魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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きっと興津さんへの演技指導というか、キャラ説明の際には―――。

菌糸類「と、まぁこんな風なキャラなんでちゅよ。とにかく普段の理路整然としたところからのハイテンションさも重要でちゅので」

興津「成程、よく分かりました。しかし、中々に難しい役どころですね」

菌糸類「そうでちゅね。興津さんと言えばジョジョのジョセフといい熱血漢な役どころが多い印象、黒幕キャラは難儀でちゅかね」

興津「いえいえ、そういう訳ではありません。ハンマー持っている菌糸類の方、一つ確認してもいいですかな」

菌糸類「なんでちゅか?」

興津「―――演じるのはかまいませんが、別に、『なりきってしまっても構わんのだろう』?」

菌糸類「―――オ、興津さ―――ん!! み、見える!! 憑依型と呼ばれる声優興津和幸さんの本領!! アルキメデスの『スタンド』が見える!! 炎にくるまれる屋敷で抱いて!!!
アルキメデス・レクイエム!!」


以上は全くの『妄想』の産物であり、こんな会話があったり、『きのこ』と『興津和幸』さんのこんな会話があったとか『全くの想像』なので本気にしないように、いや本当に(爆) 

なんかアニメ監獄学園を創った男達を読んで、こんなアホな妄想をしてしまった……。

というわけで新話どうぞ。


第111話『夏休み 作戦会議と鬼刑事』

 

 

『キッドは必ずや、この南盾島に現れます!!! 未だに『海神の巫女の涙』なるものが何であるかは分かっていませんが、ヤツのやることがれっきとした犯罪であることも間違いないのです』

 

『しかし、ミスター・ゼニガタ。プリズマキッドはUSNAでは義賊的な見方もされていますが……』

 

『確かに、奴はマフィア組織を壊滅させたり、テロリストグループから財閥当主を救ってもいます。しかし! 魔法の力を使って、人々に混乱を招いているのも事実。

市民及び多くの人々の安寧を守るべき我々を混乱させている愉快犯でもある―――ご近所の御爺ちゃんが夜も寝付けないような騒ぎを起こしたり、『アタシも20年若ければキッドと……』などと御婆さんに言わせて熟年夫婦の離婚の危機を招いたり!!

今回を以て、キッドとその相棒であるリーナの永久逃走に、終止符を打たせてもらいます。ニホンの皆さん!! 

ご安心ください!! このゼニガタが、アナタ方の心配を取り除いてあげましょう!!』

 

 

国際放送の中継で『長十手』を背中に担ぐ、この真夏でもコートを脱がない中年男―――れっきとした『鬼刑事』のインタビューをリビングで見ていた刹那とリーナは、頭を抱える。

 

「なーーんで、とっつあんがここに来るかな……?」

 

「いくら何でも早すぎるわよねー……ニホンに来ていたんじゃないかしら。ゼニガタ警部、ニホンの刑事モノ大好きだし」

 

キッドの犯行現場にて完全な日本人に見えた刹那に度々話しかけては、そんな風な話をしてきたことを思い出す。

ニホンフリークすぎる日系何世かすら分からぬほどにアメリカ人しているも、日本人なゼニガタに話は弾んだものだ。

 

『少年少女! デートするのはいいが、夜遊びばかりして親御さんに心配かけるなよ!!!』

 

と言ってキッド逮捕に熱意を上げる刑事さんとの関わりを思い出す。そしてその腕前も存分に知っている。

 

あの十手は結構、不味い―――もうエリカなど、面白い得物とやり合えると思って眼を輝かせているし。

 

 

「知り合いなのか?」

 

何気ない達也の疑問。答えるのは吝かではない。

 

「まぁ……な。キッドの犯行現場を野次馬根性で行った時に、関わってな」

 

「本当にニホンのことが大好きすぎて、あの『ロングジュッテ』(長十手)も特注で打ってもらったものよ」

 

「特に先端に拵えられている純度の高いアンティナイト―――セファールの石で打たれると、魔力循環に支障を来すんだ」

 

 

そんな刹那とリーナの話を聞いて、達也はアイスコーヒーを一口飲んで、呟く……。

 

