魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~ 作:無淵玄白
こうアメリカンなクイーンビーって感じで(マテ)
とりあえずエロ同人で我慢しようと思う。元気が無いぐだおをチア服で応援しに来て、そのまま――――――マリオカートで遊ぶんだな(爆)
はい。というわけで新話どうぞ。
惨劇の後に来た大隊関係者たち―――バルトメロイも陣頭に立ち、保護者役でありながら、任務を依頼された時には外していたバゼットも草原に立ちながら痕跡を探す。
サキュバスの愛液を基材とした反応薬を草原に垂らしていくと、反応は絶妙であった。
「グライス、報告を」
「はい。バルトメロイ―――」
既に挙げていたものだが、呼びかけられたグライスは、事細かに状況を説明していく。
単純明快だが、簡単に言えば―――遠坂刹那は『殺人鬼』に連れ去られた。そういうことだ。
「トオサカを殿にして、撤退を開始した我々でしたが、敵の中に高位の結界術者がおり、彼と分断されました」
当たり前だが解呪を試みた。しかし敵もさるもの。分断すると同時にバルトメロイの本隊にも攻撃を開始して、そして更に挟撃を開始したのだ。
「結果的に我々は、トオサカを見捨てて撤退したのです」
「成程、的確な判断です。一考する余地すらありませんね」
その無情な言葉を発したバルトメロイ・ローレライに、少しの敵意が向いた。
だが、その敵意は完全に霧散する。ミスリルのガントレットグローブで力の限り、乗馬鞭に似た礼装を握りしめるバルトメロイの姿を見たからだ。
視線の先は―――反応薬という『足跡』が点々と示していく、アルズベリ村という巨大工業都市に向けられていた。
「ミス・フラガ、トオサカの反応はあるのですね?」
「ええ、彼には『ピアス』という探知装置が着けられています。
これで私と彼は応答し合えるはずなんですが……」
言いながら、耳元を示すバゼット・フラガ・マクレミッツに、バルトメロイは眼を瞑りながら応える。
「恐らくですが、彼は意図的に『反応』を切っているのでしょう。死徒にでもされていれば、そんなものは簡単に砕かれているでしょうし、応答は無くても『反応』はあるのでしょう?」
「はい」
バゼットの示すピアスは、お互いのどちらかが『危難の事態』となった場合、それを確実に永続的に作用することで居場所を知らせる仕様となっている。
それは刹那でもバゼットでも抗しきれない一種の『GPSチップの体内埋設』、現代風に言えば『マイクロチップ・インプラント』も同然になる。
そういった事態にならず、意図的にオン・オフ出来る間はまだお互いに無事ということ。即ち、刹那は何らかの意図を持ってそうしているのだ。
「連れ去ったのはヒト蛭『ルヴァレ』の討伐の際に私の邪魔をした殺人鬼。
私の狩りを邪魔した挙げ句、私の『玩具』まで取っていこうとはますます持って不遜の限り……ですが、まだ刻限ではない。
フリーランス一人に人員を割くことは禁物。引き上げましょう」
「申し訳ありませんが、バルトメロイ。私は別行動を取らせてもらいます。
確かにある意味、保護したのは『安堵』出来る存在ですが、『安心安全な存在』ではありません」
「……」
「何より、友人の息子なのです。一人ぼっちにしておきたくはない」
バゼットが抜けるという事態に目くじらを立てるほどではないが、それでも損失は損失だ。
大隊関係者たちは、それを少しだけ不安に思うも、バルトメロイはそれを許可した。そもそもフリーランスの連中というよりも天文台カリオンの連中は、決してバルトメロイの手駒というわけではないのだ。
