魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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二話では終わらんなー。三話、いや四話ぐらいかかってようやく本編かも


第2話『魔法使いの交渉』

 目の前にいるバランスに己がどういった存在であるかを事細かに教えた。それはオニキスからも聞いていたことと照らし合わせての意味だったと刹那は理解していたので、とりあえず誤魔化さずに話すことにしたのだった。

 

 

「成程、根源の渦―――アカシックレコードへと至ることを希求する探究の徒。それが君の世界の魔術師(メイガス)―――そして……この黒くて金星を真ん中に備えてある羽根つきのものは、至ることが出来た魔法使いが制作した杖と―――齟齬は確かにない」

 

「ええ、彼の話すことに何か一つでも瑕疵があれば、すぐにボロを出しますからね」

 

 

 やれやれと思う。隣にいる副官らしき人物と話し合うバランスに対して、そうしながらも―――どうにも即物的な話が無い。

 

 思うにこれはジャブなのだろう。未だに交渉の段にはいたらない。そういうことである。

 

 

「我々の見立てのSB魔法師―――スピリチュアル・ビーイング魔法の使い手というのも間違いでは無かったかな?」

 

「宝石には、それに応じた『精霊』が存在しています。それらを利用してということであれば、まず間違いではないでしょう。プリズマキッドの場面では宝石を、あなた方のスニーキングに対してはルーンを、といった感じですが」

 

「―――実にチートだ。正直、やられた気分だよ。私は『ハリー・ポッター』なんて軍用銃で熨せると思っていた口だからね」

 

 

 この世界の魔法師は神秘の実践者というよりも神秘を科学的に解明して、それだけで―――世界の全てを解き明かした気分になっていたのだろう。

 

 だが、決して法則云々では『完全に見えない』ものもある。それが、彼らにとっては陥穽となっただけだ。

 

 

 しかし、こういった『現代魔法』から離れた人間というのはとにかく、侮られがちだとのこと―――故国の日本風に言えば『古式魔法師』というのが自分の立場だろうが、現代魔法との間に出来た差ゆえに極まった人間でなければ、対抗できないということらしい。

 

 

「現代における魔法の利点とは、起動の速さにある。准尉の『ムスペルスヘイム』は、どんなに熟達した人間であっても30秒はかかるものの、准尉であれば10秒での起動だからな」

 

 

 SB魔法―――和名『古式魔法』の大半というのは大術式を行う際に様々な制約がかかる。これは現代魔法であってもそうなのだが、そこを何とかしているのが『CAD』とのことだ。

 

 

「簡略化した術式を機械端末に『保存』しておくことでの逐一の術式解放か―――」

 

「厳密にはCADが絶対に必要ではないんだけど、起動式を保存しておけば、発動する際に必要な魔法式の構築が面倒じゃないから」

 

 

 お手軽だなぁ。とも感じる。しかし、『脳』だか『精神』にある演算領域にての『解凍』である以上、全く以て対価を払っていないわけではない。

 

 保存されたプログラムを解凍するのが魔法師の肉体。しかし、その解凍も様々な『暗号化』されていて、容易ではないとのこと。

 

 しかし優れた魔法師は、それを難なくやってのける―――そういう『高低』。

 

 解凍ソフトを多く持ちハードディスク(容量)ではなくメモリ(起動量)に余裕がある人間こそが、優れているという見方らしい。

 

 

「ということは、リーナはすごい魔法師なのかな? あれだけの物理的な干渉力を10秒で発動できるなんて」

 

「それほどでも―――って、セツナは簡単に防いでいたじゃない」

 

「生身で喰らえば『痛い』じゃすまないからな」

 

「そういう意味じゃないわよ!」

 

 

 一瞬、褒められて照れた顔をするも、はっとした時には、それが無駄に終わった時のことを思い出すリーナ。

 

 顔の変化が出やすい可愛い子と思いながらも、バランスは矢を放ってきた。

 

 

