魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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第233話『夜が明けて……Ⅳ』

 

 ……明らかにスプラッター極まる映像は、画像加工やモザイク処理などもされていない強烈なものであり、室内に集められた人間に苦い顔をさせていた。

 ゆえに途中で再生は停止されて、あとは各人でほしいならばコピーをどうぞ。ということになった。

 

「死徒……確かにその力は脅威だ。画面の中での様子だと対策などあるのか?」

 

 十文字の唸るような声は当然だ。

 

 実際、実験施設・基地にはスターズではないものの、先鋭の魔法師部隊が存在していた。

 映像の中にいた連中を見る限りでは、一部のスキルではスターズにも優るかもしれない連中だった。しかし、殺傷ランクAもの現代魔法を見事に手早く起動して迎撃するも、分子ディバイダーで切り裂こうとするも、それら全てが無為に帰していたのだから。

 

「人理がどれぐらい『脈動』しているかにもよる。だが、基本的な法則(ルール)として覚えておいてもらいたいのが―――

 英霊とは人類史を肯定するモノ。人間世界の秩序を護るもの。

 彼ら死徒は人類史を否定するモノ。人間世界のルールを汚すためにあるもの。

 そういった前提条件があるんだ」

 

 人理という言葉は刹那の授業でも何度か出てきたが、かいつまんで言えば人がどれだけの発展をしているかによる指標みたいなものだ。

 だが、それ以外の意味もあるのではないかという疑念もあるのだが、達也的にはとりあえずダ・ヴィンチの言葉を黙って聞いておくのだ。

 

「人が作りし宝具、あるいは神が人の為に用意した宝具の加護を、彼らは否定する事ができる。神が神の為に作った宝具……君たちの言う所のレリックでも、使うのが人ないし魔法師では、どうやっても相性の悪さが出てしまう」

「けれどあの時、エリカの……「あの剣」は何なんだ?」

 

 吸血鬼が使役する使い魔(?)らしき女騎士を切り裂いたエリカの剣は、どういう理屈だったのかである。

 

「いや、アタシに聞かれても、それが聞きたくて、ここに来たんだし」

 

 疑問が口を衝くカタチだったが、さらなる疑問が出てくるのだった。

 

「それに関しては、後で説明しよう。ただ、あの場では高レベルの聖人の加護をレティシアが発して、吸血鬼のルールに対して『否定』をしていたからという不確定要素がある」

 

 その言葉に対して、別の席にいたレティシアが懐から『御子の十字架』を見せて示すのだった。面白がるようなその顔になんとも言えぬ気持ちになりながらも、ダ・ヴィンチの説明は続く。

 

「ある程度の位階(ランク)に達した死徒には、聖別された専用の武器を使うか……特殊な魔眼や獣化の『特異点』持ち、あるいは純粋に高位の魔術師でも無い限りは対処できない……そして何より、これが重要なんだが、ズバリ言えば死徒との戦いにおいて、君たち―――特に現代魔法師の大半は役に立たない」

 

 その言葉に顔を顰めて、眉を潜めるのは―――十文字、七草、司波兄妹、千葉といったところだ。(光井は気絶中)

 

「それは何故ですか……?」

「信仰心の欠如、神や高次の存在に対する『尊崇』の念を持てない存在では、どうしても行いに『尊さ』が無い……自らの力のみを頼みにする限りは、彼らに刃一つ届かないんだ」

 

 深雪の問いかけに対して冷然と答えるダ・ヴィンチ。

 芸術史に残る世紀の大作、芸術に造詣がない人間であれど、何かで誰もが一度は見たことがある宗教画の傑作『最後の晩餐』を描いたのは、この御仁なのだと達也は気付いた。

 

「だが、そんな言葉だけでは君たちも納得は出来ないだろう……だからこそ、そこの少年少女たちは、夜な夜なグール殺しに徘徊していたんだからね」

「秘密主義がすぎるだろ……グールってことは―――」

「当然、灰は灰に。塵は塵に。だ」

 

