魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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というわけで新話なのだが、アトランティス踏み込めていないのに衝撃的すぎるわ。

ネタバレ情報のあれやこれやを見つつも、動画で見たキリ様ってば―――流石はリーダーすぎる。

そして新サーヴァント……マンドリカルドは、『ハチマンドリカルド』になってもいいんじゃなかろうか(爆)




第182話『カーニバル・ファンタズムⅢ』

怒涛の如き来訪者たちのラッシュをこなしつつ、懐かしい顔との挨拶を済ませつつ、学内を巡回。

 

どうやら目立った混乱は無いようだ。精々、レオとエリカが少しの『悪さ』をしようとした愉快犯的男性をしょっぴいた程度である。

 

小火騒ぎであるが、気付いた一般客によって一発でバレたあとは近くにいた二人の手でお縄ということだ。

 

しょっ引いた男性には特に左右の『活動家』と接触した経歴も無さそうなので、適当に弱めのギアスを掛けて学外退去となった。

 

それでなくとも個人IDはとってあるので、何かあればすぐさまということだ。

 

「ウルトラマンタイガ、お手柄。と学内ニュースにでも書いてやろうかね?」

 

『やめろよ。とはいえ、まさか『火口箱』なんてものを持ち込まれるなんて想わなかったんだが』

 

「技術進展の陥穽という奴だね。『嗅覚』を頼れレオ、エリカ。ある種のイメージで、『こいつはマズイ』とかも分かってきただろ?」

 

感情視の魔眼ほどのことではないが、刹那の兄弟子たちは、そういった風な『眼には見えない』ものを視ることに長けた連中ばかりだった。

 

中でも狼犬の兄弟子は、『因果のもつれ』とか、そういったものですら脳内で嗅覚のイメージとして嗅ぎつけている。

 

そういうアホなほどに才能が溢れている人々のアレやコレを、なんとかかんとか噛み砕いて『共通魔術』(コモン)に落とし込んでいるものを教えてきたのだ。

 

『うーむ。確かに一度『獣性魔術』を発動した時には、想子に『匂い』があるだなんて知らなかったからな』

 

「それと同じさ。一種の超心理能力……魔法師にはお馴染みのESP能力というのは、只人には見えぬ世界が見えているということが前提だから」

 

あちこちで学生主催の出店や展示物やらの様子を見ながら、通信してきたレオに告げる。

すると何かの『因果』でも働いたのか、ひびちかを発見したレオとエリカ。

 

悪質なナンパを受けて困っている様子だと聞き、こちらも向かうとしておいた。

2人でも問題ないかも知れないが、まぁ野次馬根性というやつである。

 

「行くぞ。仕事だぜ」

「ALRIGHT!」

 

ロボ研主催の古めかしい綿菓子製造機で作られた『綿あめ』をぱくついていたリーナと共に立ち上がると―――。

 

「またのご利用をお待ちしているのだにゃー!!」

「フハハハ。吾輩、このニボシ味の『わたあめ』とか、なかなかにデンジャラスな香りがして食うか食わざるか、迷いながらも―――ぐはっ!! こ、これはドクターの(トラップ)! はかったにゃー!!」

 

ネコアルクのロボット(?)を運用しているロボ研に一家言言いたいような気もしたが、とりあえず二人のアーサーのコスプレイヤーは、現場に直行するのだった。

 

interlude―――

 

風紀委員としては下っ端で新人ながらも、レオとエリカの周りでは特に事件が起きやすい。

 

というよりも、通常の魔法科高校の風紀委員というのは『魔法的なことを利用した事案』に対処することが主なわけで、雑多な……有り体に言えば、ここまで多くの人間が行き交う中でのある種の治安維持は、中々に混乱をきたしていた。

 

勿論、中にはある種の格闘技を収めて、魔法無しでも対処出来る人間は多い。

反面それゆえに対処が『受動的』になり、魔法を使用する輩であれば容赦なく使える魔法も、相手が『丸腰』の場合、少しの躊躇をするのだ。

 

「ましてや非魔法師であれば、そのことが殊更強調されて、『過剰防衛』として取り上げられちゃうものね」

 

「日本の警察官の銃所持と発砲以上に気を使っちまうからな……だが、だからといって―――魔法大学附属第一高校の風紀委員です!! 悪質な声掛け行為及び強要に対しては、即時の退去及び、従わない場合、警察への引き渡しを行います!!」

 

「レオくん!!」

 

仮面で顔を隠していたというのに、アーネンエルベの看板娘である日比乃ひびきは、一発で分かったようだ。

 

駆けつけた先では、見目麗しき少女四人が、六人ほどの大学生だろう人間たちに絡まれていた。

 

今どき見かけないほどに、実にDQNな連中だった。

 

「んだ、こいつら! やんのかぁ!!」

 

「オメーラがどこの連中だか知らないが、ここにはここのルールが有る!! 守ってもらうぞ!!」

 

「守れないってんならば、実力行使あるのみよ!! この非モテオーラ全開のチンピラ!!」

 

エリカの言葉で、ひびちかグループに絡んでいた連中の視線がこちらに集まった。

 

