魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~ 作:無淵玄白
あ、あれがもし本当だとしたらば、おひたし熱郎さんの某キャラへの『愛』はどうなるんだー!!きのこ―――!! 武内社長―――!!
……などと思うも、タスクオーナ先生は、どれだけ時が経っても間桐ファミリー大好きだもんなぁ。(爆)
リベンジってそういうことなのか?(驚)
夜風に当たりながら、モードレッド・ブラックモアは瞑想を始める。
瞑想をしていると確かな感触が『内側』に触れてくる。その感触を確かなものとすべく、隣にいるものに話しかける。
「感じるか?」
『間違いねぇ。死体が動いている『ニオイ』だ。そっちには、あの魔法使いのあんちゃんが向かってるみたいだが、どうするよ』
「決まってる―――本丸を叩く! 悪魔だか『吸血鬼』だか知らねぇが、オレの手で全てを終わらせてやる!!」
『ははっ! いい気概だレッド!! 叛逆の騎士の霊媒なだけはあるぜ!!』
夜の東京を見下ろせる位置、夜風と高層であるがゆえの風を嗅ぐ―――死霊と瘴気が混ぜ合わさった風が肌身をひりひりさせる。
間違いなくいる。敵が、尋常の魔法師では対処できぬものが……。
ゆえに、隣にいた大型の犬か狼にも似た
モードレッド・ブラックモアが、高層ビルの屋上から身を投げると同時に、周囲には多くの器物が飛翔してくる。
意思持つドローンのように器物はモードレッドの身体に纏わっていき、明確な形を取る。
身を包むは鎧だ。
その上からマントとして何かの鳥―――どう見ても原生生物にはありえざる羽毛、鳥類系の魔獣のものを束ねて作られた『フェザーマント』が羽織られて、最期には―――狼か悪魔か。どうとも取れる
「飛ばせ! カイゴウ!!」
『オレには違う名前があるんだがね。まぁいい行くぜマスター!! びびんなよ!!』
「いまさらだろ!!」
呼びかけると同時に落下するだけであったモードレッドの身体に姿勢制御の術がかかる。急降下からの上昇。
上に身を転じて、気流を掴むと同時に、戦闘機がエンジンを吹かすように超速で―――目的地に向かうことにした。
―――そして到着した先では、この国の
「レオン!?」
どう見ても衰弱しているように息がか細い男子に呼びかけながらも、いま目の前にて吸血を行う『女』から目は切らない。
―――凶悪だ。こいつは―――。
一瞬で断じる。眼の前の女の『力』の程から、どれだけの人間がその手にかけられ、血を、魂を啜られたかを察した。
『気をつけろレッド! こいつは『上級死徒』のランクだ!!』
「ああ、野良にいる『もどき』とは違いすぎる―――」
「ダメか。この人は、グールになれない―――まぁ足しにはなったかな。それなりに美味しかった――――で、後ろのワイルドな男子はくれないよね?」
「ヨソを当たりやがれ!! ヴァンパイア!!!」
言うや否や、腰に帯刀していた剣を抜き払い、朱雷と共に斬りつける。
距離としては『間合い』ではなかったが、朱雷の『飛ぶ斬撃』は、腕を交差して防御した吸血鬼の衣服の一部を焼きながら身体を飛ばした。
「―――ッ!! 雷とはいったいなー!! けれど、そういうの私の『親』から『嚥下』済みなんだよね!!」
「ほざけっ!!」
草むらを尽く焼き尽くしながら迫るレッドに対して、爪で応じる女。