 達也の言葉に呆気ない『殺人の告白』をする刹那に、『訳知り』などを除けば色々な感情が渦巻く。グールというものの脅威判定が既に終わっている十師族の2人や、留学生たちはともかく……。

 

「……治すことは無理なの?」

 

「自意識を持つにいたるまで待てば、あとは輸血でもすれば、と言いたいですが―――その前に人喰いの化け物としての衝動を抑えきれませんよ。家の腕自慢の筋肉自慢辺りが圧倒されたのでは?」

 

 真由美の言葉に返す刹那。実際、そういった報告は受けていた。今の所、吸血行為をされて『同属』になった人間はいないが……。

 

「国防陸軍で腕利きの壊し屋であった名倉殿が、体術で遅れを取ったのだ。遠坂の対応が間違いであったわけではない―――そして、俺達は八王子クライシスで、そんな連中を殺してきたんだぞ、真由美?」

 

「あの時は、色々とエキサイトしていた上に、おまけに吸血行為なんてなかったじゃない……」

 

「そう言われれば否定は出来ないな……」

 

 諭そうとして逆に言いくるめられる十文字先輩に、男としての悲哀を感じてしまう。

 

「……何か、手段はないのか?」

 

 一縷の希望を抱いて刹那に問う十文字先輩だが、刹那の返答は望んだものではなかった。

 

「先程言ったように、『英霊の宝具』を『ヒト』の身で振るったとして、有効な手にはなりません。その身に神性……神からの加護を受けた身でなければ、魔力の籠もった武器で攻撃したところで死徒にダメージはありません。

 彼らには復元呪詛という時間逆行現象があり、例え物理的に腕を切り落とされても即座に回復をしてしまいますから」

 

 その言葉に、八王子クライシスのゾンビ女を思い出す面々。腕を切り飛ばして新たな腕を構築していた様に怖気を思い出した。

 

「……刹那、死徒には十字教の『唯一神』の加護だけが有効なのかい?」

 

「いや、そんなことはない。インド神話の軍神でも、仏教八部衆なんかの加護でも構わない。どんな土地でも、そういう人喰いの怪物を調伏するのは神の加護を得た存在という『セオリー』が存在しているからな」

 

 幹比古の言葉に明朗に答える刹那。いつぞや話した『神話の類形性』(アーキタイプ)というやつは、転じて全ての土地で破邪・破魔を可能とするのだろう。

 

「さて、ここまで話しといて何ですが……この件の一切合切から手を引くべきです。最初に警告しておくべきでしたが、レオが狙われたことで、もはや事態は退っ引きならないものになっています」

 

 それは刹那なりの優しさなのだろう。

 魔導の修羅巷に誰よりも身を置いて、その度に地獄に入場を拒否されてきた男は心底の危険性をこの場で訴えた……。

 

 握りしめる手―――長い袖越しでも見えてしまう両腕の刻印が自動発現しているのは、恐らく……。刹那の呪文が紡がれる……。

 

「あなた方が吸血鬼になれば、それを処分するのは俺だ。俺に―――『これ以上』、友人・仲間・先達を殺させないでくれ」

「けど刹那くん……」

「仰っしゃりたいことは分かります。まずは家の当主に判断を仰ぐべきです。こんな映像を見れば、いくら何でもあなた方を危険に晒そうとは思えないでしょ?」

 

 真由美の言葉に手で制してから、コレ以上の介入に関してのジャッジは親御に任せるべきだ。として行動を封じてきた。

 

 それがUSNAへの賠償などになったとしても、この件に関わる以上、刹那の魔術師としての判断は違えるわけにはいかない。

 

(第一、儀式の『結末』に至るまで、確かなカタチでの『決戦の日』を定められないなど悪夢でしかない……)

 

 そして『タタリ』の駆動式が『何』を目指したものかは、目下調査中。

 どちらの『死徒』が完成形にいたっても……この東京に惨劇が広がる……。

 

