ガンヴォルト 憑依もの   作:SUMI

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お待たせしまた。一週間もかかってすいません。文章だと分かりづらいため、一人称をシャオとGVで分けてあります。シャオの方がカタカナです。


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最初の違和感は暴漢からシャオを助けた時だった。知識でのシャオは強かだ。僕をサポーターをしながら未だ分かっていない目的のために暗躍をする。そんな彼が暴漢程度に襲われる事がおかしいと感じていた。まるで僕に助けられるために襲われたといった方が理解できる。

 

他にもフェザー所属ならば頼るべきは僕じゃ無くアシモフの方だ。少なくとも今のフェザーは統率が取れている。ならば正面から真っ直ぐに協力を要請すればいい話なのだ。僕個人に頼るよりも何もかもが揃っている。

 

それなのにわざわざ僕を頼りに接触を試みたのかを疑問に感じていた。そこでまず最初に僕はシャオへとカマカケを仕掛けてみることにした。それこそ正史での僕を知っている人にしか分からない所作を、シャオの近くで何もない所へと話掛けてみる事、所謂正史の僕にしか見えないシアンへと話しかけるように振る舞ってみた。

 

人である限り、自分が手に入れた情報を信じてしまうのか、それとも現状の差異を確認する暇がなかったのかは分からないが、シャオは引っかかって、いろいろと話してくれた。

 

「そこでボクも騙されちゃったからね。まさか、GVもボクと同じように知識持ちとは予想外だよ。でも話が早く済むのはいいね」

 

いろいろと誤魔化せることが出来たのだろうけど、そうして僕に疑われて敵対されるのは流石にリスクが大きすぎるのか素直に話してくれてた。

 

そこで初めて聞いたのがシャオのセブンス、それは記憶と主観だけではある時間逆行だという。制限も多く、例えば遡れる場所と時間を選べるわけではなく固定であり、持ちこせる記憶も全部は無理らしい。

けれどたったそれだけでもシャオのセブンスは非常に強力なのは間違いない。少なくとも無限の可能性を広げられるセブンスだ。

 

「ボクだって素直に話すのは今回のGVが今までにないイレギュラーだからだよ。流石に毎回説明しても信じてもらうのも一苦労だし、本気で信じてもらえない事なんてザラなんだ。こうして理解してくれるGVがありがたいよ」

 

そこで初めて気が付いた。すこしだけシャオの笑顔の裏の疲れを。今までずっと初めましてを何度も何度も続けてきたはずだ。その度にこの秘密を抱えて一から関係をやり直すのはそれなりに来るものがあるのだろう。こうして誰かに吐き出す機会なんて滅多にないのだろう。

 

「そう言えば、何ですぐに僕を頼ったんだ? フェザーを調べれば僕に電子の謡精(シアン)がいないのは分かるはずなのにどうして?」

 

「戻ってから直にGVと出会うための機会があるから他を調べるにはちょっと時間が足りないんだ、それに毎回襲われるようにしているけどGVが生きている時間軸なら絶対助けてくれるからね。後、GVだからこそ……」

 

シャオはその後に僕とシアンは一緒にいると言った。その事がどうしようもないほどに悲しく、胸を締め付けるようだった。だってシャオは僕のことをイレギュラーと呼んだ、つまりはシアンは例外以外では生き残ることはない事が事実として僕に突き付けていた。ただ、今は楽しそうにしているシャオにこんな表情を見せるのはやめておこう。

 

「僕が死んでいる時間軸があるなら、シャオはアシモフを頼っているのか?」

 

「GVがいないなら行くけど、でもあっちに行っても行動が制限されるのもあるし、アシモフの動きがよくわからないんだ。エデンに着くこともあれば、敵対することもあるからあんまりリソース注いでも意味があまりないんだ」

 

僕が死んでいてアシモフを頼るルートもあったらしいがいかんせん安定しないとかなんとか。つまりは僕の方が協力を得られやすいから優先しているのだろう、ただそれだけではない感じではあるが……

 

「あとは、電子の謡精(サイバーディーヴァ)関連だね。けどお互い譲りたくないラインがあるからね。まあ、話して分かるだけでも今のところは十分かな。これ以上は取らぬ狸のなんとやらだからね」

 

