魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~ 作:無淵玄白
最近の日笠さんといえば、もはやJK役はキツイとか言われていそうだったのに(偏見)」
刹那「アイカツ○レンズ、グランベ○ムでもJK役だったじゃねーか! 日笠さんに対する酷いデマを流すな!!(必死)」
リ「アホ○ールでは母親役をやったことがやっぱり一番印象的すぎる役なのよ!! もはやアンジ-・シリウスとかいう二つ名は二周ぐらいして既にダサすぎるわ―――これからは……天魔の魔女(ウィッチ・ケイオス)の『アザリー』と名乗ることでアンジェリーナ・クドウ・シールズの二つ名にするべきよ!!」
刹(駄目だこいつ…早くエイトビットに引き取ってもらわないと…)
そんなこんなで二期が来た―――。素直に嬉しいのだが、もう少し早くならなかったのかと思わなくもない。
『ノーフレイム・ハロウィン』~本音の話~
報告書
2095年11月3日 記述
記述事項 2095年10月30日 日本国 神奈川県 横浜地区において発生した魔法戦闘案件に関して。
記述理由 本件を叩き台として今後の日本の国防に対する意見具申及び、この報告書によって浮かび上がる問題点の発見と、改善方向と改善目標の策定を求める。
1,発生の初期段階における状況。
当該 魔法戦闘案件 現在の呼称で横浜事変と呼ばれている一件の初期段階は、当日から発生が予測されていたものではない。
詳細な期日こそ不明ではあるが、国防陸軍の管轄にはない海保・海軍との情報の照らし合わせを抜きにしても、10月初旬の段階より、大亜細亜連合人民軍の特殊工作部隊は日本への密入国を行っており、当初より魔法技術に対する情報窃盗及び、物理的な呪体確保を狙っていたのは間違いない。
それらの方法にハニートラップなどが行われなかった点を鑑みても、大亜細亜連合軍の意思決定は若干、不透明な部分があり、今後の調査を待たねばならない。
現時点で分かることは、この事変は、『多くの者』『多くの組織』にとって、『利用する案件』であったろうことは分かる。
2, 発生した横浜事変から見える変化。
前述のことを踏まえた上で考えれば、大亜連合軍(以後略称)は、当初こそ作戦通りに魔法協会ないし、当日の国際展示場における魔法科高校の学生による論文コンペティションへの襲撃を考えていたと思われる。
しかし、事態は急変する。大亜連合軍所属の魔法師『呂 剛虎』が使い魔とせしめた『王貴人』という『ゴーストライナー』(本言語の意味に関しては別資料を参照願う)を用いて、同胞たる大亜連合軍すらも生贄にした上での、大儀式魔法の成就に動き出す。
この時点で呂が完全に脱走兵及び叛乱兵となったことは確実ではあるが、『王貴人』の出してきた魔法生命体―――傀儡の一種は、大亜の用意してきた通常・魔法問わずの『兵器』『兵装』を無力化した上で大亜連合軍に襲いかかり、混乱と壊乱の中で多くの落命を出す。
この際に、横浜港に停泊していた偽装艦船が、状況の確認を怠り、現場状況に直接人を出さなかったことが災いしたのか、八割以上もの被害を出した時点で既に手遅れとなっていたのである。
それだけ王貴人と呂の作戦が電撃的であったことでもあるが、その上で呂よりも上位の命令権を出すべき『陳祥山』という責任者が、『腹痛』で偽装艦船に運び込まれたことも災いした。
この時点で、呂だけが、現場の責任者となっており、そのことが大亜軍の動きと報告の鈍さを招いたと推測。
3, 状況への対処
主記述者が所属している独立魔装大隊は、対人及び対魔法師に対する作戦マニュアルこそあったが、対『魔』、対『仙人』、対『妖魔』……およそ『人外』の領域にある存在に対するマニュアルは無く、この時点でエルメロイ教室の末弟子『遠坂刹那』に協力を要請。
フェイカーのサーヴァントと独自に敵対していた彼の助力及び、多くの『不確定要素』を含めた戦力構成で、横浜にて大魔術儀式を行い大亜の兵士以上もの生贄を求めていたフェイカー及び呂剛虎を撃滅。
詳細な撃破方法、複数の戦闘に関しては、本報告書とは別の資料、独立魔装大隊隊長 風間玄信のレポートを参照。
4, 最終状況
前述の横浜市街での戦闘は一度は終結した。
しかし、フェイカーのサーヴァント『王貴人』は独自に『復活』の方法を残しており、行き先をロストした偽装艦船の一隻を支配した上で、そこにいた『戦略級魔法』を使える『調整体魔法師』を生贄として、大狐に変化。復活を果たして東京湾に座視して構えることになる。
