魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~ 作:無淵玄白
シンフォギアXDもゴジラとのコラボという前代未聞の事態。
前から告知はされていたのだが、こうなってくると一昔前のオダギリジョーのライフカードのCMを思い出す。
両方やればいいだけなんですけどね(爆)
魔法科高校において、忙しい人種というのは、ある程度はいる。
ただの『いち生徒』程度ならばともかく、親や家が責任ある立場であれば、子息もあれこれと駆り出されるのである。
魔法協会にて事務処理の大半を終えて伸びをした男子。
その面構えは、多くの女性に恍惚のため息を覚えさせるほど整っており、一昔前の男性アイドルグループにいてもおかしくない。
街中にて、自然とそうしていた男子。一条将輝は、この後はどうしたものかなと感じる。
「明日には金沢に帰るようか。流石にいつまでも『留守』にするのはマズイよな……」
「残念だったね。司波深雪さんをデートに誘えなくて」
全くもってその通りであった。隣にいる親友の言葉に、本当に後悔の念ばかりが残ってしまう。
今日まで都心に残っていた理由の一つに、自分の心を奪ってしまう女神をデートに誘いたかったのだ。
下心満載というなかれ。恋する男子は必死なのである。
「そういや一色たちもまだ都心にいるんだよな。高速輸送システムがあるとはいえ、何とも呑気だな」
「北陸地方の守備としては、一色家はそこまで求められているわけじゃないし、長男が長女であった煽りはあるからね」
「そんなもんか」
一種のパワーゲームが働いたことは分かっているが、関心が無い将輝の態度に苦笑する吉祥寺真紅郎。
まぁそういうところを含めて、この若大将のいいところでもあるのだが……。
「一色も刹那を誘えず、西城たちと東京観光を行ったらしいからな。俺たちだけ何も出来ないとか癪だな」
「そうだね。男二人でステーキチャレンジでもしてみる?」
「もしくはカラオケで情熱BLAZE───。むっ、待て。十七夜から着信が入った―――。画像付きのメッセージだが……」
これからの予定。ホテルに帰る前の遊び予定を入れようとしていた時に、噂に出していた人間たちの一人からの連絡が来た。
特に警戒すること無く携帯端末に入ったメッセージを開く将輝。
学友からのメッセージ送信先を偽装しての十師族のプライベートを探る輩もいるかもしれないと、最高位のセキュリティが施されている端末に届く以上は、正式な
ひょいっと少しだけ顔を横にそらして、将輝の覗いている端末を見る。
別に栞と将輝が『特別な関係』などと聞いたこともない上に、それを将輝も特に咎めてはいない。
よって『見えた画像』に将輝は愕然とする。真紅郎―――カーディナル・ジョージとしては、『リア充』だなぁと頬を掻いてしまう。
気前のいい貴族であり開拓者とでも言うべき男の所業に───、一条将輝は『クリムゾンプリンス』として噛み付く。
コールした番号は、栞が現在いる家の家主(仮定)である。
なぜに栞に掛けないのかとか、そんな野暮は言わない。
「もしもし!! 俺だ!! オレオレ詐欺とか何十年前の話だよ!? ああ、そうだ。
な、なんだって!? し、司波さんが―――」
何故か言葉の後半では、顔を真っ赤にして鼻を押さえている将輝の姿が―――あの『あかいあくま』のことである。
どんな言動で将輝を翻弄していてもおかしくはない。
「くっ!! オレも即座にそちらに向かう!! 金沢カレーを温め直して待っていろ!!
