魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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というわけで二学期突入編。2、3話ぐらいで終わるだろう話です。ぶっちゃけ、本編もあまり長くなかったですし

なのによんこまの方では、二話(二か月)にわたって繰り広げたとか、恐るべしtamago先生!!

むしろこっちの方向でもよかったかな? とか思いつつ、久々の学園編をどうぞ。


第一高校生徒会長選挙編‐EXTRA‐
第118話『中条アズサの憂鬱』


 世間一般ではどう見られているか分からないが、魔法を専門に学ぶ高校生も普通高校の生徒と同じく、夏に色々あったことを語る。

 

 最初は一か月半ぶりに出会ったクラスメイトからだろうか。特に部活動に入っていない人間は、特に用事も無ければ学校に来ることもないわけで、B組の面子がリーナと刹那に殺到するのは当然の話だった。

 

 特に九校戦に選ばれなかった十三束、後藤の2人からは『来年こそは!!』という意気を感じた。感じたが、その前にも色々とイベントはあるので落ち着いてキャリアを積んでほしいものである。

 それでも、やはり自分やエイミィなど選抜選手の戦いぶりで色々と触発されたのか、一年クラスは燃え上がっている様子を感じるのだった。

 

 

 二学期始め辺りは浮かれた気分が蔓延していたが、落ち着きつつ二週目に突入しようとした辺りにちょっとした事件が起こった。

 

 幸いなのか不幸なのかは分からないのだが……リーナと刹那が巻き込まれなかった『ドリームゲーム事件』。

 

 本来ならば魔法大学に送られているはずだった『邯鄲の枕』という聖遺物……恐らく一種の概念礼装だろうと思われるものが、一高生徒の夢見に影響を及ぼしていた。

 

 中でも特に個性的な夢を見ていたのが、二人が関係することが多い面子。達也組や三巨頭、ついでに言えば生徒会の面子だったりである……。

 

 古式ゆかしいロールプレイングゲームじみた世界観の中で勇者をやったり魔王をやったり、すごい楽しそうではあったのだが、最終的に学校全体を支配下に置くほどのエネルギーを発して、生命収奪の神殿としてきたことを受けて、面白がっているだけでは不味いという事で封印措置の開始。

 

 この手の術式には覚えがあった……『他者封印・鮮血神殿』(ブラッドフォート・アンドロメダ)

 

 ギリシャ神話の影の主役たる魔獣たちの祖。石化の魔眼を持つメドゥーサの宝具も同然のエネルギーを発揮した……。

 その際に、一種の『洗脳下』にあった達也と深雪、ついでにレオとエリカとガチバトル―――。

 

 あちらは己を『ロード〇の魔神王とその妹姫(禁断の愛所有)』『魔神王の腹心であり親友、そんな魔神王に懸想する女幹部』として襲い掛かって来たのだ。

 

 ちなみに刹那とリーナは、『ロー〇スの自由騎士とハイエルフの従者』……いい役どころだが、狙われたこちらとしてはたまったものではない。

 

 それらを退けつつ、百山校長の元にあった邯鄲の枕に対して封印執行。その際に香炉にあった四方相当の『けもの』の力を『ちょろまかして』、一種のけものフレンズ(爆)にしたことは内緒である。

 もしかしたらば、返却先である魔法大学の講師であり、四葉の執事という人物……達也と深雪に着いていった際に会った人間は察したかもしれないが……まぁどうでも良かった。

 

 悪霊ガザミィほどではないが、面倒なものをこの世界の魔法師も考えたものだと想いつつ、その事件は終わった―――気になる点と言えば、自分達が出てこない代わりに、皆の夢には―――。

 

『達也おじさまは、『殺しても死なない特性』を持っているから全力のガンドを撃てるわ!! 遠坂流ガンド術奥義!! 極死無双!!!』

『呪いを剣にして撃ち出す。お姉ちゃんほどではないけど、ワタシのケイオスソードを魅せるのだわ!!』

 

