魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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第148話『カウンターアタック』

 上空には、ライダークラスならば特有の戦車を牽いた神代の獣を従えているサーヴァント。

 クラスは、聖杯戦争のルール上にはいないフェイカー。『カルデア方式』ならば、『アルターエゴ』か……『フォーリナー』というのが有り得るか。

 

 かの殷王朝破滅の要因となった『大本』たる存在は、『異星人』の可能性もありえるのだから……。

 

 論文コンペ会場の屋上全てを借り切って、一高の教師たる栗井ことロマンと、外部教員たるダ・ヴィンチちゃんの二人は、力を溜め込んでいた。

 刹那にも手伝わせる形で築き上げた『魔力炉心』の魔法陣。その中心にいるランサーのサーヴァントは、一日がかりで土地にある魔力を溜め込んできた。

 

 全てを開放する。その一瞬のために、この横浜に流れる『水』『土』の魔力に……ある種の人間の活力から発生するオドにいたるまでを吸い込んで、ここでの開放を予測していた。

 

(刹那の読みが当たるとは、当たってほしくないことに関しては本当に当ててくる)

 

 皮肉げに顔を歪めてから、ここを狙ってくるフェイカー。かつてノーリッジの拠点、刹那にとって懐かしき故郷を一度は壊滅せしめたフェイカーのサーヴァントも、一撃必殺の突撃戦法を行ったのだ。

 狙うのだとしたらば、どこになるかは分からないが、自信を以て我がマスターは、『ここ』だとしたのだ。

 

「用意周到だな。こちらを狙うならば、間違いなくここだとしたのだ」

 

「厄介なのは固まらずに、方々に逃げられることだからね……僕がいなくなったあとのカルデアでも、そんなことがあったそうだね」

 

「内通者がいたからね。キミが気にすることじゃない。多くの亡くなったカルデアのスタッフたちは、最後まで『希望』を繋ぐことに執心した。

 

 彼らが、生き延びさせることを選んだのは……色々と思う所はあったんだろうさ」

 中には押し退けてでも生きたいと思ったかもしれない。だが、それでも世界破却の困難を乗り越えて、あるべき世界を取り戻した二人だからこそ、託したのだ。

 

「操りたいわけではない。託すということは、そうじゃないんだ」

 

「分かっているさ―――いまはこちらだ」

 

 眼を閉じて瞑想状態になりながら、魔力を溜め込んでいたランサー……軍神『長尾景虎』は眼を遂に開いた。

 

「どうやらあちらも決戦を選んだようです。なかなかどうして……心胆寒からしめてくれる……」

 

 急上昇を果たしながら、魔力を溜め込んでいくフェイカー。その意図など明白。高度は既に航空機が飛び交うところまで上がっていた。

 明白な戦闘の意思……大気がプレッシャーで打ち震える。

 そして―――流星は閃光となりて、地上に落下してくる……。

 

「迎撃します!」

『タイミングはお前に任せる!! 適切なタイミングで―――『翔べ! カゲトラ!!』―――』

「委細承知!!!」

 

 マスターの言葉に、槍の切っ先を天空の光に向けながら、金色の魔力を吹き上がらせる。

 降りてくる流星―――否、『狐魔星』は、音の速さで九つの尾を引きながらやってくるのだ……。

 

「予想より速い! ロマニ! しっかりやるぞ!!!」

 

「はいはい! ったくこれが終わったらば、絶対にヒメのバーチャルライブに行くんだから!! 死ねるか―――!!!」

 

「うわぁ。なんて間抜けな理由! 沈めてやりたい!!」

 

 最後の防壁を起動させながら、自分に最適な「かたぱると」という投石機を動かした二人の魔術師に感謝しつつ―――落下する流星を―――金色の軍神は全力で迎撃した。

 猫科の獣のように身を撓ませて、飛びかかる前段階のランサー。

 逡巡は一瞬―――あり得ざることに地上から上空に奔る流星は、遠吠えを上げながら流星を迎撃する。

 

おしてとおおおる(押して通る)――――!!!」

 