生き残った捕虜の口から分かったことだが、南盾島からロストした2隻の艦船のうちの1隻。前述の調整体魔法師を載せた艦は、本来ならば東京湾ではなく西日本ルートを通って、海側から東西の連絡を断つことを目論んでいたようだ。
どこを『霹靂塔』で狙うかは、その時点では決まっておらず、場合によっては、日本は最大級に混乱していたはずである。
だが、捕虜曰く『金鰲(偽装艦船の名称)のクルーは、決行日前の通信から妙な様子であった』ということをおよそ10人単位で聴取。
遠坂刹那及び複数の協力者の証言曰く、それは『火狐による精神支配だ』との一致したものを貰う。
主記述者の私見ではあるが、巷では『コヤンスカヤ』と呼ばれている国際犯罪者は、即刻殺害するべきである。かの国際犯罪者は■■■狐、■妲■、■梓(一部検閲削除)などと呼ばれる大妖怪である可能性があるのだから。
5, 最終状況への対処
当初の現場指揮権を預かっていた独立魔装大隊の見識では、戦略級魔法を使用すれば撃滅出来ると考えられていた100m級の大狐ではあるが、物理的世界だけではなく情報次元どころか『アストラル界』すらも圧迫する『存在量』に対して、『物理的な死』では対処を不可能と断じた。
明言したのは、本隊の『大黒竜也』特尉であり、その後はUSNA所属の魔法師『セイエイ・T・ムーン』の『所有』している『聖遺物』の一つ■■■■■■■(政府検閲削除)を以て消滅を確認。
その際の影響は戦略級魔法クラスを観測するも、環境に対する影響は皆無。せいぜい、横浜の近海に人工の漁礁が出来上がって、ちょっとした釣りのスポットになるだろうという程度であった。
6, 総評価
私見ではあるが、本来の大亜の作戦が予定通り遂行されていたならば、その被害は経済的、人的にも多大なものとなったはずである。
何より、戦略級魔法師を総動員しての作戦が失敗に終わった上に、本来の『戦略級魔法師 劉雲徳』を保護している以上、これ以上の大亜の継戦能力に疑問を持ち、此処に報告事項の記述を終える。
―――記述者 国防陸軍101旅団管轄 独立魔装大隊勤務 藤林響子―――
† † † †
毎度おなじみとなってしまった十師族からの呼び出し。関係者を一同に集めた上での話し合いの要点は色々とあったが、最終的には、大狐と化したフェイカーを抹消した黄金の剣は何なのかということだった。
「それに関しては秘密です。ただ……『呪文』だけは、大っぴらに言ってしまったので、そういうものだと思ってくれれば結構です」
「はぐらかされると余計に知りたくなってしまうのが、人間というものだがね。君のインストールやポゼッションの秘技から薄々は予想していたが……つまり過去の人類史に刻まれた英雄たちは、我々が及ばぬほどの力を蓄えていたのか?」
「そういう認識で結構です」
いまだに過去の英雄を『軽視』していたらしき、五輪師の言葉に平坦に答えながら、この査問会で何を聞き出そうとしているのかと言いたくなる。
(底が見えない少年だな………)
十中八九、USNAが『秘匿』している番外位の戦略級魔法師『弓聖』だろう。だが、その方法論が『イマイチ』見えないことが、余計に少年を魔法師の理屈で括れなくしている。
世にある戦略級魔法の殆どが現代魔法の理屈に準じたものであるのに対して、遠坂刹那の魔法……魔術が、速度で優れないものだとしても、『後出しジャンケン』の理屈でこちらを上回るのだから、頭が痛くなる。
南盾島の一件でもそんなことをやったという噂が聞こえるほどである。
「エクスカリバー……ブリテンの王、アーサー・ペンドラゴンが湖の乙女から受け取った聖剣……でいいのかな?」
「ネット検索した知識でしょうが、概ねそういった認識で構わないかと」
七草弘一師のたどたどしい言葉に、構わないとして話を打ち切ろうとしたが、今日の彼は若干違っていた。
「私も娘の要請で、市民の方々の避難のためにヘリで来ていたのだが、遠景ではあるが君の港での最後の戦いを見ていたよ」
「ですか」
「日本伝統の武者鎧のような具足に西洋の刀剣を持つ君を見た上で……その姿に―――蒼い鎧の少女騎士の『幻』を見たんだ。
つまり……英雄アーサー・ペンドラゴンは、『男』ではなく『女』ということなのかな?」
「そこまで七草師が興味を持たれることとは思えませんが?
