魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~ 作:無淵玄白
まぁ本筋に絡むことは無い話ですけどね。ぶっちゃけオーフェンで言う所の富士見ファンタジアの頃のラッツベイン話みたいなもんですよ。
キャラ変わりすぎだろ(爆)
『南の島での後始末』~魔法超人の憂鬱~
南盾島を巡る陰謀や、それに関する戦闘の全ては終わりを告げた。
魔法怪盗キッドたちに関しての噂は、あれだけの戦いの末に殆どの撮影機材がおしゃかになったことが幸いした。
というか、星舟が落ちてきた時点で大規模な電磁パルスで南盾島の電子機材の殆どはダメになったので、住民たちの保証や補填などでてんやわんやしつつも、南盾島の開発に一枚噛んでいたホクザングループの鶴の一声で役所は迅速に動けた。
大規模な魔法戦闘を行ったキッド達は、囚われていた『ワルキューレの少女たち』と共に彼方へと去っていった―――と思われているが、まぁ雫の別荘がある媒島に帰還していたわけである。
水上着水で待機していた飛空艇の機長である伊達さんは肝を冷やしつつも、雇用主の命令には忠実に従っていた。
臆病ゆえに、国防軍の
最新機器を使ってなくても撮影された映像やサルベージされたものから自分達を割り出す人間もいるかもしれないが、ともあれ『いいから今は行け。後始末は任せろ』という寿和さんの言葉に素直に従って謝りながらの退場であった。
盛永さんや医務担当官達は―――鬼刑事たちに任せることにした。その後の身に関しては、十師族などが受け持つだろう……一種の司法取引であった。
兼丸孝夫に関しては多くの追及がなされるかもしれないが、ことが海軍関連ともなれば、中々に黒い事情もあったが……その辺りはどうでも良かった。
ただ―――彼とミスター・ウォーク・アイズデッド……キャスター・アルキメデスとの繋がりは分からなかった。
元々、この世界の魔法師のレジストスキルなどたかが知れているから、初歩の洗脳魔術などで適当に『魔法技術アドバイザー』だの胡散臭い肩書で偽って入り込んだことは、容易に想像が着いた。
今もってどこから現れたかは分からないが、ともあれキャスターは完全に消滅した。霊基グラフからもそれは確認済みである……。
サーヴァント召喚の為の秘術……自分が生まれる前に『フェイカー』なるサーヴァントとやりあった先生とグレイ姉弟子のことを考えれば……相当な『器物』や準備立てたレイラインの整備があれば可能なのかもしれない。
正直、『コンジュアリング』系列に関して、この世界のことを『なめていた』刹那とオニキスは自戒するのだった……。
九亜たち『わたつみシリーズ』に関する処遇は決まってはいないが、恐らく四葉辺りに預けるのが適当なのだろうと思えていた。
十師族の会議次第だが―――九亜たちの『同化現象』という『精神分野』に関するノウハウは、彼らが一番持っているのだから―――麻薬中毒者の治療にも応用しているとすれば、それは仕方ない―――が、七草も何か言うだろう。
それ以上に九亜たちが調整体魔法師の未来を明るいものにするのではないかと思えているのだから、手助けしたいのだろう。例えそこに下心があったとしてもだ。
「ウマとロバの相の子であるラバ、カモとアヒルの掛け合わせである合鴨―――調整体魔法師は、これらと同じなんだ。
挙げた例が、殆どの場合……正常な生殖機能を持たず生まれ出る。その遺伝学的現象を人類は、まだ克服出来ていない」
「自分で増えることが出来ない、か。生物としては致命的な欠陥だな……けどそんなことあり得るのか?」
そうは言うが、完全にそれらを喪失して生まれてくるわけではあるまい。ただ単に遺伝子の型が合う合わないが多いだけだろうに……。
「そうだな。確かに無いとは言い切れない―――だが……やはり多くの調整体たちというのは、そういう風なんだよ」
奇跡的に種を残せる雌雄に巡り合えるかどうかは、運しだいということだろう。
