魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~ 作:無淵玄白
ええ、本当に、だから次の話しでは違うものを―――。というわけで新話です。どうぞ。
九校戦とは違って、論文コンペは穏やかな学習発表会と思われがちだが、その実としては、各校の威信がかかっているものである。
魔法師の『先』、自分達が進むべき未来に対する提言は、即ちこれからの魔法師界をリードしていくということでもあるからだ。
もっとも高校生程度の研究発表にどれだけの効力があるかは、若干の疑問がある。学問としての魔術ならば、年齢など関係ないと豪語出来るが、実行力と言う点で年功序列的な面がある魔法師の世界だ。
しかし、そんなことはおくびにも出さずに、刹那は会場の警備担当及び、事前のあれやこれやで先乗りしておかなければならなかった。
「結局の所、2020年代のモデルの端末形式ならば、セツナでもやれるのね」
「ロースペックなミーを許してハニー」
「許しちゃうー♪ ワタシのダーリンはマルチリンガルー♪」
今回の論文コンペの特別な点というのは、オンラインでのリアルタイム発表があるということだった。
英語が堪能で、とりあえず欧米圏の言語に大体は明るい2人。遠坂刹那とアンジェリーナ・クドウ・シールズを用いての、一種の翻訳作業であった。
この時代にもなれば、リアルタイムでの機械翻訳機能ぐらいあるのだが、それでも様々な業界の専門用語……俗に『テクニカルターム』というものに対する翻訳というのは、遅れていた。
当たり前の話だが、この時代においても『ターヘル・アナトミア』を『解体新書』と訳する作業は必要なのだった……。
そんな現代の『杉田玄白』に任ぜられた二人の男女は、朝も早よから、いちゃいちゃいちゃいちゃと、喜色を前面に出して密着しながら事前準備をしているのだった。(周囲の魔法科高校性・談)
公平を期するためというわけではないが、2人の手元には未だに各校の研究発表のための資料は届いていない。
午前発表の部と午後発表の部とで別れているので、事前に「ここ重要」という点を教えてくれれば、それを留意して翻訳ができる。
端末には21世紀初頭のように、単語登録単語予測機能をびっしり学習させておいた……例外的なのは刹那のロースペックすぎる機械に対する理解力だったのだが……。
この日の為にというわけではないが、鬼のように、司波達也コーチより『タッチタイピング』の練習を欠かさずやってきたのだ。
「ふふふ! 司波達也という鬼コーチより特訓を受けてきた俺の実力は既に、AUOな声のスーパーハカーほどに高まっている(?)!」
「うん。色々と混ざりすぎね。OUTすぎよセツナ」
しかし、達也の機械端末に対してのレクチャーは、本当に熾烈を極めたのだ。
ヤツの猛特訓のせいで、俺は遠坂人間としての特徴を、若干失くしつつあるのだ。(気のせい)
ともあれ、2020年代……自分が生きていた時代と同じような端末での作業をすべて終えると、途端に暇になる。
全員が忙しく動いているというわけではないし、会場設営自体は魔法師協会の会員や事務員たちが既に終えている様子。
時間は―――『他の連中』が就くまで、もうちょっとかかりそうだ……。
「少し外に出るか」
「そうね……それもいいかも」
リーナの笑顔での了承を受けて、周囲にいる早乗りしていた他校の人々に外出してくると伝えておく。
「何かあれば端末にお願いします」
「了解ー。行ってらー」
気のない返事とも取れる大合唱を受けながら、ゴジラ対策チームのような様相の部屋から出て休憩を取る。
一高制服の上から赤い聖骸布のコートを羽織る。リーナも蒼いミスリルの聖外套を羽織った。
季節は既に秋。まもなく冬も感じさせる気温がある10月末である。
―――日中となれば、それなりに暖かくなるものだが、早朝は既に冬の様相であり、肌を刺す冷気が少しだけ嬉しい。