『食戟のマサキ』として、オレはジョージと共にお前の家に向かう――――ジョージ、予定変更だ」
通話を終えて端末をしまう友人の姿と言動に、もはやどこに行くかは当たり前のごとく分かってしまった。
嘆息気味に息を吐いてから、定型句として問いかけておく。
何処の、誰の家に向かって何を行うかを……。
「刹那の家に行って、司波さんが作ってくれた金沢カレーを食べるんだ!!」
「多分、主に作ったのは一色さんたちじゃないかな?」
「司波さんだって手伝った。金沢カレーの豚カツの衣の下地―――小麦粉を溶いた冷水は司波さんの氷が使われたはずだ!!」
力説している所悪いのだが、手伝いの更に手伝いをした深雪をそこまで礼賛出来るとは、美味礼賛ならぬ『女神礼賛』(司波深雪限定)といったところか。
若干呆れつつも、目的が出来たことで邁進する将輝に着いていく形で、遠坂邸に向かうことにする。
つまりは、アンジェリーナ・クドウ・シールズとの愛の巣に向かうことと同義であり、同時に現代に現れた魔術師の工房に向かうことでもある。
将輝ほど興奮するわけではないが、それでも知らずに緊張せざるを得ない。
コミューターの乗り口にて遠坂邸の詳細な地図情報を入力した将輝は、特急料金を出してでも『ちょっぱや』で向かうことにするのだった。
「こんな形でアイツの家に向かうことになるなんてなぁ……まぁ金沢カレーは美味しいからね」
ちなみに真紅郎が大好きなカレーは、茜が作ってくれた金沢カレーならぬ『茜カレー』である。
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金沢カレーの『極意』、それはずばり言えば―――山盛りのキャベツと一杯のご飯を下に『どろっとしたルー』をかけて、その上にソース掛けの切り分けたカツを乗っけるのである。
「ソースに関してはお好みでどうぞ」
「とか言いながら一色さんは、放射状に掛けるんですね」
早速もルーの上に乗っているカツに中濃ソースを掛ける愛梨に、深雪は少しだけビックリするも、一色愛梨からすれば当然のことで、笑顔を向けながら深雪に返す。
「これがいいんですよ司波さん。食べれば分かりますよ♪」
来客用のテーブルを設置した居間にて配膳されたカレーの様相は知っていたとは言え、かなりおっかなびっくりなものがある。
「ささっ、セルナは上座にどうぞ」
「いや、別にテーブルの配置に上座も何もないよ?」
だが、一際こんもり盛られたものが二つほどある。一つは自分でもう一つはレオといったところだろうか。
そういうわけで一応は家主ということで、乾杯の音頭を取らざるを得ない。
「九校戦でもやったじゃないか。期待しているぞ宴会部長」
面倒な役職を与えてきた達也に苦笑しながら、『ラッシー』とでも擬音が付きかねないお冷のコップを掲げる。
「それじゃ皆さん、乾杯の音頭を取らせてもらうので飲み物を手に―――、一人『泡立て麦茶』を持っているが気にしないように」
気にしないようにと言われても気にせざるをえない存在。
刹那の使い魔にして越後の軍神。長尾景虎―――横浜事変にて王貴人を討ち果たした魔人の中の魔人が、いまにも江原声で……。
『エサヒィ~~スープゥードゥラァァァ~イ』
などと言い出しかねないのであるが、まぁ酒飲みに対して禁酒を言うことは若干の無理があるのである。
そんなわけで、構わず飲めと言っておく。
「理解あるマスターで私は感無量です。飲酒を令呪で封じられたらば、どうしようかと思っていました」
どうなるというのだ。という恐怖を覚えてしまう。酒を禁止したばかりにサーヴァントに殺されるとかマヌケすぎる。
「いや、マイク(?)を通さないで俺たちを恫喝しないでください」
「わかりにくいネタを言いやがって」
達也の言動に呆れるように言いながら、明日か明後日には帰る三高女子が作ってくれたカレーに感謝を込めて―――と前置きして
『『『『イタダキマス!』』』』
手を叩いて行儀よく夕ご飯になるのだった。時刻としては六時。平常の夕餉の時刻ではないが、まぁ全員、この匂いの前では我慢が出来ないのである。
カレーは日本人に親しまれた最高の料理の一つなのだから。
