魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~ 作:無淵玄白
そんな気分。
あんまり関係ない話だがバビロニアで現在、鈴村さんと真綾さんが夫婦で共演中。
劣等生が始まれば、寺島さんと
文庫版ではユキ、暗殺計画ではユウキに代ってしまったウサミンの声は、活発系の役のさとさとさんでフィーチャーしたい。
そう思いながら、新話お送りします。
魔法科高校再開一日目にしてこの発言。
だが、しかし聞けば聞くほどに中々に面白いものである。確かに、この学校の魔法師達は、古式魔法師のように『呪文』という『声』を使わない面子が多いが、宝の持ち腐れよろしく、現代魔法師の大半に『いい声』の持ち主が多い。
21世紀初期―――およそ2020年ぐらいまでに『一世を風靡したボイスアクター』に似た声の人間が多いのだ。
……考えれば考えるほどにメタい発言な気がするが、気にしてはいけない。
「なるほど。けれど私達が出来るのはアマチュアのコピーバンド程度でしょう。それがメインでいいんでしょうか?」
「古式に則り言わせてもらいましょうボス。
―――熱いハートを叩きつける。それが歌だ!!」
結局、その言葉で採決となってしまった。
流石にその『名言』を吐かれては逆らえない。しかし、この第一高校の多目的ステージなどは、そこいらの大学よりも豪勢なものがあり、何かに使えることは間違いなかった。
というか使いたくても使えなかったところに、これなのだ。
「私、遠坂刹那が独断と偏見と持ち歌の数で厳選した、歌うたい13使徒たちに協力を申し出ましょう。
ぶっちゃけブラスバンド部とか無いんですからね。響かないユーフォニアムですよ」
「でしたねー……で呼び出す面子は?」
お茶を啜ってから、その面子を問うた中条会長に、刹那は面子の名前を諳んじて言っていく。
40分後……様々な連絡手段を以て生徒会室にやってきた人間たちは少しだけ、何の用事なのかを問いただす。
特に剣術部の桐原武明は、食って掛かる調子だったのだが、すでに引退した身とは言え先輩である『杉田』の制止でなんとか留まる。
なんだか『ステレオ』な会話だが、ともあれ集められた面子は、かくかくしかじか、まるまるうまうま。ということを説明されて、面白そうな顔をするもの、少しだけ戸惑うものとで別れる。
だが、決して『嫌がっている』人間はいなかった。
「なるほど、つまりこの俺のフェロ☆メンなボイスで、居並ぶ女子たちをメロメロにしろということだな」
『『『『存分にどうぞ』』』』
「会頭という重責から開放されたのか、最近の十文字君ヘンよ!?」
きっと今までは、髪を染めてでも元帥職を全うしていたおかき大好き海兵みたいなものだったのだろう。
舞台度胸は満点。恐らく収容人数がすごくても彼のボイスは狂わない。
アトベ様ボイスなど、様々な声音を操る第一高校の顔役『十文字克人』
「俺、今回だけとはいえ臨時の風紀委員になっちまってるんだぜ。やること多すぎないか?」
「ミュージックステージそのものはラストだ。そして山岳部で出し物がないことは分かってるぞ?」
気のない嘆息顔をする克人と同じく厳つい系のボーイ。
その割には、ボイスはとんでもなくいいものを持つ男。
伝説的ボイスアクター
「まさか私が選ばれるなんて―――若干、思っていたわ」
「頑張ってください。剣道小町からアイドル閃光小町にクラスチェンジですよ」
「ありがとうというのが正しいのかどうか分からない激励どうも、司波君」
様々なアニメのタイアップ曲を歌い上げることで知られているボイスアクター『遥ちゃん』(命名 アジア先輩)の声に似ている…電○文庫ヒロインの顔役『アスナ』の心にも近づける『壬生紗耶香』
彼女の自信満々な顔に大丈夫かなとも感じるも、そもそも全国大会で気勢を吐いて戦ってきた女子なのだ。
「壬生だけではなく俺と杉田先輩を呼んだのは……」
「あっ。2人はイロモノ枠です。伝説のボイスアクター『S・T』さんのように宜しくおねがいします」
「中条―――!!! 俺の美声にバス車内で酔いしれていたお前はいずこに!?」
「ただ単に気持ち悪かっただけです♪」(ニッコリ)
武明、ちゃんと歌いなさい。の真相が暴露されてしまうも、そもそも『ちゃんと歌えば』悪くない歌声なのに、なぜか選曲がアレ過ぎるのだ。
もっと言えば、『安定』してきた頃の『S・T』さんの曲ばかりになるからダメなのだ
そんな風に思いながらも、選曲はおまかせします。とだけ言って桐原+杉田。ユニット名は『きす』か『木の名前』同志なので『きず』『うっず』などはどうかと提案するのだった。
返事は洞爺湖と書かれた木刀による『絶妙な手加減』がされたツッコミである。解せぬ。
「で、私と深雪も出るの!?」
「生徒会代表も出さんといけないだろうが、まぁ無理強いは出来ない」
「やります!! 達也さん見て聞いていてください!! 私がアナタの翼になってみせます」
「あ、ああ……そこで軍師扇を口元に当てて『ちょろっ』とでも言わんばかりの悪い笑みを浮かべている刹那がいなければ、素直に嬉しかったんだがな―――深雪も出るのか?」
光井ほのかの参戦はともかくとして、あまり『衆目』に晒すのはマズイと思った達也が妹に問い掛ける。
「リーナがパレードで、何かしらの『変装』を施してくれるならば問題ないかと、出来る?」
「ノープロブレム。ポンポコたぬきな
「もう少し普通のでお願いします……本当に!!
