皆様こんばんわ。elonaをやり始めてほんの数分で投げたウルトラ長男です。
何が起こっているのか分からぬままに死んでいく……どういう事だ……。
マップを少し歩いただけで気付けば飢え死に寸前……なんでや! まだ10歩くらいしか歩いてないやろ!
貫咲賢希様より今度はイーディスのイラストを頂きましたので、1話後書きに飾っておきます。
これは登場人物紹介ページとか作って纏めるべきでしょうかね。
「卵の謎はもう解いたって言ったじゃない!」
その日、怒れるハーマイオニーの前で、ハリーは小さくなっていた。
第2の課題まで後わずか2週間となり、いよいよ切羽詰ったハリーは、今まで嘘を吐いていた事を白状し、ハーマイオニーやイーディスに助けを求めたのだ。
勿論、何もしていなかったわけではない。
少なくとも卵の秘密は本当に解いたし、次の課題もわかった。
次の課題は水中だ。
湖に潜り、水中人から『大切なもの』を取り返すのが第2の課題なのだ。
しかし、ハリーにわかったのはそこまででもあった。肝心の突破法がわからないのだ。
解き空かした卵から告げられた制限時間は1時間。
それはつまり、1時間近く潜る必要があるという事だ。
どうやって水中で息をするのか? そもそも泳いだ事すらほとんどない自分が泳げるのか?
……もう、自力でどうにかなる範囲ではなかった。
「息継ぎしながら進むしかないんじゃない? なんとか泳ぐ方法だけを見付けて、後は泳いで息継ぎしながら泳いでいけば……」
「でもイーディス。それだと『大切な物』が深い場所にあった時困るわ。
やっぱり潜る方法を探さないと」
別に潜る必要性はないのではないか、とイーディスが提案するもハーマイオニーが却下した。
そう単純な課題だとは思えない。
水中でやる以上、潜らなければならないようになっているはずだ。
「理想的なのは貴方が潜水艦か何かに変身する事よね。
でも人を変身させるのは6年生で習う事だから、誰も出来ないし……。
中途半端に知らない事をやったらとんでもない事になりかねないわ」
「うん。僕も頭から潜望鏡を生やしたままウロウロするのは嬉しくないね」
ハーマイオニーの変身術を使う、という提案は確かにいい方法かもしれない。
だがそれを為すにはハリー自身の知識と実力が不足していた。
そもそもこの3校対抗試合は17歳以上である事が参加基準であり、当然それを踏まえて競技内容が決められている。
17歳までの教育過程を終えているのならば、習った魔法やその組み合わせで解決出来るかもしれない。
いや、出来るように考えられている。
だがハリーは期せずして参加してしまった14歳の参加者だ。その前提は当てはまらない。
他の代表選手と比べ、ハリーは明らかに手札が少ないのだ。
「自分以外を変身させるっていうのはどう? あらかじめリュックとかを背負っていって、それを酸素ボンベとかに変えるの」
「でも僕、酸素ボンベの仕組みとかよくわからないよ」
「そうね、少し難易度が高いかしら」
それからもハリー達は何とか方法を見付け出そうとするもなかなかいい方法が見当たらず、時間のみが過ぎて行った。
残り1週間……まだ時間はあると余裕を持ち、自分に言い聞かせていた。
残り5日……そろそろ、何か見付かるはずだと信じたかった。
残り3日……もう余裕はなかった。お願いだ、何か見付かってくれ。そう願うものの時間だけが無情に過ぎてゆく。
残りがとうとう一日となってもハリーはこれだという素晴らしい答えを探せずにいた。
悪い事は続くもので、最後の一日だというのに頼りの綱であるハーマイオニーがマクゴナガルに呼ばれてハリーに協力出来ない状態となったのだ。
一応ロンとイーディスがいるものの、二人共ハーマイオニーのような知識派ではなく行動派だ。
単純馬鹿3人を集めていい結果が出ると思えるほど、ハリーは楽観視出来ない状況に追い込まれていた。
現にロンは、湖に行って頭を突っ込み、水中人に向かって叫べなどとどうしようもない提案ばかりをしてくるし、イーディスも本を見てうんうん唸るだけだ。
「うーん……やっぱり私達が使えるような魔法でどうにかするのは難しいみたい。
アプローチを変えた方がいいんじゃない?」
「変えるたって……どうするのさ?」
「例えば道具とか、魔法薬とか、魔法植物とか……もしかしたら都合のいいものがあるかもしれないじゃない」
呪文はもう、これでもかとばかりに調べ尽くした。
その上で結論を出すならば、4年生の使えるような魔法で突破するのは不可能に近い、という結論になる。
だからこそイーディスは、別の視点からのアプローチを提案したのだ。
「でもイーディス、魔法薬だって今まで習ったものにそんなのはなかったし、あったとしても今から作るのかい?」
「道具とかはどう? 悪戯専門用具とかに潜り続けるようなのがあってもいいと思うんだけど」
悪くはない提案だ。
しかしハリーが言うように、魔法薬というのは無茶振りが過ぎるだろう。
また、イーディスの出した悪戯用具などはすぐにロンが「そんなものはない」と切って捨てた。
悪戯ばかりする兄二人を持つだけあって、そういうのは詳しいらしい。
「じゃあ魔法植物だけど……私、あんま詳しくないんだよねえ……」
「魔法植物か……」
魔法植物。
そう聞いて、何かハリーの頭に引っかかるものがあった。
何だ? 何が引っかかっている?