よって『スプーン』ではなく『フォーク』で食べるカレーという未体験ゾーンに突入した瞬間―――この味には『勝てない』と思ってしまう。
全ての具が溶けたドロドロのカレールーに合う形のご飯にキャベツ。時にそれに合わせて食うカツが、これ以上無く王道なのだ。
「いままでは、セツナの作る具がゴロゴロしたものがサイコーだと思っていたけど、この味には違うオイシサがある……!!」
「ヤンキーの割には舌が鋭敏ですこと。魔法でも料理でも同じく、全ての
無論、技法や味付けや具のあるなしはありましょうが、ある意味、金沢カレーはカレーの源流『煮込みシチュー』に近づけた、カレーライスの現代における『回答』の一つです。
――――というわけで、セルナ。あーんですよ♪」
「いや、俺のまだある―――って、もう殆どない!?」
「一色の説明を聞いている間にも、お前のフォークは止まらず口に運ばれていたぞ。そして俺は二杯目だ」
「ああ、すまん。客人に手ずからおかわりさせてしまった」
言いながらも、ご飯をよそっているのは美月であり、『気にしないでください』と言ってきたが、どうにも居心地の悪さは拭えない。
「セルナ。私を無視しないでください―――」
などと話の矛先を変えることに失敗して、愛梨の艶やかなナチュラルメイクされた顔を直視せざるを得なくなる。
「ちくせう。アイリと交わしたギアスのせいで、この行動は妨害できない……!」
何をやっているんだ。こいつら? と思いながらも、不満げな愛梨にやられる形で、フォークに乗せられていたカレーライスが刹那の口に吸い込まれるのだった。
美少女からの『餌付け』には対抗しきれずに、近づけられた顔の美しさも相まってその味は、天上の美味にも感じられる。
例えるならば、楽園の空気を吸うがごとく、満たされる妖精の霧―――などと情緒ある表現を述べる前に、周囲から聞こえるシャッター音に、どうしようもなくなる。
「君らね……」
「いやいや、こういう風なパーティーの様子って、ちゃんとメモリアルとして残しておかないと! ほら!! 達也さんのエプロン姿もばっちし取ってあるんだから!」
「ほのか。次は私が刹那にやるからよろ」
なんか自分がおもちゃにされているような気分しか無い。おまけに、愛梨は愛梨で、刹那が口にしたフォークをそのままに唇に当てるとか、高度なモテ技術使いすぎなんですけど。
「美味しかったですか?」
そんな風にしながら、上目遣いで聞いてくるとか、この子は本当に……。
「ああ。とりあえず、他人が口にしたフォークを再度使う際はちゃんと洗いなさい」
「思わずつい、――――セルナの感触がほしくて、間接キスがしたくなりました」
「ちったぁヨクボウを隠しなさいよ!……とはいえ、アイリのカレーを食べた瞬間、『美味しい』と思った瞬間、ワタシに邪魔は出来ない―――」
そういった類の呪いか。愛梨を物理的に引き離そうとしても出来ないリーナの様子から察した。
恐らく簡易なギアススクロールで交わしあったがゆえの事。
相手の料理に心理的屈服を果たした瞬間、この場における敵対行為が出来ない。そんなところか。
別に直接的な取っ組み合いに発展していない分、平和的な講和条約かもしれないが……遺恨は残るか。
愛梨の位置に陣取った雫からフォークを突っ込まれて、こっちもかいと思う。
「はい。箸休めの『らっきょう』も食べて」
「ああ、サンキュー。これって結構いいところのらっきょう漬けだろうに、持ってきてもらって、なんか悪いな……」
「気にしない。お父さんの仕事の関係で貰ったものだから、そして私のお母さんは、料理ができない人」
君の家ならば家政婦はいくらでも雇えるだろうに、そんなツッコミを内心で入れつつ、今となってはどれだけあるか分からぬ漬物専門店の中でもかなりいい類のらっきょう漬けで口の中を休ませるのだった。
「ぐぬぬ。シズク………」
光井は親友のために、動画にして撮っていたらしく、親指を立て合う二人の前に滂沱の涙とまでは言わないが、悔し涙を滲ませるリーナを若干見ていられない。
「なんで負けると分かっている勝負をしちゃうかなー」
「だ、だって───セツナのカレーのグッドテイストに勝るものはないって
嬉しいことを言ってくれているが、やれやれと思いながら立ち上がる。美月の手を借りずに改めてよそったカレーをフォークで掬って、リーナの前に出す。