「資料では読んでいましたが―――攻性能力と防御能力とで開きがありますか、その辺りをレクチャーできますか?」

 

 

 それはつまり『魔術』が、『魔法』に対してどれだけの『優位性』を持っているのかという疑問であった。

 

 教えれば―――こちらの『アドバンテージ』が『一つ』消え去るだろうが―――こういった場合も刹那は想定していた。

 

 

「それじゃ分かりやすいもので示して見せましょうか」

 

『おい刹那。それは流石に見せすぎだよ。神秘は秘匿、秘されてこそのものだろう?』

 

「俺が言えた義理じゃないが―――『先生』ならば『構わん。秘密の一つや二つくれてやれ』とか言うさ」

 

 

 つまりは信用を得たければ、ある程度のことは必要だろう―――ということをオニキスと話し合って、こうして『一芝居』うった。

 

 オニキスもこれは承知のこと―――あからさまなため息的なジェスチャーを入れるオニキスに内心で『計画通り』と笑っておく。

 

 

 もう絵面的には悪すぎるだろうが、一先ず置いて提案をする。

 

 

「何か無くなっても困らない紙とかその他の雑物はありませんかね?」

 

「それならばこれを―――」

 

「ありがとうございます」

 

 

 少佐から受け取った紙―――『パパ、はやく帰って来てね』などと打たれている手書きの紙を見ていいんだろうかと思うが―――。

 

 苦渋の想いで何度も見たのかしわくちゃになっていた。いや、本当にこれを使ってもいいんだろうか。

 

 

 査問室―――結構な広さがあるオフィスの会議室―――もしくは重役会議の場にも似たところ、その中央に丁重に紙を置く。

 

 

「今から俺が、その紙を『無くす』ために術を掛けます。ルーン文字なので、あからさまに見えるはず。それを何としても食い止めてください」

 

「防御―――強化など使っても構わないのかな?」

 

「どうぞ」

 

 

 カノープス少佐ではなくハーディというゲイ・ジャルグで倒した男が前に出る。CADが発光して何かのリングを形成。

 

 紙の『密度』が上がって、更に言えば防御の障壁が完成した。ただの紙に仰々しいな―――そう嘲笑う者もいる中、刹那は『ソウェル』のルーンを虚空に刻み。

 

 紙に転写、同じ文字が発光しながら刻まれて――――結果として紙は燃え上がった。

 

 

「なっ―――」

 

「―――」

 

 

 誰もが呆然としてしまう結果。紙という対象がなくなったことでハーディ少尉の術式も消え去る。

 

 

 続けて同じく『焼失』させる術式だと警告した上で、カノープス少佐より再び『パパなんて嫌い!!』などと書かれた紙(しわくちゃ)を受け取り、同じ場所へと―――。

 

 

「次は私がやります!!」

 

 

 やる気を見せるリーナ。ハーディよりも強力な術式、更に言えば冷却系統の耐熱障壁まで形成。

 

 これならば―――誰もがそう思うも刹那の書いたルーン文字は障壁を超えて転写。

 

 再び同じ結果となった。

 

 

「今の見えた方いますか?」

 

 

 くるりと全体を見回すようにすると全員が呆気に取られていた。そんななか少佐だけが見識を述べる。

 

 

「さっぱり分からないな―――とはいえ察するに魔法で強化されたはずの『紙』の『情報』を消し去ったのか?」

 

「大まかに言えば」

 

 

 イデアとエイドス。この世界でいう―――『魂魄』的な意味合いの『側面』『概念世界』の側―――これこそが魔術が魔法に持っているアドバンテージと言える。

 

 

「この場合、俺が描いたルーン文字は『紙』に対して『燃える』『焼失する』という『干渉』を果たした。『物質的な現象』が起こる前に紙自体に『転写』された文字がその結果を『強要』することで、二次的な効果として『炎が上がる』『そして紙は消え去る』という結果が残るということです」

 

「しかし、その前にあった障壁を超えた理屈が分からんぞ―――この世界の魔法とて相手の干渉に対してそれよりも強い干渉だけで乗り切れるわけではない」

 

