魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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明日はバンアレン帯ならぬバレンタイン(爆)

なのに送る話はクリスマスの話だとか季節感ガン無視です。しょ、しょうがないんだ。

レオの話はクリスマスなんだから。というわけで新話お送りします。


第200話『聖夜異変―――Ⅱ』

2095年東京都。12月 冬。天気は雪。

 

多くの人にとって聖夜の夜に場違いな『Witch on the Holy night』が、幕を開けるのだった……。

 

そんな中―――。

 

「ふふふ。来年のサンタ枠は確定的に明らかな私にこのような衣装を着せるとは、マスターはとんだ助平ですね」

 

「俺は何も言うとりませんが!?」

 

「しかもサンタになったことで、ランサーからセイバーに霊基が変更されたような感覚まで覚えます。

というわけで―――赤鼻の馴鹿(となかい)をちょっくら見繕いたい次第」

 

その言葉に、主人とは違いちっちゃいままの白馬、放生月毛が『ショボーン』という顔を見せている。トナカイ役ぐらいやってやらぁ!という気持ちを無にされたのだ。しょうがない。

 

『ヒドイっすお虎様! こうなれば、ブケファラスさん、セングレンさん、赤兎馬(りょふ)さんと一緒にヤケ人参するっす!! 別世界から『ななこ』さんとかいう自分と同じ角付きが――――』

 

ショボーンの裏でのアグレッシブすぎる心の声を何故か刹那は受信してしまった。

 

受信してしまったので仕方なく、煮ていたキャロットグラッセに少しの変化をしてからキャロットスープを餌箱に満たしてあげるのだった。

 

『うぉおん。マスターありがとうございまーす!! 我が身に染み入る人参の味が、我が白毛を赤色に変える!! 私も霊基再臨をして、赤兎馬(りょふ)さんのように、(うま)型ユニットに変わりますぅうう!!』

 

涙を流しながらキャロットグラッセを添えたキャロットスープを飲む戦国の名馬。

 

ナンカ色々とカオスすぎる様子に苦笑してからリーナが声を掛けてきた。

 

「ワァ。セツナ―――!! 外を見て!! スノーよ♪」

 

「おおっ。いつの間に、ホワイトクリスマスだな」

 

この世界的寒冷化を体験した時代では、寒気というのは忌むべきものの一つだが、降り積もろうとする粉雪の美しさは誰もの眼を楽しませる。

 

ミニスカサンタドレス。クリスマスリースとベルの混合のアクセントアクセサリを着けた衣装は、カゲトラと同系統のものだ。

 

世の中の男どもが血の涙を流しそうな、美女と美少女とのクリスマスイブの時間を過ごしていたのだが―――。

 

魔術師の聖夜が、そのままに時を終えるわけがなかったのだ。

 

このしずやかな夜。リーナがいる縁側近くに行き、外の様子を見た瞬間に、少しだけ『感じる』のだった。

 

リーナも敏感に『何か』を感じ取り、少し身体を強張らせたが、それを安堵させるようにリーナのむき出しの肩をそっと触れてから抱き寄せつつ―――何事もありませんように、と願うも……。

 

「もうっ。ワタシが魅力的なレディであることは解るけど、少しハヤイわよ♪♪」

 

「今日は私もマスターに『特別な魔力供給』を受けたい気持ちです!! 魔力が足りないのです!!」

 

そんな提案で刹那の気遣いは無に帰するのだった。

 

「聖夜を性夜に変えるほどの3Pだなんて、セツナはやっぱりエミヤシロウの息子(サン)なのね。

ちゃんと女の子にはやさしくネ♪」

 

その言葉に少し驚愕。如何に人外の使い魔とはいえ、何か、恋敵とは対応が違いすぎではないだろうか。

 

そんな疑問をぶつける。

 

「リーナとしてはお虎と俺が致しても構わない一方で、アイリには敵愾心バリバリなんだよな。どういう違い?」

 

「ドーゾクケンオなのよね。磁石(マグネット)も同極同士が反発するように、アレとは相容れないのよ」

 

成る程。まぁそれでも、名家の令嬢であることを誇りに思うアイリと力こそパワーなリーナとでは、相容れざるものもあるのだろう。

 

そもそもフランス人とアメリカ人とでは、微妙な関係性になる。

 

「ふふふ。流石はリーナ。話が解る女は粋でいなせなイイ女。尾張のうつけも洛中洛外図屏風を送ってくれるなんて粋な計らいをしてくれましたからねぇ」

 

言いながら刹那の背中にしなだれるお虎。狩野永徳の屏風でもあるまいし、寄りかからないで欲しいのだが。

 

そんなこんなで2人の年齢の違う女(どちらも美が付く)の接近にイケない想いを抱いてしまう刹那は、酔っているのかも知れない。

 

いかん。落ち着け。冷静になれ。こういうときこそCOOLに、COOLになるんだ!!