如何に魔法師と言えども、そこまでの強烈な遺伝子操作を行って生殖をしているかと言えば、それも疑問だ。
その辺りは当時の魔法研究者たちでも意見が割れたのではないかと思う。
人類社会に紛れ込ませるには、彼らはあまりにも人知を超えた能力を持ち過ぎる可能性がある。多くのSF創作物でも論議されてきたものだ。
彼らを一代限りの生命として、容易に増えないような遺伝子上のトラップを仕掛けておく。
あるいは……魔法師というものを完全に人類の中に溶け込ませるように、なるたけ
結局、復活しつつある『第二次冷戦構造』の中で、日本他の他国では後者を選択した。自然に増えるならば、自分達の手間も無くなるだろうと言う考えか、もしくは――――。
(人類の精神構造をステップアップさせたかったか……)
ヒトは、人類は、『極めて』自分達に近すぎる存在を受け入れるには、まだまだ『幼すぎる』……。
ホームヘルパー型のアンドロイドですら機械的な処置のみをこなしているのだ……。けれども『希望』を持ちたかったのかもしれない。
託したかったのかもしれない。中には『人類の敵』となることを望んだものたちもいたかもしれない。どんな派閥もいただろう。
極めて『アトラス』に近い思考の持ち主だったのだろう。初期の魔法研究者たち―――そして現在も生きる『スポンサー』たちは……。
―――そんな風に魔法人類史に対して述懐していた達也と刹那に対して声が掛かる。
『そこの男子ふたり! 油売ってないで、さっさと手伝いたまえ!!』
「「了解でーす!!」」
油を売っていたわけではないが、まぁともあれ作業が一段落したところだったが、どうやら次の作業が始まろうとしていたようだ。
「かいと―――じゃない『棟梁』。次の作業は?」
「ああ、二号棟のガレキ撤去作業と並行しての、建て直しだ。遠坂と司波。お前たち二人がかりならばコンクリート入らずだな?」
「図面をいただければ、おおまかには」
その言葉で残っていた基地兵士―――秋山軍曹から端末に図面が送られてきた。達也と共にパースの確認をしていると、他の魔法師及び建設作業員などそれぞれに指示を出す『十文字棟梁』。
十文字家の表向きの職業は土木建設会社のオーナー。要はガテン系の職業であり、克人先輩も親父さんに着いていって、この手の稼業を時にやっていたようである。
実際、この人が『鉄骨』などを手に持って作業している風景は、容易に想像出来た。
というか今でも魔法を応用してそういう作業重機以上の活躍をしていると、こういった被災地域で動くことが出来るのも強みだと言える気がする。
兵器としてだけでなく、時に
21世紀前半から機械技術が軒並み発展しているとはいえ、今でも隘路などに作業重機を入れられない事態は多いのだ。
そして不運な事に、刹那が生きていた時代以前から未だに自然災害が多い日本において、幸運なことに、このような時に魔法師の強みとは生きてくるのかもしれない。
そんなことは兎も角。多くの魔法師や工兵部隊、建設作業員たちを駆使しての作業は今日で大半が終わりそうである。壊れた機材の設置や滑走路の補修にいたるまで、細かな作業を含めなければの話だが。
ちなみに言えば、沖合に『なぜかいた』ニューメキシコという原子力潜水艦。USNA軍からも救援の手があるかと思われたが……それを丁重に断った。
『Nobody knows?』―――積極的な意訳をしなければ分からない『身元不明者はいるか?』という問いかけに、刹那とリーナが答えるとハワイ基地に帰ったようである。
『Good Luck Little Wizards』という『ベン』からの言葉に苦笑してから、こうしているということだ。
そんな中、十文字棟梁に互いするだけの作業をこなしている男が一人いて注目を浴びていた……。
「レオは手馴れているなぁ……」
「まぁな。実を言うと年齢を誤魔化して建設現場で働いていたこともあるんだよ」
