魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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第161話『まほうつかいの過去──倫敦Ⅲ』

苦しくて苦しくて、生きていることさえ苦しくて、いっそ消えてしまえば楽になれるのだろうと思った。

 

伸ばした手は虚空に上げられ、何も得るものがないままに力なく沈もうとしていた。

 

意識は消えかけ、持ち上げた手がばたりと地面に落ちようとした時に―――落ちるはずだった手を掴まれる。力なく沈む手をにぎる大きな手。

 

火が止み、曇天の空から雨粒が落ちてくる景色の中に、その顔を見た。

 

その顔を鮮明に覚えている……。雨粒かと間違えてしまいそうな大粒の涙を溜めた男の顔。

 

悲しさから解放されたように、心の底から喜んでいる男の姿。

 

生きている人間を見つけ出せた、助けることが出来た。よかった。

 

本当に喜んだ男は言う……。

 

「生きている……生きている……! ありがとう……! ありがとう……見つけられてよかった! 本当に良かった……一人だけでも助けられて、僕はっ……僕は救われた……生きていてくれてありがとう!!」

 

―――それが、あまりにも嬉しそうだったから、まるで救われたのは俺ではなく、男の方ではないかと思ったほど……。

 

男は誰かに感謝するように、死の直前にいる自分が羨ましく思えるほど、これ以上ないという笑顔を零した。

 

その顔が眩しかった。その顔を知っていたから―――男は、『切嗣』のようになれたならば、それはとても、いいことに思えた。

 

切嗣のように誰かを救うことで、そんな笑顔が出来るならば、俺は―――そんな人間になりたかった……。

 

切嗣が目指した───『正義の味方』になれたならば………。

 

† † † †

 

見せられた映像は―――かなり魔法師としての常識を突き崩す。

 

駆け足のごとく過ぎていく刹那の父親の記憶は、凄まじいものだった。

 

毎夜続く命がけの魔術鍛錬。刹那からすれば『無駄ごと』らしいが、その養父が魔術を教えたくなかったことから察するに……。

 

それでも、そんなことを十を数える程度の人間が『毎日』、『死ぬ危険』と隣合わせでやってきたのだ。

 

その精神性は―――異常者の類だ……。魔法師ならば、魔術師であっても、あっさり諦めることを、目の前で金属の棒を『強化』しようとする男は、何度もやっていた……。

 

「記憶を見て理解したよ。オヤジの養父……魔術師殺しと呼ばれた『魔術使い 衛宮切嗣』は、オヤジに魔術をやめさせたかったんだろうな」

 

人間らしい生き方をしてくれるならば、そういうことだった。

 

その想いは―――『息子』も同様だった。

 

そして、刹那の気持ちに呼応するように、場面が遷って見えた英霊同士の死闘……『聖杯戦争』の全て。

 

――――壮絶なまでの戦いの果てに、かの英霊との別れを垣間見る……。

 

朝焼けの中に消えていこうとする金色の剣士。セイバーのクラスに招かれし稀人……英霊『アルトリア・ペンドラゴン』との別れ。

 

流れ行く雲の中に―――黄金の離別が挟まれる……。

 

『シロウ───貴方を、愛している』

 

端的な言葉、その短い一言を以て、彼女は昇る光の中に消えていく。

遠い朝焼けの大地は、彼女の故郷に似ていた……。

 

その景色の全てが……達也たちにも焼き付いた。まるで、出来のいい劇を見たかのように、少しの情感が生まれてしまう。

 

最初の刹那の父親の過去は壮絶なものだった。

養父の理想を継いで、その想いが間違いかどうかすら分からずとも、求めた理想のために走り続ける衛宮士郎は、ラクな道のりじゃなく険しい道のあるき方を求める男だった……。

 

その果てに手にした黄金剣の銘は……。

 

『元カノ未練剣か……言い得て妙』

 

「そこはどうでもいいだろ。今の映像で分かったこともあっただろうしな」

 

ぶっきら棒に、刹那は少しだけ憤慨して達也と深雪の結論を打ち切る。

 

