魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~ 作:無淵玄白
録りためしておいた色々な番組を見ようかと思っていたのですが、まずまず読んでいただければ幸いです。
第102話『夏休み 北米への帰郷―――そして島への誘い…』
夏休み。
九校戦が終わったとしてもまだまだ続く夏休み……時計塔という特殊な学校の幼年部からそのまま上がっていった刹那にとって二年程度の普通学校の知識でも、やはり大都会『東京の夏休み』は規格外に長かった。
よってリーナと共に家に帰ったりなんだり微睡んだりしていたり……若干、『爛れた生活』を三日ほど過ごしていたのだが、何故か『栗井教官』……ドクターロマンに着きっぱなしだったオニキスが帰ってきたことで、日にちを知る。
『そろそろ羽田に行く準備をした方がいいだろうね。ユーマとアンジェラの結婚式も近いのだろう?』
久々のアメリカへの帰路へと着くときが来たのだった――――。それこそが……新たな戦いの幕開けになるとも知らず……
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~~Third order‐EXTELLA LINK~~
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『それじゃお前たちは今、USNAなのか?』
「ああ、アルバカーキに降り立ってゲートで待っていたシルヴィアに即座に連れられて、色々とドレスコードの確認やらヒールの準備だのをしていたんだよ。現在は式を終えて歓談中だよ」
『仕立ての準備はリーナだけか。お前は?』
「歓談中の食事の準備の為に大量の食材の確認。そして色々と作らされたよ。日中の会食だから『悪く』ならないようにしなければいけなかったがな」
ざっ、と端末の会話相手である達也に告げると、ちょっとばかり過密スケジュールだったかもしれない。
だが、まさか『サルのようにさかっていて遅れました』など言えるわけがない。言えるわけが無いので、そのスケジュールに付き合うのは当然だった。
アメリカの婚礼儀式というのは日本とは少し違っていて、新郎新婦次第ではあるが、いわゆるディナー形式及び新郎新婦の友人代表挨拶など、そういった『披露宴』というものは無かった。
歓談のパーティー形式。用意された屋外のパーティー会場で、各々好きなように飲んだり食ったり、新郎や新婦に挨拶したり、ちょっとした宴会芸を披露したり…カオスな所がある。
現在、真紅のドレス、背中が丸見えのそれを着ながら、赤いリボンでいつものショートロールの髪型のリーナは、その見事な美声を披露して出席者たちを魅了していた。
その歌声は電話口にいる達也にも聞こえているはずだ。先程まで歌われていた海軍式の『下品な隊歌』の余韻を消し去るいいものだ。
ちなみに歌った連中は全員、ベンジャミン少佐によってスーツを切り裂かれて、フーターズの衣装を着せられていた。ヘンな懲罰だが、結構な羞恥心なのかもしれない。
「で、何かあったのか?」
『ああ、何となくタイミングが合わなかったが、雫がプライベートビーチに誘いたい。要は別荘への招待なんだが、何だかお前たちに『繋がらない』って嘆いていたぞ』
流石は女版スネ夫(気前は良すぎる)。ブルジョワジーの言うことは違いすぎる。告げられた日にちは『フェニックス基地』にいて、圏外にならざるを得なかったわけだ。
プライベートチャットで確認しておけば良かったと少しの後悔。
……招待されたのは小笠原諸島の
指定された日にちは、まぁ一日遅れで良ければ行けるだろうという目算。最寄りのポートアイランドたる『南盾島』に着くのが、恐らくそうだろうと頭の中で確認。
ご丁寧にもこちらが何もしなくても開かれるように、『情報』を送ってくれた達也の手並みに感謝していると、歌い終えてノンアルコールのドリンクを飲みながらやって来たリーナ。
「なになに? 何かあった?」