 

「セツナ……」

 

「マスター……」

 

リーナはともかくとして景虎は、確実に状況に流されているだけだろうに……しかし、今日はクリスマスイブ。

 

聖なる夜ならば、なんでも許される。

繰り返される■日■でも、オヤジもサーヴァントを交えて3Pやっていたり―――。

 

瞬間、ノイズが走り、ああ、それは『無かったこと』なんだなと気付いて考えを破却すると―――コールが鳴り響く。

 

端末から響く音で相手が誰かを解る。こんな日、こんな時間には聴きたくはなかったが、火急なのだろう。

 

何度も鳴り響いて端末のスイッチを押す。

 

「達也か?」

 

『夜分にすまないな。ついでに言えば、リーナと景虎さんと『致す』寸前だったら更にすまない』

 

「問題なく。もう少しで流されるところだったがな」

 

『それは問題無しとしていいのだろうかな……。まぁともあれ緊急事態なんだ』

 

「ソレはどれぐらい緊急の事態(エマージェンシー)ナノかしら?」

 

端末の通話口に割り込んできたリーナの言葉。明らかに苛立っていることは、電話口の向こうにいる達也にも伝わっただろう。

 

同時に、景虎が気を利かせたのか、キャビネットから中継ニュースを流しているものを着けた。

 

『お前たちが今どんな『状態』なのかは知らないが、キャビネットを着ければ解るはずだ。全テレビ局の報道局が詰め掛けているからな』

 

見ると『赤坂の料亭』なんて言葉が似合いそうな場所がガス爆発だか火事だかで大騒ぎ。そんな様子だった。

 

この時代でもテレビ局が野次馬も同然に事件現場に駆けつけるのは当たり前らしく、けたたましいサイレンや消防隊のレスキューなどの音ありでも聞こえる声とアナウンサーの説明によると、今から1時間前の話らしい。

 

『詳しいことは、こっちに来てから説明したいんだが、緊急の度合いを伝えることだけを言っておこう。

―――下手人は『サーヴァント』の類と思われる。

『ウチの手の者』が、怪我をさせられたんだ。それも、死ぬほどのな……』

 

受話器越しに少しの怒りを感じる。ここまで不測の事態に対して、何も手を打てなかったことに、無力感を感じているのだろう。

 

歯軋りの音を聴いた気がするぐらいに、今の達也は平常ではないようだ。

 

「容態のほどは?」

 

『大まかな怪我は治ったんだが、穿たれた『銃創』が『再生』しきらないんだ……。血液も補充しているが、留めるのも厳しい状況だ』

 

「ありったけのお湯を沸かしておけ。それと銀食器とロウソク。科学塩。ないならば、水塩を作っておけ。お前はその患者の命を繋ぎ止めることに集中しておくんだ。いいな達也。直ぐに向かう――――」

 

俯いているだろう達也に指示を出しておきながら、その間にもリーナと景虎は、外出の支度を終えていた。

 

通話を切ってから『専門家』に一応の連絡を着けておく。

 

その間にも刹那が手を動かさずとも支度は済んでしまう。

 

「イッツアオールオッケーよ!!」

 

手早く着替えを終えたリーナは、蒼色のコートを羽織り、魔術礼装も完備している。

 

魔術鞄たる四次元トランクを手に持ち、聖骸布のコートを羽織り―――雪降る東京の街に出ることにしたのだった。

 

『どうやらかなりの事態のようだね。ロマニの所からパナケアとドルイドの秘薬をかっぱらってきたぞ!!