聖杯戦争という魔術師たちの闘争。霊脈上に置かれた大呪体を利用した、世界の外側へと至る試み。御三家の内の一つが完全に消失していても、外地のマスターを得て続けようとした極東の大儀式は、勝者を産まずに終わりを告げた。

 

ハラハラするほどの戦いと血で血を洗う闘争の果てであったが、達也と深雪の関心事はそこではない。

 

遠坂凛が引き当てたサーヴァント。赤い弓兵。アーチャーのサーヴァントである。

 

「お前の母親が引き当てたアーチャーのサーヴァントは、『未来のエミヤシロウ』ということなのか?」

 

「そういうことらしいな。マスターとサーヴァントの間には明確なラインがあって、時には夢見という形で、サーヴァントの過去を垣間見るんだ」

 

そして、あそこまで擦り切れるほどに、理想に邁進した姿が『世界の始末屋』という結果であるなど、報いがなさすぎではないかと思うも、そこまで踏み込むのは止してから問いかける。

 

「にしても詳しく知っているな……刻印継承者というのは、こんなことも知ってしまうのか?」

 

「親父の刻印を継承した頃から、俺の『夢見』にも影響が出てきて、お袋に聞いたんだ……けどお袋は話すことを渋っていたよ」

 

アーチャーという男の行末。それは父親の未来のカタチなのだから知りたがるのは当然で、喋らない理由は―――。

 

「なぜ?」

 

「俺も、『正義の味方』に憧れて世界の果てに行ってしまうんじゃないかって。そんなわけないのにな」

 

自嘲するような刹那の言葉に、リーナは少しだけ言いたげな苦笑をしているのが印象的であった。

 

馬鹿げた話だと事更に強調する辺りに、刹那の本性が分かる気がする。この世界に来たのだって、結局のところ、逃げ出さなければならない事情があったのだろうから。

 

そうして再び視点は刹那の側に戻る。暗転して場面が切り替わる。

 

場所は日本から再びの英国ロンドン。古めかしい木の教壇に複数の生徒が聴講できる長机。

本当に一昔前どころか『三昔前』の大学の講義室を思わせる場所。

 

そこにて―――教壇に立つ男の姿を見る。

 

それは、この世界でも『有名人』すぎて、最近聞いた話では、各国の諜報機関が『血眼』になって探そうとしているとか……ここまでの話どおりならば、全くの無駄骨折りなわけだが―――ともかく、そこは講義室という場所であり、教壇には『講師』がいた。

 

厳しい顔にシワが幾重にも刻まれた額。男にしては長すぎるぐらいの黒髪―――。

 

着ている衣服は、黒いスーツに赤いストールを掛けた姿……。

 

その人物の名前を、達也も深雪も『とっくにごぞんじ』だったりした。

 

「───では、授業を始める───」

 

その言葉で居並ぶ教室のメンバーが聞く体制を取る。

 

「ロード・エルメロイ……!?」

 

「2世を付けてあげて。まぁこの頃にはロードの地位は、義妹であり、ノーリッジの講師の一人にも譲られているんだけどな。

けれど、俺やここに居並ぶ同級・先輩の全てが、全面の敬意を以てロード・エルメロイⅡ世、グレートビッグベン☆ロンドンスター、マギカディスクロージャー、魔術探偵、絶対領域マジシャン先生、プロフェッサー・カリスマなどなど呼んであげているぐらい、スゴイ人なんだ。

まぁ俺の場合は単純に『ウェイバー先生』って呼んだりしてもいたか、メルヴィンさんっていう先生の親友(自称)からも、そう呼んであげることも、精神安定剤だとも言っていたが」

 

『ロード・エルメロイ2世』こと『ウェイバー・ベルベット』という、魔術世界の革命児とも言える存在が出てきた瞬間の刹那は、正直『キモかった』。

 

そう言えば、前からこういう点は色々とあれな人間であった。英雄アルトリア、英霊エミヤに関しては何も思わないくせに、この魔術師に対しては多弁になるのである。

 

「兄弟子と姉弟子のシツケが良かったのよね―。この場面ではないけど、それなりに『おエライサン』になった人間たちから言われていたし」

 