上手いやり方だ。さて、これであとは、自分たちがこいつらを制圧出来るかどうかだな。と思う。

 

魔法を使えば、何か負けた気分になるし、かといって人が集まる前に圧倒できなければ、それはそれで負けた気分だ。

 

流石に刃物などは持ち込めなかったし、凶器の類を持ち込めるようなセキュリティではなかった。

 

実際、2095年のセキュリティゲートは、半世紀も前の空港の検査官による逐一のチェックよりも優秀な結果を齎している。

 

もちろん……そういうのを『ちょろまかす』機器は存在しているわけで、しかし―――眼の前のDQNチンピラ大学生は、そういった『軍用兵器』じみた暗器を持っているわけもなく―――5分後には全員が地面に這いつくばるのだった。

 

「いてててて! ど、どういうことだ!? これは、いててて!!! なんだよこれ!?」

「断っておくが、別に魔法の類じゃあない。使い方を知らなければ、人体なんて急所だらけだ」

 

手首を捻り上げて、二人ほどを地面に這いつくばらせている刹那が冷静に言うのに対して、レオもまた同じくであった。

 

「く、くそが!! お前ら、覚えてろよ!! 俺の親父は都庁の職員なんだ!! ただで済むと思うなよ!!」

 

「お前の親父がどうだろうと知るかよ。そういう権力を笠に着たやり方は下劣に過ぎる」

 

その悪罵とも捨て台詞とも知れぬ言葉に、刹那は『キレた』様子だ。

 

同時に、極めていた腕を通して『何か』を放った様子をレオは見た。

相手のチンピラグループは、こちらがCADも持たず『魔法』も行使できないと思って油断していたようだ。

 

同時に、それは一般社会にも『ホウキ』の存在が平然と受け止められている事実。

魔法師は、『CAD』が無ければ迅速な魔法行使ができない。

 

もしくはもっと短絡的に、『CAD』ありきでなければ何も出来ない。

そういう考えを持っているのかも知れない。

 

だが、世の中には『例外』というものがあるわけで……その『例外』の一人が、レオたちのフォローに来てくれた刹那というわけだ。

非番とは言え、警察官である安宿先生の旦那さんの手配で、そのチンピラグループは、いとも簡単に近隣の警察署に連れて行かれた。

 

「ところで、何をやったんだ刹那?」

 

「何の話だい?」

 

「すっとぼけるなよ」

 

誰もが刹那のやった『トリック』を理解していない様子だが、レオとエリカだけは見抜いていた。

サイオンの流れこそ普通で術を放った様子も無かったが、それでも分かるものには分かる。

 

一種の『暗号術式』というところだろうか。何も見えないが、それでも……何かをやったことは分かるのだった。

 

「大したことじゃないさ。この会場はハロウィン・パーティーだからな。呪的要素に惹かれたのか、わずかなりとも『妖精』が蟠っていたから、使わせてもらっただけ」

 

前に聞いたとおりならば、妖精は『使い魔』に出来ぬほどに恐ろしく『格が高い』存在であり、使役している気分でも使役されているという状況になると聞いていたはずだが……。

 

「今となっては意味がないが、俺は200年以上は続く『名家』の生まれだ。時代を経たとしても、『貴族』として忘れちゃならん『道理』というものがあるわけだ。故に―――ちょいとした『粛清』だよ。

『領民』を搾取するだけの『人権』を無視した行いは、宗麟様の時代には無くなっていたわけだしな。驕り高ぶるものは即ち、悪徳にてゲヘナに落ちるが道理」

 

長々と語ったが、つまりは、あの都庁の職員が親父という男の言動に堪忍袋の緒が切れたのだろう。

 

 

翌日……留置所で一拍していたDQN大学生の一人。リーダー格の男は、枕元に立つ多くの『老女』の姿を見た……。

 

夜啼きのままに、ボロボロの衣服でこちらを睨んでくる老女の顔が―――自分が食い物にしてきた女性、破滅させてきた女の凄絶な顔に変化をして、耳元に絶叫を響かせてくる。

 

怨嗟の声が苛み、総身に響き渡る声が呼吸困難を招き、胸を掻き毟りながら、男は寝ることすら出来ずに一夜を明かした後は―――その顔は、明らかに一晩での疲労とは思えぬほどにどす黒く染まって、目もまた深い隈を刻まれていた。

 

夜泣き妖精の一つ『バンシーの呪い』は、女の恨みの声を聞いて、その怨嗟を呪詛として男たちに出し続けていたのだ。

 

明らかに魔法を使われたというのにそれを検知出来ず、そして警察の人間たちも、取り押さえた連中が『CAD』を持たないことから、盲言と一種の錯乱状態は、彼らが常用していた『薬物』ゆえと判断して、精神病院と薬物治療院への移送を検討。

 

その後も絶えず続いた『バンシーの呪い』の前には、己も非業を迎え、『因果応報』という言葉どおりになった―――。

 

 

ということを全く以て知らぬ、第一高校及びひびちかの面子は、お互いの無事を確認し、感謝をするのだった。

 