 極大の魔力と魔力のぶつかり合い。横浜上空の全てが『振動』を果たして、半径六キロ圏内全ての人間に不意の覚醒を催すほどに……世界が砕けるほどの衝撃が走った。

 遅れて……魔力も大気もある種の『真空状態』へとなったわけで、横浜上空に生じた『からっぽ』を埋めるべく、大気は乱流に変わり、魔力の不足は、発生した余力と使われたものを吸い取るべく、荒れ狂う。

 

「これほどとはな……!」

 

 克人が生まれる前に起こった、日本をあらゆる意味で震撼させた大規模震災。

 直接的な被害地域。震源地こそ東北の沿岸部が主であったとはいえ、その衝撃は―――関東地域にまで波及したほどだ。

 それを想像させるほどに、とんでもないものだ。

 

 人智の極み。遺伝子操作で生まれた魔法師は、一部の人間から『ハイブリッド・ヒューマン』と渾名されるほどだが、そんな自分たちが……真に昔の武人たちを圧倒できるかといえば、こんな光景を見せられたならば、そうは思えない。

 人類全てのスペックというのは、どれだけ鍛え上げたとしても、生来持っていた資質から退化していく。

 かつては地上の覇者と呼ばれた恐竜種ですら、今では鳥類にスペックダウンすることでしか生きられない。

 

(と、遠坂は言っていたな。『強化』の本質を語る時に……)

 

 とどのつまり。そういうことだ。豪風、颶風の類で吹き飛ばされそうな体を強化と硬化魔法で縫い付けて、一連を見届けた克人。

 こんなことは予定外だったのか、外に現れたゲリラ兵士たちは、あちこちにふっ飛ばされて、呻いている。

 

 そして閃光と閃光の擦過。

 直撃したと思えるほどの接近戦の結果は―――上空に飛び出る銀髪の槍兵。具足(よろい)が砕け散り、和服だけが見える。見える限りでは出血の類はないようだが……。

 代わって、下降するのは代王……五頭の巨大狐を騎馬として操り、突撃戦法を掛けてきたフェイカーの側は―――無傷……なわけもなく、狐の二体の体のあちこちに刃物が突き刺さっていた。

 項垂れている様子から察するに、魔獣二体は死亡したようだ。

 

 そんな克人が下したランサーの『勝利』という判定を覆すように、屋上にいた二人と発表会場から翡翠の使い魔を飛ばしていた刹那は、おかしいと感じた。

 

「如何に魔獣が生体とはいえ、その体は霊子と魔力で構成されたものだ。霊核が傷つけば……」

 

「魔力に還るのか?」

 

「そうだが――――ランサー! 狐の遺骸を吹き飛ば―――」

 

(オーン)!!!!』

 

 達也の疑問に答えると同時に響く呪文詠唱。強烈な魔力を伴う声が―――達也にも使い魔の聴覚を用いて伝わっただろう。

 そして魔狐の死体が轅と軛から解き放たれて、勢いよく落ちてくる。

 この国際展示場の屋上に向けて――――。

 

 少し遅れて、盛大な衝撃音がこちらにも伝わる。同時に、新たな『生命』が湧き出るのを感じた。

 ペストにかかった死体を投石機で投げ込んだモンゴル軍も同然である。

 やられた思いだ。

 

「達也、敵の狙いは恐らく、あの魔獣の死体を介してわんさとエネミーを出していくことだ」

「そんなこと出来るのか?」

「不眠の番竜を召喚し、従えたコルキスの魔女『メディア』の十八番は、竜種の骨を利用したゴーレム作り。強すぎる霊性を持った存在というのは、死後でも躯が力を発するんだ」

 

 他にも西遊記の『斉天大聖孫悟空』は、己の毛に『息吹』をかけて疑似生命とすることも出来た。なべて、幻想種の身というのは、死してなお神秘の塊なのだ。

 

「どうするの!? セツナ!!」

 

 四人がかりの『接続』、で使い魔を操っていたリーナが問いかけてくる。彼女も状況を把握したようだ。

 切羽詰まった様子に対して、迎撃を簡単に出来ればいいのだが、避難する人間が多すぎる。

 