 

「そうか。しかし、二人して、このマギクスインターポールのミスター・ゼニガタと直にやり合ったかのような口ぶりだな」

 

「いや、俺もリーナも犯行現場で愉快犯的な立ち回りのキッドと警部の戦い見ていたからさ」

 

「そうよ! キッドがいくつものルーンカードを投げても、ジュッテで切り裂くとかあり得ないことしていたんだから!! プラズマリーナのムスペルスヘイムも切り裂く驚異のマジックポリスだったわ!」

 

もはやバレバレであっても取り繕うことも大事である。というかリーナ、バレバレすぎることを言いすぎである。

先程など一色からオニキス―ガーネット経由で通信してきたし……現在の一色愛梨は、リーブル・エペーの国際大会に出ており、その関連で欧州にまで行っているらしい。

 

その手の競技種目などの目的があれば、海外渡航は若干緩められることもある。要は魔法が関わる国際大会ならばオーケーという何とも微妙な判定だが、杓子定規ではないところもあるということだろうか。

 

『み、南の島でバカンス!? ぐぬぬ……しかも北山家のプライベートビーチだなんて―――財力で負けた!!!』

 

などと言いながらも、あちらにもプリズマキッドの話題は届いていた……。届いていたようで愛梨はどこか、決意を秘めて問うてきた。

 

『大丈夫なんですの?』

 

どうやらガーネットから聞いて、プリズマな魔法少女の能力を聞いていたようであるが、今は―――大会をがんばるように言っておく。

 

これからやることは自分の自己満足である。一色に迷惑は掛けられない。そして出来たとしても、空間転移でパリから日本にとんぼ返りも申しわけなさすぎる。

 

そうしている内に時刻を確認すると、午後二時―――残り四時間で決行となるわけだが……最終確認となってもいいだろう。

 

 

「達也」

 

「ああ。みんな、そろそろ最終確認しようか―――」

 

 

リビングには全員が揃っていた。無論、九亜と四亜もいた……当初は七草家所有の航空機で本土に連れていくことも考えたが、二人は強硬に残ると言って聞かなかった。

 

「姉妹たちには、真っ先に私達が会いに行って大丈夫だよって言ってあげたい」

 

「私達の記憶が、みんなを救えると思っているから……だから会いに行きたい」

 

一種の予知能力……何か『結末』を視たらしき二人も含めて、プリズムトランスをすることになった。

 

その為に、オニキスは結構疲労しての処理作業をしていたが、時間以内にきっちり仕上げてきたようだ。全ては完了した。あとは……どうやって目的を達成するかである。

 

 

「最初に確認しておくが、俺たちの目的は『わたつみシリーズ全員』及び、盛永研究員などの医務担当官たちの救出。及び三度目のミーティアライト・フォールの阻止……同時に現出したアルキメデスの排除だ」

 

「問題は無いな。続けろ司波」

 

「南盾島基地の区画は単純だ。防衛施設の集中する沿岸区域。ここから襲撃を仕掛けるならば、戦術級魔法や……無いものねだりだが『戦略級魔法』などでミサイル陣地を発破する必要があるが、『今回』はやらない」

 

「民間区域に混乱は起こしたくないし、何より三度目は阻止したいしな……」

 

「ああ、だから地熱発電施設を無力化した上で、海軍基地のエネルギーをカットする。当たり前だが非常電源に切り替わる。しかし、そこに俺たちが侵入する間隙が出来上がる」

 

 

電子ペーパーに付けられているマーカー。

海軍基地の中でも目標の場所である、南方諸島工廠という『名目上』の施設こそが研究所だとした達也の言葉に誰もが頷く。

 

 

「海軍基地の連中とて応戦してくるだろうが、刹那の出した犯行予告でモノの見事に殺気立っている奴らばかり―――後は、秋山軍曹の計略次第だがな。もう一つ利用するんだな刹那?」

 

「ゼニガタのとっつあんが来たことは案外ラッキーだな……この島で『不法な魔道実験』が行われていることを知れば、ある種、基地内は更に混乱するだろう」

 