それは誤魔化していたのではなく、『西城』のところの『ボン』だと理解されていたのではないかという邪推は横に置いといた。
邪推を言わずにいると、十文字棟梁と共に第一陣で動くように言われたレオは向かっていく。
「会頭―――じゃない棟梁は、どうやらレオに『何か』を見出したようだ」
「…『何か』って?」
「後継者―――ってところかな? 戦闘の最中に見せたオーラは、ファランクスとは似て非なる『盾』に見えたんだろうな」
『再生』と『逆行』の同時術式で端末に表示された通りに、建物を復元させていく過程で達也から教えられて、ふむ。と考える刹那。
確かに内々の話だが、服部副会長が次期部活連会頭に推されている事は知っているが―――服部副会長はスマートな印象の魔法師であり―――何というか、やはり一つの頭というには若干、『凄み』が足りていない。
本人からも聞いていたが、自己分析したりすると、サポートや参謀役が相当だと聞かされていた。
十文字先輩のイメージを引っ張るのもあれだが、肉厚な、それこそ魔法師として以上に人間として頼りにしたい相手が、いざとなれば『盾』となり皆を引っ張る気持ちが欲しいようだ。
その相手として―――会頭はレオを『鍛える』ことにしたようだ。一科二科に関係なくその場に居合わせたという点で、率先して動けるレオの積極性を買っているのだろう。
「あの人の後継者って大役すぎないか?」
「そうだな。けれど、何となくレオも肌身で感じているんだろうな……」
その言葉で刹那が思い出すのは、大河おばちゃんの息子。
二年ほどしかいなかったとはいえ、『兄貴』と呼びたくなる相手も雷画じいちゃんの後を継ごうと、少年ながらに色々と動いていたのを感じる。
藤村組の新たな組長にならんとして……。
「ある意味、ならず者の集団である俺たちをまとめ上げるのは、レオや十文字先輩みたいな人間なのかもな」
「だな―――っと、刹那。そこのパースが狂ってるぞ」
「悪い。集中するか―――」
そうして十文字会頭の現場での陣頭指揮―――そして堅牢な要塞作りとしてのオニキスの図面引きが正しく発揮されて、一高生のボランティア活動とが加わり―――昼になる頃には、六割方の作業が終わっていた。
『う~~ん。我ながらいい出来だ~☆惚れ惚れしてしまう。最終的には変形して氷の大地を突っ走り、雪深い大地を乗り越える移動要塞にでも改造したい~』
南国なのに―――!!! と何故かツッコみたくなるオニキスの言葉を聴きながらも、昼の時間となった。
昼休み―――2時間ほどの長めの休憩ではあるが、それでもその間に基地職員の家族・恋人がやって来たり、水入らずでの食事もある。
そう言う風な心の安息も必要と言うことで、女手の殆どは給仕仕事にかかりっきりであった。
ホームヘルパーでは出せぬ手作りの味こそが、多くの人間を癒すのだ。(オニキス談)よって割烹着姿でおにぎり握っていた少女達の手作りに殺到するのは当然であったりもする……。
そんな中、刹那が離れたことで、深雪との二人っきりとなった達也は若干の真面目な話をしつつ、深雪とほのかからのおにぎりを食べることにする。
「刹那に隠れて密談するというのは不義理な限りだが、まぁあいつの手札が予想外過ぎたからな。仕方あるまい」
「魔術師の
「ああ、ネットサーフィンで調べた限りでは、『フラガラック』『フラガラッハ』という剣は確かに伝説に『存在』していたようだ」
異界の支配者、海神とも称されるケルト神話におけるウェポンマイスター『マナナン・マックリール』が太陽神ルーに与えたとされている『自動飛翔剣』とでも言うべきものは、確かに伝えられている。
しかし、それが本当にどういう武器でどんな形状をしていたかは定かではない。ただその効果を知るに、刹那の剣との違いが際立つ。
「鞘から抜けばひとりでに飛んでいき、敵を射抜いて回復不能な傷を与える。そして戻ってくる……そう伝わっているが、伝説を鵜呑みにすると、俺たちがあの時感じた違和感が、どうしても拭えない」
