魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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長らくお待たせしました。

なんでこんなに遅れたかといえば、別に新型コロナとかは関係ないです。(苦笑)

約三年ぶりぐらいに買い替えたスマホがぬるぬるうごく。やっさいもっさいならぬ『もっさり』動くFGO
に見切りをつけて、すごく『ぬるぬる』動くスマホに感動していたわけです。(爆)

コロナウイルス、恐ろしい限りだな。この作品、どうやら台湾の方も見ているようで、大陸からのイジメを見ていると、無性に応援したくなる。

というか、こういうことばかりやっているから民心が離れる。香港から何も学んでいないなぁと思いつつ、新話おとどけします。


第198話『階位付与・祭位認定』

 戦い終わって、日が暮れて……なんてフレーズの前からとっくに夜になってはいたのだが……。

 

 ともあれ、魔法科高校でも初の試みとも言える『文化祭』は恙無く終わり、今は全校生徒それぞれで駄弁りながらも、片付けをしている最中であった。

 論文コンペの頃から分かっていたことだがテント設営なども魔法を使えば簡単に、かつ安全に行える。

 

 まぁレオや十文字センパイなどの力持ちは、こんなことに魔法を使うなど無駄としてマッスルパワーで片付けを―――という試みは砕けた。

 というか演者が、更に仕事をするなどオーバーワークなので、気遣った後輩・同級生たちが、率先して片付けてしまった。

 

 そんなわけで生徒達だけとまではいかないが、まぁ関係者全員を集めての後夜祭という名の慰労会。

 この一年、色々とありすぎた大講堂にて、コスプレ衣装のままに集まった面子を前にして中条会長のシメの挨拶となった。

 

『皆さん、この後はそれぞれで自由にしてもいいのですが、ここに集まった以上は目当ては『分かります』。分かりますので、簡潔にいきますよ――――飲めや食えやで、本日はお疲れさまでした!! 乾杯!!!』

 

『『『『カンパーーーイ!!!!』』』』

 

 笑顔のままに持ち上げたアップルジュースと共に放たれた言葉で、あちこちで打ち鳴らされる紙コップの群れと乾杯の音頭。

 少しの飛沫がかかるも構わずに『ぐいっ』と全員が飲み干した後には―――。

 

「こ、これが九校戦で選手全員が食べてきたメニュー!! 旨い!! 旨すぎる!!! 絶対に来年は僕も出場してみせる!!」

「この蕎麦を作ったのは誰だぁっ!? あっ普通に拙者のクラスメイトでござった―――。ふむ。そば粉のつなぎに自然薯とは、正しく王道である……」

 

 十三束及び後藤を筆頭に舌鼓を打つ。絢爛豪華な料理の数々は―――。

 

「私達が作ったんですけどね」

「アタシ達の女子力ナメんじゃないわよ!」

 

 深雪はともかくとして、そんな言葉遣いで女子力も何もあったもんじゃない桜小路の言葉を聞きながらも、達也としては後夜祭に来ている面子の中に―――特に怪しいのはいないようだ。

 怪しいものといえば、まぁ……オレンジ髪で馴染みの喫茶店の看板娘ぐらいか。

 

「レオ、すっごくカッコよかったよ!!!」

 

「ああ、ありがとう。宇佐美さ『ユウキって呼んでよ。チカとビッキーみたいにフレンドリーに♪』―――、ありがとう。ユウキ」

 

 バッチーン☆とでも擬音が付きかねないウインク一つと共にレオに接近する宇佐美夕姫の姿に男子陣の嫉妬視線が届く。

 

 

「遠坂と近いヤツばかりモテモテになっていく!!」

 

「ヤツが放つMOTE粒子は、全ての男も女も構わず「モテのイノベーション」を開花させるのか!?」

 

「即ち !! モテベイター!! 人類を導く存在に昇華出来るのか!!」

 

 

 そんな存在ばかりが地球上で覚醒したらば、『異星人』次第では敗北確実。

 まぁ本物の『異星人』と西暦以前の人類が接触していたことは、夏の時点で確実なのだ。

 

 異星人の全てが、巨神アルテラのような存在ばかりなわけもないのだし、更に言えば刹那の記憶を垣間見た今となっては、なんとも危うい確率でこの世界は存続しているのだ、と思うのだった。