 などと『黒と金のツインテールの双子』が天空の花嫁の子供のごとく、時に味方だったり敵だったりで混乱に拍車を掛けていたらしいが、何のことやらであった。

 

 

 そんな人騒がせな事件を終えて、第一高校にとっての一つのヤマ場。九校戦ほどではないが、それなりに大きなイベントが控えているのだった……。

 

 

『第一高校生徒会長選挙』

 

 それもまた若干ながらも人騒がせな事件となるのだった……。

 

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「私たちも今月で引退かぁ……」

 

 第一高校生徒会長七草真由美のおセンチすぎる発言が聞こえたが、構わずに刹那は生徒会の端末を通して会話を続行した。

 達也及び市原鈴音立会いの下での端末越しの会話。耳に着ける古めかしいタイプのインカムを通して刹那の話し相手は、ドイツ語で問いかけてきた。

 

 先程の可愛い声の持ち主は誰なんだい? そんなニュアンスで真面目な話を少しはぐらかしてきた相手に、『気にするな。おセンチになる時期なんだ。そっちと違ってこっちは三年制の高校だからな』と伝えると苦笑する相手。

 ゲルマン人の割には、どこかジョークを多用する相手だと思いながらも、質問された内容に答える。現代魔法の摺り合わせで難しいところの説明を達也とスズ先輩に噛み砕いてもらおうかと思ったが、その必要はなく自分の説明できる範囲で終わってしまった。

 

 

「これで六人目……まさか海外配信まで為されていたとはな」

 

「本来のエルメロイレッスンの趣旨から離れていますが、どうやっても流れてしまうのは仕方ありません。録画録音をしてのデータ保存を完全に遮断出来ないのも現代のIT技術の欠点ですから」

 

 だが、そこにきつく締め付けを行えない。VHSなどと違ってダビングコントロールが効かないのは技術の進歩ゆえだった。

 そして一種の違法配信、海賊配信に至ってしまったということだ。

 

「お前がマルチリンガルで助かったよ。翻訳機では微妙なニュアンスが伝わらないからな」

「お役に立てて何よりだ。まぁ俺も機械は苦手だからな。お互い様だろう」

 

 スズ先輩と達也と会話しながら、他の生徒会勢に聞き耳を立てると、放課後になったとはいえ、猥談なんてするんじゃないと言いたくなる内容だった。

 女性の貞操観念というのは日本においては若干の変化を果たしていた。未成年どころか誰かと結婚するまで純潔を保つというものは、守られたり守られなかったりであるが……この中にはそれが通用しない相手もいるわけである。

 

「モチロン、誘ったのはワタシからですよ。本当、あの頃のセツナはやさぐれているわけではないが、ささくれ立ってワタシから積極的にエサ撒かなきゃ『釣れなかったんですから』」

 

 そんな金髪の少女の策略にまんまと釣られた(FISH―!!)男は、この上ない間抜けだろう。まぁ辻褄合わせというのは必要なのだから……。

 

「お、大人なんですね。いやいや! そもそも噂だけはあったんで今さらですけど―――ちゃんと避妊具は使っているんですよね?」

 

 何気ない質問だが、みんなのあーちゃん先輩からこんな単語を聴くと、ちょっとだけへんな気分である。

 

「中条先輩みたいな小柄っ子から避妊具なんて単語が出ると、なんかイケないことをしている気分です」

「結構真面目な話をしていたのに!!! しかも小柄っ子って普通にちびっ子とかロリっ子でいいでしょうが、余計な気遣い!!」

 

 怒涛の三連続ツッコミを受けつつも、そう言う話はしたくないです。ということでリーナともども黙らせる。

 

「仕方ないわ。今度の論文コンペでアイリに言って牽制するのは許して☆」

「なんで許されると思っているんだよ? 気が速すぎるよリーナ。その前に生徒会長選挙があるだろうが」

 