「まずはここにいる生徒たちの避難誘導からだ。内部に押し込まれるより、先に脱出させた方がいいに決まっている」

 

 全員が全員、戦える人材ではないのだ。だが、これにはリスクもある。

 魔法科高校の全生徒が、ここにいるわけではない。特に遠方の方からやってくる高校は、人数を厳選している。

 

 それにしたって、一つの高校につき50人は下らない人間がやってきているのだ。更に言えば、自分たちだけでなくコンペ関係の一般人や、報道関係者などなど、上げていけばキリが無い。

 つまりは護衛対象が多すぎて、更に言えば、装備次第では『対処不可能』な敵が現れた場合……考えたくない結果が訪れる。 

 

 押し込まれる前に逃げる。今は、そう言う考えでしか動けないのだ。

 大亜の連中とフェイカーの策略がどれだけ同調しているかは分からないが、それでも、正面をゲリラ共が銃撃したうえでの空挺作戦だ。

 

 ―――見事としか言いようがない。だから思惑を崩すために逃げる。

 

「とにかく避難をさせなければ―――って……身支度速いな」

「ああ……何があったんだ?」

 

 使い魔の視界から復帰して周りを見ると、殆ど全員が、慌てず騒がずという感じに、最低限の荷物だけで走らずとも早足で駆け出していた。

 いい避難行動である。護衛役として、それぞれの高校の手練たちが着いているのも一員だろう。

 恐慌を来していても、おかしくないぐらいの激突だったのだが……。

 

「私が落ち着かせました。遠坂くんと司波くんがあれこれ騒いでいる最中に、上にあまりにも恐ろしいものがあるのは分かっていましたから」

 

 そう言って月女神の鷹弓(ルナマリア・ホーク)を見せてくる中条あずさ会長。

 

 精神領域干渉魔法『梓弓』を使って、パニックに陥ろうとしていた全員を落ち着かせたようだ。

 様子から察するに、もっとも『絶妙な構築』で、恐慌に陥ろうとしていた同輩たちを鎮めた。

 

 やり過ぎれば白痴……若干の判断力を逸した状態になるはず。かといって弱め過ぎれば、混乱と恐怖を残したまま、避難行動が遅れていたに違いない。

 そういった『ギリギリ』の線を攻めるあずさ会長に……。

 

「図太くなりましたよね……」

 

「全く以て褒め言葉じゃないですね。とはいえ、状況の全てを私は理解しているわけではありません。

 だから―――、私が任命した『一高四天王』に命じます。この事態を可及的速やかに解決を図るように。私は、避難をする生徒たちを他校の会長と共にまとめます」

 

 矢継ぎ早の指示と明朗な上意下達に、頼もしい思いだ。

 場合によっては資材機器の破壊も視野に、そう市原及び五十里に言う辺り、分かっているようだ。

 両名も特に異論は無いようだ。

 

「同時に、真由美さんには、ここに残って迎撃してもらいます。引退させた身ですが、殿部隊を務めていただきます。会長命令です」

「あ、あーちゃんが頼もしすぎて、なんだか私、ちょっと悲しすぎるわ! あの純朴だったあずさはもういない!! ここにいるのは、『あずさ2号』なのね!!」

 

 どんだけの人間が、そのネタについて行けるのやら、そんな風に考えながら、礼装を出しつつ元・会長をいじることに。

 

「すみませんね、七草先輩。俺たちも、出来ることならば楽隠居させたかったんですが」

「老骨に鞭打つ形ですが、子鹿のようにせっせと働いてもらいます」

「男子二人して容赦ないわね!! というか、二人して老人扱いとかひどすぎるわよ!!!」

 

 ルーングラブを締め直した刹那と、銃を持った達也とで準備が整う。

 

「まずは、外の状況確認と避難生徒たちの安全確保だ」

「同時に、警備部隊の連中と合流する。そんなところだな」

 

 そして野犬のような遠吠えが聞こえてくる。どうやらダ・ヴィンチたちは、奮戦してくれたほうだが、圧倒的な数の前に――――。

 