「これは確認してはいないことですが、恐らくエイドスに記載されている情報にルーンが無いから『防げない』。わけのわからないものに対しては『明確に対処』出来ないということなんでしょうね」

 

 

 これは即ち神秘の『密度』の問題。仮に紙の前に展開していた障壁で防ぎたくば、この世界のルールでは『描かれたルーン魔術』がどういった結果を齎すのかを正確に知らなければいけない。

 

 そうしてこそ障壁魔法は、転写されるはずのルーン文字に対して初めて干渉力を持つことが出来る。そういったルールなのだろう…言っていて自信ないけど。

 

 

「ただ、あなたはこれを使ってスターズ隊員のスラストスーツを無力化しなかった。なぜですか?」

 

「前提条件としてルーン文字の『転写』というのは、『直接的な魔力』を張り付けたものに対しては然程の意味を持たない。寧ろ、効果を発揮しないこともざらです」

 

 

 戦闘状態に入った魔法師というのは全身から『サイオン』を噴かせる。何かのオーラのように一種の防御ともなりえる。

 

 無意識で発するサイオンが『氷結』『延焼』『発雷』などに転ずる可能性があるならば、更にルーン魔術の効果は薄くなる。

 

 

「俺が戦闘にルーンを用いるのは、戦い方を教えてくれた人間からの癖です。直接的な魔力を張り付けた相手に対してルーンの転写はほぼ意味為さないならば、ルーンを用いた強化した肉体で直接殴る―――そういう人でしたから」

 

「セツナの表情で、なんとなくだけど―――結構『ダメな人』?」

 

「なんで分かるの?」

 

「私の失敗談とか聞いてるときの表情に似ていた」

 

 

 リーナの言葉にそうだね。と腕組みしながら『しみじみ』としたいのだが腕を組めない状態なので、まぁとりあえずそうしておく。

 

 

「ルーン魔術に宝石魔術……なるほど他にも色々小技があるようだな。その辺はミス・オニキスから聞き及んでいる」

 

「まぁ他には薬草学なども―――」

 

 

 と言い掛けた刹那の言葉にオニキスが言葉を重ねてきたことで議論が止まる。

 

 

『刹那の作るサルビアやマンドレイクを使った美容液はお肌の若返り効果10歳以上と有名なんだ。一度お試しあれ♪』

 

「お前どこに隠し―――」

 

 

 持っていたんだ。という言葉の前にリーナを除き女性隊員全員に雷が走ったかのように、オニキスが羽に持っている化粧水の瓶に眼が釘付けとなる。

 

 いつの時代も女性は綺麗になる為に、苦心するものである。

 

 だが兵隊がこんな調子でいいんだろうかとも思う。いや、本当に―――。

 

 

「前線部隊の大事な兵士たちにこんな怪しいものを試用させるわけにはいかない。まずはこの中では年配かつ事務方の私が試そう」

 

 

 後方勤務。事務方とは思えない身のこなしでオニキスの前にいちはやく立ったバランスが化粧水の瓶を受け取り女性隊員全員が『クソが!!!』などと言わんばかりの怨嗟の声を無言で上げるように睨みつける。

 

 さっそくも手に取り何度か手の平を湿らせてからその肌に塗りつけるバランス。その前に化粧を落とさなくてよかったんだろうか―――と思う。しょせんそこまで女性の化粧に懸ける情熱は分からないのだから言わんことにしといた。

 

 

(よっぽど見せたくないすっぴんなんだろうか―――)

 

 

 無責任にそんなことを想いながら効果のほどを見る。するとサルビアの花蜜とマンドレイクの精油とが反応をして、少しの若返り効果を生む。

 

 つーかぶっちゃけ30代ほどだろうバランスの肌がみるみる艶を取り戻していく。どうやらいい感じのようだ。

 

 

「―――これは―――」

 

『二十代の肌を取り戻した気分はどうだい『ミス・ヴァージニア』?』

 