 ツッコミ入れつつ、その話題を出したことであーちゃん先輩が、正しく小動物のように震えた。震えるも持ち直す様子を見た。

 

「刹那君の出したエルメロイレッスンで、私の学園改革はとん挫したようなものだったけど、生徒会選挙は絶対に行うわよ」

 

「「「「夏休みに会頭と海に行った七草会長……」」」」

 

「余計な単語を付けないでよ!!! ったくそんなことはもう周知の事実でしょ? ともかく―――こればかりは絶対に行うわよ!!」

 

 一年の後輩四人からの言葉に怒りながらも返す七草真由美だが、そもそもこの第一高校の生徒会長選挙……何か特殊なことを行うわけではなく、普通高校(文科、理科)と同じく概ね前・生徒会メンバーや成績優秀者が立候補することで、教職員もコントロールしやすい優等生に学校自治を担わせるということは薄々気づいていた。

 

「体裁だけを整えるんですか?」

「立候補者が複数いれば、選挙は行われます。とはいえ、『生徒会長』になろうという生徒は大体は普通高校と同じです」

 

 達也の質問に対してスズ先輩の言葉。そう言われれば中学も通っていただろう達也と深雪も納得する。

 無論、小学校を途中で辞めて軍隊に入ったリーナ、普通学校に二年程度の在籍でしかなかった刹那も、まぁ理解は出来た。

 

「となると服部先輩か、中条先輩ですか、確か前者は部活連に―――」

 

「ええ、十文字君が言っていた内示を引き受けるって言っていたわ」

 

「―――大丈夫です。やります。私が第一高校の生徒会長になります」

 

 意外なことではないが、随分とやる気を出す中条あずさという少女に若干、面食らう。

 それは無表情がデフォルトの達也も同様であり、『おどおど』したり『びくびく』したりするかと思っていたのだから、意外な限りであった。

 

「いいのか中条。その……弱気の一つも見せておかないと、なんだかなってからが不安だぞ?」

 

 渡辺摩利の容赦ないツッコミを受けても、彼女の―――あずさ先輩の意思は揺るがないでいた。

 何が彼女をそこまでしているのか……少し気になる。

 

「実を言うと―――ブランシュ事件、八王子クライシスから少し考えていたんですよ。一科二科の違いとか、実践的な魔法師の在り方とか―――、一科だけでなく二科の同級生も含めて、二年生は考えていたんです」

 

 そう言えば、エルメロイレッスンの際にも二年生たちは若干、一科二科の『隔たり』があまりないようにしていた気がするが、それも一因かと考える。

 

「魔法を使っての殴り合いの実力とか、それ以外でも色々と―――今の制度が評価として正しいのか、ちょっと疑問に感じてから―――どうやったら、この制度を無くせるんだろうなって考えて―――もしもまたあんな事で皆に危難が訪れたならば、その時―――私は弓弦を引っ張って落ち着かせることしか出来ませんから」

 

「あずさ……」

 

「勘違いしないでください真由美さん。別に自分を卑下しているわけではないんです。

 けれど真由美さんは遠すぎて、強すぎる先任です。だから私では、真由美さんと『同じく』は出来ないことは、もう理解はしています」

 

 諦観ではない。少しだけ慰めるような七草真由美の言葉を手で振って否定する中条先輩の顔は輝いている。

 はっきりとした意思を持って、第一高校の生徒会長になろうとしているあずさ先輩の胸中には何があるのか……。

 

 だが、今の発言ではっきりしたことが一つ。中条あずさは、真由美会長の路線を引き継ぐようである。その為に―――何かの策があると見た。

 

「何か考えていることがあるのね。あずさ。聞かせてもらえない?」

 

「ごめんなさい。今はダメです。そもそも本当に私だけが候補者になるかは分かりませんから」

 

 拒絶されるも、少しだけ後輩の成長を喜ぶような、元・会長になることは確定している七草真由美は笑みを浮かべていた。

 

 

「そこで、遠坂君。少し今日付き合ってもらえますか?」

 

