魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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というわけで最新話なんですが、fakeも盛り上がって来て劣等生は―――まぁ普通通り?

終わりが見えてきましたが、奪還編とやらも上中下とかでやるんでしょうし、更に言えば未来編もそんぐらいはやるはず。

まぁジュビロの如く「たたみきれない」なんてことも―――無いかな?

ともあれ、新話お届けします。


第119話『中条アズサの陰謀』

 ―――夕日が沈もうとするアーネンエルベにて、聞こえてくる厳かなBGMが少しだけいいものだ。

 話の話題は、近々行われる生徒会長選挙に関してであったが、それぞれで意見は違っていた。無論、候補者が一本化されたことは、当たり前の如く話すことになる。

 

「いいのかしら?」「守秘義務があるわけじゃないし、生徒間では既に噂になってるしな」

 

 ここで話していることなど、噂に疎いものでもない限り周知のことである。リーナの耳元での言葉に返してから、達也は自分に意見を聞いてきた。

 

「お前はどうなんだ? 他に適任がいるいないとか口にしていないからな。気になるな」

 

「今さらドブ板選挙する余裕は無いし、自薦もしない。ただ、やっぱり適任なのが中条先輩なんだと思うけどな」

 

「そう思うのか?」

 

 否定派というほどではないが、頼りないとしてきたレオの言は尤もだが、だからといって、そういう相手ばかりではないのだ。

 

「中条先輩を支持する理由は幾つかあるが、やっぱり七草会長の『後継』というのは、誰がなってもレオの言う通り、頼りないんだよ」

 

 日本の魔法師のマスタークラス……十師族の長女にして一年の頃からの九校戦の選手。そして容姿も端正―――若干、背丈が低いが、概ね美少女といってもいいだろう。

 

「優秀な事務能力及び校内の抑止力としても機能する、魔法科高校の生徒会長なんて職務。普通に考えれば、こんな超人―――そうそう出てきてたまるかよ」

「まぁそれは若干、想うかもな」

「それじゃ、深雪や達也さんが生徒会長になるっていうのは?」

 

 光井の質問の前に、チカが持ってきたアイスティーを飲んでから答える。

 

「この兄妹がどれだけ自己分析しているかは分からないが、どちらにせよ校内の反感は強くなるだろうさ」

「深雪でも?」

 

「確かに深雪ならば、一科も二科も関係なく支持者は増えるかもしれないが、その一方で過失や何かの失点があれば、一気に支持率を失う。

 簡単に言ってしまえば……二十世紀に起こった『三越事件』みたいなもんだな」

 

 その言葉と挙げられた事例に明確な反応を示すのは、セレブである少女だった。

 

「それはあるかも。深雪の達也さんに対する愛は、『ものの道理』を無視する時もあるから」

「ず、ずいぶんと言ってくれますねぇ。別に解任されたとしても『なぜだ!』とか言いません。潔く離任勧告に従いますよ」

 

 セレブリティである雫が、刹那の語る事件のことを知っていたのは分かるも、頬をぴくぴくさせる深雪まで知っている事は驚きだった。

 

「優秀な人間、強力(ごうりき)な人間がトップに立つってことは、それ以外の失点や失態を追及されるってことさ。

 そういう意味じゃ、七草会長も十文字会頭も上手くやっていたよ。決して驕らず昂ぶらず、されど高潔さだけに拘泥することは無かった。

 でなければ、寧ろ『下』からも『上』からも反感ばかり買っていただろうからな」

 

 そんな刹那の言に、達也も目からうろこな気分もあった……。学生自治の長というのは、いわゆる民主制議員的な立場というよりも、そういった所を審査されるものもある。

 

 無論、そういった国や都市の議員とて『人倫』『道徳』に著しく外れた行為を続けていれば、当たり前の如く支持者から支持されない。

 

 しかし―――学生自治の長というのは、そういった点を逐一見られているのかもしれない。

 

「それにレオがあーちゃん先輩を頼りないって言うけど、あの人はあの人で、せかせか動いて根回しも色々としているわ。

 後にフォローを入れておくぐらいのこともしていたし―――それにホノカ、ちょっとハクジョウじゃないかしら?

