魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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いやー躍動する運命ですなー。

モルガンもリファインされるのだろうか?  色々と考えられるop映像でしたねー。

というわけで続きは書いているのですが、ちょいとテンポを考えて途中うpということにしておきます。


第239話『Farce/melty blood‐2』

(この程度の魔術式ならば、感づかれずに『儀式』を遂行することも出来よう―――だが、それでは完璧な『情報再現』には成り立たぬ)

 

(然り、我らが目的には確固たる『情報』が必要だ。知る者・知ろうとする者・知らぬが知ってしまった者……)

 

(多くの情報があってこそ、我らは真なる意味で『タタリ』を実行できる―――真祖の姫は望むことは出来ずとも……最良の体を手に入れることは出来る―――狙うは……)

 

 

 ―――魔宝使い。その記憶(レコード)の中にあるもの―――。

 

 マクシミリアンという『魔道具』企業の社員の体を乗っ取った霊体たちは、遂に己の真の姿に『孵る』ことを望みだす。

 

 それは、『第■法』への再びの―――……。

 

 混乱の第一歩は、やってきた2人の教諭の血を―――、啜ることは簡単では無さそうだ。

 

 やってきた男女……とは明確に言えないものを感じる教諭たちは、こちらを確認するやいなや警戒心を出してきたのだ。

 

「おや? キミたちは―――ははぁ、そういう事か。まぁ悪くはない手だったね。ウチの坊やに人知れず接触を果たすならば、その『擬態』は悪くない」

 

 ニヤリとでも言うべき擬音が着きそうな笑みを浮かべる女(?)の教諭は、こちらの狙いの大半を看破してきた。

 

 面白がりとでもいうべき言動に汗をかかざるをえない。

 

「……成程、狙いは『刹那』及び『この学校に蔓延する噂』―――雑な一手を打ったもんだね。血飲鬼」

 

 受けて男の教諭も、全てを納得して―――戦闘態勢に入った様子。

 

 表向きの出迎えである教師2人の正体は何であるかは分からないが、あまりにも高すぎる『霊格』に唯者ではないことを察して―――。

 

(((ここで始める!! 周囲の同胞たちにも連絡を飛ばすぞ!!)))

 

 三人が同一の思考を果たしたあとには、同じく三人が同時に『悪性情報の塊』を叩き出すことで―――開戦のゴングとなるのだった……。

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 ・

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 達也は食事を済ませた後、校舎の屋上に来ていた。

 昨日の雫への連絡の関係で、達也・深雪・ほのかの三人のランチだった。

 別にエリカや退院を果たしたレオの快気祝いをハブにしたかったわけではないが、その快気祝いになるはずの『料理』が無いことで、それは次の機会に持ち越された。

 

 そんなこんなの『彼氏彼女の事情』で傍から見れば、両手に花だ。

 いや、実質面でも両手に花だ。何せ、深雪もほのかも達也に対する好意を隠そうとしないのだから。

 隠す気が無いのではなく、隠すというアイデア自体が彼女たちには無いように見えた。

 無理のないことかもしれないが、周りからチラチラと向けられる視線が、達也の鋼の心臓をもってしても、居心地悪過ぎた。

 という訳で、食堂から逃げてきたのである。 第一高校主校舎の屋上はちょっとした空中庭園になっていて、瀟洒なベンチも置かれた校内の人気スポットになっている。

 だが真冬のこの時期に、屋外の吹きさらしのこの場所で過ごす猛者はほとんどいない。

 

 だが、いまはこの寒さが何より有り難かった……。

 

 両手に花でも暖かさは一つも無い。本来ならば寒気をシャットアウトするはずの深雪の魔法も中断された。

 

 つまりは深雪も驚いていたのだ……。

 

 雫からほのかに送られた画像。幾つもあるそれは、あのダラスの空軍基地騒動……事の発端の写真。多くの職員や軍人たちが中での殺撃で逃げ惑う中での画像データの全て、ドローンや基地内・外部のカメラに侵入してか撮影されていたもの。

 

 出処は雫の留学先の「男友達」から。

 

(そいつがどうやって、これを手に入れたかは分からないが、最大級のバッドニュースじゃないかな?)