存分に使い給え!!』

 

薄い緑色の液体が満たされた瓶を2本持って帰ってきた魔法の杖に『サンクス!!』と言いながら、ブルームフォームを取らせる。

 

同時に、『ギリシャ火』という『推進機』を着けて速度アップを測る。

 

「隠形の維持は任せたぞ!」

 

「マッカセナサーイ♪ 大船(バトルシップ)に乗ったつもりでいなさいヨ♪ 舳先で抱き合うジャックとローズのようにシバハウスに向かうわよ!!」

 

沈没不可避(タイタニック)!?」

 

ともあれ、味気ない飛行魔法で飛んでいくよりは、まだ恋人たちらしい密着をしながらの飛行のほうがいいとして、刹那とリーナはウィッチーズブルーム(魔女の箒)に跨りながら司波邸に向かうのだった……。

 

 

「キャー!! タツヤとミユキの一大事で不謹慎(フキンシン)かもしれないけど!! サンタクロースの気分だワ――!!」

 

「メエェエエエリィイイイクリスマ―――ス!!!」

 

『クリスマスといえばカルデアでも定番の行事だった!!

アルトリア・オルタ・サンタにジャンヌ・オルタのリリィのサンタ(長っ)、人理を取り戻す旅にも息抜きは必要だったのだ―――!!!』

 

今年(2020年)(?)のサンタサーヴァントの座は、越後のドラゴンアイドル『長尾景虎』が貰った―――!!」

 

『ご主人! ドラゴンの気持ちになるですよ』(CV 久○美咲)

 

その箒から『ゴー!!』という擬音が付くだろう勢いの火を吹かす行為が、東京の夜空に赤の流星の尾を引きながらというおまけ付きだが……ともあれ5分で達也たちのもとに、やかましい一団は到着するのだった。

 

 

「ありがとうレオ。すっごく助かっちゃった♪」

「そりゃいいんだけどよ。あの人ら、本当に心配している様子だったぜ?」

「いいのよ!! 気にしなーい気にしなーい」

 

シティーハンターよろしく依頼(?)を受けてレオが向かった先に、確かに宇佐美夕姫はいた。

 

だが夕姫が言うところの『悪い人』とやらは……。

 

『宇佐美さん。気持ちは解るけど、とりあえず社長に談判を―――』

 

などと、少しばかり情実を持って懇々と説得している黒服の人間たちであった。

とはいえ、宇佐美にとっては嫌な話らしく、とりあえずその腕をつかんだ説得を辞めさせるべく声をかけた。

 

『そこまでにしておきな。嫌がってるじゃねえか』

 

『レオ!!!』

 

SPやボディガードの類にも見える人間だったが、夕姫に声を掛けた瞬間、喜色満面になる夕姫とは違い、面構えを一変させる黒服達。

 

『あぁ? 子供は引っ込んでろ!!!』

 

と定型通りの常套句。

 

こちらに対してチンピラな対応をしてくれた上に、殴りかかって来たので、まぁ鎧袖一触。

魔法無しでも体術の類に優れたレオの拳は、手加減した上で黒服たちに叩き込まれるのだった。

 

その後は、いまのように腕に腕を絡め取られて(感触は悪くない)夕姫と連れ立って歩くのだった。

 

そんな恋人ではないが、まぁそれなりに友人……というには、まだ一ヶ月も経っていない関係。アーネンエルベに行けば高確率で会える他校の知人になってしまっているのだが―――。

 

これはどうなんだという想いをしながらも、夕姫は嬉しそうだった。

 

『夕姫さん―――いえ、『月兎のお嬢』!! も、戻ってきてください!! 蓬莱の玉の枝でもなんでも、あげますか―――』

 

『行こっ! こんな人達、無視していいから。未成年者略取誘拐罪で捕まればいいのよ』

 

などと必死で畏まったことを言う黒服達(五体投地状態)を背に街へと繰り出すのだった。

 

そして、当たり前のごとく追撃というかある種の追っかけっこになるという予想を崩す形で、現在に至る。

 

周りから見ればレオとユウキは、クリスマスデートを楽しむカップルであろうが、内実は少々どころかかなり違う。

 

まぁ美少女に抱きつかれて嫌な人間ではないが、それでも明確な男としての『好意』を抱けていないのに、こうもアタックされると少し変な気分だ。

 

(多少は刹那の気持ちも分かるような気はするな……多少だが)

 

そこで複数の女子と交際しても修羅場にならないだけの気の回し方が出来る人間ではないから、一人を愛する。

 

そういうことだろう。

 

「まさかクリスマスの夜にレオと出会えるなんて、これはもはや運命。デスティニープランと言わざるを得ないね♪」

 