「特に用事はありませんので、今日は白子に衣をつけて揚げるだけなので」

 

 遠坂家の今日の晩御飯が披露されたが、そんな中条あずさからの『デート』の誘いに、ラムちゃん状態(名付け・美月)のリーナが出来上がる。

 

 家電製品がおしゃかになるレベルではないが、刹那が落ち着けと言いながら雷気を抑え込んでいる。

 

「そうですね。それじゃアンジェリーナさんも資料室の整理に付き合ってください」

 

「へ? ワタシもいいんですか?」

 

「もちろん―――ただし、司波兄妹。あなた達はダメです」

 

 

 その言葉で氷結の冷気が吹き荒れそうになるのを、達也が抑えることになるのだった。

 

 そもそも、この後の達也は風紀委員本部に行くのだから無理なのだが。

 ちなみに言えば刹那は、既に風紀委員としては『予備役』という妙な立場にさせられていた。

 

 要は繁忙の時にはヘルプしてもらいたいということだ。この処置はエルメロイレッスン二か月後ぐらいに行われた事であり、つまりは負担が増えすぎることと、刹那の個人レッスンを受けたい人間が多数いたことに対する必然的な処置であった。

 

 風紀委員としては、刹那のレッスンで放課後の見回りなどの負担が減るならば万々歳であり、そもそも風紀委員ですら受けたい授業なのだ。

 

 涙ながらに「君は風紀委員に収まる器じゃなかったんだな」などと芝居がかった沢木先輩に肩を叩かれながらの、妙な勇退であった……。

 

 ともあれ―――あずさ先輩が用事あるのが『外国人』二人ということに、スズ先輩―――市原鈴音を除いて誰もが怪訝になるのは仕方なかった。

 

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 資料室で女子三人に男子一人という状況―――多くの男子生徒ならば羨ましがるだろう状況だが、刹那は特に感じない。

 

 リーナと二人っきりならばともかく、資料整理を一段落させたことで、先輩二人から話が切りだされる。

 

 その内容は、一通り聞いてから『ふむ』と思えるものだった。

 

 生徒会の役職の増加……。

 

 現在、生徒会長一人に副会長一人、書記一人に会計一人……無論、新人として一年女子2人が、あれこれ手伝っているが、それでも仕事量に対して、役員の数が全く足りていないのだ。

 

 

「真由美さんの政策では、二科生から『副会長一人』を入れるという構想でしたし、私もそれには賛成です。入れるのは―――まぁお二人ならば理解出来ていますよね?」

 

「ええ、しかしそれと俺たちが繋がる理屈が分からないんですが」

 

 親しいとはいえ、そことこれは違わなくないかという疑問ゆえだったが、その言葉を受けて口を開いたのは市原先輩であった。

 

「エルメロイレッスンの影響は大きなものです。日本の魔法師が『鎖国』状態を謳って国外流出を禁じていても、国外から『やってくる人々』は拒んでいない辺りで、不公平感が出ているようです」

「つまりは―――『外交分野』に明るい。というか言語が多様な人間(マルチリンガル)が欲しいと?」

 

 頷く先輩二人。仕事量が大幅に増えた原因はネット配信の海賊版だけが原因ではない。

 

 九校戦を直に観戦した者。衛星契約で、日本のそういった番組をみた海外の人々。大使館や領事館の人間―――幸いにも大亜や新ソ連などの共産国家からの声は聞こえていないが、それでも魔法師関連においては、若干の鎖国状態の日本に開国要求。

 

 要はエルメロイレッスンを『ちゃんとした形で受けたい』。そういう話だった。ならば、公式配信―――動画共有サイトなどに流せばいいはずなのだが、それでも第一高校に対するアポイントメントはひっきりなしらしい。

 

「最初は各国の魔法科高校との国際交流。それだけを目的にしていたんですが、シールズさんだけでは手が回らなくなって」

「セツナ―ヘルプミー!! 今日はバニーガールになってあげるから!!」

「今日だけじゃすまない話だろ。俺も生徒会入りですか、何だか流浪の身ですね」

 