 

 メタリックな衣装? それとも体皮?とでも言えばいいものに身を包んだ銀髪の美女……その姿を達也も深雪もよくご存知だった……。

 

 (ソラ)を見上げる金色に輝く目からは涙が一筋―――。

 

 引き伸ばされた画像は、鮮明なものだ。2090年代の動画及び静止画撮影技術は、この女性の表情を鮮明にしていた。

 

「ありがとうほのか。雫からの内緒話を教えてくれて」

 

「いいえ、達也さんのお役に立てたならば、最初は雫も渋っていたけれど、許可はいただきましたから」

 

 パタパタと赤い顔で手を振って否定してくるほのか。だが人の秘密を暴き知ったという苦さは忘れてはならない。

 

「けれど、雫にこんな機密も同然の画像を寄越すだなんて、その男友達って雫に気があるのかしら?」

 

「そうなのよ深雪!! 聞いてみると、かなりアプローチされているみたい!!」

 

 男一人を境にして恋バナをして欲しくないのだが、そういう抗議を込めて、きゃっきゃと騒ぐ2人の間で紙パックのホットコーヒーを飲む達也。

 

 ―――達也が屋上で飲むコーヒーは苦い。

 

「ほのかは、雫が刹那に懸想しているのは、良くないと思っているのか?」

 

 不意に、その恋バナの盛り上がり具合に水を差すように達也は質問をした。決して、2人を嫌気したわけではないのだが。

 

「中々にストレートな質問ですね達也さん……」

「ただの興味だけど」

 

 たじろいだ顔をしてから表情を改めるほのかだが、答えはどうやら決まっているようだ。

 

「私は、雫に脈があるならば、それでもいいと想っているんですよ。けど刹那くんって……雫に『触れよう』とはしないじゃないですか、他の面子と比べても『線を引いている』とでも言えばいいのか」

 

 そう言われると確かに否定できないところはある。

 だが、その理由を達也は良く知っている。

 

 魔術師として生きるならば、人としての幸せなど求めるな。

 そういう訓告をよく聞いてきた以上に、刹那は他人の『家族』を気にする。

 

 それは彼が、そういう生き方を実践することの他に……自分が異端であり、他者の人生を歪めてしまうということも理解しているからだ。

 

 もちろん、それを徹底するならば、刹那は例えここ(一高)に居たとしても、他人に深く関わらず隠棲するようにしていれば良かった。

 たとえUSNAからの依頼があったとしても、それをリーナに任せて裏方にいることも出来なくは無かったはず。

 

 そこは置いておく。

 

 としても……刹那は両親を既に亡くしている。

 

 人と関わり合う時点で、もしも気持ち……懸想されていると分かれば、刹那はその気持ちに素直には答えられない。

 

 どうしても、『相手の家族』のことを慮る。

 

 どうあっても幸せな家族が妬ましくて、その上で自分の修羅道に巻き込みたくないと思う心情の持ち主なのだ。

 そういったことを雫からも聞いていたほのかは頷きながら答える。

 

「うん。私が言えた義理じゃないんだけど、やっぱり紅音さん……雫のお母さんの言う通り、あまり刹那君と関わることは良くないと思うんだよ。

 男女のもつれもそうだけど、経歴(PD)の異質さがね……」

 

『そういう事』ならばオレもそうだろうな。と達也は内心で嘆息してから北山夫人は、自分がほのかに近いことを『善き』とは想っていないだろう。そう感じるのだった。

 

「……お兄様はどう想いますか?」

 

「―――分からないな……『刹那』の立場に立てば、雫の家族を心配させたくないから、そういった風に『線引き』をしていることは理解できる。

 逆に『雫』の立場に立てば、他の連中にあれこれ言われるのは不愉快。

 個人的には……アイツはもう少し人と深く関わるべきだと想うけどな」

 

