魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~ 作:無淵玄白
あとで加筆しようかと思います。
同時に、今話。少し他の作品に関して深々と語っていたりします。決してFateと関わりないわけではないんですよね。
というかぶっちゃけバビロニアの前半クールで『小太刀右京』氏がめっちゃ批判されているのが、少し不憫に思えた。
以下 あとがきに続く。
追記 少しばかりフォントなどを改良。見にくければ変更予定。
追記 不評なので元に戻しました。
祭りも遂に佳境へと映っていく。あったけ宣伝してきた『CARNIVAL Phantasm』の会場には多くの客が詰め掛けていた。
ここに来るまでに色々あった。ボイスレッスンの限りで以て指導するダ・ヴィンチちゃんの鬼の如き様に泣いたり、その度に『ビタミンM』とかいう怪しげなプロティンを飲んでは回復をして、素人役者に何を求めているんだと言わんばかりの喧々囂々の様を見せながら―――ここまで来たのだ。
「いよいよレッツスタートなわけね。あーキンチョーしてきちゃった」
「君がそんなタマかよ。トップバッターはレオ。次が十文字先輩。次いで桐原・杉田の
フォークなデュオの『きず』でも『うっず』でもない。たまげるほどにウルトラソウルな連中である。どうでもいいことだが。
「どうでもいいとか言っておきながら、ソーイウコト少し気にしてるでしょ?」
「第一案を蹴られて似たようなものを新案として『これでどうだ!?』とか言われりゃ誰だって思うだろ」
今にも領土割譲を要求しそうな顔とヘアスタイルですり寄ってくるアイドル大統領に返す。
「パレードで変化したのが、その格好か」
「似合ってるでしょ? いつぞや桃色の髪にネコミミヘアスタイルがいいとか言っていたのは、ダレだったかしら?」
アンジー・シリウスとしての変装。
赤毛のざんばらな髪に鬼面など着けるよりはいいだろう。流石にリーナでは『天羽奏』で『江戸川コナン』にはなれないのだから。
似合ってるよと言ってから髪を撫でる。幻術ではなく、本当のリーナの髪。金色の解かれた髪に指を這わせる。
こんなことでリーナが安堵するというのならば、いくらでもやってあげるのが刹那なりの男意気というヤツだ。
「ン。少しだけ
「リーナが髪に溜め込んでいた魔力を、少しだけ心身の緩和に向けただけだよ。今から緊張せずに他の人の歌声を楽しむぐらいの気持ちでいなよ」
「yes……I understand」
そんな楽屋裏のイチャイチャは、あちらこちらで行われており、ラブい空気が霧のように立ち込める。
開演の時間は―――一刻一刻と迫る。
† † † †
観客席のボルテージは、とんでもなく高まる。
魔法科高校という世間一般で気取った学校が、まるで尋常の世の学生のように学芸会じみた演奏劇でもやっているかと鼻で笑おうと言う御見物から、純粋に父母親類として自分の縁あるものがどんなものを見せてくれるのかを期待したり、あるいはただ単に恋人や想い人がいたり、ミーハーな興味としてのものも……。
「芸人としての魔法師か。かつて『フーディーニ』は己の『奇術』を世間に魔法・魔術の類として喧伝することで、己を『マジシャン』としてきた……」
「先生も、そういうことを考えますか」
「案外、そういうのは珍しくはないからな。猿楽師―――観阿弥・世阿弥親子が室町の権力者・足利義満の保護を受けたことで、それが後々に後世にまで命脈をつなぎ、伝統芸『能』……『能楽』『狂言』として洗練を極めていく。
ある意味、彼らと我々は同じだよ。そもそも昔は、神事に関わるものであっても『芸人』など下賤で耕す土地も持てず、放浪することで『おひねり』を頂く。そういう存在だったからな」
白拍子……源義経の愛人として有名な『静御前』とて、天の機運を辿る舞を奉納したとしても、その立場や地位は、あまりにも低かったのだから。
「司波達也君のような技術者根性の塊だと、こういったことは『パフォーマンス』だとしか思えないかもしれないが、私はこういうことも必要だと思うがね。
我々も人類社会の一員だと、『文化』の担い手だとアピールすることはね」
「……修行時代に先生の秘蔵の倉庫で見つけて、見せてもらったSFアニメーションを思い出しますね。
確かあれは第一次冷戦構造の頃に、『巨人種族』が使う『巨大変形戦艦』が地球に落ちてきたことで、東西が統合政府を作り出した世界で―――それでも、邂逅した巨人種族との間に軋轢を生み出して……星間戦争を起こすものでしたか」
しかし、巨人種族は決して分かりあえない存在ではなかった。