電子の謡精(サイバーディーヴァ)絡みでは今はお互い落としどころを模索している最中ではある。シャオとしては電子の謡精(サイバーディーヴァ)の能力因子を統合覚醒した上、宝剣として隔離したい。僕にとってはそれでシアンがミチルと同じように平穏に人生を歩めるならありだとは考えてはいるのだが、電子の謡精(サイバーディーヴァ)そのものであるモルフォはどうなるのか。彼女も意志を持った存在で僕にとっても家族同然の存在であり、シアンにはもう一人の自分でもある。そんな彼女を無理やりシアンから引き離すのはしたくはない。

 

「シャオ、本当にモルフォを封印する必要があるのか? 用いなくても目的は達成出来るんじゃないのか?」

 

僕が聞き出せたのは前提条件として電子の謡精(サイバーディーヴァ)を宝剣して隔離するまでしか出来なかった。ただ、真摯に謝られたのと紫電の歌姫(ディーヴァ)プロジェクトやエデンの楽園よりは悪くはしないと。

 

僕としては聞き出したかったがシャオも話すことだけは出来なかった。

 

「ごめん…………いくらGVの頼みでもこれだけは外せない。ボクだって譲れないことの一つや二つはある」

 

だからこそ今は協力はしているがお互い譲れないことで対立することもあるかもしれない。それは仲間と言うよりも共犯者で呼ぶのが似合っているだろう。

 

「これについては後にしよう、まずはエデンの対処をしてからだ。彼女らの野望を成就を阻止しなくなちゃならないはず」

 

今はこれ以上話しても平行線だろう。切り上げて近いうちに進行してくるエデンへの対策を考える方が実があるだろう。どうして阻止しなければならないのかを語るシャオが持つエデンへの憎悪は本物であった。

 

「あの未来だけは絶対に駄目だ。程度の差はあれどエデンが作ろうとする世界は絶対に実現させちゃならない、絶対にだ。何が楽園だ。まだ、今の方がよっぽど楽園だ」

 

そう語るシャオの瞳は憎悪で悍ましいほどに濁っていた。一体何を経験したのか想像すらつかなかった。

 

 

 

*

 

 

 

そこはとある個人の研究所。

 

一人黙々とモニターの前で作業をしている少年。そしてこの研究所の主人でもある人物の名はアキュラ。その技術は真に天才と称してもいいほどで世界で初めてセブンスを他人でも使用できる技術を独力で開発し。今亡き父の意志を継ぎ、セブンスを持つ者たちを倒すことを目標としている。

 

AB(アームド・ブルー)ドライブの出力は安定。問題となる耐久度による大量発電が出来ない点についても別個エネルギーを充填させたブリッツの量産体制も完成。『メガンテレオン』の高機動型改修機『ヴァイスティーガー』の構想もほぼほぼ完成」

 

今もGVとの戦闘の際に得られた蒼き雷霆(アームド・ブルー)のサンプルを元に動力源として設計したことを省みてもアキュラの技術は皇神すら凌駕するほどに凄まじい。

 

「ちっ、流石は蒼き雷霆(アームド・ブルー)と言ったところか。サンプル一つでこうも武装の性能が大幅に向上するとは……忌々しい」

 

アキュラにとってGVは討滅すべし能力者でもあり、それ以上に敗北と屈辱を与えられた忌々しい能力者でもあった。だがその利用価値は目を見張るものでもあるのが更にアキュラの感情を増長させてくる。

 

「アキュラ様、そろそろご休憩に致しましょう。これ以上根を詰めるのはよろしくありません」

 

その前に、アキュラの横へと紅茶が置かれる。なんらかのハーブも使われているのか香を嗅ぐだけでも張りつめていた気持ちが安らぐ。

 

「ノワか…………そうだな、もうこんな時間か。休憩しよう」

 

彼女の名はノワ、アキュラの実家から派遣されてきた保護者兼お目付け役であるはずなのになぜかアキュラの復讐を助けてくれるのだ。それは多岐に渡り、アキュラの身の周りの世話に戦闘技術の指南、果ては出処が不明の私財や設備まで。流石に気になって尋ねたが『私はただのメイドです』と一点張り。一体あなたのどこがただのメイドだと言いたくはあるが。世の中には知らくてもいいことの一つだと飲み込んだ。

 

そんな彼女ではあるがアキュラには数少ない信頼出来る人物である。

 

「ふう、少しばかり俺も気が立っていたみたいだな。ノワ、ありがとう」

 

流石と言うべきか、淹れ方も完璧で一口でその美味さが広がっていく。砂糖も入れているのか疲れた頭には心地よい。ささくれていた感情が落ち着いていく。ノワからしても最近のアキュラはどうやらピリピリとしてたらしい。

 