『ぎょわー!! タイヒー!! 無論、堆肥にあらず!! もはやサーヴァント体を保てぬ私を許してくれー!! マイマスター!!』

「許すが、ロマン先生は!?」

『ロマニは既に避難生徒たちのまとめに入ったよ。あずさ君、キミも、はやく行くんだ!!』

 

 魔法の杖の基部が刹那の手元に戻ってきたことで、状況は理解できた。

 あずさも、既に自分たちだけになったことを確認して、大弓を手に、いつもの歩幅『とたとた』どころか、驚くほどの速度―――強化を施した体で去っていった。

 

 行ったことがわかれば、もはややることは一つだ。

 刹那と達也が『砲口』を向けた先は―――発表会場の天井。ロマン先生の施した結界術は存分に働いており、犬だか狐だかの魔獣義骸たちは、ガリガリと引っ掻いて侵入を試みている。

 

 知能はさほど高くないようで何よりと思いながら――――笑みを浮かべた達也の分解魔法が、およそ300平米はあろうかという天井を消失させて、屋上と『ここ』を吹き抜けにした。

 同時に、落ちてくる魔獣義骸たちを数百以上もの魔弾―――対空砲火が、病葉よろしく紙切れのごとく砕いていく。

 まさかこんな手を使われるとは思っていなかった、刹那と達也を除く全員が唖然とする。というか、この二人は、何も言わずにこれを意図したというのか―――。

 

義骸魔獣(ゴーレム)たちは、まだまだ出てくる。いまは『移動』したが、大狐の死骸は数千体は軽く生み出す!!!』

 フェイカーのサーヴァントは、ランサーによって抑え込まれている。離れた所からの遠隔魔術であっても、戦闘中にそんなことは出来ないはずだが……。

 

「いまは動いた方がいいな。考えるのは後で見敵必殺。それが俺たちのスタイルだろう?」

「やだわー、こういう時の達也君ってば、ヤル気満々すぎてせっちゃん困っちゃうー♪」

 

 戯けて返答してから、拳を打ち合わせると走り出す。刹那と達也を筆頭に、2チームに別れた若き魔法師たちは―――戦場へと向かうのだった。

 

 無人となった発表ホール……そこにて現れた『霊体』は、どうやら自分の力が脆弱であることを理解した。

 期せずして『この地』に現れた存在は、敵を理解した。主の御威光を識らしめる大地……この『世界』では、それが低くなっているのだ。

 

『ならば、私の役目はただ一つですね。『あれ』です!! 一度はやってみたかった!! 『彼』と同じく啓示を与える役目。

 即ち―――依り代召喚!! 待っていてください!! どこかにいる私の寄生者!! タラスクを我が守護霊にしたように、あなたをお守りしましょう――――!!!』

 

 その言葉に座から一緒に着いてきた竜は、『ダメだこりゃ』と嘆くのだった。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 横浜国際展示場の内部にゴーレム兵士と死霊兵を解き放ったフェイカーの策略は、概ね成功していた。

 あまりにあまりの奇襲。既に飛行魔法が開発された現在ではあるが、FLTからの正式リリースまではまだまだかかり、その上で国防軍優先では、その攻撃を予測する方が、恐ろしく無理筋だった。

 

 だが、それでもそうなった以上は、対処するしかなかった。

 達也たちが情報を取りにモニター室に向かった片方で、刹那は内部に入り込んだ連中を倒しに行くことを決めた……。

 

 そんなわけで、一際戦闘が激しい所に行くと、そこは軽く戦場であった。

 

「GGGGGAAAAA!!!!」

 

 ただの遠吠えだが、古代より犬の鳴き声は魔を祓うと信じられてきただけに、その獣性魔術の極まりのようなそれを受けて、魔法師たちは魔法を正しく発動出来ずにいた。

 遠吠えが魔法式をかき消しているのだ。魔狼のアシストとして、不死身を体現した『屍兵』、古代の中華圏で言うところの『腐落兵』が向かってくる。

 