当初はマスコミの突撃取材でも画策していた刹那だったが、官憲……特にインスペクターたるあの人が来たならば、事態は……。必ずこちらに対して動く。

 

「迎撃してくるのは、兵隊たちだけかな? ピクト人に改造された人間は出てこない?」

 

「来るだろうな……というより、そいつらを奥に引っ込ませておく為にも、基地内には混乱が必要だったんだ」

 

アルキメデスの目的がセファールの来臨だとしても、簡単にそんな『怪しげな兵士』を軽々と出すわけにはいかない。プリズマキッドの目的が海軍基地にあるのだとばれれば、衆目を浴びる。

 

事態を穏便に済ませて収拾させたい海軍基地の司令部。セファール来臨儀式までの時間を稼ぎたいアルキメデス。今度こそ隕石爆弾の成就を願う研究所員たち。

 

 

三者三様の目的が絡む中―――部隊を三つか二つに分けての作戦決行。

 

 

「十文字会頭たちは、『外』の収集をお願いします」

 

「任せろ。『中』に侵入するのは司波兄妹、遠坂夫婦、九亜ちゃんと四亜ちゃんの六名だな」

 

「その意図は?」

 

兄妹ではなく夫婦が…!とか悔しげに言う深雪を意識の外側に向けながら、会頭に尋ねるエリカ。

 

仲間外れの意図を知りたかったのだろうか。という言葉を感じながらも―――。会頭は面白がるように言ってくる。

 

 

「チームワーク。部隊は集団とも違うが、二人でのユニゾンが可能なのは、こちらに三組もいる。年少組は案内役でもあるがな」

 

「成程」

 

「同時に、この中でも最大の打撃力・突破力を持つものを、そちらに集めた。お前たちが主力であり『囮』でもある」

 

内部を引っ掻き回されれば巣穴から出てくる。その可能性もある。そういうことだ。

 

煙で燻された穴熊の如く……。工房から出てくるかとも思えるが、アルキメデスにそこまでの陣地作成は出来ないだろうから、そちらの心配はいらない。

一番不味いのは、彼のスキル「殺戮技巧」を利用しての防衛殺戮技巧が繰り出されることだろう。

 

一日の余裕で、どれだけのことが出来るかである―――。そうしていると、見繕ったものの中でも不満を覚えるものが一人。

 

それは達也であった。

 

「それにしても、『コレ』―――俺の趣味ではないんだが……」

 

「使いたくないならば、使わなくてもいいんだが、お前が使っていた『アレ』面倒だろう? とりあえず『弾』は、サービスしておくが、『杭』は、叩き付けることを要点にしておけよ」

 

パイルバンカー付のロケットランチャー……あのセブンス・プレイグ撃破の時に出来た『疑似概念武装』の一つを達也に貸し与えることにした。拳銃タイプの機構を好み、魔法の『躱し』に体術を要諦とする達也のスタイルではないかと思うが、こういった武装を持ちながら吸血鬼どもをぶっぱするドラクルアンカーを知っていた。

まぁあれを強要することは出来ないが、それでも『バリオン・ランス』とやらが拳銃サイズ程度のものに収まるまでは時間がかかるだろう。

 

 

「だが、今は無いものねだりも出来ないな……重量軽減の魔術を掛けてくれ」

 

「はいはい。お互い器用貧乏で苦労するね」

 

とはいえ、杭打機の概念そのものが重すぎるので、『棺桶』(コフィン)を別に用意しておいてのもち運びとなる。

 

そしてこれを持ち運ぶ際の衣装は―――黒いタキシードに簡易な白仮面―――そして黒マント……まごうこと無き、変態仮面である。

 

「何だか外連味たっぷりな『魔王』って感じだ」

 

「お前が用立てたんだろうが」

 

半眼で見てくる達也に降参しながら―――周りを見ると……

 

「「タキ〇ード仮面様……」」

 

両手を合わせて、うっとりとした様子を見せる深雪とほのか―――。どんな姿になっても想う人であれば、変わらぬ情があるってことか。

しかし、まだ想像でしかない達也の姿を妄想できる辺り、深刻である。

 