「まっ、そういうことだな。先生の授業はいつ聞いてもいいもんだよ。魔術の深淵に至るための階だ……」

 

リーナは、この光景以外にも、そういった刹那の記憶を見てきたのか、そんなことを言ってくる。

 

見えているシーン。教壇にて、本当に古めかしい『チョーク』を握り、何かを書いていくエルメロイ2世。教科書というものはないらしい。ノートを取っているものも殆どいない。

一部ではレコーダー機器や、動画撮影機器などで記録している様子もあるが、基本的には、講師の授業を『しっかり聞く』ことで『身に付かせている』。そういうことだ。

 

「俺のやっていることは『曲学阿世の徒』みたいなもんだよ。明確な教科書(テキスト)というものを記すことで、何とかかんとかやれているだけだ」

 

「成程な。この授業だけは、あまり雑音が聞こえない。ロード・エルメロイ2世の言葉をしっかり聞こうというお前の想い(きおく)が、これを生み出しているんだな」

 

「それゆえに―――刹那君の隣りにいる『銀髪の美少女』が色々と気になりますね。ロード・エルメロイ2世の授業に集中していながらも、時折、チラチラと、金眼を向けていますね―――熱っぽい視線で」

 

「さっ、次のシーンに移動しようか………」

 

深雪の言葉を受けて、『浮気現場』を見られたような態度で魔術刻印に手を翳そうとした刹那の手を『がしっ!!!』と掴む深雪の手―――。

 

「ちょっ、深雪さんや? 何をするんでせうか? というか超いてぇ!!」

 

「こういっては何ですが、先程までは切った張ったの凄惨な修羅巷を、初っ端から見せつけられていたんです。

あなたのメイガス・スクールライフの一つや二つ、じっくり見せてもらってもよいのでは? そしてこの握力は、聖女マルタのホーリー・フィンガー由来、私の能力ではないので誤解せずに」

 

ホントかよ? と思うほどに『ニッコリ』と怖い笑顔を浮かべながら、刹那を威圧する深雪の姿。

 

しかし……達也としても、少しだけ興味はある。出歯亀根性というのは、あまりいものではないが、この少女……といっても大学生ぐらいだろうが、刹那とどういう関係なのかを、知りたいものだ。

 

「オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィア。魔術協会の総本山『時計塔』を統べる十二のロード……魔術師の王の一角に連なる女子で―――セツナのお姉ちゃんで、言うのも憚られるというか、カノジョであるワタシは言いたくないんだけど、『卒業相手』なのよね♪」

 

「俺の彼女がこんなに怖いわけがない!!」

 

更にリーナの怖い笑顔を足しておく、バレバレすぎたが、ともあれ―――。授業は進んでいき、刹那が少し悩んでいると、隣りにいるオルガマリーは『しょうがないわね』という『嬉しそうな表情』をして、解説を付け加える。

 

『セツナ。この場合は地動説で考えたほうがいいの。ロードの言う通り、天動説では通るものも通らないから、時には発想の転換も必要なのよ』

 

隣にて刹那に補足をしてくれる銀髪の教え方は的確であった。机の上に広げられた天球儀のような装置が、大まかに循環した様子から推察。

そんな銀髪の女性に刹那も懐いているようである。

 

本当にこいつは……。若干達也が頭を痛めつつ、やっかみのような嫉妬のような、なんと言えばいいのか、とにかく羨望の目を向けざるを得ないオルガマリーとのパーソナルレッスンを見ておく。

 

『成る程、けど天体科のロード候補として、その発言はどうなんでしょうか?』

 

『いいのよ。キリシュタリアが適当に(ウチ)の親類縁者と婚約すればいいんだから』

 

『うん、別にそんなことは聞いていないです』

 

その場合は、多分ではあるが目の前の銀髪少女が第一候補だろうな。という風に予想をするぐらいには、魔術師の世俗と女子の面貌の良し悪しに通じた『少年の刹那』であったのだが……授業に集中したかった想いを崩すように―――。

 

『セツナの大大大好きなお姉ちゃんが、他の男と結婚してもいいの!?』

 

『何の話ですか――!? というか大を3つもつけなくても大好きだけど!?』

 

『FUCK!! お前達、痴話喧嘩をしたければ、教室から出ろ!!GET OUT HERE!!!』

 

『教授! 恋愛ってすごく重要だと想います!! 恋をするエネルギーあってこそ、魔術師は次代の力を手にできるんですよ!!