「にしても、なんでUSNAで『招来』された存在が、海を渡ってまで東京でそんなことを……?」

「それは俺も疑問に想っている……」

 

 あの吸血鬼三人娘の意思決定には、主導的なところはVシオンが担っているのだが、最終的には『弓塚さつき』の意思を『尊重』しているように見えた。

 関係性としては……まぁ百合百合しいものが見えるのだった。肘を突きながら考えるに、情報が足りなさすぎる……。

 

 それは能力値的な面ではなく情実的な事実確認。

 そもそも村で『観測』していた『院長』が、何故にそんなトチ狂ったことに及んだのか……。

 

(タタリを成そうとしている方を捕らえるなり出来ればいいんだがな)

 

 それは即ち、魔法師ないし人間に取り憑くという前提条件がなければ成されぬ事実。

 如何に利己的でエゴイズム丸出しの魔術師である(と自称している)刹那でも、それを積極的に行おうとは思えない。

 

「―――最後の確認なんだけど、シオンさんは、自分の所属するところから流出した機器で起こったタタリの解決ね?」

 

 目線をシオンにまっすぐ向けて口を開いた真由美に、うなずくシオン。その姿勢に乱れはない。

 

「そしてレティシアさんは、ある種の啓示?を受けて、死徒退治に留学にやってきた、と?」

「ニホンのポップカルチャーにも興味はありますけどね。目指せサバフェス(?)の壁サークル!!」

 

 この場には似つかわしくない明るい声を上げる大統領子女に対して、同じ令嬢として何か思うところはあるのだろうか、真由美は微妙な表情をしていた。

 だが、それはすぐさま失われて、最後の問いがモードレッドに向けられる。

 

「アタシの目的ならば至極単純。セツナにエクスカリバー鍛えて打って欲しい。それだけですよ」

 

 そのことは留学初日に公言していた通りだ。肉食獣のような笑みを浮かべて、その為ならば吸血鬼狩りに従事しているというレッドに、魔法師の上層は疑問のようだ。

 

「政府や魔法師協会に対して箝口令などを布いていたんだがな……遠坂の『必殺技』に関しては、何処で知ったんだ?」

「情報の出処を教えるスパイがいるとお思いか、 ロード・クロス(十文字)?」

 

 ちょっとカッコいい(あざな)で呼ばれて頬を緩ませる克人先輩に、即座に物理的ツッコミを入れる真由美先輩。

 答えは足を組んで椅子に座っているレッドだけが知る。だが、信頼関係構築のためか、結局レッドは口を開くことにした。

 

「日本の魔法協会は機密を守るのに適した組織ではないんですよ。歴史が浅すぎてね。違法建築物と同じで思わぬ『穴』が開いているわけですよ」

 

「むぅ……普通は逆ではないのかな?」

 

 ロード・クロス(十文字克人)の言葉に首を振ってから、再び説明を続けるレッド。

 

「例えば、中国の幇会や香港の三合会を考えれば分かります。あの手の伝統ある犯罪シンジケートは、その長い歴史ゆえに鉄の結束を誇り、その独特の嗅覚で巧みに異分子を嗅ぎ分ける―――それ故に、西欧人たちは牙城を切り崩すよりも、『取り込むこと』を選んだんですよ」

 

 いつもどちらかと言えば、エイミィと一緒になって騒ぐタイプのモードレッドからこんな『学のある発言』を聞くと、『モヤッと』した気分になってしまう。

 

 だが、そこまで言えば情報の『出処』も自ずと知れた。

日本の近代化に尽力した維新十傑も関わりが長くあり、第二次大戦後の日本の政治家にも影響力を持ち続けた存在……現代に生きるコングロマリット。

 

「―――ジャーディン・マセソン商会か」

「正解だ。セツナ」

 

 意外な名前が出てきたことで瞠目する一同。

 

 まさか魔法関連の団体や組織を予想していただけに、その名前はあまりにも意外だったようだ。(達也ですら驚いた顔をしていた)