「お前が呼び出したんだろうが、仕組まれ過ぎな運命だろ?」

 

先程まで友人とのあれこれで『運命』を考えていただけに、安っぽい使い方は少々噛みつかざるをえない。

 

だが見上げてくる夕姫の赤く染まった顔は揺るがない。

 

「それでもさ―――来てくれたから、すごく嬉しいんだよ。私は」

 

言葉と同時に少しだけきつくレオの腕に腕を絡ませる夕姫。刹那が評した通り、確かに男ならば、どうにか関心を惹きたくなること間違いないモテカワな子だ。

 

しかし、その一方で不安があったと思える……心細さも感じる。『Take me』と言われれば抗しようがないかもしれない。

 

「まぁ助けられてよかったとは思うさ」

 

「また助けられちゃったね。お礼としてご飯奢ってあげるよ」

 

「いや、もう帰るところだったんだけど」

 

「じゃあ私がお礼ということで、レオの家に持ち帰られちゃうよ♪」

 

逃げ道がねぇ。観念してイタメシ屋。そこそこにレベルの高い店に入ることにするのだった。

 

「流石に遠坂さんレベルじゃないけど、ここも結構な美味しい店だよ。おすすめは―――今日はクリスマスだからか、メニューが特製のフェットチーネとリゾットだけだ」

 

「だがクリスマスオーダーか。悪くはないんじゃないか」

 

財布の中身(電子マネー)には、お互いに余裕はある。確認しあってから腹の音が鳴り響く。

よって寒空の下から温かい店内へと向かおうとした時に―――。

 

「うわぁ。流れ星だ……」

 

「あー……まぁ流れ星だな……」

 

赤い尾を引く流れ星。そして上空からでも感じるサイオンの発露に、誰であるかを悟ってしまう。

 

『姿』は見えない。というか、ほとんどの人間は『赤い尾』すら見えないはず。

だが、レオと同じものを見ている宇佐美夕姫に対して少しの疑念を覚えるのだった。

 

まぁ『流れ星』に願いを唱える真剣な彼女の前では、野暮天であるのは確実なのだから。

 

たとえその願いが―――。

 

『レオで処女卒業 レオで処女卒業 レオで――ああ、消えないで―!!』

 

不純極まりなく自分のDTを狙い撃ちにしたものとはいえ、言わぬが花である。

 

 

『『『『ここがあの女のハウスね』』』』

 

「よし入れ」

 

まさか玄関口で待っていたとは予想外であったが、電子ロックが外れ、セキュリティ上『安全』と判断されたことで入った司波邸は、この時代としては一般的な『日本家屋』であった。

 

「言われたものは用意してある。患者は三人。重傷2人に軽傷1人だ」

 

「確認させてもらう―――」

 

達也の先導で入ったリビングには、三人ほどの人間が安静状態であった。

 

(重傷なのは、こっちの少年と少女。そして軽傷は、こっちの女性か)

 

一目で確認し終えると、トランクから道具を出しておく。

 

「リーナは、そっちの女の子診て、俺はこっちの少年診るから」

 

『軽傷だろうが、キミも診察を受けておくべきだ。虚勢を張っても意味はない』

 

その言葉で腕を押さえていた女性が観念して、腕を魔法の杖に見せていた。

 

奇々怪々すぎる現象だろうが、それでもダ・ヴィンチの強い言葉にそれを止めたのだろう。

 

「すみませんね。恋人同士のひとときを邪魔してしまって……」

 

「死にそうなヤツがいて、友人が助けてくれというならば、疾く翔けるべきだ。打算だけで付き合うような関係は、友情とは無縁だな」

 

無理やり作った笑み。無理して起き上がろうとする黒髪の少年をそっと押し留めながら、患部、銃創の位置を診る。

 

深い。同時に打ち込まれた『弾』そのものも随分と根が深いものだ。

 

瞳孔観察をする医者のごとく、銃創の位置にペンライトを当てることで魔力の反応などを確認。打ち込まれたものが呪弾で概念武装の類であると確認出来た。

 

「セツナ、コッチの娘は身体に残る弾丸(バレット)七つ(Seven)。穿たれた銃創は、21箇所(Twenty one)

 

「分かった。早めに処置しよう。先ずは外科的処置からだな。ランサー、彼らの身体から『銃弾の摘出』を」

 

「心得ました」

 

こういう時にサーヴァントの並外れた身体感覚は役立つ。

 