 資料室で抱きつこうとしたリーナを手で押しとどめながらそんな感想を述べると、市原先輩は苦笑をしてきた。

 

「仕方ありません。刹那君は、総代であった深雪さんを超えて期末では一位を取り、九校戦でも勝利の立役者となった身です。

 そう言った風な責任からは逃れられません―――もう一人の『昼行灯』も、それを分かっていればいいのですが」

 

 そちらに関しては望み薄である。第一、風紀委員会における『事務方』のトップでもあるのだ。

 今ごろ千代田先輩に引きずられての見回り案内であろうかと思える。だが望み薄だからといってあきらめるわけにはいかない。

 

 生徒会長をする人材に大きな負担を負わせてしまうのは、恐らく刹那ともう一人だからだ。

 

「何より……情けない話ですが、私では真由美さんの後任としては力不足です。十師族としての類稀なる魔法力、いざとなれば前線に出れるだけのスキル―――あの人の二年時の成績にも追いついていないんですから」

 

「ちなみに言えば、服部君と千代田さんも同様です」

 

 偉大にして『力持ち』すぎる先人の後釜を担うには、若干、後継者教育が遅すぎたのかもしれない。

 だからこそ、不足している所を他で補う。無いならば、ある所から持ってくるとする考え……。

 

 実に魔術師的で懐かしい気分だ。そういうことならば、まぁ良かろうと思えたのだが、まさか――――目の前の小動物系女子が、そんなことを考えていたとは。

 

 

「中条先輩がそこまで大胆なことを考えていたとは意外でしたよ」

 

「まぁ色々と思う所はありますよ。私だって成長します。三日あわざれば刮目して見よ! というヤツです」

 

 個性的すぎる面子に囲まれたことで若干、耐性が着いたのだろうか。ふんぞり返る様な先輩の様子にちょっと涙目。

 

「多くのモノを見て、食べて…大きくなりましたね。中条先輩―――」

 

「むしろ、あーちゃん先輩は大きくならないと食べられないわよ」

 

「何を言っているんだコイツ?的にツッコまないでくれリーナ」

 

 それに関しては個々人の『趣味』次第だろうと思えた。

 しかし、エルメロイレッスンの主任講師としての立場に、次期ロードの育成……何だかあの頃の先生に近づいてきた自分に苦笑してしまう。

 

 この上、源流刻印の修繕に、アーチボルト家の借金まで背負っていたのだから先生は超人であった。

 自分にとってのライネス・エルメロイ・アーチゾルテの一端を、中条あずさが担っているということだろうか。

 

「では、お二人はこの構想に賛同してくれるんですね?」

「まぁ、その気になれば専制君主にもなりそうな深雪の抑えは、アイツにしか勤まらないでしょう」

「そう考えると、三年時が怖いわよね……」

 

 未来がどうなるかは分からないが、市原先輩と共に考え出したこの考えは結構いいかもしれない。

 深雪に対するカウンターになるだろう。まぁ大人しくしていればどうということはないのだが、兄愛で道理を捻じ曲げることばかりは、体裁が悪かろう。

 

「とりあえず俺からも達也に言っておきますよ。けれど最後には中条先輩からも切り出してくださいよ」

「もちろんです―――彼を表舞台に引っ張り出さないと、何か取り返しがつかないことになりそうですし」

 

 拳を握りしめて意気を上げる先輩のその予感は正しい。あの男は昼行灯でいたいくせに、全く以て隠せていないのだ。

 

 かといって坂本龍馬の如く『風来坊』というわけではない。収めるべき地位に収めとかないと、何か色々と不味い予感がある

 

 

 そういう訳で諸々のことを話し終えて生徒会も終わり、校外にて、いつもの面子に合流する事に……。

 そのいつもの面子にこれまでのことを話してどうなるかは……本人次第だった。

 


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