何より遠坂刹那は、時計塔の最有力魔術師の一人。放っておくことは、あまりいいことではない……。
そんな思いなど知らずに、その場面を映さずに刹那の回想は続いていく……。
† † † †
『随分と破天荒な人生を送っているものだね。まぁ無くはないか』
『そう思えるかい?』
『私の中に宿る『マアヤナイン』の一人が囁く……明確ではないがね』
魔法の杖と会話をする包帯で眼を隠した男を見ながら、刹那は用意された一軒家の調理器具を用いて、即興で料理を作り上げる。
『出来ましたよ。この家の食材じゃ、こんなもんしか出来ませんけど』
『ははは、申し訳ないね。とはいえ、今度買い出し頼むよ』
そう言って、真祖の姫が用意したという家―――借家を見るに、質素すぎて何より……まぁ防衛施設も然程ではなかった。
とはいえ、この人一人いれば、そんなものはいらないかとも思えた。
包帯を外して、刹那の作った料理を直に見て食べる遠野志貴……。
それすら辛いだろうに、もう少しマシな魔眼殺しは無いのかと問うも……。
『キミだって俺と同じく眼が暴走状態だろ? まぁそれでも、料理の『色彩』を見ずに食べるのはいやだからね』
『面倒な性分ですね』
『そんなもんだよ。全てに死の線が見える。そんな風であれば、いつかは狂うしかない』
言ってからメガネを投げて寄越す遠野志貴。それが『アオザキ製』であることに気付いて、これほどの一級品でも完全に殺しきれないようだ。
『それを強化して『度数』を上げることが出来ればいいんだけど、オレの周りにそういうの出来るのがいないんだ。
壊滅的に、壊すことだけが得意な連中ばかりなんだよなぁ』
壊滅的と壊すが若干『掛けているつもり』なのか。フレームを掴みながら、ブリュンスタッドの『戦姫』でも無理なのか。それともそういうことが出来ないのか……。
(滅びかけの真祖たちが決死を込めて作ったものだからな。そういった余分な機能は無いのかも)
そう思いながら……。
『列車に乗ったのは、この為だったのかね』
『何の話だい? 刹那くん』
こっちの話っす。と気楽に言ってから、ロズィーアンのレンズを二枚ほど取り出す。念の為ということで頂いておいた魔眼『封じ』のレンズを二枚ほど……更に念のためにすっごい『度』の強いレンズを用意しておいた。
そしてアオザキ製のレンズに『重ねる』。元々、頑丈に作られていたものらしく、経年劣化していない辺りに封印指定の女の手並みを理解する。
レンズ自体も拡張の余地は見えた。後々使う人のためにアフターサービスするぐらいは出来たかもしれないが、なんで持っていかなかったのかを聞く。
『じ、実を言うと後年に聞いたんだけどな。オレにその眼鏡をくれた『先生』……君たち魔術師の呼び方でミス・ブルーって魔法使いが、姉を殺して奪ったものだとか聞いたんだよ。本当かな?……』
『俺は姉貴の方は巷間の噂程度でしか知りませんが、あの二人が出くわすと、街一つ無くなることを覚悟しての殺し合いが始まるそうですけどね』
『そうか。それじゃ『先生』とは会ったことあるんだ?』
『まぁ会いたくはなかったですけどね……志貴さん。取り敢えず掛けてみてください』
『ん』
食べていたエビピラフを嚥下するのと了解の応答が重なり、メガネを受け取った志貴さんは、それを『久しぶり』に掛けたようだ。
『……すごい。死の線も点も見えない。久しぶりに『生きている世界』を見た気分だよ』
よっぽど煩わしかったんだろうな。そう思える言葉に、本当ならば、アオザキに任せた方がいいんだろうな。と思えていた。
『察するに、このメガネは、キミと同じような直死の魔眼持ちに対して与えることも辞さないものだったんだろうな。