 ボードの練習はタツヤだけじゃなくて、あの人も見ていてくれたんだから」

 

「うっ、そ、そう言われれば確かに……というかリーナ、よく見ているね……」

 

 それは当然の話というか、リーナに生徒会の仕事を教えていたのは中条あずさなのだから、必然的に擁護する立場にもなろう。

 とはいえ、実力=人気となるぐらいには、この国の民度……というより魔法師の『民度』は少しばかり変な所もある。

 

(ある意味、合衆国なんかよりも『若すぎる』共同体だからな)

 

 魔術師で言うところの『歴史の古さ』(ヒストリー)ではなく、『力の有無。強弱』(ストロングパワー)でオーソライズされる共同体。それが魔法師社会だと結論付ける。

 

 とはいえ魔術師の場合、蓄えた年月=『力の強さ』になる場合もあるので、一概には言えないのだが、それでも魔法師の共同体にとってオーソライズ……『正統と認める』ためには、そこが指標となるのは仕方なかった。

 

「第一高校の一員として色々と考えているのさ。あの小動物系の先輩は。

 個人的な意見だが、俺としては、何でもかんでも出来るトップよりは、もう少し周りを頼ってくれる人の方が嬉しいかも」

 

 その話を出した瞬間に思い出された顔―――栗色のポニーテールの女性と仏頂面で葉巻を吸う男性。

 どちらも刹那にとっては懐かしき『頼りない上役』であった……。

 

 

「だが、現実に事務能力の調整能力だけでは納得いかない面子もいるぞ?」

 

 達也の言葉に、レオ、エリカ、雫がうんうんと頷く。このウォーモンガ―どもは……と苦笑して思いつつ、咳払いしてから今日聞いたことを故事を混ぜつつ紹介する。

 

 

「古来から長期政権や安定政権を約束するものってのは、独裁的な力だけの存在じゃないんだ。

 アッティラ・ザ・フン―――遊牧部族を力だけで州合させた彼女がいなくなると同時に、フン帝国が瓦解したのとは別の例に倣いたいそうだ」

 

「つまり?」

 

「―――■■四天王だ」

 

 

 ・

 ・

 ・

 ・

 

 烈火の如き怒りで以て中条あずさの下へと向かう司波達也―――なんて光景は無くとも、若干の困惑はしている様子であった。

 

 面白がるようなリーナと、やれやれと肩を大仰に竦める刹那とを後ろに控えながら、司波兄妹は二年生の教室棟を歩いていく。

 

 

「よう司波兄妹。それと遠坂夫婦。二年の教室棟に、どうしたよ?」

 

「桐原先輩、中条先輩はいますか?」

 

「中条ならばA組だ。情報通のおまえにしちゃ――――おおーい?」

 

「すんません。昨日からちょいとナーバスなんです。これ、壬生先輩とどうぞ」

 

 桐原先輩に返事も無しに進む達也。

 刹那がフォローしなくてはいけないぐらいに、今の達也はちょいと神経質である。

 

『ネコアルク-THE MOVIE-逆襲のマフィア梶田』のチケットを渡してから2年A組に急ぐ。ちなみに言えば、後ろでは『ディドゥーーン!!』とかビームライフルのSEのような驚きの声が上がっていた。

 

 ともあれ2-Aに着くも、どうやら一年とは違い、2年生の実践的な魔法師たちはD組に多いようである。ざっと見渡しても九校戦関係者は殆どいなかった。

 

 それ以上に若干の怒気を孕んだ達也の姿に、少し萎縮している様子が申し訳なかったが――――。

 

「昼休みぐらいに来る覚悟はしていたのですが、まさか放課後まで待つことになるとは思いませんでしたよ」

「放課後まで、こいつ(刹那)の交渉術がとんでもなかったでしたから。ともあれ、本丸を攻めさせてもらいます」

「く、来るなら来いですよ!! 私だって相応の覚悟を決めているんですから!! 倒せ!! 『武田信達』!!」

 

 妙な武将の命名がされたものである。

 ファイティングポーズを取るも、生まれたての小鹿のように、足をぷるぷるさせる先輩に申し訳なさを感じながら生徒会室に向かう。

 

 