彼らは戦争に関わる文化のみを継承して、それだけをしてきた存在だったが―――ただ一人の歌姫の歌声に心を揺り動かされ、そして
もちろん、『その後』を描いたシリーズもあるわけで、巨人種族も全てが地球の文化に理解あったわけでもないし、更に言えば受け入れた地球人からの差別なども起こっていた。
だが、それでもその後のストーリーにおいて歌はファクターであった。
――女の感情をエミュレートした末の人工知性の暴走。
――人の精神エネルギーを吸い取る異次元生命体。
――神格化せざるを得ないほどの能力を持つ『超時空生命体』。
だが、これら全てと後の時代に人々は分かり会えた。
人工知性は、後の時代に『姿・形』を変えて、想い人を死なせたくない想いを持つ一人の少年に寄り添い、最後は身を挺して、大気圏の熱から少年を守った。
燃えるほど熱いハートを叩きつけるロックンロールヒーローに感化された形で、異次元生命体は自分たちにも『精神エネルギー』は生まれるのだと『進化』を果たして、銀河を去っていった。
超時空生命体は、確かに人類と敵対していたが、彼らを理解することで、軋轢を産まないために違う銀河へと飛び立った。
人類からすれば神にも等しい力を持つ彼らだからこそ、それは、ちょっとした『気遣い』でしかない。『子供や老人』に席を譲る……そんな程度のものだ。
「魔法師は確かに、唯人からすれば超越した存在なのだろう。均衡を、秩序を、とにかくあるべきまま、あるがままにしておいても良いものまで壊す。
最大級の壊し屋だ。だが―――そうだからといって、その姿だけを強要するのも、何か違うような気がするな」
老人―――九島烈は考える。考えるに、そのことまでも『スポンサー』達は考えていたように思うのだ。
我が身の安寧と同時に、子々孫々、末代まで国体を護持するためには、兵士・兵器であることに疑念を持たない『防人』が必要なのだと。
ものの見事に、その思惑に嵌りたくないとしても嵌ってしまった烈にとって、痛恨の極みだった。
「先生の計画では、真夜と深夜を世間に披露することもあったのですか?」
「計画などと大それたものはないな。ただ一つあるのだとすれば…………
烈は隣りにいる元・弟子である七草弘一に苦笑する。この男が己の全てを擲ってでも、真夜の元に寄り添うことを決めていれば、また違った未来だったのだろう。
そしてそれは……。
「―――まぁ、『どちら』とヨリを戻すつもりかは分からんが、あまり年頃の娘をヤキモキさせるものではないな」
「……私は、真夜ともう一度……あの頃のように、気軽に話したいだけなんです。烈先生……」
分かっているよ。とだけ言っておき、芸事をする人間の芸をちゃんと見ないことは、ショーマンシップを穢す行為だなと思って、ステージ中央に眼を向けるのだった。
しかし、そんな烈とは裏腹に、弘一はどうしても聞きたいことがあったのだ。
「ところで先生、そのハッピと団扇とサイリウムは何なんですか? しかもプリントされている『推しメン』らしき『魔法少女ステラ・アンジェ』って、どう考えてもご姪孫であるシールズさんですよね?」
「質問が多いなお前。簡単に言えばあの子は、一度は全米に歌声を届けたことがあるらしい。健の娘。私からすれば姪っ子から届けられた荷物だ。
あの子が軍人として育てられる前に、Jrシンガーとしてちょっとした『ジョンベネ』も同然になった頃のものだよ」
とんでもない過去が明らかになるも、何というか最初の烈の言いように、少しだけ苦笑してしまう。
面倒くさいヤツだと言われたような気がするのだから。
「そんな私の疑問を忌々しげに言わんでも……、まぁご家族は止めなかったんですかね? いくら兵隊徴募が頻繁な合衆国と言えども……疑問ですよ」
「彼らアンジーの両親からしても予想外だったそうだ。
アンジーが、『歌うたい』としての道よりも、そっちを選ぶなど、な……」
その頃のアンジーの両親は烈の弟である健の死去もあってなのか、少しだけ関係がギクシャクしていたらしい。
そんな家庭の微妙な雰囲気を察して、そしてアンジーの美貌や魔法の異常なまでの才能に対する、家族が持つ『忌避感』を幼いながらに察したのか……彼女は十歳にして軍属の魔法師として生きていくことを決めたらしい。
「姪も当初は当惑したものの、健の理念を知っていただけに、それを必死で止めるのは『父親の生き方』に反するものと思ったそうだ。
これらは―――刹那から聞いたことだ。そして刹那は、アンジーの両親から聞いたんだろうな。
『何でリーナを軍人にしたんだ?』 。セリフとしては、そんなところだろう」
「本当に彼は―――」
「壁がない。どこまでも自由なんだよ……。『こうであるべき』というのを嫌っている人間なんだ。奇しくもその考えは、