「ヘシアン・ロボの義体に、恐るべし中華ガジェットゆえのゾンビ兵士……」

「うへへへへ! このとんでもない日常こそが、スターズに入って以来の私の創作意欲を激しく上げていく!! パラサイトの二次創作を書き上げる原動力!!」

 

 振動・放出の系統魔法『ソニックバーナー』。対象の分子運動を『音』を介して震わせることで燃焼させる、音の渦巻(ヴォーテックス)は、魔狼の音にも負けず、その上で肉体を干渉範囲に置けた。

 ゾンビ兵もまたその中で身を崩していく。

 

「来やがったなクソゾンビ共。あいも変わらずヒデェ面だぜ。養母より託されたルーンを載せた、俺のパラサイトマッハパンチを食らって極楽浄土に逝かせてあげる―――だめだ! 主人公が女になっちゃいました!!

 この後、主人公の『セツナ・ストライダー』は、規格外のラブ・ヘクトパスカルを巻き起こす『リーナ・ロズィーアン』に、『お嬢さん! ゾンビだらけの世界で出会った男女二人! 無限の子作りをしようぜ』とか言う展開を!!」

 

「貴女のその脳内展開二次創作! どうにかならないんですか!?というか、いま戦闘中(LIVE THE WAR)!」

 

 言いながらもミアの放つ魔法『アクアバイパー』。

 振動・発散の系統魔法で、次から次へと水蛇に丸呑みさせていく。

 

 ミアの操る水蛇は、予め海水の成分も同然に操作されており、『こういった戦い』では重宝する。

 パラサイトなる異次元生命が活躍する、アメコミヒーローのファンジンを創作している彼女の活躍もあって、何とか退けられるも、既に襲来する敵は四波目だ。

 期せずして、この魔法協会の警備部隊に頼られる形で、響子も遥と共に防衛戦を張っていたが、これ以上やられる前に、敵の策源地を叩かねば意味がない。

 

 そう考えていた所に―――、第五波と共に巨大な狐……東洋で言うところの梵字だろうものが、体に描かれていたそれがやって来た。

 一踏みするごとに炎を撒き散らす、妖狐の魔獣の望みなどわかり易すぎた。

 

 新鮮な肉を喰むことを望むコヨーテの考えることは、それだけである。

 

「ヤバイヤバイ!! あれは不味いですよ!! 私たちの干渉力じゃ簡単に弾かれますよ!! マーキュリー少尉! 退避を!!」

 

「分かってはいますが、ここで退けばハイスクールの学生たちの背後が狙われます!! それは避けたい心ぐらいはあるでしょう!?」

 

 同盟国だとか、妹分、弟分の同輩がどうこうということではなく、こういった危難に陥った時に、自分よりも社会的成熟がないものたちを守るのは自然発生的な義務感だ。

 能力の多寡ではなく、生命としての自衛本能というべきものなのだろうか。だからこそ、命の危険があろうとも取り敢えず粘れるだけは粘ろうとした瞬間。

 

「投影、重創―――全投影連弾創射(ソードバレルマキシストライク)

 

 自分たちのいるエントランスホールの天井近くに、色とりどり、魔力は強大、されど絢爛豪華にして必殺必滅を確約した武器……『宝具』が現れて……。

 

「ゲーーーーエーーーン!!!!」

 

 ドイツ語の下知を飛ばされて、勢いよく魔力の疑似兵士たちを穿っていき、7mはあろうかという巨大な炎狐も、その宝具の魔力の前では消滅を余儀なくされた。

 もはや先程までの脅威など、どこにいったかすら分からぬ静寂のホールに、二人の男女が現れる……赤色のコートをまとう男と、青色のコートを着込む女。其の名は……。

 

『セツナ・ストライダー!』『リーナ・ロズィーアン!』

 

 後ろにいる協会員も含めての一斉唱和に対して……。

 

「「何の話だ!?」」

 

 という、振り向きざま驚愕の表情を見せる二人に対して――――。

 

 ミアは……『計画通り』というゲスい表情を浮かべ、デアスノートとかいう紙のノートを開いていたりするのだった。

 


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