 そして、そんな与太話に感想を出してから、ふと幾つかの所に眼を向けると―――。

 

 

「リーナ、可愛くてカッコよかったですよ!! 流石は魔法の歌姫ステラ・アンジェです!!」

「アンジェリーナ! 新しい小説のアイデアのインスピレーションを頂きましたよ!!」

 

 などとUSNAの姉貴分たちに構われつつ―――。

 

「全く、私には何も教えてくれないのねリーナは」

 

 今度は日本の姉貴分に言われるのだった。少しすねるような響子に戸惑うリーナ。

 

「ソレに関してはソーリーです……だってジュニアシンガー未満の存在の過去を言うのは、なんかハズカシイですから……」

 

「本当の所は?」

 

 そこまで親類一同に知られたくないことだろうかという疑問に対して―――

 

 

「ワタシの歌はセツナへのラブソング……ソレに変わっていたんだもの」

 

「なんかもう。女として負けてる現状に私のライフはもうゼロよ……」

 

 赤くなりながら両手の人差し指を突き合うリーナの姿に、日米グータンヌーボ会は、全員が撃沈・轟沈・自沈するのだった。

 マリアナ海溝よりも深いところに沈みかねない四人の女性の気持ちに南無三と思ってから、件の刹那はというと……。

 

 

「霊媒・触媒としては本当に困った眼ではあろうな。詳細に見すぎて酔って、共感しすぎていたんだろう。それと……見えたものが『悲しすぎる』とはいえ、好きでもない男に不用意に抱きつかないでくれ」

 

「けれど私、ボンクラボーイズの中では刹那くん、結構気に入っていましたよ? 頼りになりますし、カッコいいですから」

 

「勘弁してくれ。幹比古の呪詛を受けるこっちとしては、心臓がいくつあっても足りない」

 

 

 そんなことしないよ! と少し遠くの方で幹比古が叫ぶ様子だが、魔女姿の美月のイタズラっ子なポージング。

 魔女っ子メグちゃんのオープニング一発目のごときものをされても平素で返す刹那。

 

 確かに前に聞いた限りでは、エリカ曰く『リーナが『べったり』でなければ、美月は刹那を狙いにいっていた』とのこと。

 入学当初……まだまだ互いに探り合う関係の中で、達也が刹那以外に驚異を覚えたのは美月の『魔眼』であった。

 

 そして、そんな美月に敵意を向けた際に守りに入ったのは刹那であったか。

 思い出すに、美月からすれば刹那は自分を守ってくれた存在、王子とも言えるか……とはいえ、そこまで関わりが無い―――ようで、実は結構あったりもしたのだと今更ながら気づく。

 

 

(が……、刹那の心に美月が忍び込む隙が無いから諦めていたわけだな)

 

 そこが一色との違いか。とはいえ、これ以上達也の周りがややこしい人間関係にならないでいることは僥倖だろう―――などと思っていると、エリカが不機嫌そうなツラで、レオと宇佐美との会話を見ているのを発見してしまう。

 

 こっちが解決すると、こちらが発生するとか勘弁願う。

 

「感受性が良すぎるのも考えものだな。あとで魔眼殺しを寄越すよ。ただ見えたもの、描いたインスピレーションは、魔道の端緒になるだろうから、そこは大事にしておけ。

 それは美月が安定させるべき『基盤』の定着に役立つから、キャンバスに描くならば『砂絵』で描くのが適切かもな」

 

「いつでも、そんなことを考えるんですね」

 

「そりゃ、我が家の宿業だからな。とりあえずまだ俺の代で止みには出来ないな」

 

 愉快そうに微笑みながら語る美月に苦笑して語る刹那。あいつの家の『宿業』。それは―――苦難の道ではあるが―――。

 

(お袋さん以上に金運ありすぎる刹那ならば、『完了』するんじゃないか?)

 

 でないと、『あの時』に見えた『双子たち』に繋がらないのだから。

 まぁ他人事ではあるが、あれほどまでに駆け抜けてきた友人がそろそろ『休んで』いる日が来てもいいのではないかと思うほどだ。

 

 ピザの素材の残りと春日菜々美がドジって炊き上げた『ご飯』を利用して作られた焼きチーズカレー(刹那作)に舌鼓を打ちながら―――。

 

 

「お前らは結局、何なの?」

 

 

 達也の足元近くにいたネコ型の『ナニカ』に声を掛けるのだった。

 

「なんだいボーイ? アチシの魅惑のボディの秘密でも知りたいのかにゃ―? けれど、それはダメよ! 