 魔術師としての『ジレンマ』も理解できる。

 人としての『幸せ』よりも希求すべき理想を知っている。

 だが、雫と恋仲になれはせずとも、もう少し自分(刹那)を知ってもらわなければ―――彼女は、あきらめも着けられないのだろう。

 刹那が理解すべきことは、人の心はそう単純ではないということ、だ。

 

(俺も分かっていなかった組だからな。お前も、そういうことを理解してくれれば―――)

 

 その時。

 

 びくんっ。 

 

 世界が。 

 震えた。

 

 

 そんな表現でしか言い表せないものが、達也と深雪に駆け巡った瞬間。ついで肌身を突き刺す不快感が、全身を苛む。

 

「深雪? 達也さん? どうかしました?」

 

(ほのかは、先刻(さきほど)の『震え』を感じなかったのか?……)

 

 心配してこちらの顔を見上げてくるほのかに、『なんでも無い』としながらも原因を探る達也。

 

 魔法師全てが持つ『知覚領域』に対する干渉ではないのか? 疑問は突きないが、それでも次いで噴水のごとく立ち上る『エーテル』の柱……恐らく良くない『陰性の魔力』が、校内の一点から出てきたのだ。

 

「お兄様!!」

 

 妹からの呼びかけに答える暇もなく、紛れもないタタリの魔力波動(ウェイブ)を捉えて、それの排除に動き出すのだった。

 屋上の柵を乗り越えて、そのままに飛行魔法を発動。

 だが、その飛行は開発者である達也ですら思いもよらぬことで、安定したものとは言えなくなっていた。

 タタリの波動が、本来ならば固定された事象であるはずの飛行魔法に過干渉を果たして、飛行を不安定なものにしようとする。

 

 言うなれば、上空に上げた凧が糸で以て安定させようとしても、不意の風で煽られて滞空出来なくなっているようなものだ。

 

 あまりにも強烈な魔力の波動(かぜ)は、現代魔法の理を捻じ曲げ、達也の飛行を煽り、やむを得ず安全装置を発動。然程の飛行ではなかったが、とりあえず距離を稼ぐことは出来た。

 

 大地に足を付けると同時に駆け出す。向かった場所は、学外から訪れる来客ないし、関係者を迎える通用門。

 

 中でも今日はCADメーカー『マクシミリアン・デバイス』の社員たちが来訪するはずだったなと思い出し、向かった場所では―――ダ・ヴィンチとロマンの2人が立ち回っていた。

 

 スーツ姿と作業着姿の人間たちが、2人を襲っていたのだ。

 

「先生!!」

 

 呼びかけるも、どうやら戦闘に集中していて、視線だけが一度だけ達也に向けられたが、通用口……資材搬入棟での戦いは壮絶なものである。

 

 見えるだけで10名……13名いるマクシミリアンの社員全てが、タタリ・パラサイトに身を侵されていたのだ。

 

「お兄様! まさかこの方たち全てが!?」

「タタリの宿主だ」

 

 いつの間にか追いついてきた背後の深雪に答えながら、持ち出している(CAD)を向ける。

 

 宿主である生身の肉体をふっ飛ばしても、自由な霊体が出来上がるだけだ。

 

 しかし、肉体に囚われている内は、肉体的な行動に限定される。

 

(痛覚はあるか? 吸血鬼―――)

 

 13鬼もの吸血鬼全てにターゲッティングは出来ないが、放たれる魔弾。神秘解体の魔法が、向かってくる中年の作業着の腕を吹き飛ばす。

 

 塵以下の原子に帰ったはずのそれが―――瞬く間に再生を果たす。

 

「「復元呪詛!?」」

 

 考える間もなく死徒崩れは達也に襲いかかる。

 

 双手の五指全てが鋭利な刃物も同然に振るわれて、制服の上着が切り裂かれた。

 

 寸前で躱したとしても、黒い爪痕のようなものが飛んできて達也に痛みを与える。

 

「カット!! リプレイ!!」

「―――!!」

 

 攻撃はまだ続く。死徒の攻撃というのは、あの路地裏にでも住んでいそうな連中で既知で、刹那の記憶でも存じていたが……。

 