 生徒会室は珍しく―――という訳ではないが、市原先輩だけがいた。どうやら会長及び風紀委員長などは所用の様だ。

 

 椅子に全員が腰かけると、口火を切ったのは達也からだった。

 

 

「昨日の放課後、アーネンエルベにおいて刹那から聞きましたが……『一高四天王』―――本気なんですか?」

 

「勿論です。察しが良すぎる司波君ならば、分かると思いますが、これは今後の一高のことを考えた制度です」

 

「………具体的なことも聞きました。実力本位主義―――ざっくばらんに言えば『殴り合い』の能力などを大まかに推計した上での選出。

 その上で生徒会の仕事も手伝う―――。オーバーワークすぎませんか?」

 

「確かにそうかもしれませんが、前者は本当に有事の際の『機動性』を考慮したものであって、本業は後者が主です。その上でアナタを副会長職に任命したいのが、中条さんの考えです」

 

「……刹那、深雪の男女副会長ではダメなんですか?」

 

「生憎、俺が着く役職は決まっている。『外務書記官』だ」

「Me too!」

 

 市原先輩の発言に返す達也に、バカップルから更に返し技が決まる。

 元々、一高生徒会は首都圏ゆえの役割の多さゆえか、全世界の魔法科高校(ホグワーツ)との交渉やらを任されてしまう所があった。

 

 2090年代ともなれば、口頭言語でのやり取りにおいて、百か国以上もの言語翻訳機ぐらいは開発されている。

 

 そうでなくとも、第三次世界大戦を経て世界のブロック単位が制定されてしまった世界なのだ。それぞれの『国家体』での『公用言語』は、統合されている節もある……。

 

 大亜では『北京語』。新ソ連では『ロシア語』。USNAでは『アメリカ英語』……。この三言語であれば、さほど苦労はしないはずなのだが……。

 

「そう言えば、昨日の会話相手はベルリンの魔法科高校だったな……。確かに、リーナ一人では大変か」

「ザッツライト。まぁワタシも当初はそれほどナンギしていなかったんだけど、エルメロイレッスンの好調と違法配信でも知られたことでね……」

 

 頬を掻いて困った顔をするリーナに、本当に申し訳ない気分を出した刹那は、更に問いかける。

 

「悪かったよ。お前こそ、そういうことならば早めに言っておけよ」

「だって……皆に頼られるワタシのダーリンだもの。その邪魔はしたくなかったの」

 

 そんなこと(邪魔なんて)想うかよ。という意味で、頭ごと少しきつめに抱き寄せておく。本当にこの子は……。

 

 あのイカだかタコの魔獣のことを忘れたのかと思ってしまう。それを思い出したのか余計に擦り寄るリーナに胸を貸しておく。

 恋人を深く慰める……そんな心地でいたのだが――――。

 

「おい。そこのバカップル。話は途中だ……お前らはいい。ついでに言えば生徒会長以外の役員は生徒会長の任命制だからな。

 けれど……俺を副会長兼技術軍事顧問にするのは変だろ。オーバーワークすぎてハードワークが終わらないのだが」

 

「無茶でしょうか?」

 

 不機嫌MAXの達也に発生するいつもの『やれやれ顔\(-o-)/(命名・刹那)』を見ながら、あずさ先輩は真剣に問いかける。

 

 風紀委員との兼ね合いに関しては、千代田との間で折り合いが着いている。とりあえず今年度中は風紀委員会に残留した上で、来年度からは―――そういうことらしい。

 

「……刹那、俺の副会長としての業務は恐らくお前のサポートだろうな。しかし、お前自身、講師役と生徒会とで大丈夫なのかよ?」

 

 あずさ新会長(予定)からの真摯な問いかけの躱しに俺を利用しないでほしいものだ……。

 しかしナイスな質問であった。

 

「大丈夫だ。問題ない―――最高のアシスタント講師を用意出来た。

 そもそも先生だって自分一人じゃどうしようもないから、アシスタント講師を何人か入れていたんだからな」

 

 エルメロイ教室におけるメイン講師は無論、ロード・エルメロイⅡ世であったが、それ以外にもシャルダンのジジイ、そのまま講師職に落ち着いたヴェルナー師……結局のところ、そういうことだ。

 