 アチシのボディは未だ見ぬメガネ男子に捧げるべき清い身体! 罪作りなネコアルクは、ドクターチアッキーの下にクールに去るのだにゃ―――」

 

 さっぱり意味不明であったが、いいたいだけ言って給仕係をやってくれているネコアルク(パチもん)はクールとは真逆の移動方法。

 

『バビューン』とでもいうべき『ハルトモムーブ』をかましてくれるのだった。

 

 そうして白いネコアルクがいなくなると……。

 

 

「ふふふ。しょせん『白』はただの恋する乙女。やはり時代は―――『黒』、そうは思わんかね少年?」

「いや、お前も誰なんだよ?」

 

 

 シケモクなのだろうか。よれよれのタバコらしきものを手に佇む黒色のネコアルク。

 しかし……外見といい声といい、何故にスカート姿なんだよと思ってしまうも、それが気にならないのだから恐ろしい。

 

 

「吾輩、最近どこぞのヘタレに最高峰の『黒魔術師』の役目を取られて、ちょっぴりショック。とはいえ時代は変わるのだと思い、恋しさと せつなさと心強さで『浪川』(チャイルドマン)に任せることを選んだのだよ」

 

 

 非常にメメタァなことを言っているはずだが、全く以て理解が出来ないわけではないのは、この世界のアーキタイプというか『参考』になったからだろう。

 なんだ。この電波な思考は……。思わず達也は頭を悩ませてしまう。

 

 

「まぁともあれ。喜べ少年。君の願いはようやく叶う――――実妹ルートが実装された俺妹もあるわけだしな。ヨスガノソラは近いんだにゃ―」

 

「F○CK」

 

 今すぐにでも蹴り飛ばしたい衝動を、刹那の記憶の中で見たロード・エルメロイⅡ世の言動を借り、言葉にして叩きつける。

 

 そうしてネコアルク・カオス―――略称『ネコカオス』と平河が命名したアニマロイドは去っていきウエイター作業に入るのだった。

 そんなところを見計らってか友人がやってくる。ようやく演奏時に『照応』したイメージを問いただせる時が来た。

 

「やれやれ、ひとまずはというところだ」

 

「美月の問題は解決したようで何よりだ―――ダ・ヴィンチは、『何処かの世界』であれだけの戦いを繰り広げてきたのか―――」

 

「まぁな……俺も色々と観測した中ではすごく辛かったんだよ。『アノ人』が―――幸せになれる世界が、こんなにか細いなんて」

 

 

 そう言ってあんまり話したくないという想いなのか、苦い顔をする刹那に悪い気持ちが出てしまう。

 ダ・ヴィンチが歌を呪文にしてイメージを投射した世界。その戦いは、刹那も何度か観測していたようだ。

 

 人理焼却という恐ろしいまでに極められた『世界破壊』の果ての戦いを。

 その序盤にて焼き殺された銀髪の刹那の『既知の女』の姿も垣間見た。

 

(流石に、俺とて歴史そのものを焼き尽くすことは出来ないな)

 

 だが、魔術王■■■■の放った『七つの楔』が、最終的に歴史を『どうやっても先はない』という結果を、修復するまで突きつけていたのだ。

 

(だが、もしかしたらば……)

 

 四葉の人間たちが達也に求めたのは、そういうことなのかもしれない。

 変えられない歴史という『運河』を、どうやっても『ある事象』にたどり着かせるための試み。

 

 それが自分の魔術系統たる『破壊と再生』の大本なのかもしれない。

 

(まぁただの妄想だよな)

 

 叔母におとずれた悲しい運命を変えるためだけに、自分が生贄に供されたというのならば、もっと上手いこと調整してほしかったものだ。であれば、世界の修正がどうあれやってやった。

 肉親を、つながりを持つ相手を捨てきれない心をもつ達也は、どうしても四葉の魔法師なのだった。

 

 

「嘆息して納得したところ悪いが、焼きチーズカレーだけでなく、あっちの深雪たち有象無象が作った九校戦の料理も食ってやれ」

 

「幸運なことに今年の九校戦に俺は参加出来たからな。参加出来なかった面子に優先的に食わせるべきだろ?」

 