「雫が別荘にご招待したい。その旨を達也から受け取っている最中」
『こっちは既に夜なんだが、そちらは真昼間か。ハロー・リーナ。星空が見える夜に。いい歌声を聴かせてもらったよ』
「ご静聴どうも。ミユキに嫉妬されて背中を刺されないようにねタツヤ」
そんな応答をしあいながらリーナが隣に座ると、この真昼間の空に何かが見える……。どうやら前々から言われていた衛星の破片のようだ。
大気圏で燃え尽きたものが炎の尾を引きながら地球に帰ってきた様子。
庭の歓談パーティーをしている面々もそれに気づいて声を上げる。電話口の達也も気付いたのか―――。
『なんだ。『赤いくぎゅガン〇ム』でも出たか? GN粒子の毒性には気を付けろ! そして阿修羅すらも凌駕してビームサーベルを奪えよ!』
「「何の心配だ!? そしてそんなスキルあるか(ないわよ)!!」」
第一、それをやるのに適当なのは、電話口の男だろう。そして襲撃されるに相応しい(?)のは達也の叔母だろうに。
そんな風に返しながらも何気なく……最近の宇宙空間のデブリの落着が多いなぁ。とも感じるのだった。
そんな想いをしながら、達也との通話を切って時間を確認。
時間的には、そろそろお暇しても良かろうと思えた。ここから先は大人達の二次会であろうと思える時刻だったからだ。
「アンジーとユーマに挨拶していこうか。それから帰ろう」
「うん♪ エスコートよろしく♪」
差し出される赤く塗ったネイルが見える少女の手。大人びた衣装がこの上なく似合っている赤いドレスの少女を伴い、赤いスーツ……2090年代にあっては、ブームが一回りしたのか結構な洒落たものを着込んだ刹那が向かう。
(ちっとは、時臣祖父に似てダンディな人間になれているのかね)
お袋の贔屓目もあったかもしれないが、自分の祖父、遠坂時臣は―――。
『本当に優雅さを忘れない完璧超人だったわ。そんなアンタのお爺ちゃんのように、その服が似合うナイスミドルになれるように、常に社交パーティーなどでは着ておきなさい』などと言われていたもの。
要はお袋の形見であり爺さんの『お古』だが、まぁ嫌いな格好では無い……。そういう位には着てきた服で向かうとユーマとアンジーの喜色の顔。
色々とあった二人であり、隊の兄貴分と姉貴分の歓迎に少しこそばゆい想いだ。
「全く、キュウコウセンでは大活躍だったみたいだな。先任士官として少しばかり鼻が高いぞ」
「そう言ってくれたならば何より、あばばば、整えた髪が乱れる」
「そんぐらいが、お前の魅力を上げてくれるよ」
髪をくしゃくしゃと乱してくる白いタキシード姿のユーマ。この世界に来て出来た兄貴分の発言に、少しだけ苦笑してしまう。
「リーナも、すごくカッコよくてキュートだったわよ。そしてちゃんとセツナくんを捕まえておくのよ!」
「大丈夫です! ……と、あのボストンの任務の時のようにアンジーに言えればいいんですけど、何故か溢れてくるライバルが多すぎます……」
『セツナー……』
「新婚夫婦の不安の種にしたくないですから言っておきますけど、ちゃんと俺はリーナ一筋ですよ!」
リーナの発言に対して、ジト目で見てくる二人に宣言しておく。
その言葉に冷やかしの口笛がとんだりして来る。
この時代になっても変わらぬ『幸せのバトンリレー』。それを受け取るに相応しい人間になろうと……。未婚女性たちの眼が輝く。
輝いた瞬間―――レイラとシャルロットが、若干、何かの痛みを堪えるような様子。刹那が二人に掛けておいた呪いゆえに考えていたことが、何となく分かってしまった瞬間である。
「大方、『あの
「それも総隊長への反旗と認定されるか……ったくあの二人は」
「ええっと、セツナ。少し解除してあげたらいいと思いますよ。ワタシは気にしませんから」
ユーマとアンジ-から離れて、ベンジャミンの近くに行き話し合うも、総隊長の恩赦をノーとしておく。
あの二人のお局は、もう少しだけ痛い目に遭っておくべきである。
と思っていると意外なことに―――。