国際会議場の外は寒気を漂わせていた。その寒さは、少しだけ故郷を思わせた。
「セツナの故郷、フユキもこんな感じだったのかしら?」
「冬木市は名前の割には、冬場でも『暖かい』方だったからな。土地が一級の霊地の上に、火山性ガスが出るような土地―――まぁそれでも冬場は寒かったか……」
記憶の中を探るに、ロンドンよりも鮮明に覚えている冬木の景色は、懐かしさばかりが到来するものであった。
「冬が印象としては寒くない方なのに、フユキなんて名前なの?」
「らしいな。まぁ俺が生きていた頃と、昔とじゃ気象条件が違っていただろうからな。色々あってあの辺りは『冬木』と命名されたんだろうよ」
海を臨む海浜公園にて何気なく言っておく。適当なベンチ。恐らくカップル御用達だろう場所にて、用意しておいた水筒からカフェオレを注ぎ、リーナに渡す。
カフェオレで暖まりながら海を見ていると、本格的に故郷―――特に新都でのことを思い出す。
あの頃は、日本での生活がこれからも続くと思えていたが、母は『セカンドオーナー』としての義務よりも、研究に勤しむことを選んだ。
二年間の帰郷。そこから先はロンドンにばかりいた。
懐かしきロンドン。時計塔は無かったものの、時計塔の位置には『墓』があったので、いずれは『本格的』に掘り起こして盗掘していきたい。
財を惜しまずに土地を抑えておいたので、未だに『ほぼほぼ』手つかずの霊地である……などと即物的なことで抑えておきたかったのだが―――。
思い出話は続いてしまう。
「そういえば、キミと初めて会った時も、こういう所だったか」
「正確に言えばボストンの街中じゃないかしら? 世界転移を果たしたアナタがターミネーターよろしく路地裏に来て……」
「俺が会ったのは愛と正義の美少女魔法戦士プラズマリーナであって、アンジェリーナ・シールズじゃないさ」
「ヘリクツ! まぁ―――言われてみればそうかもね。あの時のセツナは、寂しそうな背中でお母さんの形見を見ては、海の様子を見ていた」
軽い小突きを受けつつ、あの頃見ていた海と、今見ている海との違い……『あの頃』のことを思い浮かべる。
人でありながら人外の力を得たものたちと、人の姿を捨ててまで理外の力を得たものたちの
あの戦いで、俺は生き延びた。運が良かっただけとも言えるし、取るに足らない小兵として見過ごされただけかもしれない。
だが生き延びてしまったことに意味を見つける作業が、多くの『喪失』を招いた。
養母を失い、日本での故郷を失い、教室を失い、家族を失い、家族のように思っていた人間達……教室の全員との縁を断ち切って、この世界に流れ着いた。
いつか、どこか、だれか―――分からぬ者に言われたことをプレイバックされる。
―――君は失うことが生来の素質なのではない。失うことがなにより得意なんだ―――。
―――望むと望まざるとに関わらず、その行いは■■■■の■■■に近づく――――。
言葉を心中でのみ打ち消してから、隣にて飲み物を飲んでいるリーナに問いかける。
「そんな俺の背中は見てられなかったか?」
「うん。ワタシを助けてくれた魔法使いが、こんなにまでも弱々しいなんて思わなかった―――同時に、そばにいたいなぁ。って純粋に思えた。
アンバランスさがセツナの魅力と言えばいいのかな。
「リーナ。すごい恥ずかしい―――けれど、とても嬉しいよ」
言葉の後には無言で抱き合う。
この冬場。朝靄が遠くには見えている横浜の海浜公園にて、心の温かさを感じていたのだが――――。
「そこの少年少女。今にも合体しそうな学生カップル。お巡りさんの眼の前で、あんまり公序良俗を乱すなよ」
「だそうだから。ちょっとは控えた方がいいわよ、二人とも」
接近に気付けなかったわけではないが、それでも姿が見えた意外な二人に、二人してビックリする。
「寿和さん」「キョーコ」
―――現職の刑事と現職の自衛官の癒着現場であった。
そんな内心での言葉は、あっさり寿和さんに否定される。