まぁ恐らくだが、そちらに関してはオーバースペックで『制御』してしまったから、要らずとなったんだろうね』
随分と確信を以て言うオニキスに妙な気持ちになりながらも……。
『ウォおおん。このエビピラフの米の一粒一粒、剥かれて丸いエビ、これらに死の線が見えないことに感謝を込めて――――イタダキマス!!』
『確かにあんた『出ていた』けど、そんなキャラじゃないだろう!? というか知り合いの『ロード』みたいな声でそういうギャグを言うな!!』
『どんな食材一つにも宿る命は輝くファイアー!!』
遠野志貴の歌う歌が二番目に入ったことで、流石に見ていた達也は声を掛ける。
「直死の魔眼?」
「厳密に言えば『魔眼』って呼べるものではないんだけどな。
というか俺も本人から聞いた限りでしかないんだが、この眼を持った者たちは、有機無機に関わらず、全てのモノの死の要因を読み取れるらしい―――それが死の線、死の点というもので視認されて、この魔眼を持っている連中はそこに干渉を掛けられるそうなんだ」
その刹那の説明に対して、確かに遠野志貴は、何の魔術的な干渉もされていない己の素手を、吸血鬼の体に『ナイフ』か『フォーク』でも差し込むかのように入れていた。
吸血鬼の体は当たり前のごとく、常人が至れる人体のスペックの領域にはない。
況や如何に鍛え上げられた人間とて、素手で人体を破壊出来るわけがない。まして元々あった大きな傷ならばともかく……。
「この魔眼が齎す『死』というのは概念的なものであって、回復などが出来るものではない。存在の『寿命』という『綻び』を引きずり出すことで、相手に死期を与えているんだ」
その能力の恐ろしいまでの力に、達也は怖気を覚える。確かに自分の分解もそういったものはある。
刹那の授業もあいまって最近感じて理解を深めたことだが、達也の分解は、万物の構造情報を読み取った上でそれを違うものに『置換』する能力と言える。
置換魔術―――フラッシュエアともいえるのだと。
つまりは物質の容量を『無』、『虚』にしているわけではない。
大きな構造物を分解するとなれば、部品ごとにバラバラにするか、もしくは構造物質全てを簡単に風に攫われるほどの細かな物質に『砕く』『砕粒』することで、消し去っている。
『人体』もそうなのだが『原子レベルに変えている』だけなので、……遠野志貴の『直死の魔眼』というものを用いた『殺人』『消去』を見ると、自分の技は随分と拙いものに思える。
「別に殺人やら消去の手際を競うわけじゃないが、この人の前では俺の分解なんざ手妻使いもいいところかな?」
「さぁな。ちなみに言えば達也の場合、魔法が『発動する前』に魔法を『消す』ことは出来て、魔法が『発動した後』の物理現象を『消す』ことは出来る。
だが、『打ち込まれた魔法』を『中途』でキャンセルすることは出来ない。そんなところか?」
「大まかに言えば、そんな所だな。俺個人を狙った魔法ならば、限定的にはそれも可能だが、無差別的な爆撃、他者を巻き添えにしても構わないとして『打ち込まれた魔法』は、俺では対処不可能だ」
これは達也が持った弱点とも言えない弱点だが、実際にされたら嫌だなという部類の話でもある。
南盾島の一件の出来事。迫りくる『魔法』で干渉された
「この人は、それすらも可能とする。実際、この後、この人の戦闘についていくことになるんだが、こちらの縁とも言える発動した魔術を簡単に切り裂いていくんだ。
一番びっくりしたのは、
「―――万物の死を視るって……『そういうこと』なのか!?」
「そんなこと―――いいえ、だとすれば、この人の眼には……!」
何が視えているのだ?
