を渡すこともまた愛。出来るだけ苦しまぬようにしてくれたまえ」

 

「了解した。我らの障害となるならば我が氷刃を持って鎮めよう」

 

テンジアンが止めを刺す為に手にした氷の剣により冷気を圧縮していく。余りの冷たさに斬られたことすらも感じぬほどに。もう、GVに避ける体力は残っていない。だがただで受け入れるはずもなかった。

 

「させるか! ライトニングスフィアァァ!!」

 

最後の、なけなしの全力を持って放たれる彼を中心に展開するプラズマ球が周囲を焼く。もう、後先のない最後の一滴。

 

「眠れ少年、心配はするな。君たちの犠牲は無駄にはしない」

 

だが無慈悲にもプラズマ球ごと、懐にしまい込んだ鏡と共にGVの身体を袈裟に引き裂いた。

 

 

 

 

*

 

 

 

 

私は微睡むように、夢を見ていた。あの時からずっとずっとこうなって欲しかったIF(もし)の可能性。もしも、あの時にGVが傷を負わないで皆で帰る。そんなちっぽけな夢。

 

「いやあああああああああ!!!???」

 

だけど、それは今以上に酷い悪夢だった。どうして? そんなことすら私たちには許されないの? 

 

 

 

 

アスタラビスタ(サヨナラだ)……GV」

 

それは育ての親とも言えるアシモフによって私たちは成すすべなく撃ち殺される悪夢。どうして? 父親のように慕っていた人に撃たれなければいけないの?

 

 

 

 

「僕と、シアンの怒りと悲しみを受け取れぇ!」

 

ただ彼の手に残ったは復讐の虚しさと亡霊となったたった一つだけの残り香。どうして? すべてを引き換えにしても残したかったものすら手にすることできないの?

 

 

 

 

「……………………」

 

だんだんと心が擦切りて廃人になりけている姿、亡霊の私たちが寄り添うけどそれが罪の十字架のように重い枷として磨り潰していく。どうして? 私は癒すことすらできないの?

 

 

 

 

「歌は、あなたの中にある……!」

 

「シアンッ!! 声をッ!! 声を聴かせてくれ!!」

 

戦って先に翻弄され私たちすらも奪われてしまう光景。どうして? 何でそんなたった一つの守ろうとしたものすら奪われてしまう? 

 

 

 

 

「あの……何処かで会いませんでしたか?」

 

「………………いや、人違いだよ」

 

そして何もかもを奪われながらも悲しみを見せず、優しく送り出すあの人の別れ。でもずっと上向いていた。目から溢れそうになる涙がこぼれないようにそっと背を向けて どうして? たった一つの宝物も残らないの?

 

 

 

 

どうして? どうして、こんなにも悲しいことばかりなの? 悲しすぎて、泣きたくなるよ。

 

ねえ、どうして彼ばっかりに辛いことを遭わせるの? ずっと私たちの手を離したくなくて、幸せでいてほしくて。苦しくても痛くても倒れたくなるようなばかりの悲しいことを我慢しながら戦って戦って傷ついて、報われなくて。それでも泣き言一つも言わないで強がっている姿が痛々しくて、胸が苦しいほどに独りぼっちなの?

 

「そっか……だから、だからこそあなたは」

 

そして夢が終わる、彼を未だに苦悩させる悪夢を見届けて。そこで私が彼の中へと融けこんでいて一部の記憶が自分の中へ流れ込んでいたことを自覚した。あの悪夢はきっとありえたかもしれない未来。GVはそれを知っていたんだ。

 

「でもね、こんなになってまで私たちは望んでいない。傷だらけになって欲しくない……」

 

私たちに生きて欲しくてきっとあんな無茶をしたんだ。でもね、私たちは悲しいよ。どうして無茶ばっかりするの? 

 

今だって、こうならないために裏で独りぼっちでこんなにもボロボロになるまで戦って、戦って。でもね、私たちは傷だらけになっていくあなたの姿を本当は見たくないんだよ。

 

「私がGVにしてあげれる事…………ううん、私に出来る事だってある!」

 

いやだよ、あなたが辛いはずなのに強がってる姿はいやだよ。私たちだってあなたが幸せに笑っている姿が好きなんだよ。確かにフェザーで生活してきた時は不自由ではなかったよ。でもね、手狭で慎ましいけどあの生活だけど私たちは幸せだったんだよ。満たされていたんだよ。あなたがいてくれたから温かったんだよ。

 

私たちだってあなたが泣いているのならそれを拭ってあげたいよ。独りぼっちで戦うあなたの助けになりたいんだよ。一緒に隣を歩いていきたいんだよ。

 

「もう僅かしかないけど、それがあなたの力になるなら。私は!」

 

私は電子の謡精(サイバーディーヴァ)。想いが、私の歌が力となるならば歌おう。万感の想いを彼へと込めて歌おう。

 

SONG OF DIVA For You 私からの特別な歌を かけがえのないあなたへと

 

「大丈夫、あなたを護る。私の歌があなたの翼となる。どこまでだって行ける。だから、一緒に行こう!」

 

 




改定前より更にボロボロになるGV君。すまん、でもね主人公がボロボロになってからのお約束があるから……

後、今回のテンジアン使用四字熟語。
天空海闊(てんくうかいかつ)
……大空に遮るものがなく、海は大きく広々としたもの
  転じて、度量が大きく包容力に富む事。
  パンテーラが敵と言えどもGVすらも仲間に入れようたことから。
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