「あーんしろリーナ」
「五十嵐を筆頭にしたリーナファンクラブが見たらば、激怒ものね」
エリカの言葉に全くもってその通りだが、これぐらいは勘弁してほしいものである。
一も二もなく、即座にこちらのフォークのカレーに食いついたリーナのご機嫌は若干治るのだった。
「ああ、これが『愛し合う』ということなのね。
金八先生なんて、誰が知ってるんだよ。と思いながらも、ともあれそれぞれで何故か『ファーストバイト』を競い合うかのような『あーん合戦』は、栞と刹那、美月と幹比古とで終結するのだった。
いつまでもこんなだだ甘なことばかりやっていては、カレーが色んな意味でもったいないわけである。
『終戦の詔書』に誰からともなくサインを行い。穏やかな食事となってくれたのは僥倖だ。
「それにしても、中々に揚げ物の極意は会得するのが難しかったですね。温度調節が肝要だと分かっていても、こうなるとは……」
「お前の得意魔法たる
「上手いこと言いますね。実際、そういう風な感覚に陥りました……」
心底の嘆息をする深雪。
深雪は一見すれば楚々としたおとなしい少女に見えるが、実際の所はかなりせっかちで、喧嘩っ早いファイターであり、ある種の抑制が利かないのは良く分かっていた。
揚げ物のように時間を掛けてじっくりと調理する類は、『起源』からしても相性が悪いのかもしれない。
「精進あるのみだな。ところで刹那───。結構な量が
「4杯目いただいてもいいよ。なんならば味変するものでも作るが……その前に呼んでおいた来客が来たな」
達也の言葉に返していると、ベルが鳴り響き玄関に一応の家主として向かう。
連れ立って着いてきたのがリーナだけなのは、わきまえてくれたようだ。
来客は居間にいたときからカメラと使い魔で確認していたが……。
「ご夫婦でやってこられるとは思っていませんでしたよ」
言葉とは裏腹に予想はしていたが、二人揃っての来訪に言葉を述べておく。
「私と十文字君ってそう見られちゃうのね。お邪魔するわ刹那くん」
「心外ではないが、まぁ招いてもらって感謝だ。後輩だけの集まりに俺たちが来て構わないのか?」
「そんなエンリョしなくていいですよ。色々と後始末してもらっているのは理解していますから」
各々でコートを受け取り居間へと案内すると、全員して『お疲れ様でーす』『こんばんはー』と二人の先輩を合唱で歓迎する。
七草真由美。
十文字克人。
十師族にして、今回の横浜事変でも最中及び事後も、色々と世話になった先輩二人である。
もう一人ぐらいは来ると思っていたのだが、姿はないことを問い掛ける。
「ナベ先輩はどうしたんすか?」
「あの人ならば、兄上と一緒に海外赴任前のディナーよ。明日、出航するらしいからね」
その言葉をエリカから聞いてなるほどと思いつつ、不満げにフォークを唇に当てる様子に苦笑をしてしまう。
それならば邪魔するのは野暮というものだ。そんなわけで、既にキッチンにてルーを温め直していた愛梨の手際で二人分のカレーが渡される。
「まぁ駆けつけ一杯」
「その言葉でカレー皿を出されるとは想わなかったな」
苦笑する十文字先輩だが、大盛り山盛りの金沢カレーを素直に胃袋に収めていく。
「旨いな。主に作ったのは一色たち三高女子か?」
「ええ、俺も今回はサポートでしたよ」
「女子力負けちゃってるわね―みんな?」
同じく駆けつけ一杯を食べていた真由美が、あくまな笑みを浮かべて言うも……。
あんたにだけは言われたくない。という笑顔での無言の抗議を真由美にする一高女子ズ。
その笑顔の意味を悟った真由美が咳払いして、話題を変えるかのように、お土産として持ってきたものは、まだ生きている『海老』であった。
大きいサイズの『リビングクーラーボックス』で、ピチピチ動き回る海老の数は、大小様々に100匹では足りまい。
「お父さんが、『手ぶらでご馳走になるわけにもいかないだろう』って言って、海老を───」
「嬉しいですけど、なんか暗いですね先輩?」
「……最近『入れ込んでいる女性』が、好きなんだそうよ」
その暗い心地での言葉を受けて、色々な想いが全員に生まれる。一番印象的なのは、司波兄妹の申し訳無さそうな顔だろうか。