「ええ、感無量ですね。こんな秘術があるだなんて、シールズ准尉の家系にある仮装行列(パレード)を欲した以上に今は満ち足りています」

 

「私の入隊スカウトにそんな理由が!?」

 

 

 嘘か真か―――リーナの秘術を欲していたというスターズの上層部、もしくはこの女(うっとりしている)の私的な欲望は―――どうやら現時点で解消されたようだ。

 

 しかし、それで終わらないのが女性というものだ。

 

 美しさに対する希求は楊貴妃やクレオパトラなどのような絶世の美女と呼ばれたものたちも喉から手を伸ばさんばかりだからだ。

 

 

「セツナくん! それはどうやったらば精製出来るんですか!?」

 

「これだけでも彼に何かしらの便宜を図る余地はありますよ!!」

 

 

 女性隊員たちの声が響く中、一人の男性隊員。先程―――防御術式を使ったラルフ・ハーディ・ミルファクが手を挙げた。

 

 

「セツナ君、君の魔術というのは―――その、人格すらも変質させられるのかな?」

 

「どういう意味で―――なんてはいいませんが、そろそろ『自己紹介』してもいいんじゃないですか?」

 

 

 そうだね。という言葉で前に出てきたのは赤毛の―――スターズにおいては通称『狂犬』と呼ばれている男、回し蹴りで叩きのめした男。

 

 少しだけ声の質も変わっている人は、改めて自己紹介をしてきた。

 

 

「皆さん初めまして。僕は『アルフ』―――あなた方が良く知っている『ラルフ・アルゴル』の中にいた『同居人』です」

 

「――――どういう意味だラルフ?」

 

「二重人格―――ジキル博士とハイド博士は『同一人物』だったということですよ」

 

 

 その通りと言わんばかりに笑みを浮かべる『アルフ』

 

 

「詳しくはバランス大佐ならば分かっているはずですよ」

 

 

 それは皮肉のようだが――――この場においてはあまり意味が無い話だ。として20代の肌を手に入れたバランスは斬り捨てた。

 

 察するに何かしらの『人体実験』が行われて、このラルフ・アルゴルの中にもう一つの人格が誕生したのだろう。

 

 独自に調べたり、オニキスが閲覧した限りでは能力開発の為に、かなり非人道的なことも行われていた。

 

 

 その一端が、あの凶暴そうな顔から一転して穏やかな顔をしているラルフならぬアルフだろう―――。

 

 

(バランスはリーナにこれらの事を話したくなかった。聞かれたくなかったということか)

 

 

 それなりの人間性はある。いい人なんだな。と思って―――悪印象を少し無くす。

 

 自分が歯を媒介にして『同居人』を表に出したとは伝えて―――。

 

 

狂犬(マッドドッグ)な方がいいですか?」

 

『『『いいや全く』』』

 

 

 スターズ隊員全員一致の結論に『アルフ』は苦笑い。なんやかんやと『同居人』にも愛着はあったのだろうか。

 

 そうして、大体の事情を聞き終えたのかバランスは話の締めに持っていこうとしていた。

 

 

「―――成程、大体の所は理解しました。まだ『隠しているもの』はあるでしょうが―――とりあえずそこは詮索しないでおきましょう」

 

「ありがとうございます」

 

 

 素直に感謝を述べられるとは思っていなかったのか、面食らったような顔をするバランス。

 

 

「……では、最後になるのだが―――なぜあのような怪人風の格好をして世間を騒がせた? 君はこの国でローンレンジャーか、快傑ゾロにでもなりたかったのか?」

 

「せめて『まじっく快斗(KAITO)』『21世紀末に現れたアルセーヌ・ルパン』とでも称してもらいたかったですが、何と言えばいいのか、とりあえず『こやつ』の精神安定の為にああしたわけですよ」

 

「なんでよ。何か手のかかる子供みたいに扱われて不愉快よ―――プラズマリーナの格好だって任務だと分かっていれば割り切れたわ」

 