 結局のところ、魔法協会の前身が政府主導の研究所由来である以上、そこの組織構造には、政府筋で出てきた『出資者』の根が入り込むものだ。

 

 如何に政府筋が入り込ませないようにとしても、そもそも今生きている有力政治家の中に、ジャーディン・マセソンなどのグローバルカンパニーと繋がりを持たずにいられる人間はいない。

 

 いるとしたらば、それは本当に生え抜きの実力者だろうが……。

 

(末は田中角栄ほどに『やり返される』可能性もあるからなぁ……)

 

 切れすぎる刃はいずれヒトから嫌われるものだ。その切っ先が誰に向くかわからないのだから。

 

「英国政府の意向・意図は、基本的に『イナカモノ』のアタシには分からないが、このニホンの魔法事情を色々と気にしている。それ故に、『商売相手』からその手の情報が上がってくるらしい」

 

 一般的に魔法師というのは、通常の経済活動における役割を担っていないと思われがちだが、魔法師とて人間であることは当然なわけで、様々な『つながり』から、そういった『痕跡』は残ってしまう。

 同じ十師族でも財力に違いがありすぎる家もあるとか。

 そうであるならば、恐らくだが、市原鈴音プレゼンの核融合エネルギー炉の情報も、事前に察していたのかも知れない。

 

 ジャーディン・マセソンやロックフェラーなど古豪の財閥の歴史と財力というのは、この時代においても衰えず、その影響力と情報収集能力は、魔法師などのように電子機器による盗聴だけで事足りると想っている輩には追随出来るものではない。

 

 彼らは廊下で一言二言話しただけで、符牒を見抜き、地球の裏側にいる『上流階級』の私的な買い物の情報だけでも多くのことを察する……。

 

 わずか30分前のそれですら……情報の網の目を張り巡らしているのだ。

 

「人の世はどこかしら繋がっている。隠そうとしても隠しきれない痕跡が、全てを物語るんだよ」

「お前の口ぶりだと、英国は魔法が上達する『アヘン』でも大亜の軍閥に売りつけたいように聞こえるんだがな」

「笑えん冗談だ」

 

 内戦状態になっている大亜の状況では、そういった思惑も見えてくるとした刹那の言葉に憤慨するロード・クロス。

 これで話は打ち切りかと想っていた矢先、モードレッドは更に踏み込んできた……。

 

「麻薬なんざクソ喰らえだ。……しかし―――魔法が上達する『物品』に関しちゃ興味がある。

 我が英国にある『白竜の遺骸』から出土する『呪体』、一枚噛ませろやセツナ。今までの『盗掘』に関しちゃお目溢ししてやっからよ♪」

 

 猫、もしくは子獅子を思わせる犬歯を見せた笑顔の下、放たれる言葉は―――イメージするならば……。

 

 時速160kmの豪速球で刹那が振った木製バットを粉々にした瞬間であった―――。

 

 ・

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 ・

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「どっと疲れたぞ……」

 

「ナンカ前にも言っていたような気がするワ」

 

 そうだね。あのブリティッシュヤンキー娘が初日にやってきた時にも、こんな感じだったことを思い出す。

 

「ネゴシエーションとしては、これ以上無いぐらいに『正道』だからな。くそぅ。悪いことはそうそう出来ないってことかぁ……」

 

「マァ、それはアナタの経験上、シカタナイわよ。だからこそ―――イロイロと教えたのでしょう?」

 

「……限界だったんだよな。うん、独り占めしようとまではいかないが、本当に『アルビオン』に潜るのは『ギャンブル』なんだ。なるたけスキップ(省略)出来るところはしといて、舗装しておきたかったんだがな」

 

 そんな刹那のため息まじりの言葉に、微笑を添えながらリーナは刹那の顔を見ている。

 

 そんなに面白い顔をしているだろうか? そう思いながらも、目下の問題はアルビオンじゃない、死徒に関してだと切り替える。

 

「レッドによって少し場は荒らされたが、殆どの家は脅威判定を上げたようだな」

「夫への電話を取り次ぐ、古き良きニホンのリョウサイケンボ(良妻賢母)の気分でした♪」

 