流石に『上級死徒』の膂力。乱雑な動きながらも一撃一撃が『重すぎる』。素人くさい攻撃だが、あったけのパワーを込めた攻撃にレッドは―――パワーで対抗する。
「このぉっ!!!」
「オラッ!!!」
直線よりも範囲上の攻撃。腕を振り回して『薙ぎ払う』ように、相手を近づけさせない系統の攻撃が多い。
意図してのものではないだろう。ただ単に本能に従ってそうしているだけだ。高速で動き回りながら、木々があちこちで倒壊を果たす。
森林伐採が自然と起こってしまう魔人同士の戦い。
変化が起こる―――。
「せいやっ!!」
掛け声一発。
根本近くで叩き折られた太い木の一本を、投石でもするかのように投げつけてきた。
丸太部分の直径は、レッドを包むぐらいはあるものを、枯葉がない素の枝ごとである。
普通に受ければ、勢いも含めてちょっとした槍衾のような様になるだろう。
だが、モードレッドが選んだのは横に躱すことではない。
全身から魔力放出をすることで、ベクトルを調整―――身を低くして丸太の下の軌道すれすれを通り抜ける。
兜の獣耳部分と幹部分が擦過するが構わずにすり抜け、通り抜けた。
真下に現れたこちらに瞠目する様子。だが構わず足を蹴り上げて、土煙と共に下から上に剣を突き上げた。
「がっ―――!!」
喉笛を突き破る剣、だが……そこで止まる。即座のハイキックで剣を離しながら、吸血鬼を蹴り飛ばす。
勢いで20mは吹っ飛んだが、すぐさま猿のように体制を立て直して、突き破った剣を掴んで『腐食』させ、喉から刃を無くした。
かかる『復元呪詛』。時間の逆行で
「痛かったよ―――いまのは……けれど『カレー』が投げる黒鍵ほどじゃないね」
なんのことやらと思いながら、次なる得物を構える。
先程と同じようなロングソード。だが……。
(通じる気がしねぇな……)
戦いそのものでは負けてはいない。だが、得物の非力さが恨めしい。本当ならば『魔剣』があるはずだが……それは既に―――。
『聖別された『剣』を持ってくるべきだったな』
(今更言っても仕方ねぇ! 最大級の魔力放出で『塵』と『灰』に返してやる!!)
『カイゴウ』からの念話に答えながら、壊れる寸前まで『赤い魔力』を剣に込める。赤いオーラが破壊の魔術となって迸りながら、光柱の剣となったそれを吸血鬼に振るう覚悟。
「おおおおおおお!!!!!」
裂帛の気合のもと振るう剣に対して、爪を振るう吸血鬼。
断、轟、轟、断、断ッ!! 轟ッ!!
音にしてそれが30以上も続いた時に、吸血鬼はこちらの攻撃モーションに対して―――止まった。
フェイントを入れられた形だ。
(やばっ)
轟ッ!! という勢いで首を掴まれた上で持ち上げられる。
こちらが、酸欠に至りそうなぐらいに力強い掴み。
『お嬢に気安く触れるんじゃないぜ。ブラッドガール!!』
その時、
しかし効いてはいない様子。数瞬の攻防。一髪千鈞を引く戦いの最中―――魔力で空中に投げ飛ばされる。
姿勢制御が利かない状態。最悪だ。ガードを発動させようとするも、この死徒相手に―――。
「砕けなさい!!!」
放たれたのは嵐のような拳のラッシュだ。暴嵐の中で成すすべもなく叩かれていく我が身―――が、無かった。
耳に届く音。受ける衝撃。ただ風圧だけがモードレッドを包む。
死徒の攻撃は全て盾によって阻まれていた。
20発目の拳を放った時点で、死徒も気づいた。拳が届いていないという事実に―――。
―――ガロもどき、そこから、あんまり動くなよ。―――
誰が魔戒騎士だ!!!