「やはり、あの能力者。ガンヴォルトのことですか? 紫電と相打ちになったと聞き及んでおりますが」

 

そう、以前にもGVと関わっており、討ち倒そうとしたが結果は返り討ちにあった唯一の能力者でもある。だからこそ、アキュラは必ずこの手で倒すと決意していたのだが。紫電との闘いで相打ちになったことを聞いて、行き場ない激情を少しばかり持て余していた。

 

「分かっているさ、だが俺が討滅するはずのガンヴォルトが相打ちとは……ちっ、紫電ごときに相打ちになるとは情けない奴だ」

 

だからこそ、もういないとしても討ち倒す為に着々と準備を整えていた。

 

「あの時の屈辱を晴らすたくはあったが、それにあの時が口走ったことが気になってな……」

 

そしてアキュラは振り返る。そう、『アメノウキハシ』でのGVとの二度目の戦いの時を。

 

 

 

*

 

 

 

その時のアキュラは様々な感情が入り混じっていた。以前に仕留めるチャンスがありながらも逃してしまったことに対する執念。対能力者特殊弾頭『グリードスナッチャー』と言うセブンスを特殊な磁場により弱体、無力化する必殺の武器を持ったことによる慢心。そして自分の手で能力者を亡ぼす傲慢。

 

冷静に考えればGVと紫電が戦った末に勝利したほうを奇襲し、仕留めればいいはずだ。だがアキュラはGVに戦いを仕掛けていた。

 

「クソ! 大人しく神の御許へと逝け! 能力者(バケモノ)!」

 

だが予想に反してアキュラは大幅に劣勢を強いられていた。GVはアキュラに対して電磁場を利用した空中機動を仕掛けてエクスギアの武装の狙いが付けないように攪乱されていた。

 

「断る! 僕にはまだやるべきことがある! それに能力者だって人間だ。バケモノなんかじゃない!」

 

相手の軌道を制限すべく空間湾曲させ四方八方からレイジーレーザーを放つも性質を見切られているのか機動を制限することは出来てもグリードスナッチャーを当てるには程遠い。

 

能力者(バケモノ)が人を語るな!」

 

次いでエネルギーを喰らう羽虫を模した光の粒、ミリオンイーターを放つも自身の周囲に雷撃を展開させる技、雷撃麟によって迎撃される。こうも沢山の武装の大盤振る舞いのはずなのに悉くを対処される動きをされると苛立ちが勝る。

 

「そんな事ばっかり言うしかないのか、話せば分かり合える人だっているのに!」

 

だが、ミリオンイーターの対処のためなのかGVは足を止めている。

 

「馬鹿が、人間と能力者(バケモノ)は分かり合えるはずがない! 俺が一匹残らず殲滅する!」

 

絶好のチャンスだと、雷撃麟の隙を狙うようにもう一つの銃、ボーダーを構え能力者(バケモノ)にとって必殺の弾頭を撃ち放つ。これは初見の武装だ。ミリオンイーターに紛れ込ませてもあるため、いくら最強の能力者だろうと避けられるはずがないとほくそ笑む。

 

しかし、アキュラが予想していた展開にはならなかった。最初からそれを知っているかのように紛れ込ませていたグリードスナッチャーだけを器用に避け、しまいには反撃をしてきたのだ。

 

「なら、君の家族が能力者となったらその人もバケモノと呼ぶのか、アキュラ!」

 

GVの言葉に脳裏に思い浮かぶは病弱の妹であるミチルのことだった。それが能力者(バケモノ)になるだと? アキュラにとって大切な妹を侮辱する暴言に感情が容易く怒りで振り切れた。

 

「ふざけたことをぬかすな。もはや慈悲などなく魂まで消え去れ! 能力者(バケモノ)!!」

 

アキュラに冷静さは消え去り、紫電のことなどお構いなしに思考は目前にいる敵を滅ぼすために持てる兵装を展開する。

 

「答えろ! 科学者を自称するなら目の前の可能性から目を反らすな!」

 

「うるさい! 能力者(バケモノ)が科学を語るな! 貴様は黙って俺に討滅されればいい!」

 

「君って人は!」

 

それから、アキュラの攻撃は苛烈になっていく。対GV用に鍛造された雷撃すら貫く銃弾。空間を捻じ曲げ追い詰める怠惰な光線。何もかも引き寄せ奪う強欲な弾頭。敵を貫く傲慢な閃光。一時的に相手を仮死(せきか)させる嫉妬の邪眼。壊し焼却せし憤怒の矢。何かもを喰らいつくす暴食の蟲。あざ笑う質量すら持つ色欲の幻影。