「oh……Yes」
念押しするかのようにリーナの肩を『がしっ』と掴んで、未知のスタンド攻撃を受ける前触れのようなBGMと共に、リーナの表情を若干強張らせるのだった。
「で、僕まで出そうってのはどうなんだい? 教職員枠とか必要なのかい?」
「いえ、ただ単に面白そうだったので、ロマン先生には『ミトコンドリア』でも歌ってもらいます」
「選曲を狭められた!!! ちょいレオナルドも何か言って―――」
「舞台演出は、私が責任を持って全てを行おう。その上で個人での『トリ』は私が務めよう。安心したまえ。この万能の天才が、ショーアップされたステージを作るということの意味を、万感の意を持って教えてあげようではないか!!」
クレイジーメイガスにしてクレイジーアーティストである、オンナのような男が叫ぶ。
正体を知っている連中は、その芸術性の発露に驚愕する。具体的には監獄○園をアニメ化した連中のようなクレイジーが炸裂するだろうか?
「まぁ映像機器の大半を利用すれば、そこまで大掛かりにはならないだろうね。CGの進化はホログラフィの進化だからね」
当日のトリを務めながらも、演出担当まで行うダ・ヴィンチちゃんに誰もが頭を高くは出来ない。
ただ一人を除いて……。
「なにぃ!? それじゃキミが、USNAの音楽チャートや動画共有サイトでNo.1ヒットを飛ばしたCGドール『MAAYA』の『素材』なのか!?
ヒドイじゃないかレオナルド!
現実にいたらば、ヒメ以上に僕は『結婚』を申し込みたいぐらいだったのに!!」
そういうのは『本当』に『現実』でやってくれと言いたくなる、ロマン先生の言葉。
ともあれCGドールというのは、かつてのVtuberともまた違う要素がある。
Vtuberの容姿は完全な人工によるモデリングだが、CGドールのモデリングは、若干ながら『本人』を模していることもある。
『素材』という俗語で言われて、実際『中の人』というのは、限りなく
実際、ドールのモデリングは著作権の一種で芸能プロダクションのものというのが通例であり、仮にそれ以外でリブートデビューすることは『ダブル・スタイル』。
通称『ダブスタ』と言われ、熱心なファンには見透かされて即炎上。そういうこともままある。
「流星の如く現れて、落星のごとく消え去った私―――当初はアビゲイルの『お遊び』程度だったんだが、まぁキミの心を揺り動かすとはね。悪かったよ『ロマニ』」
そんな訳でCGドール『MAAYA』の中の人たるダ・ヴィンチちゃんは、ロマンの肩を叩いて謝るのであった。
復活を遂げるCGドール『MAAYA』のライブという箔付けは、流すべきかどうか……。
「その辺りの情報工作は俺に任せとけ。匂わせる程度でも興味を持つようにしておく」
「お前にとっての懸念たる『不逞の輩』が跋扈するぞ?」
その言葉を受けて、珍しく司波達也は笑みを浮かべる。まるで達観したようなその笑みの意味は……。
「―――俺も聴いているんだよ。『MAAYA』の歌は」
「お前もかよ」
思わず手でツッコミを入れざるをえない達也の告白だったが、これにて歌うたい13使徒の概要は決まった。
実際に13人いるわけではないが、これだけのビッグな面子。ネームバリューもとんでもない奴らばかり、最後の大トリでは、全員で『ウィーアーザワールド』を歌うかのように、『あの曲』を歌う。
実に完璧な布陣だ。失敗のビジョンなど何一つ無い。
当日は世界のポップスターたちの英霊を呼び寄せんばかりの――――。
「チョット待ちなさい! セツナ!! 何でその歌うたい13使徒の中に、ワタシを含めないで終わらせようとするのよ!?」
そんな刹那の内心の興奮を断ち切るように、ツインのロールを逆立たせんばかりに、腕を振り回して胸を叩いてくるリーナに仰天する。
「いや、今回はあれだよ。日本の魔法師たちのイメージ向上もあるから、俺やお前は裏方で頑張ろうぜ。ほら、伝説のレスポールも用意してあるから」