 

 ウソつけ。と現地スタッフであるアンジェラ・ミザールと、不意の闖入者である刹那が思ったが、まぁ言わないでおこうと思った。

 

 とはいえ先程から刹那の『拘束具』として腕に体を巻きつかせているリーナは、更に力を強めた。

 

 

「仲がよろしいなシールズ准尉。ですが男性を拘束し過ぎれば、束縛を嫌って飛び立つものです。女は時に男に寛容さを見せておかなければならんよ」

 

 

 軍人として―――というよりも完全にレディ(淑女)としての心構えを説くバランスの言葉。なんかしみじみと言う姿に―――男性陣一同は―――。

 

 

『そういった『経験』がおありで?』

 

「ハラスメントで訴えられたくなければ黙っていろ」

 

『申し訳ありません。マム』

 

 男性陣全員を睨みつけるバランスの顔は色々あれであった。

 

 まぁ色々あったのだろう。色々あり過ぎて未だに『ミス・バランス』なのだから―――。

 

 敬礼で返した男性隊員一同を見ながら、刹那が思う所、この人の―――十代の頃―――はっきりいって異次元めいた事実に思えた。

 

 

「君もだ。民事で納得するまでやり合うぞ」

 

「流石は訴訟大国、おっかねぇ―――まぁそれはともかくとしてボストンでの顛末は様々な情報で分かっていたので、『何処』に拾われるかを競わせていたわけです」

 

「傲慢だな。だが完全な異世界、いや『平行世界』。おまけに2020年に差し掛かろうという時代に生きていた人間では仕方ないかもしれないか、そこまで無頼漢でもないんだろうな君は」

 

「察していただき感謝です。つまりはアメリカの美女に釣られるか、ロシアの美女、『アナスタシア』のようなのに釣られるか―――いたいいたい、ちょっ、リーナ痛いんだけど!?」

 

 

 完全に男を束縛しにかかっているリーナの姿に誰もが唖然とするが、今のは完全に刹那が悪いというジャッジが下された。

 

 しかしながら、もしも新ソ連が強硬的でなく幾らかの被害はあれども相手の素性を『知ろう』とすれば、『やんわりとした交渉』を持っていれば、そうなったかもしれない。

 

 

 そう考えればリーナは結果的に『大金星』を上げていた。偶然とはいえ、刹那と関わりを持ち最終的にはボストン港で何度も密会デートを重ねていたのだから。

 

 刹那の本心がどっちなのかは分からないが―――それでも戦果であろう。

 

 

 そんな二人の『星』を見合わせていたオニキスは『もしや……』と思うぐらいには『何か』を見出していた。

 

 明確ではないが、それでも可能性はあるかと思って今まで殆ど無言でいたのだ。つまりは刹那とリーナの相性を―――比べていたのだ。

 

 

「成程な。では―――我々と契約してもらえるかな?」

 

「こちらが出せる範疇を認めて、こちらが望む『報酬』を与えてくれるならば―――」

 

「……シールズ准尉だけではダメか?」

 

大佐(colonel)!!」

 

 

 叱責の声を飛ばしたのはシルヴィア少尉。上官に対する態度ではないが、一番目に言うべきはずのリーナが、顔を真っ赤にした以上は―――彼女が口を開くことに―――。

 

 

 兵士の身柄や人権をなんだと思っているのだ。という叱責ではある。それにはスターライトの教官も務めているユーマ・ポラリスも同意である。

 

 そんな風な反応を見たバランスは気鬱な顔をしてから嘆息をして―――口を開いた。

 

 

「半分冗談だ。まぁいい。正式な辞令はいずれだろうが、この場で発表しておこう。アンジェリーナ・クドウ・シールズ准尉―――貴官には―――」

 

 

 その言葉が少女の運命を決定づけた―――。同時にそれこそが少年の運命も決定した。

 

 

 気鬱な顔をしたバランスの意図は……刹那とオニキスにとって何となく察するものがあったのだから――――。

 

 

 

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