「はい。あの時、お兄様及び。魔法師、非魔法師すらも感じたはずです。
アルキメデスの『魔力レーザー』……周辺を焼き尽くすだけの熱波を感じさせるものが放たれた。そう……『放たれていた』はずなんです」
その通りだ。あの時、達也もアルキメデスの直下にある氷を元に、マテリアルバーストでせめて足止め出来れば―――そういう捨て鉢ともやけっぱちとも言える行動を取った。
だが、『アンサラ―……―――フラガラック!!!』その単純な『魔法剣』の撃ち出し一つで、
溶けて沸騰するはずだった氷海は、そのままに。
直下の氷を元にした質量の増大もなく、足場である氷を強化、保持する冷気もなく……。
ただ一つの確かな結果は、鉄球剣の撃ち出しで『霊核』を貫かれたアルキメデスの姿のみだった。
「……考えたくないが、アイツは俺の再成のような『間接的な時間操作』ではなく、もっと『直接的な時間操作』も可能なのかもしれないな……。そうだとするならば、ヤツと敵対する時に考えてきた秘策が全て水の泡になる」
トライデントもバリオンランスも、マテリアルバーストも魔弾も……等しくヤツの持つ秘奥の前では失態であり失策となる。
「呪文詠唱というハンデがハンデではありませんからね。ただ……あの時、オニキスさんがわざわざ『製図ケース』を持ちだしてまで鉄球を用意したのは、弾数には限りがあるということでは?」
「それすらアイツにとっての
達也としても頭が痛くなりながらも、どうすりゃいいんだろう。という『悩み』を持ってしまう刹那に苦笑せざるを得ない。
だが、そんな風に『地上最強の男』と深雪が信じている兄が、遠坂刹那という男のことで頭がいっぱいになってしまうことに、淑女としてはあるまじき歯ぎしりするような嫉妬心を出してしまうのだった。
深雪特製のツナマヨおにぎりを食べる達也のおこぼれを狙ってか、ふたりの食事スペースの真上にはウミネコが『ニャアニャア』と鳴いて待機しているのだった……。
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「いい感じに幻惑されてやがるなぁ。いやぁこういう騙し合いで勝つと、魔術師なんだなぁって思える」
秘術のキモを探り当てたようで、実は全く以て見当違いな所に着地させたとなると、「してやったり」な気持ちになる。
皆がいる食事スペースから離れて海を臨める絶好のロケーションでの食事を取る刹那とリーナは、達也の推測を使い魔であるウミネコを通して聞いていたのだった。
磯場ともいえるし競りだした山肌とも言える場所は、ふたりっきりの場所であった。
「それにしても随分と大事になっちゃったわね。何だか第一高校の生徒がボランティア活動に従事していることまでネット記事になっちゃってるし」
「愛梨や平河、十三束に後藤君、エイミィと随分と面が割れすぎじゃないか?」
引っ切り無し―――とまではいかずとも何通も届くメールに対して、四苦八苦しながらの返信を終えてからの食事だったのだが……裏の事情を知っているかもしれない面子―――特に愛梨、栞、沓子は文面に苦慮した。
一条将輝からのメールは『司波さんは大丈夫なのか!? 刹那!! いやそれよりも司波さんと海水浴とか―――お前―――!!!』などと文面からも読み取れる激情の限りが、何かウザかった。
「隠れてやることも不可能では無かったんだろうが、それを選択出来なかったのは―――「誰か」の意思だったんだろうな」
「3度目の実験そのものは、セファールが堕ちてくるための魔力充足のためのものだった……その剣を通してセツナはアルテラの意思を受け取っていたのね」
その剣―――アルテラが使っていたとされる軍神マルスの剣―――再現しようと思った切欠すらも彼女の意思だったのかもしれない。
「
とはいえ、後の事―――人々の眼に焼き付いたことに関してはスパイダーマン方式で皆して黙っているようであった。