「あのさセツナ君。……ジェイクも何か痛みを堪えているんだけどどうしてだろうな?」
「ブーケが欲しいんじゃないですかね? フレディ中尉と一緒になる為に」
「オレ、ノーマルだよ!?」「んなわけあるかー!!!!」
スターズでは若手の方のアルフレッド・フォーマルハウトに言うが、即時の否定が、仲良しコンビから入った。
何というかジェイコブ・レグルスも若干、リーナに反抗的というか微妙によろしくないスター・ファーストである。
めんどくさい派閥争いの仲裁の為に呪いを用いたが、本当に反省しない三人である……。
「まぁ組織にイエスマンばかりいてもよろしくないが、表だって叛意を出すのは違うと思うぞ」
概ね、半数以上の人間が頷きながらも―――そんなことは構わずに最後のブーケトスが行われようとしている。
車、キャビネットではあるが……オープンカータイプでレトロな車体のレプリカで作られたそれに乗り込もうとしているアンジェラ・ミザールの手が高く掲げられて―――ニューメキシコの風に乗ってブーケは……スターズの『乙女』の手の中に収まるのだった……。
それが『誰』であったかは―――今は割愛しておいても構わないことであった……。
幸せの裏側で、遠い銀河の彼方で災厄の一つが目覚めようとしていても、今はこの幸せの中にいたいのだから……。
† † † †
「実験は成功ですかねドクター・カネマル?」
「うん。まぁそうだな。確かに成功と言えよう……」
小笠原諸島 南盾島にある海軍基地の一角。大規模な実験場の体だが、建物の名前は『南方諸島工廠』……基地内部に蓄えられた補給施設という触れ込み。
しかし、そこは大規模な―――有体に言えば、半世紀は前のサイエンス・フィクションや、パニックホラーなどに登場する新型の化学実験をする研究所。
そうとしか言えない場所の更に中心部。様々な計器類が多数のデータを拾い上げて計測していく場所にて、老人の研究者と壮年の男が話し合っていた。
余裕綽々の男性に対して老人の方は少しばかり浮かない顔だ。
実験―――九人の巫女と言う名の実験体を利用してのものは、概ね『いい結果』を齎した。
大型CAD『計都』を利用して、宇宙空間に存在する様々な『質量体』を目標の場所に着弾させる……言うなれば魔法を利用しての『神の杖』。
衛星兵器でありながらピンポイントでの爆撃及び都市攻略を可能とするものは、正しくして多くの結果を齎した。
最終的には小惑星、もしくは大型の『攻撃衛星』を目的地に『着弾』させる実験が成功と言えるが―――。
そう。『成功』しすぎているのだ……兼丸という老研究者からすれば、実験がここまで成功するというのは『ありえない』話なのだ。
実験体である『わたつみシリーズ』という『調整体魔法師』……それがいつでもベストコンディションで起動式を読み込み、魔法式を投射出来ているなどというのは、信じられない。
誤差は発生する。本来的な魔法の試みからすればふざけているが、予想していた誤差……『ゆらぎ』が許容量に収まるかどうかだった……。
それが実験の『本当の目的』……別に老化学者は、研究員の一人『盛永』のように『モルモット』の体調を気に掛けているわけではない。
(なぜだ……ありえざる話だ)
検証データは数多い。そしてその全てが、予想した通りの結果を叩きだしている。
科学者としての『直感』で、それを実に恐ろしく感じる……。
なにか……兼丸の知らぬところで何かが動いているような気がする。そして、それがとんでもないことになるのではないかと思えるのだった……。
「隕石爆弾……ミーティアライト・フォール……かつて星界の現象と
それは悪魔の囁きである……。だが、非公式ながらも日本の国防陸軍に『戦略級魔法師』がいるという実しやかな噂から、海軍の参謀本部からせっつかれていたのも事実だ。
何かの大きな戦いで『披露』されていれば、そのせっつきも過剰なものだったろうが、それでもまだ予算も期間も余裕がある―――あったのに、老化学者は己の名利の為に後日、小惑星『ジーク』に対してミーティアライト・フォールをかけるとしたのだ。