 

アキュラが集め、造り上げてきた全てをもって、ただ一人の能力者を滅ぼすために暴虐を振るう。

 

だが、対するGVもそれらを相手に果敢に立ち向かう。時は避け、時には雷撃麟で迎撃し、時には自身の肉体を電子へと一時的に置き換え、攻撃を透過させる電磁結界『カゲロウ』により透かしていく。

 

このままであれば反撃へと移れないGVがジリ貧になるだろう。だが先に隙を曝したのはアキュラの方であった。

 

「なっ! 弾……切れだと!?」

 

余りにもエクスギアの武装を使い過ぎたためにエクスギアの弾薬が尽きたのだ。今の局面での弾切れは致命的な隙となる。

 

「アキュラ! 君の父が残してしまったものを探してみろ! 自分自身の目で真実を確かめろ!」

 

ずっと防戦に徹しながらも虎視眈々と狙っていたGVはアキュラへと肉薄し手に持っていた父の形見でもあるリボルバー『ボーダー』と首元を掴み、それがこの戦いの幕引きだった。

 

「迸れ!蒼き雷霆よ(アームド・ブルー)! 私怨の闇、囚われし瞳晴らす、黎明の一閃となれ!」

 

ボ―ダーを起点に雷撃が奔り、次いでパワードアーマーである『メガンテレオン』を這い機能を破壊していく。その末にボーダーは破損し、まともに銃弾すら打てなくなり。メガンテレオンの機能が落ち、常人の身体能力では碌に動かすことが出来ない重りへと変わる。もはや誰の勝利かは目前であった。

 

「ぐっ……」

 

しかし、トドメを刺せたであろうはずなのにGVはアキュラを置いて立ち去ろうとした。アキュラは言葉を発する前にGVが告げた。

 

「これ以上、君に割く時間はない。同情とでもなんでも取るといい、僕にはまだやることがある。だから行くよ」

 

そのまま去っていくGVの後ろ姿をアキュラはただ見送ることしか出来なかった。アキュラに残っていたのはGVの血が付いた必殺の武器であったはずの壊れた父の形見に対する無力感と能力者(バケモノ)に憐れまれた屈辱でしかなかった。

 

「くそっ、くそぉ!!!!!!!!!!」

 

だが、今のアキュラにはただ叫ぶだけしかできない敗者でしかない。ただ暗い宙の中、雪辱に燃える叫びがこだましていた。

 

 

 

*

 

 

 

「聞くに堪えん戯言だったが……妙に引っかかていてな。もしかしたら皇神に握りつぶされてしまった父さんの資料があるのかもしれないと思っている」

 

それ故にGVとの戦闘前は積極的に能力者狩りをしていたが、ここ最近は控えて装備の開発と父が残した、或いは隠されてしまった資料の収集にも励んでいる。

 

「成程、道理で猪突猛進かつ狂犬なアキュラ様が大人しくている訳でもありますか」

 

「ノワ……まあ、いい。ところでもっと詳しい施術についての資料はあるか?」

 

休憩の合間、ノワが集めてきてくれた資料。それは昔、妹のミチルに施された手術の資料ではあるがあまりにも情報が虫食いになっていた。だが、これがひょっとしたら妹の回復にも繋がるかもしれないと考えていた。

 

「申し訳ありません。今の状態では詳しい内容についての蒐集は困難かと」

 

「分かった。だが出来うる限り蒐集を頼む」

 

その資料の題名はこう書かれていた。

 

 

 

 

『神園ミチル:■■の■■■■■■手術における経過』 施術者の名はアキュラの父の名が示されていた。

 

 

 

今まで目を背けてきた真実が、矛盾が、少しずつ迫ってきているのをアキュラはまだ知る由もなかった。




シャオについてもっと分かり易く例えるならば、戻れる時間が固定化されたシュタゲのオカリンだと考えてもらえればいいかと。今回のGVは来栖ポジにあたるのかな。
あれ、下手したらGVがヒロインポジに……?


なおこれはここの独自設定なのでいづれ次回作で違うものだとしてもここではこういうものです。


アキュラ君についてですが内心、GVを倒すべき敵だと認め、全力で中指立てながら「F●●k」な状態です。本当に能力者相手だと狂犬だなアキュラ君。

GVはどうせ言うだけただなのでついでの言い得な感じでいっちゃってます。まあ、それが回り回ってどうなるかはお楽しみに。

ご拝読ありがとうございました。

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