 有象無象ってなんだ!? と叫ぶほのかを聞きながら―――。

 

 そう返すも、苦笑する刹那を見て達也も観念する。

 

「行って来い。女子陣、特に光井はお前に試食してほしそうだからな」

 

「―――分かったよ」

 

 そんな言葉で送り出されるのだった。もう少し話をしたくもあったが、そう言われたなら仕方ない。

 そして差し出された海鮮饅頭に『何点ですか!?』と聴かれて、『点数は着けられないよ。同時に刹那とも比べられない』と言って少しの優しさで返しておくのだった。

 

 ・

 ・

 ・

 

 ―――少し離れた所に向かう達也を見送ってから喉を潤していると、望みの人物が現れた。先ほどから話すタイミングを計っていた風の男は、絶妙な入り方で、刹那の側にやってきたのだった。

 

「こんばんは」

 

 仮装行列で変装した姿は、『普通』だった。

 変身魔法というのは幾つかあるが、ここまで周囲に埋没する系統となるとサーヴァントスキルにおける『気配遮断』『変化(潜入特化)』に該当するのではないかと思う。

 

「ああ、こんばんは。いくら身体の調子がいいとはいえ、こんな遠くに出張るなんて大丈夫か?」

 

 気軽に手を上げてから持っていた紙コップを打ち合わせてお互いに一気に煽る。(アップルジュース)

 

 リーナの仮装行列は『仰々しい変身』に系統が振り切れているが、正統な九島家のパレードは、九校戦の際のことを考えるに『闇討ち』専門のようだ。

 そうしてから喉を湿らせた九島の末子は、口を開く。

 

「動けるうちに動きたいんですよ。

 どこまで、どれくらいの時間『走れる』かなんて分かりゃしない。焼き付いてしまいそうなエンジンを積んで、どこまで走れるかを試したい。

 ―――望むのはそういう生なんで」

 

 パレードで擬装しているとはいえ、その姿を、『実像』を刹那の目は、確実に捉えていた。

 

 笑みを浮かべる儚げな―――それでも決意を秘めた少年。その姿が、刹那にはどうしても死徒殺しの殺人貴に重なるのだ。

 

 

「お前の親父さんやジイさんが何ていうかは分からんが、俺はお前の決断を尊重するよ―――『ミノル』……」

 

「当代最高峰の『魔宝使い』に、そう言われれば最高の証文ですね。ありがとう。

 だからこそ―――僕は2高に入って、刹那やここにいる人たちと戦いますよ」

 

 

 来年も、九校戦に参加出来るかどうかは分からない。と言っておくも、変身魔法を解いて後ろ姿だけを見せた彼は―――。

 

 

「戦いますよ。これは―――僕が始めた戦いなんですから、受けてくれなきゃ一生恨みます」

 

 そんな来年にしか果たされないはずの『果たし状』を叩きつけてきたのだった……。

 大講堂の入り口に向かって歩き出した九島 光宣と、入り口から入ってきた桜井が正面で向かいあっていた。

 

 一言、二言、三言―――もういいから普通に会話しろといわんばかりに長話の体になりそうな2人。どこで関わったのやらと想いながらも―――結局、離れ離れになる男女。

 

 何度か後ろを振り返るヘップバーンのごとき桜井を見て一言……。

 

私はさよならを(I don't know.)どう言えばいいか分からない。(how to say goodbye.) 言葉が出てこないの。(I can't think of any words.) ……と言ったところか」

 

「ローマの休日とは、シャレが利いてるわね」

 

「Is you, doing it does not say that I cannot live

 Surely I can live.

 But I do not want to live without you  って感じよネ。ワタシとの出会いは☆」

 

「全く以てそのとおりですよ。マインスター」

 

 

 先程まで話していた九島の係累が揃って刹那の近くにやってきた。というか、響子の場合はついていなくていいのだろうか。

 

 

「過保護にするべき時期でも、そういう身体でもなくなったわけだしね……ただ来ていたのは本当に知らなかったのよ。お祖父様に着いてきたのでしょうけど」

 

「ふむ」

 

 考えるにアノ頃に比べれば変わったものだ。服薬治療とある種の『調律作業』で何とか持ち直している九島光宣の気質から考えれば、それは人間としての劇的な『変化』だ。

 