第一、お嬢さんから既にお聞きだとは思いますが、現在、私が契約しているランサーのサーヴァント、『長尾景虎』とて、史実では男と伝えられながらも、実際は『女』ですからね」
「まぁそうなんだが……いや、けれど上杉謙信の場合、そういう『噂』は、歴史家の間で出ていたからね」
歯切れの悪い七草師だが、言わんとすることは分かる。つまりは、あの八王子クライシスの時に観測された『エクスカリバー』と同種でありながらも、『違う』のかどうか……そういう要点だった。
アーサー・ペンドラゴン……刹那の『セカイ』に存在しているアーサーは『男』でしかない。仮に『秘奥秘術』を用いても、呼び出されるアーサーは、どうやっても十二の『聖剣拘束』を受けたエクスカリバー持ちだけだ。
だが、それとは違うアーサーを……刹那はよく知っていた。
「白状しますが、かつて俺の父親も、サーヴァントを使役して、ある『戦争』……魔術師の暗闘を戦い抜けたことがあったんですよ。
その際に呼び出された『アーサー』は、『アルトリア』という少女騎士だったわけです。
言うなれば
「それが今回の『エクスカリバー』なのか?」
「詳しいことはわかりませんが、波形が違ったのではないでしょうか? 八王子の時に『俺』が使ったものと、今回とでは」
その言葉に
どうでもいいけど。
「ゆえに俺とお袋は、今回使った剣を敬意と蔑称を込めてこう呼んでいました――――」
どっちだよ。という呆れ果てるような十師族の顔……画面越しと直接対面をみながらも、刹那は親父からの『命題』に対して、こう告げた……。
「エクスカリバー・イマージュ……『元カノ未練剣』、と」
その言葉を正確に聞き取り、同時に『見えてきた真実』に対して、色々と想像やぶっ飛んだ妄想に、頭の処理が追いつかずに、全員が吹き出すほどであった。
刹那の暴露によって、様々な追求は流れたものの―――四葉師だけは、一言、笑顔のままに聞いてきたことがある。
「剣や槍からビームやレーザーを出す。そういうのばかりなんでしょうか? 『英雄の武器』というのは?」
「概ね、そんなんばかりですね」
刹那の大いなる偏見混じりの回答は、英霊の座から総ツッコミが入りそうなものであった。
ともあれ、『剣製』としての秘技は何度か見せて、開示もしていたので(主に千葉家の方々)、遠坂刹那は『英霊の武器』を再現しようとして、多くの武器を鍛造している
それこそが、ある意味では刹那の狙い通りの『正解ではあるが、決して『正答』ではない』というズレたものだとは気づかずに……。
そんな話術で切り抜けつつ……。
「ある種、ウチの親父と七草師は、似たようなところがありますね。元カノ未練剣ではありませんが『真っ黒な夜色』の武器でも作りましょうか?」
「刹那君!!!」
という『爆弾』を投げつけ、場を引っ掻き回すことで追求を終わらせたのである。
その後のことは、概ね予定通りだった。
大亜の戦略級魔法師『劉 雲徳』を密かに亡命させていたことを追求された、元・役員たる九島烈は、『子に恨まれんとも孫の無事と安全を祈る心だけは、国の境などないのだと思い知らされた』と言ってきた。
曰く、かの老将軍二人は、かつての戦場で何度も矛を合わせて殺し合いをしてきた仲だった。その中で、ちょっとした友誼を結び、ある『破局』から共に生還をしたことで、連絡を取り合っていた。
「私には劉の心が理解できた。生まれてきた娘夫婦の孫が、いずれは戦略級魔法師として国家に『運用』されると―――そういう予感であり、予言も知っていたからな」
中華圏における人権のありようなど、今更すぎるほどに誰もが理解しており、そういった懸念は理解できた。しかし、温情だけで済ますには、あまりにも私情を優先させ過ぎではないか?