 ヴィジホンが何度も鳴り響いた我が家の数時間前の様子は、そんな感じだったが、全ての家に出向くのは不可能なので……。

 

「一、二日ほど様子を見てください。手負いの獣ほど怖いものはありませんので、身の保証は出来ません」

 

 リーナから代わって出ると、最後にはそんな言葉で、とりあえず打ち切りとしておいた。

 

 金曜日の戦闘の様子も映像で提出済みだ。これを見てそれでも立ち上がるようならば、仕方あるまい。

 

「座長は他に任せるとしても対応策を授けるようだろ」

 

「ホント、お人好しというか大風呂敷(オオブロシキ)オトコといえば良いのか……」

 

「死徒を滅するには、どうしても『周期』ってのが鍵になる。満月・赤月が浮かぶ日には、教会の代行者とて狩り出しを控えるほどだ。そういうのを全てひっくり返せるものは……」

 

「白い吸血姫と退魔の純血のみ―――」

 

 リーナの言葉に頷き、考えてみるに、『あの村』でよく俺は生きていたものだと思う。

 そして、あの時とは状況も居並ぶ連中も格段に見劣りする。

 

「暫くは、ランサーに斥候を任せる……その間に、俺達は何としても敵の正体を掴む」

 

『やれやれ。まぁこれが本来のサーヴァント運用の基本ですけどね。何というか味気がない』

 

「お前が弓塚女史との関係を素直に吐いてくれれば何も言わんよ。それと最低限のポーズは必要だ。最大級の戦力を運用していなければ、『うるさいの』が多いんだからな」

 

 聞こえてきた念話の主は、現在―――都内のどこかで霊体化をして、街を彷徨うグールを見つけ出し、狩り出している。

 

 そう命じた時に、苦笑と共に……。

 

『さつきの事を滅するには、私自身少し『覚悟』が必要です。だから―――その間、彼女の『ツケ』は私が払いましょう。私こそが『彼女の抑止力』とならなければならない。マスター刹那、私の我儘をお許しください』

 

 眼を伏せて、そのままに霊体化で去ったランサー。

 

 その顔は―――

 

「笑っていたわよね……」

 

「ああ、嗤っていた……」

 

 言ってからハニーミルクと紅茶を啜る夫婦。

 

 結局の所……軍神『長尾景虎』にとって、弓塚さつきに対する悲しい想いはあるのだが……。

 それ以上に後顧の憂いなく『人斬り』が出来ることが嬉しいのかもしれない。

 

 お互いに青い顔をして、あの虎を街に解き放って大丈夫だろうか?と今更ながら考えるも―――

 

「あっ。エリカの剣に関して説明するの忘れていた」

 

 本当に今更なことを思い出すのだった……。

 

 その頃の千葉道場では……。

 

 

「結局、アタシのこの剣は何なんだ―――!?」

 

「どわあああ!!! エリカ、そんな力任せに剣を振るなんて教えた覚えは、というかめっちゃ重い!!! 沈む! 沈む!! 和兄貴!! いまこそ秘奥義たる兄弟拳バイ○ロッサーモードで、 大地のエネルギーを引き出して助けてくれ!!」

 

「お前のほうが宇宙のミラクルパワーとか、納得いかない……」

 

 言いながらも警官の長男はすくっと大地に立って、軍人の次男は魔法で宙に舞う。

 

 双剣双侠が、魔刀太后の気を鎮めるべく間合いを取って剣を構える……。

 

 そんな様子を見て、招かれた客人である女性は―――。

 

「ご兄妹、仲がいいですね」

 

「「「いつもこんなんじゃないです」」」

 

 力いっぱい手を振って否定する三兄妹を見て、やっぱり仲が良いと内心でのみ感想を出す。

 

 いつの間に淹れられていたのか分からぬ熱いお茶を飲む藤林響子は、この東京で行われている事変に彼らも関わるのかと考えを巡らすのだった……。

 

 

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