ハリーは必死に記憶の糸を辿り、心のもやもやを解き明かそうとする。
魔法植物……それも水中に活かせそうなものを自分は何処かで見た。
何処で? いつ?
記憶を遡り、遡り……やがて、初めてマッドアイの授業を受けた日にまで戻り、ハリーは思い出した。
――『地中海の魔法水生植物』
「……ッ、ネビルだ……!」
「え?」
「ネビルが、本を持っていた!」
椅子を蹴って立ち上がり、ハリーは走り出した。
これまで見えなかった光明が見えた気がする。いや、もうこれが最後の可能性だ。
今までずっと呪文を探してきて、それでも見付からなかった以上、残り一日で見付かると考えるのは楽観すぎる。
それよりはまだ、魔法植物に希望を賭けた方がいい。
急いでグリフィンドール寮まで行くと、そこで座っているネビルに、詰め寄るように話しかけた。
「ネビル! 急で悪いんだけど、前に君がマッドアイからもらったっていう『地中海の魔法水生植物』の本、まだ持ってる?!」
「え? う、うん、持ってるけど……どうしたの?」
「それ、僕に貸してくれないかな? 実は、第2の課題で1時間水中に潜らないといけないんだ……その本に、ヒントがあるかもしれない」
ハリーの切羽詰った様子に驚くネビルだったが、彼の言葉を聞いて思い出したようにハッとする。
「し、知ってる……僕、それに役立つ植物を知ってるよ、ハリー!」
「ほ、本当に!?」
「うん、『鰓昆布』っていうんだけど……それを食べると、鰓呼吸が出来るようになって、それに手には水かきも出来て……まるで水中人みたいになれるんだ」
「そ、それだ! ネビル、その鰓昆布が何処にあるかわかるかい?」
初めて希望が見えた気がする。
ネビルの肩を掴んで喜びを露にするハリーだったが、ネビルは何だか歯切れが悪そうだ。
もしかして、この学校にはないのだろうか?
そんな不安が心を過ぎるも、ネビルの口から出た言葉はある意味それよりも厄介であった。
「その……凄く貴重な植物なんだ。
前に補習を受けた時、スネイプの研究室にあるのを見た事がある。
けど、それ以外に僕は鰓昆布の場所を知らない」
スネイプ!
よりにもよって、そんな所にあるとは最悪だ、とハリーは思った。
あの教師の事だから、当然頼んでも分けてはくれないだろうし、それどころか嬉々として隠すだろう。
そうなると取れる手段は一つしかない……即ち、窃盗だ。
だがいくら相手がスネイプといえど、ハリーとしてはあまり取りたくない手段でもある。
だが自分には時間がない。他の手段を探していては、明日の課題で大恥をかくのは明らかだ。
皆の失望の顔が脳裏を過ぎる……自分を信じてくれているハグリッドの顔が歪むのは見たくない。
スリザリンからの嘲笑、周りからの罵声……それを想像するだけで、学校から走り去りたくなってしまう。
ハリーは本を見せてもらい、鰓昆布の形をしっかり記憶してから談話室を後にした。
外ではイーディスとロンが立っており、心配そうにこちらを見ている。
「……スネイプの、研究室だ」
「え?」
「スネイプの研究室にある、鰓昆布を盗る……それしかない」
ハリーの口から出た過激な手段にイーディスが顔をしかめる。
窃盗……それもよりによって教師から!
いくら課題の為とはいえ、バレたら減点では済まない博打染みた方法だ。
ハリーとて、こんなのが褒められた手段でない事くらいわかっている。
だがもう、彼には後がないのだ。
「OK、盗ろう」
あっさりとロンがそれに同意し、迷いなく言い切った。
いざという時は手段を選ばないのがこの二人の強みでもあり短所でもある。
ズンズンと進んで行く二人に戸惑い、イーディスは頭を抑える。
何でこの二人、グリフィンドールなんだろう……などと、少し考えてしまうのも無理のない事だ。
スネイプの研究室の近くまで行き、そこで3人は足を止めた。
……スネイプは、今の所居ない。盗るなら絶好の好機だ。
だが何事もスムーズに、とはいかないものだ。
何ともタイミングの悪い事に、向かい側の通路からマルフォイが歩いて来てしまったのだ。
「おや? ポッターじゃないか、こんな所で何をしているんだい?」
「……君には関係ない」
「ふうん、へえ? 気になるなあ~。
一体ここで何をしていたんだい? 後ろめたい事がないなら言えるはずだろう?」
相手の触れて欲しくない部分を探り当てる嗅覚に関して、マルフォイは一級のものを持っている。
まるで獲物を見付けたようにニヤニヤと笑い、ハリー達を見る。
「何でもないってば。あっちに行けって」
「おいおい、君にそんな事を言う権利があるのかい?