先程までは、達也よりも『便利な能力』だなと思えていたのも、束の間、今では少しだけの恐ろしさを覚える。
この人の手にかかれば、大気すらも死の対象になるのかもしれない。
「想像してみたまえ。キミ達が普段、何気なく突っ立っている地面や建物全てに『死の線』……
ダ・ヴィンチの言葉で想像するには、達也も深雪も幼すぎる。想像するには同じような世界が見えていなければ無理だが……。
それでもイマジネーションを総動員して得られた結果の世界を考えるに。
―――例えるのなら、それは月世界。
何もかもが死に絶えた荒野に似ている。
目に見えるもの全てに在る死の綻び。
触れれば消え去ってしまう世界の事象。
そんな世界が見えるなど―――恐ろしすぎる。本能的な怖気が走ったのを見た後に、刹那は面白がるように継ぎ足してくる。
「まぁお前の眼は、近いかな。
究極の未来視―――『直死の魔眼』に変化する可能性があるのが、お前と『もうひとり』いる」
精霊の眼……エレメンタル・サイトが、そんな『おっかない』能力に変化するなど、あくまで可能性とは言えあまり考えたくないものだ。
そして、そんな奴が『もうひとり』いるという説明に、達也は頭を抱える。
「ムシロ、
刹那とリーナは、その『もうひとり』を良く知っているようだ。
誰であるかを訪ねたい衝動を断ち切るように、映像の中に変化が見られる。
久しぶりの同国人との会話で少しだけ気持ちが弾んでいた遠野志貴は、食後のお茶……緑茶(刹那持参)を飲みながら、刹那に尋ねる。
『俺も、魔術師ってものに殊更詳しいわけじゃないけど、刹那くんほどの年齢で、こんな荒事に参加するなんて、普通じゃないな。何か目的があったのかい?』
『ありますよ。どういうことなのかは分かりませんが、予言を受けて―――この『眼』を完全制御する術を求めて、ここに来たんです。
私的な理由の他に……まぁ、恩師に恩返しするためもありましたけどね』
『なるほど。義理堅いな。俺から逃げ出さないのもそれが一因かな?』
『その予言が正しければ、俺を良き方向に導くのは、志貴さん。あんただと言われていたんですよ。
魔術師社会では特級の賞金首として、付け狙われている人間をですよ……意味が分からない』
その言葉に、苦笑をする遠野志貴。その胸に去来しているものは何なのか。すねた子供のような言動をする刹那を見て、何を思うか。
『逆に聞きたいんですけど、なんで俺を助けたんですか?』
『助けられることが出来るのに、それをしないほど底意地が悪い人間になりたくはなかった。大切な約束事なんだ。
もしかしたら、君ならば、切り抜けられたかもしれないけど……なんとなく、ね。少し―――『昔』の俺を思い出したんだ。
あやふやだけど、一人きりで……死んでしまうのは、辛いだろうと思えて……まぁ賢しい感情や理屈よりも体が先んじてしまうんだよな。そういうもんだよ』
要領を得ない遠野志貴の返事に、刹那としても苦笑いであった。
なんだそりゃ。とでも言わんばかりの呆れ顔でもあったが。
不意に顔を改めて遠野志貴は口を開く。
『さて、ここから先は真面目な話だ。俺としては、君たちが知っている『真祖の姫』がやってくるまでに、アルズベリを『整頓』しておきたい。吸血鬼たちのやろうとしていることは、看過出来ないだろう?』
『……アルズベリ・バレスティンの大儀式は、成功すれば多大な旨味があるものです。横取りの総取りが、魔術協会の目的―――』
それは刹那の立場上、目指さなければならないものであった。
しかし、そのために出る犠牲を看過できるかといえば、それは無かった。
刹那の気持ちの問題であって、そんなことはお構いなしに状況は動くだろうことも理解できていた。
首を明後日の方向に向けながら刹那は、ここで何が出来るだろうか。そんな捨て鉢な感情を覚えてもいたのだから。
『ああ、けれど君自身は、そういうのが嫌だろう。
別に積極的に人死を出したいわけじゃない。その点で協調できるならば、少しの手助けをしてほしいんだ。
―――礼というわけではないが、君が受けた予言の手助けを『俺』は出来ると思う……ああ、魔眼の制御を出来ずに、
けれどさ―――多分、俺に出来ることは見えているんだ……交換条件を突きつけといて何だけどさ。改めて―――協力を頼みたいんだ』
その言葉を受けた刹那は数秒間考えてから―――それを受けた。如何に直死の魔眼がとんでもないとはいえ、最終的には奇襲の不意打ちだけが、彼の奥の手だ。
こんな弱々しい人間……見捨てるわけにもいかない。
『正しく心の贅肉だ。あんたが勝手に死んでしまって、その眼を抉ってどっかに高く売りつけることも出来そうだけど』
『そういう下劣なこと、キミはやらないだろ? 忠告だけど、自分自身も騙せないような嘘はつかないほうがいい。聞いている方が不快になるだけだよ』
鼻白んでしまうようなやり取りの後には、結局―――『殺人貴』と神秘の世界では渾名される存在との『協力』をするのだった。
その瞬間を以てアルズベリにおける運命は少しだけ違うものとなる。
物語は加速をして『アクト・カデンツァ』の演奏を響かせるのだった……。