「そもそもノーリッジは『一人で籠って研究』なんていう魔術師の本道から若干外れていたからな。

 先生だけの視点じゃ分からない事も、シャルダン翁やヴェルナー師からも教えられることで「成程」と思えたんだ……俺以外の最適かつ、そして現代魔法にも通じたカリスマ講師の登場に震えて眠れ」

 

 それはつまり――――これ以上、和泉先輩のように「ムリムリムリカタツムリィイイイイイ!」などと発狂する人間がいなくなるということであろう。

 

「そんな訳で、俺の方は大丈夫だ。もちろん俺が始めた事だから責任はこなしていくさ。トミィがどうしても魔弾(フライシュッツ)を放ちたいそうだから、エイミィと同時に指導もしてやっているしな」

 

「そして平河がいじけて『どういうことだ―――!!??』などと俺のところに文句を言いに来るという悪循環」

 

 そんなことになっていたんかい。初耳の事実すぎるが、ともあれ刹那は問題ない。そして三角関係に首を突っ込むつもりもない。

 場合によっては海外との折衝も行おうと宣言するも……達也はいまだに渋い顔である。

 

「ミユキをひとりぼっちにするというのは不味いんじゃないかしら?」

「お前がいるだろ。ついでに言えば書記の後釜には、ほのかと雫のどっちかでいいだろう」

 

 リーナの追撃に対しても、渋い顔……色々な所に迷惑掛けるから目立ちたくない。その思惑は崩れていると言ってやるのは簡単だが、『まだ間に合う』などと言うのは無理だ。

 

「……お兄様」

 

「結局の所、中条先輩も市原先輩も、俺を助けようとしているんですね?」

 

「真由美さんのように『情』(じょう)での改革を私は望みません。そして刹那君と違って司波君は、『いるべき地位』にいませんから」

 

 今の『風紀委員』という立場で、『我』を通そうというのならば、それはそれで悪評が付いてしまう。

 

 そして達也の行動原理が『妹第一』であることは、周知の事実…しかし風紀委員の立場では、生徒会及び一学年『主席』である深雪の傍は遠い。

 

 成績で言えば違うが、刹那は例外であり、そういう行動(妹のため)をこれからも獲っていくならば、達也は深雪のそばにいなければならないのだ。

 

 

「それが最終的には、二科の障壁を取っ払い、第一高校を変えていくと信じています。

 私としては、司波君が能動的に事態に対処できるような立場につけることが、その近道だと思いますよ」

 

「――――分かりました。承ります―――が、その一高四天王というのは……やめにしませんか?」

 

「四名臣だと長篠合戦で三人死ぬぞ」

 

「誰が名称の変更を願うんだよ? しかし、対外的にはそう喧伝するんですか?」

 

「あなた達一年四人の起こしたペア・アイスピラーズでの戦いぶりから、そういった声はありますので」

 

 市原先輩の声に、結局の所……そういう結論だった。目立ち過ぎたのだから無理せずタイトルホルダーになれということを達也は受け入れた。

 

 候補者が一本化して後の予定も決まった。

 無論、心情的に真由美の改革を喜ばない『一科生』の反対はあるかもしれないが……。

 

 そこは会長の手腕次第だなと思いつつ、聴くところによる四年前のように、魔法の乱発戦での会長選挙というのもありえるのかと思う。

 

(殴り合いで心が納得するならば、それも一つの解決案だが……)

 

 どう考えても『勝ち過ぎる達也』『容赦ない規格外魔法師』では、ほどほどに勝って『相手を従わせる』という事が出来そうにない。

 心に『しこり』を残す結果ばかりで、何かあれすぎる。

 

 

 風林火山の全てを体現しているような達也だが、その実、全ての攻撃姿勢が『火』であるなど誰に分かろうかということである。

 

 

「天上天下唯我独尊とはお前のことかも」

 

「何を考えていたかは問わないでやる。この武田信達がな」

 

 分かってんじゃん。などと刹那は思いながらも話し合いは終わった。

 

 終わった時点で達也は、今さらながら気付いた―――ここ最近、あの色々とやかましい『魔法の杖』の姿が見えていないことに。

 