僕はただ、ここに居たくているだけだよ?」
全く嫌な奴だ、とハリーは思う。
だがこれがスリザリン生の正常な姿でもあるのだ。
イーディスのようなタイプこそ希少で、マルフォイのような嫌な奴が8割を占める。それがスリザリン寮というものだ。
さてどうしたものか……。
そう悩むハリーだったが、そこに救い主が現れた。
コツン、コツン、と義足の足音を響かせながらマッド・アイ・ムーディが通りかかったのだ。
「げ……」
マッドアイを大の苦手とするマルフォイが嫌そうな声をあげ、慌てて回れ右をした。
何せマッドアイときたらルシウス・マルフォイを嫌悪しているらしく、その息子にまで当り散らすのだからたまったものではない。
ケナガイタチに変えられて痛めつけられたのは記憶に新しく、まるで逃げるようにマルフォイは走り去ってしまった。
しかし今度は教員がハリー達の姿を見る事になってしまい、やはり状況は悪いままだ。
流石に教師の目の前で盗みを働くわけには行かない。
だが彼等の予想に反してマッドアイはニヤリと笑みを浮かべると、そのまま彼等の前を素通りしてしまった。
「わしは何も見ておらんぞ」
そう言って立ち去る彼は、案外優しい教師なのかもしれない、とハリーは考えた。
そういえば第一の課題の時も助言しようとしてくれたり、夜中にスネイプに見付かりそうになった時は助け舟を出してくれたりと、見掛けによらず生徒想いなのではないだろうか。
思えば、ネビルにあの本を渡したのもマッドアイだった。
見た目こそ恐ろしいが、いい先生だ。ハリーは心の中で彼に感謝し、研究室へと踏み込んだ。
その後、鰓昆布が無くなっている事にスネイプが気付き、大層機嫌が悪くなったとか。
*
満を持して始まった第2の課題を、ハリーは45点で通過した。
課題はやはり湖に潜る競技であり、様々な障害を越えて大切な物を取り戻す試練であった。
そしてハリーにとっての大切な物はハーマイオニーであり、彼女がマクゴナガルに呼ばれた理由がこれだったのだ。
恐らくはあのダンスパーティーがその『大切な物』を見極める為のイベントだったのだろう。
その人質の所に誰よりも速く着き、見事ハーマイオニーを助け出したハリーであったが、ここで彼の悪癖……人助け癖が出てしまった。
普通に考えればダンブルドアが競技の為に他の生徒を殺すわけがないと分かるだろうに、試練の『時間を過ぎれば二度と戻らぬ』という言葉を真に受けて、他の人質まで助けようとしてしまったのだ。
結果、セドリック(人質はチョウ・チャンという女子生徒だ)やクラム(人質はジニーだった)が人質を助けるのを見届け、あるいは手助けし、遂にはフラーが来れないと判断するやフラーの人質(妹のガブリエールだ)を助けての3位通過となってしまった。
しかし、その心を気高いと評価したダンブルドア、クラウチ、マクシーム、バグマンによって高得点を与えられる事により45点を得る事に成功した。
カルカロフだけは5点評価を付けていたが、そのクラム贔屓を入れても尚ハリーには追いつかぬ辺り、さぞ悔しそうだ。
とりあえず、これで残るは最終課題のみだ。
今度ネビルにお礼をしないとな、などと思いながら、ハリーは自分を支えてくれているハーマイオニーへと身を預けた。
∩(・ω・)∩<ワガアニノゴウノケン!
今回は再びミラベル空気な第2課題でお送りしました。
ハリーは勇者の素質がありますが、同じくらいに駄目な等身大の少年の面があります。
特に試験前の心の動きなど、当時私は「あ、これテスト前の私だ」と感情移入したものです。
その辺がハリーの人気の秘訣なのかもしれません。
そして原作では不発に終わった偽マッドアイの手回しが成功。ネビルから情報を聞き出し、スネイプの棚から窃盗しました。
スネイプ先生、原作でもそうですけどしょっちゅう私物盗まれますよね。
何故かハリーの求めるアイテムを持ってるのが毎回スネイプなんですけど、これもしかしてわざとやってるんじゃないでしょうか。