いっそのこと「僕ら『プリズマキッド』のコスプレイヤーをやっている魔法科高校の生徒で、ちょっと海軍基地に用事があったんです」などと言うこともあり得た。
苦しい言い訳ではあるが、もはや海軍研究所が行っていた研究に関してはリークされていた。
『―――『孤児』の未成年魔法師を利用しての非道な魔法実験を止めたプリズマキッドお手柄!!』
こんな文面だったり愉快犯を諌める書き方だったり―――八王子クライシス以上のことになってはいたが、まぁ収まる時は収まる。
宇宙人が来臨しましただなんて、アホすぎる事実をそのまま書ける訳もない。第一データの殆どは消去されていたのだから……。
「まぁしばらくはこの島も休まることはないかもしれないが―――、秋山軍曹みたいないい軍人さんがいるんだ。もう二度とあんなことは起こらないだろ」
「投げ槍ねぇ。南側の守りは―――これで正常化したんじゃないかしら? 海軍も本腰入れるだろうし」
ここまでのスキャンダルが暴露されては、何かしらの頭の入れ替えは行われただろう……。
大神〇郎さんのような海軍将校が現れることを期待したい……!(切実)
「それにしても最大級に分からないことが、一つあるんだよな……」
「何かあったかしら?」
「リーナがエリザベート・バートリ―の霊基を宿す前に言っていた、『この世で一番硬かった壁』って何だ? まぁその意気がもしかしたらば、エリザベートを呼び出したのかもしれないけど」
そんな何気ない言葉に、『きょとん』とした顔を見せるリーナ。そんなものを壊したっけか? という想いもあったのだが、苦笑しながらのため息を突くリーナに、まずったかな?と思う刹那だが……。
「……『この世で一番硬かった壁』―――それは、ヒトの心に張られたものよ……中でも多くのモノを失ってきて、それでいじけて目の前にいる魅力的な女の子に手も出さないクールというよりも、ニヒリスティックな少年の心に張られた
「そこまで俺は、いやまぁ―――あの頃の俺は、少しな……思い出させんなよ……」
そう言えばあの時も、プリズマキッドにならざるをえなかった時だったか、突き放したかったわけでないのだが、どうにもあの頃には限界が来ていた。
リーナに対しての秘密の厳守―――それと同じく達也たちに秘密を晒す時も近いのかもしれない……が、今はとりあえず惑わされていてくれと思ってしまう。
そんな風に気恥ずかしさでバツが悪かった刹那にそっと抱きついてくるリーナ。
あの頃の刹那とリーナは、いつも一方的な感情ばかりぶつけて、それじゃ伝わらないことぐらい分かっているつもりでいた。
いただけで……それが、あんなことになってしまって、本当に後悔ばかりでいて、それでも前を向かなきゃならないことを理解した日だった。
「もう壁を閉ざさないでね。アナタの心は―――ワタシが側に寄り添っていないと、本当に……イヤなんだからね」
「もう離れない―――そう決めた時から、俺の心は―――」
――
お互いに無言で瞳を交し合いながら睦み合い、お互いの滑らかな唇に唇を合わせるのだった……。一度だけの接触を終えて再びの深い抱擁と熱い口づけをした所で……。
作業再開となるのだった……。こうして夏休みの後始末は、概ね終わったが―――本当に大変だったのは、内地の東京都に帰ってからだった……。
四日間掛けて島でのボランティアを終えて、北山家に保護されたわたつみシリーズの今後の事を考える。
その為に呼び出された横浜の魔法協会関東支部にて、四月のような面子での事情説明となるのだった。
臨時の師族会議に出席することになったのだが――――――。
「―――みなさん。ご自分の監視地域はいいんですか?」
まさかオンラインのテレビ会議ではなく、十師族全員が直で円卓を囲んでのものになるとは予想だにしていなかった刹那を誰が責められようか……?
「少年! 彼らがニホンの
俺が聞きたいぐらいだ。と小声で訊いてくるゼニガタのとっつあんに心の声で答えつつ、