だからこそアンジーも惹かれたのかもしれない。
当初の出会いこそ、ただの興味本位だったのだろうが、それが思慕に、恋慕に変わり―――猛烈なアタックを掛けさせることになった。
そんな所だろう。当人たち視点ではまた違った見方もあるのかもしれないが。そういうことだった。
「ということで、弘一、お前にもこのハッピを着込み、団扇とサイリウムを持って応援してもらうぞ」
「断固辞退します」
師の命令を絶対に聞かないという態度で望む。
「そもそも、『面』を割れさせないためにパレードで変装していれば、意味がないのでは?」
「……お前からそんな鋭い指摘を食らうとは、私も老人になったもんだ」
その言葉で、弘一まで二昔前のアイドルの『追っかけ』のようなことをしなくて済んだのは僥倖であった。
来賓席にいたダメおやじ二人の会話が切れると同時に―――この……『黄金の劇場』としか言いようがない客席からも見える場所。
すなわちステージ中央に―――黄金と真紅を混ぜ合わせた少女が現れる。
その姿―――見たものならば分かるのだが、横浜事変にて最後に見えた……蒼色の騎士に『瓜二つ』なまで面貌が似ていたのだ。
唯一の違いは……。
「バカな……真夜と同格のバストサイズだと、しかも同じく大きく胸元を開いている……!!」
弘一によって指摘されたが、どこに注目して比較しているんだと言いたい弟子の言動に、烈は……『駄目だ こいつ…… 早くなんとかしないと……』
とりあえず、さっさと後継者を決めて代替わりしろと言いたい限りである。
そうしていると、ステージ中央にてスポットライトを浴びて輝く黄金の美少女は声を張り上げる。
祝祭が始まる……。
† † † † †
薔薇の花弁を振りまきながら、『カリスマ』溢れる黄金の美少女は、古めかしいマイク……深紅の花とリボンでデコレーションされた
そうしてから、瞑想するように眼を閉じてショーアップされた皇帝陛下は―――花束を口元に持っていき、マイクを使って声を張り上げた……。
『―――今宵、伝説が幕を開ける―――。皆のもの!! 伝説を見たいか―――ッ!!!』
眼を見開いて、観客に『意』を放つ。その言葉に割れるような歓声が響く。正しく『情熱の皇帝』の面目躍如である。
魔法師・非魔法師……どちらにも、少女に『見覚え』が無くても、その身が持つ『カリスマ』は、観客の心を揺さぶる。
赤い舞踏服に身を包んだ皇帝は、その人ならざる身を使って、パッショーネを振りまくのだ。
「皇帝特権を使って、『カリスマ』を己の身に宿したか。流石は皇帝陛下だな」
「しかも、ここは「皇帝陛下」が形成した劇場か……完全に異界じゃないか」
資料で何となく知っていたし『本物』の『異界』を持つ刹那からしても、少しばかり驚嘆してしまうのだ。
とはいえ、そんなことは学園の名物教師となっている二人にとっては『思い出深い』ことのようだ。
「俗世に露出した最大級の神秘。『協会』に気づかれれば一発で封印指定だが、螺旋構造のマンションとか思い出すねぇロマニ?」
「刹那に影響が無いなら何もしないよ。大丈夫かい? レオナルドも魔力をカットしているとはいえ、辛いんじゃないか?」
カジュアルな服装をしたロマン先生が刹那を気遣ってくれるも、無問題だと言っておく。
そもそもダ・ヴィンチ(衣装は完璧)も、最近ではあまり刹那の魔力を使ってはいないのだ。
流石は万能の天才なだけはある。まぁ感心してばかりもいられない。
全ては俺が未熟ゆえだ。冠位指定ほどの実力、もしくは魔法を『完全』にものに出来れば……などと意気込んでいたのだが……。
「セ、セルナ―――!! 杖が女の子して、ガーネットが超力変身に―――!!!」
「うむ。混乱の極みだな」
飛び入り参加したいという三高勢の為にプログラムを弄ったりもしたのだが、舞台袖付近に入ってきた愛梨に揺さぶられる。
リーナと同じくピンク色の髪だが、ストレートロングである所がちょっと違う。
そんな変装した愛梨は、自分の杖の正体を知って混乱しているようだ。
「まぁ何となくは分かっていたんじゃないか? ガーネットが何かしらの『英霊』の御霊分けであることは?」
「うぐっ。流石はセルナ。私の未来の夫は、全てがお見通しなんですね……」
どんな人生の予定表が彼女に組まれているのか、ちょっと怖い思いをしながらも、少しだけのネタバレをする。
「ガーネットの正体は……『アーサー』ではないんですね?」
「まぁ美月の絵画や数々の証言から、エクスカリバーの英雄にも似ているかも知れないが、断じて違うさ。
情熱の皇帝。今はそれだけ覚えておくといいよ。彼女は多くの演劇を情熱溢れる芸術を好んでいるんだからさ」