その宣言に対して、先に上げた『盛永』という女性研究員が食って掛かる。
「待ってください所長! ミスター!! 『わたつみシリーズ』の回復には、今までと同じく一週間のインターバルを設けるべきです!!」
「彼女たちの回復に一週間必要などと言うデータは何処にもないがね。今までは君の医学的見地を考慮してそうしていたが、ここまで来れば、早急にでも実験を開始する」
「ミセス…いえミス・モリナガ、彼女たち『わたつみ』―――いいえ、
ミスターと呼ばれた男の言葉に、九人の少女の担当官たちは、頭に血が上るほどの激情を覚えた。自分達の行為が非人道のものであるなど理解している。
だが、だからといって作られた存在は自我を持つ、自身を認識する。命は須らく、遍く、替えが利く
「あなたは……人の親であったことがないから、そのように言えるんです!!!」
「これは失礼。ですがアナタのセンチメンタルな心情に気遣って、出来るものをやらないでいるのもどうかとは思います。何かしらの『不慮のミス』が無ければ、実験は滞りなく行われるでしょうからね」
その言葉の後に次げた兼丸の再びの宣言で、実験は近い将来行われることを、盛永は認識するのだった……。
急がねば、という想いが胸を締めあげる。それが世界の転換点となりえた。
† † † †
「「ミーティアライト・フォール?」」
『ああ、かつて……まだUSNAがUSAであった頃に、日本の海軍参謀本部との共同研究で作られていたものだ』
同じチェアに殆ど密着状態のリーナと共に、バランスから送られてきた資料を見るに、実に―――『下策』なものが列挙されていた。
端的に言えば、埋葬機関の秘蔵の概念武装―――あの『弓』ならば一人でも使えるが、本来ならば十人がかりの一級魔術師でしか扱えないものを起動させているのと同じだった。
眉根を潜めるリーナに対して、タッチしてその予想される効果範囲。及び術式の作用を見ると―――メテオスウォームであった。
第二法を扱えば、似たような事は出来るかもしれないが……しかし―――。
『なんでこんなものが今さら問題になっているんだい? まぁ予想は着くよ
同じく刹那の肩に乗りながら呟く魔法の杖が、画面の向こうのバランス大佐に言う。首肯が、それを決定づけていた。
『ニホンのオガサワラショトウ。そのミナミタテシマにある海軍基地にて、これらの非人道実験が繰り返されている可能性が高い。
そして、これがニホンの戦略級魔法になったとしたならば、どの国も枕を高くして眠れはしないだろう』
「けれど宇宙軍の
「おまけに
『うーん。なんて即物的な回答。議会に通せばそれなりにやってくれそうな辺り、悩ましい……とはいえ、第三次世界大戦……前大戦の影響はまだまだ世界に燻っている。
国も宇宙開発に予算は廻せないだろうな……少年少女の意見を無にして済まないな』
バランス大佐も悩んでしまうぐらいには、もっとも『理に適った』策の提案だったが、最終的には『国は予算を回さない』。そういうことだ。
一人のアストロノーツを育てるよりも十人の戦闘魔法師を望む世界では、ガガーリンもアームストロング船長も浮かばれないことこの上ない。
『座』で、この世界の現状を米ソの境無く嘆いて、ウィスキーとウォッカで泣き上戸しているかも。
無駄な思考を終えて、話の用件を聞くことにする。
『ミナミタテシマの基地に潜り込んでいるスパイの情報によれば、近日中にでも小惑星2095GE9―――ヘイムダルコードにおける『小惑星ジーク』に対する魔法投射が行われる予定だ』
「無茶苦茶な。ジャイアントインパクトなんて食らったらば、本当に地球は寒冷化しますよ?」
『連中もその辺りは考えているようで、落とす寸前で地球軌道からスイングバイさせる手筈のようだが……どうなるかは分からん。万が一に備えて、少佐と特尉には『金属放熱』と『極虹魔砲』の使用を許可する』
その言葉に、まぁ妥当だなと感じる。相手方の理性と、実験の成否次第ではとんでもないことになる。