「ワタシのギターリフはヴォーカル込みでのものなのよ―――!!」
文句を言うかのように、ギャイーン!! と弦をピックで弾いて軽快な音を立てるリーナに対して中条会長は。
「別に構いませんよ。確かに出身地は違えど一高の生徒じゃないですか。むしろリーナさんがメインを張らなくてどうするんですか?」
そんな仏の笑顔(小動物系)で、ゴーサインを出すのだった。
「確かにな。何か出したくない理由でもあるのか?」
鋭い達也の指摘に、刹那としては何とも答えづらい。
なんせリーナの歌唱力は、本当に現代魔法師としては宝の持ち腐れなのだ。
そんなわけでーーー
「多分だけど、あんまり自分の彼女を衆目に晒したくないとか、そういう理由じゃないかな? もしくは芸能界へのスカウトが多くなるとか?」
「なんで分かったんすか壬生先輩?」
「女の勘―――なんてもんじゃないわよ。私も、中学で全国行った後は、芸能関係者のスカウトが多かったからね」
学生スポーツの本道としては外れではあるが、将来有望なスポーツ選手というのは、『後々』にはコメンテーター、解説役などでテレビに出ることもある。
あまりにも青田買いすぎるが、ビジュアルが優れているならば、それ以外の道もあっただろう。そして全国一位の剣客小町よりも全国二位の剣道小町にそれは集まるのだった。
「そういうことならばシカタナイわね。今回は出演を見送るワ」
「「「「えええ〜〜〜………」」」」
生徒会室にいた面子から大ブーイング。さもありなん。こればかりは、こちらの我を通せるものではなかったのだ。
顔を赤くしながら『独占欲丸出し』の刹那にもたれかかるリーナの行動は、全員の顰蹙を買ってしまう。
一番の加害者は刹那なわけで、達也はフォローをする。
「確かに、リーナの歌声とビジュアルは、アメリカのポップスターにも匹敵するものはあるだろう。
レディー・ガガ、テイラー・スウィフト、ブリトニー・スピアーズ、アリアナ・グランデ、セレーナ・ゴメス……2010年代からその後まで語り継がれる彼女たちと同じものはある。
そんなリーナの歌声を独占するのは、どうなんだ?」
「うぐっ――――わーったよ。まぁこんなムチャ通せるわけがないとは分かっていたんだよ……」
「それでも引き止めてくれたのはスゴク嬉しいわ。愛されているっていうジッカンが湧いたもの」
不貞腐れるような刹那に対して、喜色満面で抱きつくリーナ。
これが愛か。むしろ一度は反対するぐらいの方が、『愛されている』という感覚が沸き上がる―――というのを女子陣は理解したようだ。
「愛ゆえの行動ね」
「真由美先輩の『兄貴』から『変なこと』聴いていなければ、そうはしませんでしたよ」
刹那の半眼での言葉にオブザーバーとして出ていた前・会長は、苦笑いあるのみだった。
十文字も『話』だけは聞いていたらしく、苦笑いをしていた。
達也としては七草家が、『歌の力』で魔法師社会を征服するつもりなのか? と少しだけ阿呆なことを考えていると……。
「我が主の奥方であるリーナが
魔力の節約のために小さな身体となっていた『お虎』は、壬生先輩の千鳥の背中で遊覧飛行をしていたのだが、面白いことの匂いを嗅ぎつけてやってきたようだ。
伝説の紅白歌手(?)の参戦に、何か色々とカオスな様相を見せていく……。
とりあえず心配すべきことは……。
「……『ノイズ』の出現には注意しなければな」
「現代の高度なデジタルミュージックに、そんなもの発生するのか?」
「俺のボケが、お前に通じないとはな」
実を言うと分かっていてスルーした刹那ではあるのだが、ともあれステージの準備は進んでいく。
その裏の世界情勢では……不穏なものを孕みつつ……。
国立魔法大学附属第一高校のハロウィンパーティの日。
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