どうやら『どっか』から聞いたようである。四葉の情報筋だろうかと想いながら、ちょうど良く味変を希望していた面子のために海老を使うことにするのだった。
「んじゃこの海老を使ってソースアメリケーヌとエビフライでも作るか」
「それって結構、時間がかからねぇか?」
レオはソースアメリケーヌを知っていたらしく、ツッコミを入れてくるも……。
「安心しろ。深雪が『ゲキテイ新章』をソロで歌っている間に終わっている」
「3分以下!?」
「というか私が歌うという前提で話さないでください! 中の人(?)的に断れないでしょうが!!」
「司波姫、帝国華撃団ではないとはいえ、私も伯林華撃団(?)の一人として協力しましょう!!」
マイクを持ちカラオケシステムを起動させるお虎。何気に彼女は歌がツボにはまったようで、現世において得た意外な趣味であった。
昔は読経ばかりしていた反動なのか、もしくは、越軍の陣中に琵琶を弾き語る
「ん?」
「どうかした?」
「いや、なんつーか『最大級のヒント』を与えられたような。見逃してはいけないものを見たような……」
正しく時を戻して、もう一度『原始の女神』に挑ませるような……。
まぁ自分の妄想は、ともあれ―――。
「お前も歌っていていいんだよ?」
「
ぶきっちょな手はいらないとは、決して言えないリーナの笑顔にやられながらも、深雪に語った通りの時間にはならないことは少しだけ嬉しかった……。
そうして、甲殻類のソースと『やわらのエビフライ』を七分で仕上げて、全員の前に持っていく。
拍手喝采を受けながら海賊団のコックのようにテーブルに乗せる。
「これぞ正しく夫婦の合作。私の作ったカレーがセルナのソースアメリケーヌを受けてさらなる進化を果たしましたね♪」
「わ、私が持ってきた海老のはずなのに……」
「正しくは弘一殿が、豊洲市場で『女性』のために厳選して買った海老だがな」
などなど言いながら、全員がエビフライカレーにも進化を果たす金沢カレーを頂いていた時に、端末に着信が入った。
流石に通話に出るぐらいは簡単に出来る刹那だが、コールしてきた相手を
が意を決して出る―――。
「毎度おなじみ遠坂工務店です。
電話口で、俺だ。俺だ。とか言われても『オレオレ詐欺』にしか聞こえないぞ。
将輝か? ああ いま、三高の綺麗どころと一緒に夕飯の真っ最中で、深雪が『あられもない姿(歌唱で上着を脱いだだけ)』を晒しているね。
はいはい。場所は分かるな? ああ、んじゃ待ってるぞ―――。一条くんと吉祥寺くん、今からやってくるそうです」
端末の通話を切るとめいめいの体で返事が返ってくる。
魔法師界の王子様も、この面子では特に色めき立つものがないようで、ちょっとばかり可愛そうになってくる。
「千客万来だな」
六杯目のカレーを嚥下した達也の言葉に確かにと思っておく。
「ごめん。もしかしたらば、私が送ったメールで気付いたのかもしれない」
パーティーメールという一種の直近画像を取ることで、周囲の状況を簡易に伝えるものを送ってしまったという栞。
手を合わせながら謝罪の言葉に気にしなくていいと伝える。
女性陣が気にするべきなのは―――明日の体重計なのだから。(爆)
完全に余談ではあるのだが、息せき切り、遠坂邸にやってきた将輝君に対して深雪の開口一番は―――。
「何を想像していらっしゃったんですか一条さん?」
「し、司波さん!? ―――司波さんのミューズのような歌声に惹かれて俺はやってきたんです!!!」
「思春期男子が想像するあられもない姿ではなくて?」
「刹那―――!!!(泣)」
玄関先で、家主のようにニッコリ笑顔で対応する深雪(修羅)に取り繕ったことを言うからこうなってしまったのであって自分は悪くないと、玄関先での問答終わらせて、最終的には二人を招待することになるのだった。
何とか刹那のフォローで深雪の機嫌を取った将輝の前途は洋々ではないだろうなと、誰もが想いながら……魔法科高校の授業再開前の楽しい日々は終わっていくのである―――。
―――そして久々のB組の教室にて……。
「じーーーー」
緑眼に赤毛のマロ眉女子(迷探偵)に机にかぶりつくように見つめられるのだった。
横浜の影響はいまだに強く残っていることを苦笑してしまいながらも、ハロウィンパーティーの日は近づく……。