そもそも恐らく日本が一応の標的になっているとはいえ、その影響次第だ。……その前になんか『ヤツ』ならばやってのけそうな気がするが、その辺りは言わないでおいた。
『やれやれ。またもやセツナのとんでも『魔法』の台座になるのか、恥ずかしながら久々なんだから優しくしてくれよ……』
「えっ? 多少乱暴にしても大丈夫じゃない? “主よ、この身を委ねます”とかいって燃え盛って剣になったり出来ない?」
『オルレアン神拳奥義―――『ボルドー壊骨拳』!!!』
「ひでぶっ!!!」
「セツナ―――!!! というかオニキスは色々な意味で、フランス人に謝りなさ――い!!」
両側にある翼を使って行われた奥義によって、狭いシートの中でのたうち回りそうになってしまう。
とはいえ、修行の成果ゆえか痛みはそれほどなく、リーナの胸の中に掻き抱かれてちょっとだけ幸福感。
一番いいシートを頼んだとはいえ、あまり騒がしくするのもどうかと思われるので、とりあえず大人しくしておく。
『まったく、兵隊としては緊張感が無いとか言ってやりたいが、この緩さがキミたちをトップギアにする原動力だものな』
言葉でリーナの日本お土産、『あっぱれ』と書かれた日の丸をバックにした扇子を開いて仰ぐバランス大佐。
苦笑の限りの言葉に申し訳なさを覚えながらも、本題に入る。
『我々としては、日本がこの研究成果で力を着けるのは別段『構わない』とさえ思っている。極東の防衛ライン、トルーマンドクトリンにおける防共の砦である日本には、自主防衛の手段は多くあっても構わないだろう』
「意見は是々非々だったのでは?」
『マクダネルの『オヤジ』がねじ伏せたよ。ったくあの人は……』
その言葉で、参謀本部での会議と同席していただろう大統領補佐官の表情をお察しである。まぁあのオヤジは出鱈目すぎる。出鱈目すぎるので、隠居はムリだろう。
『だが、この実験で使われている少女達―――調整体『わたつみ』というデザインベイビーの置かれている状況は良くは無い……軍閥競争で魔法師の人権をお座成りにされるのは、非常に面倒だ。スパイに手引きは任せている。あとは―――分かるな?』
分かる。分かるのだが……『誰』に預けたものやらである。それに関しては『本人達』に出会ってからで構わないだろう。
『さて―――そろそろアメリカの領空を抜けた辺りだな。この辺りで通信を切らせてもらうが、吉報を待っているよ。それと報酬は『いつも通りだ』。確認しておくように』
そんな少しだけおどけた言葉を最後に、巻き髪の40代が端末画面から消え去る。
消え去ってから一言。それなりの『緊張感』を吐き出しながらの言葉は、確証を得ていた。
「何だか……出来過ぎているよなぁ」
「そうよね。シズクに招待されたのがオガサワラショトウの私有地。そして、任務地もオガサワラ―――シナリオ書いているヒトでもいるのかしらね?」
『邪推かもしれんが、この事態―――恐らくとびっきりに『魔的』な事象になるはずだ。ただの魔法研究の頓挫で終わるモノではあるまい』
オニキスの言葉に、自分もそれは「なんとなく」予想していた。降り注ぐ流星―――そして星々の彼方にある『モノ』を自分は良く知っている。
「せめて月に『結晶』があったならば、違ったんだけどな―――いまは考えても仕方ない」
「成り行き任せねぇ」
「それ以外には、どうしようもないからさ……ただ。キミの親父さんに言われたとおりに、リーナだけは守りたい」
「嬉しいわセツナ―――けれど、ワタシも戦うから、一人で抱え込まないでよね?」
そうして、第一高校に入学するためにアルバカーキからの直行便で羽田に向かった時のように、シートの中で隣合って微睡む二人。
声こそ聞こえなかったが、あの時と同じく公共の場でいちゃこらしていた様子を見るのが二度目のキャビン・アテンダントたち(未婚)が、本気で『恋人とか探さなきゃ……』と焦ってしまうのであった。
並行世界の魔法使いが極東の地に降り立つとき、『運命』は再び転換点を迎えるのだった……。