景虎ではなく『ランサー』と呼ばれたことで、お虎はすぐさま戦に向かう心構えで細長い針を持つ。

 

本当に細い細い針であり、光の下でなければ見えないものだろう。

 

深雪に湯桶を持ってくるように言う。

 

正面から見る少年―――黒羽文弥は、まさかこんな原始的な治療だとは思わなかったことで、眼を瞑り痛くないように―――と少しの恐怖を覚えていたのだが―――。

 

「―――火縄銃の『弾丸』ですね。これは―――」

 

「ランサー、コッチもオネガイ!」

 

「承知」

 

その言葉で―――身を苛んでいた痛みの大半が取れたことを認識。

 

眼を瞑っていること10秒も無かったはずだが、その間に―――摘出された弾丸15発は文弥の横に転がっていた。

 

「よく頑張ったな文弥。偉いぞ」

 

「た、達也兄さん……」

 

注射を我慢していた子供をあやすかのような従兄の言葉と笑顔に、気恥かしさを覚える。

 

それで何となくそっぽを向くように、横を見ると自分と同じく眼を瞑っていた双子の姉『亜夜子』の身体から、瞬く間に身から弾丸を針で摘出しての作業を見るのだった。

 

血しぶき一つ、肉片一つもない見事な摘出作業は、一流の外科医でも到達するのにどれくらいかかるか分からぬ手際。

 

しかも衛生を考えて、深雪が沸かしたお湯に一回一回着け直すのだから、並大抵の修練ではあるまい。

 

針の輝きたる黄金の輝線と白銀の髪をまとめた姿に、神仏の後光を見たような気がする……。

 

「達也、弾丸から発していた呪いの解呪を行うから―――お前がやってみろ」

 

「俺が?」

 

「コノ子たちはタツヤの親戚なんでしょ? ディスペルに最適なのは、ファミリーの想い(エモーション)だからネ」

 

遠坂刹那とアンジェリーナ・シールズの言葉に、少しだけ安堵する自分がいた。

サポート付きとはいえ、自分が信じている魔法師にやってもらった方が安心するのは、当然なのだから。

 

(気遣ってもらったってことなんだろうな)

 

そう感想を出していたのだが。

 

解呪の際に……。

 

「達也さん。亜夜子に掛けられた呪いを解くために、その力を使って私を白雪姫のように救ってください―――!!」

 

「原典の白雪姫ね。亜夜子さん―――ほりゃあああ!!!」

 

「べぶっ!!」

 

『コラコラ、怪我人なんだから丁重に扱うんだよ。それとミユキ君、キャラを考えた言動を』

 

荒いが、それでもサイオンの『物理的な波動』で亜夜子の呪いは外れたのだから、魔法の杖も強くは言っていない。

 

ユキの方も腕に集中していた呪いを解かれたようで何よりだ。

 

「あとは普通にお前さんの『魔法』で癒やしてやれ。どうしても不安ならば、こっちに塗り薬もあるからな」

 

「パナケアか。助かる」

 

「アナタもだ。その『腕』は仕事道具なんだろ。自愛しておけ」

 

その言葉で、あまり話に加わっていなかったが、それでも気を使われていたユキがぶっきらぼうに拒否してくるも……。

 

「重傷なのは、文弥と亜夜子なんだ。アタシにまで使わなくても―――」

 

その言葉を遮るように、リーナは年上だろうが、ユキこと『榛 有希』の腕を取り、『軟膏』を着けた上でスパークの術式の応用で賦活を果たす。

 

「―――」

 

「ワタシのダーリンの言葉をムダにしないで」

 

その言葉。ユキの眼をみながら力強く言うリーナに気圧されたのか、とりあえず治療を受けるつもりは出来たようだ。

 

―――全員の治療が完了したのはおよそ20分後。

 

起き上がっても異常がないことを確認するのに30秒。

 

そして全員に深雪が淹れたコーヒーが行き渡るまで40秒。

 

リビングのソファーに腰掛けて―――四葉の関係者全員を眼に入れながら口を開く。

 

「さて、話を聞こう―――どんな事件(case.)だ?」

 

その言葉、ロード・エルメロイ2世に通じるものであり、言われた全員が緊張をしてしまうぐらいには『意』を持ったものである……。

 

―――聖夜の事件の解決は、1人の魔術師の手に委ねられたのだ。

 

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