「いや、違うから! 君だって知っているだろうに……ここ最近の都内及び横浜はスパイ銀座だよ。こちらにいる美女は、その為のフォロワーだったのさ」
スパ○ク・スピーゲルじみた髪型にも関わらず、ハードボイルドが足りない千葉警部の頭を掻きながらの言葉に、まぁそうだなと感じておく。
感じておきながら、話題は剣呑なものへとシフトする。
「南盾島基地が臨検したオーストラリア船籍の『船団』。大規模な輸送貨物船五隻とやり合ったことは聞いているか?」
「いいえ、初耳です。つーことは? 『連中』は海からもやってくるってんですか? 今から?」
「その可能性を感じて、千葉警部と散策していたのよ。デートついでにね」
言葉の剣呑さを打ち消そうとする、九島の家の関連で知り合った女性―――何となくルヴィア小母に声の質が似ている人の、詳しい話によれば……。
昨日、夜10時辺りの話だが、航路、海域パトロールを行っていた南盾島基地の巡洋艦が、予定にない航路通行を行おうとしていた船団を発見。あまりにも怪しいということで、島まで御足労しようとした時には、巡洋艦に対する砲撃であった。
「で、結果は?」
「五隻の内、三隻は航行不能となり、白旗を上げて『しょっ引かれた』んだが……二隻は、現在行方不明だ」
衛星撮影でも確認出来ないほど、小笠原諸島の海域から消え去った二隻の偽装貨物船の存在に、戦々恐々である様子だ。
「君だったらばどう見る?」
「海にでも潜ったんじゃないですかね? 宇宙戦艦も『潜水艦モード』ってのがあるぐらいですし」
真面目に考えろとでも言うような二人の内の一人……寿和さんの視線に晒されながらも、その可能性を考えるぐらいには、藤林響子は軍人としての観察に優れている。
魔法師はとかく、自分達の力の総量と比較して、現実に干渉する法則を『ここまでが精いっぱい』。
喉元に手を当てて息を求めるかのような様で、いっぱいいっぱいであるとするが……魔術師は違う。
魔術師は確かに、現実に干渉する『熱法則』において、軍用兵器を上回れないこともあるが……。
それでも現実そのものに対する干渉は、基本的に『何でもアリ』なのだ。
九島の家と近しい古式魔法師の家である、藤林家の人間としては、その『観点』も忘れてはいない。第一、パレードの『進んだ姿』――――生命体として『高位の存在』に『変身』できる親戚、リーナを見ているのだ。
可能性は……捨てきれない。
「あんまり今から気張っていても、しょうがないのでは? 海軍や海保の皆さんの奮闘に期待しといた方がよろしいかと」
「そんなものかしらね?」
「来ると予期しておいて、来なければ御の字でしょう。来たらば気張ればいいだけですよ。準備はしているんでしょうから」
「楽観的―――いいえ、ギアの切り替えが上手いのね」
「それは寿和さんも同様でしょうから、後で褒めておいてくださいよ」
「遠坂君!」
そんな言葉を受けて少しだけ怒る千葉警部に、『あくまっこ』のままに言っておいたが不評のようであった。
「けれどキョーコ。何だか少しばかり早くないですか? この辺りに泊まりだったんですか?」
どっかの基地からやってきたにしては速すぎる到着に、リーナは疑問符を浮かべる。
確かにその通りであるが……そう思った原因は―――。
「そう思うリーナ?」
「ええ、だって化粧メイクが、バッチリ決まっていますから」
「流石に私だって男性と歩く以上は、自分の見栄えを気にするわ。リーナは―――シルヴィアさんから聞いた限りでは、結構不精だったらしいわね?」
親族の自己申告を信用しない形で視線と話をこちらに向ける響子に、嘆息しつつ答える。
「まぁ若干、件のシルヴィアによって矯正された所はありますね」
話を振られた刹那としては正直に、簡潔に答えたのだが、リーナはお気に召さなかったようで刹那の腕を取って抱きこむ。
「アナタに飽きられたくないからよ」
と無言で言っているかのようだ。