念話に答えながらも、『盾』の魔術を放ってくれた相手に感謝をしていたのだが、その場に止まって拳を放っていた相手が―――。モードレッドの後ろから突き抜けた槍、剣、剣、槍、鉄球に、女はしこたま叩かれながら吹き飛んでいく。
突き刺さる得物全てに推進力が加わっているらしく、鉄球ですら身体にめり込むようにしながら飛んでいくのだ。
地面に身体を引きずった跡が何メートルも刻まれ、いつまでも晴れぬほどの粉塵の巻き上げ、岩土と共に木々もめくれ上がる。
渋谷の公園が既に廃墟にもなりかねないそれが、ただの原始的な武器の『着弾』だなどと誰に分かろうか。
しかし――――。
「いいなぁ『盾』って……ううん。盾を構えて戦う『騎士さん』が必要なんだよね………」
ボロボロの身体を起き上がらせて、その身を復元させながら呟く言葉は不穏を孕んでいた……。
† † † †
「SHOOT!!」
音声起動で、黒鍵を操ったリーナの攻撃でグールが一掃されると、少しばかり息を吐く。
食屍鬼の数が、ここまで増えるとは思っていなかった。
そして、そのグールの体格や体型がかなりガタイいいものになるだけで、苦労も増える。
「持ち物や生前の身体から察するに、街のギャング崩れだったんでしょうね。カラーギャングとか前時代的なものがいるんですか?」
「まぁいるところにはいるらしいな」
出会ったことがないぐらい絶滅危惧種らしい。それぐらい、街の治安は安定化している。路上での犯罪は即座に検挙されるぐらい『眼』が届いているのだ。
そんな連中が、ここまで死体人形にされるとは……。
「件の上級死徒は、『女』か?……」
「タタリ……ワラキアの夜の大元の現象になりえるのは『男』のはずですけど―――」
「ふむ」
だが、現実的に考えれば、『誘い込まれて』『噛まれて』『死体』。
己の身体を誘蛾灯にして誘い込み、そいつらから血を徴収する……。単純ながら、それが可能なのは『女』だろう。もちろん、ゾッキーども特有の『男同士』の通じ合いならば『ありえる』かもしれないが。
「マァ、今夜もハズレなのね」
「夜ふかしばかりして、なんともなぁ―――」
「待ってください!! シオン師! マイスター・トオサカ、ミス・リーナ!! 強烈な反応を確認しました。ここから北東方向です!!」
ダ・ヴィンチとの連絡役であり『アンテナ役』を担っていたラニからの言葉。この路地裏の住人が起きるのではないかと思うほどの大声であったが、刹那もリーナも感じるものが―――ここから北東。
渋谷の方向に感じたのだ。
魔力針を持つ魔力計―――懐中時計にも似たものが、方向を指し示したのだ。
「跳ぶぞ!! ランサー、お前は『騎馬』で件の場所に迎え!!」
「了解です!! マスター!!」
云うと同時に飛行魔術とエーテライトによる空中移動……立体機動装置じみたもので東京という都市にある木々を用いて、高層ビルの類を駆け上がっていく。
片やランサーは、ライダースーツに身を包ませながら、達也改造の自動二輪―――バイクに跨り公道を駆けていく。
騎乗スキルがあるわけではないが、あれぐらいの機械装置ならば、たやすく操れるとのこと。
要するに現代の知識を与えると同時に、現代に合わせた形で生前の『技能』を調整しているそうだ。
完全に速度超過で走り抜けていくランサーを見送りながら、この区では一番に『高いビル』に登った一同。その中でも刹那は即座に攻撃を開始せんと「眼」を向けた。
「レオが倒れている――――」
森林公園。いまは冬場ゆえの枯れた木々、少しの草むらの中に倒れ込む同級生の姿を見た。
「ど、ドウイウこと!?」
「察するに、干からびた死体―――恐らくあれがデーモン寄生体で、それと応戦していたらば、いま―――鎧騎士と切り結んでいる『JK』が横槍を入れてきた。
そういう感じでしょうね」
「師は、どちらが「吸血鬼」だと思いますか?」