『月の珊瑚』にも到れる力を!! だからセツナ君とオルガマリーちゃんは、あいてててて!!!

この感覚は懐かしすぎる―――!!!』

 

『ようやく卒業できて要職に就いた人間が、しれっと教室に入るな!!『OB・OGハイルベカラズ』のギアスを掛けるぞ!!』

 

『『『『『『そんな殺生な!!』』』』』』

 

そんな様子を見せられていた達也と深雪は、グリモアに載っていた人間たち―――刹那が紹介してきたある種の有名人たちが、こんな風な「キャラが濃い」人間であることに何とも言えない気持ちになる。

 

それに対して刹那は誇らしげな顔(ドヤァ顔)をしながら―――達也に言ってのける。

 

 

「これが――――エルメロイ教室だ―――」

 

ここまで強烈なキャラばかりいる『教室』に所属していれば、自分たちなど『お行儀良すぎる人間』だろうな。

 

そして、ロード・エルメロイⅡ世が、自分たちの講師になれば……。

 

「問題児ばかりであることに、色々と苦労も多い人で、最初は喜べても物足りなさを感じると思う……なんやかんやと、先生は『騒がしい』のがキライな人じゃないからな」

 

どうやら、この世界にとって遠坂刹那という男がやってきてくれたのは僥倖なのだなと想いつつ、本場のエルメロイレッスン。

 

刹那が教壇の黒板の側に行き、チョークで『答え』を書いている姿に、達也は『いつもの授業風景』を重ねるのだった。

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

「西城! 次はあっちに行こうぞ!!」

 

「他の面子もそれでいいのかね?」

 

「構わないよ。今日は金沢の人々の歓迎だからね」

 

先行する私服姿の四十九院沓子と西城レオンハルトを筆頭に、東京都内を遊び歩く面子。

 

その面子は明らかに女性陣が多くて、バランスを欠いた構成ではあったが、特別ナンパしようという気が起きないのは、レオの体格とかエリカの睨みつけが功を奏しているからだ。

 

同時に、先ほどなど一色愛梨がナンパしようとしてきた男をクソメタに叩きのめして(口頭言語)で、十七夜栞が無言の冷視線で生ゴミを見るかのようにして追い払ったほどである。

 

「せめてセルナの半分ほどの、一角の人物になってから来やがれってもんですね」

 

「理想高すぎやしないかしら?」

 

エリカも思わずつぶやいてしまうぐらいには、一色愛梨の理想は高かった。まぁ人によっては刹那の価値など、そこまで感じないかもしれないが、ともあれ自分たちのような人種にとっては、本当に宝石のような人間であることは間違いない。

 

「さて、ショッピングも結構したほうだけど、この後はどうする?」

 

「そうですね。映画もいいんですけど……皆さんの行きつけの店、どこでも構わないので、そこに案内させてもらえませんか?」

 

ここでお好み焼き屋の『鍾馗』に連れて行くのも一興だったかもしれないが、どうせならば、洒落た店に連れて行くのも一つだろう。

 

アイネブリーゼでもいいのだが、どうせならばヒゲのマスターがいる所よりは、洒脱なウェイトレス服を着た女の子がいる店のほうがいいだろう。

 

必要以上に媚びてはいないウェイトレスさんたちならば、この気高い金猫も何も言うまい。

 

店の名物たるジョージ店長のパスタが食べられるかどうかは、運次第であるが……。

 

ともあれ、沓子に腕を引かれて歩くレオに、『アーネンエルベ』に行くことを提案すると、快諾。

 

「達也と深雪さん、刹那とリーナ。四人揃って『予定』ありとは……」

 