コート越しとはいえ、柔らかな感触以上に締め付けが厳しくて痛い限り。あっ、お袋(左腕)も若干怒っているようである。
「―――白状すれば、昨日も千葉警部と横浜ベイヒルズタワーで飲んだのよ。まぁそのまま一泊。横須賀基地に戻っても良かったんだけどね―――『内勤の事務方』なんで、融通利かせられるわよ」
その言葉で察する―――軍属であっても、詳しい所は語るな。そういうことである。
ああいう特殊部隊というのは、書類上は実体のない部署を宛がわれて、そこで働いているという体面を作っておかなければならないのだろう。
とはいえ……魔法師界の有力家系の人間が事務方で過ごしているというのも、傍目には―――疑問符が浮かぶだろう。この人のように色にボケていなければ。
寿和さんは、エリカ曰く『放蕩長男』の典型だとか言っていたが―――まぁ色々とあるのだろう。兵法家にとって必要なものは、諸国漫遊のごとく多くの事を見聞きすることにもあるのだから。
「遠坂君―――『応援』してくれないか?」
「はぁ、けれど……響子さんと……やめといた方が無難かと思いますよ」
リーナと響子から離される形で、寿和さんと少し離れた所に行く。一応遮音結界を張って密談しておく。
こちらの返答に―――気落ちする寿和さんが気の毒だが、伝えておく。
「いや、なんというか―――前に一度会った時に、九島の家の人々に『易』を立てたんですが、みんな若干よろしくない相ばかりだったんですよ」
「響子さんにはどんなものがあったんだ?」
「男運の無さと言いましょうか―――彼女と深い関係を求める男を不幸にすると言えばいいのか。そういった相です」
自分とてあまり考えたくなかったが、響子はある種の『さ○まん』ということだった。
関わった男を不幸にする、そういった相を持つ―――いわゆる傾国の美女というべき人間である。
そして簡易だが、先程宝石を用いて寿和さんとの相性を占ったが……『一つ』乗り越えれば、その後は安泰だが……その一つの不幸が極めて大きすぎるのだ。
「……そうなのかい?」
「玉の輿狙いならば他にすればよろしいかと、ぐえっ」
その言葉を言われた時、少し強めに首を締められた。呼吸が出来ないほどではない、かといって痛痒は少し感じる絶妙のものだ。
兵法家としてのこの人の実力は並ではない。そして少しの怒りも感じる。
「部下にも言われたんだけど、違うんだよ……確かに『裏』があるってのは分かっているさ―――利用しようって魂胆も見えているよ。
けれど、ああいう風に深い繋がりを求めようとしない。表面的なものに留めておきたいっていうのは……彼女が今でも何かに『泣いている』ってことじゃないかと思うんだよ」
「―――『カン』がいいですね」
「深くは聞かない。話したいならば聞く―――けれど俺は積極的にアプローチしたいんだ……見目麗しい人ってだけで興味を抱くなんて、軽い男かもしれない。
エリカは軽蔑するかもしれない……が、泣いている女性を放っておけるほど―――男を腐らせたくないんだよ」
男だなぁ。と思いつつ、刹那の『視た限り』、このまま関われば、本当に『腐る』ことは確定なのだ。
しょうがないということで、懐から―――『一つの護符』を取り出しておいた。
…………そんな男同士の会話の一方で、親戚であり、女どうしでも会話が繰り広げられている。
「キョーコは、ミスタ・トシカズと付き合うんですか?」
「それは分からないわ。けれど―――好意を抱かれていることは理解出来ている……」
その好意に応えるには―――まだまだ付き合いも浅いし、何より―――『癒されてもいない』。
そういった機微を素直に言えるわけではないが、それにしたって確かに―――響子は、あまり性根の良い女では無いと思われても仕方ない。
「利用するだけならば、そんな気を持たせるような真似、遠縁の親戚としてケーベツしたいですよ」
「うっ……厳しいわねリーナ。確かに今の私ってば悪女も同然よね。けれど、どうしてそこまで言うのかしら? 正直、関わりは無い方じゃない」