 もっとも、自分の調律なんて『手妻』もいいところだ。

 

 メルヴィン・ウェインズの技術を全て複製できれば…………。

 

「ないものねだりは出来んな」

 

 

 高レベルの調律者がいればいいのだが、この世界ではCADの調整には気を使えども、身体及び魔力駆動における心身領域の調整には、『食って休んで寝る』程度なのだから……。

 などと想いつつ、少しは腹に入れとこうと思っていると、驚きの来客を迎えるのだった。

 

 大講堂の出入り口から入ってきたのは、魔法師界の名士であり、現在刹那の傍に引っ付く二人の女の関係者であった。

 

 

「こんばんは。今日は色々と楽しませてもらったよ」

 

「どうも。先程、『こっち』(響子)とは違うお孫さんが来ていましたが」

 

「ああ、別に家に縛り付けるわけではないのだが、今の九島の当主は真言だからな。勝手をするわけにもいかず、直ぐにお暇のとんぼ返りだよ―――だが、その前に一言、二言いいかね?」

 

 

 恐らく現在の当主から『勝手に息子を連れ出すな』とでも言われているのだろう。

 闇将軍も同然に家のことを仕切る妖怪でも、あまり現当主を無視しきることも出来ないのか。

 

 どうぞ。と一言だけ言ってから話の続きを促す。

 

「この一年。もう少しあるが、それでも君はここを拠点に魔法師社会に『風』を行き渡らせてきた。

 良かれ悪しかれ、その風は全ての人間を『変えてきたのだろう』。さて―――今回の文化祭と、何か繋がりはあるのかね?」

 

「特にはないですね。ウチのビッグ・ボスには、企画段階で大それたことを言いましたが、ただ単に自分が楽しんでお客さんも楽しめただけですね」

 

 

 片眼を瞑りながらおどけて言っておく。

 

 確かに最初は、結構大それた、誇大なものがあったはずだが、終わってみれば奏でようとしたものなど、遠くの彼方だ。

 

 けれど目的としていたものが、『良かったもの』かどうかというのは少し違う。

 

 終わってみれば、『こっちで良かったな。当初の目的など蛇足』となってしまった。

 

「別に俺は魔法師の社会が『普遍』(コモン)に傾くか『閉鎖』(ミステル)に傾くか、はたまた『学術的』(アカデミック)に傾くかには興味がないんですが―――とはいえ、長い人生なんだ。

『お祭り』という刺激があっても悪くないでしょ? 

『天秤の振れ』が一方にだけ偏って、その方向性にだけ突き進むなんてのは、『変化の拒絶』ですから。まぁ変化がないものは、『死んでる』のと同じですよ」

 

 答えになっているかどうかは分からない。と付け加えると、ジジイにとっては愉快なものだったようだ。

 

 

「いや、ありがとう。そう考えると……、いやここでは言わないほうがいいな。百山君から睨み殺さんばかりに眼を向けられている。ミス・カゲトラの酌もあまり功を奏していないぐらいに」

 

 なんやかんやと校長先生が還ってきたことで教職員の皆さんは酒を入れているが、生徒には飲ませていない。

 まぁ当たり前だが……そう言えば校長である百山 東氏はリーナのジイさんとも関わりが多かったとか何とか聴いたから『その辺り』のことなのだろう。

 

 

「システムを守るために肉親を見捨てた私には、(のち)を見守ることしか出来んな。何か手助け出来ることがあれば遠慮なく言え。ロード・トオサカ」

「とりあえず今のところはないかと。あれば老骨に鞭打たせてもらいますよ。マイスター・クドウ」

 

 

 老人虐待。と小さく響子からツッコミを入れられつつ、その後ろ姿――――

 

 

 

 

 リーナママから送られてきただろう『ステラ・アンジェ』の法被を着込んで推しメン団扇を手にした九島烈を見送るのだった……。

 

 それを見て先程から会話に参加せず真っ赤になって顔を覆っていたリーナを宥めるように髪を撫でながら、とりあえず腹ごなしにするのだった。

 

 祭りは終わり、2095年も残り僅かな月日を残しながら、その間の出来事は――――もう少しだけ続き、その間に3つの国は、極東に『魔術師』を派遣することを決めていき、そして中国大陸の騒乱は混迷を極めていく―――。

 

 

 

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