「魔法協会の用事でしょうか?」

 

「確かに、先の騒動の釈明で最終的に矢面に立ったのは、あの四人と先輩方だけど……」

 

やはりレオはああ言ったが、何か隠し事をされているのは、いい気分ではない。

 

とはいえ、こうして会いたいと思っていると、ふとした所で偶然にも出会うのも、自分たちに出来た縁でもあったのだから……。

 

沓子のまっ平らな胸にドギマギするわけがないレオが戻ってくると同時に、一行はアーネンエルベに歩を向ける。

 

そこに何があるかも知らずに―――。

 

† † † †

 

刹那のうれし恥ずかしスクールライフを、『それなり』に鑑賞した自分たちが次に見たのは、何処ともしれぬ場所。

 

どこかの地下。人工ではない。人の手はそれなりに加えられているものの、何かの採掘場を思わせる場所にて……。

 

「ル・シアンくん!! こっちの岩石とかよく見ると、ヒュドラの幼生とカラドリウスの化石だよ!! セツナくんも、カラドリウスの化石は持っていった方がいいよ。リンちゃんが良くなるように、治癒の鳥の秘石はあって損はないよ!!」

 

「お前は、なんでそういうことを勝手にするんだ!! ハタチをとうに超えているんだから落ち着けないのか!? セツナ、お前も『プライド』に、そのうち列されるんだから───、グレイたんと一緒に薬草を採っていなさい……羨ましい……すっごい羨ましいぃいい!!!」

 

先程まで見ていた面子に数名を含めて、何かの『発掘作業』を行っていた……。

 

どちらもハタチを超えているくせに、なんか情けなさすぎる兄弟子二人に囲まれながらも……。

 

「セツナ、アホの兄弟子二人に構わず、四番と二番の作業のフォローに回ってくれ。それが終わったらば、一段落しそうだからな。休憩にしようか」

 

「了解です。カウレス(あに)さん」

『周回プレイで再臨素材、スキル素材を集める―――そんな日々がプライスレス……だが時間は有限! リアルを蔑ろにするなよ!』

 

一番まともな指示を出す眼鏡の男に従う、『しゃべるステッキ』を持った刹那の姿があった……。

 

その場所は今までに無いぐらい、異質な場所であった。

 

まるで………口にするのも憚られるが、何かの―――『ダンジョン』であった……。

 

ダンジョン。なんと楽しい響きだが、そんなものが存在しているのか? そういう眼で問いかけるも、刹那は乾いた笑みを浮かべて、この頃の自分の母は、病床に臥せっていたことを告げ───ここから刹那が、『エミヤ』の業に近づいていく始まりだと言ってきた。

 

「ここは霊墓アルビオン……掻い摘んで言えば……死せる白竜の骸。そこを元に出来上がった迷宮」

 

神秘が衰退した現代においても、色濃く神秘が残る『この世界にも残る幻想郷』だと言われた時に、達也と深雪が驚愕したが―――映像は止まらず、刹那の記憶の回想は続くのだった。

 

 

 




□今日のNG■

「ところでだ刹那。聖杯戦争というのは、どれぐらいのスパンで決着が着くんだ?」

「好戦的な相手……英霊・魔術師ともども、ならば一週間もせずにケリが着くんじゃないのかな?」

「なるほど、となるとお前の両親が参加したのは、随分と長いんだな」

「どうしてそう思う?」

「日を追うごとに魔術師・英霊共々……『ガタイ』が良くなっていく。筋肉が『ムキムキマッチョ』に仕上がっていく、特に最初は可愛い系だったはずのお前の母親の首の太さがすごい。劇画調だ……」

「おいマテ」

「泣く子も黙る大腿筋、大胸筋が歩いている。背中に鬼神を宿していく―――それが聖杯戦争! つまり聖杯戦争は、お願いマッスルを『約七年間』やることで、筋肉を作っていく儀式―――」

「ウエストサイドパンチ!!!」

「だっと!?」

深雪・リーナ(この『アンリミテッドブレゲイボルグガンドワークスエクスカリバー』とかいう武器は何なのかしら?)

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