「爪の一撃が、攻防一体の(アーツ)になるか」

 

 ズガガガッ!! 削岩機のような音で大地が削られていき、吹っ飛ぶコンクリート塊が目の前を圧倒する。

 

 全てを分解することで前面をクリアに出来たが、そこに突っ込んでくる吸血鬼2鬼。

 

「無礼な!」

 

 相手を凍結させる魔法を解き放つ深雪。凍気と冷気の混合が場を圧倒するが―――。

 

「貧弱貧弱貧弱ッ!!」

 

「もはや貴様らの魔導の(うつわ)は知れた!!」

 

「飛び散って果てろ!!」

 

 随分と感情豊かになったものだ。これが今まで、あの路地裏の三人娘(18歳以上)たちに必要以上に怯えていた連中と同じとは思えぬ。

 

 言葉だけでなく攻撃手段もかなり強烈だ。

 

 搬入された資材トラックから出てくる貴重なCAD関係の機器を、鈍器として振るってくる。

 

 機器とはいったが、その殆どは大型の筐体の部品であり、そんなものを小型の鈍器かナイフのように扱ってくるので、非常に恐ろしい『現実』だ。

 

 通常、大型の武器は一撃必殺か後の先を狙うものだが、不死者の膂力と技量は、両手持ちの大型鈍器(CAD機器)に、ナイフ並みの交戦点を与えていた。

 強大な質量にモーメントを上乗せし、その運動エネルギー自体を破壊力とするドンキーヴァンパイアは、その特性をフルに生かすべく、まるでそのスピードを落とさない。

 

「深雪、下がれ!!」

「は、はい!!」

 

 凍結の冷気術が意味を成さなかった時点で、深雪を下がらせることを決意。

 

 ソレ以上に、そんな風な眼の前で暴れまわる怪物に恐怖を覚えていたことを察した。

 

 自分とて、こんな現実は認めたくない。こいつらの膂力は全て天然自然のもの。魔力的な強化もなしにこれだけの身体能力を得られるなど、サーヴァント以上に認めたくない現実だ。

 

 だが―――。

 

「!!!」

 

「はっ! 面白い術を使うものだ!! しかし所詮は手妻(てじな)程度だな!!」

 

 機器を分解する達也は、その後に体で吸血鬼に挑みかかる。

 応じて爪が迫る。恐ろしいほどの速度だ。

 

 一般的な肉体の合理的な使い方ではない。『手打ち』でも、これだけのことが出来る事実に恐ろしさを覚える。

 

 肌を擦過した真っすぐ伸びた爪。黒い魔力の爪痕が達也を切り刻む。完全な致命傷。

 

 だが―――。

 

 懐に飛び込んで銃口を心臓に押し付ける。同時に立ち上がる光の刃。

 

 夏休みに開発していた『バリオンの刃』が、杭打ちのように吸血鬼の心臓を消滅させた。

 

「―――!」

 

 至近で放出された陽電子の力場で己の身も無事では済まないが、くの字に折れた体が吹っ飛びながら急速に灰に帰っていく。

 

「―――」

 

 己の体の復元を―――と思ったときには、残りの2鬼が危険度を上げたのか挑みかかる。

 

「爪で斬りかかるのは、どうやら危険なようだな……」

「ならば魔術・超抜能力でやるのみだ」

 

 血塗れになった達也に対して呟く中年と青年の姿の吸血鬼。

 

 何度でもやってやる―――その意思でいた所に、強烈な魔力の気配。

 

「ったく『遅いぜ』―――」

 

 もちろん、実質校舎外にいた達也との違いかもしれないが―――飛び来る黒鍵の群れが吸血鬼たちにとっての脅威。

 

 コンクリートの床に次から次へと墓標のように突き立つ刃を吸血鬼は嫌悪して、一塊となりてこちらと対峙していた。

 

「すまん。遅れた」

「ヒーローは遅れてやってくるものなのよ!」

 

 リーナの言葉通り、美少女を姫抱きでやってきた姿は確かにヒーローと呼べるかも知れない……。戦いは第二幕へと移る。

 

 

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