 

「ワタシも久々のプリズマキッドの姿……楽しみだわ。あの頃、引っ掻き回されっぱなしだったもの……セツナのいじめっ子♪」

 

「美少女魔法戦士として動く『どっかの誰かさん』を補佐する黒猫か白猫のつもりだったのになぁ」

 

「セツナは、完全にタ〇シード仮面様だったわよ。見ていたワタシの眼には、プリンスジュエル・エンデュミオン!」

 

 

皆の輪から若干外れた所でリーナと話し合う。まだ日は高いが、あの頃のボストンでも日が高い内は彼女の散策と遊びに付き合いつつアンジェラの追跡を撒くという中々にスリリングな日常。

 

そして夜になれば、新ソ連の間者をあぶり出すリーナの手伝い。やはりお袋も『魔法少女』だったからか、うん。放っておけなかった。

 

 

『いやー君らの『あの頃』をみんなに見せたい!! アビーとシルヴィアとアンジェラで編集した厳選の逸品を!!』

 

『『やめんかい』』

 

戻ってきたオニキスは、そんなことを言って少年少女を乱すも、あの頃の心持ちを思い出してしまう。

 

―――プリズマキッドはいつでも魔性の脅威あるところに存在し、神秘の秘宝を盗みつづけていく―――。

 

隣にいる少女を触手のタコだかイカから助け出した際のことを思い出す。あの時に、何となくプリズマキッドとしての役割が変わった気がする。

 

ならば……今度は違う少女を、星を助け出すのみだ―――。と思っていると、星の少女。自分達を助けてほしいと言ってきた子の一人が肩口に乗っかってきた。

 

 

「刹那お兄さん。この髪型似合う?」

 

「リビングに入って来た頃から想っていたが、随分とお洒落な髪型にしたな。というか結構バッサリ切った?」

 

切った髪―――セミロングの髪を二つ三つ編みでまとめ、後ろから前に移動させて、前髪を片側だけ隠すという―――本当にお洒落な髪型である。

 

魔眼でも隠しているのではないかと疑ってしまう。がそんなことは彼女の可憐さの前では、あまり意味が無かった。

 

「元々が伸びすぎだったのよ。それとシアは移動系魔法が得意だから、あんまり長いとヘアー自体も干渉範囲にはいっちゃうから」

 

切ったのはワタシ。と言う意味で指をチョキにして言ってくるリーナ。確か座学でそんなこともあったなと思い出す。

 

同時に移動系魔法及び振動系魔法でショートカットと言えば、千代田花音が何となく浮かんだ。

 

まぁどうでもいい話だが、こうして話していると、そういった系統魔法の能力者と言うのは性格がそうなってしまうのかと思う。ようは「おしゃま」「生意気」「勝気」……大体そんな感じに。

 

しかし発育不良ながらも四亜の胸のふくらみは、絶壁な千代田先輩と違って成長の余地を残している。などと考えていると、何気ない微震を感じた。

 

まさか千代田先輩が遠隔で、地雷源でも―――なんてアホな想像を終えてから―――全員の様子を見渡すと―――。準備は完了していた。

 

 

「刹那、お前が号令を掛けろ。魔法怪盗なんてとんでもないものを発案したのはお前なんだからな」

 

「ったく……ここで俺かよ」

 

 

達也の声を受けて、見渡して言うべきこと、やるべきことへの決意は誰もが着いている。ならば、緊張をほぐす意味でも一言に済ますのだった。

 

 

「んじゃまぁ硬くならずに、悪いことをしにいくわけじゃないんだからな。九亜と四亜の姉妹たちを助けに行こう!―――優雅に、慎ましく、な」

 

 

その言葉で光井と雫の硬さは取れて、他全員もまた活気づくぐらいには、いい言葉だったようである。

 

一種の魔歌だったのもあるが―――、ともあれ―――オニキスが、近くにやってきたことで魔法怪盗の時間が始まるのだった……。

 

 

『では始めようか―――君たちの奇跡が、この夜の全てを変えて、運命に打ち克つことを願う―――多元並列転身―――開始!!!』

 


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