「完全にJKの方です。刹那、あなたの推理が当たりましたね。接続、切ります」
その言葉で、刹那の背中に手を当てて『回路』に接続して、『視覚』を共有していた女子三人が離れた。
名残惜しいわけではない。あまりこちらの強化した視力を見続けていては悪影響が出る。
だが……あの2000年代の女子高生ファッションの少女に『見覚え』があるような気がする。
誰であるかは思い出しにくい。そして刹那の母親の学生時代と姿がフラッシュバックする。
「まずはレオの回復からだな。その後に死徒を狙撃する―――」
「頼りにしてるワヨ♪」
ウインク一つにサムズアップをしてくる恋人に苦笑してから、距離にして5kmは離れている渋谷区の公園。
そこに横たわる西城レオンハルトの周囲に回復用の陣を、剣と魔弾で刻む。弓弦を張り、解き放ち…続々と着弾をしていくとそれらは刻まれた。
土地の霊力。木々が生い茂っているので、そこからの供給をしつつ「ヴィーティング」の術式を構築。
3分もすれば起き上がれるほどには精気と生気、そして傷の回復も済むだろうが―――……。
(目の前にある死体に吸われた『力』をあの吸血鬼に吸い取られたか……)
変な影響が出なければいいのだが、今は確認するすべがない。
「投影・現創―――全投影装填」
言葉で蒼金の弓に思いつく限りの吸血鬼殺しの武器を番える。
……そして魔戒騎士牙○じみた存在を援護したのであった―――。
「容赦ないですね」
どこからか出した巨大な望遠鏡じみたものを用いて、刹那の狙撃をスポッターとして観測したシオンが呟くも、刹那としては不満だ。
「再生の速度が速い―――赤月はおろか満月ですらないのに……」
空に浮かぶ輝く月の形は三日月。形は鋭いが幽き光のもとでは、奴らの復元呪詛はそれなりに劣るはずだが。
(啜られた魂血の量が知れる……ヒト蛭め―――)
毒づきながらダ・ヴィンチからの通信を待つ―――期待した声は、すぐさま聞こえてきた。
『波長パターンは取れたぞ。次はマーカーを打ち込んでやれ―――どうせ溶けるだろうけど』
そう思って探知の『刃』でも突き刺そうとした瞬間、盛大な『魔霧』を発生させて消え去っていく。
逃走―――。熱量も伴う強烈な『閃光弾』も同然のそれが、こちらの『センサー』すらも騙して、逃げ去った。
「……なんとも締まらないが、敵の姿は捕捉できた」
「イマはそれでいいの?」
「良くはない。良くはないんだが―――」
サイレンを鳴らしパトランプを光らせながら集まりつつある警察車両の数。フルフェイスの兜を着けた『騎士』もまた逃走を開始―――。
「これ以上は、マズイんだよな」
「協力を願うべきなんでしょうが、簡単に明かせるものではないですね」
状況の一つ一つが蜘蛛の糸のように絡んできて、こちらを想うように動かせてくれない。
全戦力を即時投入して殲滅を測れない。何より一番、刹那が恐れているのは―――。
「―――」
自分の親しい人間を殺さなければならなくなった時に、刃を向けられるか―――それがリーナであった時が怖いのだ……。
「撤退だ。ランサー」
遠くにいるランサー・長尾景虎から少しだけ『間』を置いた返答が響き、今夜はそれで終いとなった。
「明日の気が重いわね……」
「全くだ」
とりあえずレオの病状を確認しなければいけないだろう。
リーナから気落ちした声を聴きながら申し訳ない想いをしつつ――――。
見上げた月。
三日月の形でも――――。
―――こんやはこんなにも つきが、きれい――――だ――――。
そしてこれを書き終えて一分後のCM
ど、どうなるんだってばよ!?
ただそれだけだ。CMから読み取れる限りでは遂にマシュがバスターを手に入れて『マッシュマン』に
うん。すげぇなブラッ〇バレル。
という感じで―――楽しみだ―!!
全国が自粛ムードで不謹慎かもしれないが、全能の絶望を打ち崩すことは、銃神もやったことだからな。
打ち勝つとはそういうことなんだよな。