中国人に対して『思う所』が大きすぎる七草師……かつての弟子の言葉に対しても九島烈は……。
「確かに、お前の気持ちは痛いほど理解できるよ弘一。だがな。リーレイちゃんやユンドーが、お前に何をした? 全ては元造が焼き尽くしたのだ。
この上さらに親の恨みを
それでもやりたいならば、遠慮はいらん。先ずは私の首から取れ。その後でならば……何も言わんよ」
沈痛な表情をして、手を組んで耐えている七草弘一師……。
「先生に手をあげてまで幼子になどとは考えられませんよ」
その言葉を最後に、処遇議論に関して七草師は無言であった。
とはいえ、リーレイとユンド―師傅が一緒というのは、魔法協会の立場的に体裁が悪い。具体的に言えば、政府筋に対して申し開きが出来ない。
ビクつきながら言う、協会員代表として出席していた『十三束ママ』の言葉に、そりゃそうだ。という顔をする一同。つまりは遠隔に置くことで、叛乱を抑止する。
要するに人質としてリーレイを遇しろということだ。既に劉師傅が戦略級魔法の使用が出来ないことは、多くの関係者で証明済み。
しかし、人間理屈だけで納得できるわけではないということで、二人を引き離すことを日本政府は言ってきたのだ。
「邪推するようで何ですが、劉 雲徳師傅がこの戦いで死ぬことも想定していましたか?」
「寧ろ、そのことを望んでいたよ劉は……自分が死ぬほどの奮戦をすることで、中華街の魔法師。即ち、現在の大亜から追い出された『はぐれもの』たる魔法師たちは、決して敵ではないと証明する。WW2の日系人部隊のようにな」
そういう考えは好かないかぎりだった。とはいえ、自分がUSNAで最初の頃は、そんな感じで動いて、更に言えばリーナの『苦労』も代行していたことで……若気の至りというやつである。
そんなわけでリーレイの預け先としては関東近県はまず無いとして、とはいえ、色々と考えた末に……。
「ウチの愚息から、中華街の魔法師の方々の勇戦はお聞きしています。ゆえに劉 麗蕾さんのことは私にお任せいただけませんか?」
一条剛毅の言葉を最後に、リーレイに対しての処遇は決まった。とはいえ、それは年明けからの話になる辺りは温情でもある。
ちなみに言えば将輝には妹がいるらしく、年も近いとかなんとか。
ただリーレイがそれを納得するかどうか……ではあるのだが―――。
「まぁ石川県の金沢と言えば加賀前田家だもんなぁ」
「マエダトシイエ21歳 その
リーナの言葉に対して、戦国時代ということを考えても幼い女子との結婚であった。
だからなんだというわけではないが、きっとそういう風土があるのかもしれない。
そしてリーレイは、微妙に将輝に対して意識しているように見えた。
リーレイ及び中華街の魔法師や、横浜の復興に関しての話し合いは着いた。こういう所は時計塔とは違って権力闘争にはならないようだ。
彼らとしても魔法師の中の『貴族』としての意識の発露があるからだろう。
ハートレス事変におけるスラーの復興も、最終的には
未来に対する明るい話(?)のあとには、話題は若干ながら暗いものになる。
大亜の内通者であり、中華街のちょっとした若手実業家であった周公瑾という男の行方が、依然として知られていないということだった。
かの実業家の『皮』を被った男は、実年齢にしておよそ50歳は超えているらしい。
ある程度の域に達した魔術師であれば、肉体年齢を若干制御することも出来る。魔術回路による働きで、老化現象も幾ばくか抑えられる。
とはいえ、精神的な老成と合致しない肉体というのは、魔術の行使で問題になることもあるので、あの骸骨ロード・ルフレウスは、あれでも『正しく老いる』ことで魔術を深めているらしい。