―――Interlude out―――

 

「いやー助かったよ。あのまま、ひびきにぶっ飛ばさせるのも悪かったからさ」

 

「確かに……ヒビキだったらば、出来そうね」

 

「そんなことないよー。この細腕じゃ、鉄鍋を振るうぐらいしか出来ないよリーナちゃん」

 

なんだこの会話と想いつつも、目線を向けた先では、ちょくちょく『ひびちか』の口から話題に出ていた『ウサミン』こと宇佐美夕姫さんが、赤らんだ顔をしてウルトラマンタイガ(西城レオンハルト)に眼を向けていた。

 

なんつうか、確かに先程の連中が声掛けしたくなるスタイルと美貌の持ち主だ。

 

だが、女を口説くのにあんな風なやり方があるわけない上に、多くの女の『殘念』が固まっていたので、『バンシー』に呼びかけて、悔い改めるか『女たち』が許すまでは、あいつらの精気は吸い取られ続けるだろう。

 

運が良ければ死なない。多分。(南無)

 

(普段使わない魔術系統を使ったせいか、何かものすごく背中が重い―――いや、マテ、本当に重い)

 

先程のシアを乗せた時よりも重いのは……まぁ年齢相応だからだ。

 

「おー、宇佐美にも春が来たかー。邪魔するのも悪いんじゃないか?」

 

「そりゃ分かるけれど、キミは誰だよ?」

 

「桂木と日比乃のふしぎフレンズ。栗枝クララってもんだ。よろしくー」

 

 

刹那の背中に乗っかりながら、顔を刹那の横に出してきた栗枝という女子。

ストロベリーブロンドの髪色に、眠そうでいながらも笑みを浮かべている少女は、こちらと口が触れ合いそうな距離でも何も感じていないようだ。

 

リーナの視線がキツイのも意に介していない。

 

「栗枝さ「クララって呼べや。あたしも『せっちゃん』って呼ばせてもらうからよ」―――」

 

何というか抗いがたいものを感じる『ふしぎフレンズ』の接触に、一応は従っておく。

 

「んじゃクララさんや。なぜに俺の背中に乗るんだ?」

 

「そこに背中があったから、フードがつかみやすい」

 

「そんな理由かい」

 

「まぁ案内してほしいところがあるんだな。桂木と日比乃を二人っきりにするのにも協力」

 

百合百合しすぎる二人を見ると、まぁ確かにそうした方が良さそうだ。

 

そして宇佐美さんは、レオに感謝していると同時に、怖かったから少しだけ側にいてほしいと頼んでいる。

 

邪魔するのは野暮すぎるし、何より一応の犯罪被害者なのだ。見捨てるのもアレで、色々と面倒見よすぎるレオは断りきれない様子。

 

そんなのを見て、半眼で『唇』を曲げているエリカに苦笑せざるを得ない。

 

(相棒を取られたからとか、そういうことじゃないよな)

 

「どうするセツナ?」

 

「……チカとひびきの案内頼むよ。栗枝は俺が案内する」

 

「そうした方が『ブナン』かしら?」

 

確かに『ひびき』の本領を発揮させれば、そうそう先刻のようなことは起きないだろうが、出せるものでもないだろう。

 

すると端末には……。

 

『感謝するよ。私の『最高傑作』が、このような雑事で世間に露見するなど、醜悪の極みだからね。

後で私なりの『お礼』をさせてもらおう』

 

などと送り主不明の『メッセージ』が送られており、どんな手を使ったのか色々と不明ながらも、死徒……それも自分の世界では『原液持ち』だった者からのお礼である。

 

きっと一夜明ければ、庭に撒いていた土から、モヤシのように宝石が『ざっくざっく』生る宝物とかに違いない。(願望)

 

そんなことを考えてから、リーナを安堵させるように、耳元で囁いてから別れるのだった。

 

真っ赤な顔をした自分たちに対抗するように、周りでもそんなことが起こったり、宇佐美さんが、背伸びしてレオの耳元に話しかけようとしたり色々だったが―――。

 

祭の中では、そんなこともあるとしてスルーされるのである。

 

「ヒビキとチカは何処に行きたいの?」

 

「うーん。特に無いんだけど、そうだ。リーナとセツナが、普段通っている教室とか見てみたいかも!」

 

「うんうん!! きっとフラスコとかビーカーとか、怪しげなヒュドラの標本とかケータイさんみたいに喋る杖が一杯なんだよ!!」

 

「期待値が上がりすぎ!!(ゲインオーバー)それはセツナの工房のラインナップよ!!」

 

何気に人の秘密を明かしてほしくないと想いながらも、刹那もクララに聞いておく。

 

「アタシは単純に明快だ。美術展示やっているんだろ? 『柴倉みづや』の作品を見たいんだ」

 

初めて知る友人の『雅号』に、少しだけ何とも言えぬものを感じながらも、ストロベリーブロンドの美少女と連れ立って歩く刹那の姿が、色々な人間に動揺を与えるのだった……。

 

祭りは段々と熱を帯びていく。

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