 無論、正式に紹介されたのは刹那が親しい連中ばかりなので、ここではTPOを弁えたのかもしれないが……何かあるな。と気付いて―――まぁ、黙っておくことにした。

 最近どころか、出会ったころからやられっ放しの達也としては、何とか一矢報いたい気分だが、最後にめんどくさくなってしまう。投げる。

 

 自分が万能の完全ではないことを思い知らされる相手。それが遠坂刹那であった……。

 まぁ機械分野においては刹那は後塵を拝してばかりなので、そこに関しては、達也は有利に立てるとでも言えるか。

 

 結論を出すと――――。何だか気が楽になるのだった。

 

 

 そうして、達也が会長になるなどという根も葉もない噂を立たせること無く、生徒総会・立会演説会・投票―――そういう段取りが取られる日に至った。

 

 

「結局の所、どちらにせよ反対派は出てくるよなー」

 

「そりゃそうよ。前回の演説ではセツナがメッタメタにマユミ会長を熨した上で、更に言えば一科二科問わない改革を進めた。

 この時点で、心情的にマユミ会長を叩きのめしたい連中は溜飲を下げていたけど、その後に成果が『出過ぎた』せいで、想わぬ逆激を感じているんでしょうね」

 

「演説会で、如何にも『二科生には荷が重い』なんて能力的な根拠を元にした言動は出来なくなれば、あとは個人攻撃だけになる」

 

 反対派―――要するに一科生で七草体制が続くことを『心情』で許せない面子と、一科生優越という気風を失いたくない面子とでも分かれている。

 心情で許せない面子の中には、真由美個人のことをあまり好かない人間もいるのだ。

 

 スクールカーストにおけるクイーン・ビーだからと言って、誰からも好かれている訳ではないし、寧ろ、その開けっぴろげな面を「ふしだら」と思う人間もいるはず。

 事実はどうだか分からないが……。

 

「攻撃されるんだとしたらば―――俺とお前かな?」

 

「あるわよねー……だって、ワタシとセツナは一高でナンバーワンのカップルなんだもの。僻んでくる人間はいるわよ」

 

 もしも、これで達也の身の上を知らずに、十文字会頭とも近づいていなければ、七草会長辺りに達也の生徒会入りを『愛人採用』だと攻撃してくる面子もいただろう。

 

「まぁいずれはミユキがやる道だとは思うけど、結果ぐらいは見せておきたかったわ」

「人間の行動を決定づけるものは、論理や合理だの積み重ねても、最終的には感情が全てなのかもな」

 

 身も蓋も無い結論を出しつつ朝食を食べ終えると――――。

 

 

「ふふふ! 遂に私の出陣となるわけだね。いやー精密作業用のこのボディにも段々となれてきた。

 マイマスター刹那には感謝の限りだね。ありがとう! そしてありがとう!!」

 

「ロマン先生とも話し合ってきたが、まぁ劇的な登場になるだろうな……何人かには教えにゃならないけど」

 

 部屋の奥からやってきた―――有名人。大体の人間ならば知っている『肖像画』のモデルにして、更に言えば『現代魔法の有名人』でもある。

 それの正体は、とりあえず自分達だけが知っている。

 

 アメリカに帰ればアビーを筆頭に何人かが知っていることだが、いまの日本では自分達だけである。

 

「当たり前のことっていつも難しいもんだよ。とはいえ、なぁに心配するな。

 この万能の天才が、キミと同じかそれ以上のステップアップを生徒達に果たさせて、次世代の楽園に連れていこう! 乗りだせ白紙化地球(?)!」

 

「久々に見たけど、本当にワンダホーな現象。魔術ってこんなことも出来るんだから、神秘的よね」

 

「俺の能力や魔力量じゃ難しい所もあるんだがな……まぁいい。んじゃ段どり通り頼むよ」

 

 バロールの眼…THE DEATHたる遠野志貴を狙って、何より刹那を奪還する為にやってきたバゼット。そんな遠野志貴を守るために、立ち塞がる教会の代行者。

 その代行者ほどの魔力量ならば難なく出来るだろうが……というかその代行者から教えられたのが、現在の彼女の姿への変化。

 

 そんな色々なことを考えながらも―――投票の時はやってくるのだった……。

 

 

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