その反面。若作りに若作りをするタイプもいる。ユグドミレニアの当主、シュポンハイム修道院の次期院長……どちらも話に聞くだけで、既に鬼籍に入っていたりするのだが。
ともあれ周という若作りの道士は、何処かに『潜伏』したとの見方だ。
考えたくないが、どこかの魔法師の家が匿っているかもしれない。
決して一枚岩ではない日本の魔法師社会の有り様に、まぁあるかもしれないと思いながら、その周という『毒虫』が何をするのかが今後の針になるのではないか―――そういう予感だけを持っておくのだった。
そんな毒虫一匹の対処よりも、現状は大陸側の動向が気になる。
「まだ確認が完全に取れているわけではないですが、どうやら大陸南部において分離独立を訴える団体に、人民軍の若手将校たちが同調をして、内戦一歩手前になっているとのことです」
同席していた国防軍の人間。達也の上官たる風間玄信が、そんな情報を与えてきた。
聞けば、横浜事変の後に『後詰』として出発するために朝鮮半島に艦船をていた大亜の動きが、途端に鈍ったのは、いわゆるこの南部独立運動が、どうなるか分からないからである。
現在のところ、目立った動きはないものの、どうなるかはまだまだ不透明である。
「まぁ私は陸軍の人間なので、海軍側がどうするかは分かりませんが、何かあればお願いします」
「分かりました。澪にもその旨は伝えておきます。護衛役としては、お願いできるかな?」
「克人先輩が適役な気もしますが?」
「それでも、だ。まぁUSNAに本籍がある君を引きずり回すのも悪いかな」
五輪師の言葉に、『考えておきます』とだけ言っておいた。一度だけ会ったことがあるのだが、どうにも既知の人を思い出す『儚い人』。
同時に『弟』の存在が、あまりにも同期しすぎていて、『フォルヴェッジ姉弟』を思い出してしまう人だった。
不確定な事項ばかりであったが、横浜の影響はあちこちに出ていて、油断ならないことは確実であった。
(大亜が、こんな捨鉢な一手を打ったのは、恐らく刹那の影響なんだろうな……純軍事学的に言えば、悪手もいいところだ)
セイエイ・T・ムーンが新ソ連、大亜などと暗闘を繰り返した上に、あちこちに首を突っ込んで作戦を失敗に終わらせてきた結果、彼らはこんなことを起こした。
更に言えば、USNAの思惑含めとはいえ、刹那は全体的に魔法師たちの力量を上げてきた。古めかしいトルーマン・ドクトリンの如き防共政策の一環にもなった、『西側』の魔法師たちの底上げをするエルメロイレッスン―――。
魔法師が国家戦力の全てではないが、西側の魔法技術の進展がこれ以上進めば、確実に大亜及び新ソ連は、世界制覇の道を失う。
その焦りが顕著になり、上層の焦りは国民一人一人の『事情』を無視した『強烈な全体主義』へと変わり、元々……北部に帰属意識を持たず、自由民主主義という『一党独裁体制』よりは幾らかマシな制度に浸っていた香港もあったことが、反発と離反を招いた……。
(コイツ一人動けば、大山鳴動して『大蛇百匹』……そんなところか)
改めて考えると、刹那の『小さなお節介』が、アホみたいな大騒動に発展した挙げ句、あくどい企みした人間はボロクソになる。
とんでもない友人が出来たものだと思いつつ、無慈悲に何万人も殺す……ある種の『漂白』など行わなくてよかったと思うぐらいには、達也も……大量殺人に対して『忌避感』を覚えていたのだから………。
2095年のハロウィンは、ワイドショーを若干騒がせながらも、『平穏』に済む様子だった―――。
あえて穿った見方で邪推とファンサイトの考察などを含めて考えると……貿易摩擦で『Cのマネー』が当てにならなくなってきたうえに、当局からの表現規制のあれこれ、HKの自由民権運動……角川書店の文庫本、巻末にある角川源義の言葉を再認識すべきだったのだ。
全ては遅きに失する―――。