確かに顔立ちはものすごく似ているが、見るものが見れば『明らかに違う』と言い切れる。
MC役を今はやってもらっているが、俺も落ち着けば紹介をするべく出なければいけない。
「トップバッターはレオだな。緊張はしているか?」
「いいや、全然。こういう大舞台は慣れているぜ。演出作業頼むぜ。所詮は素人芸なんだからよ。少しでもプロフェッショナルに近づけてくれ」
任せろということで、舞台演出をする全員、招集された平河姉妹や和泉先輩などとともに、ダ・ヴィンチちゃんは親指を立てるのだった。
『伝説は、この男から始まった!! 何が始まったんだかは余もよく知らないが、その類まれなる美声でウサギの娘でも引っ掛けたのではないかと想われる。あとは
ネロ皇帝陛下の説明にどっ、と笑いが起こりながらも、舞台演出のために指定の位置に着いたレオは、その言葉に動揺もせずに、最後のコールを待つ。
『魔法科高校の光の巨人!! その名を勇気を持って叫ぶのだ!!! その名は―――』
『『『『ウルトラマンタイガ―――!!!! レオンハルト兄ちゃ―――ん』』』』
主に子どもたちの声が聞こえる前から平河はボタンを押して、レオを『射出』した。
安全性に気を使っているとは言え、魔法やホログラフを利用した舞台上に、今日……様々なところで見せてきたウルトラマンタイガを想わせる衣装で降り立つ。
見事な着地。身体に異常はない。バネじかけのそれからアクロバティックなものを終えたレオは、中央から居なくなったネロに代わり声を張り上げる。
「みんなー!! 今日一日の締めくくりのマジックライブのトップバッターは俺だが、他の魔法使いさんたちの歌も聞いていってくれよな―!それじゃ一曲目歌わせてもらうぜ!!
『Buddy, Steady, go!』」
ナイスなMCだ。そして魔法科高校のうたプリの声が響いていく。そしてタイミングよく曲が掛かる。
芸が三分で、裏方と段取り七分。というのが
放たれるその歌声とメロディは、会場を満たして周辺一帯を盛り上げるものだ。魔法のように全てが理屈ではない。
ハートのビートを叩くことで、人の心は動く。共鳴して、その歌声に心地が良い想いを覚え、心を弾ませる。
在りし日の、まだ何者でもない頃の、夢に溢れた頃の情熱を思い出させる歌がある。
未熟な人間だからこそ、誰かに笑われても構わない。自分の道を進むのだという気概……レオの心にあるのは、あの日あの時、友人の一人が放った言葉の熱さだった。
―――誰に笑われたっていいさ、笑われても何度でもやってやる。それが出発点からでもな―――。
友人からすれば何気なく放った言葉だったのかもしれない。けれども、その言葉はレオの心を動かした。
その上で、この曲―――『Buddy, Steady, go!』は、自分の心情を表していたのだから。
熱狂が伝わる。興奮が伝播する。レオの飾らない心が伝わる。
そしてその心の旋律が―――三人の少女を揺さぶる……。
全ての人間が、魔法師であるとか非魔法師であるとか関係なく、レオの汗を掻きながらも身体全てを使い切らんという熱唱に意識を奪われる。
それは舞台袖で見ている自分たちも同様で、レオが作り出した空気を崩すのは少しだけ気が引ける一方で……。
「これは西城からの挑戦状だな。このボルテージを維持できるかどうか―――」
「十文字キングダムを展開できますか?」
「やってやるさ。バイオリンではセミプロ級の腕を持ち、オルガン奏者を駆ってくれた女子二人の意気を無下にするわけにもいかんだろう」
修羅場だなぁと、勢いよく言う十文字先輩の後ろにいる二人の美少女を見ながら思う。
「リズ先輩。頑張ってくださいね!」
「あったりまえよ。私の演奏に聞き惚れなさいよアイリ」
そんなやり取りを見てから、そろそろだなと思っておく。
原初の魔法の一つとも言える『歌』のエネルギーは、まだまだ『頂点』に達していないのだった……。
ノベライズ版のマクロスFとかその後のライドとか30とか、劇場版のノベライズ―――レビューでは非難囂々(konozama)なんですよね。
私はアニメでは出来なかった補足及びSFとしての色々な面とかアルトのカブキ役者としての側面をよく活かした良作だと思ったんですけどね。
その後、EXTELLAのSF考証で型月及びきのこに関わったことが、こんなことになるなんて、ウロブチのZeroも確かに原作(初期PC)の頃の描写や設定を考えるならば、すごくアレなんですが―――まぁ何が言いたいかと言うと―――。
きのこ。月姫リメイクと2をはよ(マテ)
こういう風な所は、創作者としての悩みどころですね。(苦笑)