精々、友人の兄貴だから。そういう風に考えていただけに、少しばかり外れた答えが飛んでくる。
「エリカの
その恋ぐらいは応援したいんです。だってがんばってきた人間は、報われないと変じゃないですか。
ただの『お友達』で済ませたいならば、ファッションに気合は入れない。メイクも最低限―――と言う風にシルヴィアからは言われました」
「…………リーナ―――」
少女らしい言葉。響子の事情を知っているわけではないが、それは確かに正論だった。
いや、事情を知っていたとしても、同じ言葉が出て来たのではないかと思う。
「まぁキョーコもすぐさまホレタハレタとか、セツナとワタシみたいに出来ないと思いますけど、それだけは覚えておいてほしいです」
よく考えれば、藤林響子26歳―――、こんな小娘にすらそういった方面では劣っていることに、軽い危機感を覚えるのだった。
響子のように『何か』起きなければ、『何事も無ければ』、遠坂の家に入るのだろう……。
そう考えると何か少しムカついたので、
「むぅ。やはり、ニホンのファミリーの在り方は、もう少し上下関係に厳しくないとダメなのかしら。生まれてくる双子にも教えておかないと」
「何の話!? 速すぎる将来設計! とにかく! 年長には年長なりの恋物語があるの! 余計な口出しは禁止よリーナ」
そんな言葉で窘めつつも……男の密談も終わったようだ。
「何を話していたんですか?」
「いや、妹の同級生ですからね。あの子に知られると色々と五月蠅いんで。いや、今考えれば、弟と違って何も言われないかな?」
長男と次男で対応に差がある妹のことを考えて、苦笑する寿和さんに応えておく。
「さぁ。ただ秘密にはしておきますよ。お仕事がんばって―――と響子さん。これ渡しておきます」
「? 宝石の護符……なのかしら? ―――これどうしたの?」
響子に渡したのは、南盾島で買った赤珊瑚を加工した、ティアドロップ型のアミュレットである。
これと同じものを寿和さんにも渡してあるとすると、少しだけ恥ずかしがる様子だが、違うと伝えておく。
「正直言えば、お二人の『仕事上での相性』は最悪です。まぁ互いに腹に一物あるんだろうな。というのは分かっている様子なので、それを少しだけ改善する願いを込めたものです」
「……こんなのもらっちゃっていいの?」
「今はいいですけど、後々千葉警部に何か頼み事したり、『無事』を願う時には、響子さんが魔力を込めておいたそのアミュレットが側にあれば、効果を発揮しますよ」
あえて伏せたが、その赤珊瑚のネックレスアミュレットは、『番い石』として効果を発揮するものであって、まぁこの二人が今後も何かと大人として付き合うことがあれば、まずまず意味はあるだろう。
その程度だ。運命に介入するわけではないが、もはや失いたくない響子さんの願いに少しは寄与出来るだろう……そんな所だ。
「もちろん。ご自身で持っていても意味はありますけどね」
「―――ならば、遠慮なくいただくわ。『寿和』さん。着けてあげますよ」
「藤林さん!? きょ、恐縮です!!!」
刹那に一度だけ苦笑してから、千葉警部の首の裏に手を回す響子さんのいたずらっぽい様子を見て、まぁこのぐらいで十分だろうということで、良しとしておいた。
もしかしたらば、藤林の家で再びの縁談でも持ちあがっていれば、余計なお世話だったかもしれないが。
「それじゃ逢引きの邪魔しちゃって悪かったわね。今日の論文コンペがんばりなさいよー♪」
「「こちらこそデートの邪魔して
喜色を前面に出して、港の方に向かう二人の兄、姉貴分の様子に、そんなことはないだろうな。と思ってリーナと刹那は、逢引きの再開となるのだった。
およそ50分後―――そろそろ各校の搬入の段となって、呼び出された刹那とリーナは会場に戻る。会場外で搬入作業やチェック作業をしている面子。
その中に見知った顔や、知らずとも挨拶してくれる面子などと軽く会話しながら会場内に入る。
開幕の時は近づいていた。